
精神疾患のある高齢者の介護|統合失調症・うつ・双極性障害の症状理解と医療連携・対応の工夫
統合失調症・うつ病・双極性障害など精神疾患のある高齢者を介護現場でどう支えるか。症状の理解、服薬の見守りと向精神薬の副作用観察、精神科との医療連携、認知症との違い、幻覚・妄想への対応の工夫を、厚労省・NCNP・日本精神保健福祉士協会の資料に基づき介護職向けに解説します。
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この記事のポイント
精神疾患のある高齢者の介護では、統合失調症・うつ病・双極性障害などの症状を「困りごと」として理解し、生活を整える支援が中心になります。介護職の役割は診断や服薬の調整ではなく、服薬の見守り、いつもと違う様子(病状悪化のサイン)の観察、向精神薬の副作用(過鎮静・ふらつき・嚥下障害など)への気づき、そして精神科・看護師への速やかな情報共有です。幻覚や妄想は否定も肯定もせず、不安な気持ちに寄り添うことが基本になります。
目次
「精神疾患のある高齢者」と聞くと、認知症をイメージする人が多いかもしれません。しかし介護の現場で出会うのは、若いころに統合失調症や双極性障害を発症して長く治療を続けてきた人、高齢になってからうつ病を発症した人、孤独や喪失体験から妄想性障害を抱えた人など、認知症とは異なる精神疾患を持つ利用者です。
厚生労働省「患者調査」によると、精神疾患で入院している患者の約66%が65歳以上であり、精神疾患を持つ人の高齢化は確実に進んでいます(令和5年・厚生労働省障害保健福祉部資料)。施設や訪問の現場で、精神疾患のある高齢者を支える機会は今後さらに増えていきます。
この記事では、統合失調症・うつ病・双極性障害・妄想性障害といった代表的な精神疾患の特徴を整理したうえで、介護職が担うべき役割——生活支援、服薬の見守り、症状の観察、医療連携、そして日々の対応の工夫——を、認知症との違いも含めて解説します。診断や治療は医師・看護師の領域です。ここでは「介護職にできること・すべきこと」に焦点をあてます。
高齢者に多い精神疾患の種類と症状の特徴
精神疾患はひとくくりにできるものではなく、疾患ごとに症状の現れ方も、生活への影響も大きく異なります。介護職がまず押さえておきたい代表的な疾患を整理します。なお、ここでの説明は症状を理解するための基礎知識であり、目の前の利用者がどの疾患かを判断するのは医師の役割です。
統合失調症
統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなる病気で、健康なときにはなかった症状が現れる「陽性症状」(幻覚・妄想など)と、本来あったものが失われる「陰性症状」(意欲の低下・感情表現の減少・引きこもりなど)があります。日本の患者数は約80万人、生涯のうちに発症する人は人口の約0.7%(およそ100人に1人弱)とされ、決して珍しい病気ではありません(国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト)。
注目したいのは、高齢期に入ると症状の現れ方が変化する点です。若いころに目立った激しい幻覚や妄想(陽性症状)は穏やかになり、無関心・自閉的な態度といった陰性症状が前面に出やすくなります。一見おとなしく手のかからない利用者に見えても、内面では強い不安や孤独を抱えていることがあります。
うつ病(高齢者のうつ)
高齢者のうつ病は、若い世代のうつとは現れ方が異なります。「気分が落ち込む」という訴えよりも、「体がだるい」「あちこちが痛む」といった身体の不調(身体症状・心気的訴え)や、意欲・活動性の低下が前面に出やすいのが特徴です。記憶力の低下を訴えることも多く、認知症と見分けがつきにくい場合があります。配偶者との死別、健康の衰え、社会的役割の喪失、孤立など、高齢期にはうつの引き金となる出来事が多く存在します。
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害は、気分が高揚して活動的になりすぎる「躁(そう)状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す病気です。躁状態では睡眠が減っても元気に見え、多弁・浪費・易怒性(怒りっぽさ)が現れることがあります。うつ状態だけを見ているとうつ病と区別がつきにくいため、気分の波があること自体が重要な情報になります。
妄想性障害(老年期妄想性障害)
高齢期には、喪失体験や孤立・孤独を背景に、特定の人に対する被害妄想や嫉妬妄想が形成されることがあります。妄想に左右される行動を除けば人との交流ができ、生活も自立していることが多いのが特徴で、本人に病気という認識(病識)が乏しい点が支援を難しくします。
精神疾患と認知症はどう違うのか
介護職が混同しやすいのが、精神疾患と認知症の違いです。両者は重なる症状もあり、実際に併存することもありますが、成り立ちと支援の方向性は異なります。違いを理解しておくと、医療職への報告や日々の関わりの精度が上がります。
成り立ちと経過の違い
| 観点 | 精神疾患(統合失調症・うつ・双極性障害など) | 認知症 |
|---|---|---|
| 主な背景 | 脳の機能の働きの不調。発症は若年〜中年が多い(高齢発症のうつ・妄想性障害もある) | 脳の神経細胞の変化・脱落による進行性の病気。高齢で発症することが多い |
| 経過 | 回復・再発を繰り返すことが多く、治療で改善が期待できる | 多くは緩やかに進行する |
| 記憶 | 基本的に保たれる(うつでは集中力低下で物忘れのように見えることがある) | 新しいことを覚えられない記憶障害が中核 |
| 本人の自覚 | 苦しさを自覚していることが多い(病識が乏しい場合もある) | 進行すると障害の自覚が薄れやすい |
| 治療・支援 | 薬物療法とリハビリ・生活支援の組み合わせ | 非薬物的ケアを中心に、進行に合わせた生活支援 |
見分けにくい「うつ」と「認知症」
特に注意が必要なのが、高齢者のうつ病と認知症の区別です。うつによる意欲・集中力・活動性の低下が、認知症のように見えること(仮性認知症)があります。逆に、うつと診断されていた人が実は認知症だった、認知症の初期にうつ症状が伴う、という重なりもあります。介護職が「どちらか」を判断する必要はありませんが、「最近急に元気がなくなった」「2週間以上気分の落ち込みが続いている」といった変化に気づき、看護師やケアマネジャー、医師に伝えることが、適切な受診や治療につながります。
せん妄との違いにも注意
高齢者では、環境の変化・不眠・脱水・薬の影響などをきっかけに、意識が一時的に混濁する「せん妄」が起こりやすくなります。せん妄は急に症状が出て、1日の中で変動し、原因が取り除かれると元の状態に戻るのが特徴です。認知症や精神疾患の悪化と思い込まず、急な変化はせん妄の可能性も含めて医療職に相談しましょう。
服薬の見守りと向精神薬の副作用への気づき
精神疾患のある高齢者の地域・在宅生活を支えるうえで、服薬の継続は欠かせない要素です。ただし、薬の処方・調整・中止を決めるのは医師であり、介護職の役割は「見守り」と「観察」「情報共有」です。ここを取り違えないことが、安全な支援の前提になります。
服薬の見守りでできること
- 服薬カレンダーや一包化を活用し、飲み忘れ・飲み過ぎが起きていないかを確認する
- 薬を飲めていなくても責めない。「飲めなかった」事実を医療職に共有することが大切
- 本人が「薬を飲みたくない」「調子がいいからやめたい」と言うときは、否定せず気持ちを受け止め、自己判断での中断をせず、その心配を主治医に伝えられるよう橋渡しする
統合失調症では、症状の特性から服薬を自己中断してしまう人が少なくなく、治療中断は再発・再入院の大きな要因になります。介護職が服薬の様子を日々観察し、変化を早めに医療職へ届けることには大きな意味があります。
介護職が見落としがちな「向精神薬の副作用」
長く向精神薬を服用している高齢者では、加齢に伴って薬が体に溜まりやすくなり、副作用が現れやすくなります。日本精神保健福祉士協会の研修資料でも、嚥下障害(飲み込みにくさ)やそれに伴う誤嚥、麻痺性イレウス(腸の動きが鈍くなり、お腹がはる・著しい便秘・腹痛・吐き気などが続く)といった身体症状が、副作用として起こりうると注意喚起されています。
こうした副作用は、生活場面に最も近い介護職だからこそ気づけることが多いものです。次のような変化は、看護師・主治医へ早めに相談しましょう。
- 日中ぼんやりして眠りがち(過鎮静)、ふらつき・転倒が増えた
- むせる・飲み込みづらそう・食事量が減った
- 便秘が続く、お腹がはって苦しそう、吐き気がある
- 手のふるえ、体のこわばり、落ち着かずそわそわする
「精神症状が悪化したのか、薬の副作用なのか」を見極めるのは医療職の仕事ですが、その判断材料となる生活上の変化を届けるのは介護職の重要な役割です。
幻覚・妄想・うつ症状への対応の工夫
精神症状そのものを治すのは治療の役割ですが、日々の関わり方しだいで、本人の不安や混乱は和らぎもすれば、悪化もします。介護職が現場で使える対応の工夫を、症状別に整理します。
幻覚・妄想への対応:「否定も肯定もしない」
幻聴や被害妄想は、本人にとっては紛れもない「現実の体験」です。「そんなことないよ」「気のせいだよ」と否定すると、「信じてもらえない」という不信感が強まります。一方で「そうだよね」と肯定すると、妄想がより強固になってしまいます。そこで基本となるのが、出来事の真偽には踏み込まず、その背後にある感情に寄り添う関わりです。
- 否定しない・肯定しない:「本当かどうかは私にはわからないけれど、不安に感じているのは伝わってきます」
- 感情に焦点をあてる:「それは怖かったですね」「不安だったんですね」
- 巻き込まれない:「その話は私には判断できないけれど、困っていることには力になりたい」と距離を保つ
- 安心を与える:「ここでは大丈夫ですよ」「そばにいますからね」
うつ状態への対応:励まさない・せかさない
うつ状態にある人に「がんばって」「気の持ちようだよ」と励ましたり、叱ったりするのは逆効果です。本人を追い詰め、自責の念を強めてしまいます。受容的・支持的に接し、心身を休められる環境を整えることが大切です。抗うつ薬は効果が現れるまでに2〜4週間ほどかかるため、すぐに変化が見えなくても焦らず見守る姿勢が求められます。気分の落ち込みが深く、死をほのめかすような言動があるときは、ひとりで抱え込まず必ず医療職・チームに共有してください。
双極性障害の「躁状態」への対応:刺激を抑え、波を記録する
双極性障害では、うつ状態への配慮に加えて、躁状態への対応も重要になります。躁状態では一見元気で活動的に見えますが、睡眠が極端に減る、多弁になる、怒りっぽくなる(易怒性)、過度な買い物や行動に走るといった変化が現れることがあります。本人を強く制止したり議論で抑え込もうとすると、かえって興奮を強めてしまいます。穏やかな口調で接し、刺激の少ない落ち着いた環境を整えること、無理に予定や活動を増やさないことが基本です。そして、躁とうつの「気分の波」がいつ・どのように現れたかを記録し、医療職へ共有することが、適切な治療につながります。介護職が波の変化に気づける立場にあることを意識しましょう。
声かけの工夫:具体的に・簡潔に
精神疾患のある高齢者には、抽象的な指示より具体的な言い方のほうが伝わりやすい場面があります。
- ×「きちんと掃除しましょう」 → ○「まず、机の上の雑誌を片づけましょう」
- ×「体調はどうですか」 → ○「眠れていますか」「だるさはありますか」
そして共通して大切なのが、「ゆっくり、ゆったり」を心がけ、本人のペースを尊重すること。支援者によって聞き役・伝え役と役割を分ける、相性やタイミングに配慮する、といった工夫もチームで関わるうえで有効です。
医療連携と「病状悪化のサイン」の共有
精神疾患のある高齢者の支援は、介護・福祉サービスと医療(特に精神科)が「車の両輪」として機能して初めて成り立ちます。しかし現場では「精神科の医療機関と連携しづらい」という声も少なくありません。連携を成り立たせるための実務的なポイントを整理します。
「その人固有の悪化のサイン」を事前に確認しておく
リスクマネジメントの観点から重要なのが、利用者ごとの「病状悪化のサイン」をあらかじめ把握しておくことです。日本精神保健福祉士協会の研修資料では、サインの例として次のようなものが挙げられています。
- 眠れない日が3日続いた
- 外見や服装に無関心になってきた
- 食欲が落ちている、食事量が減っている
こうしたサインは人によって異なります。サービス利用の契約時に本人・家族とサインを確認し、サインが出たときに医療機関へ連絡することについて同意を得ておくと、いざというときに迅速に動けます。
連携先と「顔の見える関係」をつくる
連携の窓口は主治医だけではありません。精神科の外来看護師、精神保健福祉士(PSW)、精神科訪問看護のスタッフなど、気軽に連絡を取り合える相手を持っておくことが連携の第一歩です。普段と違う様子が見られたとき、それが病状と関係するのかを確認できる関係を、日頃から築いておきましょう。
記録と多職種でのチーム共有
介護職の観察は、記録に残し、チームで共有して初めて力を発揮します。「いつ・どんな様子だったか」を事実ベースで記録し、ケアマネジャーや看護師、サービス担当者会議の場で共有する。介護職が抱え込まず、地域のネットワークの中で支える姿勢が、本人の生活の安定につながります。
【独自見解】精神疾患の高齢化が進む今、介護職の関わりが鍵になる
精神疾患のある高齢者の介護は、これまで「特殊なケース」として語られがちでした。しかしデータを見ると、それは決して例外的な現場ではなくなりつつあります。
厚生労働省「患者調査」をもとにした障害保健福祉部の資料によれば、精神疾患で入院している患者のうち65歳以上が約66%(約17.5万人/約26.6万人、令和5年)を占めています。長期入院からの地域移行が進む一方で、長く治療を続けてきた人がそのまま高齢期を迎え、身体合併症や生活機能の低下と向き合う時代に入っているのです。
ここで当サイトが注目したいのは、こうした高齢精神障害者を最も近くで支えるのが、医師でも看護師でもなく、生活の場にいる介護職だという点です。在宅医療の現場からは、地域で療養する要介護高齢者のうち23.1%が「高度のうつ」状態にあるのに、そのうち抗うつ剤を服用しているのはわずか6%にすぎない、という報告も紹介されています(厚生労働省「在宅医療における精神疾患への対応」資料)。つまり、治療につながっていない精神症状が、生活の場には数多く埋もれているということです。
「最近食事量が減った」「数日眠れていないようだ」「身なりに無関心になった」——こうした生活の小さな変化に最初に気づけるのは介護職です。その気づきを医療につなぐことが、未治療・治療中断を防ぎ、本人の生活の質を守ります。精神疾患のある高齢者の介護は、専門的で難しいものに見えますが、本質は「いつもと違う」に気づき、否定せず寄り添い、医療と手をつなぐこと。これは介護職が日々培っている観察力と関係づくりの力そのものであり、今後ますます求められる専門性だと考えます。
介護保険と障害福祉サービスの調整・差別や偏見への配慮
精神疾患のある高齢者の支援では、制度の谷間と、本人の尊厳への配慮という2つの論点が現場でしばしば問題になります。
介護保険と障害福祉サービスの利用調整
65歳になると、それまで障害福祉サービス(障害者総合支援法に基づく居宅介護など)を利用していた人も、原則として介護保険サービスが優先されます。しかし、身体的には自立していて介護保険の要介護認定が非該当となりやすい、障害施策と介護施策の利用調整が難しく申請に時間がかかる、といった「制度の谷間」に置かれやすいのが高齢精神障害者です。介護職だけで抱え込まず、地域包括支援センター、相談支援専門員、精神保健福祉士などと連携し、本人に合った制度を組み合わせることが求められます。
差別・偏見を助長しない関わり
精神疾患は外見からわかりにくく、社会的な偏見にさらされやすい病気です。介護職自身が「精神疾患だから危険」「何を考えているかわからない」といった先入観を持てば、それは支援の質に直結します。大切なのは、症状ではなく一人の生活者としてその人を見ること、本人なりの生活のしかたや内面世界を理解しようとすること、そして信頼関係を時間をかけて築くことです。「病気の人」ではなく「精神疾患という困りごとを抱えながら生活している人」として関わる姿勢が、本人の安心と回復を支えます。
精神疾患のある高齢者で見落としやすい身体面のリスク
精神症状への対応に意識が向きやすい一方で、精神疾患のある高齢者は身体面のリスクが高いことも忘れてはなりません。介護職が生活場面で観察し、医療職へつなぐべきポイントを整理します。
身体合併症が「見つけにくく、治しにくい」
長く向精神薬を服用してきた高齢者では、生活習慣(運動不足・喫煙・肥満など)や薬の影響から、心血管疾患・糖尿病といった生活習慣病を合併しやすいことが知られています。さらに、本人が身体の不調を言葉でうまく訴えられない、医療機関へのアクセスが難しい、といった理由から、身体合併症は「見つけにくく、治しにくい」とされます(厚生労働省「在宅医療における精神疾患への対応」資料)。だからこそ、毎日の食事量・排泄・顔色・活気といった生活情報を介護職が観察し、医療職へ届ける意味は大きいのです。
転倒・誤嚥・脱水に注意
向精神薬の副作用による過鎮静やふらつきは転倒・骨折のリスクを高め、嚥下機能の低下は誤嚥性肺炎につながります。また、自分から水分をとる行動が乏しくなり、脱水からせん妄を招くこともあります。
- 歩行が不安定になっていないか、転倒のヒヤリハットが増えていないか
- 食事中にむせていないか、飲み込みに時間がかかっていないか
- 水分摂取量は足りているか、便秘が続いていないか
これらは介護職が日常的にチェックできる項目です。気づいた変化は記録し、看護師・主治医に共有しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 利用者が「薬は飲みたくない」と言ったら、飲ませるべきですか?
無理やり飲ませるのは避けます。強制すると「無理やり飲まされる」という被害的な受け止めにつながり、かえって関係が悪化します。気持ちを受け止めたうえで、自己判断での中断はせず、その心配を主治医に伝えられるよう橋渡ししましょう。飲めなかった事実は記録し、看護師・医師に共有します。処方の変更は医師が判断することです。
Q. 幻覚や妄想を「ない」と説明して納得してもらうべきですか?
否定して説得しようとすると不信感が強まります。否定も肯定もせず、その背後にある不安や恐怖といった感情に寄り添うのが基本です。「私にはわからないけれど、不安なのは伝わってきます」「ここでは大丈夫ですよ」と安心を伝えることを優先しましょう。
Q. 精神疾患のある高齢者は、認知症の利用者と同じように対応してよいですか?
共通する部分(否定しない、ペースを尊重する、安心できる環境づくり)もありますが、成り立ちや経過、治療の方向性は異なります。精神疾患は治療で改善が期待でき、服薬継続や医療連携の比重が大きいのが特徴です。個別の状態に応じて、医療職と連携しながら対応を組み立てましょう。
Q. 介護職の資格しか持っていなくても、精神疾患のある人を支援できますか?
できます。診断・服薬調整・症状評価は医師や看護師の領域ですが、生活支援、服薬の見守り、変化の観察、医療連携、対応の工夫は介護職の専門領域です。より深く学びたい場合は、認知症介護基礎研修や、事業所内外の精神疾患に関する研修、精神科医療機関との事例検討などが役立ちます。
参考文献・出典
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まとめ:介護職だからこそ支えられる
精神疾患のある高齢者の介護は、認知症ケアとは異なる知識と関わりを必要としますが、その本質は介護職が日々培っている力——観察する、否定せず寄り添う、医療と手をつなぐ——の延長線上にあります。
診断・服薬調整・症状評価は医師や看護師の領域です。介護職の役割は、生活を整える支援、服薬の見守り、向精神薬の副作用を含む「いつもと違う」変化への気づき、そしてその気づきを医療職へ確実につなぐことです。幻覚や妄想は否定も肯定もせず不安に寄り添う、うつ状態は励まさず休める環境を整える、こうした一つひとつの工夫が本人の安心と回復を支えます。
精神疾患を持つ人の高齢化が進むいま、こうした専門性を持つ介護職の価値はますます高まっています。「精神疾患のある利用者への関わりにもっと向き合える職場で働きたい」「学びを深められる環境を選びたい」と感じたら、自分の強みや希望に合った働き方を一度整理してみるのがおすすめです。働き方診断を活用して、あなたに合った介護の現場を見つけてみてください。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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