介護パートとは

介護パートとは

介護パートは正社員より短時間で働く非正規雇用形態。2024年度の介護職員パート時給は全国平均1,331円、介護福祉士は1,500円超も。社会保険加入要件(週20時間以上)、扶養範囲、シフト調整、家庭との両立を厚労省データで解説。

ポイント

この記事のポイント

介護パートは、介護事業所で正社員より短時間勤務で働く非正規雇用形態(パートタイマー)の総称です。介護労働安定センター「2024年度介護労働実態調査」では非常勤介護職員の平均時給は1,331円、介護福祉士有資格者は1,500円超の事例もあります。週20時間以上・月収8.8万円以上などの要件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金)に加入義務が発生し、扶養範囲(年収106万・130万円)を意識した働き方も選べます。

目次

介護パートの定義と働き方の特徴

介護パートとは、介護事業所において1日6〜7時間以下、または週30時間未満で働く短時間労働者(パートタイム労働者)を指します。労働基準法・パートタイム・有期雇用労働法で定義される「短時間労働者」が法律上の正式名称で、雇用形態としては非正規雇用に分類されます。介護現場では正社員(フルタイム)と組み合わせてシフトが組まれ、人手不足を補う重要な戦力として位置づけられています。

介護労働安定センター「2024年度介護労働実態調査」によると、介護職員の約46%が非正規職員で、その大半がパート勤務です。施設形態別では、デイサービス・訪問介護・小規模多機能でパート比率が高く、特養・老健などの入所系施設は正社員比率が高い傾向があります。働き手としては子育て・介護と両立する女性、定年後のシニア、副業・ダブルワークの3パターンが多く、フルタイム勤務が難しいライフステージで選ばれる雇用形態です。

介護業界はパート雇用の需要が極めて高く、「週2日・1日4時間〜」「土日のみ」「平日朝のみ」など、柔軟な勤務時間で働ける求人が豊富です。資格を持っていなくても介護助手・補助業務(送迎・清掃・配膳・見守り)として採用されるケースが多く、働きながら介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士へとステップアップする人も少なくありません。

介護パートの時給相場(資格別・施設別・地域別)

介護労働安定センター「2024年度介護労働実態調査」および求人サイトの統計から、介護パートの時給相場は以下のレンジとなっています。

資格別の時給相場

資格時給相場特徴
無資格・未経験1,000〜1,200円地域最低賃金〜+200円程度。介護助手・補助業務中心
介護職員初任者研修修了1,150〜1,350円身体介護も可能。求人数が多い
介護福祉士実務者研修修了1,250〜1,450円サービス提供責任者の補助も可能
介護福祉士1,400〜1,800円身体介護中心、夜勤可能なら時給+100〜200円
看護師(パート)1,800〜2,500円医療的ケア・処置対応で高時給

施設形態別の時給相場(介護福祉士)

施設種別時給相場
訪問介護(身体介護)1,500〜2,200円
訪問介護(生活援助)1,200〜1,500円
特別養護老人ホーム1,300〜1,600円
介護老人保健施設1,300〜1,550円
グループホーム1,200〜1,500円
有料老人ホーム1,250〜1,550円
デイサービス1,150〜1,400円

地域別最低賃金(2024年10月改定)

東京都1,163円、神奈川県1,162円、大阪府1,114円、愛知県1,077円、福岡県992円、最低は秋田県・高知県等の951円。地域差は最大約200円あります(厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)。介護パートの時給は最低賃金をベースに、施設形態・資格・夜間勤務有無で上乗せされる構造です。

介護パート vs 正社員 vs 派遣の違い

項目パート正社員派遣
雇用主介護事業所(直接雇用)介護事業所(直接雇用)派遣会社
時間給/月給時間給月給時間給(高め)
時給/月給目安1,000〜1,800円月給22〜30万円1,400〜2,000円
賞与あり(少額)または年5〜10万円年2〜4回・基本給1〜4カ月分原則なし
夜勤選択可(やる/やらない)原則あり(月4〜5回)選択可
シフト柔軟(週2日〜OK)固定的(週5日)柔軟
社会保険条件次第(後述)必ず加入派遣会社で加入
有給休暇あり(労基法で勤続6カ月+週所定日数比例付与)あり(年10日〜20日)あり(条件あり)
キャリアパス限定的(資格取得でアップ)役職昇進・幅広い限定的(事業所内では)
退職金原則なしあり(社福法人は退職共済加入率高)原則なし

介護パートは家庭・育児・親の介護・通学などライフステージに合わせて働き方を選べる柔軟性が最大のメリットです。一方、賞与・退職金・キャリア面では正社員に劣るため、長期的にキャリアを築きたい場合はパート→正社員登用を視野に入れた職場選びが推奨されます。介護業界では「パート→介護福祉士取得→正社員登用」というルートが一般的で、社福法人を中心に登用実績を公表する事業所が増えています。

あなたに合った介護の働き方は?

簡単な質問に答えるだけで、ピッタリの施設タイプがわかります

1分で診断する

介護パートの社会保険加入要件と扶養範囲

介護パートで働く際は社会保険(健康保険・厚生年金)の加入要件配偶者の扶養範囲を理解した上で、勤務時間と年収を設計する必要があります。2024年10月の制度改正以降、社会保険の適用拡大が段階的に進んでいます。

社会保険(厚生年金・健康保険)加入義務の要件

以下のすべてを満たす場合、パートでも社会保険加入が義務付けられます(2024年10月時点):

  • 従業員数51人以上の事業所(2024年10月から「101人以上」から拡大)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金8.8万円以上(年収換算106万円超)
  • 2カ月超の継続雇用見込み
  • 学生でない

「年収の壁」と扶養範囲

年収状況
100万円以下住民税非課税(自治体により基準差あり)
103万円以下所得税の配偶者控除対象
106万円超従業員51人以上事業所では社会保険加入義務
130万円超配偶者の社会保険被扶養者から外れる(自身で国保・国民年金または勤務先の社会保険に加入)
150万円超配偶者特別控除が段階的に縮小
201万円超配偶者特別控除の対象外

社会保険加入は将来の年金額や傷病手当金・出産手当金の保障につながるため、必ずしも避けるべきではありません。年収106万円から130万円の「壁」では手取りが一時的に減るものの、年収150万円程度を超えると手取りが扶養内より増えるため、長期視点で勤務時間を設計することが重要です。

有給休暇

労働基準法第39条により、パートでも勤続6カ月以上+出勤率8割以上で有給休暇が付与されます。週所定労働日数に応じて比例付与され、週5日勤務なら正社員と同じ年10日(勤続6カ月時点)、週3日なら年5日(勤続6カ月時点)が付与されます。

介護パートに関するよくある質問

Q1. 介護パートで子育てと両立できますか?

可能です。介護業界はパート求人が豊富で、「平日9〜14時のみ」「子供の学校行事に合わせた休み調整」などに対応する事業所が多数。デイサービスは原則夜勤がなく、土日休みや平日のみ勤務も選びやすいため、子育て中の女性に人気の施設形態です。

Q2. 介護パートは正社員に登用されますか?

多くの事業所で正社員登用制度があります。社会福祉法人を中心に「パート→介護福祉士取得→正社員」というルートが定着しており、登用には実務経験1〜2年と本人の意欲、夜勤対応可否が判断材料となります。求人面接で「正社員登用実績」を質問すると年間登用人数を答えてくれる事業所は信頼性が高い目安です。

Q3. 介護パートでも夜勤はありますか?

選択可能です。介護福祉士有資格者で夜勤可能なパートは時給+100〜200円、夜勤手当(1回6,000〜10,000円)も別途支給され、月8〜10万円の収入アップが見込めます。一方「夜勤なし・日勤のみ」の求人も多数あるため、ライフスタイルに合わせて選べます。

Q4. 介護パートの掛け持ち(ダブルワーク)は可能ですか?

可能ですが、本業の就業規則で副業禁止が明記されていないか確認が必要です。複数事業所で雇用されると確定申告(年20万円超の副収入)が必要になります。社会保険は週20時間以上勤務する事業所がある場合、その事業所で加入することになります。

Q5. 介護パートに資格は必要ですか?

無資格でも介護助手・補助業務として働けます。ただし時給は1,000〜1,200円程度にとどまるため、入職後に介護職員初任者研修(130時間・約1〜3カ月)を取得して身体介護も担えるようになると時給100〜200円アップが期待できます。多くの事業所が研修費用を補助する制度を持っています。

参考文献・出典

関連する詳しい解説

まとめ

介護パートは、フルタイム勤務が難しいライフステージで柔軟に働ける雇用形態です。時給は無資格1,000〜1,200円・初任者研修修了1,150〜1,350円・介護福祉士1,400〜1,800円が相場で、訪問介護身体介護や夜勤可能枠は時給2,000円超も。社会保険加入要件(週20時間・月収8.8万円・従業員51人以上事業所)と扶養範囲(106万・130万・150万円の壁)を理解して勤務時間を設計し、長期的にはパート→正社員登用や介護福祉士取得によるキャリアアップを視野に入れることで、家庭との両立と収入確保を両立できます。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

最新の介護業界ニュース

すべて見る →
介護・福祉職員の退職金共済、抜本見直しへ|厚労省「財政運営の安定化」を論点に検討開始

2026/5/8

介護・福祉職員の退職金共済、抜本見直しへ|厚労省「財政運営の安定化」を論点に検討開始

厚労省が2026年4月23日、88万人が加入する社会福祉施設職員等退職手当共済制度の抜本見直し検討会を始動。準備金残高は3年で505億→294億円に急減。財政運営・対象法人・給付水準を論点に秋に方向性。

財務省、ケアマネ報酬に「自立支援アウトカム連動」を提言|要介護度改善で報酬増の仕組みへ・27年度改定論点

2026/5/8

財務省、ケアマネ報酬に「自立支援アウトカム連動」を提言|要介護度改善で報酬増の仕組みへ・27年度改定論点

2026年4月28日の財政制度等審議会で財務省が提言した「居宅介護支援の報酬体系に自立・要介護度改善のインセンティブを組み込む」論点を一次資料から解説。LIFEとの接続、ケアマネ業務への影響、成功報酬型の利点とリスクを読み解く。

財務省、訪問介護・通所介護の賃上げ要件に介護テクノロジー導入を|ケアプー導入率28.2%が後押し

2026/5/8

財務省、訪問介護・通所介護の賃上げ要件に介護テクノロジー導入を|ケアプー導入率28.2%が後押し

財政制度等審議会・財政制度分科会(2026年4月28日)で財務省が、訪問介護・通所介護のさらなる賃上げ要件に介護テクノロジー導入の追加を要請。ケアプー導入率が3月時点で28.2%に急伸した実績を背景に、2027年度介護報酬改定の新たな論点として浮上した。

家事支援、国家資格を新設へ|高市首相「介護離職をどうしても防止したい」2027年めど初試験

2026/5/7

家事支援、国家資格を新設へ|高市首相「介護離職をどうしても防止したい」2027年めど初試験

高市早苗首相は2026年4月22日の日本成長戦略会議で家事支援サービスの新たな国家資格創設を関係閣僚に指示。職業能力開発促進法の技能検定として2027年秋の第1回試験実施を目指す。介護離職防止と保険外サービス育成が狙い。

介護福祉士養成校卒業生の経過措置、2031年度まで延長|国試不合格でも卒業後5年目まで就労可

2026/5/7

介護福祉士養成校卒業生の経過措置、2031年度まで延長|国試不合格でも卒業後5年目まで就労可

社会保障審議会福祉部会で説明された一括改正案により、介護福祉士養成校卒業生が国家試験に不合格でも有資格者として働ける経過措置が2031年度卒業者まで延長される。一方で6年目以降の措置は2026年度卒業者で終了。制度改正の中身と進学者・新人介護職への影響を整理する。

日本医師会、介護報酬改定「2年に1度」を提言|江澤常任理事「3年後は見通せない」

2026/5/7

日本医師会、介護報酬改定「2年に1度」を提言|江澤常任理事「3年後は見通せない」

2026年4月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、日本医師会の江澤和彦常任理事が介護報酬改定を3年から2年サイクルに短縮するよう提言。物価高騰・賃上げは別枠で毎年改定を主張し、全老健・東憲太郎会長も同調した。背景と現場・転職者への影響を整理する。

このテーマを深掘り

関連トピック