介護派遣とは

介護派遣とは

介護派遣は派遣会社に雇用され介護施設へ派遣される働き方。時給1,400〜1,800円が相場で、無期雇用派遣・登録型派遣・紹介予定派遣の3形態があります。

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この記事のポイント

介護派遣とは、派遣会社(労働者派遣事業者)に雇用され、契約に基づいて介護施設・事業所に派遣されて働く形態です。雇用主は派遣会社で、勤務先(派遣先)の指揮命令を受けて業務を行います。労働者派遣法に基づき、登録型派遣・無期雇用派遣・紹介予定派遣の3形態があり、時給は介護福祉士で1,500〜1,800円、初任者研修修了者で1,300〜1,500円が相場です(厚生労働省「派遣労働者実態調査」、2025年介護人材紹介・派遣事業統計)。

目次

介護派遣の仕組みと法的位置づけ

介護派遣は労働者派遣法(昭和60年法律第88号)に基づく「労働者派遣」の一形態で、雇用契約は派遣会社と派遣スタッフの間に成立し、業務指揮命令は派遣先の介護施設・事業所が行う三者関係が特徴です。派遣先である施設は、派遣スタッフに対する給与支払い義務はなく、その代わり派遣会社に派遣料金(時給×時間+派遣会社マージン)を支払います。派遣会社マージン率は厚生労働省への届出義務があり、業界平均は28〜32%とされています(厚生労働省「労働者派遣事業報告書」)。

介護派遣を行うには、派遣会社が労働者派遣事業の許可(特定労働者派遣事業の届出制は2018年に廃止され、現在は許可制に一本化)を厚生労働大臣から受ける必要があります。また、派遣期間は同一の組織単位で原則3年が上限(労働者派遣法第40条の2)、派遣先での過半数労働組合からの意見聴取等の規制があります。

介護現場で派遣が活用される背景には、(1) 慢性的な人材不足、(2) 産休・育休代替や短期繁忙期への対応、(3) 派遣先での業務適合確認後に直接雇用に切り替える紹介予定派遣ニーズ、の3点があります。厚生労働省「介護労働実態調査」(2024年度)では、介護事業所のうち派遣スタッフを活用している割合は34.7%にのぼり、特に特養・有料老人ホーム・サ高住で利用が多くなっています。

介護派遣の3形態と時給相場

介護派遣には大きく3つの形態があり、雇用の安定度・時給・直接雇用への切替可能性が異なります。自分のキャリア計画に合わせて選ぶことが重要です。

  • 登録型派遣(一般派遣):派遣会社に登録し、案件ごとに有期雇用契約を結ぶ最も一般的な形態。短期1〜3か月から1年単位の契約が多く、時給は最も高い傾向。介護福祉士で1,500〜1,800円、初任者研修修了で1,300〜1,500円が相場。賞与・退職金は原則なし。
  • 無期雇用派遣(常用型派遣):派遣会社と無期雇用契約を結び、派遣先が変わっても給与が継続して支払われる形態。月給制で年収300〜380万円が中心帯。賞与・退職金が支給される会社もあり、雇用は安定。時給換算では登録型より低くなる傾向。
  • 紹介予定派遣:最大6か月の派遣期間を「お試し勤務」とし、双方合意で派遣先が直接雇用に切り替える形態。職場との相性を確認してから正社員化したい人向け。直接雇用後は派遣会社からの給与は終了する。

時給に資格手当・夜勤手当が加算され、夜勤1回あたり5,000〜10,000円が別途支給されるケースが一般的です。同一労働同一賃金(労働者派遣法第30条の3)の施行(2020年4月)により、派遣先の正社員と比べて不合理な待遇差を設けることが禁止されており、派遣スタッフにも交通費実費支給・施設食堂利用・福利厚生サービス等が広がっています。

正社員・パートとの比較

正社員・パートとの比較|何を優先するかで選択が変わる

介護派遣を直接雇用(正社員・パート)と比較すると、給与・雇用安定性・キャリア形成・働き方の自由度に違いがあります。

項目派遣(登録型)パート正社員
雇用主派遣会社勤務先施設勤務先施設
時給/月収目安時給1,300〜1,800円時給1,100〜1,400円月給22〜32万円
賞与原則なし少額または無年2〜4か月
退職金なしなしあり(規程あれば)
雇用期間有期(最長3年)有期更新無期
夜勤・残業事前合意で選択可シフト次第原則あり
施設選択派遣会社経由で複数比較可応募時のみ応募時のみ
キャリアパス派遣先で経験蓄積限定的役職昇進あり

「短期で多様な現場を経験して自分に合う環境を見つけたい」「育児・介護と両立して時間を選びたい」「ブランクがあるのでまず時給単価で稼ぎたい」というニーズには派遣が向き、「腰を据えて役職を目指す」「賞与・退職金で生涯年収を確保する」というニーズには正社員が向きます。同一労働同一賃金により待遇差は縮小傾向にありますが、賞与・退職金・昇進機会の差は依然として残ります。

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派遣会社選びのポイントと失敗を避ける視点

介護に特化した派遣会社は全国で200社以上あり、時給・案件数・サポート体制に差があります。失敗を避けるために以下のポイントを比較しましょう。

  • マージン率を必ず確認する:労働者派遣法第23条第5項により、派遣会社は事業所ごとのマージン率(派遣料金から派遣スタッフ賃金を引いた割合)を公開する義務がある。各社のWebサイトの事業所情報ページに掲載。28%前後が標準で、35%超は高めと判断できる。
  • 介護専門か総合派遣会社か:介護専門会社(きらケア介護・かいご畑・カイゴジョブエージェント等)は介護施設のネットワーク・職種別案件数で強み。総合派遣会社は事務・看護等の他職種と比較して介護の案件数が少ないことがある。
  • 担当コーディネーターとの相性:施設見学同行・トラブル時の介入・契約更新時の交渉力に差がある。1社目で違和感があれば2社目を併用する。複数登録は問題ない。
  • キャリア形成支援:労働者派遣法第30条の2により、派遣会社は派遣スタッフへの教育訓練を計画的に実施する義務がある。e-Learning・資格取得支援・初任者研修費用補助の有無を確認する。
  • 同一労働同一賃金の方式:派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の2方式があり、労使協定方式(多くの会社が採用)では厚生労働省の統計に基づく基準時給が適用される。地域・職種別の最低基準を満たしているか書面で確認する。
  • 福利厚生サービス:社会保険完備(要件満たせば)、有給休暇(6か月以上勤務で10日付与)、健康診断、ベネフィット・ステーション等のクーポンサービスが利用できるかチェックする。

派遣初日の業務開始前には、派遣会社から「就業条件明示書」が交付されます。業務内容・勤務時間・派遣期間・指揮命令者・苦情処理担当者が明記されているか必ず確認しましょう(労働者派遣法第34条)。

介護派遣に関するよくある質問

Q. 未経験・無資格でも介護派遣で働けますか?

無資格でも生活援助中心の業務(食事介助の一部・送迎・洗濯・清掃等)であれば派遣可能ですが、身体介護(入浴・排泄・移乗)には介護職員初任者研修以上の資格が必要です(介護保険法施行規則)。多くの派遣会社では資格取得支援制度(受講料無料・全額返金等)を提供しており、無料で初任者研修を受けてから本格的に派遣で働くことができます。

Q. 派遣の3年ルールとは何ですか?

労働者派遣法第40条の2により、同一の派遣先の同一組織単位(部署)で働ける期間は最長3年です。3年経過時点で派遣先が直接雇用に切り替えるか、派遣スタッフは別の組織単位や別の派遣先に異動する必要があります。無期雇用派遣の場合はこのルールの対象外です。

Q. 派遣スタッフでも有給休暇は取れますか?

労働基準法第39条により、6か月以上継続勤務して所定労働日の8割以上出勤した派遣スタッフには年10日の有給休暇が付与されます。付与・管理は雇用主である派遣会社が行います。

Q. 派遣で働きながら正社員を目指すには?

(1) 紹介予定派遣を活用して派遣期間中に直接雇用打診を受ける、(2) 派遣先で実績を作り直接雇用オファーを受ける(派遣会社への紹介手数料の支払いが派遣先に発生)、(3) 別途求職活動して転職する、の3ルートがあります。

Q. 派遣でも社会保険に入れますか?

週20時間以上勤務・月収88,000円以上等の要件を満たせば、派遣会社の健康保険・厚生年金に加入できます(健康保険法・厚生年金保険法の2024年10月改正により短時間労働者の適用拡大)。雇用保険・労災保険も適用されます。

参考資料

まとめ

介護派遣は労働者派遣法に基づく三者関係の働き方で、登録型・無期雇用・紹介予定の3形態を選択できます。時給は介護福祉士で1,500〜1,800円が相場と高い反面、賞与・退職金・昇進機会では正社員と差があります。同一労働同一賃金の施行で待遇差は縮小していますが、ライフプランに応じた使い分けが鍵です。派遣会社選びでは、マージン率・専門性・教育訓練・コーディネーターの質を必ず比較しましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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