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📑目次

  1. 01服薬介助とは|服薬管理との違い
  2. 02誤薬を防ぐ「5R」の確認
  3. 03服薬介助の基本手順|準備から記録まで
  4. 04服薬前の姿勢と水分|誤嚥を防ぐ基本
  5. 05剤形別の服薬介助のポイント
  6. 06介護職ができる服薬介助・できない服薬介助|医行為の線引き
  7. 07誤薬を防ぐダブルチェックと一包化・お薬カレンダーの活用
  8. 08服薬拒否・飲み忘れへの実務的な対応
  9. 09よくある質問(FAQ)
  10. 10参考文献・出典
  11. 11まとめ
介護の働き方診断
服薬介助の正しい手順|介護職の5R確認・剤形別の介助・医行為の線引き
介護職向け

服薬介助の正しい手順|介護職の5R確認・剤形別の介助・医行為の線引き

介護職が行う服薬介助の手順を5R確認・姿勢・嚥下確認から剤形別(錠剤・粉薬・OD錠・液剤・貼付剤・坐薬・吸入・点眼)まで解説。一包化内服は可・PTP取り出しの2025年末解禁など医行為の線引きを厚労省3通知で整理。

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この記事のポイント

介護職が行う服薬介助は、医師の処方を受け薬剤師の服薬指導・看護職員の助言を遵守した「一包化された内用薬」の内服介助、軟膏・湿布・点眼・坐薬・吸入の介助が中心です。手順は、5R(正しい利用者・薬・量・時間・方法)の確認、座位で頸部を前屈させた姿勢づくり、コップ1杯(約100ml)の水か白湯、ひと口ずつの嚥下確認、服薬後の口腔内残薬チェックが基本になります。容態が不安定な人や投薬量の調整が必要な場合は介護職が介助できず、看護職員が担います。2025年12月の通知でお薬カレンダーへのセットと服薬直前のPTPシートからの取り出しが医行為でないと整理されました。

📑目次▾
  1. 01服薬介助とは|服薬管理との違い
  2. 02誤薬を防ぐ「5R」の確認
  3. 03服薬介助の基本手順|準備から記録まで
  4. 04服薬前の姿勢と水分|誤嚥を防ぐ基本
  5. 05剤形別の服薬介助のポイント
  6. 06介護職ができる服薬介助・できない服薬介助|医行為の線引き
  7. 07誤薬を防ぐダブルチェックと一包化・お薬カレンダーの活用
  8. 08服薬拒否・飲み忘れへの実務的な対応
  9. 09よくある質問(FAQ)
  10. 10参考文献・出典
  11. 11まとめ

服薬介助は、介護職が毎日のように関わる業務でありながら、「どこまでが自分の役割で、どこからが看護師の領域なのか」「飲み込みが悪い利用者にどう介助すればよいのか」と迷いやすいケアです。誤薬や誤嚥は利用者の命に直結するため、感覚ではなく決まった手順で行うことが安全を左右します。

この記事では、介護職が行う服薬介助の正しい手順を、5R(ファイブ・アール)の確認、服薬前の姿勢と水分、剤形ごとの介助方法、嚥下確認と口腔内の残薬チェック、記録までの流れに沿って整理します。あわせて、介護職ができる範囲とできない範囲(医行為との線引き)を、厚生労働省が出した平成17年・令和4年・令和7年の3つの通知をもとに最新の状態で解説します。とくに2025年12月の通知では、これまで判断に迷いの多かった「お薬カレンダーへのセット」や「服薬直前のPTPシートからの取り出し」が医行為でないと整理されており、現場の運用に影響する重要な変更点も押さえます。

服薬介助とは|服薬管理との違い

服薬介助とは、自分ひとりでは薬を正しく飲めない利用者に対し、処方どおりに服用できるよう手助けするケアです。薬を飲むには、いつ飲むかを理解する、薬を準備する、口に運ぶ、飲み込む、という一連の動作が必要で、このどれか、あるいは全部ができない人を支えるのが服薬介助です。

「服薬管理」と「服薬介助」は別物

混同されやすいのが「服薬管理」と「服薬介助」です。服薬管理は、どの薬をいつ何回飲むかを決めたり、処方内容を見直したりする行為で、これは医師・薬剤師・看護職員が担う領域です。薬の種類や量を決める、処方を変更する、副作用が出ていないかを医学的に評価するといった判断は、介護職が関わることはできません。

一方で服薬介助は、決められた処方どおりに利用者が薬を飲めるよう支える行為です。介護職は医学的な判断には踏み込まず、「正しく飲めるよう手伝う」「飲んだあとの様子を観察して記録する」「気になる変化を看護職員に報告する」という役割を担います。この線引きを理解しておくと、現場で迷ったときに自分が何をしてよいかが明確になります。

介護職の役割は「準備・声かけ・見守り・確認・記録」

介護職が服薬介助で担うのは、おもに次の5つです。

  • 準備:一包化された薬を飲む時間帯に合わせて取り出し、水や白湯を用意する。薬袋の氏名と利用者を照合する
  • 声かけ:処方で決まった時間に「お薬の時間です」と伝え、服用してよい状態かを確認する
  • 見守り・介助:自力で飲めない場合は、了承を得たうえで口に入れるまでを手伝う
  • 確認:確実に飲み込めたか、口の中に薬が残っていないかを確かめる
  • 記録・報告:服薬の有無、利用者の反応、体調の変化を記録し、必要に応じて看護職員へ報告する

誤薬を防ぐ「5R」の確認

服薬介助の安全の土台になるのが、与薬時に確認すべき5つの項目「5R(ファイブ・アール)」です。Rは英語のRight(正しい)の頭文字で、それぞれを指差し・声出しで確認することで、思い込みによる取り違えを防ぎます。

  • Right Patient(正しい利用者):薬袋の氏名と利用者が一致しているか。会話ができる人には名乗ってもらい、難しい場合は居室表示や本人確認できるもので照合します
  • Right Drug(正しい薬):処方された薬で間違いないか。薬の名前・形・色を確認します
  • Right Dose(正しい量):包数・錠数が処方どおりか。一包化されていれば袋の記載を確認します
  • Right Time(正しい時間):食前・食直前・食間・食後・就寝前・起床時など、決められたタイミングか
  • Right Route(正しい方法):内服・舌下・貼付・点眼・坐薬など、薬ごとに決められた使い方か

施設によっては、これに「正しい目的(Right Purpose)」「正しい記録(Right Documentation)」を加えた6R・7Rで運用しているところもあります。いずれの場合も大切なのは、配薬時と利用者に渡す直前の最低2回、指差し声出しで確認する習慣です。とくに利用者が複数いる場面では、別の利用者の薬を渡してしまう誤薬が起きやすいため、氏名の照合は省略せずに行います。実際に、氏名を確認せず別の利用者の降圧薬を渡してしまい、重い低血圧で救急搬送に至った事例も報告されています。

服薬介助の基本手順|準備から記録まで

内服薬(一包化された内用薬)の介助は、次の流れで進めます。これは厚生労働省の「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン」が示す一般的な介助方法に沿ったものです。

1. 実施前の手洗いと物品の準備

実施前に衛生的手洗いを行い、利用者の状況に応じて手袋などの個人防護具を使います。医療職が確認した一包化された内用薬と、コップ1杯程度(約100ml)の水または白湯を用意します。お茶やジュースなど水・白湯以外の飲み物は、薬の効果が適切に発揮されないことがあるため使いません。

2. 本人確認と同意

利用者の名前と薬を照合します(5Rの確認)。会話できる人には名乗ってもらい本人確認をします。そのうえで「お薬を飲みましょう」と内服の介助をすることを説明し、同意を得ます。服用してよい状態か(覚醒しているか、これから食事や処置の予定がないか)も確認します。

3. 姿勢を整える

横向きや仰向けのままでは薬や水を飲み込みにくいため、座った姿勢にするか、ベッドを起こします。あごが上がっていると気管に入りやすく誤嚥の原因になるので、あごを軽く引いた頸部前屈の姿勢をつくります。詳しくは次のセクションで解説します。

4. 口の中を湿らせる

薬を飲む前に、ひと口の水で口の中を湿らせておくと、薬が口腔内やのどに張りつきにくくなり飲みやすくなります。

5. 服薬の介助

自力で飲める人には薬を手渡し、難しい場合は了承を得てから口に入れるまでを介助します。このとき、薬を床やシーツに落とす「落薬(らくやく)」に注意します。複数の薬がある場合も焦らず、ひと口ずつ確実に飲んでもらいます。

6. 嚥下確認と口腔内チェック

飲み込む様子を観察し、確実に飲み込めたかを確認します。可能であれば口を開けてもらい、舌の下やほお袋(口腔前庭)、上あごに薬が残っていないかをチェックします。飲み込んだように見えても口の中に薬が残っていることがあり、後でむせたり、まとめて飲み込んで効きすぎたりする原因になります。

7. 片付け・観察・記録

物品を片付け、服薬の有無・利用者の反応・体調の変化を記録します。服用後にいつもと違う様子(顔色、ふらつき、眠気、皮膚の発疹など)がないかも観察し、気になることがあれば看護職員に報告します。

服薬前の姿勢と水分|誤嚥を防ぐ基本

服薬介助で最も気をつけたいのが誤嚥です。薬や水が気管に入ると、むせるだけでなく誤嚥性肺炎につながることもあります。姿勢と水分の整え方を押さえておきましょう。

座位で頸部を前屈させる

基本は、いすやベッド上でしっかり座った姿勢(座位)です。背すじを起こし、足が床や足台についている状態が安定します。そのうえで、あごを軽く引いて頸部をやや前に倒す「頸部前屈」をつくります。あごが上を向いていると、のどから気管への通り道が開いて誤嚥しやすくなるためです。薬と水を口に含んだら、少し下を向いて飲み込んでもらうよう声をかけます。

起き上がれない人への工夫

座位がとれない利用者では、ベッドの背もたれを30〜60度ほど起こし、首の下に枕を入れてあごを引いた姿勢をつくります。完全に寝たまま飲ませるのは避けます。麻痺がある人は、健側(麻痺のない側)を下にして横向きにし、薬を健側の口角から入れると飲み込みやすくなります。

水分は水か白湯で、量と温度に配慮

薬は原則として水または白湯で飲みます。グレープフルーツジュースは一部の降圧薬や脂質異常症治療薬の効果を強めることがあり、牛乳は一部の薬の吸収に影響することがあるため、決められた飲み物以外は使いません。むせやすい人には、コップから一気に流し込まず、少量ずつ口に運びます。飲み込む力が弱い人には、医師・看護職員・薬剤師に相談したうえで、とろみをつけた水や服薬ゼリーを使うこともあります。

剤形別の服薬介助のポイント

薬は剤形(形)によって介助の仕方が変わります。それぞれの注意点を押さえておきましょう。なお、薬の形を勝手に変える(錠剤をつぶす、カプセルを外すなど)のは効果や吸収に影響するため行わず、必要なときは必ず医師・薬剤師に相談します。

錠剤・カプセル

ひとつずつ舌の上にのせます。小さな薬でも、複数を一度に飲もうとすると誤嚥しやすいため、焦らず1錠ずつ飲んでもらいます。カプセルは水を多めにして、舌の中央にのせると飲み込みやすくなります。割ったりつぶしたりしてよいかは薬によって異なる(徐放性製剤や腸溶錠はつぶせない)ため、自己判断は禁物です。

OD錠(口腔内崩壊錠)

OD錠は唾液や少量の水で口の中ですばやく溶けるよう作られた錠剤で、水なしや少量の水で服用できます。飲み込む力が弱い人にも使いやすい剤形です。溶けるまで口の中に保持してもらい、溶けたあとに少量の水で流し込むと確実です。

粉薬・顆粒剤

量が多かったり苦みが強かったりして飲みにくいことがあります。むせやすい人は、口の中に広がって貼りつくこともあるため、何回かに分けて飲んでもらうとよいでしょう。医師・薬剤師に相談のうえで、オブラートや服薬ゼリーで包む、決められた範囲で少量の水に溶く、といった工夫をします。

液剤(シロップ・分包された液剤)

容器を軽く振って中身を均一にしてから、付属の計量カップやコップ、吸い飲みで少しずつ飲んでもらいます。量が多い場合は数回に分けます。あらかじめ1回分が分包された液剤の内服介助は、令和4年の通知で介護職が行える行為として明記されました。

舌下錠・バッカル錠

舌の下や歯ぐきとほおの間に置き、唾液で溶かして口の粘膜から吸収させる薬です。かみ砕いたり飲み込んだりすると効果が変わるため、溶けるまで飲み込まないよう声をかけます。狭心症の発作時に使うニトログリセリンなどがこのタイプです。

貼付剤(貼り薬・湿布)

専門的な管理が必要ないことを医師・看護職員が確認した皮膚に貼ります。前回貼った場所をはがし、皮膚をきれいにしてから決められた位置に貼り替えます。なお、鎮痛・消炎の湿布の貼付は令和7年の通知で医行為でないと整理されましたが、麻薬や向精神薬を含む貼付剤、ステロイドなど皮膚疾患に用いる外用剤は対象外で、これらは慎重な扱いが必要です。

坐薬(坐剤)

横向きに寝てもらい、坐薬の先端にワセリンなどの潤滑剤を塗って滑りやすくし、指の第二関節が隠れる程度まで肛門に挿入します。挿入後は薬が出てこないよう約10秒間ティッシュで肛門を押さえます。ただし痔があるなど肛門からの出血の可能性がある場合は介助できず、看護職員に依頼します。

吸入薬

吸入薬の吸入介助は令和4年の通知で介護職が行える行為に位置づけられました。器具のセットや、息を吐いてからゆっくり深く吸ってもらう声かけ、吸入後のうがいの促しなどを手伝います。手技が難しい器具もあるため、薬剤師や看護職員から正しい使い方の指導を受けておきます。

点眼薬(目薬)

頭を支えながら下まぶたを軽く引き、結膜(赤い粘膜)が見えたらそこに1滴落とします。容器の先端がまつげや皮膚に触れると雑菌が入るため、触れないように注意します。点眼後はあふれないようにすぐ目を閉じてもらい、流れた液はティッシュで拭き取ります。複数の点眼薬を使う場合は、5分以上あけてから次をさします。

介護職ができる服薬介助・できない服薬介助|医行為の線引き

服薬介助は、条件を満たせば医行為に当たらず介護職が行えます。その根拠となるのが、厚生労働省が出した3つの通知です。内容は段階的に拡充されてきました。

前提となる3条件

介護職が医薬品の使用の介助を行うには、利用者が次の3条件を満たしていることを医師・歯科医師・看護職員が確認し、本人または家族の具体的な依頼があることが前提です。

  • 利用者が入院・入所して治療する必要がなく、容態が安定していること
  • 副作用の危険性や投薬量の調整などのため、医師または看護職員による連続的な経過観察が必要な場合ではないこと
  • 内用薬については誤嚥の可能性など、薬の使い方そのものに専門的な配慮が必要な場合ではないこと

さらに、医師の処方を受け、薬袋などで利用者ごとに区分された医薬品について、薬剤師の服薬指導と看護職員の保健指導・助言を遵守して行うことが条件です。施設で行う場合は、看護職員が配置されていればその指導のもとで実施することが望ましいとされています。

介護職ができる服薬介助(医行為でないと整理されたもの)

行為根拠通知
一包化された内用薬の内服介助(舌下錠を含む)、皮膚への軟膏塗布、湿布の貼付、点眼、坐薬挿入、鼻腔粘膜への薬剤噴霧平成17年通知
水虫・爪白癬の爪への軟膏・外用液の塗布、吸入薬の吸入、分包された液剤の内服介助その2(令和4年)
お薬カレンダーへの一包化薬のセット、服薬直前のPTPシートからの薬剤取り出し、いわゆる湿布の貼付の明確化その3(令和7年)

2025年末の重要な変更点

従来、PTPシート(薬を包んでいる銀色の包装)から薬を取り出す行為や、お薬カレンダーへ薬をセットする行為は、判断に迷いがあり「行わないほうがよい」とされる現場もありました。令和7年12月26日の通知(その3)で、これらが原則として医行為でないと整理されました。ただし、PTPシートをハサミなどで1つずつに切り離さないこと、抗血栓薬のように特に安全管理が必要な薬は医療職の判断・確認を受けることが求められています。

介護職ができないこと

次の行為は医行為に当たり、介護職は行えません。

  • 薬の種類や量を判断・調整すること(増やす・減らす・別の薬に変える)
  • 副作用が出ているか、効いているかを医学的に評価すること
  • 容態が不安定な人、投薬量の調整や連続的な経過観察が必要な人への服薬介助
  • 誤嚥のリスクが高いなど、専門的な配慮が必要な内服の介助
  • 痔があり出血の可能性がある人への坐薬挿入

利用者から「薬を減らしたい」「もう飲みたくない」と言われても、介護職が判断するのではなく、看護職員や医師に伝えて対応を相談します。今回の整理はあくまで医師法などの解釈に関するもので、事故が起きた場合の責任は別途判断されるため、迷ったときは必ず医療職に確認することが大切です。

📖

関連する主な介護用語

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誤薬を防ぐダブルチェックと一包化・お薬カレンダーの活用

正しい手順とあわせて、誤薬を防ぐ仕組みを現場に組み込むことが安全につながります。

ダブルチェックの型を決める

配薬時や利用者に渡す直前に、2人または2回で確認するダブルチェックを習慣にします。「いつ」「だれが」「何を」確認するかをチームで決めておくと、流れ作業による見落としを防げます。確認は黙読ではなく、薬袋の氏名・日付・服用時間を声に出し、指で差しながら行うのが効果的です。1人で行う場合も、配薬時と手渡し直前の2回に分けて確認します。

一包化を活用する

一包化とは、1回に飲む薬を1つの袋にまとめてもらう調剤の工夫です。複数の薬をシートから取り出す手間がなくなり、飲み忘れや取り違えが減ります。一包化は医師の指示と薬剤師の調剤によって行われるもので、介護職や家族が薬を一包化すること自体は医行為に当たります。袋には日付や服用時間を印字してもらうと、誰が見ても確認しやすくなります。

お薬カレンダー・服薬ボックスで「見える化」する

お薬カレンダーや服薬ボックスは、曜日・時間帯ごとに薬を入れておき、飲んだかどうかをひと目で分かるようにする道具です。残っていれば飲み忘れ、なくなっていれば服用済みと判断でき、自立支援にもつながります。前述のとおり、令和7年12月の通知でお薬カレンダーへの一包化薬のセットは医行為でないと整理されたため、看護職員の助言のもとで介護職が準備に関わりやすくなりました。認知症で短期記憶の低下がある人には、テーブルに「お薬は飲みましたか?」と大きく書いて確認を促す方法も有効です。

服薬拒否・飲み忘れへの実務的な対応

服薬を拒否されたとき

認知症などで服薬を拒む場合は、無理強いせず、まず理由を探ります。「飲んだことを忘れている」「薬の必要性が分からず不安」「味やにおいが苦手」など背景はさまざまです。声かけする人を変える、落ち着いた環境で時間を改める、といった工夫で飲めることもあります。拒否が続く場合は自己判断で食事に混ぜたりせず、必ず医師・看護職員に報告し、服薬ゼリーの使用や剤形の変更などを相談します。

飲んだかどうか分からないとき

口の中に薬が残っていないかを確認し、お薬カレンダーや服薬記録で照合します。重複して飲ませると効きすぎる危険があるため、判断に迷うときは「飲ませる」前に看護職員へ確認します。とくに血糖を下げる薬や血圧の薬、血液をサラサラにする薬は、重複や飲み忘れの影響が大きいので注意します。

飲み合わせ・食べ合わせに注意する

薬には特定の食品と一緒にとると効果が変わるものがあります。たとえば血液を固まりにくくするワルファリンは納豆やクロレラと、一部の脂質異常症治療薬や降圧薬はグレープフルーツと相性が悪いことが知られています。薬剤情報提供書(薬の説明書)に飲み合わせや副作用が記載されているので、服薬介助の前に目を通しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護職はPTPシートから薬を取り出してもよいですか?

令和7年12月26日の厚生労働省通知(その3)で、服薬の直前にPTPシートから薬剤を取り出すことは、原則として医行為でないと整理されました。ただしPTPシートをハサミなどで1つずつに切り離さないこと、抗血栓薬など特に安全管理が必要な薬は医療職の判断・確認を受けることが条件です。施設の方針も確認しましょう。

Q. 錠剤が大きくて飲みにくい利用者がいます。つぶしてもよいですか?

介護職の自己判断でつぶすのは避けてください。徐放性製剤や腸溶錠など、つぶすと効果や安全性が変わる薬があります。飲みにくさがあるときは、医師・薬剤師に相談し、粉砕の可否やOD錠・液剤への変更、服薬ゼリーの使用などを検討してもらいます。

Q. 利用者が薬を飲んだか分からなくなりました。もう一度飲ませてよいですか?

重複服用は効きすぎの危険があります。まず口の中の残薬とお薬カレンダー・記録を確認し、それでも判断できないときは飲ませる前に看護職員へ相談してください。

Q. 坐薬の挿入は介護職が行ってよいのですか?

条件を満たせば原則として医行為に当たらず、介護職が介助できます。ただし痔があるなど肛門からの出血の可能性がある場合は介助できず、看護職員に依頼します。

Q. 服薬を拒否されたら無理にでも飲ませるべきですか?

無理強いはしません。理由を探り、声かけする人や時間帯を変えるなどの工夫をします。自己判断で食事に混ぜず、拒否が続く場合は医師・看護職員に報告して対応を相談します。

参考文献・出典

  • [1]
    医師法第17条等の解釈について(その3)(医政発1226第12号 令和7年12月26日)- 厚生労働省

    お薬カレンダーへの一包化薬のセット・服薬直前のPTPシートからの取り出し・湿布の貼付を医行為でないと整理した最新通知

  • [2]
    原則として医行為ではない行為について- 厚生労働省

    医行為でない行為に関する通知とガイドライン(一包化内用薬の内服・軟膏・湿布・坐薬・点眼等の介助手順)

  • [3]
    医師法第17条等の解釈について(その2)(医政発1201第4号 令和4年12月1日)- 厚生労働省

    水虫・爪白癬への軟膏外用液塗布・吸入薬の吸入・分包された液剤の内服を医行為でない行為に追加

  • [4]
    医師法第17条等の解釈について(通知)(医政発第726005号 平成17年7月26日)- 厚生労働省

    一包化内用薬・軟膏・湿布・点眼・坐薬・鼻腔噴霧の介助を含む、医行為でない行為と3条件を示した基本通知

まとめ

介護職が行う服薬介助は、感覚で進めるのではなく、決まった手順を守ることが安全の鍵です。5Rの確認で誤薬を防ぎ、座位と頸部前屈の姿勢・水か白湯・ひと口ずつの嚥下確認・服薬後の口腔内チェックで誤嚥を防ぎます。剤形ごとに介助方法が違うため、錠剤・OD錠・粉薬・液剤・舌下錠・貼付剤・坐薬・吸入薬・点眼薬それぞれのポイントを押さえておきましょう。

医行為との線引きは、平成17年・令和4年・令和7年の3つの厚生労働省通知で段階的に整理されてきました。一包化された内用薬の内服介助や軟膏・湿布・点眼・坐薬・吸入の介助は条件を満たせば介護職が行え、2025年末にはお薬カレンダーへのセットや服薬直前のPTPシートからの取り出しも医行為でないと整理されました。一方で、薬の量や種類の判断、容態が不安定な人への介助はできません。迷ったときは自己判断せず、看護職員や薬剤師に相談・報告し、チームで利用者の安全を守ることが、介護職に求められる役割です。

医療・健康情報に関する免責事項

本記事は、介護現場で働く方および介護職への転職を検討される方に向けた一般的な情報提供を目的としており、 個別の症状に対する医学的な診断・治療を行うものではありません。

ご本人・ご家族の症状やケア方法について判断が必要な場合は、必ず医師・看護師・薬剤師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士等の有資格者にご相談ください。 介護保険サービスの利用判断についてはケアマネジャー、行政手続きについては各市区町村の窓口にお問い合わせください。

掲載情報は公開時点の各種公的資料・業界資料に基づき作成していますが、最新の制度・診療ガイドライン等と異なる場合があります。

公開日: 2026年6月28日最終更新: 2026年6月28日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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