
介護職の引き継ぎ業務の進め方|申し送り・退職時引き継ぎを事故ゼロで終える実務ガイド
介護職の引き継ぎ業務を、日常の申し送り(朝礼・夜勤交代)と退職時の引き継ぎ(マニュアル・ケアマネ移管)に分けて、厚労省ガイドラインと法的義務(民法627条)を踏まえ実務ベースで解説。ICT・電子記録の効率化、引き継ぎ漏れによる事故防止策まで網羅。
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この記事のポイント
介護職の引き継ぎ業務は、シフト交代時に共有する「日常の申し送り」と、退職・異動時に行う「業務引き継ぎ」の2種類に分かれます。日常の申し送りは利用者の状態変化や当日の予定を5W1Hで簡潔に伝え、退職時の引き継ぎは1か月以上前から業務マニュアル化を始め、後任者と同行する「実地すり合わせ」までを完了させるのが原則です。民法627条により退職の意思表示から2週間で雇用契約は終了しますが、雇用契約上の信義則として引き継ぎ義務があり、不十分な場合は損害賠償請求のリスクもあります。
目次
介護現場で「引き継ぎ」と一言で言っても、その実態は2つに分かれます。1つは毎日のシフト交代時に行う日常の申し送り。もう1つは、退職や異動・配置換えのときに、自分の担当業務を後任者へ移譲する業務引き継ぎです。
この2つは「情報を渡す」という点では似ていますが、目的・期間・必要な準備物が大きく違います。日常の申し送りで身につけた「伝える技術」がそのまま退職時に通用するわけではなく、退職時には文書化されたマニュアルと、後任者と現場で同行する時間の確保が不可欠です。
本記事では、(1)日常の申し送り(朝礼・夕方・夜勤交代)の進め方、(2)退職時の引き継ぎ手順とマニュアル化、(3)ケアマネへのケース引き継ぎ、(4)引き継ぎ漏れが招くリスク、(5)ICT・電子記録での効率化、(6)退職時の引き継ぎ義務に関する法的責任、を順に解説します。厚生労働省「介護サービス事業における生産性向上ガイドライン」や民法・労働法の判例も交えて、現場で再現できる形に落とし込みます。
申し送りと引き継ぎの違い|目的・期間・準備物で整理する
「申し送り」と「引き継ぎ」は混同されがちですが、業務上の位置づけは明確に異なります。両者の違いを整理しておくと、現場で「どこまで伝えるべきか」の判断に迷わなくなります。
申し送りは「事実の共有」、引き継ぎは「業務の移譲」
申し送りは、シフト交代時にその日の利用者の状態や出来事を次の担当者へ伝える、一時的かつ反復的な情報共有です。「○○様、昼食中にむせ込みあり」「△△様、家族の面会あり」のように、起きた事実と注意点を伝えます。
一方、引き継ぎは前任者が退職・異動する際に、業務そのものを後任者に移譲する行為です。担当業務の全体像、判断基準、関係者の特徴、進行中の案件、過去の経緯まで含めて、後任が一人で業務を回せる状態にする必要があります。
期間と準備物の違い
日常の申し送りは1日あたり数分〜15分程度で、口頭・ノート・電子記録のいずれかで完結します。退職時の引き継ぎは、業務量によりますが最低2〜4週間、ケアマネジャーや管理職なら1〜3か月かかり、マニュアル・利用者プロフィール・後任との同行スケジュールなど準備物も多くなります。
判断のポイント
ある情報を伝えるとき、「次の勤務帯までの行動に影響するか」を基準にすると分かりやすくなります。次の勤務までに対応が必要な事実は申し送り、業務手順や判断基準そのものを伝えるなら引き継ぎ、と分けて考えるとよいでしょう。
日常の申し送りの進め方|朝礼・夕方・夜勤交代時の3パターン
日常の申し送りは、施設形態によりますが、主に以下のタイミングで行われます。それぞれ目的と進め方が異なります。
朝礼(始業時の申し送り)
夜勤者から日勤者へ夜間の状況を引き継ぐ場面です。8〜15分程度で、フロア全員が共通認識を持てるよう全体に向けて行います。伝えるべき内容は、(1)夜間の体調変化や夜勤中に起きた事故・ヒヤリハット、(2)新規入所者の入眠状況や排泄、(3)朝の予定(入浴介助の対象者、外出予定、医師往診)、(4)家族からの夜間連絡事項、です。
夜勤者は寝不足で集中力が落ちている前提で、伝える側がメモやチェックリストを使うとミスが減ります。受ける側は復唱して認識を揃えるのが基本です。
夕方・夜勤交代時の申し送り
日勤から夜勤への申し送りは、夜間の事故予防に直結する最重要シーンです。特に伝えるべきは、(1)発熱・嘔吐・転倒など本日の急変、(2)夜間に経過観察が必要な利用者、(3)眠剤の使用変更や時間調整、(4)夜間トイレ介助の頻度や留意点、(5)翌朝の起床時間や予定です。
夜勤者は最少人数で対応するため、「誰が、いつ、どこで、何をしなければならないか」を明確に絞り、優先順位を伝えることが大切です。
カンファレンス・ケース会議
申し送りと別に、月1〜2回のケアプラン見直しカンファレンスで、長期的な状態変化やケア方針を多職種(看護・PT/OT・ケアマネ)と共有します。ここでの判断は、その後の日常申し送りに反映されます。
場面共通の伝え方ルール
- 結論ファースト:「○○様の今夜の見守り強化が必要です。理由は〜」と先に結論を述べる
- 5W1Hの順:いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうしたかの順で並べると抜けがない
- 事実と解釈を分ける:「ぐったりしている(解釈)」ではなく「呼びかけに反応せず、瞼を開けない(事実)」
- 数値を入れる:「熱が高い」ではなく「体温38.2℃、平熱より1.5℃高い」
退職時の引き継ぎ手順|退職1か月前から退職日までの5ステップ
退職を決めたら、最初に行うべきは「退職日からの逆算スケジュール」を組むことです。マイナビ転職など労務系メディアでも標準とされる手順を、介護現場の業務特性に合わせて整理しました。
退職1か月以上前:意思表示と後任者の確認
就業規則上の退職申し出期限(多くは1か月前)に従い、まず直属の上司に口頭で退職意向を伝えます。同時に「いつまでに引き継ぎを完了させるか」「後任者は誰か」「後任が決まらない場合はどう代替するか」を確認します。後任不在のまま退職するケースも多いので、現任職員の誰に何を託すかも併せて相談しましょう。
退職3週間前:担当業務の棚卸し
自分の担当している業務を「日次・週次・月次・不定期」の4軸で書き出します。介護職の場合、日次(バイタル測定・記録)、週次(入浴介助シフト・ケース記録)、月次(モニタリング・ケアプラン振り返り)、不定期(事故対応・家族対応・受診同行)が典型です。
棚卸しの段階で、「担当利用者の特性」「夜勤時の留意点」「家族との関係性」など、自分しか知らない属人的情報をリストアップします。これが引き継ぎマニュアルの土台になります。
退職2週間前:マニュアル作成と利用者プロフィール整理
業務マニュアルは「誰が読んでも同じ業務ができる」ことを目指します。手順だけでなく「判断基準」(例:A様の眠剤は何時までに服用させるか、不穏時の声かけ手順)を明記するのが重要です。
利用者プロフィールは、ケース記録に書かれない非公式情報(好み・嫌い・家族関係の機微・コミュニケーションのコツ)を補足する形でまとめます。
退職1週間前:後任との同行・実地すり合わせ
マニュアルを渡すだけでは不十分です。後任者と最低1〜2シフト同行し、実際に業務をやってもらいながら疑問点を解消します。同行できない場合は、口頭での質疑時間を最低でも3〜5時間確保しましょう。
退職日:上司への完了報告
引き継ぎ完了を上司に正式報告し、必要に応じて引き継ぎ完了報告書を提出します。返却物(制服・名札・鍵・ICカード・社用スマホ)と、受領物(退職証明書・離職票・源泉徴収票の発行時期確認)の処理も同日に。
ケアマネへのケース引き継ぎ|居宅・施設ケアマネで異なる進め方
介護現場のケアマネジャー(介護支援専門員)が退職する場合、または担当外の事業所へケースが移管される場合は、利用者ごとに「ケース引き継ぎ」が必要です。これは介護職員の業務引き継ぎとは別軸の作業で、利用者・家族・他事業所の三者に影響します。
居宅ケアマネの場合
居宅介護支援事業所のケアマネが退職する場合、担当利用者を社内の別のケアマネへ移管するのが第一選択です。社内で受け持てない件数を超えた利用者については、他社の居宅介護支援事業所へ依頼します。マイナビ介護職「介護のみらいラボ」のケアマネ実務者も、社内移管と他社依頼の2段構えで対応した経験を公開しています。
移管時に必須なのは、(1)ケアプラン原本と直近3か月分のサービス担当者会議録、(2)モニタリング記録、(3)アセスメントシート、(4)サービス事業所一覧(連絡先・契約状況・関係性)、(5)家族関係の機微情報、です。
施設ケアマネ・計画作成担当者の場合
施設ケアマネ(特養・老健・特定施設)の場合、施設内で完結する引き継ぎになります。施設長・看護リーダー・現場リーダーと同席で、フロアごとに利用者の状態・キーパーソン・直近の家族との合意事項を共有します。
家族への通知と利用者面談
担当変更は利用者本人と家族にも事前通知するのが原則です。法令上の明文義務はありませんが、信頼関係の維持と、急変時の連絡を確実にする観点から、可能であれば後任ケアマネとの三者面談を1回設定するのが望ましいでしょう。
サービス事業所への引き継ぎ通知
ケアプランデータ連携システム(厚労省・国保中央会が運用)を使っている事業所なら、データ上の担当変更でほぼ完了しますが、紙ベースの事業所がまだ多数のため、ファックスや訪問で担当変更の通知文書を送ります。サービス担当者会議を1回臨時開催して、新ケアマネが顔合わせするのが理想です。
引き継ぎ漏れが招くリスク|事故・訴訟・現場の混乱の典型4類型
引き継ぎが不十分なまま退職・異動が行われた場合、現場で何が起きるのか。厚生労働省「介護サービス事業における生産性向上ガイドライン」では、「申し送り事項が決められておらず、人によって異なる引継ぎを行っているために時間がかかっている」という課題を、生産性低下の典型例として挙げています。引き継ぎ漏れは時間ロスだけでなく、利用者の生命に関わる事故にも直結します。
類型1:服薬・処置の引き継ぎ漏れ
もっとも頻発するのが「内服薬の変更が共有されず、前の用量で投与してしまう」ケースです。利用者が複数の医療機関にかかっている場合、家族からの服薬変更連絡が申し送りに反映されないと、薬の重複投与や飲み忘れが発生します。事故事例の多くは、口頭のみの申し送りで記録に残らなかったことが共通要因です。
類型2:転倒リスク・ADL変化の見落とし
「最近よく転びそうになる」「立ち上がりに介助が必要になった」といったADL変化が引き継がれず、夜間トイレ介助で転倒事故に至るケースは少なくありません。短期的な状態変化の伝達遅れが、骨折・寝たきり化につながります。
類型3:家族との合意事項の引き継ぎ漏れ
「胃ろうを使わない」「延命処置を希望しない」などの意思決定支援(ACP)の合意事項が申し送り・引き継ぎから抜けると、急変時に家族の意思に反した処置を行ってしまうリスクがあります。これは訴訟リスクにも直結します。
類型4:退職時に進行中の案件が止まる
受診同行の予定、家族とのケアプラン見直し面談、ショートステイの予約調整など、進行中の案件が引き継がれないと、後任者が把握する頃には期限を過ぎていたり、家族の信頼を失っていたりします。
リスク低減の基本原則
厚労省ガイドラインは、(1)申し送り事項の標準化、(2)記録様式の電子化と一元化、(3)インカム等のリアルタイム情報共有ツールの活用、を推奨しています。重要情報は「口頭+記録」で必ず二重化し、確認した後任者がチェックを入れる仕組みが事故防止に最も効きます。
ICT・電子記録で引き継ぎを効率化|厚労省推奨ツールと補助金活用
厚生労働省は「介護分野におけるICTの導入・普及」を生産性向上の柱と位置づけ、介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金、補助率最大3/4)でクラウド介護記録ソフト・タブレット・インカム等の導入を支援しています。引き継ぎ業務の効率化に直結するツールを整理します。
クラウド型介護記録ソフト・タブレット入力
愛知労働局の事例(働き方改革応援レシピNo.94)では、クラウド型介護記録システムをタブレットで運用したところ、「記録作成業務・引継ぎに要する時間が短縮され、残業時間が削減」され、36協定の上限引き下げまで実現しています。チェックリスト形式により、ケア漏れの防止と利用者満足度向上も同時に達成しました。
ベッドサイドでスマホ・タブレットに直接入力することで、事務所に戻って転記する手間がなくなり、申し送りのタイミングでリアルタイム閲覧ができるのが最大の効果です。
インカム(業務無線)によるリアルタイム共有
厚労省「介護テクノロジー等による生産性向上の取組に関する調査」によれば、インカム導入施設では「夜勤帯や医療処置における看護・介護間の対応が迅速化」「ショートステイ送迎時の申し送り時間が短縮」「認知症利用者への見守りが強化」などの効果が報告されています。フロア・部署別にチャンネル設定し、職種間の混線を防ぐ運用が標準です。
ナースコール連動型自動記録
ナースコール対応時刻と対応職員、対応内容を自動で記録に転記するシステムも普及しています。手書きの申し送りノートが不要になり、夜勤者の負担が大幅に軽減します。
音声入力・AI記録
令和7年以降は、AI音声入力で記録を生成し、多言語変換・文章校正までこなすタブレットも実装されています。海外人材を含むチームでの記録共有が円滑になり、申し送りの言語バリアも下がります。
ケアプランデータ連携システム
居宅介護支援事業所と訪問介護・通所介護等の事業所間で、ケアプラン・サービス利用票をCSV連携できる仕組み。担当ケアマネが変わるときの引き継ぎも、データ移行ベースで行えるようになっています(国保中央会運用)。
導入のハードルと現実解
機器導入はコストと職員のITリテラシーが課題ですが、補助金(介護テクノロジー導入支援事業)を活用すれば自己負担は1/5〜1/4まで圧縮できます。まずは申し送り標準化(チェックリスト化)から始め、ICTは段階導入するのが現実的です。
退職時の引き継ぎ義務の法的範囲|民法627条と引き継ぎ義務違反の判例
退職時の引き継ぎに「義務」はあるのか。これは介護職員からよく寄せられる質問ですが、答えは「明文の義務はないが、雇用契約上の信義則として一定の引き継ぎ義務がある」というのが法律実務の通説です。具体的に押さえるべきポイントを整理します。
民法627条1項:退職の自由と2週間ルール
期間の定めのない雇用契約(正社員)の場合、労働者は退職の意思表示から2週間が経過すれば、使用者の承諾なく雇用契約を終了できます(民法627条1項)。憲法22条1項の職業選択の自由も背景にあり、会社が退職そのものを阻止することはできません。
就業規則の「1か月前申し出」との関係
多くの事業所では就業規則で「退職は1か月前までに申し出る」と定めていますが、これは民法627条を超えて労働者を拘束することはできない、と複数の判例(高野メリヤス事件など)で示されています。ただし円満退職を望むなら就業規則のルールに沿うのが望ましく、合意退職の場合は就業規則が優先されます。
引き継ぎ義務の根拠
引き継ぎを直接義務付ける法律はありませんが、雇用契約に付随する信義誠実の原則(民法1条2項)に基づき、退職時の合理的な範囲での引き継ぎ義務があると解されています。引き継ぎを行わずに退職して会社に損害を与えた場合、損害賠償請求が認められた判例(ケイズインターナショナル事件、東京地判平4.9.30)もあります。
退職金の不支給規定
「退職日前2週間に引き継ぎを行わなかった場合は退職金を不支給とする」旨の退職金支給規程が有効とされた判例(大宝タクシー事件)もあります。退職金規程を確認し、引き継ぎを意図的に拒否することは避けるのが賢明です。
有給休暇消化との両立
「退職日まで有給を消化したい」場合、会社は時季変更権の行使ができますが、退職日後への変更はできません。引き継ぎ期間と有給消化を両立させるには、退職意思表示を1〜2か月前に行い、引き継ぎを退職日の2週間前までに終わらせて、残期間に有給消化するスケジュールが現実的です。
介護職員として現実的に守るべきライン
法的な厳密論はさておき、利用者の安全と後任者・残された職員への配慮を考えると、(1)就業規則の申し出期限を守る、(2)担当業務の引き継ぎ資料を最低限作成する、(3)後任者との同行を1シフトは確保する、の3点が現実的に守るべきラインです。これらを満たしていれば、損害賠償リスクはほぼゼロになります。
引き継ぎ業務のよくある質問(FAQ)
引き継ぎ業務をめぐる現場の疑問・悩みを、法令と公的データに照らして整理します。
Q. 後任者が決まらないまま退職日が来てしまったら?
後任不在のまま退職する事例は介護業界では珍しくありません。この場合、(1)現任職員のなかで業務分担を決めてもらえるよう上司と相談、(2)引き継ぎマニュアルとケースファイルを文書化して残す、(3)緊急時の問い合わせ用に1〜2か月程度メールでサポートする旨を提案、で対応します。法的には引き継ぎ義務は「合理的な範囲」なので、後任が決まらないこと自体は労働者の責任ではありません。
Q. 申し送りで先輩から「報告が下手」と言われ落ち込みます
多くの場合、原因は順序の組み立て方にあります。「結論ファースト→5W1H→事実と解釈の分離」の3点を意識し、伝える前に箇条書きのメモを作る習慣をつければ、3か月程度で安定します。先輩からのフィードバックは、5W1Hのどこが抜けたかを具体的に聞き、その箇所を補強しましょう。
Q. 退職時、有給を全部使い切りたい。引き継ぎはどうなる?
有給休暇取得は労働者の権利ですが、引き継ぎとの両立を考えると、退職意思表示を退職日の1.5〜2か月前に行い、引き継ぎ期間を確保したうえで残期間に有給消化するのが現実的です。会社が時季変更権を行使する可能性もあるため、早めの相談がトラブル回避の鍵です。
Q. 引き継ぎを拒否したら損害賠償される?
引き継ぎを完全に拒否し、それによって会社に具体的な損害(顧客喪失・契約解除など)が発生した場合は、損害賠償請求が認められる可能性があります(ケイズインターナショナル事件など)。ただし、最低限の引き継ぎ資料を作成・提出していれば、損害賠償が認められた事例はほぼありません。
Q. ICT記録ソフトを使いこなせない先輩がいて、申し送りが二重管理になっています
厚労省ガイドラインも「移行期は紙とデジタルが併存しがち」と指摘しています。施設内でルールを統一する必要があり、まずは管理者・リーダーに「紙→デジタル」の移行スケジュールと教育計画を提案するのがよいでしょう。導入研修は介護テクノロジー導入支援事業の補助対象です。
Q. ケアマネが退職するとき、利用者には何と伝えるのが正解?
担当変更の事実、新担当者の氏名、引き継ぎ済みであること、緊急時の連絡先(新担当の事業所)の4点をシンプルに伝えます。退職理由は深く話さず、「新しい挑戦」「家庭事情」など中立的に。可能なら新担当ケアマネと一緒に最終訪問を1回行い、顔合わせまで済ませると安心感が大きく違います。
参考文献・出典
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まとめ|申し送りと退職時引き継ぎを「事故ゼロ」で終えるために
介護職の引き継ぎは、利用者の安全と現場の信頼関係を守るための「最後の責任」です。日常の申し送りでは結論ファースト+5W1H+事実と解釈の分離を意識し、退職時は逆算スケジュールで業務マニュアルと後任者同行までを完了させる。これだけで、引き継ぎ漏れによる事故も、退職時のトラブルもほとんど防げます。
厚生労働省は申し送り標準化・ICT記録・インカム活用を生産性向上の柱に据え、導入補助金まで用意しています。法的には民法627条で退職の自由が保障されており、引き継ぎ義務は「合理的な範囲」にとどまります。最低限の引き継ぎ資料を作り、後任との同行を1シフトでも確保すれば、損害賠償リスクはほぼゼロです。
引き継ぎは「次の担当者のため」だけでなく、「自分が積み上げてきた仕事を可視化する」プロセスでもあります。退職や異動を控えている方は、まず担当業務の棚卸しから始めてみてください。次の職場でも必ず活きる、汎用的なスキルが磨かれます。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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