高齢者の動悸・脈の乱れ|原因と家庭での対応・受診の目安は何科
ご家族・ご利用者向け

高齢者の動悸・脈の乱れ|原因と家庭での対応・受診の目安は何科

高齢者の動悸・脈の乱れの主な原因(心房細動などの不整脈・貧血・脱水・甲状腺・薬剤)と、家庭でできる脈の測り方、救急を呼ぶ危険サイン、何科を受診すべきか(循環器内科)を、公的機関の情報をもとに家族向けにまとめました。

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高齢者の動悸(心臓の拍動を強く・速く・不規則に感じること)や脈の乱れの背景には、加齢で増える心房細動などの不整脈のほか、貧血・脱水・甲状腺機能の異常・薬の影響・カフェインやストレスなどがあります。なかでも心房細動は脳梗塞の原因になるため見逃しは禁物です。胸の痛み・失神・強い息切れ・意識が遠のくときは救急(119番)。それ以外で動悸や脈の乱れが繰り返す・続くときは、まず循環器内科(迷えばかかりつけ内科)に相談します。家庭では手首で1分間、脈の速さと規則性を測って記録しておくと診断の助けになります。

目次

年齢を重ねると、「胸がドキドキする」「脈がとんだ気がする」「脈がバラバラに打つ」といった動悸や脈の乱れを感じる機会が増えてきます。多くは一時的なもので心配いりませんが、なかには放っておくと脳梗塞や心不全につながる不整脈が隠れていることもあります。とくに高齢のご本人は症状をはっきり訴えなかったり、「歳のせい」と見過ごしたりしがちで、ご家族が脈の変化に気づくことが早期発見の入り口になります。

このページでは、ご家族や介護をされている方に向けて、高齢者の動悸・脈の乱れの主な原因、家庭でできる脈の測り方、動悸が起きたときの対処、すぐ救急を呼ぶべき危険サイン、そして「何科を受診すればよいのか」を、公的機関が公表している情報をもとに整理しました。診断や治療の判断は医療機関で行うものですが、家庭での観察と適切な受診のタイミングを知っておくことが、ご本人の健康寿命を守ることにつながります。難しい医学用語はできるだけかみくだいて説明しますので、いざというときの備えとして読んでおいてください。

そもそも「動悸」「脈の乱れ」とは

動悸とは、ふだんは意識しない心臓の拍動を、「強く」「速く」「不規則に」感じる状態のことです。「ドキドキする」「心臓が飛び出しそう」「ドクンと一拍大きく打つ」「脈がとんで抜ける」など、感じ方はさまざまです。

正常な脈拍と「乱れ」の目安

安静にしているときの脈拍(心拍数)は、一般に1分間に60〜100回程度が目安です。これより極端に速い(頻脈)、遅い(徐脈)、あるいはリズムがバラバラになる状態を「脈の乱れ(不整脈)」と呼びます。健康な人でも、運動・緊張・発熱などで一時的に脈は速くなりますし、加齢とともに脈がとぶ「期外収縮」は誰にでも少しずつ増えていきます。

「心配のいらない動悸」と「注意したい動悸」

緊張・運動・カフェインのあとなどに起こり、安静で自然に治まる規則的な動悸は、多くの場合心配いりません。一方で、安静にしていても繰り返す、長く続く、脈がまったく不規則、めまい・息切れ・胸痛などをともなう動悸は、心臓やほかの病気が背景にあるサインのことがあります。とくに高齢者では、症状が軽くても重い病気が隠れていることがあるため、自己判断で「歳のせい」と片づけないことが大切です。

高齢者の動悸・脈の乱れに多い原因

高齢者の動悸・脈の乱れは、心臓そのものの問題と、心臓以外の体の状態の両方から起こります。主な原因を整理します。

心臓が原因のもの

  • 心房細動などの不整脈:加齢とともに増える代表的な不整脈。脈がまったく不規則に、速く打ちます。脳梗塞の原因になるため特に重要です(後述)。
  • 期外収縮:脈が一瞬とぶ・つまずく感じ。多くは経過観察で問題ありませんが、数が多い場合は検査が必要なこともあります。
  • 心不全:心臓のポンプ機能が低下した状態。動悸に加え、息切れ・むくみ・体重増加をともないます。高齢者では症状がはっきり出にくく、風邪などをきっかけに急に悪化することがあります。
  • 狭心症・心筋梗塞:胸の痛みや圧迫感をともなう動悸は、命に関わる病気のサインのことがあります。

心臓以外が原因のもの

  • 貧血:血液が酸素を十分運べず、心臓が速く打って補おうとします。
  • 脱水:高齢者は体内の水分量が少なく脱水になりやすく、血液量が減って脈が速くなったり不整脈が誘発されたりします。
  • 甲状腺機能の異常:甲状腺ホルモンが過剰になると(甲状腺機能亢進症など)、動悸・体重減少・発汗が起こります。高齢者では症状が乏しく見逃されやすいとされます。
  • 薬の影響・低血糖:一部の薬の副作用や、糖尿病治療中の低血糖でも動悸が起こります。
  • ストレス・睡眠不足・カフェイン・アルコール:自律神経の乱れや刺激物でも動悸は起こりやすくなります。

このように原因は多岐にわたるため、医療機関では心電図に加えて、貧血・血糖・甲状腺・心臓の超音波などを横断的に調べます。家庭で原因を特定しようとせず、「気づいて記録し、適切な科につなぐ」ことが家族の役割です。

見逃せない心房細動と脳梗塞のリスク

高齢者の脈の乱れで最も注意したいのが心房細動です。心臓の上の部屋(心房)が細かく不規則に震え、脈がバラバラに打つ不整脈で、加齢とともに増えます。国立循環器病研究センターによると、70歳を超えると病気の有無に関係なく数〜10%の人にみられるとされ、国立長寿医療研究センターは国内に100万人以上の患者がいると推定しています。心房細動には、ときどき出ては治まる「発作性」と、ずっと続く「持続性(慢性)」があり、はじめは発作性でも、くり返すうちに持続性へ移行していくことがあります。

なぜ脳梗塞につながるのか

心房が十分に収縮できないと、心房内(とくに左心耳という部分)で血液がよどみ、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が血流に乗って脳の血管に詰まると、心原性脳塞栓症という重い脳梗塞を引き起こします。国立長寿医療研究センターは、この脳梗塞を発症した人の約3分の1が死亡、約3分の1が寝たきりへ移行すると報告される、予後の重い病気だと説明しています。心房細動による脳梗塞は、太い血管が詰まって広い範囲に障害が及びやすく、大きなまひを残しやすいのが特徴です。とくに75歳以上、高血圧、糖尿病、心不全、過去の脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)がある人ほどリスクが高まります。

「無症状」が怖い

心房細動の約半数は自覚症状がない、または症状が軽いとされます。ご本人が気づかないまま放置され、ある日突然、重い脳梗塞を起こすことが大きな問題です。だからこそ、家族が脈の不規則さに気づくこと、健診で指摘されたら症状がなくても受診することが重要になります。日本不整脈心電学会と日本脳卒中協会は毎年3月に「心房細動週間」を設け、自分で脈を測る検脈による早期発見を呼びかけています。

適切な治療でリスクは下げられる

心房細動と診断されても、脳梗塞を予防する抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)などの治療で、リスクを大きく下げられます。症状が強い場合や条件が合えば、不整脈の発生源を抑えるカテーテル治療が選ばれることもあります。また、甲状腺の異常や心臓の弁の病気など、原因がはっきりしている場合は、その治療を優先することで心房細動が改善することもあります。いずれにしても見極めは専門の検査が必要で、自己判断で放置しないことが何より大切です。

家庭でできる脈の測り方(検脈)

脈の速さとリズムは、特別な機械がなくても家庭で測れます。これを「検脈(けんみゃく)」といい、日本不整脈心電学会や日本心臓財団も心房細動の早期発見法としてすすめています。ご本人が落ち着いて座っているときに、ご家族が一緒に測ってあげるとよいでしょう。朝起きたときや就寝前など、毎日決まったタイミングで習慣にすると、変化に気づきやすくなります。

手首での測り方(基本)

  1. 片方の手首の内側、親指側のしわのあたりに、反対の手の人差し指・中指・薬指の3本をそっと当てます(親指は脈を感じやすいため使いません)。
  2. トクントクンと打つ脈を指先で感じます。強く押さえすぎず、軽く触れるのがコツです。
  3. 1分間、脈の回数を数えます(正確を期すため、15秒数えて4倍する簡易法ではなく、できれば1分間そのまま測ります。脈が乱れているときは簡易法だと誤差が出やすいためです)。
  4. 同時に、脈の間隔が規則的か、バラバラかを確かめます。

確認するポイント

  • 速さ:安静時の目安は1分間に60〜100回。100回を大きく超える、または極端に遅い場合は注意。
  • 規則性:規則正しく打つか、まったく不規則か。バラバラに打つときは心房細動の可能性があります。
  • 脈のとび:ときどき一拍抜ける・つまずく感じがあるか。
  • 強さのムラ:強く打つ拍と弱い拍が入りまじっていないか。

うまく脈が触れないときは、首すじ(のどぼとけの少し外側)でも測れますが、高齢者では強く押すと血圧が下がることがあるため、軽く触れる程度にとどめ、左右同時には押さえないようにします。

記録しておくと受診で役立つこと

動悸や脈の乱れがあったときは、(1)起きた日時と状況(安静時か動いたあとか)、(2)続いた時間、(3)脈拍数、(4)規則的かバラバラか、(5)めまい・息切れ・胸痛などの有無、をメモしておきます。手帳でもスマートフォンのメモでもかまいません。家庭用血圧計に脈の不規則を知らせる「心房細動サイン」表示が付いた機種もあり、参考になります。ただし機器の表示はあくまで目安で、診断は医療機関の心電図で行われます。気になる結果が出たら、その記録を持って受診の材料にしてください。

すぐ救急を呼ぶべき危険サイン

動悸・脈の乱れに次のような症状をともなうときは、命に関わる病気(重い不整脈・心筋梗塞・心不全など)の可能性があります。様子を見ずに、ためらわず119番(救急)を呼んでください。

  • 胸の強い痛み・圧迫感が続く
  • 意識が遠のく、失神した、倒れた
  • 強い息切れ・呼吸が苦しい(横になると苦しく、座ると楽になる)
  • 突然始まった強い動悸が止まらない、脈が非常に速いまま続く
  • 冷や汗・吐き気をともなう
  • ろれつが回らない、顔や手足の片側がしびれる・動かしにくい(脳梗塞のサイン)

とくに高齢者は、心筋梗塞でも痛みがはっきり出ない「無痛性」のことがあり、「なんとなく元気がない」「急に動けなくなった」だけのこともあります。いつもと様子が違うと感じたら、迷ったときも救急相談(#7119などの救急安心センター事業が利用できる地域があります)に電話して指示を仰ぎましょう。

動悸が起きたときの家庭での対処

危険サイン(胸痛・失神・強い息切れなど)がない動悸であれば、まず落ち着いて様子を見ながら、次のような対処を試みます。あわてず、ご本人を安心させることが大切です。

1. 楽な姿勢で安静にする

立っているときは座る、または横になり、締めつける衣服をゆるめます。急に動くと脈がさらに乱れることがあるため、まずは動きを止めて休みます。

2. ゆっくり長く息を吐く深呼吸

いすに深く腰かけるか仰向けになり、鼻からゆっくり吸って、口からそれより長い時間をかけて吐きます。これを数分くり返すと、自律神経のうち心臓を落ち着かせる働き(副交感神経)が優位になり、動悸がやわらぐことがあります。ご家族が「ゆっくり吐いて」と声をかけ、一緒に呼吸のペースをつくると安心しやすくなります。

3. 脈を測って記録する

落ち着いてきたら、前述の検脈で脈拍数と規則性を確認し、起きた時刻・続いた時間・ともなう症状とあわせて記録します。これが受診時の重要な情報になります。

注意したいこと

インターネットなどで「いきむ」「目を押す」「冷たい水で顔を冷やす」といった方法が紹介されることがありますが、高齢者や心臓・血圧に持病のある方では血圧変動などのリスクがあり、自己流で行うのは避けてください。対処をしても動悸が止まらない、くり返す、症状が強まるときは、無理に家庭で対応せず医療機関を受診します。胸痛・失神・強い息切れが現れたら、ただちに119番です。

受診の目安と何科を受診するか

救急を呼ぶほどではないものの気になる動悸・脈の乱れは、次のような場合に医療機関へ相談しましょう。

受診を考える目安

  • 安静にしていても動悸や脈の乱れが繰り返す・長く続く
  • 以前より回数や持続時間が増えている
  • 脈がまったく不規則に打つ(心房細動の可能性)
  • 動悸にめまい・息切れ・むくみなどをともなう
  • 健診や家庭用血圧計で不整脈を指摘された(症状がなくても受診を)

何科を受診すればよいか

  • 循環器内科:脈のリズムの異常、心臓が原因と思われる動悸の専門。心電図・心エコー・血液検査などで、不整脈や心房細動・心不全を調べます。脈がバラバラ、息切れやむくみをともなう、健診で不整脈を指摘された場合は循環器内科が適切です。
  • かかりつけ内科(一般内科):どの科か迷うときの最初の相談先。貧血・甲状腺・血糖など心臓以外の原因も含めて横断的に確認し、必要に応じて循環器内科へ紹介してくれます。
  • 心療内科・精神科:検査で体に異常がなく、強い不安やストレスが引き金と考えられる動悸の場合に相談先となります。

高齢者では複数の持病や服薬があることが多いため、まずはふだんの体調を把握しているかかりつけ医に相談し、そこから専門科へつないでもらうのがスムーズです。受診時には、家庭で測った脈拍の記録やお薬手帳を持参すると診断に役立ちます。すぐ救急車を呼ぶべきか、今すぐ受診すべきか判断に迷うときは、地域によっては救急安心センター事業(#7119)に電話して相談でき、看護師などが緊急度の目安を助言してくれます。日中であれば、かかりつけ医に電話で症状を伝えて受診のタイミングを相談するのもよいでしょう。

医療機関ではどんな検査をする?

受診すると、医師は問診で「いつ・どんなときに・どのくらい続くか」「ほかの症状の有無」「持病や飲んでいる薬」を確認したうえで、原因を調べる検査を行います。家庭での脈の記録やお薬手帳があると、この問診がスムーズになります。代表的な検査には次のようなものがあります。

  • 心電図:心臓の電気的な動きを記録し、不整脈や心房細動の有無を調べる基本の検査です。短時間で受けられます。
  • ホルター心電図(24時間心電図):動悸が出たり消えたりして外来の心電図ではとらえにくい場合に、小型の装置を身につけて1日程度記録し、いつどんな不整脈が起きているかを調べます。
  • 心臓超音波検査(心エコー):心臓の動きや弁の状態、心不全の有無などを画像で確認します。
  • 血液検査:貧血、甲状腺ホルモンの異常、血糖など、心臓以外の原因がないかを調べます。

これらの検査で、その動悸が「様子を見てよいもの」か「治療が必要なもの」かを医師が判断します。心房細動などが見つかった場合は、脳梗塞のなりやすさ(年齢・高血圧・糖尿病・心不全・脳梗塞の既往など)を評価したうえで、抗凝固薬による予防やカテーテル治療などの方針を相談していきます。大切なのは、自己判断で「大丈夫」と決めず、検査を受けて状態を正しく知ることです。

日常生活で動悸・脈の乱れを防ぐ工夫

原因に応じた治療は医師が行いますが、家庭での生活習慣の工夫も、動悸や不整脈の引き金を減らすうえで役立ちます。

こまめな水分補給で脱水を防ぐ

高齢者は喉の渇きを感じにくく、脱水になりやすいのが特徴です。脱水は血液量を減らして脈を速くし、不整脈を誘発します。のどが渇く前に少しずつ、こまめに水分をとりましょう(持病で水分制限がある場合は主治医の指示を優先)。とくに夏場や発熱・下痢のときは脱水が進みやすいので注意します。

カフェイン・アルコールをとりすぎない

コーヒー・濃いお茶・エナジードリンクのカフェインや、アルコールのとりすぎは動悸や心房細動の引き金になります。とくに夕方以降は控えめにし、睡眠の妨げにならないよう気をつけます。栄養ドリンクの常用も避けましょう。

睡眠とストレスを整える

睡眠不足や疲労、強いストレスは自律神経を乱し、動悸を起こしやすくします。毎日できるだけ同じ時間に休み、生活リズムを整えましょう。日中に軽い散歩などの運動を取り入れると、睡眠の質や自律神経の安定につながります(持病に応じて無理のない範囲で)。

むくみ・体重の変化を見守る

心不全がかくれていると、足のむくみや短期間での体重増加が現れることがあります。すねを指で押してへこみが残る、靴下のあとが強く残る、数日で体重が増えたといった変化は、動悸とあわせて受診時に医師へ伝えましょう。毎日の体重測定を習慣にすると変化に気づきやすくなります。

服薬・持病の管理を続ける

高血圧・糖尿病・甲状腺の病気などは不整脈と関わります。処方された薬は自己判断でやめず、定期受診を続けることが、脳梗塞などの予防につながります。気になる症状は受診時に医師へ伝えましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 高齢の親の脈が時々とびます。すぐ受診すべきですか?

A. 時々脈がとぶ「期外収縮」は、高齢になると誰にでも増え、多くは経過観察で問題ありません。ただし、回数が多い、脈がまったく不規則、めまい・息切れ・胸痛をともなう場合や、不安が続く場合は循環器内科で一度調べてもらうと安心です。判断に迷うときはかかりつけ医に相談してください。

Q. 症状がないのに健診で「心房細動」と言われました。放置してよい?

A. 放置はおすすめできません。心房細動は無症状でも脳梗塞の原因になり得ます。日本循環器協会も「まず循環器内科を受診」を勧めています。受診のうえで、脳梗塞のなりやすさ(年齢・高血圧・糖尿病・心不全・脳梗塞既往など)を評価し、必要なら予防の薬を始めます。

Q. 家庭用の血圧計で脈の乱れはわかりますか?

A. 機種によっては脈の不規則を知らせる表示が付いています。あくまで目安ですが、繰り返し表示が出るなら受診の材料になります。確定診断は医療機関の心電図で行われます。あわせて手首での検脈(1分間・規則性の確認)も習慣にするとよいでしょう。

Q. 動悸がしたとき、家でできる落ち着かせ方はありますか?

A. 楽な姿勢で座り、ゆっくり長く息を吐く深呼吸を数分続けると、自律神経が整い落ち着くことがあります。ただし、胸痛・失神・強い息切れをともなうときは応急処置より受診・救急要請を優先してください。高齢者や持病のある方は、自己流の刺激的な対処(強くいきむ等)は避け、医療機関の指示に従いましょう。

Q. 認知症のある親が、動悸をうまく訴えられません。どう気づけばよいですか?

A. ご本人が症状を言葉にできない場合は、ご家族や介護者の観察が頼りになります。「急に元気がない」「食欲が落ちた」「動くと息が切れる」「顔色が悪い」「むくみが出てきた」といった変化は、不整脈や心不全のサインのことがあります。日々の検脈を習慣にし、脈がいつもより速い・遅い・バラバラなときは記録して受診につなげましょう。

Q. 一度「問題ない」と言われた動悸でも、また受診すべきですか?

A. 以前は問題なくても、加齢や持病の変化で新たに心房細動などが現れることがあります。動悸の回数や強さが増えた、続く時間が長くなった、新しく息切れやめまいが加わったといった「変化」があれば、改めて受診してください。とくに高血圧・糖尿病・心不全などがある方は定期的な受診を続けることが大切です。

参考文献・出典

まとめ

高齢者の動悸・脈の乱れは、加齢で増える心房細動などの不整脈をはじめ、貧血・脱水・甲状腺・薬剤・ストレスなど多くの原因で起こります。多くは心配のいらないものですが、心房細動のように無症状のまま脳梗塞につながる危険な不整脈が隠れていることもあります。

ご家族にできるのは、(1)手首で1分間、脈の速さと規則性を測って記録する、(2)胸痛・失神・強い息切れ・意識障害があれば迷わず119番、(3)繰り返す・続く・健診で指摘された場合は症状がなくても循環器内科(迷えばかかりつけ内科)へ相談する、という3つです。脱水を防ぐこまめな水分補給やカフェインの取りすぎを避けるなど、日常の工夫も引き金を減らします。「歳のせい」と見過ごさず、早めに気づいて適切な科につなぐことが、ご本人の健康寿命を守る一番の近道です。

※本記事は公的機関の情報をもとにした一般的な解説であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状や対応については必ず医療機関にご相談ください。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。