
高齢者の味覚・嗅覚の低下|味がしない・においがわからない原因と家庭の工夫
高齢の親が味を感じない・においがわからない。加齢や薬剤性・亜鉛不足・口腔乾燥・神経疾患など原因と、だしや香りを使う家庭の工夫、低栄養や腐敗物に気づけない安全リスク、受診の目安と何科かを家族向けに整理します。
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この記事のポイント
高齢の親が「味がしない」「においがわからない」と言うとき、原因は一つではありません。加齢で舌の味蕾(みらい)が減り、唾液も減って感じ方が鈍くなることに加え、降圧薬などの薬剤性、亜鉛不足、口の乾燥や義歯の汚れ、鼻づまり、まれにパーキンソン病や認知症といった神経の病気が背景にあることもあります。味の多くは「におい」と一緒に脳で風味として感じているため、嗅覚が落ちると食事全体が味気なく感じられます。家庭ではだし・香り・彩り・温度の工夫と口腔ケアで食べやすさを支えつつ、急に起きた・片側だけ・体重が減るといったときは自己判断せず耳鼻咽喉科を中心に受診してください。
目次
「最近、味付けが濃くなった」「料理がおいしくないと残すようになった」「腐りかけのものを平気で食べてしまった」。高齢のご家族にこうした変化が出てきたら、味覚や嗅覚の低下が隠れているかもしれません。年齢とともに感覚が鈍るのはある程度自然なことですが、その裏に治せる原因(薬の影響や亜鉛不足、口の乾燥や鼻の病気など)が隠れていることも少なくありません。
味覚や嗅覚の低下は、本人がはっきり自覚しないまま進むことがあり、食欲が落ちて低栄養につながったり、腐ったものやガス漏れに気づけずに事故の危険を高めたりします。だからこそ、家族が早めに気づき、家庭での工夫と必要な受診を組み合わせることが大切です。このページでは、原因の見分け方、家庭でできる食事や口腔ケアの工夫、そして「何科に・いつ行くべきか」の目安を、ご家族の視点で整理します。
本ページは一般的な情報をまとめたものです。診断や治療方針は個人差が大きいため、気になる症状があるときは必ず医療機関にご相談ください。
味覚と嗅覚はどう違う?「味がしない」の正体
「味がわからない」と感じるとき、実際には「味覚」と「嗅覚」という二つの感覚が関わっています。この二つは脳の中で一緒に処理され、私たちが「おいしい」と感じる風味をつくり出しています。どちらが落ちているのかを意識すると、原因や対策が見えやすくなります。
味覚(舌で感じる味)
味覚は、舌の表面などにある味蕾(みらい)という小さなセンサーで感じ取ります。甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の五つが基本の味です。味蕾の数は加齢とともに減り、健康長寿ネットによると高齢者では新生児期の半分から3分の1ほどになるとされています。特に塩味や甘味を感じる力が落ちやすく、その結果「味が薄い」と感じて濃い味付けを好むようになることがあります。
嗅覚(鼻で感じるにおい)
食べ物の香りや風味の多くは、鼻の奥でにおいを感じる嗅覚が担っています。MSDマニュアル家庭版では、塩味・苦味・甘味・酸味など一部の味は嗅覚がなくても認識できるものの、コーヒーや果物のような複雑な風味は嗅覚と味覚の両方がそろって初めて感じられると説明されています。つまり、鼻づまりやにおいの障害があると、舌の味覚は正常でも「味がしない」と感じてしまうのです。
「味がしない」の多くは嗅覚低下も関係する
本人は「舌で味を感じない」と表現しがちですが、実際には嗅覚の低下が大きく影響していることがよくあります。風邪で鼻が詰まると食事が味気なくなるのは、この仕組みのためです。家庭で様子を見るときは、「鼻が通っているときでも味がわからないか」「においそのものがわからなくなっていないか」を分けて観察すると、状況がつかみやすくなります。
高齢者の味覚・嗅覚が低下する主な原因
高齢者の味覚・嗅覚の低下は、複数の原因が重なって起きることが多いのが特徴です。健康長寿ネットでは味覚障害の原因を、薬剤の副作用・微量金属(亜鉛など)の欠乏・全身の病気・口の病気・原因が特定できない特発性・嗅覚障害による風味障害型などに分類しています。家庭で「どれが当てはまりそうか」を考える手がかりとして、主な原因を整理します。
加齢による味蕾・嗅覚の衰え
もっとも基本的な背景は加齢です。味蕾の数が減り、においを感じる力も落ちていきます。MSDマニュアル家庭版では、50歳を過ぎると嗅覚と味覚が徐々に低下し始め、多くの食べ物が味気なく感じられるようになると説明されています。加齢そのものは病気ではありませんが、後述する他の原因が重なると低下が一気に進むことがあります。
薬剤性(薬の副作用)
高齢者で見落とされやすいのが薬の影響です。健康長寿ネットによると、250種類以上の薬剤で味覚障害が引き起こされる可能性があるとされています。薬の中には唾液の分泌を減らしたり、亜鉛の吸収を妨げたりするものがあり、複数の薬を長く飲んでいる高齢者ほど起こりやすくなります。降圧薬・血糖を下げる薬・抗うつ薬・抗ヒスタミン薬など幅広い薬が関係しえます。ただし自己判断で薬を中止するのは危険です。気になるときは処方した医師や薬剤師に相談してください。
亜鉛不足
亜鉛は味蕾の細胞が生まれ変わるために欠かせないミネラルで、不足すると味を感じにくくなります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、亜鉛欠乏を味覚低下の大きな原因の一つに挙げています。高齢者は食事量が減って亜鉛が不足しやすく、前述のように薬剤が亜鉛の吸収を妨げることもあります。食が細くなった高齢者では特に注意したい原因です。
口腔乾燥(ドライマウス)・義歯・口腔内の汚れ
味の物質は唾液に溶けて味蕾に届くため、口が乾くと味を感じにくくなります。加齢や薬の影響、シェーグレン症候群などで唾液が減ると味覚が鈍ります。また、舌の汚れ(舌苔)や合わない義歯、口の中の不衛生も味覚を妨げます。義歯が上あごを広く覆うタイプだと、温度や食感が伝わりにくくなることもあります。
鼻の病気・嗅覚の障害
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎などで鼻が詰まると、においが嗅覚の受容器に届かず、風味として感じられなくなります。鼻の病気による嗅覚障害は、原因を治療すると改善が期待できるタイプです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の嗅覚・味覚障害
MSDマニュアル家庭版では、突然のにおいや味の喪失がCOVID-19の初期症状であることがあると説明されています。感染後に嗅覚・味覚の低下が続くこともあり、急に発症した場合は感染症の可能性も念頭に置く必要があります。
神経の病気(パーキンソン病・認知症など)
見過ごされやすいのが神経の病気に伴う嗅覚低下です。日本神経学会の報告では、パーキンソン病患者の約90%に嗅覚の障害が認められ、手の震えなどの運動症状よりも前に現れることが知られています。さらに、患者本人が自分の嗅覚低下に気づいていないことが多いとも指摘されています。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症でも早期から嗅覚が落ちることがあります。「においだけが極端にわからない」「ほかにも動作の遅さや物忘れがある」といった場合は、耳鼻科で鼻に異常がなくても神経内科の視点が必要になることがあります。
全身の病気・栄養状態
味覚の異常は、全身の病気のサインとして現れることもあります。健康長寿ネットの分類でも「全身疾患性」が原因の一つに挙げられており、糖尿病・腎臓病・肝臓病・胃腸の不調などが背景にあることがあります。これらの病気は味覚を担う神経や代謝、亜鉛などのミネラルの状態に影響します。鉄欠乏性の貧血が味覚低下に関わることもあります。持病のある高齢者で味の感じ方が変わってきたときは、持病のコントロール状況とあわせて医師に相談すると、原因の整理がしやすくなります。
原因は一つとは限らない
ここまで挙げた原因は、単独ではなく重なって起こることがほとんどです。たとえば「加齢で味蕾が減っている」ところに「複数の薬で口が乾き、亜鉛も不足している」といった具合に、いくつもの要因が積み重なって低下が目立つようになります。だからこそ、家庭の工夫で食べやすさを支えながら、治せる原因がないかを医療機関で確認することの両方が大切です。
気づきにくい安全リスク|低栄養・腐敗物・ガス漏れ
味覚・嗅覚の低下は「食事が楽しめない」だけの問題ではありません。ご家族が知っておきたいのは、生活の安全と栄養に直結するという点です。特に嗅覚の低下は本人が気づきにくいため、周囲のさりげない見守りが事故予防になります。
食欲低下・低栄養・体重減少
味やにおいを感じにくくなると、食事の楽しみが減って食が細くなります。MSDマニュアル家庭版でも、感覚の低下で食事量が減り、必要な栄養がとれなくなる危険があると説明されています。高齢者の低栄養は、筋力低下や免疫力の低下、回復力の低下につながり、フレイル(虚弱)を進める要因になります。「最近やせてきた」「同じものばかり食べる」「食事を残すようになった」といった変化は見逃せないサインです。
濃い味付け・塩分や糖分のとりすぎ
味を感じにくくなると、本人は無意識に塩やしょうゆ、砂糖を足しがちになります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、しょうゆを大量にかけるなどの嗜好の変化を気づきのきっかけとして挙げています。高血圧や糖尿病、腎臓病のある方では、塩分・糖分のとりすぎが持病の悪化につながるため注意が必要です。
腐ったもの・傷んだものに気づけない
においがわからないと、傷んだ食品の「すっぱいにおい」「腐敗臭」に気づけず、食べてしまう危険があります。冷蔵庫の中の古い食品や作り置きの管理を家族が手伝う、消費期限を一緒に確認するといった配慮が役立ちます。
ガス漏れ・煙・焦げに気づけない
嗅覚が大きく低下すると、ガス漏れのにおいや、鍋を焦がした煙のにおいに気づけないことがあります。これは火災やガス事故につながりかねない、もっとも注意したい安全リスクです。ガス警報器・火災警報器の設置、IH調理器への切り替え、自動消火機能付きコンロの利用などで、においに頼らない安全対策を整えておくと安心です。
誤食・異食
味やにおいの判断が鈍ると、洗剤や化粧品など食べ物でないものを口にしてしまう誤食・異食のリスクも高まります。認知症が関わる場合は特に、口に入る危険なものを手の届かない場所に保管することが大切です。
においに頼らない安全対策を整える
嗅覚の低下は本人が自覚しにくいため、「気づけないこと」を前提にした環境づくりが家族にできる最も確実な対策です。具体的には、ガス警報器・住宅用火災警報器を設置する、コンロを立ち消え安全装置や自動消火機能のあるものやIH調理器に替える、冷蔵庫の食品に日付を書いて家族が定期的に点検する、洗剤や薬など口にすると危険なものは食品と離して保管する、といった工夫が役立ちます。においという「最後のセンサー」が働きにくくなっている分を、道具と見守りで補うイメージです。
家庭でできる工夫|だし・香り・彩り・温度・口腔ケア・亜鉛
原因の治療と並行して、家庭でも食べやすさを支える工夫ができます。「塩分を足す」以外の方法で、香りや見た目、温度を生かして食事の満足感を高めるのがポイントです。日本訪問歯科協会や健康長寿ネットでも、だしや香りの活用と口腔ケアが勧められています。
だし・うま味で塩分に頼らずおいしく
かつおや昆布、しいたけなどのだしのうま味を効かせると、塩分を増やさなくても満足感が出ます。塩味を強める代わりに、うま味と酸味(少量の酢やレモン)、香りで味の輪郭をはっきりさせるのがコツです。減塩を続けながら食事を楽しむうえでも有効です。
香り・スパイスで風味を補う
嗅覚が残っている場合は、ゆず・しそ・しょうが・カレー粉・ごま・のりなどの香りを添えると、風味が立って食欲が刺激されます。仕上げに香りを足す、温かいうちに香りを立たせるといった工夫が役立ちます。ただし刺激の強すぎる香辛料はむせや胃腸の負担になることもあるため、様子を見ながら少量から取り入れます。
彩り・盛りつけで「目で食べる」
味やにおいが感じにくいときこそ、見た目の彩りが食欲を支えます。赤・緑・黄など色の違う食材を組み合わせ、一品ずつ盛りつけると「何を食べているか」がわかりやすくなります。
温度のメリハリをつける
温かいものは温かく、冷たいものは冷たく出すと、味やにおいを感じやすくなります。人肌程度のぬるい料理は風味がぼやけやすいため、提供する温度に少し気を配るだけでも食べやすさが変わります。
口腔ケアで土台を整える
舌の汚れ(舌苔)や口の乾燥は味覚を妨げます。歯みがきに加えて、やわらかいブラシやスポンジで舌をやさしく清掃し、口の中を清潔に保ちましょう。水分をこまめにとる、唾液の分泌を促すために食事をよく噛む、必要に応じて口腔保湿剤を使うことも有効です。義歯は毎日洗浄し、合わなくなっていないか歯科で点検してもらいます。
亜鉛を意識した食事
味蕾の再生に関わる亜鉛は、牡蠣・うなぎ・赤身肉・レバー・ごま・大豆製品・卵黄・アーモンドなどに多く含まれます。動物性たんぱく質やビタミンCと一緒にとると吸収が高まるとされます。食が細い場合は無理のない範囲で取り入れ、亜鉛のサプリメントを使う場合は過剰摂取を避けるため医師・薬剤師に相談してください。
食事の時間と環境を整える
味やにおいを感じにくいときは、食事の環境づくりも食欲を左右します。明るい場所で、できれば家族と一緒に食卓を囲むと、会話や雰囲気が食欲を後押しします。テレビを消して食事に集中できるようにする、よく噛んでゆっくり味わうよう声をかけることも、残った感覚を生かす助けになります。空腹のタイミングで食べる、軽い運動や散歩で食欲を引き出すといった生活リズムの工夫も有効です。
水分と少量・高栄養の工夫
口が乾いていると味を感じにくいため、食事の前後にひと口の水やお茶で口を潤すと食べやすくなります。食が細い場合は、一度に多く出すより少量を数回に分け、卵・豆腐・乳製品・魚など、少量でもたんぱく質や栄養がとれる食材を選ぶと低栄養を防ぎやすくなります。とろみや、のどごしのよい料理は、嚥下(飲み込み)に不安がある方にも食べやすい選択肢です。
家庭でチェックしたい変化のサイン
「ただの年のせい」と見過ごさないために、家庭で観察したいポイントをまとめます。当てはまる項目が増えるほど、受診を検討する目安になります。
- 味付けが急に濃くなった、しょうゆや塩を大量にかけるようになった
- 「おいしくない」と食事を残す、食べる量が減った、体重が減ってきた
- においが極端にわからない(料理・花・線香などの香りに反応しない)
- 腐ったもの・傷んだものを気づかずに食べてしまった
- 口の渇きを訴える、義歯が合っていない、舌が白く汚れている
- 鼻づまりや副鼻腔炎がある、最近かぜや感染症にかかった
- 味やにおいの変化に加えて、動作の遅さ・物忘れ・歩きにくさがある
- 症状が急に・片側だけ・短期間で進んだ
こうした変化は、本人より一緒に暮らす家族のほうが先に気づくことが多いものです。気づいたことはメモにまとめておくと、受診時の説明に役立ちます。
受診の目安と何科に行くべきか
味覚・嗅覚の低下は「加齢だから仕方ない」と片づけず、原因によっては治療で改善が見込めます。健康長寿ネットも、高齢だからと自己判断せず医師の診察を受けるよう勧めています。次のようなときは早めの受診を検討してください。
早めに受診を検討したい目安
- 急に味やにおいがわからなくなった
- においだけ・片側だけなど、偏った感じ方の異常がある
- 食欲低下や体重減少が続いている
- 本来と違う味に感じる、何も食べていないのに嫌な味がする
- 鼻づまりや鼻汁が長引いている
- 味やにおいの変化に加え、物忘れ・動作の遅さなど別の症状がある
何科を受診すればよいか
味覚と嗅覚は密接に関わるため、まずは耳鼻咽喉科が基本の窓口です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、味がおかしいと感じたら耳鼻咽喉科への相談を勧めています。鼻や副鼻腔の状態、嗅覚・味覚の検査、亜鉛の血液検査などを行い、原因に応じて治療します。
そのうえで、原因によっては次の診療科が関わります。
- 歯科・歯科口腔外科:口腔乾燥、舌の汚れ、義歯の不具合、口腔内の病気が疑われるとき
- 内科(かかりつけ医):糖尿病・腎臓病・肝臓病など全身の病気や、薬剤性が疑われるとき。服用中の薬の調整は処方医に相談します
- 神経内科:においだけが極端に落ちている、物忘れや動作の遅さを伴うなど、パーキンソン病や認知症が疑われるとき。耳鼻科で鼻に異常がなくても、神経の評価が必要な場合があります
どこにかかるか迷うときは、まずかかりつけ医か耳鼻咽喉科に相談し、必要に応じて適切な科を紹介してもらうとよいでしょう。受診の際は、いつから・どのように変化したか、服用中の薬、食事や体重の変化を伝えると診断の助けになります。
よくある質問(FAQ)
Q. 高齢で味覚が落ちるのは自然なこと?放っておいてよい?
加齢である程度感じ方が鈍るのは自然ですが、薬の影響・亜鉛不足・口の乾燥・鼻の病気など、治療で改善できる原因が隠れていることがあります。「年のせい」と決めつけず、食欲低下や体重減少を伴うとき、急に進んだときは受診を検討してください。
Q. 亜鉛のサプリメントを飲ませれば治りますか?
亜鉛不足が原因であれば改善が期待できますが、原因は人によって異なります。自己判断で長期に大量摂取すると過剰症の心配もあるため、亜鉛が不足しているかを含めて医療機関で確認し、医師・薬剤師に相談してから使うのが安全です。
Q. 飲んでいる薬が原因かもしれません。やめてよいですか?
自己判断で薬を中止するのは危険です。持病の悪化につながることがあります。薬剤性が疑われるときは、処方した医師や薬剤師に「いつから症状が出たか」を伝えて相談し、必要に応じて薬の調整を検討してもらいましょう。
Q. においだけがわからないようです。何かの病気のサインですか?
鼻づまりや副鼻腔炎、感染症のあとに起こることが多い一方、嗅覚の低下はパーキンソン病など神経の病気の早期サインのこともあります。本人が気づきにくいのも特徴です。物忘れや動作の遅さを伴う場合は、耳鼻咽喉科に加えて神経内科への相談も検討してください。
Q. 食欲が落ちて心配です。家庭でまずできることは?
だしのうま味や香り、彩り、温度の工夫で食べやすくし、口腔ケアで口の中を整えるのが基本です。塩分を足すより、うま味と香りで満足感を高めるのがコツです。それでも食べられない・やせていくときは、低栄養を防ぐためにも早めに受診してください。
Q. 受診のとき、家族は何を伝えればよいですか?
「いつから・どのように変化したか(急か、ゆっくりか)」「味とにおいのどちらが、あるいは両方が落ちているか」「服用中の薬」「食事量や体重の変化」「鼻づまりや持病の有無」「物忘れや動作の遅さなど他の症状」を整理して伝えると、診断の助けになります。本人が自覚しにくい嗅覚の変化は、一緒に暮らす家族の観察がとても役立ちます。気づいたことを事前にメモしておくと、短い診察時間でも要点を伝えやすくなります。
参考文献・出典
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まとめ
高齢のご家族の「味がしない」「においがわからない」は、加齢だけでなく、薬剤性・亜鉛不足・口腔乾燥や義歯・鼻の病気・神経の病気など、さまざまな原因が重なって起こります。味の多くは嗅覚と一緒に風味として感じているため、「味覚」と「嗅覚」のどちらが落ちているのかを意識すると、原因や対策が見えやすくなります。
家庭では、だしのうま味・香り・彩り・温度の工夫と口腔ケアで食べやすさを支え、亜鉛を意識した食事を取り入れましょう。同時に、低栄養や腐敗物・ガス漏れに気づけない安全リスクに備え、警報器の設置など「においに頼らない」対策を整えておくと安心です。そして、急に起きた・偏った異常・体重減少・他の症状を伴うときは自己判断せず、まずは耳鼻咽喉科を中心に、必要に応じて歯科・内科・神経内科へ相談してください。早めの気づきと適切な受診が、ご家族の食事の楽しみと安全を守ります。
監修者
介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム
医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)
訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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