高齢者のよだれ・口から唾液が垂れる(流涎)|原因と家庭での対応・受診の目安
ご家族・ご利用者向け

高齢者のよだれ・口から唾液が垂れる(流涎)|原因と家庭での対応・受診の目安

親のよだれが増えた・口から唾液が垂れるのが気になる方へ。流涎の多くは唾液が増えるのではなく飲み込みや口を閉じる力の低下で起こります。加齢・嚥下障害・パーキンソン病・脳卒中・認知症・入れ歯・薬など原因と、家庭での観察・対応、受診の目安と何科かを解説します。

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高齢者のよだれ(流涎)は、唾液が増えるからではなく、無意識に唾液を飲み込む回数が減ったり、口を閉じる力が落ちたりして、口の中の唾液があふれて起こることが多い症状です。健康な人でも1日1〜1.5リットルの唾液をほぼ無意識に飲み込んでいますが、加齢・嚥下機能の低下・パーキンソン病・脳卒中後・認知症・入れ歯の不適合・口腔内のトラブル・薬の影響などで飲み込みや口の動きが弱まると、よだれとして外に漏れます。家庭では姿勢を整える・口腔ケア・口や舌の体操が役立ちます。ただし、むせる・飲み込みにくい・口の片側だけから垂れるなど嚥下障害や神経の病気を疑うサインを伴う場合は、自己判断で様子を見ず、かかりつけ医や神経内科・歯科口腔外科・耳鼻咽喉科への受診を検討してください。

目次

「最近、親のよだれが増えた」「気づくと口から唾液が垂れている」。こうした変化に気づいて、心配になっているご家族は少なくありません。よだれは見た目の問題と思われがちですが、その背景には飲み込む力の低下や、神経の病気が隠れていることもあります。一方で、加齢や口腔ケアの工夫で和らげられるものも多く、過度に不安になる必要はありません。

大切なのは、「ただの加齢によるものか」「受診したほうがよいサインがあるか」を見分けることです。この記事では、高齢者のよだれ(流涎)がなぜ起こるのかをやさしく整理し、家庭での観察ポイント、今日からできる対応、そして受診の目安と何科にかかればよいかまでを、公的な医療情報をもとに解説します。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。

高齢者のよだれ(流涎)とは|唾液が増えるのではなく「漏れる」ことが多い

流涎(りゅうぜん)とは、口の外に唾液があふれ出てしまう状態のことです。「よだれが垂れる」と言い換えるとイメージしやすいでしょう。多くの方が「唾液がたくさん作られすぎているのでは」と考えますが、実際にはそうとは限りません。

唾液が「増える」のではなく「飲み込めず漏れる」ことが多い

人は1日におよそ1〜1.5リットルの唾液を分泌し、就寝中も含めてほとんど無意識のうちに飲み込んでいます。飲み込む量が減って分泌量を下回ると、口の中に唾液がたまり、外へあふれ出ます。つまり高齢者のよだれは、「唾液が増えた」というより「無意識に飲み込む回数が減った」「口を閉じる力が落ちた」ことで起こるケースが多いのです。

実際に、唾液の分泌量そのものに異常がなくても、飲み込み(嚥下)のタイミングがつかめなくなることで唾液が口にたまり、あふれることが知られています。一方で、口内炎・胃の不調・自律神経の影響などで分泌量自体が増える場合もあり、流涎には大きく分けて「分泌が増えるタイプ」と「飲み込めずたまるタイプ」の2つがあります。高齢者で問題になりやすいのは後者の「飲み込めずたまるタイプ」です。

なぜ見逃せないのか

よだれが出ること自体は命に直結するわけではありません。しかし、唾液をうまく飲み込めない状態は、食べ物や唾液が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」と地続きであり、誤嚥性肺炎のリスクと関わります。また、口の片側だけから垂れる、急に始まった、むせや飲み込みにくさを伴うといった場合は、嚥下障害や神経の病気のサインのことがあります。だからこそ、よだれの「出方」をよく観察することが大切です。

よだれ(流涎)の2つのタイプ|たまる型・分泌が増える型と口呼吸

流涎には大きく2つのタイプがあり、原因も対応も異なります。家庭で見分けるのは難しいですが、考え方を知っておくと医療機関で相談するときに役立ちます。

タイプ1:飲み込めずにたまる(高齢者で多い)

唾液の分泌量そのものは正常でも、飲み込むタイミングがつかめなくなったり、口を閉じ続ける力が落ちたりして、口の中に唾液がたまってあふれるタイプです。加齢、嚥下機能の低下、パーキンソン病、脳卒中後、認知症などが背景にあることが多く、高齢者ではこのタイプが中心になります。対応は、飲み込みやすい姿勢、口や舌の体操、口腔ケアが基本です。

タイプ2:唾液の分泌そのものが増える

口内炎や胃の不調、薬の影響、自律神経のはたらきなどで、唾液の分泌量が一時的に増えるタイプです。原因となる病気や口の中のトラブルが治れば、よだれも落ち着くことが多いとされています。流涎は原因が特定できないケースも少なくなく、その場合は自律神経の関与が考えられることもあります。

口で呼吸していると悪化しやすい

鼻づまりや習慣で口を開けたまま呼吸(口呼吸)していると、口を閉じる時間が減り、唾液が外に漏れやすくなります。口の中も乾きやすく、口腔内のトラブルにもつながります。日中、口がぽかんと開いていないか、唇が閉じているかを観察することも、よだれ対策の手がかりになります。

高齢者のよだれ(流涎)の主な原因

高齢者のよだれの原因は1つではなく、いくつかの要因が重なって起こることがよくあります。代表的なものを、家庭で理解しやすいように整理します。

1. 加齢による口腔機能・嚥下機能の低下

年齢を重ねると、舌や唇を動かす力、唾液を飲み込む反射、のどの筋肉の働きが少しずつ衰えます。口を閉じ続ける力が落ちると唇のすき間から唾液が漏れ、飲み込む回数が減ると口の中に唾液がたまります。これは病気とまでは言えない「老嚥(ろうえん)」と呼ばれる変化のこともありますが、進行すると嚥下障害につながることもあります。

2. 嚥下機能の低下・嚥下障害

飲み込む一連の動作(食べ物や唾液を口からのど、食道へ送る働き)に障害が起こると、唾液をうまく処理できずによだれとして漏れます。水分でむせる、食事に時間がかかる、食後に声がガラガラするなどのサインを伴うことがあります。

3. パーキンソン病

パーキンソン病では、よだれ(流涎)は代表的な症状の1つです。国立病院機構の医療機関の解説でも、流涎は「嚥下運動の減少により起こる」と説明されており、唾液が増えるのではなく、飲み込む回数の減少や前かがみの姿勢、口を閉じにくさが重なって生じると考えられています。構音障害(話しにくさ)や飲み込みにくさと一緒に現れることがあります。

4. 脳卒中(脳梗塞・脳出血)の後

脳卒中の後遺症で口や舌、のどを動かす筋肉に麻痺が残ると、その動きにくさからよだれが出ることがあります。麻痺は左右どちらかに偏ることが多いため、口の片側だけから唾液が垂れるのが特徴的なサインになります。急に片側からよだれが出はじめ、ろれつが回らない・顔がゆがむなどを伴う場合は、脳卒中の発症そのものを疑う緊急性の高い状況です。

5. 認知症

認知症では、飲み込むタイミングや口を閉じることへの注意が向きにくくなり、よだれが出ることがあります。とくにレビー小体型認知症など、運動症状を伴うタイプでよだれが目立つことがあります。

6. 入れ歯の不適合・口腔内のトラブル

合わない入れ歯は、口を閉じにくくしたり、噛み合わせや唾液の流れを乱したりして、よだれの一因になります。また、口内炎・歯周病・むし歯・口の中の痛みがあると、飲み込みづらさから唾液がたまることがあります。これらは歯科で対応できる、改善が見込みやすい原因です。

7. 薬の影響

脳の働きを抑える薬(抗精神病薬・精神安定剤など)は、覚醒レベルや口の筋肉の動きに影響し、よだれや飲み込みにくさの一因になることがあります。逆に、口の渇きを起こす薬で口腔内のバランスが崩れる場合もあります。服用中の薬が関係していそうなときは、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

高齢者でよだれが出やすくなる背景|歯の欠損・サルコペニア・喉頭の下降

同じ年齢でもよだれが出やすい人とそうでない人がいます。その差には、高齢者ならではのいくつかの背景が関わっています。原因を考えるときの参考にしてください。

歯の欠損・噛み合わせの変化

むし歯や歯周病で歯を失うと、噛む力や舌の動き、唾液の流れが乱れ、飲み込みにくさにつながります。残った歯や入れ歯の状態によって口を閉じにくくなることもあり、よだれの一因になります。歯科で口の状態を整えることが、改善の第一歩になることがあります。

筋力・筋肉量の低下(サルコペニア)

加齢で全身の筋力や筋肉量が落ちる「サルコペニア」になると、飲み込みに必要なのどの筋肉も弱まり、必要な速さでのど仏を持ち上げたり、のどを締めたりしにくくなります。その結果、唾液や食べ物を処理しきれず、よだれや誤嚥が目立つようになります。栄養と運動の両面からの対策が、口の機能の維持にもつながります。

のど仏(喉頭)の位置が下がる

年齢を重ねると、安静時ものど仏の位置が下がってきます。飲み込むときにのど仏を高く持ち上げてのどの入り口をふさぐ動きが追いつきにくくなり、誤嚥や飲み込みにくさにつながります。これは加齢に伴う自然な変化ですが、飲み込みの体操などで機能の維持をめざせます。

口の乾きとのバランス

意外に思われますが、口が乾きやすい高齢者でもよだれは起こります。口の乾燥は味覚や噛む力を低下させ、飲み込みやすい状態に唾液をまとめるまでに時間がかかるため、結果的に口の中に唾液がとどまりやすくなることがあります。口の中の状態は人によって異なるため、気になるときは歯科やかかりつけ医に相談しましょう。

家庭での観察ポイント|むせ・飲み込み・口の閉じ・左右差

受診すべきかどうかを判断するには、よだれの「出方」と「伴う症状」をよく観察することが手がかりになります。次のポイントを数日間チェックしてみてください。

飲み込み・むせの様子

  • 水やお茶など、水分でむせることが増えていないか
  • 食事に以前より時間がかかる、途中で疲れて食べきれないことがないか
  • 食後に声が「ガラガラ」「ゼロゼロ」と湿った感じになっていないか
  • 食べ物が口に残る、のどにつかえる感じを訴えていないか

口の閉じ・よだれの出方

  • 口がぽかんと開いたままになっていないか(口を閉じる力の低下)
  • 唾液が口の中にたまり、無意識に飲み込む回数が減っていないか
  • 夜間や昼寝のときによだれで枕が濡れていないか

左右差・急な変化(とくに注意)

  • 口の片側だけから唾液が垂れていないか(麻痺のサインのことがある)
  • 顔の片側がゆがむ、まぶたや口角が下がっていないか
  • 急によだれが出はじめた、ろれつが回らない、手足の力が入りにくいといった変化を伴っていないか

とくに「左右差」「急な発症」「ろれつ・手足の症状」がそろう場合は、脳卒中など緊急性の高い病気のサインのことがあります。様子を見ずに、すぐに医療機関へ連絡してください。

家庭でできる対応|姿勢・口腔ケア・口や舌の体操

原因の治療は医療機関で行いますが、家庭でも、よだれを和らげ、誤嚥を防ぐためにできる工夫があります。無理のない範囲で取り入れてみましょう。なお、嚥下の体操や訓練は、むせや飲み込みにくさがある場合は、医師・歯科医師・言語聴覚士など専門職に相談してから行うと安心です。

1. 姿勢を整える

あごを軽く引き、背すじを伸ばして座ると、唾液を飲み込みやすくなります。飲み込むときは上を向くのではなく、ややうつむき加減(あごを引く)にするのがコツです。食事のときも、足の裏を床につけて安定した姿勢をとると誤嚥の予防になります。

2. 口腔ケアを徹底する

口の中を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。毎食後の歯みがき、入れ歯の洗浄、舌や粘膜のケアを習慣にしましょう。入れ歯が合っていない様子があれば、歯科で調整してもらうことで、口の閉じやよだれが改善することがあります。

3. 口や舌の体操

口や舌、頬の筋肉を動かす体操は、飲み込む力や口を閉じる力の維持に役立ちます。代表的なものに次の2つがあります。

  • パタカラ体操:「パ」「タ」「カ」「ラ」をはっきり発音する。「パ」で唇を閉じる力、「タ」「カ」で舌の動き、「ラ」で食べ物を送る動きを鍛えます。
  • あいうべ体操:「あ」「い」「う」「べ」と口を大きく動かす。口を閉じる力や舌の位置を整えるのに役立ちます。

1日数回、無理のない回数から始めましょう。

4. 唾液腺マッサージ・水分とのバランス

頬や顎の下を軽くマッサージすると唾液の流れが整います。一方で、口の中の唾液をこまめに飲み込む、または優しく拭き取ることで、皮膚のただれを防げます。よだれで口元の皮膚が荒れやすいときは、こまめに乾いた柔らかい布で押さえるように拭き、保湿を心がけましょう。

5. 声かけと環境の工夫

「ごっくんしようね」と飲み込みを促す声かけや、食事に集中できる静かな環境づくりも、飲み込む回数を増やす助けになります。よだれを責めるような言い方は避け、本人の自尊心に配慮した接し方を心がけましょう。

よだれと誤嚥性肺炎の関係|家族が知っておきたいこと

よだれそのものは命に関わるわけではありませんが、「唾液をうまく飲み込めない」状態は、誤嚥(食べ物や唾液が誤って気管に入ること)と地続きです。家族として、この関係を知っておくと、早めの相談につなげやすくなります。

不顕性誤嚥に気づきにくい

本来、食べ物や唾液が気管に入りかけると、むせて押し返そうとします。しかし高齢者ではこのむせる反射が弱くなっていることがあり、気づかないうちに唾液や食べ物が気管に入る「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」が起こることがあります。よだれが多い方は飲み込みが弱っているサインのことがあるため、むせがなくても油断はできません。

口の中を清潔に保つことが肺炎予防になる

誤嚥が起きても、口の中が清潔であれば肺炎のリスクを下げられます。逆に、口の中の細菌が多いまま唾液を誤嚥すると、誤嚥性肺炎につながりやすくなります。とくに就寝中に唾液が気管へ流れ込むことがあるため、毎食後と就寝前の口腔ケアが大切です。発熱を繰り返す、痰が増える、元気がないといった様子があれば、誤嚥性肺炎の可能性も考えて、早めに医療機関へ相談しましょう。

家族ができる見守りの姿勢

よだれは本人にとって恥ずかしさや自尊心の低下につながることがあります。責めたり急かしたりせず、「飲み込もうね」とやさしく促し、清潔を保つ手助けをすることが、本人の負担を和らげます。気になる変化はメモに残しておくと、受診時に医師へ正確に伝えられます。

受診の目安と何科にかかるか|むせ・左右差があれば早めに相談

よだれは加齢に伴う変化のこともありますが、次のような場合は、自己判断で様子を見ずに医療機関へ相談しましょう。とくに嚥下障害や神経の病気のサインを伴うときは早めの受診が大切です。

受診を検討したほうがよいサイン

  • 水分や食事でむせることが増えた、飲み込みにくそうにしている
  • よだれが急に増えた、または短期間で悪化している
  • 口の片側だけから唾液が垂れる、顔や口元に左右差がある
  • 食事に時間がかかる、食後に痰や湿った声が増えた、体重が減ってきた
  • 発熱を繰り返す(誤嚥性肺炎の可能性)
  • 入れ歯が合っていない、口の中に痛みや腫れがある

すぐに連絡すべき緊急のサイン

片側からのよだれが急に始まり、ろれつが回らない・顔がゆがむ・手足に力が入らないなどを伴う場合は、脳卒中の可能性があります。様子を見ずに、すぐに医療機関へ連絡してください。

何科を受診すればよいか

どこにかかればよいか迷うときは、まずかかりつけ医に相談するのが基本です。そのうえで、症状に応じて次の診療科が選択肢になります。

  • 神経内科(脳神経内科):パーキンソン病・脳卒中後・神経の病気が疑われるとき。手足の動きにくさやふるえ、ろれつの変化を伴う場合。
  • 歯科・歯科口腔外科:入れ歯の不適合、口内炎・歯周病など口腔内のトラブル、口の機能の評価。
  • 耳鼻咽喉科:飲み込み(嚥下)そのものの評価。嚥下内視鏡検査などで、のどの動きを詳しく調べられます。
  • リハビリテーション科:嚥下機能の訓練や、言語聴覚士による飲み込みのリハビリが必要なとき。

飲み込みの問題が中心であれば耳鼻咽喉科やリハビリテーション科、神経の病気が疑われれば神経内科、入れ歯や口の中の問題であれば歯科、というように、観察したサインに合わせて相談先を選ぶと診断がスムーズです。

よくある質問(FAQ)

Q. よだれが増えたのは、唾液が増えたからですか?

多くの場合は違います。高齢者のよだれは、唾液の量が増えたというより、無意識に唾液を飲み込む回数が減ったり、口を閉じる力が落ちたりして、口の中の唾液があふれて起こることが多いとされています。ただし口内炎や胃の不調などで分泌が増えるタイプもあるため、原因の見極めは医療機関で相談すると安心です。

Q. よだれだけで、むせなどはありません。受診は必要ですか?

むせや飲み込みにくさ、左右差、急な変化がなく、生活に支障がない範囲であれば、まずは姿勢や口腔ケア、口の体操で様子を見るのも一つです。ただし、入れ歯が合っていない、徐々に悪化している、本人が気にしているといった場合は、かかりつけ医や歯科に相談しておくと原因がはっきりします。

Q. 口の片側だけからよだれが垂れます。大丈夫でしょうか?

片側だけからのよだれは、顔や口の麻痺のサインのことがあります。とくに急に始まり、ろれつが回らない・顔がゆがむ・手足の力が入りにくいなどを伴う場合は、脳卒中の可能性があるため、すぐに医療機関へ連絡してください。急な変化がなくても、左右差が続くときは神経内科への相談を検討しましょう。

Q. よだれで口元の皮膚が赤くただれています。どうすればよいですか?

唾液が皮膚に触れ続けると、かぶれやただれが起こりやすくなります。乾いた柔らかい布でこすらず押さえるように拭き取り、保湿を心がけましょう。改善しない、痛がる、範囲が広がるときは、皮膚科や、かかりつけ医に相談してください。

Q. 家でできる体操に危険はありますか?

パタカラ体操やあいうべ体操は、基本的に安全に取り組める口の運動です。ただし、すでにむせや飲み込みにくさがある場合は、無理に行うと負担になることもあるため、医師・歯科医師・言語聴覚士など専門職に相談してから始めると安心です。

Q. 夜、寝ている間によだれで枕が濡れます。問題ありますか?

就寝中は飲み込む回数が減り、横向きや口が開いた状態だと唾液が外に流れやすくなります。それ自体は珍しくありませんが、就寝中の唾液は気管へ流れ込んで誤嚥につながることもあるため、就寝前の口腔ケアを習慣にしましょう。いびきや口呼吸が強い、日中の眠気が強いなど他の症状を伴う場合は、かかりつけ医に相談してください。

Q. 受診のとき、家族は何を伝えればよいですか?

「いつから」「急にか少しずつか」「片側だけか両側か」「むせや飲み込みにくさ、発熱があるか」「服用中の薬」「入れ歯の有無と調子」を整理して伝えると、診断がスムーズになります。気づいた変化をメモや短い動画に残しておくと、医師が状態を把握しやすくなります。

参考文献・出典

まとめ|よだれの『出方』を観察し、サインがあれば早めの相談を

高齢者のよだれ(流涎)は、唾液が増えたからではなく、無意識に飲み込む回数が減ったり、口を閉じる力が落ちたりして、口の中の唾液があふれて起こることが多い症状です。背景には、加齢による口腔・嚥下機能の低下のほか、嚥下障害・パーキンソン病・脳卒中後・認知症・入れ歯の不適合・口腔内のトラブル・薬の影響などがあります。

家庭では、姿勢を整える・口腔ケアを徹底する・口や舌の体操を取り入れるといった工夫で、よだれを和らげ、誤嚥を防ぐことができます。一方で、よだれは嚥下障害や神経の病気のサインのことがあります。むせる・飲み込みにくい・口の片側だけから垂れる・急に始まった、といった様子を伴うときは、様子を見すぎず、かかりつけ医や神経内科・歯科口腔外科・耳鼻咽喉科に相談してください。観察したサインに合わせて相談先を選ぶことが、原因の早期発見と適切なケアにつながります。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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