
日本人高齢者のフレイル有病率は8.7%|全国調査が示す割合と年齢差・地域差を介護現場目線で読む
地域在住の日本人高齢者全体のフレイル該当割合は8.7%、プレフレイル40.8%(東京都健康長寿医療センター・全国代表サンプル)。評価基準で割合が変わる理由、年齢階級別の急増、西高東低の地域差を疫学エビデンスから整理し、介護予防・科学的介護の現場的意味を解説します。
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この記事のポイント
地域在住の日本人高齢者全体のフレイル該当割合は8.7%(95%信頼区間7.5〜9.9%)、その前段階であるプレフレイルは40.8%、健常は50.5%です。これは東京都健康長寿医療センター研究所などが「全国高齢者パネル調査」の代表サンプル(2,206名)を用い、日本人高齢者全体のフレイル割合を初めて推計した全国調査の数値です(Murayama H, et al. Arch Gerontol Geriatr 2020)。割合は評価基準と調査対象によって大きく変わり、フレイル基準を使った国内研究では1.5〜17.9%まで開きがあります。確かなのは「年齢が上がるほど急増する(85歳以上では3人に1人前後)」「健常から要介護の中間にあたるプレフレイル層が約4割と最大」という構造です。介護職にとってこの数字は、通いの場や基本チェックリストで可逆性のあるプレフレイル層を早期に拾うことの根拠になります。
目次
「フレイル予防が大切」とよく言われますが、では実際にどれくらいの高齢者がフレイルなのかを即答できる介護職は多くありません。施策を立て、効果を測り、現場のアセスメントの当たりをつけるうえで、有病率(該当割合)は出発点になる基礎データです。
ところが、この「割合」は調べる研究ごとにバラつきが大きく、同じ日本人高齢者を対象にしても数%から十数%まで開きます。理由は単純で、フレイルをどの評価基準で測るか、どんな集団を対象にするかで結果が変わるからです。本記事では、日本人高齢者全体の代表サンプルから割合を初めて示した全国調査を軸に、年齢階級別・地域別の差、評価基準による違いを疫学エビデンスとして整理します。そのうえで、有病率データが介護現場・介護予防・科学的介護にとって何を意味するのかを、介護職の視点で掘り下げます。
フレイルの有病率は『評価基準』で変わる|表現型モデルと障害蓄積モデル
有病率の数字を正しく読むには、まず「何をフレイルと数えているか」を押さえる必要があります。フレイルの有病率は、用いる評価基準によって体系的に変わるためです。
フレイルの代表的な評価基準
フレイルの捉え方は大きく2系統あります。1つは表現型モデル(phenotype model)で、Fried らが提唱した5項目(体重減少・疲労感・身体活動の低下・握力低下・歩行速度低下)のうち3項目以上をフレイル、1〜2項目をプレフレイル、0項目を健常とするものです。日本では、このCHS基準を日本人向けに修正した日本版CHS基準(J-CHS基準)が代表的な診断法として位置づけられ、2020年に改訂版(Satake S, et al.)が公表されています。もう1つは障害蓄積モデル(deficit accumulation model)で、多数の健康問題(欠損)の積み重なりを指標化する考え方です。一般に、障害蓄積モデルのほうが該当者を広くとるため、有病率は高めに出ます。
同じ「フレイル」でも割合が変わる理由
表現型モデル(Fried/J-CHS系)を使った国内研究を並べてみても、フレイル割合は1.5%から17.9%まで15ポイント以上の幅があります。これは、調査地域、対象者の選び方(健康な参加者が集まりやすい調査か、無作為抽出か)、年齢構成、握力や歩行速度のカットオフ値の置き方などの違いによるものです。つまり「フレイルは何%」という一つの数字が独り歩きするのは危うく、どの基準・どの集団で測った値かを必ずセットで見る必要があります。基本チェックリスト(25項目)から簡易にフレイルを判定する方法(Satake らの基準で8点以上をフレイル)もあり、自治体の通いの場や介護予防の現場ではこちらが広く使われています。
改訂J-CHS基準(2020年)の5項目
現場で最もよく参照されるのが、2020年に改訂された日本版CHS基準です。次の5項目で判定します。(1)体重減少(6か月で2〜3kg以上の意図しない減少)、(2)筋力低下(握力:男性28kg未満・女性18kg未満)、(3)疲労感(わけもなく疲れたような感じがする)、(4)歩行速度の低下(1.0m/秒未満)、(5)身体活動の低下(軽い運動・定期的な運動をいずれもしていない)。3項目以上でフレイル、1〜2項目でプレフレイル、該当なしで健常(ロバスト)と分類します。注意したいのは、握力カットオフが旧基準(男性26kg/女性17kg)から改訂で引き上げられた点で、同じ集団でも基準の版が違えば該当者数が変わるということです。有病率を比較するときは、Fried指標か基本チェックリストか、旧J-CHSか改訂J-CHSか、までさかのぼって確認すると誤読を避けられます。研究によって割合がばらつく一因は、まさにこの「ものさしの違い」にあります。
全国調査が示す主要数値|割合・年齢階級・地域差
ここでは、日本人高齢者全体のフレイル割合を初めて代表サンプルで示した全国調査を中心に、主要な疫学データを整理します。いずれも地域在住(施設入所者を含まない)高齢者を対象とした数値である点に注意してください。
全国代表サンプルによるフレイル割合(Murayama 2020)
東京都健康長寿医療センター研究所・東京大学・ミシガン大学が合同で実施する「全国高齢者パネル調査」の2012年調査(第8回)データを用い、層化二段無作為抽出による65歳以上2,206名を訪問調査した全国研究です。性別・年齢の偏りは2010年国勢調査の人口構成で重み付け補正されています。Fried らの指標で判定した結果は次のとおりです。
| 状態 | 割合 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|
| フレイル | 8.7% | 7.5〜9.9% |
| プレフレイル | 40.8% | 38.7〜42.9% |
| 健常(ロバスト) | 50.5% | 48.4〜52.6% |
性別による差はほとんどなく、年齢が高いほどフレイル割合が高い傾向、教育年数が短いほど・夫婦収入が少ないほどフレイル割合が高い傾向(社会経済的勾配)が示されました。地域ブロック別では、おおむね西日本で高く東日本で低い「西高東低」の傾向がみられています。さらに調査5年後の追跡では、健常群に比べてフレイル群は総死亡・入院/入所・基本的生活機能障害(歩行・食事・入浴・排泄など)の発生いずれも悪いという結果でした。
メタ解析が示す年齢階級別の急増(Kojima 2017)
国内の代表的な研究を統合したシステマティックレビュー・メタ解析(Kojima G, et al. J Epidemiol 2017)では、地域在住高齢者の身体的フレイルは7.4%、プレフレイル48.1%、健常44.4%と推計されました。年齢階級別では、加齢とともにフレイル割合が急増する構造がはっきり表れています。
| 年齢階級 | フレイル有病率(メタ解析) |
|---|---|
| 65〜69歳 | 1.9% |
| 70〜74歳 | 3.8% |
| 75〜79歳 | 10.0% |
| 80〜84歳 | 20.4% |
| 85歳以上 | 35.1% |
65〜69歳では約50人に1人ですが、85歳以上では約3人に1人へと跳ね上がります。後期高齢者・超高齢者が増える今後、フレイル該当者の実数が膨らむことを示唆します。
別指標・別集団での数値
同じ日本でも、対象集団や測り方を変えると数値が動きます。下表は代表的なものです。
| 調査・出典 | 対象・基準 | フレイル割合 |
|---|---|---|
| Murayama 2020(全国代表サンプル) | 地域在住65歳以上2,206名/Fried指標 | 8.7%(プレフレイル40.8%) |
| Kojima 2017(メタ解析) | 国内研究の統合/身体的フレイル | 7.4%(プレフレイル48.1%) |
| Shimada 2013(OSHPE) | 地域在住5,104名・平均71.7歳/基本チェック・5項目 | 11.5%(予備群32.8%) |
Shimada らの調査(J Am Med Dir Assoc 2013)でも年齢勾配は明確で、フレイル有症率は65〜69歳5.6%、70〜74歳7.2%、75〜79歳16%、80歳以上34.9%と報告されています。基準・集団が違っても「8〜12%前後、加齢で急増、プレフレイルが3〜5割」という大枠は共通しています。
有病率データの正しい読み方|基準・集団・相関の注意
有病率データは、読み方を誤ると現場判断をミスリードします。介護職が押さえておきたい「数字の正しい読み方」を整理します。
基準が違えば割合が違う ― 単一の数字を絶対視しない
前述のとおり、Fried/J-CHS のような表現型モデルと障害蓄積モデルでは、同じ集団でもフレイル割合が大きく変わります。世界62か国・240研究の大規模メタ解析(O'Caoimh R, et al. Age Ageing 2021)でも、表現型モデルではフレイル12%・プレフレイル46%、障害蓄積モデルではフレイル24%・プレフレイル49%と、モデル間で約2倍の差がありました(地域別ではアジア11%)。「○%」という数字を引用するときは、どの基準で測ったかを必ず添えるのが鉄則です。
地域在住者の数字であり、施設・病院では高い
ここまでの8.7%や7.4%は、いずれも地域在住高齢者の値です。介護施設や高齢者専門病院では、より虚弱な人が集まるため割合は跳ね上がります。たとえば高齢者専門大学病院の外来登録者を対象とした横断研究(JUSTICE-TOKYO研究、2024)では改訂J-CHS基準でフレイル有病率16.6%と、地域住民の過去研究(7.4%)より高い値が報告されています。自分の職場がどの集団かによって、想定すべき割合は変わります。
有病率は時代とともに動く ― 過去の数字を固定値にしない
有病率は調査年によっても変わります。国立長寿医療研究センターが日本の代表的コホート13研究を統合した解析(ILSA-J、J Frailty Aging 2020)では、身体的フレイルの有病率が2012年の7.0%から2017年の5.3%へと低下したと報告されています。介護予防施策の普及や高齢者の健康状態の変化が背景にあると考えられますが、一方で後期・超高齢者人口の増加で該当者の実数はむしろ増えうる点に注意が必要です。割合(率)と人数(実数)は別物であり、数年前の数字を現在の固定値として使わないことが大切です。
相関であり、因果や個人の運命ではない
「フレイル群は5年後の死亡・要介護が多い」という結果は重要ですが、これは集団レベルの関連(相関)を示すもので、ある個人が必ずそうなるという意味ではありません。また有病率調査の多くは一時点の横断データで、原因と結果の前後関係を断定するものではありません。フレイルは適切な介入で改善(健常方向への回復)もしうる可逆性のある状態とされており、割合が高い=諦める、ではなく、割合が高い=介入余地が大きい、と読むのが現場的に正しい姿勢です。
有病率データから見る介護予防の現場的意味(独自見解)
ここからは、有病率データを介護現場・介護予防・キャリアにどう活かすかという、介護職目線の見解です。数字を「へえ」で終わらせず、明日のアセスメントと支援設計につなげます。
最大ボリュームのプレフレイル層こそ介入の主戦場
全国調査でフレイルは8.7%ですが、プレフレイルは40.8%と圧倒的に多く、地域在住高齢者の約4割を占めます。プレフレイルは可逆性が高く、運動・栄養・社会参加の働きかけで健常方向へ戻りやすい層です。介護予防の費用対効果を考えると、すでに要介護に近いフレイル層だけでなく、この巨大なプレフレイル層を早期に拾って踏みとどまらせることが現場の主戦場になります。通いの場・サロン・住民主体の通所型サービス(介護予防・日常生活支援総合事業)は、まさにこの層にリーチする装置です。
基本チェックリストと「西高東低・社会経済勾配」をアセスメントの当たりに
有病率研究は、誰がフレイルになりやすいかのヒントもくれます。教育年数が短い・収入が少ないほどフレイル割合が高いという社会経済的勾配は、経済的に余裕のない利用者ほど予防の網から漏れやすいことを示唆します。地域支援事業の対象を選ぶとき、基本チェックリストの結果に加え、独居・低所得・社会的孤立といった背景に注意を向けると、拾うべき人を取りこぼしにくくなります。地域差(西高東低)も、自治体間でフレイル対策の必要度が一様でないことを示しています。
「拾う入口」を増やす ― 簡易チェックと栄養・口腔の窓口
有病率の構造(プレフレイルが約4割・加齢で急増)を踏まえると、現場の課題は「いかに早く拾うか」です。専門的な握力計や歩行速度測定がその場になくても、誰でもできる簡易スクリーニングが入口になります。たとえば、指で輪をつくりふくらはぎを囲む指輪っかテスト(隙間ができる人はサルコペニア・フレイルの疑い)や、栄養・口腔・運動・社会性・気分を11項目で問うイレブンチェックは、住民主体の通いの場でも運用しやすい方法です。とくに低栄養とオーラルフレイル(口腔機能の衰え)は身体的フレイルの上流にあたるため、食事量の減少・むせ・かみにくさといった食と口のサインを早期に拾うことは、フレイルの入口を塞ぐ実効性の高い介入になります。介護職が日々の関わりの中でこれらのサインに気づき、管理栄養士や歯科衛生士につなぐ動線をつくることが、有病率データを現場の行動に翻訳する第一歩です。
科学的介護(LIFE)・多職種連携でフレイルを「測って動かす」
有病率という静的な数字を、現場では個々の利用者の経時変化に翻訳することが大切です。科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ提出とフィードバック活用が加算要件に組み込まれた今、握力・歩行速度・体重・口腔機能・栄養・活動量といったフレイル関連指標を継続的に測り、悪化のサインを早期に捉える運用が現実的になりました。リハ職・管理栄養士・歯科衛生士・看護職と連携し、フレイルを「測る→介入する→再評価する」サイクルに乗せることは、加算という事業性の面でも、利用者の生活機能維持という本来の目的の面でも理にかなっています。
介護職のキャリアとしての意味
フレイルの疫学を理解している介護職は、ケアプランやサービス担当者会議で「なぜこの人に予防的介入が要るのか」をデータの言葉で説明できる専門職になります。フレイル・サルコペニア・栄養・口腔は今後ますます加算・制度の中心テーマになる領域であり、エビデンスを現場運用に翻訳できる人材は、機能訓練特化型・地域包括・通所介護などで重宝されます。有病率の構造(プレフレイルが最多・加齢で急増・可逆性あり)を腹落ちさせておくことは、専門性とキャリアの両面で効いてきます。
有病率データを現場で扱うときの注意点
有病率データを現場で引用・活用するときの実務的な注意点をまとめます。
数字には必ず「基準・集団・年」を添える
「フレイルは8.7%」とだけ言うと、別集団・別基準の利用シーンで誤用されがちです。研修資料やケース検討で引くときは「全国代表サンプル・Fried指標・地域在住・2012年調査(Murayama 2020)」のように条件をセットで示すと、議論がブレません。
地域在住の値を施設・病院にそのまま当てはめない
地域在住で8.7%でも、施設・専門病院では十数%以上に上がります。自施設の利用者層に近い集団の数値を選んで参照しましょう。
プレフレイル=介入チャンスと捉える
プレフレイルは「まだフレイルではない」ではなく「戻せる今がチャンス」の層です。約4割という多さを、予防プログラムへの動機づけメッセージに使えます。
海外データの直輸入に注意
海外研究の割合は、評価基準・人口構成・生活習慣・医療制度が日本と異なります。アジア11%・ヨーロッパ8%・アフリカ22%といった国際差はあくまで参考にとどめ、日本の現場判断は国内の代表データを軸にします。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本人高齢者のフレイル有病率はどれくらいですか?
地域在住の日本人高齢者全体では約8.7%(プレフレイル40.8%、健常50.5%)です。これは全国代表サンプル2,206名をFried指標で判定した全国調査の値です(Murayama H, et al. Arch Gerontol Geriatr 2020)。国内研究を統合したメタ解析では身体的フレイル7.4%(Kojima 2017)と、おおむね7〜12%の範囲に収まります。
Q. なぜ研究によって割合が違うのですか?
フレイルの評価基準(表現型モデルか障害蓄積モデルか、握力・歩行速度のカットオフ値)と、調査対象(無作為抽出か健康な参加者中心か、地域在住か施設・病院か)が研究ごとに異なるためです。Fried系の国内研究だけでも1.5〜17.9%の開きがあります。数値を見るときは基準と対象集団を必ず確認してください。
Q. 年齢によってどのくらい変わりますか?
加齢とともに急増します。メタ解析では65〜69歳1.9%、70〜74歳3.8%、75〜79歳10.0%、80〜84歳20.4%、85歳以上35.1%で、85歳以上ではおよそ3人に1人がフレイルに該当します。後期・超高齢者が増えるほどフレイル該当者の実数は膨らみます。
Q. 地域や所得による差はありますか?
あります。全国調査では、おおむね西日本で高く東日本で低い「西高東低」の地域差と、教育年数が短いほど・収入が少ないほどフレイル割合が高い社会経済的勾配が示されました。性別による差はほとんどありませんでした。
Q. 介護施設や病院ではフレイルの割合はもっと高いのですか?
はい。本記事の8.7%や7.4%は地域在住高齢者の値です。より虚弱な人が集まる介護施設や高齢者専門病院では割合が上がり、高齢者専門大学病院の外来登録者では改訂J-CHS基準で16.6%という報告(JUSTICE-TOKYO研究)もあります。施設・在宅・病院など、自分の職場の利用者層に近い集団の数値を参照することが大切です。
Q. 有病率は最近変化しているのですか?
国内の代表的コホートを統合した解析(ILSA-J)では、身体的フレイルの有病率が2012年の7.0%から2017年の5.3%へ低下したと報告されています。ただし後期・超高齢者の増加により、割合が下がっても該当者の実数は増えうるため、率と人数を分けて捉える必要があります。
Q. フレイルは戻る(改善する)のですか?
フレイルは健康と要介護の中間にあり、適切な運動・栄養・社会参加の介入で健常方向へ戻りうる可逆性のある状態とされています。とくにプレフレイル層は改善しやすく、早期発見・早期対応の価値が大きい層です。ただし個人差があり、確実に防げる・治せると断定できるものではありません。
参考文献・出典
- [1]日本人高齢者全体のフレイル割合は8.7%:全国規模の訪問調査から判明- 東京都健康長寿医療センター研究所(研究トピックス)
原報(Murayama 2020)の研究機関による公式解説。全国高齢者パネル調査2012年・代表サンプル2,206名でフレイル8.7%(95%CI 7.5-9.9)、プレフレイル40.8%、健常50.5%、年齢勾配・社会経済勾配・西高東低の地域差・5年予後を掲載。
- [2]日本人高齢者全体のフレイル割合は 8.7%(研究所NEWS No.303)- 東京都健康長寿医療センター研究所
同研究機関の機関誌PDF。原著(Murayama H, Kobayashi E, Okamoto S, et al. National prevalence of frailty in the older Japanese population. Arch Gerontol Geriatr 2020;91:104220)の調査方法・判定基準・信頼区間・図表を詳述。
- [3]Prevalence of frailty in Japan: A systematic review and meta-analysis(Kojima G, et al. J Epidemiol 2017;27(8):347-353)- 日本疫学会(Journal of Epidemiology・J-STAGE)
国内研究を統合したメタ解析の原報PDF(オープンアクセス)。地域在住高齢者の身体的フレイル7.4%・プレフレイル48.1%、年齢階級別(65-69歳1.9%〜85歳以上35.1%)を提示。
- [4]フレイル対策を中心とした保健事業について- 厚生労働省
厚生労働省の公的資料。J-CHS基準の5項目とカットオフ、フレイル有症率(Shimada 2013:地域在住5,104名で11.5%・予備群32.8%、年齢別有症率)、介護予防・早期発見の政策的位置づけを掲載。
- [5]フレイルの診断(J-CHS基準・基本チェックリスト)- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)
公益財団法人長寿科学振興財団の公的解説。日本版CHS基準(J-CHS基準)の判定(3項目以上=フレイル等)、基本チェックリスト、フレイルチェックの方法を整理。
まとめ|有病率の構造を介護現場でどう活かすか
日本人高齢者全体のフレイル割合は、代表サンプルによる全国調査で8.7%、プレフレイル40.8%。メタ解析でも身体的フレイル7.4%とおおむね一致し、年齢が上がるほど急増(85歳以上で約3人に1人)、西高東低の地域差と社会経済的勾配がある、という構造が見えてきます。同時に、割合は評価基準と対象集団によって大きく動くため、単一の数字を絶対視せず「どの基準・どの集団・いつの値か」をセットで読むことが欠かせません。
介護現場にとっての要点は3つです。第一に、最大ボリュームで可逆性の高いプレフレイル層(約4割)こそ介入の主戦場であること。第二に、社会経済的に不利な人ほど割合が高いため、基本チェックリストと背景情報で拾い漏れを防ぐこと。第三に、有病率という静的データを、LIFE・多職種連携を通じて個々の利用者の経時変化として「測って動かす」運用に落とすこと。有病率の構造を腹落ちさせた介護職は、なぜ予防的介入が必要かをデータの言葉で語れる専門職になります。フレイルは「年だから仕方ない」ではなく、早期に見つけて働きかける余地のある状態です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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