高齢の親がのどを詰まらせたら|家庭でできる窒息の応急対応と予防【家族向け】
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高齢の親がのどを詰まらせたら|家庭でできる窒息の応急対応と予防【家族向け】

高齢の親が食事中にのどを詰まらせたとき、家族が落ち着いて行う応急対応をまとめました。窒息のサイン、声や咳の有無による分岐、背部叩打法と腹部突き上げ法のやり方、119番のタイミング、意識がなくなったときの対応、日頃の誤嚥・窒息予防まで一次資料に基づき解説します。

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高齢の親が食事中にのどを詰まらせ、声も咳も出せず苦しそうにしているときは、気道が完全にふさがった窒息のサインです。まず大声で助けを呼び、できれば誰かに119番通報を頼みます。親の後ろから手のひらの付け根で左右の肩甲骨の間を強く何度も叩く「背部叩打法」を行い、出てこなければ後ろから腹部を手前上方へ突き上げる「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」を、異物が取れるか反応がなくなるまで交互に続けます。反応がなくなったら床に寝かせて胸骨圧迫(心肺蘇生)を始めます。咳が出ているうちは無理に処置せず、咳を続けるよう励ましてください。

目次

お正月のお雑煮や、いつものご飯やおかゆ。高齢の親との何気ない食事の最中に、急に親が苦しそうな顔をして黙り込んだら、家族はどうすればよいのでしょうか。のどに食べ物が詰まる窒息は、加齢で噛む力や飲み込む力が弱くなった高齢者に起こりやすく、対応が数分遅れるだけで命にかかわります。

大切なのは、家族がパニックにならず、決まった順番で手を動かすことです。救急車は呼んでもすぐには来ません。到着までの数分間、その場にいる家族の行動が結果を大きく左右します。逆に言えば、正しい順番を知っているだけで、助けられる命があります。

この記事では、自宅で高齢の親がのどを詰まらせた瞬間に家族ができる応急対応を、消費者庁・消防庁・日本医師会などの公的な手引きにそって、順を追って説明します。窒息のサインの見分け方、背部叩打法と腹部突き上げ法のやり方、119番のタイミング、意識がなくなったときの心肺蘇生まで、家庭で必要な手順を一通りまとめました。あわせて、窒息を起こさないために日頃の食事で気をつけたいことも紹介します。いざというときに迷わないよう、落ち着いて読んでおいてください。

なお、この記事は家庭での応急対応の知識を整理したものです。実際に窒息が疑われる場面では、ためらわず119番に通報し、通信指令員の指示にしたがってください。

高齢者の窒息は交通事故より多い|知っておきたい数字

高齢者の窒息は、決してまれな事故ではありません。消費者庁によると、令和3年(2021年)の人口動態調査では、65歳以上で食べ物などが気道をふさいだことによる死亡は3,884人にのぼり、同じ年の交通事故による死亡(2,150人)の約1.8倍にあたります。「家の中での食事」のほうが、外を歩くことより死亡事故が多いという事実は、意外に知られていません。

特に注意したいのが、お正月の餅です。消費者庁が平成30年(2018年)から令和元年(2019年)の餅による高齢者の死亡事故を分析したところ、43%が1月に、14%が12月に発生し、特に正月三が日に集中していました。また、男性の死亡者数は女性の約2.6倍多いこともわかっています。年末年始は、家族が集まる時期でもあります。久しぶりに親と食卓を囲むときこそ、餅の大きさや食べ方に気を配りたいものです。

ただし、危険なのは餅だけではありません。厚生労働省の研究では、ご飯などの穀類でも窒息は起きており、おかゆやゼリー、流動食といった「のどを通りやすい」とされる食品でも事故が報告されています。やわらかいから安心とは限らないのです。実際の事故では、ご飯やパンといった日常の主食が原因になることも少なくありません。

高齢者が詰まらせやすい背景には、加齢による変化があります。歯や入れ歯の問題で噛む力が落ちる、唾液が減って食べ物がまとまりにくい、飲み込むタイミングがずれて気管に入りやすくなる、といった要因が重なります。こうした飲み込む力(嚥下機能)の低下は、見た目にはわかりにくく、本人も気づかないうちに進むことがあります。だからこそ、ふだんの食事の見守りと、もしものときの応急対応の両方を、家族が知っておくことが大切です。

窒息のサインを見逃さない|チョークサインと高齢者特有の注意点

応急対応の第一歩は、「これは窒息だ」と早く気づくことです。のどが詰まったときに体に現れるサインを知っておきましょう。気づきが数十秒早いだけで、その後の手当ての成否が大きく変わります。

窒息の代表的なサイン

  • チョークサイン:親指と人差し指で自分ののどをつかむしぐさ。「のどが詰まった」ことを伝える世界共通のサインです。
  • 声が出せない・話せない:呼びかけても声で答えられない。
  • 苦しそうで顔色が悪い:唇や顔、手足が青黒くなる(チアノーゼ)。これは酸素が足りていない危険なサインです。
  • 急に黙り込む・うなずくだけ:食事中に急に静かになり、口元を押さえる。

高齢者ならではの見落としに注意

ここが家族にとって大事なポイントです。高齢者は、チョークサインをはっきり出さずに、ただ黙ってうつむいていることが少なくありません。「静かに食べているだけ」と思っていたら、実はのどが詰まっていた、ということが起こり得ます。認知症などで自分の異変をうまく伝えられない場合は、なおさら気づきにくくなります。

食事中に親の様子が急におかしくなったら、まず「のどに詰まった?」と声をかけ、声が出せるかどうかを確かめてください。返事ができない、首を振るだけ、口をパクパクさせて音が出ない、といった場合は窒息を強く疑い、すぐに次の行動に移ります。

「窒息」と「ただのむせ」を見分ける

食事中にむせて咳き込むのは、体が異物を出そうとする自然な反応です。強い咳が続いている間は、気道は完全にはふさがっていません。この段階では、背中を叩いたりせず、咳を続けるよう見守ります。一方、咳が弱々しくなる、声が出ない、ヒューヒューと音がする、顔色が変わる、といったときは、窒息へ進んでいるサインです。むせと窒息の境目を見極め、咳が出せなくなったら、ためらわず応急手当に切り替えてください。

のどを詰まらせたときの対応の流れ|5ステップ

窒息が疑われたとき、家族がどう動くかを順番に整理します。あわてず、上から順にたどってください。大きな流れは「咳の確認 → 助けを呼ぶ・119番 → 背部叩打法 → 腹部突き上げ法 → 反応がなければ胸骨圧迫」です。

ステップ1:声と咳が出せるか確認する

まず「咳をして」と声をかけ、強い咳ができるかを見ます。強い咳ができている間は、気道が完全にはふさがっていません。このときは無理に背中を叩いたりせず、咳を続けるよう励まし、注意深く見守ってください。咳は体が異物を出そうとする一番自然な力です。咳が弱くなったり、できなくなったりしたら、窒息として次の行動に移ります。

ステップ2:助けを呼び、119番通報する

声も咳も出せず、苦しそうにしている場合は窒息と判断します。すぐに大声で家族や近くの人を呼び、誰かがいれば119番通報を頼みます。通報する人と手当てをする人を分けられると、対応が早くなります。一人しかいない場合は、救急蘇生法の指針では、まず異物を取り除く処置を始めるとされています。状況に応じて、スマートフォンのスピーカー通話にして通報しながら処置するのも有効です。

ステップ3:背部叩打法を行う

反応がある(意識がある)うちは、まず背中を叩く背部叩打法を試します。手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の間を力強く叩きます。詳しいやり方は次の章で説明します。

ステップ4:腹部突き上げ法に切り替える

背部叩打法で出てこなければ、腹部突き上げ法(ハイムリック法)に切り替えます。異物が取れるか、親の反応がなくなるまで、背部叩打法と腹部突き上げ法を交互に繰り返します。どちらか一方だけにこだわらず、出るまで続けることが大切です。

ステップ5:反応がなくなったら心肺蘇生

ぐったりして反応がなくなったら、ただちに床に寝かせ、119番に通報したうえで胸骨圧迫(心肺蘇生)を始めます。詳しくは後述します。ここまでの流れを家族で共有しておけば、いざというときに迷わず体が動きます。

背部叩打法のやり方|背中を叩いて吐き出させる

背部叩打法は、背中を強く叩いて、のどに詰まったものを吐き出させる方法です。反応がある(意識がある)窒息に対して、高齢者にもまず試す基本の手当てです。妊婦や乳児にも行えます。

背部叩打法のやり方

  1. 親の後ろ(やや横)に立つか、ひざをつきます。立てない場合は座ったまま、または横向きに寝かせた状態でも行えます。
  2. できれば、親の上半身を前かがみにし、頭を胸より低い位置にします。こうすると、出てきた異物が口の外へ落ちやすくなります。
  3. 片方の手で親の胸や肩を支えます。
  4. もう一方の手のひらの付け根(手首に近い硬い部分)で、左右の肩甲骨と肩甲骨の間を、力強く何度も叩きます。
  5. 1回叩くごとに、異物が出たかどうかを確認します。出るまで、または反応がなくなるまで続けます。

ポイントと注意

  • 遠慮して弱く叩いても効果がありません。高齢者でも、ためらわずしっかりした力で叩きます。骨折を心配するより、まず詰まりを取ることが優先です。
  • 消防庁や日本医師会の手順でも、連続して強く叩くことが共通して案内されています。1回ごとに様子をうかがってためらうのではなく、リズムよく続けるのがコツです。
  • 叩く方向は、異物が口のほうへ動くよう、やや頭側を意識します。
  • 異物が出てきたら、口の中を確認し、見える範囲のものは取り除きます。

腹部突き上げ法(ハイムリック法)のやり方と禁忌

背部叩打法で異物が出てこないときは、腹部突き上げ法(ハイムリック法)に切り替えます。お腹を手前上方へ突き上げ、肺に残った空気の力で異物を押し出す方法です。

腹部突き上げ法のやり方

  1. 親の後ろに回り、両腕を脇の下から前へ回して抱えるようにします。
  2. 片手で握りこぶしを作り、親指側を、親のへその上方、みぞおちより十分下の位置に当てます。
  3. もう一方の手でその握りこぶしを包むように握ります。
  4. 手前上方(自分のほうへ、斜め上に持ち上げるように)へ、すばやく圧迫するように突き上げます。
  5. 異物が取れるか、親の反応がなくなるまで繰り返します。背部叩打法と交互に行ってもかまいません。

腹部突き上げ法を行ってはいけない人(禁忌)

次の人には腹部突き上げ法を行わず、背部叩打法を中心に対応します。

  • 妊婦
  • 乳児(1歳未満)
  • 高度に肥満して腕が回らない人

これらの場合や腕が届かない場合は、胸の中央(胸骨の下半分)を突き上げる「胸部突き上げ法」を行う方法もあります。これは反応がなくなったときの胸骨圧迫と同じ場所を、立った姿勢で押すイメージです。妊婦や乳児に背部叩打法は行えるので、まずは背部叩打法を確実に繰り返すことが基本になります。

実施したあとは必ず受診を

腹部突き上げ法は、お腹を強く圧迫するため、内臓を傷つける可能性があります。異物が取れて落ち着いたあとでも、救急隊にこの方法を行ったことを伝えるか、すみやかに医師の診察を受けてください。これは消防庁や日本医師会の応急手当でも共通して案内されている注意点です。見た目が元気そうでも、内出血などが後から問題になることがあります。

意識がなくなったら|心肺蘇生(胸骨圧迫)の手順

処置の途中で親がぐったりし、呼びかけても反応がなくなったら、心停止に向かっている危険な状態です。落ち着いて、次の手順に移ります。

反応がなくなったときの手順

  1. 床などの硬く平らな場所にあお向けに寝かせます
  2. まだ119番通報していなければ、すぐに通報します。一人のときはスマートフォンをスピーカーにして、指令員の指示を受けながら進めます。AEDが近くにあるとわかっていれば、取りに行く(または誰かに頼む)ようにします。
  3. 胸骨圧迫(心肺蘇生)を始めます。胸の真ん中(左右の乳首を結んだ線の中央あたり)に手の付け根を重ねて当て、両ひじをまっすぐ伸ばし、胸が約5cm沈むまで強く・速く・絶え間なく押します。目安は1分間に100〜120回のテンポです。1回押すごとに、手を浮かさずに胸が元の高さまで戻るのを待ちます。
  4. 胸骨圧迫の合間に口の中を見て、異物が見えれば取り除きます。見えないのに、やみくもに指を入れて探るのは避けてください。かえって奥に押し込む恐れがあります。
  5. 救急隊が到着するか、親が動き出すまで、心肺蘇生を続けます。

胸骨圧迫の合間に人工呼吸を行う方法(胸骨圧迫30回に人工呼吸2回)もありますが、やり方に自信がなかったり、ためらいがあったりするときは、人工呼吸は省いて胸骨圧迫だけを続けてかまいません。何もしないまま救急車を待つよりも、胸骨圧迫を続けるほうが救命につながります。119番の通信指令員が電話口で手順を教えてくれるので、その指示にしたがって、できることから手を動かしてください。

やってはいけないこと|逆効果になる対応

とっさの場面では、よかれと思った行動が逆効果になることもあります。家族が知っておきたい「やってはいけないこと」を整理します。

見えない異物を指でかき出さない

口の奥に指を突っ込んで探るのは危険です。異物がさらに奥へ入り、気道を完全にふさいでしまうことがあります。異物が目で見える場合だけ、指やガーゼを巻いた指で取り除きます。ピンセットや箸も、見えているものに限って使います。

お茶や水で流し込もうとしない

「水を飲ませれば流れるのでは」と考えがちですが、すでに詰まっているところへ水分を入れると、かえって気道に入り、危険を高めます。飲み込めずに苦しんでいるときに、無理に飲ませてはいけません。

掃除機で吸い出すのは推奨されない

掃除機のホースで異物を吸い出す方法が知られていますが、口の粘膜を傷つける、かえって時間を浪費するなどの問題があり、公的な応急手当の手順では基本として推奨されていません。まずは背部叩打法と腹部突き上げ法を確実に行うことが大切です。

「様子を見よう」と通報をためらわない

窒息は時間との勝負です。判断に迷ったら、それは119番通報すべきサインです。結果的に軽症でも、ためらって遅れるより、早く助けを呼ぶほうがはるかに安全です。

日頃の窒息・誤嚥予防|一口量・とろみ・姿勢・見守り

応急対応を知っておくことと同じくらい大切なのが、そもそも窒息を起こさせない日頃の工夫です。介護や毎日の食事のなかで、家族が無理なくできる予防のポイントを紹介します。

特に気をつけたい食べ物

窒息事故は、特定の食べ物で起こりやすいことがわかっています。次のような食品は、高齢者に出すときに大きさや調理法を工夫しましょう。

  • 餅・白玉・団子:粘り気が強く、のどに張りつきやすい食品です。小さく切り、年末年始は特に注意します。
  • ご飯・パン:口の中で固まりになりやすく、量が多いと詰まります。パンは汁物と一緒にすると飲み込みやすくなります。
  • こんにゃく・きのこ・海藻・肉のかたまり:噛み切りにくく、丸ごと飲み込むと詰まりやすい食品です。
  • ナッツ・豆・あめ:小さくても、つるりと気管に入りやすいので注意します。

食べ物の工夫

  • 小さく切る:餅は小さく切り、食べやすい大きさにします。ご飯やおかずも、ひと口で無理なく飲み込める大きさを意識します。
  • 先にのどを潤す:食事の前に、お茶や汁物を少し飲んでのどを湿らせておくと飲み込みやすくなります。ただし、詰まったものを流し込むためではありません。
  • とろみをつける:飲み込む力が弱い場合は、市販のとろみ調整食品で汁物や水分にとろみをつけると、気管に流れ込みにくくなります。かかりつけ医や歯科、言語聴覚士に相談すると、その人に合った形態がわかります。

食べ方・姿勢の工夫

  • 一口量を少なく、ゆっくり:少量ずつ口に入れ、よく噛んでから飲み込みます。口の中のものを飲み込んでから、次の一口を入れます。
  • 背すじを起こした姿勢で:あごを軽く引き、やや前かがみの姿勢が安全です。ベッドの上なら、上体を起こします。あごが上を向くと気管に入りやすくなるので避けます。
  • 食事に集中できる環境にする:テレビに気を取られたり、話しかけられて返事をしながら食べたりすると、むせやすくなります。落ち着いて食べられる雰囲気をつくります。

家族の見守り

噛む力や飲み込む力が弱った高齢者と食事をするときは、できるだけそばで見守りましょう。「むせていないか」「飲み込めているか」を気にかけるだけで、異変に早く気づけます。特に餅を食べる年末年始は、ひとりで食べさせず、家族の目があるところで食べるようにすると安心です。

くり返しむせる、食事に時間がかかるようになった、体重が減ってきた、といった変化があれば、飲み込む力(嚥下機能)が落ちているサインかもしれません。早めにかかりつけ医や歯科に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 親が餅をのどに詰まらせました。まず何をすればよいですか。

声や強い咳が出せるかを確認します。出せないなら窒息と判断し、大声で助けを呼び、誰かに119番通報を頼んだうえで、背部叩打法(背中を叩く)を始めます。出てこなければ腹部突き上げ法に切り替え、交互に繰り返します。咳が出ているうちは、咳を続けるよう励まします。

Q. むせているだけなのか、窒息なのか、どう見分けますか。

強い咳が出せている間は、気道は完全にはふさがっていません。この段階は「むせ」に近く、咳を続けさせて見守ります。一方、咳が弱々しくなる、声が出ない、ヒューヒューと音がする、顔色が青黒くなる、といったときは窒息へ進んでいるサインです。咳ができなくなったら、ためらわず応急手当を始めてください。

Q. 高齢の親が静かにうつむいているだけでも窒息のことがありますか。

あります。高齢者は、のどをつかむチョークサインをはっきり出さず、ただ黙ってしまうことが少なくありません。食事中に急に静かになり、顔色が悪い・声をかけても返事ができないときは、窒息を疑って声と咳の有無を確認してください。

Q. 背部叩打法と腹部突き上げ法は、どちらを先に行いますか。

一般的にはまず背部叩打法を行い、効果がなければ腹部突き上げ法に切り替えます。その後は、異物が取れるか反応がなくなるまで両方を交互に繰り返します。状況によってはどちらから始めてもかまいません。

Q. 腹部突き上げ法をしてはいけないのはどんな人ですか。

妊婦、1歳未満の乳児、高度に肥満して腕が回らない人には行いません。これらの場合は背部叩打法や、胸の中央を押す胸部突き上げ法で対応します。

Q. 異物が取れて落ち着けば、受診しなくても大丈夫ですか。

腹部突き上げ法を行った場合は、内臓を傷つけている可能性があるため、元気そうに見えても必ず医師の診察を受けてください。また、窒息で一時的に酸素が不足した後や、むせ込みが続く場合も、念のため受診をおすすめします。

Q. 救急車が来るまでの間、家族にできることは何ですか。

救急車は通報してもすぐには到着しません。到着までの数分間が勝負です。反応があるうちは背部叩打法と腹部突き上げ法を交互に続け、反応がなくなったら胸骨圧迫を始めます。やり方に迷ったら、119番の通信指令員が電話口で具体的に指示してくれるので、その声にしたがって手を動かし続けてください。

Q. 119番に通報したら、何を伝えればよいですか。

「のどに食べ物を詰まらせて声が出せない」「意識がある/ない」「年齢」「行った処置(背中を叩いた、腹部突き上げをした等)」を伝えます。あとは通信指令員が、到着までにすべきことを電話で具体的に指示してくれます。

参考文献・出典

まとめ|手順を家族で共有しておく

高齢の親がのどを詰まらせる窒息は、いつもの食卓で突然起こり得ます。だからこそ、家族があらかじめ手順を知っておくことが、何よりの備えになります。

覚えておきたい流れはシンプルです。声や咳が出せるか確認し、出せなければ助けを呼んで119番。背中を叩く背部叩打法、それでも出なければ腹部突き上げ法を交互に。反応がなくなったら胸骨圧迫。この順番を頭に入れておけば、いざというときに体が動きます。

そして、応急対応と同じくらい大切なのが、ふだんの予防です。小さく切る、ゆっくり食べる、姿勢を整える、そばで見守る。こうした毎日の積み重ねが、窒息のリスクを下げます。気になる変化があれば、かかりつけ医や歯科、言語聴覚士に早めに相談しましょう。

いざというときにあわてないために、この記事をご家族で共有し、手当ての手順を一度確認しておいてください。万一の数分間に落ち着いて動けることが、大切な親の命を守ります。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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