高齢者の耳鳴り|原因と家庭での対応・受診の目安と何科
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高齢者の耳鳴り|原因と家庭での対応・受診の目安と何科

高齢者の耳鳴りの原因(加齢性難聴・耳垢・薬剤・血圧など)と、片側だけ・拍動性・めまいを伴う危険なサインの見分け方、家庭での対応、受診の目安(耳鼻咽喉科)を、日本聴覚医学会のガイドラインをもとにわかりやすく解説します。

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高齢者の耳鳴りで最も多い原因は、加齢にともなう聞こえの低下(加齢性難聴)です。これは耳より「脳が音を補おうとする反応」で起こり、多くは命に関わるものではありません。ただし、片方の耳だけ・心臓の拍動に合わせてドクドク鳴る・めまいや急な難聴をともなう場合は、別の病気が隠れていることがあるため早めの受診が必要です。相談先は耳鼻咽喉科です。耳鳴りは「完全に消す」より「うまく付き合う」視点が大切で、生活の中の音を利用する方法や補聴器、音響療法(TRT)が役立ちます。

目次

年齢を重ねると、「キーン」「ジー」「ザー」といった耳鳴りを感じる方が増えます。日本聴覚医学会の「耳鳴診療ガイドライン2019」によると、日常生活の中で慢性的に続く耳鳴りを持つ人は成人の15〜30%ほどにのぼり、70歳ごろまでは年齢とともに増える傾向があるとされています。多くは深刻な病気ではありませんが、ご本人にとってはつらく、「このまま聞こえなくなるのでは」と不安になりがちです。

この記事は、介護を受けるご高齢の方やそのご家族に向けて、耳鳴りの主な原因、すぐ受診すべき危険なサイン、家庭でできる対応、そして「何科にかかればよいか」を、公的なガイドラインや医療機関の情報をもとに整理したものです。診断を目的とするものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず耳鼻咽喉科にご相談ください。

「耳鳴りは年のせいだから仕方ない」と感じている方は少なくありません。たしかに加齢にともなう耳鳴りは多いものの、なかには治療で改善するものや、早めの受診が必要なものも含まれます。原因を見極め、家庭でできる工夫を知っておくことで、不安をやわらげ、毎日を過ごしやすくすることができます。

耳鳴りとは?高齢者に多い特徴

耳鳴り(耳鳴)とは、まわりに明らかな音源がないのに、耳や頭の中で音を感じる状態をいいます。「キーン」という高い音、「ジー」「セミの声のような音」、「ザー」「ゴー」という低い音など、聞こえ方は人によってさまざまです。本人にしか聞こえない「自覚的耳鳴り」がほとんどで、まれに血流や筋肉の動きによって実際に音が生じ、医師が聴診器で確認できる「他覚的耳鳴り」もあります。

耳鳴りは「耳」より「脳」の反応で起こる

最近の研究では、耳鳴りの多くは耳そのものより「脳の働き」が深く関わっていると考えられています。耳の奥(内耳)には、音の振動を電気信号に変える「有毛細胞」というセンサーがあります。加齢や大きな音などで有毛細胞が傷つくと、特定の高さの音が脳に届きにくくなります。すると脳は「聞こえるはずの音がない」と感じ、感度を上げて音を拾おうとします。この過剰な反応が、実際には音がないのに「音が鳴っている」と感じさせる、というしくみです。

つまり耳鳴りは、難聴をきっかけに起こる脳の反応であることが多く、「気にするほど大きく感じる」という悪循環に入りやすい性質があります。だからこそ、後述するように「うまく付き合う」考え方が治療の中心になります。

音の種類で原因の見当がつくこともある

耳鳴りの聞こえ方は原因をうかがう手がかりになります。「キーン」「ピー」といった高い音は、加齢性難聴や疲労・ストレスにともなって起こることが多いタイプです。「ブーン」「ザー」「ゴー」といった低い音は、耳が詰まった感じ(耳閉感)をともないやすく、メニエール病や耳あかのつまり、耳管の不調などで生じることがあります。ただし、音の種類だけで原因を断定することはできません。あくまで受診のときに医師へ伝える情報のひとつとして役立ちます。

耳鳴りと「気持ち」はつながっている

済生会の解説でも、耳鳴りは「意識するほど大きく聞こえる」悪循環に入りやすいことが指摘されています。不安や気分の落ち込みがあると耳鳴りを強く感じやすく、逆に耳鳴りのつらさが不安や不眠を招くこともあります。「危ないものではない」と正しく理解することが、悪循環を断ち切る第一歩になります。だからこそ、まずは受診して原因を確かめ、安心できる説明を受けることに大きな意味があります。

高齢者の耳鳴りに多い主な原因

高齢者の耳鳴りには、いくつかの原因が重なっていることが少なくありません。日本聴覚医学会のガイドラインやMSDマニュアル家庭版などをもとに、高齢の方に多い主な原因を整理します。

1. 加齢にともなう難聴(加齢性難聴・老人性難聴)

高齢者の耳鳴りで最も多い背景です。年齢とともに内耳の有毛細胞が減り、高い音から聞こえにくくなります。多くは両耳で、「キーン」「ジー」といった高めの耳鳴りをともないます。長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、加齢性難聴は両耳に同じように現れ、ゆっくり進むのが特徴とされています。

2. 大きな音による傷み(騒音性難聴・音響外傷)

工事現場や工場など大きな音の環境で長く過ごした経験や、イヤホン・ヘッドホンの大音量も、内耳を傷め耳鳴りの原因になります。若いころの騒音の影響が、高齢になって耳鳴りとして残ることもあります。

3. 耳あかのつまり(耳垢栓塞)・耳管の不調

耳あかが外耳道に詰まると、こもったような耳鳴りや聞こえにくさが起こることがあります。これは原因を取り除けば改善するタイプです。高齢になると耳あかが乾燥して取れにくくなることもあり、無理に綿棒で押し込まず、耳鼻咽喉科で取ってもらうのが安全です。

4. メニエール病・突発性難聴などの耳の病気

回転するようなめまいをくり返すメニエール病、ある日突然片耳が聞こえにくくなる突発性難聴でも、耳鳴りをともなうことが多くあります。これらはめまいや急な難聴を合図に、早めの治療が必要です。

5. 薬の影響(薬剤性)

一部の鎮痛薬(アスピリンなど)、特定の抗生物質、利尿薬、抗がん剤などは、副作用で耳鳴りを起こすことがあります。多くは飲む量に関係し、中止で改善することが多いとされます。処方薬を飲み始めてから耳鳴りが出た場合は、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

6. 高血圧・動脈硬化など全身の状態、ストレス・睡眠不足

高血圧や動脈硬化、心臓の病気など全身の状態が耳鳴りに関わることもあります。また、ストレスや疲労、睡眠不足で自律神経が乱れると、耳鳴りが起きたり強く感じられたりします。生活リズムの乱れが耳鳴りを悪化させ、耳鳴りがさらに眠りを妨げる、という悪循環にも注意が必要です。

聞こえの低下を放置しないことも大切

耳鳴りの背景にある加齢性難聴は、コミュニケーションの減少を通じて、生活の質や気持ちの面にも影響することが知られています。聞こえにくさをそのままにすると、会話が億劫になって人との交流が減り、耳鳴りもいっそう気になりやすくなります。耳鳴りそのものへの対応とあわせて、「聞こえ」を補う工夫(補聴器の検討など)も、高齢の方の生活を支えるうえで大切な視点です。聞こえの低下は本人より周囲が先に気づくことも多いため、ご家族の声かけが受診のきっかけになります。

注意したい危険なサインと受診の目安

耳鳴りの多くは様子を見てよいものですが、なかには別の病気が隠れているサインのこともあります。日本聴覚医学会のガイドラインや耳鼻咽喉科の情報では、耳鳴りを「拍動性(心臓の拍動に合う)」と「非拍動性」に分け、ともなう症状から危険性を見分けます。次のいずれかに当てはまる場合は、早めに、または急いで受診してください。

すぐ受診(できればその日のうち)を考えるサイン

  • 片方の耳だけ、急に聞こえが悪くなった:突発性難聴の可能性があります。治療は早いほど回復が見込めるとされ、できれば数日以内の受診が望まれます。「耳が詰まった」「音がこもる」も合図です。
  • 回転するようなめまい・ふらつきをともなう:メニエール病や突発性難聴など内耳の病気が疑われます。低い「ブーン」という耳鳴りに、耳の詰まり感とめまいが重なるときは特に注意です。
  • 拍動性の耳鳴り(ドクドク・ザーザーと脈に合わせて鳴る):血管の異常や高血圧、まれに脳の病気が背景にあることがあります。加齢や騒音による一般的な耳鳴りとは原因が異なるため、早めに調べてもらいましょう。
  • 片側だけ続く強い耳鳴り:まれに聴神経腫瘍(耳の神経にできる良性の腫瘍)が隠れていることがあり、画像検査(MRIなど)で確認することがあります。

すぐに救急受診・救急車を考えるサイン

  • 耳鳴りに加えて、強い頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどが突然現れた場合は、脳卒中など一刻を争う状態の可能性があります。ためらわず救急車を呼ぶか救急外来を受診してください。

ひとまず様子を見てよい耳鳴り

一方で、両耳で鳴っていて数秒から数分で消える、くり返さない、めまいや難聴をともなわない耳鳴りは、生理的なものや疲労・ストレスによる一時的なものが多く、休養で落ち着くことがほとんどです。ただし、長く続く・くり返す場合や、上の危険なサインが少しでもある場合は、自己判断で放置しないことが大切です。

「危険なサインがない=放置してよい」ではない

上記の危険なサインがないからといって、長く続く耳鳴りをそのままにしてよいわけではありません。聞こえの低下が背景にある場合は、早めに対応するほど補聴器などによる対策の選択肢が広がります。また、高血圧や動脈硬化、糖尿病など全身の状態が耳鳴りに関わることもあるため、生活習慣病の管理を含めてかかりつけ医と耳鼻咽喉科で相談することが、結果的に耳鳴りの悪化を防ぐことにつながります。判断に迷うときは、まず耳鼻咽喉科で一度きちんと調べてもらうのが安心です。

家庭でできる耳鳴りとの付き合い方

原因となる病気の治療は医療機関で行いますが、日々の生活の工夫で耳鳴りのつらさをやわらげることもできます。「完全に消す」ことを目標にすると、かえって耳鳴りに意識が集中してつらくなりやすいため、「気にならない時間を増やす」ことを目標にするのがコツです。

静かすぎる環境を避け、生活の中の音を取り入れる

まわりが静かだと耳鳴りは目立ちます。逆に、適度な生活音があると耳鳴りは気になりにくくなります。日中はテレビやラジオ、小さな音楽を流す、寝るときは扇風機の音や小川のせせらぎのような自然音を小さく流すなど、心地よい音で耳鳴りをまぎらわせる工夫が役立ちます。これは耳鼻咽喉科で行う「音響療法」の考え方を、家庭で取り入れたものです。

睡眠とストレスを整える

睡眠不足や強いストレスは耳鳴りを強く感じさせます。決まった時間に寝起きする、就寝前のカフェインやスマートフォンを控える、日中に軽い散歩をするなど、生活リズムを整えましょう。「眠れないほどつらい」ときは我慢せず、後述のとおり受診して相談してください。

聞こえの低下があるなら補聴器を検討する

加齢性難聴が背景にある場合、補聴器でまわりの音が聞こえやすくなると、脳が音を補おうとする過剰な反応がやわらぎ、耳鳴りが軽くなることがあります。補聴器は耳鳴り対策と聞こえの改善を同時に助ける選択肢です。購入の前に耳鼻咽喉科や認定補聴器技能者に相談し、自分の聞こえに合わせて調整してもらうことが大切です。

「うまく付き合う」という考え方(TRT・音響療法)

耳鼻咽喉科では、長く続く耳鳴りに対して「耳鳴順応療法(TRT)」という方法をとることがあります。これは耳鳴りを無理に消すのではなく、耳鳴りの正しい知識を学ぶカウンセリングと、心地よい音を流す音響療法を組み合わせ、脳が耳鳴りを「気にしなくてよい音」として受け流せるよう慣らしていく治療です。効果が出るまで数か月から年単位かかることもありますが、「治らない」とあきらめず付き合っていく助けになります。

耳をいたわる生活も忘れずに

大きな音は内耳の負担になります。テレビやイヤホンの音量は控えめにし、騒がしい場所では長時間の滞在を避けましょう。また、適度な運動や入浴で体をあたため、肩や首のこりをほぐすと、緊張がやわらいで耳鳴りが気になりにくくなることがあります。就寝前のカフェインやアルコール、喫煙は睡眠や血流に影響するため、とり過ぎに注意しましょう。これらは耳鳴りを直接治すものではありませんが、悪化させる要因を減らし、付き合いやすくする土台になります。

何科を受診する?受診の目安と準備

耳鳴りで相談する診療科は、まず耳鼻咽喉科です。耳鼻咽喉科では聞こえの検査(聴力検査)などで原因を調べ、必要に応じて治療や音響療法、補聴器の相談につなげます。拍動性の耳鳴りや片側の強い耳鳴りなど、血管や神経の病気が疑われる場合は、画像検査や脳神経の専門科と連携して調べることもあります。

受診の目安

  • 耳鳴りが長く続く、または一度おさまってもくり返す
  • 片方の耳だけ、急に聞こえにくくなった
  • めまい・ふらつき、耳の詰まり感をともなう
  • 脈に合わせてドクドク鳴る(拍動性)
  • 耳鳴りで眠れない、気分が落ち込むなど生活に支障がある

こうした場合は、「年のせい」と決めつけず耳鼻咽喉科を受診しましょう。検査で重大な病気がないと分かるだけでも安心につながり、その後の対応がしやすくなります。なお、強い頭痛・しびれ・ろれつが回らないなどを突然ともなうときは、耳鼻咽喉科を待たず救急受診が必要です。

受診のときに伝えると役立つこと(家族向けメモ)

ご家族が付き添う場合、次の点をメモして伝えると診察がスムーズです。いつから始まったか/片耳か両耳か/音の高さ(高い・低い)や鳴り方(持続的・脈打つ)/めまいや難聴の有無/飲んでいる薬/大きな音を聞いた・転んだなどのきっかけ。高齢の方は症状をうまく言葉にできないこともあるため、ご家族の観察が診断の助けになります。

受診したらどんな検査をするの?

耳鼻咽喉科では、まず耳の中を診て耳あかや鼓膜の状態を確認し、聞こえの程度を調べる聴力検査を行うのが一般的です。必要に応じて、耳鳴りの音の高さや大きさを調べる検査、めまいの検査などを追加します。拍動性の耳鳴りや片側だけの強い耳鳴りでは、血管や神経の病気を確かめるために画像検査(MRIなど)を行ったり、専門の科に紹介したりすることがあります。多くの場合は深刻な病気は見つからず、「重大な原因ではない」と分かること自体が、不安をやわらげる大きな安心材料になります。

ご家族ができる支援と環境づくり

高齢の方の耳鳴りは、ご本人だけで抱え込むとつらさが増しやすい症状です。ご家族や介護にあたる方が、症状を一緒に受け止め、生活環境を整えることで、ずいぶん過ごしやすくなります。

「気のせい」「年のせい」で片づけない

耳鳴りは目に見えず、検査で異常が出ないことも多いため、「気にしすぎ」と受け取られがちです。しかしご本人にとっては実際につらい症状です。まずは訴えを否定せず、「つらいね」と受け止める姿勢が、不安をやわらげ悪循環を防ぎます。

静かすぎず、うるさすぎない音環境をつくる

就寝時や日中、まったくの無音だと耳鳴りが目立ちます。小さな音量のラジオや音楽、扇風機や換気扇の音、自然音などを、心地よい範囲でそっと流しておくと、耳鳴りがまぎれて過ごしやすくなります。テレビの大音量で耳を酷使するのは逆効果なので、音量は控えめにしましょう。

受診の付き添いと記録

高齢の方は症状を言葉にしにくかったり、医師の説明を聞き取りにくかったりします。受診に付き添い、いつから・どんな音か・めまいや難聴の有無・飲んでいる薬などをメモにまとめて伝えると、診察がスムーズです。医師の説明を一緒に聞いて、家でできる対応を共有しておくと安心です。

気分の落ち込みや不眠のサインに気づく

耳鳴りが続くと、眠れない・気分が沈む・食欲が落ちるといった変化が現れることがあります。こうしたサインに気づいたら、「耳のことだから」と放置せず、耳鼻咽喉科やかかりつけ医に相談しましょう。心身の不調が耳鳴りを強める前に、早めに手を打つことが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 高齢者の耳鳴りは治りますか?

原因がはっきりして治療できる場合(耳あかのつまり、薬の影響、メニエール病や突発性難聴など)は、その治療で耳鳴りが軽くなることがあります。一方、加齢性難聴を背景とする耳鳴りは完全に消すのが難しいことが多く、補聴器や音響療法で「気にならない状態」を目指すのが現実的です。「治らない=何もできない」ではありません。

Q. 耳鳴りで眠れません。どうすればよいですか?

静かな寝室ほど耳鳴りは目立ちます。扇風機の音や小さな自然音、ラジオなどを小さく流すと気になりにくくなります。それでもつらい場合は、不眠や不安への対応も含めて耳鼻咽喉科で相談してください。我慢し続けると悪循環になりやすいため、早めの相談が安心です。

Q. 市販の「耳鳴りの薬」やサプリは効きますか?

市販薬やサプリで耳鳴りが必ず治るとはいえません。まずは耳鼻咽喉科で原因を調べることが先決です。とくに、片側だけ・拍動性・めまいをともなう耳鳴りを市販薬でしのぼうとして受診が遅れると、隠れた病気の発見が遅れることがあります。

Q. 何科に行けばよいですか?

まずは耳鼻咽喉科です。検査の結果、血管や脳の病気が疑われる場合は、耳鼻咽喉科から脳神経の専門科などへ紹介されます。どこを受診するか迷うときも、入り口は耳鼻咽喉科と考えてよいでしょう。

Q. ストレスや寝不足でも耳鳴りは起きますか?

はい。疲労や睡眠不足、強いストレスで自律神経が乱れると、「キーン」といった耳鳴りが起きたり強く感じられたりします。多くは一時的で、休養で落ち着きます。ただし、同じような耳鳴りでもメニエール病などが隠れていることがあるため、めまいや耳の詰まり感をともなう、長く続く・くり返す場合は、疲れのせいと決めつけず耳鼻咽喉科を受診してください。

Q. 補聴器を使うと耳鳴りも軽くなりますか?

聞こえの低下が背景にある場合、補聴器でまわりの音が届きやすくなると、脳が音を補おうとする過剰な反応がやわらぎ、耳鳴りが気になりにくくなることがあります。すべての方に同じ効果があるわけではありませんが、聞こえの改善と耳鳴り対策を同時に助ける選択肢です。耳鼻咽喉科で聞こえを調べたうえで、自分に合うものを調整してもらうことが大切です。

Q. 耳鳴りを放っておくとどうなりますか?

危険なサイン(片側の急な難聴、めまい、拍動性など)がある耳鳴りを放置すると、突発性難聴のように治療が遅れて回復しにくくなる病気を見逃すおそれがあります。また、つらさを抱え込むと不眠や気分の落ち込みにつながり、生活の質が下がることもあります。「ただの耳鳴り」と軽く見ず、気になるときは一度受診して原因を確かめておくと安心です。

参考文献・出典

まとめ:耳鳴りは『付き合う』視点で、危険サインは早めに受診

高齢者の耳鳴りは、その多くが加齢にともなう聞こえの低下を背景にした、脳の反応によるものです。命に関わるものは多くありませんが、片方だけ・拍動性・めまいや急な難聴をともなう場合は、別の病気が隠れていることがあるため早めの受診が欠かせません。相談先はまず耳鼻咽喉科です。

そして、耳鳴りは「完全に消す」ことより「うまく付き合う」ことが大切です。静かすぎる環境を避けて生活の中の音を取り入れる、睡眠とストレスを整える、聞こえの低下があれば補聴器を検討する、長く続くなら音響療法(TRT)を相談する。こうした積み重ねで、耳鳴りに振り回されない時間を増やしていけます。ご本人が不安をためこまないよう、ご家族が症状を一緒に観察し、受診に付き添うことも大きな支えになります。気になる症状があるときは、自己判断せず耳鼻咽喉科にご相談ください。

耳鳴りに悩む方は決して少なくありません。「自分だけがつらい」と思い込まず、まずは正しい知識を持ち、必要なときに専門家の力を借りることが、安心して暮らすための近道です。この記事が、ご本人とご家族の不安を少しでもやわらげる助けになればさいわいです。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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