プレフレイルとは

プレフレイルとは

プレフレイルの定義、Fried基準5項目、フレイル本格との違い、可逆性のある状態の介入方法、介護保険のフレイル予防事業を解説。

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この記事のポイント

プレフレイルとは、健常と本格的なフレイル(虚弱)の中間に位置する高齢者の状態で、適切な介入で健常な状態に戻れる「可逆性」を持つ段階です。Fried基準の5項目のうち1〜2項目該当でプレフレイル、3項目以上該当でフレイルと判定されます。日本の地域在住高齢者の約4〜5割がプレフレイルに該当するとの調査があり、介護予防事業の重要なターゲット層です。早期発見と運動・栄養・社会参加の3本柱の介入が効果的とされています。

目次

プレフレイルの基本|フレイル前段階の重要性

プレフレイル(Pre-frailty)は、加齢に伴う心身の機能低下が始まっているものの、まだ「フレイル(虚弱)」と診断されるほどではない段階を指します。2001年に米国のLinda Friedらが提唱したフレイル基準(Fried Phenotype)の中で、健常と虚弱の中間段階として定義されました。

日本では2014年に日本老年医学会がフレイル概念を「Frailty」の訳語として正式採用し、プレフレイルも介護予防の重要概念として広まりました。フレイルは「健常→プレフレイル→フレイル→要介護」と進行すると理解されており、プレフレイルの段階で介入すれば健常への回復が期待できる点が、介護保険政策上の最大の意義です。

厚生労働省「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」(2024年)でも、後期高齢者の保健事業(KDB事業)でプレフレイル該当者の特定と介入が推奨されています。

Fried基準の5項目

  1. 体重減少: 過去1年で体重が4.5kg以上または5%以上減少
  2. 主観的疲労感: 「(毎週)わけもなく疲れたような感じがする」と感じる
  3. 日常生活活動量の低下: 「軽い運動・体操をしているか」「定期的な運動・スポーツをしているか」がいずれも『していない』
  4. 身体能力(歩行速度)の低下: 通常歩行速度が1.0m/秒未満
  5. 筋力(握力)の低下: 男性26kg未満、女性18kg未満

判定: 0項目該当 → 健常 / 1〜2項目該当 → プレフレイル / 3項目以上該当 → フレイル

健常・プレフレイル・フレイルの違い

項目健常プレフレイルフレイル
Fried基準0項目1〜2項目3項目以上
可逆性あり(介入で健常に回復可能)部分的(早期介入で改善余地)
介護予防の対象最重要ターゲットターゲット
介護保険要介護度非該当非該当〜要支援1要支援1〜要介護1

日本のプレフレイル該当率と地域差

日本の地域在住高齢者を対象とした疫学研究では、プレフレイル該当率は概ね40〜50%と報告されています。国立長寿医療研究センター(NCGG)の老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)や、佐竹昭介らによる J-CHS 基準(Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria)を用いた地域コホート研究では、65歳以上のフレイル該当率は7〜11%、プレフレイル該当率は40〜50%前後とする結果が複数公表されています。

年齢階級別の傾向として、65〜74歳の前期高齢者ではプレフレイル該当率が比較的低く、後期高齢者(75歳以上)になると顕著に上昇します。85歳以上ではフレイル該当率が30%を超える研究もあり、プレフレイル該当者を含めると半数以上が「健常でない」状態に該当する地域もあります。性別では女性のほうがやや該当率が高い傾向が複数の研究で示されています。

厚生労働省「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」(2024年改訂)では、後期高齢者医療制度のレセプト・健診情報(KDB)と「後期高齢者の質問票」(15項目)を活用し、プレフレイル該当者を地域単位で抽出して通いの場・栄養指導・口腔機能評価につなぐ事業モデルが推奨されています。市町村単位で抽出率や該当率が大きく異なるため、地域診断に基づく介入設計が重要とされています。

プレフレイル対策の3本柱

  • 運動(レジスタンス運動+有酸素運動): 週3回、1回30分のスクワット・椅子立ち上がり・ウォーキングを継続。低強度から始めて漸進的に。
  • 栄養(タンパク質摂取): 1日体重1kgあたり1.0〜1.2gのタンパク質を3食に分散摂取。サルコペニア対策としても重要。
  • 社会参加(地域とのつながり): 週1回以上の外出・地域活動・ボランティア。閉じこもり予防は認知症予防にも直結。
  • 口腔ケア(オーラルフレイル対策): 歯科定期受診、口腔体操、噛む力の維持
  • 住環境の整備: 段差・手すり・照明など転倒予防

よくある質問

Q1. プレフレイル該当者は介護保険のサービスを使えますか?
A. 要介護認定で要支援に該当しない場合は、介護保険のサービスは原則使えません。ただし、市町村の「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の通所型・訪問型サービスや、フレイル予防教室を利用できます。
Q2. 自分でチェックする方法は?
A. 厚労省「後期高齢者の質問票」(15問)、または「指輪っかテスト」(ふくらはぎを両手の親指と人差し指で輪を作って囲み、隙間ができるとサルコペニア疑い)が手軽です。
Q3. プレフレイルから健常に戻るのに何か月かかりますか?
A. 適切な運動・栄養介入を3〜6か月続けると、Fried基準の項目数が減少するエビデンスがあります。継続が鍵です。

まとめ

プレフレイルは「介入すれば戻れる」可逆性のある段階です。Fried基準の5項目で早期発見し、運動・栄養・社会参加の3本柱で対策すれば、健常な状態への回復が期待できます。介護予防の最重要ターゲット層として、地域・施設での取り組みが進んでいます。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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