
高齢者の耳垢・耳のケア|耳垢栓塞と難聴・家庭でのケアの注意・耳鼻科受診の目安
高齢者は耳垢がたまりやすく、放置すると耳垢栓塞で難聴やコミュニケーション低下を招きます。家庭での耳掃除の注意点、綿棒のリスク、耳鼻科での除去、受診の目安を公的情報をもとにご家族向けにやさしく解説します。
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この記事のポイント
高齢者は、加齢で耳垢を外へ押し出す自浄作用が弱まるため耳垢がたまりやすく、外耳道がふさがると「耳垢栓塞(じこうせんそく)」となって聞こえが悪くなります。鼓膜が見えないほどたまると平均7dB、形状によっては最大40dB近く聞こえが下がることがあり、難聴を通じて会話のしづらさや認知機能の低下にもつながります。家庭での耳掃除は、外耳道の入り口から1cm以内を綿棒でやさしく拭く程度にとどめ、奥に押し込まないことが大切です。たまった耳垢が気になるときや、聞こえにくそうなときは、自分で取ろうとせず耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう。
目次
「最近、おじいちゃん・おばあちゃんに何度も聞き返される」「テレビの音が大きい」。そんな変化に気づいたとき、原因のひとつとして見落とされがちなのが耳垢(みみあか)のつまりです。高齢になると耳垢はたまりやすくなり、たまった耳垢が耳の穴をふさいでしまうと、それだけで聞こえが大きく低下することがあります。
耳垢は本来、耳を守ってくれる存在ですが、たまりすぎると「耳垢栓塞」という状態になり、難聴・耳のつまり感・かゆみ・めまいなどの原因になります。さらに、聞こえにくさは家族との会話を減らし、気持ちの落ち込みや認知機能の低下にもつながると指摘されています。
この記事では、ご家族や介護をする方に向けて、高齢者に耳垢がたまりやすい理由、家庭での耳掃除で気をつけたいこと(綿棒の押し込み・鼓膜を傷つけるリスク)、耳鼻咽喉科を受診する目安を、公的機関や学会の情報をもとにやさしく整理します。なお、ここで紹介する内容は一般的な情報であり、診断や治療を断定するものではありません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。
高齢者に耳垢がたまりやすいのはなぜ?
耳垢は「汚れ」と思われがちですが、外耳道(耳の穴から鼓膜までの通り道)の皮膚から出る分泌物に、はがれ落ちた皮膚やほこりが混ざってできるもので、耳の中を守る役割があります。細菌の侵入を防いだり、皮膚の表面を保護して乾燥や炎症から守ったりする働きがあるため、本来は無理に取り除く必要はありません。「耳垢ゼロ」を目指す必要はない、と知っておくことが家庭でのケアの出発点です。
耳垢には2つのタイプがある
耳垢には、カサカサした「乾性耳垢(かんせいじこう)」と、ねばねばした「湿性耳垢(しっせいじこう)」の2タイプがあります。日本人をはじめとする東アジアの人では乾性耳垢が7〜8割を占め、湿性耳垢は2〜3割ほどです。一方、欧米では9割以上が湿性耳垢といわれます(健康長寿ネット/国立長寿医療研究センター)。湿性耳垢は粘り気があって外耳道に付着しやすく、たまりやすい傾向があります。タイプは体質で決まっており、どちらが良い・悪いというものではありません。
加齢で「自浄作用」が弱まる
健康な耳では、外耳道の皮膚が少しずつ入り口の方へ移動し、耳垢を自然に外へ運び出す「自浄作用」が働いています。ベルトコンベヤーのように、耳垢は何もしなくても少しずつ外へ出てくる仕組みです。ところが高齢になると、この自浄作用が低下し、耳垢が自然に排出されにくくなります。さらに、皮膚が乾燥して耳垢が硬くこびりつきやすくなることもあり、奥にたまったまま動かなくなってしまうことがあります。
高齢者で耳垢がたまりやすくなる主な要因
- 自浄作用の低下:加齢により耳垢を外へ押し出す力が弱くなる
- 耳垢が硬くなる:乾燥でうろこ状に硬化し、はがれ落ちにくくなる
- 補聴器・イヤホンの使用:装着で耳垢が奥へ押し込まれ、外耳道内が高温多湿になりやすい
- 本人が耳掃除をしなくなる:手が動かしにくい、見えにくい、認知機能の低下などで自分でのケアが難しくなる
- 外耳道が狭い・耳毛が多い:耳垢の排出が妨げられる
こうした要因が重なり、高齢者は知らないうちに耳垢がたまっていることが少なくありません。とくに本人が「聞こえにくい」と訴えないまま進むこともあるため、ご家族が気づいてあげることが大切です。「耳が遠くなったのは年のせい」と思っていたら、実は耳垢が原因だった、というケースは決して珍しくありません。
耳垢栓塞(じこうせんそく)とは|難聴・耳のつまりの原因に
耳垢栓塞(じこうせんそく)とは、耳垢が外耳道にたまって栓のように詰まり、音の通り道をふさいでしまった状態のことです。耳垢が鼓膜の手前をふさぐと、その分だけ音が伝わりにくくなり、聞こえが低下します。これは耳の神経そのものの問題ではなく、音の通り道がふさがれて起こる「伝音難聴(でんおんなんちょう)」とよばれるタイプで、耳垢を取り除けば多くは改善が見込めます。
主な症状
- 聞こえにくい・耳がつまった感じ(耳閉感)
- 自分の声が大きく響く
- 耳鳴り、耳のかゆみや違和感
- ときに軽いめまい・頭重感
- お風呂やシャワーのあとに急に聞こえが悪くなる(耳垢が水分を吸って膨らむため)
どれくらい聞こえに影響する?
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、鼓膜が観察できないほど耳垢がたまっている人は、そうでない人に比べて平均7dB(デシベル)ほど聴力が低いという調査結果があります。7dBは、正常な聴力があれば誰もが音の大きさの違いを感じるレベルです。さらに専門的な報告では、耳垢栓塞の形状によっては数dBから最大で約40dBの伝音難聴を生じることがあるとされています(日本老年医学会雑誌2012年)。もともと加齢性難聴のある高齢者に耳垢栓塞が加わると、中等度の難聴になってしまうこともあります。
高齢者ではどれくらいの頻度?
乾性耳垢の多い日本では、湿性耳垢の多い欧米より耳垢栓塞は少ないとされますが、国立長寿医療研究センターの地域在住高齢者の調査では約1割に良いほうの耳の耳垢が確認されました。欧米の施設調査では入所者の6割以上に耳垢栓塞があったとの報告もあり、要介護状態や認知症のある高齢者では、さらに頻度や影響が大きくなるおそれがあると指摘されています。
難聴・コミュニケーション低下・認知機能との関係
耳垢栓塞でこわいのは、聞こえにくさが本人の生活や心身に広く影響することです。とくに高齢者では、難聴が会話や人とのつながりを減らし、認知機能の低下にもつながると考えられています。
会話が減り、孤立しやすくなる
聞こえにくくなると、聞き返すのが面倒になったり、内容が分からず会話に入れなくなったりして、自然と人との交流が減っていきます。家族との会話がかみ合わずにイライラが増えたり、本人が「どうせ聞こえない」と外出や人付き合いを避けるようになったりすることもあります。こうした社会的なつながりの減少は、気分の落ち込みや意欲の低下を招きやすくなります。
難聴は認知症の危険因子のひとつ
難聴は、認知症の危険因子のひとつとして広く知られています。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、耳垢栓塞による聞こえの低下が認知機能に影響しうることを紹介しています。実際の調査でも、耳垢のある高齢者は認知機能が低い傾向があり、アメリカの高齢者施設では耳垢栓塞を取り除いたことで、聴力だけでなく認知機能も改善したという報告があります(国立長寿医療研究センター)。
「悪循環」を断ち切る
専門の論文では、耳垢栓塞による聞こえの低下がコミュニケーション能力を下げ、それがさらに認知機能を悪くするという悪循環が起こりうると指摘されています(日本老年医学会雑誌2012年)。逆にいえば、たまった耳垢を取り除くという比較的シンプルなケアで、この悪循環を断ち切れる可能性があるということです。「年のせいで耳が遠くなった」と決めつける前に、耳垢が原因になっていないか確かめてみる価値は十分にあります。
家庭での耳掃除の注意点|綿棒の押し込み・鼓膜を傷つけないために
ご家族が一番気をつけたいのが、毎日の耳掃除のやり方です。良かれと思って熱心に掃除をすると、かえって耳垢を奥へ押し込んだり、デリケートな耳の中を傷つけたりすることがあります。
基本は「拭く程度」でよい
耳垢には耳を守る働きがあり、外耳道の自浄作用で余分な耳垢は自然に出てきます。自浄作用が弱まる高齢者でも、耳掃除は2週間〜1か月に1回くらいの頻度で十分とされています(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。毎日ゴシゴシ掃除する必要はありません。
やり方のポイント
- 外耳道の入り口から1cm以内の、見える範囲だけにとどめる
- 綿棒でそっと拭き取る程度にする(掻き出そうとしない)
- 細めの綿棒(ベビー用など)を使うと押し込みにくい
- 明るい場所で、本人の頭を動かさないよう支えながら行う
- 少しでも抵抗を感じたら無理に進めない
やってはいけないこと(危険なケア)
- 綿棒や耳かきを奥まで入れる:耳垢をさらに奥へ押し込み、耳垢栓塞の原因になる
- 硬い耳かき・ピンセット・つまようじなどで掻き出す:外耳道や鼓膜を傷つけるおそれがある
- 強くこする・頻繁に触る:かゆみや外耳炎を招きやすい
- 市販の耳洗浄液やオイルを自己判断で多用する:かえって症状を悪化させることがある
とくに綿棒は、耳垢を押し込むだけでなく、勢いよく入れると鼓膜を傷つけて穴があく(鼓膜穿孔)原因にもなります。高齢者は外耳道の皮膚が薄く乾燥しがちで傷つきやすいため、奥を触るケアは避け、見える範囲のやさしいケアにとどめましょう。奥にたまった耳垢が気になるときは、自分で取ろうとせず耳鼻咽喉科に任せるのが安全です。
耳鼻咽喉科での耳垢の取り方|安全に除去してもらう
奥にたまった耳垢や、硬く固まった耳垢栓塞は、家庭で無理に取ろうとせず、耳鼻咽喉科で取ってもらうのが最も安全で確実です。耳鼻科では顕微鏡やヘッドライトで耳の中を直接見ながら処置するため、外耳道や鼓膜を傷つけるリスクを抑えて除去できます。耳垢の除去は健康保険の対象となる診療で、多くの場合は短時間で終わります。
主な除去方法
- 耳垢鉗子(じこうかんし)でつまみ出す:かたまりになった耳垢を専用の器具でつまんで取り出す
- 吸引で取り除く:細い吸引管で耳垢を吸い出す。粉状・小片の耳垢に向く
- 耳の洗浄(耳浴):硬い耳垢を点耳薬やぬるま湯でやわらかくしてから洗い流す
耳垢がやわらかければ1回の通院で取れることが多いですが、セメントのように固まっている場合は、点耳薬でやわらかくしながら数回に分けて除去することもあります。「ガチガチに固まっていて取れるか心配」という場合でも、痛みが出ないよう段階的に対応してもらえるので、放置せず相談しましょう。なお、長く耳垢栓塞が続いていた場合、除去した直後に「急に音が大きく聞こえる」と感じることがありますが、これは聞こえが戻ったサインです。
受診のときに伝えるとよいこと
- いつ頃から聞こえにくそうか、左右どちらの耳か
- 耳をよく触る・気にするそぶりがあるか
- 補聴器を使っているか、過去に耳の病気(中耳炎・鼓膜の手術など)をしたことがあるか
- 家庭でどんな耳掃除をしているか、点耳薬やオイルを使っていないか
本人がうまく説明できない場合は、付き添うご家族が普段の様子を伝えると、診察がスムーズになります。診察の結果、耳垢以外に中耳炎や加齢性難聴などが見つかることもあり、聞こえにくさの本当の原因を確かめる機会にもなります。
耳鼻咽喉科を受診する目安|こんなときは相談を
耳垢が原因かどうかは、見た目だけでは判断できません。次のようなサインがあるときは、自己判断で取ろうとせず、耳鼻咽喉科への受診を検討しましょう。以下はあくまで受診を考える目安であり、診断を断定するものではありません。実際の原因や対応は、必ず医師の診察で確認してください。
こんなサインがあれば受診を
- 急に、または少しずつ聞こえにくくなった(聞き返しが増えた、テレビの音が大きい)
- 耳がつまった感じ・自分の声が響く感じが続く
- 耳のかゆみ・痛み・においのある耳だれがある
- 耳鳴り、めまい、ふらつきがある
- 耳をしきりに触る・気にするそぶりがある
- 補聴器の効きが悪くなった、ピーピー音(ハウリング)が増えた
- 家庭で見ても耳垢がたまっているのが分かるが、自分では取れない
とくに「急に片方だけ聞こえにくくなった」「強い痛みやめまいを伴う」といった場合は、耳垢以外の病気が隠れていることもあるため、早めの受診が安心です。
定期的なチェックの目安
はっきりした症状がなくても、高齢で耳が遠い方は1年に1度ほど、耳垢がたまっていないか耳鼻咽喉科で診てもらうとよいとされています(国立長寿医療研究センター/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。耳垢がたまりやすい方や補聴器を使っている方は、3〜6か月に1回を目安に定期的にチェックすると、たまりすぎる前に安全に除去でき、補聴器のトラブルも防げます。
かかりつけ医・訪問診療も活用を
外出が難しい場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。状況によっては耳鼻咽喉科を紹介してもらえます。通院が困難な在宅の方には、訪問診療や往診で耳の処置に対応してくれる場合もあります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、対応できる医療機関の情報を得られることがあります。耳のケアは小さなことに思えても、聞こえを保つことは、ご本人が会話や生活を楽しみ続けるための大切な土台になります。
関連する主な介護用語
独自分析|公的データから読み解く『耳垢ケアの優先度』
耳垢のケアは、つい後回しにされがちです。しかし公的な調査データを並べてみると、家庭でできるシンプルなケアのわりに、得られる効果が大きいことが見えてきます。当サイトが公的資料を整理し、ご家族が判断しやすい形にまとめました。
1. 「聞こえの低下幅」を他の難聴と比べてみる
耳垢栓塞による聞こえの低下は、平均で7dB、形状によっては最大約40dBにのぼります(日本老年医学会雑誌2012年)。一般に、軽度難聴は25〜40dB、中等度難聴は40〜70dB程度とされます。つまり耳垢栓塞は、それだけで軽度〜中等度難聴に相当する聞こえにくさを生みうるということです。しかも加齢性難聴と違い、取り除けば改善が見込める「治せる難聴」である点が大きな特徴です。
2. 「ケアの手間」と「効果」のバランス
補聴器の導入には数万円〜数十万円の費用と数か月の調整期間がかかります。一方、耳垢の除去は耳鼻咽喉科での短時間の処置で、保険診療の範囲です。聞こえにくさを感じたとき、まず耳垢栓塞がないかを確かめることは、費用対効果の高い最初の一歩といえます。「補聴器を検討する前に、まず耳の中を診てもらう」という順番が理にかなっています。
3. 要介護・認知症のある人ほど見落とされやすい
耳垢栓塞は本人が訴えにくく、要介護や認知症のある高齢者では頻度や影響がさらに大きくなるおそれが指摘されています(日本老年医学会雑誌2012年)。つまり、自分でケアや訴えが難しい人ほど、周囲が気にかける必要があるということです。「聞こえが悪い=認知症が進んだ」と早合点する前に、耳垢という見落としやすい原因をチェックリストに加えておくことが、ご本人の生活の質を守ることにつながります。
耳掃除を嫌がる・認知症のある方へのケアの工夫
認知症のある方や、耳を触られるのを嫌がる方の耳のケアは、ご家族にとって悩みの種です。無理に押さえつけて掃除をすると、本人の不安や混乱を強め、外耳道を傷つける危険もあります。家庭では「取りきること」より「悪化させないこと」を優先しましょう。完璧にきれいにする必要はなく、奥は専門家に任せる、という割り切りが大切です。
家庭での関わり方のヒント
- 無理に奥を取ろうとしない:見える範囲をやさしく拭くだけにとどめ、奥は耳鼻科に任せる
- 安心できる声かけをしながら:「耳をきれいにするね」と一言伝え、急に触らない。嫌がったら一度中断する
- 本人がリラックスしているときに:入浴後など機嫌のよいタイミングを選び、短時間で終える
- 正面や真後ろから急に触れない:視界に入ってから、ゆっくり手を添える
- 聞こえのサインを観察する:返事が減った、テレビが大音量、片耳を向ける、などをメモしておく
- 受診時は家族が同行:本人が説明しづらい分、普段の様子を医師に伝える
家族やヘルパーができる耳のケアの範囲
耳のケアでは「どこまで家族や介護職がやってよいのか」も気になるところです。耳垢栓塞など、固まった耳垢を専用の器具で取り除くのは医療行為にあたり、耳鼻咽喉科で行うものです。一方、外から見える範囲の耳垢を綿棒や蒸しタオルでやさしく拭き取る程度のケアは、家庭でも行えます。厚生労働省の通知(2005年)では、「耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)」は原則として医療行為に当たらないものとして整理されており、固くつまった耳垢栓塞の除去は医療機関に任せるのが原則です。つまり、日常の軽いケアは家庭で、しっかり詰まったものは耳鼻科で、という役割分担が基本になります。判断に迷うときは、自己流で奥を触らず専門家に相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 耳垢は毎日掃除したほうがよいですか?
いいえ。耳垢には耳を守る働きがあり、自浄作用で自然に外へ出てきます。掃除は2週間〜1か月に1回ほど、入り口の見える範囲をやさしく拭く程度で十分とされています。毎日奥まで掃除すると、かえって耳垢を押し込んだり耳を傷つけたりします。
Q. 綿棒で耳掃除をしても大丈夫ですか?
入り口から1cm以内をそっと拭く程度なら問題ありませんが、奥まで入れると耳垢を押し込み、耳垢栓塞や鼓膜の損傷につながることがあります。細めの綿棒を使い、奥は触らないようにしましょう。
Q. 耳垢が原因で聞こえが悪くなることはありますか?
あります。耳垢が外耳道をふさぐ「耳垢栓塞」になると、平均7dB、形状によっては最大40dB近く聞こえが低下することがあります。これは耳垢を取り除けば改善が見込める難聴です。
Q. 耳掃除は耳鼻科でしてもらえますか?費用は?
はい。耳鼻咽喉科で安全に取り除いてもらえます。耳垢の除去は健康保険の対象の診療です。固く詰まっている場合は、やわらかくしてから数回に分けて取ることもあります。
Q. どのくらいの頻度で受診すればよいですか?
高齢で耳が遠い方は1年に1度ほど、耳垢がたまりやすい方や補聴器を使う方は3〜6か月に1回を目安に、耳鼻咽喉科でチェックを受けると安心です。
Q. 認知症の親が耳掃除を嫌がります。どうすれば?
無理に押さえて奥を取ろうとせず、見える範囲をやさしく拭く程度にとどめ、奥は耳鼻科に任せましょう。受診の際はご家族が普段の様子を伝えると診察がスムーズです。外出が難しい場合は、かかりつけ医や訪問診療に相談する方法もあります。
参考文献・出典
- [1]
- [2]耳垢をほっておくと、認知症のリスクを高める!?- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(Hear well, Enjoy life!)
耳垢栓塞による平均7dBの聴力低下、難聴と認知症の関連、家庭での耳掃除の注意(入り口1cm以内・綿棒で拭く程度)、受診の目安
- [3]
- [4]高齢者の耳垢の頻度と認知機能,聴力との関連- 日本老年医学会雑誌 2012年49巻3号 pp.325-329
耳垢栓塞による数dB〜最大約40dBの伝音難聴、認知機能・聴力・コミュニケーションの悪循環、要介護・認知症高齢者での影響
まとめ|気になるときの相談先
高齢者は加齢によって耳垢を外へ出す力(自浄作用)が弱まり、耳垢がたまりやすくなります。たまった耳垢が外耳道をふさぐ「耳垢栓塞」になると、平均7dB、形状によっては最大40dB近く聞こえが低下し、難聴を通じて会話のしづらさや気持ちの落ち込み、認知機能の低下にもつながりかねません。けれども、これは取り除けば改善が見込める「治せる難聴」でもあります。
家庭でのケアは、外耳道の入り口から1cm以内を綿棒でやさしく拭く程度にとどめ、奥に押し込まない・掻き出さないことが大切です。奥の耳垢や固まった耳垢栓塞は、自分で取ろうとせず専門家に任せましょう。「聞こえが悪い=年のせい・認知症」と決めつける前に、耳垢が原因になっていないか確かめることが、ご本人の生活の質を守る近道になります。
こんなときの相談先
- 耳鼻咽喉科:耳垢の除去や聞こえの相談の専門です。たまった耳垢が気になる、聞こえにくそうなときは、まずここへ。耳垢の除去は保険診療です。
- かかりつけ医:どこに相談すべきか迷うとき、まず相談を。必要に応じて耳鼻咽喉科を紹介してもらえます。
- 訪問診療・往診:通院が難しい在宅の方は、訪問診療で耳の処置に対応してもらえる場合があります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、対応できる医療機関を案内してもらえることがあります。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を断定するものではありません。気になる症状があるときは、自己判断で様子を見すぎず、早めに医療機関へご相談ください。
監修者
介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム
医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)
訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。
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