
高齢者がおむつを嫌がるとき|理由の理解と無理なく移行する家族の工夫
高齢の親がおむつを嫌がる・拒否するのには、羞恥心や自尊心、認知症など理由があります。心理タイプ別の声かけ、リハビリパンツやパッドへの段階的な移行、皮膚トラブルの予防、相談先までを家族の視点でやさしく解説します。
この記事のポイント
高齢の方がおむつを嫌がるのは、わがままや認知症のせいだけではありません。多くは「人前で排泄を扱われる恥ずかしさ」「ひとりでできなくなった情けなさ」という自尊心の痛みが背景にあります。まず大切なのは、すぐにおむつへ切り替えず、トイレ・ポータブルトイレ・リハビリパンツ・尿とりパッドへと段階的に移行すること。「おむつ」という言葉を避け、「紙パンツ」と呼び替えるだけでも受け入れが変わります。困ったときはケアマネジャー、地域包括支援センター、泌尿器科、福祉用具専門相談員に相談できます。
目次
「もう年だから、おむつにしてしまえば楽なのに」。在宅で親を介護していると、家族はそう考えがちです。けれど本人にとって、おむつを当てられることは「自分でトイレに行く」という当たり前の営みを手放すことであり、長く生きてきた人生の尊厳に関わる出来事です。だからこそ、頭ごなしにすすめると強く拒まれ、外してしまう・隠してしまう・怒り出すといった反応につながります。
この記事は、介護を受けるご本人とご家族のために書いています。おむつを嫌がる気持ちの奥にある理由を整理し、無理に「おむつ化」を急がず、トイレやリハビリパンツ、尿とりパッドを使い分けながら、少しずつ無理なく移行していくための具体的な工夫をまとめました。声かけの言葉、皮膚トラブルを防ぐケア、そして家族だけで抱え込まないための相談先まで、順を追って解説します。読み終えたとき、「明日からこう声をかけてみよう」と思える一歩が見つかるはずです。
おむつを嫌がるのには理由がある|4つの背景を知る
おむつを嫌がる行動は、「困った症状」ではなく「気持ちの表現」です。理由がわかると、対応のヒントが見えてきます。高齢者がおむつを拒む背景には、大きく分けて次の4つがあります。
1. 羞恥心と自尊心の痛み(心理的な理由)
排泄は本来、人に見られず、ひとりで完結させる極めてプライベートな行為です。それを家族や他人に扱われること自体が、強い恥ずかしさを伴います。さらに「昔は普通にできていたのに、ひとりで排泄もできなくなった」という情けなさ、申し訳なさが重なります。日本創傷・オストミー・失禁管理学会の解説でも、排泄障害の経験は「人の尊厳を揺るがしかねない」とされ、羞恥心・習慣・価値観への配慮が不可欠だと位置づけられています。おむつを当てられることは、本人にとって「もう一人前ではない」と宣告されたように感じられることがあるのです。
2. 「なぜ着けるのか」がわからない(認知症による理由)
認知症があると、見当識(今がいつで、ここがどこか)や判断力が低下し、「なぜおむつが必要なのか」を理解できなくなることがあります。おむつそのものを「異物」と感じて外そうとしたり、過去の記憶から「これは身に着けるものではない」と判断したりします。汚れている感覚が薄れ、交換を拒むこともあります。これは反抗ではなく、認知機能の変化によって起こる自然な反応です。
3. 蒸れ・締め付け・かゆみ(身体的な不快感)
おむつの中は蒸れやすく、締め付けや肌のごわつきを不快に感じます。高齢者の皮膚は薄く乾燥しがちで、わずかな刺激でもかゆみや痛みが出やすくなります。かぶれ(後述するIAD=失禁関連皮膚炎)が起きていると、かゆみをやわらげようとしておむつを外してしまうこともあります。「嫌がる」の正体が、実は肌トラブルの痛みだったというケースは少なくありません。
4. 過去の傷ついた記憶
「臭い」「汚い」といった配慮のない言葉や、急にズボンを脱がされるといった経験が記憶に残り、排泄ケア全体への強い拒否につながることがあります。たとえ自分に向けられた言葉でなくても、近くで交わされた会話を覚えていて敏感になっている場合もあります。
このように、おむつを嫌がる理由は一つではありません。「恥ずかしいのか」「わからないのか」「痛いのか」「過去に傷ついたのか」を見分けることが、無理のない移行への第一歩になります。
おむつをする前に|状態別の「無理のない排泄方法」早見表
「嫌がるから」とすぐにおむつをやめるのも、「漏れて大変だから」とすぐにおむつへ切り替えるのも、どちらも本人の状態に合っていないことがあります。大切なのは、今の身体の状態に応じて「どこまで自分の力でできるか」を見極めることです。下の表は、移動や姿勢の状態を目安に、無理のない排泄方法を段階で示したものです。
| 本人の状態(目安) | 適した排泄方法 | 家族のサポート |
|---|---|---|
| 支えがあればトイレまで歩ける | トイレ+リハビリパンツ(紙パンツ) | こまめなトイレ誘導、手すりや動線の整備 |
| 歩行は難しいが座位は保てる | ポータブルトイレ+リハビリパンツ | ベッド脇に設置、移乗の見守り |
| 座位の保持が難しい | ベッド上で尿器・差し込み便器+テープ式おむつ | 体位の介助、こまめな声かけ |
| 尿意・便意が分からない、寝たきり | テープ式おむつ+尿とりパッド | 定時の確認・交換、皮膚の観察 |
判断に迷ったときの分かりやすい目安として、リハビリ医療の第一人者である大田仁史氏は、自分でトイレ排泄を続けるための大前提を「背もたれなしで10分間座れる」「しがみついてでも20〜30秒は立てる」と表現しています(排泄ケアナビ)。この2つができるなら、まだ洋式トイレでリハビリパンツを上げ下ろしできる可能性が高い、ということです。逆に、ここが難しくなってきたら、ポータブルトイレやベッド上のケアへ重心を移す時期と考えられます。
ポイントは、「おむつか、おむつでないか」の二択で考えないことです。日中はトイレ、外出時だけリハビリパンツ、夜間だけパッドを足す、といった「使い分け」が、本人の自立とご家族の負担軽減を両立させます。
無理なく移行する4ステップ|パッドからリハビリパンツへ
おむつへの移行は、一気に進めるとほぼ確実に拒まれます。「今までの下着」から「おむつ」へジャンプするのではなく、間にいくつかの段階を置いて、本人が違和感なく慣れていけるように進めます。退院後などで一時的に使ったおむつから「卒業」していく場合も、同じ考え方で逆向きにたどれます。
ステップ1:布の下着+薄い尿とりパッドから始める
いきなり紙パンツを出すのではなく、いつもの布の下着に薄型の尿とりパッドを1枚入れるところから始めます。見た目も着け心地も普段の下着に近いので抵抗が小さく、「念のための備え」として受け入れてもらいやすい段階です。少量の漏れならこれで十分カバーできます。
ステップ2:リハビリパンツ(紙パンツ)に切り替える
パッドでは間に合わなくなってきたら、自分で上げ下ろしできるリハビリパンツへ。布の下着と同じように「履く」タイプなので、トイレでの自立排泄を続けられます。リハビリパンツは1995年に大田仁史氏が「最期まで人としての尊厳を失わずにその人らしく生きてほしい」という願いを込めて名付けたもので、おむつとは目的が異なります。最初は「外出のときだけ」「夜だけ」と場面を限定すると受け入れやすくなります。
ステップ3:リハビリパンツ+尿とりパッドで吸収量を調整する
漏れが増えてきたら、リハビリパンツの中に尿とりパッドを足して吸収量を調整します。交換するのはパッドだけで済むため、本人の負担もご家族の手間も軽くなります。なお、パッドを何枚も重ねるのは禁物です。通気性が落ちて蒸れ、かえって皮膚トラブルの原因になります(排泄ケアナビ)。
ステップ4:必要に応じてテープ式おむつへ
歩行や座位が難しくなり、ベッド上での生活が中心になったら、寝た姿勢でも交換しやすいテープ式おむつ+パッドへ。ここまで来ても、日中の一部だけトイレやポータブルトイレを使える人もいます。「全部おむつ」と決めつけず、できる動作は残すことが、本人の意欲と身体機能の維持につながります。
急がないことが最大のコツ
各ステップに「正解の期間」はありません。漏れの頻度、本人の受け入れ具合、肌の状態を見ながら、行きつ戻りつで構いません。「昼はトイレ、夜だけパッド」のように、状態が良い日は前の段階に戻すくらいの柔軟さが、長く続けるコツです。焦らず、叱らず、無理強いしない。これが移行を成功させる土台になります。
尊厳を守る声かけ|理由に合わせた言葉の選び方
同じ「嫌だ」でも、その奥にある気持ちはひとりひとり違います。理由に合わせて声のかけ方を変えると、驚くほどすんなり受け入れてもらえることがあります。先に紹介した4つの背景に対応した声かけの工夫を紹介します。
羞恥心・自尊心が理由のとき
- 「おむつ」という言葉を使わない。「紙パンツ」「使い捨ての下着」「あったかいパンツ」と呼び替えるだけで、心理的な抵抗が大きく下がります。
- 「みんな使っている」と一般化する。「最近は薄くていいものが出ていて、実はひっそり使っている人が多いんですよ」と、特別なことではないと伝えます。
- 失敗を責めず、できたことを大げさに喜ばない。排泄物の量やにおいを話題にするのは避け、淡々と、普段どおりに接します。
認知症で理由が分からないとき
- 次の行動を一つずつ短く伝える。「トイレに行きましょうね」「ここに座りますね」と、これから何をするかを先に伝えると安心します。
- 問い詰めない・急がせない・慌ただしくしない。「どうして外したの」と理由を追及せず、本人のペースに合わせます(アテント)。
- 排泄のリズムを把握して先回りする。いつもの時間帯に自然にトイレへ誘うと、拒否そのものが減ります。
身体的な不快が理由のとき
- サイズ・吸収量・通気性を見直す。締め付けやごわつき、蒸れが原因のことが多く、製品を変えるだけで嫌がらなくなることがあります。
- 肌のかゆみ・赤みを確認する。かぶれが隠れていないか、おむつの中の皮膚を観察します。
声かけで避けたいNG
- 「臭い」「汚い」など、本人や排泄物を否定する言葉。たとえ独り言でも本人は覚えています。
- 「いい加減にして」「また?」といった感情的な言葉。拒否を強め、長期化させます。
- 大部屋や来客の前など、人の目があるところでの交換・声かけ。
共通して大切なのは、「失敗しても大丈夫」という安心感を、言葉と態度で伝え続けることです。安心できる相手だと感じられると、ケアそのものへの抵抗が和らいでいきます。
【独自分析】拒否の本当の理由を見抜く|排尿日誌という選択肢
ここでは、競合記事ではあまり踏み込まれない「拒否の本当の理由を見抜く」観察の視点を、家庭で実践できる形に整理します。当サイトが排泄ケアの一次資料(看護専門誌の訪問看護事例、健康長寿ネット、日本創傷・オストミー・失禁管理学会)を読み解いてまとめた独自のフレームです。
「プライド」と決めつけない|表面の理由の裏を見る
訪問看護の事例で、こんな話があります。88歳の女性が、ケアマネジャーや看護師がいくらすすめてもリハビリパンツを頑として拒否していました。周囲は「プライドが許さないのだろう」と考えていました。ところが本人にじっくり話を聞くと、本当の理由は「自分で買いに行けない」「使用済みのものをどこに捨てればいいか分からない」というゴミ処理の不安でした。自治体のゴミの出し方を一緒に確認し、購入を家族に頼める仕組みを作ったところ、あっさり履いてくれるようになったのです(看護roo!掲載・訪問看護事例)。
この事例が教えてくれるのは、「嫌がる=尊厳の問題」と早合点せず、本人の生活の文脈まで観察することの大切さです。買い物・ゴミ・お金・人目など、私たちが見落としがちな「実務的な不安」が拒否の正体であることは珍しくありません。下のチェックで、表面の理由の裏を探ってみてください。
- 製品の準備(買う・補充する)を本人が負担に感じていないか
- 使用済みの処理・においを気にしていないか
- 「家族に迷惑をかける」という申し訳なさが先に立っていないか
- サイズや肌触り、蒸れなど、言葉にしにくい身体的な不快がないか
排尿日誌で「おむつに頼らない時間」を増やす
おむつを嫌がる方ほど、「そもそもおむつに頼る場面を減らす」アプローチが有効です。その出発点が排尿日誌です。健康長寿ネットによれば、排尿日誌は2〜3日間、排尿の時刻・量・飲水量などを記録して排尿パターンを把握するためのツールです。これをもとに、次のような排尿誘導を行うと、トイレでの自立排泄を保ちやすくなります。
| 方法 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 定時誘導 | あらかじめ決めた時間にトイレへ誘う | 排尿の間隔が比較的一定の人 |
| 習慣化排尿 | 本人の排尿パターンに合わせて誘う | 日誌でリズムが見えてきた人 |
| 排尿自立刺激(声かけ排尿) | 意思を確認し、自分から伝える力を引き出す | 軽度の認知症がある人 |
こうした自立支援の取り組みは、制度の面からも後押しされています。健康長寿ネットによれば、2016年度の診療報酬改定で「排尿自立指導料」、2018年度の介護報酬改定で「排せつ支援加算」が創設され、適切な排尿管理・ケアの効果が報告されています。「おむつにするしかない」と思い込む前に、まずは排泄の自立を支える余地がないかを見直すことが、本人の尊厳を守る近道になります。
かぶれ(IAD)を防ぐスキンケア|痛みが拒否を生まないために
おむつを嫌がる理由の一つに、肌のかゆみや痛みがあります。これは「おむつかぶれ」、医学的にはIAD(失禁関連皮膚炎)と呼ばれるものです。日本創傷・オストミー・失禁管理学会によれば、尿や便が長時間または繰り返し皮膚に触れ、皮膚がふやけてバリア機能が低下することで起こります。高齢者の肌は薄く乾燥しがちで、ひとたび炎症が起きると痛みを伴い、本人の苦痛は大きくなります。痛いからおむつを外す、という悪循環を防ぐために、家庭でできるスキンケアのポイントを押さえましょう。
1. 早めに、やさしく拭き取る(清拭)
排泄物が肌に付いたら、できるだけ早く取り除きます。ただし強くこするのは禁物です。ふやけた肌は擦るだけで傷つきます。やわらかいおしりふきやウェットタイプのワイプで、押さえるようにやさしく拭き取ります。
2. 洗うのは1日1回、弱酸性で
毎回せっけんで洗う必要はありません。皮膚洗浄剤を使うのは1日1回を目安にします。健康な肌と同じ弱酸性の泡タイプを選び、しわを伸ばして洗い、ぬるま湯でしっかり洗い流します(花王プロフェッショナル、持田ヘルスケア)。洗いすぎは、かえって肌のうるおいを奪います。
3. 洗ったあとは必ず保湿する
洗浄後の肌は乾燥しやすく傷つきやすい状態です。保湿剤でカバーし、バリア機能を補います。セラミドや天然保湿因子を含むものがおすすめです。
4. 必要なら撥水の保護剤で「膜」を作る
軟便や水様便が続くときは、保湿後に撥水作用のある皮膚保護剤を塗って、排泄物が直接肌に触れないようにします。
5. パッドの重ね付けをしない・通気性の良い製品を選ぶ
漏れが心配でもパッドを何枚も重ねるのは逆効果です。通気性が落ちて蒸れ、皮膚がふやけてIADを招きます。吸収量とサイズが体に合った1枚を選びましょう。
赤みが強い、ブツブツした湿疹がある、拭くときに痛がる様子があるなど、いつもと違う状態が続くときは、自己判断で市販薬を使う前に、かかりつけ医や皮膚科、訪問看護師に相談してください。皮膚が欠損している場合は専門家による治療が必要です。
家族だけで抱え込まない|サービスと制度の活用
おむつを嫌がる方のケアは、毎日のことだけに、ご家族の心と体に大きな負担がかかります。夜間の対応で眠れない、洗濯やシーツ替えに追われる、何度すすめても拒まれて感情的になってしまう。そう感じたら、それは「家族だけで抱え込みすぎているサイン」です。介護する人が疲れ果ててしまうことは、介護される本人にとっても望ましいことではありません。
サービスを使って負担を分け合う
- 訪問介護(ヘルパー):排泄介助やおむつ交換を専門職に任せられます。第三者だからこそ、家族には見せない素直さで受け入れる方も少なくありません。
- デイサービス・ショートステイ:日中や数日間、専門のスタッフによる排泄ケアを受けられ、家族の休息時間を確保できます。
- 訪問看護:皮膚トラブルの観察・処置や、排泄リズムのアセスメント、本人への声かけの工夫など、専門的な視点を借りられます。
- 福祉用具:ポータブルトイレや手すりのレンタル・購入で、トイレでの自立排泄を長く支えられます。
経済的な負担をやわらげる制度
紙おむつ代は継続的にかかる費用です。多くの市区町村に、要介護度などの条件を満たす在宅高齢者向けの「紙おむつ給付・助成制度」があります。また、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば、おむつ代を医療費控除の対象にできる場合があります。お住まいの自治体やケアマネジャーに確認してみてください。
「完璧」を目指さない
毎回トイレで成功しなくても、毎回きれいに交換できなくても大丈夫です。今日より少しでも本人が安心でき、家族が少し楽になれば、それで十分です。理想をすべて実践しようとせず、今の状態から一歩ずつ良い方向へ。それが在宅介護を長く続ける現実的なコツです。
よくある質問(FAQ)
Q. 認知症の親が、おむつを何度も自分で外してしまいます。どうすれば?
A. まず外す理由を観察します。蒸れ・かゆみなどの不快感が原因なら製品やサイズの見直しを、認知症で「異物」と感じている場合は問い詰めずに排泄リズムをつかんで先回りのトイレ誘導を試みます。つなぎ服などの「外せない工夫」は本人の不快や行動を抑え込むことになりかねないため、まずは原因に応じた対応を優先し、難しければ訪問看護やケアマネジャーに相談しましょう。
Q. 「おむつは絶対に嫌だ」と強く拒みます。無理に着けるべき?
A. 無理強いは逆効果です。本人に「介助があればトイレで排泄できる力」が残っているなら、その意思を尊重し、リハビリパンツや尿とりパッドで対応するのが原則です。安易におむつに切り替えず、まず今の身体の状態を見極めてください。
Q. 夜間だけ漏れてしまいます。昼間は普通にトイレに行けます。
A. 終日おむつにする必要はありません。日中はトイレ、夜間だけリハビリパンツや吸収量の多いパッドを足す「使い分け」が向いています。就寝前の水分や排尿のタイミングを見直すと、夜間の漏れが減ることもあります。
Q. リハビリパンツとおむつ(テープ式)は何が違うの?
A. リハビリパンツは下着のように自分で上げ下ろしして履くタイプで、トイレでの自立排泄を続けたい人向けです。テープ式おむつは寝た姿勢でも交換しやすく、座位の保持が難しい人や寝たきりの人向けです。状態に合わせて選び、移行も段階的に行います。
Q. 嫌がるので交換が追いつかず、肌が赤くなってきました。
A. 失禁関連皮膚炎(IAD)の始まりの可能性があります。やさしい清拭・1日1回の弱酸性洗浄・保湿を基本にケアし、赤みや湿疹、痛がる様子が続くなら、市販薬で済ませず皮膚科やかかりつけ医、訪問看護師に相談してください。
Q. どこに相談すればいいか分かりません。
A. 在宅で介護保険を使っているならケアマネジャーが最初の窓口です。まだサービスを使っていない場合は、お住まいの地域包括支援センターへ。排尿・排便の医学的な問題は泌尿器科や消化器科、製品選びは福祉用具専門相談員が力になってくれます。
参考文献・出典
- [1]高齢者に対する排尿管理・ケアの実際- 健康長寿ネット(公益財団法人 長寿科学振興財団)
排尿日誌・排尿誘導(定時誘導・習慣化排尿・排尿自立刺激)の方法、排尿自立指導料(2016年度)・排せつ支援加算(2018年度)の解説
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
まとめ|尊厳を守りながら、家族だけで抱え込まないために
高齢の方がおむつを嫌がるとき、その「嫌だ」という気持ちは、長く自立して生きてきた人の尊厳が発しているサインです。わがままでも認知症のせいだけでもありません。羞恥心や情けなさ、認知機能の変化、肌の不快、過去の傷ついた記憶。理由を一つずつ理解し、「おむつか、そうでないか」の二択ではなく、トイレ・ポータブルトイレ・リハビリパンツ・尿とりパッドを使い分けながら、本人のペースで無理なく移行していくことが、何より大切です。
「おむつ」と言わずに「紙パンツ」と呼ぶ、失敗を責めない、できることは残す。そんな小さな配慮の積み重ねが、本人の安心とご家族の負担軽減の両方につながります。そして、家族だけで完璧にやろうとしないこと。それも、この介護を長く続けるための大切な工夫です。
迷ったとき、つらいときは、専門家を頼ってください。相談先は身近にあります。
- ケアマネジャー(介護支援専門員):介護保険を利用中なら最初の相談窓口。サービスの調整や福祉用具の手配を任せられます。
- 地域包括支援センター:まだ介護サービスを使っていない場合の窓口。お住まいの地域にあり、無料で相談できます。
- 泌尿器科(必要に応じて消化器科):尿失禁・便失禁の医学的な原因や治療について相談できます。「年のせい」とあきらめず受診を。
- 福祉用具専門相談員:リハビリパンツやパッド、ポータブルトイレなど、その方に合った用具選びの専門家です。
ひとりで抱え込まず、こうした専門職と一緒に、ご本人が最期までその人らしく過ごせる排泄ケアを見つけていきましょう。
監修者
介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム
医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)
訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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