
おむつの当て方と漏れ防止のコツ|介護職向けパッド選び・体位別・ギャザーの立て方
介護職向けに、おむつの正しい当て方と漏れ防止を徹底解説。テープ式・パンツ式と尿取りパッドの選び方と組み合わせ、尿量の目安に合うパッド選択、立体ギャザーを鼠径部に沿わせるコツ、男女差・仰臥位/側臥位の体位別、前/後ろ/横漏れの原因別対処、IAD予防とコスト・尊厳への配慮までまとめました。
Quick Diagnosis
全6問・動画ガイド付き
性格から、合う働き方をみつける。
介護の仕事を嫌いになる前に。施設タイプや転職サービスの選び方を、6つの質問と45秒の動画で整理できます。
この記事のポイント
おむつの漏れの大半は「立体ギャザーのつぶれ」「パッドの吸収量と尿量のミスマッチ」「引き上げ不足」の3つが原因です。当て方の基本は、テープ式やパンツ式(アウター)の立体ギャザーの内側に尿取りパッド1枚を入れ、パッドとアウター両方のギャザーを脚のつけ根(鼠径部)に沿わせて立てること。パッドの重ね当ては防水シートが尿の浸透を止めるため逆効果です。尿量に合った吸収量を選び、漏れる方向に合わせて当て方を調整するのが、漏らさないケアの近道です。
目次
おむつ交換そのものはできても、「丁寧に当てたのに漏れる」「夜になると必ず横から漏れる」という悩みは、介護現場で尽きることがありません。漏れは利用者の不快感や睡眠の妨げ、皮膚トラブルにつながるだけでなく、寝具交換や洗濯といった介護職の業務負担も増やします。
漏れを減らす鍵は、おむつ交換の手順を覚えることではなく、「当て方」と「パッドの選び方」を原因から理解することです。この記事では、テープ式・パンツ式と尿取りパッドの正しい組み合わせ、尿量に合わせたパッド選択、立体ギャザーを鼠径部に沿わせる当て方、男女差や体位(仰臥位・側臥位)別の注意点、そして前漏れ・後ろ漏れ・横漏れといった漏れの方向別の原因と対処までを、介護職の現場目線で整理します。スキントラブル予防やコスト、利用者の尊厳への配慮も含めて解説します。
おむつの基本構造を理解する(アウターとインナーの2層)
正しい当て方を身につける前に、大人用おむつが「アウター(外側のおむつ)」と「インナー(尿取りパッド)」の2層で使うことを前提に設計されている点を押さえます。この役割分担を理解しているかどうかが、漏れの有無を大きく左右します。
アウター(外側のおむつ)の役割
アウターは体に固定し、尿取りパッドを正しい位置に保持する「土台」です。アウターには大きく2タイプあります。
- テープ式(テープ止めタイプ):寝て過ごすことが多い方向け。仰向けで当ててテープで固定するため、自力で立てない方でも交換できます。
- パンツ式(紙パンツ・リハビリパンツ):立てる・座れる方、介助があれば歩ける方向け。下着のように着脱でき、自立を促しやすいタイプです。
インナー(尿取りパッド)の役割
尿取りパッドは尿を直接受け止める「吸収体」であり、交換の中心になる部品です。排尿のたびにパッドだけを交換すれば、アウターは汚れていなければ続けて使え、交換の手間とコストを抑えられます。パッドには、テープ式アウターに合わせる「テープ用パッド」と、紙パンツに合わせる「紙パンツ専用パッド」があり、形状が異なります。
立体ギャザーが「堤防」になる
アウターとパッドの両方には、脚まわりに沿って立ち上がる「立体ギャザー」があります。立体ギャザーは尿を内側にせき止める堤防の役割を果たします。花王の解説でも、立体ギャザーがつぶれていると堤防がない状態になり尿が漏れやすくなる、と明確に示されています。当て方のほぼ全ての工程は、この堤防を正しく立てて鼠径部に沿わせることに集約されます。
尿取りパッドの選び方|尿量の目安と吸収量を合わせる
漏れ防止は「当て方」の前に「選び方」から始まります。パッドの吸収量と利用者の尿量が合っていなければ、どれだけ丁寧に当てても溢れます。
吸収量の表記は「1回=150mL」が基準
尿取りパッドの「○回吸収」という表記は、メーカーや自治体の給付基準で1回の排尿量を約150mLとして計算されています。たとえば「4回吸収」なら約600mL(500mLペットボトル1本強)を吸収できる目安です。ただし高齢者の1回排尿量には個人差があり、夜間多尿の方では1回量が多くなることもあるため、表記はあくまで目安として、実際の漏れ具合で調整します。
使用シーン別の吸収量の目安
| シーン | 吸収量の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 日中・こまめに交換できる | 2〜3回吸収 | 排尿ごとに交換する前提。薄型で動きやすく、ムレも少ない |
| 長時間の外出・数時間交換できない | 4回吸収前後 | 交換間隔に合わせて余裕を持たせる |
| 夜間(交換しない時間が長い) | 4〜6回以上の夜用 | 夜間の交換を減らし睡眠を妨げないために高吸収を選ぶ |
パッドは「重ね当て」しない
「不安だから2枚重ねる」は、漏れ防止としては逆効果です。尿取りパッドの裏面は防水シートになっているため、上のパッドから下のパッドへ尿は浸透せず、2枚重ねても吸収量は増えません。むしろ厚みが出てギャザーが鼠径部に密着せず、隙間からの横漏れを招きます。吸収量が足りないと感じたら、枚数を増やすのではなく1枚あたりの吸収量が多いパッドに変えるのが正解です。
アウターとパッドの組み合わせの原則
- テープ式アウターには「テープ用パッド」、紙パンツには「紙パンツ専用パッド」を合わせる(形状とギャザー設計が違うため)。
- アウターとパッドは同じブランドで揃えると、アウターの立体ギャザーの中にパッドがすっぽり収まりやすく、使い勝手がよい。
- アウターは1枚で使う。テープ式やパンツ式を重ねて履くと隙間ができ、かえって漏れやすくなる。
アウター(テープ式・パンツ式)の選び方|身体状況とADLで決める
パッドの吸収量を合わせても、土台となるアウターが利用者の身体状況に合っていないと漏れます。アウターは「どこまで動けるか」で選ぶのが原則です。
身体状況別の選び方
| 身体状況 | 適したアウター | ねらい |
|---|---|---|
| 一人で歩ける・介助で歩ける | うす型の紙パンツ(リハビリパンツ) | 自分で着脱でき、自立とトイレ移行を促す |
| 立てる・座れる | 紙パンツ+紙パンツ専用パッド | 座位で交換でき、動きの妨げが少ない |
| 寝て過ごすことが多い | テープ式+テープ用パッド | 仰臥位・側臥位で確実に固定できる |
サイズ選びが漏れを左右する
アウターのサイズは、ウエストではなくヒップ(おしりまわり)を基準に選ぶ製品が多く、パッケージの適応サイズを確認します。サイズが大きすぎると股ぐりに隙間ができて横漏れし、小さすぎると締めつけで皮膚を傷め、ギャザーが内側に折れて堤防が機能しません。「動くと毎回ずれる」「テープを一番きつく止めても緩い」ときは、1サイズ小さいアウターを試します。
自立を優先する視点
テープ式は介助者にとって当てやすい反面、利用者の「自分で排泄する力」を奪いやすいタイプです。立てる・座れる方には、漏れ対策を理由に安易にテープ式へ下げず、紙パンツでの自立を支える視点を持ちます。アウター選びは漏れ防止であると同時に、利用者の残存能力をどう活かすかというケアの判断でもあります。
テープ式おむつの当て方|立体ギャザーを鼠径部に沿わせる
テープ式は仰臥位・側臥位で当てるため、寝て過ごす方の漏れ防止の基本です。手順は交換そのものより「当て方の質」を意識します。
当てる前の準備:パッドのギャザーを立てる
パッドをアウターにセットする前に、尿取りパッドの両端を持って軽く引っ張り、つぶれた立体ギャザーをしっかり立てます。袋から出したパッドはギャザーが寝ているため、この一手間を省くと堤防が機能しません。次に、テープ式アウターのモレ防止立体ギャザーの内側に、ギャザーを立てたパッドを入れます。パッドはアウターのギャザーをまたがず、内側に収めるのが鉄則です。
当て方の手順
- アウターの中心を背骨に合わせる:体を横向きにし、おむつの中心線が背骨の位置にくるように置く。上側のテープが腰骨より上にくる位置に合わせる。
- 仰向けに戻してパッドを引き上げる:ゆっくり仰臥位に戻し、パッドを股間に引き上げる。ズレ止めテープがあればここで剥がして固定する。
- ギャザーを脚のつけ根に沿わせる:パッドとアウター両方の立体ギャザーを両手で軽く持ち、脚のつけ根(鼠径部)のラインに沿うように引き上げる。ここが漏れ防止の最重要工程。
- シワを伸ばして左右に広げる:おむつのシワを伸ばしながら左右に広げ、パッドがずれないよう上から軽く押さえる。
- テープを下→上の順でクロス止め:下側のテープを左右順番に、次に上側のテープを左右順番に止める。左右対称になるよう注意する。
クロス止めを体型に合わせる
テープは「クロス止め」でフィット性が大きく上がります。体型に応じて角度を変えます。
- お腹まわりが細い:上のテープを斜め下向きに止める。
- 脚まわりが細い:下のテープを斜め上向きに止める。
- 全体に細い:上下のテープを交差させて止める。
仕上げの確認
当て終わったら、足回りとギャザーの間に指を入れて太もも周りを一周し、ギャザーが内側に折れ込んでいないか確認します。背中側の引き上げが甘いと後ろ漏れの原因になるため、腰側・背中側ともウエスト位置までしっかり引き上がっているかを必ず見ます。
パンツ式(紙パンツ)の当て方とパッドの入れ方
パンツ式は立てる・座れる方の自立を促せるタイプです。当て方のポイントは、ギャザーをつぶさずにパッドを収めることです。
当て方の手順
- ギャザーを立てる:紙パンツのウエスト部分に両手を入れ、前後に2〜3回伸ばして脚まわりのギャザーをしっかり立たせる。
- 足を通す:座位または立位で片足ずつ通す。麻痺がある方は麻痺側(患側)の足から先に通す。
- パッドを後から入れる:両足を通した後、紙パンツの内側にある立体ギャザーをつぶさないように、紙パンツ専用パッドを入れる。
- ウエストまで引き上げる:左右交互にお尻を浮かせ、背中側もウエストまで上がっているか確認しながら引き上げる。
パンツ式で漏れやすいポイント
- パッドを入れるときにギャザーを押し込まない:パッドで紙パンツのギャザーを内側に倒してしまうと、堤防が機能せず横漏れする。
- 肌着を挟み込まない:紙パンツに肌着の裾を挟み込むと、肌着を伝って尿が外に漏れる。交換時は肌着を挟まないよう注意する。
- 姿勢が変わったら整える:座位・立位の変化で隙間ができやすいため、動いた後は股上を深く引き上げ直す。
パッドのみ交換するとき
排尿だけならパッドのみの交換で済みます。介助する場合は後ろにまわって紙パンツを膝まで下ろし、汚れたパッドを外して、ギャザーを立てた新しいパッドをセットしてから引き上げます。本人ができる場合は、自分でパッドを引き抜いて新しいものに替える方法もあり、自立支援につながります。
男女差と体位(仰臥位・側臥位)別の当て方
同じパッドでも、性別と体位によって尿のあたる位置・流れる方向が変わります。これに合わせて当て方を変えると漏れが大きく減ります。
男女差:幅広い面の向きを変える
片側が幅広いテープ用パッドは、広い面で尿をしっかり吸収するため、尿のあたる位置に広い面を合わせます。
- 女性:幅の広い方を後ろ側(おしり側)に当てる。仰臥位では尿が背中側に流れやすいため。
- 男性:幅の広い方を前側(おなか側)に当てる。
男性特有の漏れとして、ペニスがパッドの中心からずれて漏れるケースがあります。ペニスを下向きにしてパッドの中心に収めるのが基本です。袋状パッドでペニスが短く外れてしまう場合は、平らに敷いたパッドで谷型に包み込むように当てると安定します。
仰臥位(あお向け)の注意点
- 尿は背中側・お尻側へ流れやすい。背中側の引き上げと、お尻側のギャザーを確実に立てることが後ろ漏れ防止になる。
- パッドの中心が尿道口の位置にきているか確認する。
側臥位(横向き)の注意点
横向きで長く過ごす方は、下になった側のお腹の横から漏れやすくなります。これは尿がパッドの中心ではなく、低くなった側面に流れて落ちるためです。対処は次の通りです。
- 立体ギャザーの高い(深い)パッドを使い、流れが予想される側のギャザーをしっかり立てる。
- 尿の流れが予測される方向にパッドの中心を少しずらし、その方向に広く当てる。
- 尿のあたる部分にパッドを谷型に包むように当て、中心に向かう溝(流れ道)を作る。
- アウターも左右対称にこだわらず、中心を少し下側へずらして当てる。
拘縮で足が曲がらない方への当て方
拘縮で足が開かない・伸ばせない方は、アウターを足の間に通しにくく、背中側が腰骨まで上がりません。この場合はパッドを先に当てます。パッドを内側を山にして2つ折りにし、横向きにした利用者の股間に挟み込みます。アウターも前部を2つ折りにし、両端を持って左右にゆすりながら引き上げ、横向きのまま片側のテープを止め、反対向きにしてもう片側を止めます。無理に足を広げず、利用者の関節への負担を最小限にすることが安全と尊厳の両面で重要です。
漏れの方向別|原因と対処の早見マトリクス
漏れは「どこから漏れたか」で原因がほぼ特定できます。現場でその場で判断できるよう、方向別に原因と対処を整理します。次の交換時に当て方を調整する材料にしてください。
前漏れ(おなか側から漏れる)
- 原因:男性でペニスがパッド中心からずれている/前側の吸収面が不足/引き上げ不足。
- 対処:男性は幅広い面を前に。ペニスを下向きにし中心に収める。前側のギャザーを立て、股上を深く引き上げる。
後ろ漏れ(背中・お尻側から漏れる)
- 原因:背中側の引き上げが甘くウエストまで上がっていない/お尻側のギャザーがつぶれている/女性で後ろの吸収面が不足。
- 対処:背中側を必ずウエスト位置まで引き上げる。お尻側のギャザーを立て直す。女性は幅広い面を後ろに。
横漏れ(太もも・鼠径部・お腹の横から漏れる)
- 原因:立体ギャザーが倒れている・折れている・押し込まれている/股ぐりに隙間がある/アウターのサイズが大きすぎる/肌着やフリルの巻き込み。
- 対処:外側のフリルをめくり、肌とギャザーの間に指を入れてギャザーを立て直す。フリルや肌着を外側に引き出す。1サイズ小さいアウターに変える。クロス止めで太もも周りを密着させる。
姿勢を変えると漏れる(テープ式)
- 原因:寝位から座位・立位への変化で腹囲が変わり、隙間ができて全体がずれる/アウターのサイズ不適合。
- 対処:腰骨の上に上側テープがくるよう股上を長く当てる。動作のたびにこまめにテープを貼り直す。座位・立位ができるならパンツ式へ変更する。
溢れるように漏れる(夜間多尿)
- 原因:尿量がパッドの吸収可能量を超えている/吸収力が活かされていない。
- 対処:尿量を測定・記録し、吸収量の多い夜用パッドに変える。夜間の無理な起こし交換は睡眠と転倒リスクの面から避け、高吸収パッドで対応する。
尿と軟便が混ざって漏れる
- 原因:泥状・水様便は尿よりパッドの吸収スピード・保水力が低い。
- 対処:便をためる溝のあるインナーを選ぶ/高いギャザーで便の流れをせき止める/ギャザーが高く面積の広いパッドを選ぶ。固形便はギャザーで受け止める設計のため、早めの交換で皮膚トラブルを防ぐ。
スキントラブル・コスト・尊厳への配慮
漏れを防ぐことは目的の一部にすぎません。当て方の質は、利用者の皮膚・費用・尊厳に直結します。
スキントラブル(IAD)の予防
尿や便が皮膚に長く触れると、IAD(失禁関連皮膚炎)という皮膚炎が起こります。紅斑やびらん、痒みや痛みを伴い、褥瘡とは異なるケアが必要です。予防の基本は「洗浄・被覆・保湿・水分除去」です。
- 排泄物が付着したら早めに交換し、皮膚に残さない。
- 洗浄剤は刺激の少ない弱酸性のものを使い、こすらず汚れを浮かせて落とす。
- 洗浄後は保湿し、皮膚のバリア機能を守る。
- 通気性のあるアウター・パッドを選び、ムレを減らす。過剰な厚み(重ね当て)はムレを悪化させる。
コストの考え方
パッドを排尿ごとに交換し、汚れていないアウターは続けて使う「アウター+インナー」の使い分けが、コストと手間を最も抑えます。一方で、吸収量が足りないパッドで漏らして寝具やアウターまで汚すと、洗濯・交換コストはかえって増えます。「安いパッドを我慢して使う」より「尿量に合った吸収量を1枚」が、結果的に経済的です。重ね当てはコスト増のわりに漏れ防止効果がない点も押さえます。
尊厳への配慮
- 露出を最小限にし、バスタオル等で覆いながら手早く当てる。
- 「おむつ」という言葉や交換の様子を他者に聞かれない・見られない環境をつくる。
- 「今からパッドを替えますね」と必ず声をかけ、同意を得てから始める。
- 本人ができる動作(足を通す・お尻を浮かせる等)は奪わず、できる部分は任せて自立を支える。
漏らさない当て方は、利用者が「失敗した」という負い目を感じずに済む、最大の尊厳への配慮でもあります。
現場で漏れを減らす実践のコツ
1. 交換のたびに「指1本」でギャザーを確認する
当て終わりに、両脚のつけ根のギャザーと肌の間に指を入れて一周させる習慣をつけます。折れ込み・押し込みをその場で立て直すだけで横漏れが激減します。
2. 漏れたら「方向」を記録する
漏れた位置(前・後ろ・左横・右横)と時間帯、そのときの体位を記録に残します。方向と尿量の傾向が見えれば、パッドの吸収量や当て方の調整を根拠を持って行えます。排尿日誌や排泄記録と組み合わせると、夜間多尿などのパターンも把握できます。
3. パッドは「足りなければ枚数でなく吸収量」
漏れが続くと枚数を増やしたくなりますが、重ね当ては防水シートで吸収が増えず、ムレと横漏れを招きます。1枚あたりの吸収量を上げる方向で調整します。
4. 夜は無理に起こさず高吸収で守る
夜間の起こし交換は本人の睡眠と転倒リスクの面でデメリットが大きいケースが多いものです。夜用の高吸収パッドに切り替え、交換回数を減らす設計に変えます。
5. 同じ場所から毎回漏れるなら当て方を疑う
いつも同じ位置から漏れる場合は、製品ではなく当て方や体位に原因があることがほとんどです。男性の前漏れ、横向きの方の横漏れなど、原因別の対処に立ち返ります。
よくある質問(FAQ)
Q. 尿取りパッドは2枚重ねてもいいですか?
A. おすすめしません。パッドの裏面は防水シートのため、上のパッドから下のパッドへ尿は浸透せず、2枚重ねても吸収量は増えません。厚みでギャザーが密着せず、かえって横漏れの原因になります。吸収量が足りなければ、1枚あたりの吸収量が多いパッドに変えてください。
Q. アウターも重ねて履けば安心ですか?
A. いいえ。テープ式やパンツ式のアウターを重ねると隙間ができ、かえって漏れやすくなります。アウターは1枚で、中にパッドを1枚入れて使うのが基本です。
Q. パッドを切って小さくして使ってもいいですか?
A. おすすめしません。パッドは切ると吸収体や防水構造が壊れ、設計どおりの吸収・漏れ防止が働きません。サイズや吸収量が合うものを選んでください。
Q. アウターとパッドのメーカーは揃えるべきですか?
A. 必ずしも同じである必要はありませんが、同じブランドのほうがアウターの立体ギャザーの中にパッドがすっぽり収まりやすく、漏れにくく使い勝手もよくなります。
Q. テープはなぜクロス止めにするのですか?
A. クロス止めにすると体へのフィット性が大きく上がり、隙間からの漏れを防げます。お腹が細い方は上のテープを斜め下に、脚が細い方は下のテープを斜め上に、全体に細い方は上下を交差させて、体型に合わせて調整します。
Q. 夜間は起こしてでも交換すべきですか?
A. 多くの場合、夜間の起こし交換は睡眠の妨げや転倒リスクの面でデメリットが大きくなります。夜用の高吸収パッドを使い、交換回数を減らす設計にするのが基本です。ただし皮膚状態や下痢時は個別に判断します。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
まとめ
おむつの漏れは、原因をたどれば必ず当て方かパッド選びに行き着きます。最後に要点を整理します。
- 選び方が先:尿量に合った吸収量(1回約150mL基準)を1枚選ぶ。重ね当ては防水シートで吸収が増えず逆効果。
- 立体ギャザーが堤防:パッドとアウター両方のギャザーを立て、脚のつけ根(鼠径部)に沿わせる。当て終わりに指で一周確認する。
- 男女・体位で当て方を変える:幅広い面は男性は前・女性は後ろ。側臥位は流れる方向に中心をずらす。拘縮はパッドを先に当てる。
- 漏れた方向で原因を特定:前・後ろ・横・夜間多尿・軟便混在で対処が決まる。同じ場所から漏れるなら当て方を疑う。
- 皮膚・コスト・尊厳を守る:弱酸性洗浄と保湿でIADを防ぎ、声かけと露出への配慮で利用者の負い目をなくす。
漏らさない当て方は、利用者の快適さと睡眠を守り、介護職の業務負担を減らし、何より利用者の尊厳を守ります。手順を覚えるだけで終わらず、「なぜそう当てるのか」を理解して、目の前の利用者の体型・尿量・体位に合わせて調整できるようになることが、排泄ケアの専門性です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
続けて読む

2026/5/7
介護の働き方と職場環境を俯瞰する|人間関係・夜勤・身体負荷・メンタルの全体像【2026年版】
介護現場の働き方と職場環境を5領域(人間関係・夜勤シフト・身体負荷腰痛・メンタルヘルス・職場選び)で整理。介護労働実態調査の最新データをもとに離職率・不足感・有給取得率を読み解き、雇用形態×施設タイプの選び方まで網羅した俯瞰ガイドです。

2026/6/24
重度訪問介護で働く|仕事内容・対象者・長時間支援の働き方・給料・必要資格を解説
重度訪問介護で働く仕事内容を介護職向けに解説。障害福祉サービスとしての対象者(区分4以上)、見守りを含む長時間支援の働き方、喀痰吸引等の医療的ケア、重度訪問介護従業者養成研修の課程と時間、給料相場までを厚労省資料で整理します。

2026/6/10
介護現場のインカム活用|導入のメリット・選び方・運用のコツと注意点
介護施設のインカム(業務用無線)活用を職員目線で解説。移動・呼び出し削減や連携の迅速化といったメリット、種類別の選び方、私語やプライバシーへの配慮など運用ルール、処遇改善加算・生産性向上との関係まで実務的に整理します。
このテーマを深掘り
関連トピック

重度訪問介護で働く|仕事内容・対象者・長時間支援の働き方・給料・必要資格を解説

介護現場のインカム活用|導入のメリット・選び方・運用のコツと注意点

インスリン療法の利用者の介護|介護職ができること・できないこと

介護職の産休・育休からの復帰|時短・夜勤免除・両立支援と復帰後キャリア戦略

介護職の労働基準法ガイド|労働時間・休憩・残業・年休・解雇の最低ライン【2026年版】

介護現場のチームワーク向上術|ユニット内チームビルディング・多職種連携の実践フレームワーク

福祉避難所の開設・運営と介護施設職員の対応

訪問介護の仕事内容|身体介護・生活援助の違いと1日の流れ【2026年版】

介護職の腰痛対策完全ガイド|予防法・労災認定・転職の選択肢

介護職の夜勤明けの過ごし方|疲れを残さない10のコツ

介護職の腰痛対策完全ガイド|予防法・ストレッチ・労災認定・転職の選択肢
ご家族・ご利用者の視点
同じテーマをご家族・ご利用者の方の視点から書いた記事。視野を広げるためのヒントとして。
