関節リウマチ・変形性関節症の利用者の介護|痛み・こわばりに配慮した介助の実務
介護職向け

関節リウマチ・変形性関節症の利用者の介護|痛み・こわばりに配慮した介助の実務

施設で関節リウマチ・変形性関節症の利用者を介護する職員向けに、痛み・朝のこわばり・関節変形への配慮、関節を守る介助手技、自助具・福祉用具の活用、ケア時間の調整、転倒予防、看護師・リハ職との連携を実務目線で解説します。

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この記事のポイント

関節リウマチ・変形性関節症のある利用者の介護では、痛みと関節の変形を進めないことが最優先です。介護職の役割は、無理に関節を動かさない・小さな関節に体重をかけない「関節保護」を意識した介助、朝のこわばりに合わせたケア時間の調整、自助具や福祉用具の活用、そして痛みや腫れの変化を観察して看護師・リハビリ職へ報告することです。診断・薬物治療・運動メニューの決定は医師・専門職の領域で、介護職は「その人の今日の状態に合わせて生活動作を支える」ことに集中します。

目次

「朝、手の指がこわばってボタンが留められない」「立ち上がるときに膝が痛むので時間がかかる」——関節リウマチや変形性関節症のある利用者の介護では、こうした場面に毎日のように向き合います。これらの疾患は、痛みやこわばりが日によって、また時間帯によっても大きく変動するのが特徴です。昨日できた動作が今日はつらい、午前中はつらいが午後は動ける、ということが珍しくありません。

介護職にとって難しいのは、「自立を支えるために動いてもらいたい」気持ちと、「痛む関節を無理に動かして変形を進めたくない」配慮の、両立です。さらに、薬の効き方や炎症の強さといった医療的な部分は介護職だけでは判断できません。だからこそ、関節を守る介助の基本を押さえたうえで、利用者本人の訴えをよく聞き、看護師やリハビリ職と情報を共有しながらケアを組み立てることが欠かせません。

この記事では、施設で働く介護職が日々の介助で実践できる「関節保護を意識した介助手技」「朝のこわばりに合わせたケア時間の組み立て」「自助具・福祉用具の使い方」「転倒予防」「多職種への観察・報告」を、実務目線で整理します。診断や治療方針は医師・専門職に委ね、介護職が担う「生活を支える部分」に絞って解説します。

関節リウマチと変形性関節症の違い|介護の視点で押さえる

介護の進め方は、関節リウマチと変形性関節症で共通する部分と異なる部分があります。介助の前に、それぞれの特徴を介護職の視点で押さえておきましょう。なお、診断や病期の判断は医師の役割であり、ここでは「介助にどう影響するか」という観点で整理します。

関節リウマチ(RA)の特徴

関節リウマチは、免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こり、進行すると軟骨や骨が破壊され、関節が変形していく病気です。手指や手首など小さな関節から、左右対称に腫れや痛みが出やすいのが特徴とされています。代表的なのが「朝のこわばり」で、起床時に手足の関節がこわばって動かしにくく、着替えや歯みがきなどの動作に時間がかかります。日本リウマチ学会の患者向け情報では、朝1時間以上続くこわばりは関節リウマチを疑う重要なサインとされています。

介助の観点で重要なのは、炎症が強い「活動期」と落ち着いている「非活動期」があり、状態が変動することです(パナソニック エイジフリーの疾病別環境整備など)。活動期には関節を休めることが優先され、非活動期にはこわばり予防のために適度に動かすことが大切になります。どちらの時期かを介護職が単独で診断することはできませんが、「今日は腫れて熱を持っている」「いつもより痛みを強く訴える」といった変化を観察し、看護師に報告することが介助強度を調整する出発点になります。

変形性関節症(OA)の特徴

変形性関節症は、加齢や関節への負担の蓄積によって軟骨がすり減り、骨の変形や関節周囲の組織の変性が進む病気です。日本リウマチ学会の解説では、膝・股関節などの体重がかかる大きな関節に起こりやすく、症状として荷重時の痛みが挙げられています。立ち上がりや歩き始めなど「動作開始時」に痛みが出やすく、肥満が膝・股関節への負担を増やす危険因子になるとされています。手指の変形性関節症もあり、こちらは指先の関節が変形します。

関節リウマチが全身の炎症性疾患であるのに対し、変形性関節症は特定の関節の摩耗・変形が中心です。ただし介護現場では「痛む関節を無理に動かさない」「体重がかかる動作で負担を減らす」という配慮の方向性は共通しています。

両疾患とも介護保険の対象になりうる

関節リウマチは介護保険の「特定疾病」に含まれており、40〜64歳の第2号被保険者でも、要介護・要支援と認定されれば介護保険サービスを利用できます。変形性関節症も「両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症」が特定疾病に該当します。施設入所者の多くは65歳以上で年齢要件は問題になりませんが、比較的若い利用者でもこれらの疾患で介護保険を使えることは、相談員や家族対応の場面で知っておくと役立ちます。

なお、ご家族の立場での支え方や、薬物治療・高額療養費などの経済的支援については関節リウマチ・変形性関節症の親を支えるで詳しく解説しています。

関節を守る介助手技|介護職が実践する関節保護の5原則

関節リウマチ・変形性関節症の利用者で最も大切なのが「関節保護」です。これは、痛む関節や変形しやすい関節に余計な負担をかけず、変形の進行を防ぎながら動作を支える考え方です。リハビリの現場で患者に指導される関節保護の原則を、介護職の介助手技に置き換えて整理します。具体的な可動範囲や負荷の上限は理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の指示に従い、ここでは日々の介助で守る基本姿勢を示します。

原則1:小さな関節より大きな関節を使ってもらう

関節保護の基本は「小さな関節よりも大きな関節・筋肉を優先して使う」ことです(パナソニック エイジフリー、医療機関のリハビリ資料などで共通して指導される原則)。たとえば荷物を持つとき、指先(手指のMCP関節)でつまむのではなく、前腕や肘にのせて運ぶ、肩や体全体で支える、といった使い方です。介助の場面では、利用者が手すりを「指で握る」のではなく「手のひら全体や前腕で支える」よう声かけし、可能なら前腕支持型の手すりや歩行器を用意します。

原則2:立ち上がりは手首・指に体重をかけない

椅子からの立ち上がりでは、手首や指でひじ掛けを押して立つと手関節・手指に大きな負担がかかります。医療機関のリハビリ指導資料では、テーブルがある場合は手首や指ではなく前腕に力を入れる、テーブルがない場合は膝に手を置いて前かがみになりながらゆっくり立つ、と指導されています。介護職は、立ち上がり介助のときに利用者の手の使い方を見て、握りこぶしや指先に体重が乗っていないか確認し、必要なら昇降座椅子(立ち上がり補助いす)やベッドのギャッチアップ機能を使って、関節にかかる負担そのものを減らします。

原則3:介護職が「持ち上げる」のではなく「支える」

移乗や体位変換のとき、利用者の手指や手首をつかんで引っ張ると、変形した関節に強い力が加わり痛みや脱臼のリスクになります。介助では手指・手首をつかまず、前腕や体幹を面で支えるようにします。スライディングボードやスライディングシートなどの福祉用具を活用し、引っ張る・ねじる動きを減らすことが関節保護につながります。利用者自身にも「痛いところは無理に動かさない」「介助者の腕につかまるときは指でなく手のひらで」と伝えます。

原則4:痛みの出る方向に無理に動かさない

関節可動域(ROM)の訓練はリハビリ職の指示に基づいて行うもので、介護職が良かれと思って痛む方向へ無理に動かすのは禁物です。更衣や整容の介助でも、痛む関節を急に大きく動かさず、ゆっくり・小刻みに、本人のペースに合わせます。「痛い」と言われたらそこで止め、どの動作で痛むかを記録して看護師・リハビリ職に伝えます。

原則5:保温と休息のタイミングを意識する

関節は冷えるとこわばりや痛みが強まりやすいため、保温が有効とされています。入浴や蒸しタオルで温めた後はこわばりがやわらいで動かしやすくなることが多く、更衣やリハビリのタイミングを温めた後に合わせる工夫が効果的です。一方で、活動と休息のバランスも重要で、同じ関節を使い続けず、こまめに休む時間を介助のなかに組み込みます。

朝のこわばりに合わせたケア時間の組み立て方

関節リウマチの大きな特徴である「朝のこわばり」は、施設の朝の慌ただしい時間帯と真正面からぶつかります。決まった時間に全員を起こし、着替えさせ、食堂へ誘導する——という画一的なスケジュールは、こわばりの強い利用者にとって苦痛であり、無理に動かすことで関節を傷めるリスクにもなります。介護職が現場でできる時間調整の工夫を整理します。

起床・整容・更衣を後ろ倒しにする

こわばりは起床直後が最も強く、時間の経過や体を温めることでやわらいでいきます。そこで、こわばりの強い利用者は起床時刻を少し遅らせる、起きてもすぐに更衣せず、温かい飲み物を飲んでもらいながら手指を動かす時間をとる、といった調整が有効です。ボタンやファスナーの細かい動作は、こわばりがやわらぐまで待ってから行うと、本人の自立度が上がり介助負担も減ります。

「動かしてから」の動作を取り入れる

布団の中で手指をグーパーする、足首をゆっくり回すなど、本人ができる範囲の軽い動きでこわばりがやわらぐことがあります(具体的な運動はリハビリ職の指示の範囲で)。介護職は起床の声かけのときに「少し指を動かしてみましょうか」と促し、こわばりが取れてから本格的な動作介助に移ります。

入浴は午後など動ける時間帯に

入浴は関節を温めてこわばりをやわらげる効果が期待できる一方、脱衣・洗体・浴槽の出入りで多くの関節を使います。こわばりの強い朝ではなく、体が動きやすくなる午後の時間帯に入浴を設定すると、本人の負担が減り、転倒リスクも下げられます。施設全体の入浴スケジュールのなかで、疾患特性に応じた時間帯の調整をチームで検討します。

服薬のタイミングを看護師と共有する

痛みやこわばりは薬の効き方とも関係します。どの時間帯に痛みが強いか、薬を飲んでどのくらいで楽になるかは利用者ごとに違うため、介護職が観察した「痛みの時間帯の傾向」を看護師に伝えることで、服薬や処置のタイミングの最適化につながります。なお、薬の種類や量、服薬時間の変更は医師・看護師の判断であり、介護職が独断で調整してはいけません。

「日内・日差変動」を前提にケアプランを柔軟に

関節リウマチ・変形性関節症は、同じ利用者でも日によって・時間によって状態が変わります。「昨日できたのに今日は介助が必要」を本人の怠けと捉えず、疾患特性として受け止めることが大切です。その日の状態を申し送りで共有し、調子の悪い日は無理をさせず、調子の良い日は本人ができる動作を尊重する——この柔軟さが、関節保護と自立支援の両立につながります。

自助具・福祉用具の活用|場面別の選び方と関節保護

自助具と福祉用具は、関節への負担を減らしながら「自分でできる」を支える強力な味方です。自助具は「あと少しで自分でできる」を補う道具、福祉用具は移動や入浴など生活動作を安全に行うための道具です。日本リウマチ友の会や日本リウマチ学会の患者支援ガイドでは、動作別に多くの用具が紹介されています。介護職が場面ごとに「どの用具があると関節を守れるか」を知っておくと、ケアの質が上がります。

動作別の主な自助具・福祉用具

場面道具の例関節保護の狙い
食事太柄スプーン・フォーク、バネ箸、すべり止め付き食器、形状記憶グリップ手指でしっかり握れなくても把持でき、手関節への負担を減らす
更衣ボタンエイド、ソックスエイド、リーチャー、長い靴べら細かいつまみ動作や、かがむ・手を伸ばす動作の負担を減らす
整容太柄歯ブラシ、長柄ブラシ、爪切り台手首を大きく曲げずに整容でき、手指関節を守る
家事・その他オープナー(ビン・ペットボトル開け)、孫の手、シリコントング強い握力やひねり動作を要する作業を補う
移動歩行器、シルバーカー、一本杖、肘支柱型杖、松葉杖手指・手関節の変形が強い場合は前腕で支えられる杖や歩行器で関節負担を分散
起居介護ベッド(ギャッチアップ)、補高マット、手すり、昇降座椅子起き上がり・立ち座りで手首や指に体重をかけずに済む
入浴バスボード、シャワーチェア、浴槽台、長柄洗体ブラシ、すべり止めマット浴槽の出入りや洗体で関節に負担をかけず、転倒も防ぐ
排泄温水洗浄便座、補高便座、トイレ手すり立ち座りと後始末の動作で関節を守る

用具選びはPT・OTに相談する

日本リウマチ学会の患者支援ガイドは、福祉用具の使用によって「他の関節に新たな痛みや関節機能障害を招かないこと」を念頭に、関節の状態や炎症・痛みに応じて選ぶ必要があると注意を促しています。たとえば手指の変形が強い人に一本杖を渡すと、かえって手関節を痛めることがあり、その場合は前腕で支える肘支柱型杖や歩行器が適していることがあります。介護職が良かれと思って自己流で用具を勧めるのではなく、PT・OTに相談して本人の関節状態に合った用具を選ぶことが大切です。

装具は医師の指示で作られるもの

手関節や手指のスプリント(簡易装具)などの装具は、医師の指示に基づき理学療法士・作業療法士・義肢装具士(PO)が作製します。装具には関節の安静・固定による痛みの軽減や変形予防の目的があります。介護職の役割は、装具を正しく装着できているか、皮膚に傷や圧迫の跡がないかを確認し、異常があれば看護師に報告することです。装具の調整や作り替えの判断は専門職に委ねます。

関節リウマチ・変形性関節症の利用者の転倒予防

関節リウマチ・変形性関節症の利用者は、痛みや変形による動作のしづらさ、足の変形や歩行バランスの崩れ、痛みを避けようとする不自然な動きなどから、転倒リスクが高まりやすい状態にあります。転倒は骨折につながり、関節リウマチでは骨粗鬆症を合併していることも多いため、いっそう注意が必要です。介護職が現場でできる転倒予防のポイントを整理します。

  • 足元の状態を毎日確認する:足趾・足関節の変形(外反母趾など)や、靴・スリッパが合っているかを確認します。底のすべりにくい、脱げにくい履物を選びます。
  • 動作開始時の見守りを手厚く:変形性関節症では動き始めに痛みが出やすく、踏ん張りがきかずよろけることがあります。立ち上がり・歩き始めのタイミングはそばで見守ります。
  • こわばりの強い時間帯の移動を減らす:朝のこわばりが強いときは、トイレや食堂への移動を急がせず、こわばりがやわらいでから動いてもらうか、付き添い・車椅子を検討します。
  • 手すりと動線を整える:居室からトイレまでの動線に手すりを設け、つかまり方を「手のひら・前腕で支える」よう誘導します。床の段差・コード・濡れを取り除きます。
  • 痛みで急に動きが止まることを想定する:歩行中に痛みで急に止まったりバランスを崩したりすることがあります。介助者は利用者の体幹側に立ち、手指を引っ張らずに体を支えられる位置取りをします。
  • 福祉用具を関節状態に合わせる:前述のとおり、手の変形が強い場合は一本杖より歩行器や肘支柱型杖が安全なことがあります。PT・OTと相談して選びます。

転倒予防は「動かさないこと」ではありません。動かさなければ筋力やバランス能力が落ち、かえって転びやすくなります。リハビリ職の指示の範囲で、安全に動ける環境を整えながら活動を支えるのが介護職の役割です。

関節を動かさない状態が続くと拘縮(関節が固まって動かなくなること)も進みます。ポジショニングや体位変換の基本は拘縮予防の介助|ポジショニング・体位変換・関節可動域(ROM)の基本もあわせて参考にしてください。

看護師・リハビリ職との連携と観察・報告のコツ

関節リウマチ・変形性関節症のケアは、介護職だけで完結しません。炎症の強さや薬の効果は看護師・医師が、関節保護の手技や運動・自助具の適合はリハビリ職(PT・OT)が判断します。介護職の最大の強みは、利用者と最も長く接し、生活動作のなかで起こる小さな変化に気づけることです。観察した内容を的確に専門職へつなぐことが、介護職に求められる連携の核心です。

介護職が観察すべきポイント

  • 関節の腫れ・熱感・赤み:いつもより腫れている、触ると熱い関節がないか(活動期のサインになりうる)
  • 痛みの変化:どの関節が、いつ(朝・動作開始時・夜間)、どの動作で痛むか
  • こわばりの長さ:朝のこわばりがどのくらい続いているか、いつもより長くないか
  • 動作の変化:昨日できた動作ができなくなっていないか、逆に楽になっていないか
  • 皮膚・装具:装具による圧迫跡や皮膚トラブル、内服に伴う体調変化(だるさ・発熱など)

報告は「事実+具体的な動作」で伝える

連携を機能させるコツは、主観だけでなく具体的な事実で伝えることです。たとえば「なんとなく痛そう」ではなく、「右手首が昨日より腫れていて、スプーンを持つ動作で痛みを訴えた。朝のこわばりが昼まで続いた」と、関節の部位・動作・時間帯をセットで報告します。これにより看護師は活動期かどうかを判断しやすくなり、リハビリ職は介助方法や自助具の見直しを検討できます。

独自の視点:申し送りに「今日の関節コンディション」を一言加える

当サイトの考えとして提案したいのが、関節リウマチ・変形性関節症の利用者については、申し送りに「今日の関節コンディション(こわばり・痛みの程度)」を一言添える運用です。これらの疾患は日内・日差変動が大きいため、前の勤務帯での状態を引き継ぐことで、次の勤務者が「今日はどこまで本人にやってもらい、どこから介助するか」を即座に判断できます。バイタルや食事量だけでなく「関節の調子」を共有する習慣が、無理な動作による関節の悪化と、過介助による自立度の低下の両方を防ぎます。これは特別なツールがなくても、申し送りの言葉を少し変えるだけで現場に導入できる工夫です。

本人・家族との情報共有

本人が「痛い」と言いやすい関係づくりも連携の一部です。痛みを我慢して動いてしまうと変形が進むため、「痛いときは遠慮なく教えてください」と日頃から伝えます。家族には、自宅での過ごし方や本人がこだわっている動作などを聞き、施設でのケアに反映します。

よくある質問(FAQ)

Q. 関節リウマチの利用者の関節を、こわばり予防のために動かしてあげてもいいですか?

A. 介護職が自己判断で関節を大きく動かすのは避けてください。可動域訓練(ROM)はリハビリ職の指示に基づいて行うものです。介護職は更衣や整容の介助のなかで、本人ができる範囲をゆっくり動かしてもらう、痛みの出る方向には無理に動かさない、という関わりにとどめ、運動メニューはPT・OTに相談します。

Q. 「朝は痛くて動けない」と言われたら、起こさなくてよいのでしょうか?

A. 無理に起こすのではなく、こわばりがやわらぐまで待つ、温かい飲み物や保温で体を温める、軽く手指を動かしてもらうなどの工夫をします。起床や更衣の時間を後ろ倒しにできないか、入浴を午後に回せないかをチームで検討します。ただし長時間動かないと別のリスクもあるため、看護師に状態を報告して判断を仰ぎます。

Q. 痛みを訴える利用者に、市販の湿布や痛み止めを使ってよいですか?

A. いけません。湿布や鎮痛薬の使用は医師・看護師の指示に基づきます。介護職は痛みの部位・程度・時間帯を観察して報告するところまでが役割です。温める・冷やすの判断も、炎症の状態によって逆効果になることがあるため、看護師に確認してから行います。

Q. 自助具を使うと自立を妨げて甘えにつながりませんか?

A. 逆です。自助具は「あと少しで自分でできる」を補い、関節を守りながら自分でできることを増やす道具です。手指や手首に負担をかけて無理に動作させる方が、変形を進めて結果的に自立度を下げてしまいます。本人の関節状態に合った用具をPT・OTと選び、活用することが自立支援につながります。

Q. 変形性関節症と関節リウマチで介助の仕方は変わりますか?

A. 「痛む関節に負担をかけない」という基本は共通です。違いとしては、変形性関節症は膝・股関節など体重がかかる大きな関節が中心で、動作開始時の痛みや立ち座り・歩行の負担軽減が重点になります。関節リウマチは手指など小さな関節や全身の炎症が関わり、活動期・非活動期の変動や朝のこわばりへの対応がより重要になります。いずれも本人の状態を見て、専門職と連携して進めます。

参考文献・出典

まとめ|関節を守り、その人の生活を支える介護を

関節リウマチ・変形性関節症のある利用者の介護で、介護職に求められるのは「治すこと」ではなく「痛みと変形を進めず、その人の生活を支えること」です。診断や薬物治療、運動メニューの決定は医師・看護師・リハビリ職の領域であり、介護職はその指示の枠のなかで、日々の生活動作を関節保護の視点で支えます。

大切なポイントを振り返ります。小さな関節より大きな関節を使ってもらい、手首や指に体重をかけない介助を心がける。利用者を持ち上げるのではなく面で支え、痛む方向へ無理に動かさない。朝のこわばりに合わせて起床・更衣・入浴の時間を柔軟に組み立てる。本人の関節状態に合った自助具・福祉用具をPT・OTと選び、自立を支える。足元と動線を整えて転倒を防ぐ。そして、関節の腫れ・痛み・こわばりの変化を観察し、具体的な事実として看護師・リハビリ職に報告する——これらの積み重ねが、利用者の関節を守り、自分でできることを長く保つことにつながります。

関節リウマチや変形性関節症のケアは、画一的な介助では対応できません。日内・日差変動を前提に、その日その時間の状態に合わせて関わる姿勢が、専門性の高い介護職の腕の見せどころです。こうした疾患特性に配慮できる職場で働きたい、自分の介護観に合う施設を見つけたいと考えている方は、自分の強みや希望する働き方を整理することから始めてみてください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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