がんの利用者の施設介護|緩和ケア期の苦痛サイン観察と看取りへの移行
介護職向け

がんの利用者の施設介護|緩和ケア期の苦痛サイン観察と看取りへの移行

がん(緩和ケア期)のある利用者を施設で支える介護職向けに、緩和ケアの考え方、苦痛のサインの観察と報告、全人的苦痛(トータルペイン)への向き合い方、日常生活の支援、家族支援、医療職との連携、看取りへの移行を、国立がん研究センター・厚労省の情報をもとに実務目線で解説します。

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この記事のポイント

がん(緩和ケア期)の利用者を施設で支える介護職の役割は、医療的な治療ではなく「生活を支えること」です。痛みや息苦しさといった苦痛のサインをいち早く観察して看護・医師に報告し、身体・心・社会・スピリチュアルという全人的苦痛(トータルペイン)に配慮しながら、食事・排泄・清潔・体位といった日常生活を本人らしく整えます。緩和ケアは終末期だけのものではなく、診断時から始まる考え方です。家族支援と多職種連携を土台に、必要に応じて看取りのケアへと移行していきます。

目次

施設選びに関係する介護サービスの供給データ

本サイトが保有する厚生労働省由来の施設データでは、この記事に関係する特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームだけでも全国に30,645件あります。施設選びの記事では、制度名や費用だけでなく「実際に選べるサービスがどれくらいあるか」を見ることが大切です。施設選びでは、費用や入居条件だけでなく、候補になる施設タイプが地域にどれだけあるかを見る必要があります。

サービス種別全国件数多い都道府県
特別養護老人ホーム8,122件東京都545件、千葉県456件、埼玉県429件
有料老人ホーム4,358件東京都817件、神奈川県543件、埼玉県415件
介護老人保健施設4,066件大阪府217件、神奈川県194件、東京都193件
グループホーム14,099件北海道994件、神奈川県808件、東京都701件

同じ介護保険サービスでも、地域によって候補数は大きく変わります。相談先を探すときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに「この地域で使いやすいサービス種別」と「空き状況の見方」を確認すると、家族だけで探すより現実的な選択肢に近づきます。

出典: 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」等に基づく本サイト集計。施設数は公開データの登録状況により変動します。

「がんの利用者さんを施設で受け持つことになったが、何をどこまで自分がやっていいのか分からない」——介護現場でこうした不安を抱く職員は少なくありません。痛みの管理や薬の調整は医療職の領域ですが、利用者が一日の大半を過ごす生活の場で、表情や食事量のわずかな変化に最初に気づくのは、いつもそばにいる介護職です。高齢化に伴い、施設で最期を迎える人は増えており、がんを抱えた利用者のケアに関わる機会は今後さらに増えていくと考えられます。

厚生労働省の調査では、がんなど生命を脅かす疾患に直面した患者と家族は「トータルペイン(全人的苦痛)」と呼ばれる複合的な苦しみに直面するとされています。この苦痛は痛みだけでなく、不安や孤独、役割の喪失、生きる意味への問いまでを含み、互いに影響し合います。だからこそ、生活を丸ごと支える介護職の関わりが、利用者のQOL(生活の質)を大きく左右します。

この記事では、施設で働く介護職の視点から、緩和ケア期にあるがんの利用者をどう支えるかを、緩和ケアの考え方、苦痛のサインの観察と報告、全人的苦痛への向き合い方、日常生活の支援、家族への配慮、医療職との連携、看取りへの移行という流れで整理します。あくまで介護職の役割に焦点を当て、痛みの評価や薬の調整といった医療的な判断は医療職に委ねることを前提に解説します。死を扱うテーマですが、過度に身構える必要はありません。日々の誠実なケアが、そのまま緩和ケアにつながっていることが伝われば幸いです。

緩和ケアとは何か|終末期だけのケアではない

緩和ケアと聞くと「もう治療ができなくなった人のための、最期のケア」というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかしこれは誤解です。世界保健機関(WHO)の定義を踏まえた国立がん研究センターの説明によれば、緩和ケアとは「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOL(生活の質)を、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチ」です。

重要なのは、緩和ケアはがんと診断されたときから始まるという点です。治療と並行して行われ、病状の進行に合わせてその比重が徐々に高まっていきます。つまり「治療か緩和ケアか」という二者択一ではなく、診断の早い段階から生活の苦痛を和らげる関わりが続いているのです。施設に入居している利用者の場合も、その人がこれまで受けてきた緩和ケアの延長線上で、生活の場でのケアを担うという意識が大切になります。

緩和ケア・ターミナルケア・看取りケアの関係

現場では似た言葉が混在しがちですが、おおまかには次のように整理できます。

  • 緩和ケア:診断時から始まる、苦痛をやわらげQOLを支える包括的な考え方。対象はがんに限らず、生命を脅かす病気に直面する人と家族全般。
  • ターミナルケア(終末期ケア):回復が見込めないと判断された終末期に行うケア。緩和ケアの一部として実施されることが多い。
  • 看取りケア:死が避けられないと判断された時期に、日常生活の支援を通じて最期まで尊厳ある生活を支えること。

施設で働く介護職にとって大切なのは、これらを厳密に線引きすることよりも、「いま目の前の利用者の苦痛をどう和らげ、その人らしい生活をどう支えるか」という一貫した視点を持つことです。

病院での緩和ケアとの違い|生活の場であること

病院(緩和ケア病棟など)では医療的な症状緩和が中心になりますが、介護施設は「生活の場」です。利用者にとっては、住み慣れた環境で、なじみの職員に囲まれて過ごせることが大きな安心につながります。一方で、施設には医師が常駐していないことも多く、医療ニーズが高まる緩和ケア期には、協力医療機関や訪問看護との連携が欠かせません。介護職は、医療と生活の橋渡し役として、利用者の暮らしを支えながら医療職へ情報をつなぐという、施設ならではの重要な役割を担っています。

苦痛のサインを観察し、医療職へ報告する

痛みの評価や鎮痛薬の調整は医師・看護師の役割です。一方で、利用者の生活に最も近いところにいる介護職は、苦痛のサインに最初に気づける立場にあります。介護職に求められるのは「治す」ことではなく、「変化に気づき、正確に伝える」ことです。日々のケアの中で得られる小さな気づきの積み重ねが、医療職による適切な症状緩和の出発点になります。

観察したい身体的なサイン

  • 表情のこわばり、眉間のしわ、うめき声、ため息
  • 特定の体勢を避ける、寝返りや移乗を嫌がる、動きが減る
  • 食事量・水分量の低下、飲み込みにくさ
  • 呼吸の変化(息苦しそう、肩で息をする、ゼーゼーする)
  • 顔色・皮膚の色、発汗、便秘や排泄の変化
  • 夜眠れていない、日中うとうとが増えた

見落とされやすい「言葉にならない」苦痛

苦痛は痛みだけではありません。「最近笑わなくなった」「好きだったテレビを見なくなった」「家族の話を避けるようになった」といった変化は、不安や気分の落ち込み、孤独感のサインかもしれません。認知症を併せ持つ利用者や、遠慮して我慢する利用者では、痛みを言葉で訴えないことも多いため、表情や行動の観察がいっそう重要になります。「いつもと違う」という違和感を大切にしてください。

観察のコツ|「いつもの状態」を知っておく

変化に気づくためには、その人の「いつもの状態(ベースライン)」を知っていることが前提になります。普段の表情、声のトーン、食事量、活動量、口ぐせを把握しているからこそ、わずかな変化に気づけます。これは長くそばで関わる介護職だからこそできる観察です。受け持ちが変わるときも、申し送りで「その人らしさ」や普段の様子を丁寧に引き継ぐことが、チーム全体の観察力を高めます。

報告は「事実」を具体的に

報告のとき大切なのは、自分で原因を判断しないことです。「痛そうです」だけでなく、いつ・どんなときに・どの程度・どう変化したかを具体的に伝えます。たとえば「朝の移乗のとき右の腰をかばって顔をしかめ、昨日より食事を半分残しました」のように、観察した事実をそのまま記録・報告することで、看護師や医師が適切に評価できます。施設の記録様式やフェイススケール等の評価ツールがある場合は、それに沿って共有しましょう。緊急性が高いと感じたときは、記録を待たずにその場で看護職へ口頭で伝える判断も必要です。

全人的苦痛(トータルペイン)の4側面と介護職の関わり

厚生労働省の調査報告では、がんなど生命を脅かす疾患に直面した患者と家族は「トータルペイン(全人的苦痛)」と呼ばれる苦しみに直面するとされています。これは身体的・精神的・社会的・スピリチュアルという4つの側面の苦痛から成り、それぞれが互いに関連し影響し合うという考え方です。痛みが強いと不安が増し、不安が痛みをさらに強く感じさせる——といったように、苦痛は一つだけを切り離して解決できるものではありません。一つの苦痛が和らぐと、連鎖的に他の苦痛もやわらぐこともあります。

医療的な対応は医療職が担いますが、4側面のいずれにおいても、生活を支える介護職にできることがあります。むしろ、生活の中での何気ない関わりこそが、トータルペインの緩和に大きく寄与します。

4側面と介護職にできること

  • 身体的苦痛(痛み・倦怠感・息苦しさ・食欲不振など):苦痛が和らぐ体位の工夫、寝具や室温・採光の調整、無理のない介助、サインの観察と報告。
  • 精神的苦痛(不安・いらだち・抑うつ・孤独感など):そばに寄り添う、急かさない、話を傾聴する、できることを一緒に行い役割を残す。
  • 社会的苦痛(家族・人間関係・経済・役割の喪失):家族との面会環境を整える、本人の希望や習慣を尊重する、相談員へつなぐ。
  • スピリチュアルな苦痛(生きる意味・死への恐怖・自責感):答えを出そうとせず、その人の言葉を否定せずに受け止める。沈黙に付き合うことも支えになる。

4側面のうち、社会的・スピリチュアルな苦痛は医療処置だけでは和らげにくく、日々の暮らしの中での関わりが大きな意味を持ちます。「家族の負担になりたくない」「自分はもう役に立たない」といった思いは、生活の場での小さな役割や、尊重されている実感によって少しずつやわらぐことがあります。介護職が担う日常生活の支援は、トータルペインの緩和に直結しているのです。専門的なカウンセリングが必要な場面では、抱え込まず多職種につなぐことも大切な役割です。

その人らしさを支える日常生活のケア

緩和ケア期のケアの中心は、特別なことではなく「これまでどおりの暮らしを、苦痛が少ない形で続けられるようにすること」です。日常生活の一つひとつが、利用者の尊厳とQOLを支えます。がんの利用者は、痛みだけでなく強い倦怠感(だるさ)や食欲不振、息苦しさなど複数の症状を同時に抱えることが多いため、その日その時の体調に合わせて柔軟にケアを組み立てる視点が欠かせません。

食事

食べる量や形態にこだわりすぎず、「本人が食べたいものを、食べられるときに、少しでも」を大切にします。終末期に向けて食欲が落ちるのは自然な経過であることも多く、無理に量を求めず、好きな味やひと口の楽しみを優先します。口の中を清潔・湿潤に保つ口腔ケアは、味覚や快適さ、誤嚥予防の面でも重要です。食事の時間や姿勢、においや盛りつけといった環境も、食べる意欲に影響します。

排泄・清潔

排泄の自立はその人の尊厳に深く関わります。できる動作は本人に委ね、できない部分をさりげなく支えます。清拭や入浴は爽快感をもたらすと同時に、皮膚の状態を観察する機会にもなります。倦怠感が強い時期は、全身を一度に行うのではなく、部分清拭や手足浴に切り替えるなど、本人の体力に合わせて方法やタイミングを柔軟に変えます。ケアによって疲れさせてしまっては本末転倒であり、「やりきること」より「負担をかけないこと」を優先する判断も大切です。

倦怠感(だるさ)への配慮

がんに伴う倦怠感は、休息で完全には回復しにくく、本人にとって痛み以上につらい症状になることもあります。介護職としては、一度に多くの活動を求めず、休息と活動のバランスを整えることが支援になります。「今日はここまでにしましょう」と無理を止める声かけや、本人がやりたいこと(家族との面会、好きな番組など)に体力を温存できるよう、ケアの段取りを工夫しましょう。

体位・スキンケア

長く同じ姿勢が続くと、痛みや褥瘡(床ずれ)のリスクが高まります。苦痛の少ない姿勢を一緒に探し、クッションなどで支えます。終末期は皮膚が傷つきやすくなるため、体位変換も愛護的に行い、医療職と相談しながら頻度や方法を調整します。痛みのある部位を下にしない、移乗時に引きずらないなど、ちょっとした配慮が苦痛の軽減につながります。

コミュニケーションと「その人らしさ」

使い慣れた寝具や写真、好きな音楽、なじみの呼び名——こうした小さな配慮が、本人の安心と「自分らしさ」を支えます。病気になっても、その人がこれまで大切にしてきた習慣や価値観は変わりません。話せなくなっても聴覚は最期まで保たれやすいといわれます。無言で作業を進めず、ケアの前に声をかけ、これから何をするかを伝えることを習慣にしましょう。返事がなくても、そこに「人」がいることを忘れない関わりが、緩和ケアの基本姿勢です。

家族を支える|「第二の患者」への配慮

緩和ケアでは、利用者本人だけでなく家族もケアの対象です。家族は大切な人を失うかもしれない不安や、「もっと何かできるのではないか」という思いを抱え、「第二の患者」とも呼ばれます。施設で働く介護職は、面会に訪れる家族と接する機会も多く、家族支援の重要な担い手です。

  • 家族の時間を守る:面会しやすい環境を整え、本人と家族が静かに過ごせる空間や時間に配慮します。
  • 家族にできる役割を残す:手を握る、口を湿らせる、好きだった話をするなど、家族が「自分にもできることがある」と感じられる関わりを一緒に見つけます。広島県の看取りガイドラインでも、生前に家族が関わったケアが、死別後の悲嘆からの回復に役立つとされています。
  • 労いと傾聴:「よく付き添っておられますね」といった一言や、家族の話に耳を傾けることが支えになります。介護職が解決策を示す必要はありません。
  • 判断は抱え込まない:医療や今後の方針に関する家族の質問・不安は、看護師・医師・相談員へつなぎます。曖昧な説明や安易な約束は避けます。

そして大切な人を看取ったあとの家族へのグリーフケア(悲嘆へのケア)も、緩和ケアの一部です。デスカンファレンス等でケアを振り返り、次の支援に活かす施設も増えています。なお、ご家族自身が在宅で親などを支える立場については、親ががんと診断されたら|在宅療養を支える緩和ケア・痛みのコントロール・家族の準備でも詳しく解説しています。

多職種・医療職との連携|介護職の役割の境界

がんの利用者のケアは、介護職だけでは成り立ちません。医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・介護支援専門員・生活相談員などが連携するチームケアが前提です。介護職は、その中で「生活を支え、変化を伝える」という重要な役割を担います。チームの中で介護職の声が小さくなりがちですが、生活場面を最もよく知るのは介護職であり、その観察はケアの質を左右する貴重な情報源です。

連携で介護職が意識したいこと

  1. 役割の境界を理解する:痛みの評価、薬(医療用麻薬を含む)の調整、医療処置は医療職の領域です。介護職は自己判断で薬や処置に踏み込まず、観察と報告に徹します。「できること」と「できないこと」を明確にしておくことが、利用者の安全を守ります。
  2. 情報を正確に共有する:観察した事実を記録し、申し送りやカンファレンスで漏れなく伝えます。「いつもと違う」という気づきは、医療職の判断を助ける貴重な情報です。主観的な解釈ではなく、観察した事実を伝えることを意識しましょう。
  3. カンファレンスに参加する:ケアの方針は多職種で話し合って決まります。生活場面をよく知る介護職の視点は、本人らしさを反映したケア計画づくりに欠かせません。「本人は入浴を楽しみにしている」「家族の面会で表情が和らぐ」といった生活の情報は、医療職だけでは得られないものです。
  4. 急変時の手順を共有しておく:「どんな症状が出たら誰に連絡するか」をチームであらかじめ取り決めておくことで、夜間も含めて落ち着いて対応できます。連絡先や対応フローを事前に確認しておくことが、いざというときの安心につながります。

介護保険制度における位置づけ

介護保険の看取り介護加算でも、ケアは「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に沿って行うこととされ、看護職員との24時間連絡体制や、生活相談員を含む多職種での協議が要件に位置づけられています。令和3年度の介護報酬改定では、看取りに関する話し合いの参加者として生活相談員が明記されるなど、多職種連携の重要性が制度上も強調されています。連携の質が、そのままケアの質を支えているのです。

看取りへの移行|変化に寄り添うケア

緩和ケア期のケアは、病状の進行とともに、やがて看取りのケアへと移行していきます。医師が回復の見込みがないと判断し、本人・家族・医療チームが納得して対応を考え始めたとき、看取り介護が始まります。明確な日付で区切れるものではなく、日々のケアの延長線上にあるものです。

看取り期に見られやすい変化

個人差は大きいものの、終末期が近づくと、食事・水分をほとんど受けつけなくなる、眠っている時間が増える、呼吸のリズムが変わる、手足が冷たくなる、といった変化がみられることがあります。これらは自然な経過であることが多く、介護職は変化を観察して医療職に報告しつつ、利用者が穏やかに過ごせるよう環境とケアを整えます。

看取り期に介護職が大切にしたいこと

  • 苦痛の少ない安楽な姿勢と環境を保つ。室温・採光・におい・音に配慮する。
  • 声かけと触れるケアを続ける。反応が乏しくなっても、聴覚や触覚は保たれているという前提で関わる。
  • 家族が後悔なく過ごせるよう支える。付き添える環境を整え、家族のケア参加を支援する。
  • 「特別なこと」より「いつものケア」を丁寧に。日々の誠実な関わりが、そのまま質の高い看取りにつながる。

介護職自身のケアも忘れない

利用者の死に向き合う仕事は、介護職にも精神的な負担をもたらします。一人で抱え込まず、チームで気持ちを共有することが大切です。亡くなった方のケアを振り返るデスカンファレンスは、悲しみを整理し、次のケアに活かす場にもなります。自分の心の揺れを「弱さ」ととらえず、ケアの一部として大切にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護職が痛み止め(医療用麻薬)の管理に関わってよいですか?

薬の処方・調整・評価は医師・看護師の役割で、介護職が自己判断で行うことはできません。介護職の役割は、痛みのサインを観察して正確に報告し、医療職の指示に沿って生活を支えることです。施設のルールに沿って、できる範囲とできない範囲を明確にしておきましょう。

Q. がんの利用者に「痛いですか?」とどう聞けばよいですか?

本人が答えやすいよう、はい・いいえで答えられる聞き方や、表情で示してもらう方法も有効です。我慢する方や認知症を併せ持つ方も多いため、言葉だけに頼らず、表情・動作・食事量などの変化も合わせて観察します。気づいたことは看護師に共有しましょう。

Q. 食事や水分をとらなくなったら無理にでも食べてもらうべき?

終末期に食欲・水分摂取が落ちるのは自然な経過であることが多く、無理強いはかえって苦痛になることがあります。対応方針は医療職・家族を含めて話し合って決めます。介護職は口腔ケアや、本人が楽しめるひと口を大切にする関わりを続けます。

Q. 看取りの経験がなくて不安です。何から始めればよい?

看取り介護は特別な技術というより、日々の誠実な介護の延長です。まずは普段のケア(声かけ・身だしなみ・コミュニケーション)を丁寧に行うこと、そして全人的苦痛(トータルペイン)の考え方を理解し、チームで相談しながら進めることから始めましょう。施設の看取り研修や指針も活用してください。

Q. ご家族にどう声をかければよいか分かりません。

解決策を示す必要はありません。付き添いを労う一言や、家族の話を否定せずに聴くことが支えになります。医療や方針に関する質問は、抱え込まず看護師・医師・相談員へつなぎましょう。

参考文献・出典

まとめ|生活を支えることが、緩和ケアそのもの

がん(緩和ケア期)の利用者を施設で支える介護職の役割は、医療の代わりをすることではありません。痛みや息苦しさといった苦痛のサインに最初に気づき、正確に医療職へ伝えること。身体・心・社会・スピリチュアルという全人的苦痛(トータルペイン)に配慮しながら、食事・排泄・清潔・体位といった日常生活をその人らしく整えること。そして家族を「第二の患者」として支え、多職種チームの一員として連携すること——これらはすべて、緩和ケアそのものです。

緩和ケアは終末期だけのものではなく、診断時から続く考え方です。やがて看取りのケアへと移行しても、求められるのは特別な技術ではなく、日々の誠実な介護の積み重ねです。「いつものケアを丁寧に」を土台に、チームで相談し、自分自身の心の揺れも大切にしながら、利用者と家族の残された時間に寄り添ってください。あなたの観察とまなざしが、その人の最期の生活の質を支えています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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