胃ろう(PEG)のある利用者の介護|介護職ができること・医行為との線引き
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胃ろう(PEG)のある利用者の介護|介護職ができること・医行為との線引き

胃ろう(PEG)のある利用者の介護を解説。胃ろうの基礎、栄養剤注入で介護職ができる範囲と医行為の線引き、瘻孔のスキンケアと観察、トラブル対応、看護師との連携まで、現場で迷わない判断基準をまとめました。

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胃ろう(PEG)のある利用者への栄養剤注入は、原則として医行為ですが、喀痰吸引等研修を修了し都道府県の認定を受けた介護職が、登録事業者で医師・看護師の指示と本人・家族の同意のもとであれば実施できます。一方、胃ろうの造設・カテーテル交換、瘻孔やチューブ位置の医学的な確認・トラブルの判断は看護師・医師の役割です。介護職の核心は「決められた手順での注入・準備・片付け」「毎日の観察」「異常の即時報告」にあります。

目次

「胃ろうの利用者を担当することになったけれど、自分はどこまで手を出していいのか」——介護現場で最も判断に迷う場面のひとつです。栄養剤の注入は医行為に当たりますが、2012年(平成24年)の法改正以降、一定の条件を満たした介護職は実施できるようになりました。ただし「研修を修了していれば誰でもどこでも自由にできる」わけではなく、研修・認定・事業所登録・医師の指示・本人同意という複数の条件がそろって初めて認められます。

この記事では、胃ろう(PEG)の基礎知識から、栄養剤注入で介護職ができる範囲と医行為との線引き、瘻孔まわりのスキンケアと毎日の観察ポイント、起こりやすいトラブルへの初期対応と看護師を呼ぶべきタイミングまで、現場で迷わないための判断基準を厚生労働省の通知・テキストに沿って整理します。

胃ろう(PEG)とは|経鼻胃管・中心静脈栄養との違い

胃ろう(PEG:Percutaneous Endoscopic Gastrostomy/経皮内視鏡的胃瘻造設術)とは、口から十分に食事がとれない人のために、内視鏡を使っておなかの皮膚と胃の壁に小さな穴(瘻孔・ろうこう)を造り、そこに通したカテーテルから直接胃へ栄養剤を注入する方法です。加齢や脳卒中の後遺症による嚥下障害、誤嚥性肺炎を繰り返す方、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病の方に選択されることが多く、口から食べられない期間が長く続くと見込まれる場合に検討されます。造設の手術自体は内視鏡を使って20〜30分ほどで終わり、医師が行います。一度造ると点滴(中心静脈栄養)のように太い血管を確保し続ける必要がなく、消化管を使って栄養を吸収できるため、体への負担が比較的少ない方法とされています。

胃ろうは「延命のための処置」というイメージを持たれることもありますが、実際には嚥下リハビリと並行して行い、口から食べる力が回復すれば抜去(閉鎖)できるケースもあります。介護職としては、利用者本人や家族がどのような経緯で胃ろうを選んだのかを記録や申し送りで把握し、本人の意思を尊重したケアにつなげる視点が大切です。

経管栄養の3つの方法と侵襲度

胃へ栄養を送る「経管栄養」には主に3つの方法があり、介護職が注入に関われる範囲が異なります。それぞれ体への負担(侵襲)や管理のしやすさが違うため、担当する利用者がどの方法かを知っておくことが、適切な観察とケアの第一歩になります。

方法ルート侵襲・特徴研修修了介護職の注入
経鼻胃管(経鼻経管栄養)鼻から胃へチューブ手術不要だがチューブが抜けやすく違和感が強い胃ろう・腸ろうと同様に研修対象だが、先端位置の確認が難しく取り扱いに注意が必要
胃ろう(PEG)腹部の瘻孔から胃へ内視鏡で造設。固定が安定し管理しやすい条件を満たせば実施可
中心静脈栄養(TPN)静脈から直接消化管を使わない。感染管理が厳格不可(医行為)

このうち介護職が日常的に関わる機会が多いのが胃ろうです。鼻のチューブのように顔まわりの違和感がなく、衣服で隠れるため見た目の負担も少なく、固定が安定している点が在宅・施設での管理に向いています。経鼻胃管は手術が不要で導入が容易な一方、チューブが太く咽頭の違和感が強いため、自分で抜いてしまう(自己抜去)リスクが高く、長期管理には不向きとされます。中心静脈栄養は消化管が使えない場合の選択肢ですが、感染管理が厳格で介護職が注入に関わることはできません。なお、喀痰吸引等研修の対象行為は「喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)」と「経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)」と省令で定められています(厚生労働省「喀痰吸引等研修テキスト」)。

胃ろうカテーテルの4種類|交換は誰がいつ行う?

胃ろうカテーテルは「体外側(おなかの外)の形状」と「胃内側の固定方法」の組み合わせで、大きく4種類に分かれます。利用者によって型が違うため、担当する利用者がどのタイプかを把握しておくと、観察やトラブル対応の見通しが立てやすくなります。型によって脱落のしやすさや交換の頻度が異なるので、申し送りや記録で必ず確認しておきましょう。

体外側の形状:ボタン型・チューブ型

形状特徴注意点
ボタン型おなかの表面でほぼ平ら。衣服やリハビリ・入浴時に引っかかりにくく、自己抜去しにくい注入のたびに接続チューブを着脱する
チューブ型腹部からチューブが出ている。接続が簡単露出が長く、引っかかりや自己抜去のリスクがやや高い

胃内側の固定方法:バンパー型・バルーン型

固定方法交換の目安特徴
バンパー型4〜6か月に1回程度硬いバンパーで固定するため抜けにくいが、交換時にやや痛みを伴うことがある
バルーン型1〜2か月に1回程度胃内のバルーン(風船)に蒸留水を入れて固定。交換は容易だが、水が抜けて脱落する事故がバンパー型より起こりやすい

認知症などで自分でカテーテルを引き抜いてしまう恐れがある利用者には、引っかかりの少ないボタン型が選ばれることが多く、こうした型ごとの特徴を知っておくと観察の優先順位も見えてきます。カテーテルの交換はいずれの型でも医師(または医師の指示を受けた看護師)が行う医行為であり、介護職は実施できません。介護職の役割は、型ごとの脱落・トラブルの起こりやすさを理解したうえで、日々の固定状態を観察し、異常を早く見つけて報告することです。とくにバルーン型は固定の水が抜けると脱落しやすいため、固定状態の変化には注意して観察します。

栄養剤注入の流れ|準備・注入中・片付けで介護職がすること

研修を修了した介護職が栄養剤を注入する場合、手順は「準備→注入中の見守り→終了後の片付け」に分かれます。ここでは厚生労働省「喀痰吸引等研修テキスト」の評価票(胃ろう又は腸ろうによる経管栄養)に沿った基本的な流れを示します。実際の手順や速度・体位は利用者ごとに医師の指示書・看護師の個別指導で決められているため、必ずそれに従ってください。

1. 準備段階

  • 流水と石けんで手洗いをし、手袋を着用する
  • 医師の指示書を確認する(栄養剤の種類・量・速度・温度・体位)
  • 本人・家族または記録で体調を確認し、「今から栄養を入れてよいか」本人に説明・同意を得る
  • 栄養剤・経管栄養セット(または半固形用シリンジ)・白湯などの必要物品を準備する
  • 誤嚥を防ぐため、上体を30〜90度起こした安楽な姿勢に整える

2. 注入中

  • クレンメ(滴下速度の調節器具)で指示された速度に合わせて滴下する。速すぎると下痢・嘔吐・血糖の急変を招く
  • 注入中はそばを離れず見守る。咳き込み・嘔気・顔色の変化・苦しそうな様子があれば、いったん注入を止めて看護師に連絡する

3. 終了後の片付け

  • 指示された量の白湯でチューブ内をフラッシュ(洗浄)し、栄養剤の残りで詰まらせない
  • 注入後しばらく(おおむね30分〜1時間)は上体を起こしたままにし、逆流・誤嚥を防ぐ
  • 使用した器具を食器と同じように洗浄する
  • 指導看護師へ利用者の状態を報告し、実施記録(注入量・時刻・様子・ヒヤリハット)を残す

注入を中止・延期すべきサイン(厚労省テキストの中止要件)

次のような「いつもと違う」状態がある場合は、時間をおかずいったん注入を中止し、本人・家族・医療者に相談して指示を受けます。

  • いつもと違う意識障害がある
  • 普段の体温以上の発熱、特に38℃以上の発熱がある
  • パルスオキシメーターで酸素飽和度(SpO2)90%以下など、酸素飽和度の低下がみられる
  • 普段より明らかな血圧の低下がある
  • 嘔吐・腹痛・腹部の張り・水様便・黒色便・血便などの消化器症状がある
  • 胃ろう部から胃内容物が大量に漏れる
  • 利用者本人が中止を希望する

医行為の線引き|介護職ができること・できないこと一覧

胃ろうの介護で最も重要なのが「医行為の線引き」です。同じ胃ろうに関わる作業でも、介護職が担える部分と、必ず看護師・医師が行う部分が明確に分かれています。判断に迷ったら「医学的な評価・判断を伴うか」を基準に考え、伴うなら看護師に任せるのが原則です。たとえば「テープが汚れたので決められた位置に貼り直す」のは介護職ができますが、「貼り直そうとしたら皮膚が赤くただれていた」場合は、その赤みが処置を要するものかどうかの判断=医学的評価になるため、貼り直しをやめて看護師に報告します。この「作業そのもの」と「異常の有無を判断する行為」を分けて考えるのが線引きのコツです。

場面研修修了介護職ができる看護師・医師が行う(医行為)
栄養剤注入指示された手順・速度・体位での注入、見守り注入可否の医学的判断、指示内容の決定・変更
カテーテル固定状態の目視確認、決められた位置でのテープ貼り直し(皮膚に異常がない場合)挿入・交換、先端位置の確認
瘻孔・皮膚毎日の観察、清拭・洗浄、異常の報告炎症・肉芽の有無の評価、処置・薬剤の使用
胃内の状態注射器で内容物を吸い上げて胃・腸の状態を評価する
準備・片付け物品準備、白湯でのフラッシュ、器具洗浄、記録

表のとおり、介護職の役割は「決められた手順を安全に行うこと」と「いつもと違う様子に気づいて報告すること」に集約されます。胃の中の状態を注射器で吸い上げて評価したり、栄養剤の量や速度を独自に変更したりすることは、医学的判断を伴うため認められていません。困ったときに「自分で何とかしよう」とせず、すぐ看護師につなぐ姿勢こそが、利用者の安全と介護職自身を守る最善の対応です。

介護職が「経鼻胃管」を扱うときの注意

経鼻経管栄養も研修の対象行為ですが、胃ろうと異なりチューブの先端が確実に胃に入っているかを毎回確認する必要があり、この先端位置の確認は医学的判断を伴うため看護師等が行います。もしチューブの先端が気管や食道にずれた状態で栄養剤を注入すると、重い誤嚥や窒息につながる危険があります。そのため介護職が自己判断で経鼻チューブの注入を開始することは認められていません。胃ろうは瘻孔という固定されたルートがあるぶん位置ずれの心配が少なく、経鼻胃管に比べてリスク管理がしやすい——この違いを理解しておくと、それぞれの利用者でどこまで関われるかの判断がつきやすくなります。

介護職が栄養剤を注入できる5つの条件

「研修を修了したから」だけでは注入はできません。次の5つの条件がすべてそろって初めて、介護職による栄養剤注入が認められます(社会福祉士及び介護福祉士法、厚生労働省 喀痰吸引等研修制度)。逆に言えば、どれか1つでも欠けると、たとえ知識や手技があっても法律上は実施できないということです。この点を曖昧にしたまま現場に出ると、本人だけでなく事業所全体が法的リスクを負うことになります。

  1. 対象は胃ろう・腸ろう(および経鼻経管栄養):省令で定められた経管栄養の範囲に限られます。中心静脈栄養など消化管を使わない栄養法は対象外です。
  2. 喀痰吸引等研修を修了している:経管栄養の基本研修(講義・演習)と実地研修を修了し、都道府県知事から「認定特定行為業務従事者」の認定を受けている(または2015年度以降の介護福祉士で登録証に喀痰吸引等行為の記載がある)必要があります。講義・演習だけでは足りず、実際の利用者で看護師の指導を受ける実地研修の修了が欠かせません。
  3. 所属事業所が登録特定行為事業者(登録喀痰吸引等事業者)である:個人が認定を受けるだけでは不可。医師・看護職との連携体制が整った登録事業者に所属し、従事者名簿に登録されている必要があります。研修を修了していても、勤務先が登録していなければ注入はできません。
  4. 医師の指示と看護師の指導・連携がある:医師の文書による指示書に基づき、看護師による個別の手順指導・定期的な体調確認のもとで行います。介護職が自己判断で開始することはできません。
  5. 本人・家族の同意がある:本人または家族の同意・合意が形成されていること。医療的ケアは本人の身体に関わる行為であり、同意は不可欠です。

これらが欠けた状態での注入は、たとえ研修を修了していても認められません。介護職として医療的ケアに関わりたい、あるいは医療的ケアの経験を活かして転職したいと考えるなら、転職時には「勤務先が登録事業者か」「認定証や介護福祉士登録証の記載があるか」を必ず確認しましょう。また、滴下型(液体栄養剤)と半固形栄養剤は別の手技として扱われ、実地研修・認定の範囲が分かれています。自分が認定を受けているのがどちらの手技かも把握しておくと安心です。

瘻孔まわりのスキンケアと毎日の観察ポイント

胃ろうの管理で介護職が日常的に担う大きな役割が、瘻孔(ろう孔)まわりの清潔保持と観察です。カテーテルやテープが持続的に皮膚へ触れるため、スキントラブルが起こりやすい部位です。さらに、注入した栄養剤や胃液が少量もれて皮膚に付着すると、消化液の刺激で皮膚が荒れやすくなります。毎日の観察で早期に気づくことが、悪化と利用者の苦痛を防ぎ、ひいては入院などの大きな問題を未然に防ぐことにつながります。

スキンケアの基本

  • 瘻孔周囲はぬるま湯と石けんでやさしく洗い、こすらずに泡で汚れを浮かせて流し、清潔と乾燥を保つ。入浴・シャワーは医師の許可があれば可能で、瘻孔を覆わずそのまま洗えることが多い
  • テープで固定している場合は、同じ場所に貼り続けず貼付位置を少しずつずらして、皮膚への持続的な刺激やテープかぶれを避ける
  • カテーテルが皮膚を強く圧迫したり、逆に遊びすぎたりしていないか、固定の具合(ストッパーと皮膚の間に少しゆとりがあるか)を確認する。締めすぎは圧迫壊死、緩すぎは漏れや肉芽の原因になる
  • 洗浄後は水分をやさしく押さえて拭き取り、乾いた状態を保つ。湿ったままだと皮膚が浸軟(ふやけ)しトラブルが起きやすい

毎日チェックしたい観察ポイント

  • 瘻孔周囲の発赤・ただれ・かぶれ・びらんはないか
  • 瘻孔から栄養剤や胃内容物のもれ、浸出液、出血、膿はないか
  • 赤く盛り上がった組織(肉芽)ができていないか。肉芽は出血しやすく痛みを伴うことがある
  • カテーテルの長さ・固定位置がいつもと変わっていないか(ズレ・抜けかけの早期発見)。目盛りがある場合は数値を記録しておくと変化に気づきやすい
  • 注入後の嘔吐・腹部の張り・下痢など消化器症状はないか
  • 利用者が瘻孔まわりを気にして触る・かくなどの様子はないか(かゆみや違和感のサイン)

これらは「観察して記録・報告する」までが介護職の役割です。発赤やただれを見つけても自己判断で軟膏を塗ったりテープを無理に貼り直したりせず、皮膚に異常があるときは看護師へ報告して指示を仰ぎます。毎日の記録を積み重ねておくと、「いつから」「どのくらいの範囲で」変化が起きたのかを看護師に正確に伝えられ、早期の対応につながります。小さな変化を見逃さず言葉にして残すことが、胃ろうの介護における介護職の専門性そのものです。

胃ろうのトラブル対応|介護職の初期対応と看護師コールの判断

胃ろうでは、自己抜去・閉塞・もれ・スキントラブル・嘔吐などが起こり得ます。大切なのは「介護職がその場でできる初期対応」と「すぐ看護師・医師を呼ぶべき判断」を切り分けることです。下表を目安に、迷ったら必ず医療職へ連絡してください。トラブルそのものより、発見が遅れたり自己判断で対処したりすることのほうが利用者にとって危険です。

トラブル介護職の初期対応看護師・医師への対応
カテーテルの自己抜去・脱落無理に戻さない。瘻孔は数時間で塞がり始めるため、抜けた状態を保ち(清潔なガーゼで覆う程度)、ただちに連絡速やかな再挿入(医行為)。放置で瘻孔が閉鎖すると再造設が必要になる
チューブの閉塞(詰まり)注入前後の白湯フラッシュで予防。詰まったら自己判断で強く押し込まず連絡閉塞解除・交換の判断
瘻孔からのもれ・スキントラブル清潔を保ち観察・記録して報告。軟膏塗布や処置はしない原因評価(サイズ不適合・肉芽など)と処置
肉芽(赤い盛り上がり)発見・報告まで処置・薬剤の判断
注入中・後の嘔吐・むせ・誤嚥注入を止め、顔を横に向けて誤嚥を防ぎ、すぐ連絡。SpO2低下・呼吸苦があれば緊急対応誤嚥性肺炎の評価・吸引・指示
下痢・腹部膨満注入速度・体位・栄養剤温度が指示どおりか確認し報告速度・栄養剤の見直し

とくに自己抜去は緊急性が高いトラブルです。「抜けてしまったが見た目は落ち着いているから様子を見よう」と判断するのは禁物で、瘻孔は時間とともに収縮して塞がり始めるため、数時間放置すると再挿入が難しくなり、再び内視鏡での造設手術が必要になることもあります。抜去に気づいたら、清潔なガーゼで瘻孔を覆って保護し、抜けたカテーテルも捨てずに保管したうえで、すぐ看護師・医師へ連絡してください。

胃ろうの大きな利点のひとつは、こうしたトラブル時でも瘻孔という「決まったルート」があるため、経鼻チューブのように位置がずれて誤注入する危険が比較的少ないことです。だからこそ、介護職が日々の観察で異変を早く拾い、看護師につなぐ連携が利用者の安全を支えます。一つひとつのトラブルを「自分で解決するもの」ではなく「早く正確に報告して医療職につなぐもの」と捉えることが、胃ろうの介護で求められるプロの姿勢です。

胃ろうの介護に関するよくある質問

Q. 初任者研修だけでも胃ろうの栄養剤注入はできますか?

できません。栄養剤の注入には喀痰吸引等研修(経管栄養の基本研修+実地研修)の修了と都道府県の認定、さらに勤務先が登録特定行為事業者であることが必要です。初任者研修・実務者研修の修了だけでは要件を満たしません(実務者研修では医療的ケアの講義・演習を学びますが、実地研修の修了が別途必要です)。

Q. 研修を修了していれば、どの職場でも注入してよいですか?

いいえ。認定は個人に与えられますが、実施には所属事業所が「登録特定行為事業者」であり、従事者名簿に登録されていることが必要です。転職先が登録事業者でない場合は注入できません。

Q. 経鼻胃管(鼻からのチューブ)も胃ろうと同じように注入できますか?

経鼻経管栄養も研修の対象ですが、チューブ先端が胃に入っているかの確認は医学的判断を伴うため看護師等が行います。介護職が自己判断で経鼻チューブの注入を始めることはできません。

Q. 瘻孔のまわりが赤くなっていました。どうすればいいですか?

自己判断で軟膏を塗ったりせず、状態を記録して看護師に報告してください。発赤・ただれ・もれ・肉芽の評価と処置は医療職の役割です。

Q. 胃ろうのカテーテル交換は介護職がやってもいいですか?

できません。カテーテルの挿入・交換は医師(または指示を受けた看護師)が行う医行為です。介護職は固定状態の観察と異常の報告を担います。

参考文献・出典

まとめ|線引きを理解すれば胃ろうの介護は怖くない

胃ろう(PEG)のある利用者の介護では、「栄養剤の注入=研修修了介護職が条件付きで担える」「造設・交換・医学的判断=看護師・医師の医行為」という線引きを理解することが出発点です。注入できる条件は、(1)対象が胃ろう・腸ろう、(2)喀痰吸引等研修の修了と認定、(3)登録特定行為事業者への所属、(4)医師の指示と看護師の連携、(5)本人・家族の同意——の5つがそろうこと。これらが欠ければ研修修了者でも実施できません。

そして、日々の介護で最も価値を発揮するのは、手順どおりの安全な注入と、瘻孔のスキンケア・観察、そして異常を早く見つけて看護師につなぐ「報告・連携」です。自分の役割の範囲を正しく知ることが、利用者の安全と自分自身を守ることにつながります。喀痰吸引・経管栄養に対応できる職場は専門性が評価され、資格手当の対象になることもあります。医療的ケアに強い職場で働きたい方は、まず自分に合った働き方を診断してみましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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