褥瘡のアセスメント|介護職の早期発見と評価ツールの使い方
介護職向け

褥瘡のアセスメント|介護職の早期発見と評価ツールの使い方

介護職向けに褥瘡の早期発見・評価を実務目線で解説。好発部位(仙骨・踵・大転子)、消えない発赤の見分け方(指押し法・ガラス板圧診法)、リスク予測のブレーデンスケールと経過評価のDESIGN-R2020の使い分け、毎日の観察記録と看護師への報告までを日本褥瘡学会ガイドライン準拠で網羅。

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褥瘡(床ずれ)のアセスメントとは、仙骨部や踵などの好発部位を毎日観察し、消えない発赤を見つけたら指押し法やガラス板圧診法で褥瘡かどうかを見分ける一連の流れです。介護職はリスク予測のブレーデンスケール(合計6〜23点)で危険度を測り、発生後はDESIGN-R2020で経過を評価します。早期発見の鍵は、変化に気づいた時点で記録し、すぐに看護師へ報告することです。

目次

褥瘡(じょくそう、床ずれ)は、寝たきりや座位が長い高齢者の骨の出っぱった部分に起こりやすく、一度深くなると治癒に時間がかかります。だからこそ、利用者にいちばん近い距離で毎日身体に触れる介護職が、発赤などの小さな変化に最初に気づけるかどうかが大きな分かれ目になります。

とはいえ「これは褥瘡なのか、ただの赤みなのか」「どのスケールを誰がどう使うのか」と迷う場面は少なくありません。この記事では、介護職が褥瘡を早期に発見し評価するための視点を、好発部位の見方、消えない発赤の見分け方、リスク評価のブレーデンスケールと経過評価のDESIGN-R2020の使い分け、毎日の観察記録と看護師への報告という実務の流れにそって整理します。体位変換・体圧分散・スキンケア・栄養との連携も含め、日本褥瘡学会のガイドラインに沿って解説します。

褥瘡のアセスメントとは|「リスク予測」と「経過評価」の2段構え

褥瘡のアセスメントは、大きく2つの目的に分かれます。この2つを混同すると「どのスケールを使えばいいのか」がわからなくなるため、最初に整理しておきましょう。

1. リスク予測のアセスメント(褥瘡ができる前)

まだ褥瘡ができていない利用者について、「この人はどれくらい褥瘡ができやすいか」を見極める評価です。代表的なツールがブレーデンスケールやOHスケール、K式スケール、厚生労働省の褥瘡危険因子評価票です。リスクが高いと判定された人には、体位変換の強化やエアマットレスの導入など、予防的なケア計画を立てます。

2. 経過評価のアセスメント(褥瘡ができた後)

すでに発赤や褥瘡がある場合に、「いま褥瘡はどの程度の重症度か」「良くなっているか悪化しているか」を客観的な数値で評価します。ここで使うのが日本褥瘡学会のDESIGN-R2020です。点数の推移を追うことで、ケアや治療の効果を多職種で共有できます。

介護職の役割は「気づき」と「継続観察」

スケールの判定や治療方針の決定は看護師や医師が中心になりますが、その前提となる毎日の皮膚観察と異変への気づき、記録は介護職が担う重要な役割です。リスク予測スケールの6項目(後述)は、そのまま日常の観察視点として使えます。アセスメントは専門職だけのものではなく、介護職の日々の観察が出発点になります。

褥瘡の好発部位|骨が出っぱった場所を姿勢ごとに押さえる

褥瘡は、体重がかかりやすく、皮下脂肪が少なく、皮膚のすぐ下に骨がある部分に集中して発生します。日本褥瘡学会の調査(2013年)では、褥瘡の保有部位は仙骨部が最も多く、次いで大転子部・腸骨部、踵骨部、坐骨部、尾骨部の順でした。観察ではこれらの骨の突出部を、利用者の普段の姿勢に合わせて重点的にチェックします。

仰臥位(あおむけ)で注意する部位

仙骨部(おしりの中央上)、踵骨部(かかと)、後頭部、肩甲骨部、肘などです。とくに仙骨部とかかとは見落とせません。かかとは小さく薄いため発赤が見えにくく、寝具で隠れやすいので、こまめに足を持ち上げて確認します。

側臥位(横向き)で注意する部位

大転子部(太ももの付け根の外側)、腸骨部、耳介、肩、くるぶし(外果・内果)、膝の内側などです。横向きでの体位変換が多い利用者は、大転子部を重点的に観察します。

座位・車いすで注意する部位

坐骨結節部、尾骨部、背部、かかとなどです。車いすに長時間座る利用者は、坐骨部や尾骨部に圧が集中します。15分おきのプッシュアップ(除圧動作)の介助や、姿勢の崩れの確認が予防につながります。

観察の基本は「一日一回、全身の皮膚を見る」こと。とくに入浴やオムツ交換、更衣のタイミングは、自然に皮膚を観察できる絶好の機会です。日々のケアの動作に観察を組み込むと、見落としが減ります。

消えない発赤の見分け方|指押し法とガラス板圧診法

褥瘡の早期発見でいちばん大切なのが、皮膚の「赤み(発赤)」を見つけたときの判断です。赤みには、圧迫をやめれば消える正常な反応(反応性充血)と、圧迫をやめても消えない異常な発赤(持続する発赤=初期の褥瘡)の2種類があります。これを見分ける方法が、日本褥瘡学会のガイドラインでも示されている指押し法とガラス板圧診法です。

指押し法(しおしほう)

発赤の部分を指で3秒ほど押して、すばやく離します。判定の目安は次のとおりです。

  • 押すと白くなり、離すと赤みが戻る → 反応性充血(血流が通っている正常な反応で、褥瘡ではない)
  • 押しても白くならず、赤いまま → 持続する発赤(初期の褥瘡=DESIGN-R2020でいう「d1」の状態。すぐにケアと観察が必要)

ガラス板圧診法(あつしんほう)

透明なガラス板やプラスチック板を発赤部に軽く当て、板ごしに皮膚の色を観察します。板で圧迫しても赤みが消えなければ、持続する発赤と判断します。指押し法より客観的に色の変化を確認できるのが利点です。

「消えない発赤」を見つけたら

持続する発赤は、見た目は皮膚が赤いだけでも、すでに皮下で組織の障害が始まっている初期の褥瘡です。「赤いだけだから様子見」と自己判断せず、その場で記録し、看護師へ報告します。発赤部はマッサージをしてはいけません(組織をさらに傷める恐れがあるため、ガイドラインでも禁止されています)。圧迫を取り除き、体位変換とスキンケアで保護します。

見逃しやすい「DTI(深部損傷褥瘡)疑い」に注意

表面は軽い発赤や紫色・暗赤色の変化に見えても、皮膚の深い部分ですでに大きな損傷が進んでいることがあります。これをDTI(深部損傷褥瘡)疑いといい、数日から数週間で急に深い褥瘡として現れます。色が暗い、しこりがある、熱感や硬さがあるといった通常の発赤と違うサインに気づいたら、軽視せず必ず看護師に報告してください。

ブレーデンスケール|褥瘡リスクを6項目で予測する

ブレーデンスケールは、褥瘡が「できる前」のリスクを予測する、世界でもっとも広く使われている評価ツールです。日本褥瘡学会の褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)でも推奨度B(根拠があり、行うよう勧められる)とされています。次の6項目をそれぞれ点数化し、合計点でリスクを判定します。

ブレーデンスケールの6項目

  • 知覚の認知:圧迫による不快感に気づき反応できるか(1〜4点)
  • 湿潤:皮膚が汗・尿・便でどれだけ湿っているか(1〜4点)
  • 活動性:歩行や離床の程度(1〜4点)
  • 可動性:自分で体位を変えられるか(1〜4点)
  • 栄養状態:食事の摂取状況(1〜4点)
  • 摩擦とずれ:移動・移乗時に皮膚がこすれたりずれたりするか(1〜3点)

各項目は「1点=最も悪い」から「4点=最も良い」で評価します(摩擦とずれのみ1〜3点)。合計点は6〜23点で、点数が低いほどリスクが高いのが特徴です。減点法ではなく「低い=危険」と覚えておきましょう。

カットオフ値(危険点)の目安

合計点リスクの目安
19〜23点リスク低い
15〜18点軽度リスク(介護施設では17点を対策の目安にすることが多い)
13〜14点中等度リスク(病院では14点を対策の目安にすることが多い)
10〜12点高リスク
9点以下非常に高リスク

国内のカットオフ値は一般に14点(病院)とされ、介護施設や在宅では介護力や環境を考慮して17点を目安にすることが多くなっています。点数はあくまで対策を始める目安であり、施設の方針に合わせて運用します。

6項目は「日々の観察視点」そのもの

ブレーデンスケールの強みは、6項目がそのまま介護職の毎日の観察ポイントになる点です。「皮膚は湿っていないか」「食事はとれているか」「自分で寝返りが打てるか」「移乗でずれていないか」を意識して見るだけで、点数化しなくても褥瘡予防の質が上がります。スケールの正式な判定は看護師が行う施設が多いですが、その材料を日々集めるのは介護職の観察です。

DESIGN-R2020|褥瘡ができた後の経過を評価する

DESIGN-R2020は、すでにできてしまった褥瘡の「重症度」と「経過(良くなっているか・悪化しているか)」を客観的な数値で評価する、日本褥瘡学会が開発したスケールです。2002年のDESIGNから改定を重ね、現在は2020年12月に改定された改定DESIGN-R2020が使われています。次の7項目の頭文字をとった名称です。

DESIGN-R2020の7項目

  • Depth(深さ):創の一番深い部分で評価。d0(損傷なし)〜D5(関節腔・体腔に至る)。深さの点数だけは合計に加えません
  • Exudate(滲出液):ドレッシング材の交換回数で評価(e0〜E6)
  • Size(大きさ):長径×短径(長径に直交する最大径)で測定(s0〜S15)
  • Inflammation/Infection(炎症・感染):炎症徴候や感染の有無(i0〜I9)
  • Granulation(肉芽組織):良性肉芽が創面を占める割合(g0〜G6)
  • Necrotic tissue(壊死組織):壊死組織の有無と硬さ(n0〜N6)
  • Pocket(ポケット):皮膚の下にできた空洞の大きさ(-0〜P24)

各項目は軽度を小文字、重度を大文字で表記し、点数を合計します(深さDを除く)。合計点が大きいほど重症で、点数の推移を追うことでケアの効果を多職種で評価できます。たとえば前回より合計点が下がっていれば、褥瘡が改善傾向にあると客観的に共有できます。

2020年改定で加わった2つの項目

改定DESIGN-R2020では、新たに「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」と「臨界的定着疑い(3C)」が加わりました。DTI疑いは深さの項目に、臨界的定着疑い(創面にぬめりがあり滲出液が多い状態)は炎症・感染の項目に位置づけられています。いずれも見逃すと急速に悪化しうるため、現場での観察ポイントとして押さえておきたい変更点です。

介護職はDESIGN-Rとどう関わるか

DESIGN-R2020の正式な採点は看護師が行うのが一般的ですが、介護職が「滲出液でドレッシング材が一日に何回汚れたか」「におい(悪臭)はあるか」「創の周りが赤く腫れていないか」を日々記録しておくと、看護師の評価精度が上がります。専門用語を覚えることより、自分が観察した事実を正確に伝えることが介護職の貢献です。

ブレーデンスケールとDESIGN-R2020の使い分け

2つのスケールは目的がまったく違います。「いつ・何のために使うか」を表で整理しておくと、現場で混同しません。

比較項目ブレーデンスケールDESIGN-R2020
目的褥瘡発生のリスク予測(できる前)褥瘡の重症度・経過評価(できた後)
使うタイミング入所時・定期的(リスク評価)褥瘡発生後・経過観察時
項目数6項目7項目
点数の意味低いほど危険(6〜23点)高いほど重症(深さは加点せず)
主な作成者看護師(材料は介護職の観察)看護師・医師
介護職の関わり6項目を日々の観察視点に活用滲出液・におい・周囲の状態を記録

ざっくり言えば、ブレーデンは「予防のための見張り役」、DESIGN-Rは「治り具合の通信簿」です。介護職は、褥瘡ができる前はブレーデンの6項目を意識して観察し、できてしまった後はDESIGN-Rの評価材料となる事実を記録して看護師に渡す、という関わり方になります。なお、リスク予測スケールにはほかにOHスケール(軽度1〜3点・中等度4〜6点・高度7〜10点)やK式スケール、厚生労働省の褥瘡危険因子評価票もあり、施設によって採用するツールは異なります。どのツールを使う施設でも、点数をつけること自体が目的ではなく、点数を手がかりにケアを強化し、利用者の皮膚を守ることが本来の目的だという点は共通しています。スケールに振り回されるのではなく、観察と行動に結びつけて初めて意味を持つと意識しておきましょう。

毎日の観察と記録|早期発見を「仕組み」にする

褥瘡の早期発見は、個人の気づきだけに頼ると見落としが出ます。観察と記録を毎日のケアの「仕組み」に組み込むことが、確実な早期発見につながります。

観察するタイミングを決める

皮膚を自然に見られる場面、つまり入浴・清拭、オムツ交換、更衣、体位変換のたびに好発部位をチェックします。一日一回の全身皮膚観察を基本とし、リスクの高い利用者は頻度を上げます。「観察の時間」を別に取るのではなく、いまある介助動作にひもづけるのがコツです。

記録すべき5つのポイント

  • 部位:仙骨部、右かかと、など具体的に
  • 大きさ:おおよその縦×横(cm)
  • 色・状態:発赤・水疱・びらん・暗赤色など。指押し法で消えたか消えないかも添える
  • 変化:前回と比べて広がったか、色が濃くなったか
  • 痛み・熱感:利用者の訴えや、触れたときの熱感・硬さ

記録は「赤くなっていた」だけでなく、「仙骨部に約2cmの発赤、指押しで消えず、昨日より範囲が広い」のように、部位・大きさ・消えるか否か・変化をセットで書くと、看護師がDESIGN-Rで評価する際の材料になります。可能なら写真記録を併用すると、経過の共有がより正確になります。

「いつもと違う」を言語化する

毎日同じ利用者をケアしている介護職だからこそ、「いつもと違う」という違和感に気づけます。その感覚を「皮膚の色がいつもより暗い」「触ると硬い部分がある」と言葉にして記録・報告することが、DTI疑いなど見えにくい褥瘡の早期発見につながります。

評価のあとに動く|体位変換・体圧分散・スキンケア・栄養の連携

アセスメントは評価して終わりではなく、結果に応じてケアを動かすことが目的です。リスクが高い、あるいは初期の褥瘡を見つけたら、次の4つを多職種で連携しながら実施します。

体位変換(圧迫・ずれの除去)

同じ部位への持続的な圧迫を避けるため、原則2〜3時間に1回を目安に体位変換を行います(体圧分散マットレスの種類により間隔は調整)。頭側を挙上したあとは「背抜き・足抜き」でずれを解消し、踵は下腿を浮かせて圧を除きます。バスタオルを重ねて体位を固定する方法は局所に圧が集中しやすいため避けます。

体圧分散(マットレス・クッション)

リスクの高さに応じて、静止型ウレタンマットレスや圧切替式エアマットレスを選びます。車いす利用者には除圧クッションを使い、座位では15分おきのプッシュアップ介助や姿勢の調整で坐骨部の圧を逃がします。ブレーデンスケールの点数は、このマットレス選定の目安にも使われます。

スキンケア(浸軟・摩擦の予防)

尿・便で湿った皮膚(浸軟=皮膚がふやけた状態)は、摩擦やずれで傷つきやすくなります。低刺激の洗浄剤でやさしく洗い、撥水クリームや保湿剤で皮膚を保護します。発赤部のマッサージは禁止です。失禁がある場合はオムツの選び方や交換頻度も見直します。

栄養との連携

低栄養は褥瘡の発生・悪化に直結します。栄養状態が悪いと皮膚や皮下組織の抵抗力が落ち、褥瘡ができやすく治りにくくなります。食事摂取量の変化や体重減少に気づいたら、管理栄養士・看護師に共有します。「最近食べる量が減った」という介護職の気づきが、栄養面の早期介入のきっかけになります。

これらはいずれも、医師・看護師・管理栄養士・ケアマネジャーと共同で行う褥瘡ケア計画にもとづいて進めます。介護職は計画にそって日々のケアを実施し、その結果を記録・報告する役割を担います。

看護師への報告|「いつ・何を・どう伝えるか」

介護職の観察が早期発見につながるかどうかは、看護師への報告の質で決まります。報告の基本を押さえておきましょう。

すぐに報告すべきサイン

  • 指押し法・ガラス板圧診法で消えない発赤を見つけたとき
  • 水疱、びらん、皮膚のめくれ(スキン-テア)があるとき
  • 暗赤色・紫色の変化、しこり、熱感などDTI疑いのサイン
  • 既存の褥瘡で、滲出液が増えた・においが出た・周囲が赤く腫れたなど悪化のサイン

報告は事実を簡潔に

「仙骨部に約2cmの発赤があります。指で押しても赤みが消えません。昨日より範囲が広がっています」のように、部位・大きさ・指押しの結果・変化を順に伝えます。自己判断で「たいしたことない」と省略せず、見たままの事実を伝えるのが原則です。判断は看護師・医師の役割であり、介護職は正確な情報提供に徹します。

制度面でも介護職の観察記録が起点になる

2021年度に整理され、2024年度(令和6年度)介護報酬改定で見直された褥瘡マネジメント加算では、施設入所時と少なくとも3か月に1回のリスク評価、多職種共同の褥瘡ケア計画、定期的な記録、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出が要件です。加算は、リスク評価などのプロセスを評価する加算(Ⅰ)が月3単位、褥瘡の発生なし・治癒・再発なしというアウトカムを評価する加算(Ⅱ)が月13単位です。この一連のPDCAサイクルでも、日々の観察と記録を担う介護職の情報が出発点になります。早期発見と正確な記録は、利用者のためであると同時に、施設のケアの質を支える土台でもあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 褥瘡のアセスメントは介護職がやってもいいのですか?

リスク評価スケールの正式な判定やDESIGN-R2020の採点、ケア計画の作成は、看護師・医師が中心に行うのが一般的です。ただし、その前提となる毎日の皮膚観察、発赤の見分け、変化の記録、看護師への報告は介護職の重要な役割です。アセスメントは多職種で行うものであり、介護職の観察がその出発点になります。

Q. 発赤を見つけたらマッサージしてもいいですか?

いいえ。発赤部のマッサージは、組織をさらに傷める恐れがあるため日本褥瘡学会のガイドラインでも行わないこととされています。圧迫を取り除き、体位変換とスキンケアで保護し、消えない発赤なら看護師に報告してください。

Q. ブレーデンスケールとDESIGN-Rはどう違うのですか?

ブレーデンスケールは褥瘡が「できる前」のリスクを予測するツール(6項目・点数が低いほど危険)、DESIGN-R2020は褥瘡が「できた後」の重症度と経過を評価するツール(7項目・点数が高いほど重症)です。目的も使うタイミングも異なります。

Q. 消えない発赤と消える発赤の見分け方は?

発赤部を指で3秒押して離す指押し法、または透明な板を当てるガラス板圧診法を使います。押して白くなり離すと赤みが戻れば正常な反応性充血、押しても赤いままなら持続する発赤(初期の褥瘡)です。後者はすぐに記録・報告します。

Q. かかとの褥瘡はなぜ見落としやすいのですか?

かかとは面積が小さく皮膚が薄いため発赤が見えにくく、寝具や掛け物で隠れやすいためです。観察のときは足を持ち上げ、かかと全体を直接見る習慣をつけると見落としを防げます。

参考文献・出典

まとめ|介護職の毎日の観察が早期発見の出発点

褥瘡のアセスメントは、専門職だけの仕事ではありません。利用者にいちばん近い介護職の毎日の観察こそが、早期発見の出発点です。最後に、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 褥瘡のアセスメントは「リスク予測(できる前)」と「経過評価(できた後)」の2段構え
  • 好発部位は仙骨部・大転子部・踵骨部・坐骨部・尾骨部。姿勢ごとに重点部位を変えて観察する
  • 消えない発赤は初期の褥瘡。指押し法・ガラス板圧診法で見分け、マッサージはしない
  • ブレーデンスケール(6項目・低いほど危険)でリスクを予測し、DESIGN-R2020(7項目・高いほど重症)で経過を評価する
  • 観察は介助動作にひもづけ、部位・大きさ・色・変化を記録し、消えない発赤やDTI疑いはすぐ看護師へ報告する
  • 評価のあとは体位変換・体圧分散・スキンケア・栄養を多職種で連携。介護職の記録はケア計画とLIFEのPDCAの起点になる

「いつもと違う」という違和感に気づき、それを正確な事実として記録・報告する。この積み重ねが、利用者を褥瘡から守り、施設のケアの質を高めます。皮膚の小さな変化を見逃さない目を、日々のケアのなかで育てていきましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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