
介護のオムツ交換手順|現場で使える12ステップとコツ・尊厳を守る声かけ
介護現場のオムツ交換を、準備から片付けまで12ステップで具体的に解説。テープクロス止めや側臥位での当て方、尊厳に配慮した声かけ、感染症対策、テープ・パッド・パンツ式の使い分けまで。厚労省データから読み解く「オムツ→トイレ排泄」移行の意味も含め、新人介護職員でも今日から実践できる排泄ケアの基本をまとめました。
この記事のポイント
介護のオムツ交換は「準備→声かけ→側臥位での清拭・装着→中心線とギャザー確認→クロステープ止め→観察記録」の流れが基本です。ポイントは①清潔な手と不潔な手を分ける、②各動作の前に必ず声をかける、③テープは下を斜め上、上を斜め下に「クロス止め」する、の3点。1回の交換は5〜10分以内を目安とし、皮膚状態と排泄物の観察を毎回行います。厚労省の調査では特養の半数以上が排尿誘導を実施しておらず、オムツ偏重の現状を「個別ケア」へ切り替える視点が、利用者の尊厳と職員の負担軽減を両立する鍵です。
目次
「オムツ交換は介護の基本だ」と先輩から教わっても、いざ現場に出ると「どこから手を付ければ漏れないのか」「声かけのタイミングを間違えて利用者を不機嫌にさせてしまった」と戸惑う新人は多いはずです。オムツ交換は単なる排泄物の処理作業ではなく、利用者の皮膚状態と排泄状況を毎日観察する貴重な機会であり、何より「尊厳に関わる場面」です。一方で、厚生労働省の調査によれば、特別養護老人ホームの半数以上が排尿誘導を実施しておらず、本来トイレに誘導できる利用者まで一律にオムツで対応している現状も浮かび上がります。
この記事では、ベッド上でのテープ式オムツ交換を中心に、準備から後処理までの12ステップを写真や図に頼らずに言語化しました。さらに「テープ式・パンツ式・パッドの使い分け」「皮膚を傷めない清拭の方向」「クロステープ止めの角度」「感染症を持ち込まないスタンダードプリコーション」など、現場で迷いがちなポイントを整理しています。介護福祉士国家試験の出題範囲にもなる排泄介助を、技術面と倫理面の両輪で押さえることが目的です。読み終えるころには、夜勤帯で1人で対応するときも判断に迷わなくなる「自分なりの型」が手に入るはずです。
オムツ交換は「処理」ではなく「観察と尊厳のケア」
オムツ交換とは、排泄物で汚れたオムツやパッドを清潔なものに取り替え、陰部・臀部の清潔を保つ介助行為を指します。ただし現場で経験を積んだ介護職員ほど、この行為を「汚物処理」ではなく「観察と尊厳のケア」と捉えます。理由は3つあります。
1. 皮膚と排泄物の毎日の観察ポイント
オムツを開いた瞬間に確認すべき情報は意外に多く、新人が見落としやすい項目です。具体的には以下の通りです。
- 皮膚状態:発赤、表皮剥離、湿疹、おむつかぶれ、褥瘡の有無と部位
- 排泄物の性状:尿の色(脱水サイン)、量、臭い、便の形状(ブリストルスケール1〜7)
- 陰部の清潔:尿路感染の予兆となる分泌物や臭気
- 違和感のサイン:表情の硬さ、痛そうにする動作、発語の少なさ
これらは医師や看護師に共有することで、脱水や感染症、便秘・下痢の早期発見につながります。つまりオムツ交換は1日の中で利用者の体調変化を最も早くキャッチできる場面の1つです。
2. 尊厳保持が法的にも求められている
介護保険法第1条には「尊厳の保持」が明記されており、排泄ケアは特に尊厳に直結する場面です。介護労働安定センターの実態調査でも、利用者が「もうトイレに行きたくない」「介護を受けたくない」と感じる原因の上位に、排泄介助時の不快な対応が挙げられています。声かけや視線、カーテン1枚の配慮で、ケアの質は大きく変わります。
3. 自立支援に切り替えるアセスメントの場
厚生労働省は2018年度の介護報酬改定で「排せつ支援加算」を新設し、2021年度改定では「アウトカム評価」を導入しました。これは「オムツが当たり前の利用者でも、原因を分析すればトイレ排泄に戻れる人がいる」という前提に立っています。オムツ交換のたびに「この方は本当にオムツが必要か?」を問い続ける姿勢が、施設全体の自立支援レベルを底上げします。
ベッド上テープ式オムツ交換の12ステップ
ベッド上で寝たきりに近い利用者のオムツを交換する場面を想定し、声かけ・体位変換・清拭・装着・後処理の順に12ステップへ分解しました。1回の交換は5〜10分以内を目安にし、利用者の身体的負担を最小限にします。
Step 1:物品の準備
新しいテープ式オムツ、尿取りパッド、使い捨て手袋(2〜3組)、清拭タオルまたは洗浄ボトルとお湯(38〜40℃)、ビニール袋、防水シーツ、必要に応じて陰部洗浄用の石鹸を、ワゴンに揃えます。「忘れ物で部屋を出る」ことが最大のロスです。
Step 2:本人への声かけと同意
居室に入る前にノックし、「○○さん、お手洗いを清潔にしますね」と用件を伝えます。「オムツを替えます」と直接的に言わず、「お尻をきれいにしましょう」と婉曲表現を選ぶ施設もあります。同室者がいる場合はカーテンを閉めます。
Step 3:環境整備
ベッドの高さを介助者の腰の高さに合わせ、サイドレールを片側だけ外します。窓のカーテン、室温(24℃前後)、掛け布団の最小限化を確認します。
Step 4:手指衛生と手袋装着
速乾性アルコール製剤で手指消毒し、ディスポーザブル手袋を装着します。手袋は「清潔な手」「不潔な手」で2枚使い分けるか、汚れに応じて途中で交換します。
Step 5:仰臥位での衣類とテープ外し
掛け物を腰までめくり、上衣を腰までたくし上げ、ズボンを膝下までおろします。利用者の顔に近い側の手(清潔な手)でオムツの上テープから順に外し、内側に丸め込んで汚れを包み込みます。
Step 6:陰部の清拭・洗浄
女性は尿路感染を防ぐため、必ず「恥骨側→肛門側」の一方向で拭きます。男性は陰嚢の裏や鼠径部に汚れが残りやすいので、シワを伸ばして拭きます。お湯を使う場合は洗浄ボトルでかけ流し、タオルで押さえ拭きします。
Step 7:側臥位への体位変換
「右を向きますね」と声をかけ、利用者の膝を立て、肩と腰を支えて側臥位にします。膝の間にクッションを挟むと安定します。汚れたオムツを内側に巻き込み、身体の下に押し込みます。
Step 8:背面・臀部の清拭
側臥位のまま、仙骨部・坐骨部・大転子部の皮膚を観察します。発赤や褥瘡の予兆を必ず確認します。汚れたオムツを引き抜き、ビニール袋に廃棄します。
Step 9:新しいオムツとパッドのセット
新しいオムツの中心線が背骨に揃うよう、半分に折って身体の下に差し込みます。尿取りパッドはオムツの中心に置き、男性は陰茎を包む形で、女性はパッドの幅広部分が後ろに来るように当てます。
Step 10:仰臥位に戻し、前面を整える
「仰向けに戻りますね」と声をかけ、ゆっくり仰臥位に戻します。下に敷いたオムツを引き出し、ギャザーを足の付け根に沿って立てます。ギャザーが内側に倒れていると漏れの原因になります。
Step 11:クロス止めとフィット確認
テープは下を斜め上向き、上を斜め下向きに「クロス止め」します。お腹とテープの間に手のひらが1枚入るゆとりを確認します。きつ過ぎは皮膚障害、緩過ぎは漏れの原因です。
Step 12:後片付けと記録
衣類と寝具を整え、ベッドの高さを元に戻し、サイドレールを上げます。手袋を外して手指消毒し、汚物を所定の場所へ廃棄します。最後に介護記録へ「排尿○ml/便性状○/皮膚観察結果」を記載します。
新人がつまずきやすいのはStep 9〜11です。中心線がずれる、ギャザーが倒れる、テープを平行に貼る——この3つが「漏れる夜勤」の原因の大半を占めます。
尊厳を守る声かけ・プライバシー配慮の実践例
手技が正確でも、声かけや態度が雑だと「されたくない介護」になってしまいます。ここでは現場で使える具体的な声かけと配慮を、新人がそのまま真似できる形でまとめます。
1. 場面別の声かけ例文集
- 居室入室時:「○○さん、失礼します。お部屋に入ってもよろしいですか?」(ノックの後、返事を待つ)
- 用件を伝える:「お尻をきれいにして、すっきりしましょう」「下のお手入れをさせてくださいね」
- 掛け物を外すとき:「少し布団を動かしますね、寒くないですか?」
- 体位変換の前:「右に向きを変えますね、せーの」
- 清拭中:「冷たくないですか?」「汚れがしっかり取れましたよ」
- 終了時:「お疲れさまでした、すっきりしましたね」
声かけは「単に言葉を発する」のではなく、「相手の返事を待つ」ことがポイントです。返事がない方でも、目線・うなずき・呼吸のリズムで反応を確認します。
2. プライバシーへの配慮3か条
- 露出を最小限にする:掛け物やバスタオルで身体の一部だけを露出します。「全身を一度にめくる」のは尊厳を傷つけます。
- 視線と会話の方向を整える:陰部に直接視線を注がず、利用者の顔を見ながら作業します。同僚との私語や別の話題への雑談は禁物です。
- 同室者・廊下への配慮:カーテンは必ず閉め、声のトーンを落とします。臭気が広がらないよう汚物袋はすぐに密封します。
3. やってはいけないNGワード・態度
- 「またですか?」「さっきも替えたのに」と責める発言
- 無言で作業を進める、表情がこわばっている
- 同僚に「○○さんまた漏らしてた」と廊下で報告する
- 本人の前で「臭いね」など主観的な感想を口にする
「自分が裸で他人に世話されている」と置き換えて想像する習慣が、声かけの質を変えます。
4. 認知症の利用者への配慮
認知症の方は「何をされるか分からない」状況に強い不安を感じます。短い言葉で繰り返し伝え、視覚的に道具を見せ、「触りますよ」と必ず予告します。抵抗が強い場合は時間をおいて再度試み、無理に進めないことが原則です。日本コンチネンス協会の研修教材でも「説明を3回繰り返す」が推奨されています。
テープ式・パンツ式・尿取りパッドの使い分け早見表
「全員にテープ式」「全員にパンツ式」という選び方は、利用者のADL(日常生活動作)に対して非効率です。ADL段階別に最適な組み合わせを把握すると、皮膚トラブルとコストを同時に減らせます。
1. 3タイプの基本特徴
| タイプ | 適応するADL | 主な利点 | 主な欠点 |
|---|---|---|---|
| テープ式オムツ | ベッド上で過ごす時間が長い/自力で立てない | 仰臥位のまま装着でき、吸収量が多い | 立位での装着がしづらい、ゴワつきやすい |
| パンツ式オムツ | 立位や座位を保てる/自分でトイレに行ける | 下着感覚で履ける、自尊心を保ちやすい | 横になったままだと履かせにくい、吸収量はテープ式より少なめ |
| 尿取りパッド | テープ式・パンツ式どちらにも併用 | パッドだけ交換すればよく、コスト・手間を削減 | パッドだけで使うのは漏れの原因になる |
2. ADL別の推奨組み合わせ
- 寝たきり(ベッド上で過ごす):テープ式オムツ+夜間用大容量パッド。1晩に2〜3回の排尿でも持つよう吸収量に余裕を持たせます。
- 座位保持は可能、立位介助あり:日中はパンツ式+小型パッド、夜間はテープ式+大型パッドに切り替えます。
- 歩行可能・トイレ誘導でほぼ自立:パンツ式+軽失禁用パッドのみ。「念のため」のテープ式は自尊心を傷つけます。
- 下痢・水様便が続く時:一時的にテープ式に切り替え、お腹から漏れにくい立体ギャザータイプを選びます。
3. パッド重ね使いはNG
「漏れたくないから2枚重ね」は介護現場でよく見られますが、メーカー各社(ライフリー・アテント・ピジョンタヒラ)はいずれも非推奨としています。理由は3つです。
- 下のパッドは尿を吸収できず、肌に湿気がこもる
- パッド同士のずれで漏れがかえって増える
- コストが2倍になる
解決策は「容量の大きい1枚を選ぶ」「テープ式オムツ+パッド1枚」の組み合わせに切り替えることです。
4. サイズ選びの原則
テープ式・パンツ式とも「ヒップサイズ」で選びます。お腹周りで選ぶと小さすぎてフィットしません。装着後は「お腹とテープの間に手のひらが1枚入る」「太もも周りのギャザーが浮かない」を毎回確認します。
独自分析:オムツ→トイレ排泄移行の壁と排せつ支援加算
「ベッドで寝たきり=オムツ」と思考停止してしまうと、本来トイレに座れる利用者まで一律にオムツで管理することになります。kaigonews編集部が厚生労働省の公開資料を整理したところ、施設のオムツ依存度には大きなばらつきがあり、改善余地のあるテーマだと分かりました。
1. 厚労省データから見える「排尿誘導」の実施率
厚生労働省「平成29年度 介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業 排泄介護報告書」によれば、特別養護老人ホームを含む介護保険3施設において、定時の排尿誘導を実施している施設は半数程度にとどまり、残りの施設では排尿誘導を行わずオムツ内排泄で対応していることが示されています。これは「オムツが必要な利用者」だからではなく、「人手が足りずトイレ誘導まで手が回らない」運営側の事情が大きく関与しています。
2. 排せつ支援加算の仕組み(2018→2021改定)
厚労省は2018年度の介護報酬改定で「排せつ支援加算」を新設しました。これは、要介護者の排泄状態をアセスメントし、本人が自然に排泄できる状態(オムツ離脱)を目指す取り組みを評価する仕組みです。2021年度改定では「アウトカム評価」に再編され、以下の要件が課されました。
- 排尿・排便の状態と支援の必要性を入所時にアセスメントする
- 多職種で支援計画を立てる
- 3か月ごとに評価し、ADL改善やオムツ離脱の成果を記録する
つまり「オムツのまま見送る」のではなく「アセスメントしてトイレに戻す」が制度の方向性です。
3. 当サイト独自分析:オムツ依存を減らす3つの実践
排せつ支援加算を取得している施設の事例を整理すると、共通して以下の3点が実践されていました。
- 排尿日誌の3日間記録:時間と量を記録し、本人の排尿パターンを可視化する
- 定時誘導とポータブルトイレ併用:完全な歩行誘導が難しくても、ベッド脇のポータブルトイレで「座って排泄する」習慣を残す
- 夜間のみオムツ+日中はパンツ式の段階移行:いきなり全廃ではなく、夜間の安心感を確保しつつ日中はトイレ誘導を試す
4. 介護職員のキャリアにも影響する
排せつ支援加算を取得している施設は、加算収入を職員配置の手厚さに回す傾向があり、夜勤帯の負担が比較的軽い特徴があります。求人を選ぶ際に「排せつ支援加算を取得しているか」「排尿誘導の実施率」を質問すると、その施設のケアの質と職員配置の余裕度を間接的に測ることができます。
感染症対策とスタンダードプリコーション
排泄物には病原体が含まれる可能性があり、ノロウイルス、クロストリディオイデス・ディフィシル、MRSA、尿路感染の原因菌などを介護職員が媒介してしまうリスクがあります。厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」が示すスタンダードプリコーション(標準予防策)の考え方を、オムツ交換の場面に落とし込みます。
1. スタンダードプリコーションの基本
「全ての利用者の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷した皮膚は感染の可能性がある」という前提で対応する考え方です。利用者を区別せず一律に標準予防策を行うことで、職員から職員、利用者から利用者への感染を防ぎます。
2. オムツ交換時の必須PPE(個人防護具)
- 使い捨て手袋:1人の利用者ごとに新しいものを使い、終わったら必ず手指衛生
- エプロンまたはガウン:下痢便・嘔吐物に触れる可能性があれば必ず装着
- マスク:飛沫が飛ぶ可能性がある場合(嘔吐対応や感染症流行期)
- ゴーグル:洗浄ボトルの跳ね返りが心配な場面
3. 1ケアごとの手指衛生
WHO「医療における手指衛生の5つのタイミング」に準じて、以下のタイミングで必ず手指消毒します。
- 居室入室前
- 清潔操作の前(新しいオムツに触れる前)
- 体液暴露リスクのある操作の後
- 利用者に触れた後
- 居室退室後
「手袋をしているから大丈夫」は誤解です。手袋を外す瞬間に手が汚染されることが多いため、必ずアルコール消毒します。
4. 汚物処理のルール
- 汚れたオムツはすぐにビニール袋へ入れ、空気を抜いて口を縛る
- 居室内に放置せず、所定の汚物庫へ運ぶ
- 下痢便(特にノロ疑い)はビニール袋を二重にし、感染症対策マニュアルに従い次亜塩素酸ナトリウムで処理
- 使用済み手袋・エプロンは居室を出る前に外し、廃棄する(廊下を汚染しない)
5. 感染症発生時の隔離対応
ノロウイルスやインフルエンザの集団発生時は、感染が疑われる利用者を最後に回り、PPEを通常時より厳格に装着します。同じ手袋・エプロンで複数の利用者を回るのは厳禁で、処理ごとに交換します。施設の感染対策マニュアルと厚労省「介護現場における感染対策の手引き 第2版」を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. オムツ交換は1日何回が目安ですか?
寝て過ごす時間が長い方の場合、一般的には1日4〜6回が目安です。起床時、午前中、昼食後、午後、夕食後、就寝前のタイミングで実施し、夜間は本人の睡眠を妨げないよう尿量に応じてパッドだけを交換するのが基本です。ただし下痢時や発熱時はその都度対応し、皮膚トラブルを最小化します。
Q2. オムツ交換中に利用者が拒否した場合はどうすれば?
無理に進めるのは尊厳・身体・信頼関係の3つを傷つけます。まずは作業を一旦止めて声をかけ直し、「お尻が冷たくないですか?」「あと少しで終わりますよ」と所要時間の見通しを伝えます。それでも拒否が強い場合は、時間をおいて別の職員が対応する、清拭だけ済ませて装着は次の機会にするなどの段階対応を取ります。記録を残して多職種で原因を検討します。
Q3. 男性と女性で清拭の方向は違うのですか?
女性は尿路が短いため尿路感染を起こしやすく、必ず「恥骨側→肛門側」の一方向で拭きます。男性は陰嚢の裏や鼠径部に汚れが残りやすいので、シワを伸ばしながら丁寧に拭きます。共通して「同じ面で拭き続けない」「タオルやウェスを面ごとに切り替える」が基本です。
Q4. 夜勤で1人対応のとき、どうしても漏れてしまいます。
夜勤帯の漏れの原因は①パッドの容量不足、②ギャザーの立て忘れ、③テープの平行貼付が大半です。夜間用の大容量パッドに切り替え、ギャザーを足の付け根に沿って必ず立て、テープを必ずクロス止めにします。それでも漏れる場合は、利用者の体型に対してオムツのサイズが合っていない可能性が高いので、ヒップサイズを再計測してください。
Q5. オムツ交換でぎっくり腰を防ぐコツは?
ベッドの高さを介助者の腰の高さまで上げる、利用者を自分の身体に近づける、足を肩幅に開いて重心を低くする、膝と股関節を曲げて持ち上げる——のボディメカニクス4原則を守ります。スライディングシートやリフトの活用も効果的です。1人で持ち上げず、可能なら2人介助に切り替えます。
Q6. オムツ交換だけでキャリアアップできますか?
排泄ケアは介護福祉士国家試験の出題範囲であり、認知症ケア専門士やコンチネンスケアの専門資格にもつながります。日本コンチネンス協会の研修や排泄ケア専門士の資格を取得すると、施設内でのリーダー業務や講師役を任されやすくなり、給与アップにつながります。「排泄ケアが得意な介護職員」は施設にとって貴重な人材です。
参考文献・出典
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まとめ:オムツ交換は「観察」と「尊厳」の両輪で
オムツ交換は、新人介護職員が最初につまずく技術の代表でありながら、利用者の体調と尊厳を最も近くで支える行為でもあります。本記事では12ステップの手順、声かけと尊厳保持、テープ式・パンツ式・パッドの使い分け、感染症対策、そして「オムツからトイレ排泄へ戻す」自立支援の視点までを整理しました。
特に押さえておきたい3つのポイントを再掲します。第一に、清潔な手と不潔な手を分け、女性は恥骨から肛門の方向に拭く——尿路感染と皮膚トラブルを防ぐ基本です。第二に、各動作の前に必ず声をかけ、返事を待つ——尊厳を守るのは技術ではなく態度です。第三に、「この方は本当にオムツが必要か?」を問い続ける——排せつ支援加算の方向性が示すように、アセスメント次第でトイレ排泄に戻れる利用者は少なくありません。
オムツ交換が苦手なまま夜勤に入って自信を失う前に、今日紹介した12ステップを1つずつ自分の身体に染み込ませてください。技術が安定すると声かけに余裕が生まれ、声かけが整うと利用者の表情が変わります。その変化が積み重なって、「この職員さんに替えてもらえてよかった」と思ってもらえる介護職員になります。あなたの排泄ケアは、施設のケアの質そのものを底上げする力を持っています。
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