介護のハタラクナカマ

介護職の転職、介護施設探し、介護保険・制度をわかりやすく解説します。

運営:Selfem合同会社

主要ガイド

  • 記事一覧
  • 介護用語集
  • 地域から探す

コンテンツ

  • 介護で働く方へ
  • ご家族・利用者の方へ
  • 介護ニュース
  • 施設を探す

サイト情報

  • サイトについて
  • 会社概要

規約・ポリシー

  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

© 2026 Selfem合同会社 All rights reserved.

介護のハタラクナカマ
記事一覧用語集地域から探すご家族・利用者の方はこちら介護の働き方診断

📑目次

  1. 01介護保険データから見る医療連携の必要性
  2. 02なぜ介護職がチーム医療の中心になるのか
  3. 03連携先別の情報共有ポイント(医師・看護師・リハ職・薬剤師・栄養士)
  4. 04SBARで伝える緊急時報告フォーマット
  5. 05場面別の連携実践(看取り・退院支援・服薬・栄養)
  6. 06現場で連携を機能させる5つのTips
  7. 07よくある質問(FAQ)
  8. 08参考文献・出典
  9. 09まとめ
介護の働き方診断
介護現場のチーム医療実践ガイド|医師・看護師・リハ職・薬剤師との情報共有と多職種連携の動かし方
介護職向け

介護現場のチーム医療実践ガイド|医師・看護師・リハ職・薬剤師との情報共有と多職種連携の動かし方

介護職が中心となって動かすチーム医療の進め方を職種別・場面別に解説。SBARを使った情報伝達フォーマット、サービス担当者会議の準備、看取り・退院・服薬・栄養の連携実務を厚労省資料を踏まえてまとめました。

Quick Diagnosis

45秒

全6問・動画ガイド付き

性格から、合う働き方をみつける。

介護の仕事を嫌いになる前に。施設タイプや転職サービスの選び方を、6つの質問と45秒の動画で整理できます。

無料で診断を始める
ポイント

この記事のポイント

介護現場のチーム医療とは、介護職を起点に医師・看護師・リハ職・薬剤師・栄養士が役割分担して利用者を支える仕組みです。介護職の役割は「最も長く本人を見ている専門職」として、変化に気づき、SBAR(状況・背景・評価・依頼)で医療職に橋渡しすること。サービス担当者会議の準備、看取り・退院・服薬・栄養の連携実務まで含めて、現場で動く具体手順を解説します。

📑目次▾
  1. 01なぜ介護職がチーム医療の中心になるのか
  2. 02連携先別の情報共有ポイント(医師・看護師・リハ職・薬剤師・栄養士)
  3. 03SBARで伝える緊急時報告フォーマット
  4. 04場面別の連携実践(看取り・退院支援・服薬・栄養)
  5. 05現場で連携を機能させる5つのTips
  6. 06よくある質問(FAQ)
  7. 07参考文献・出典
  8. 08介護保険データから見る医療連携の必要性
  9. 09まとめ

「医師に報告したいことがあるけど、何をどう伝えればいいか分からない」「サービス担当者会議で発言する自信がない」「看護師との連携がうまくいかず、結局自分が抱え込んでしまう」。介護現場で多職種連携の難しさを感じる介護職は少なくありません。

厚生労働省の「在宅医療・介護連携推進事業」では、退院支援・日常療養支援・急変時対応・看取りの4つの場面で多職種協働が求められています(厚生労働省『在宅医療・介護連携推進事業の手引きVer.3』)。介護施設においても、医療ニーズの高い利用者が増えるなか、介護職がチーム医療の起点として動けるかどうかがケアの質を左右します。

この記事では、介護職が中心となってチーム医療を動かすための実践手順を、(1)連携先別の情報共有ポイント、(2)SBARによる緊急時報告フォーマット、(3)看取り・退院・服薬・栄養の場面別連携、の3軸で整理しました。医療的判断には踏み込まず、あくまで「どう連携を設計するか」に絞って解説します。

なぜ介護職がチーム医療の中心になるのか

チーム医療と聞くと「医師がトップで、看護師が補佐し、介護職は指示を受ける側」というイメージを持つ人がいます。しかし在宅・施設の現場では、この構図はあてはまりません。多職種が利用者と接する時間を比べてみると、介護職が圧倒的に長いからです。

接触時間が最も長いのは介護職

たとえば特別養護老人ホームに入居している要介護4の利用者の場合、医師は月1〜2回(協力医療機関の回診)、看護師は日中数時間、リハ職は週2〜3回20分程度、薬剤師は月1回程度しか直接接しません。一方で介護職は24時間365日、起床・食事・排泄・入浴・就寝まで連続して関わります。

つまり「いつもと違う」「今日は様子がおかしい」と最初に気づけるのは介護職です。この一次情報をどう医療職に橋渡しできるかが、急変の早期発見・誤薬の防止・看取りの質を決定づけます。

厚労省が示す在宅医療の4機能と介護職の役割

厚生労働省「在宅医療の体制構築に係る指針」では、在宅医療に必要な機能として(1)退院支援、(2)日常の療養支援、(3)急変時の対応、(4)看取り、の4つを掲げています。それぞれにおける介護職のポジションは次の通りです。

  • 退院支援: 退院前カンファレンスに参加し、自宅・施設での生活動線を医療職に伝える
  • 日常の療養支援: バイタル変動・食事量・排泄・睡眠の継続的観察と記録
  • 急変時対応: 第一発見者として状況をSBARで看護師・医師に報告し、家族へも一次連絡
  • 看取り: ACP(人生会議)で確認された本人の希望に沿ったケアを24時間体制で実践

このうち日常の療養支援と看取りは、介護職の継続観察なしには成立しません。「医師の指示待ち」ではなく、「医師が判断するための材料を提供する」役割と捉えるのが現実に即した整理です。

チーム医療と多職種連携・地域包括ケアの違い

用語の混乱を避けるため整理しておきます。チーム医療は医療提供を目的とした多職種協働、多職種連携は医療・介護・福祉に広がる包括的な協働、地域包括ケアはそれらを地域単位で設計するシステム概念です。介護現場で「チーム医療」と呼ぶ場合、医療職を含む多職種協働を指すことがほとんどで、この記事でもその意味で使います。

連携先別の情報共有ポイント(医師・看護師・リハ職・薬剤師・栄養士)

多職種連携がうまくいかない最大の理由は、「相手が何の情報を欲しがっているか」が共有されていないことです。職種ごとに専門領域と判断軸が違うため、同じ「足のむくみ」でも医師・看護師・PTでは欲しい情報が異なります。連携先別に「これだけは伝える」項目を整理しました。

医師(主治医・協力医)に伝えること

医師は短時間で多くの利用者を診るため、結論ファーストの情報整理が必須です。

  • 変化の事実: いつから、どの程度、何が変わったか(例: 3日前から食事量が半分、体温37.5度が継続)
  • バイタルの推移: 体温・血圧・脈拍・SpO2の数値と時系列
  • 既往と現在の処方: 関連すると思われる持病・服薬中の薬剤名
  • 本人と家族の希望: 受診したいか、自宅で様子を見たいかの意向

「先生どうしましょう?」と丸投げするのではなく、「Aさんが3日前から食欲低下、本日37.5度、本人は受診を希望しています。往診の調整をお願いできますか」のように依頼形で締める。これだけで医師の判断が格段に早くなります。

看護師に伝えること

看護師はチーム医療の調整役として、医師と介護職の橋渡しを担います。看護師に渡すべき情報は医師より一段詳しい観察情報です。

  • 食事摂取量(主食・副食を分けて)、水分量
  • 排尿・排便の回数と性状
  • 皮膚の状態(褥瘡の発赤・浸出液、発疹)
  • 痛みの訴え方(部位・強さ・タイミング)
  • 服薬状況(飲み忘れの有無、拒薬)

看護師が必要な医療処置を判断したり、医師に報告するための材料になります。「気になることがあったら何でも言って」ではなく、申し送りで定型項目として伝える運用にすると抜け漏れがなくなります。

リハビリ職(PT・OT・ST)に伝えること

機能訓練指導員やリハ職に伝えるべきは、訓練の場以外での生活動作の状況です。

  • 居室から食堂までの移動方法(自立/見守り/介助)
  • 立ち上がり・起き上がりの回数と所要時間
  • 食事中の姿勢、ムセの有無(STに重要)
  • 転倒・ヒヤリハットの状況
  • 本人がやりたがる動作・拒否する動作

20分のリハビリ訓練だけで生活機能は維持できません。「リハで覚えた動作を24時間の生活でどう実践するか」を介護職が継続するのがADL維持の鍵で、その材料をリハ職に渡すことで個別機能訓練計画の精度が上がります。

薬剤師(在宅・施設訪問薬剤師)に伝えること

2020年の介護報酬改定以降、施設や在宅への薬剤師訪問が広がっています。薬剤師に伝えるべきは服薬の実態と副作用の兆候です。

  • 飲み忘れ・拒薬の頻度と理由(味が嫌い、錠剤が大きいなど)
  • 嚥下機能の変化(粉砕希望、簡易懸濁の要否)
  • 新たに出現した症状(眠気、ふらつき、便秘、口渇など副作用の可能性)
  • OTC薬や健康食品の使用状況

薬剤師は処方医に薬剤調整を提案できる立場です。介護現場で「この薬を飲ませると食欲が落ちる気がする」といった気づきがあれば必ず共有しましょう。

管理栄養士に伝えること

低栄養や褥瘡対策では管理栄養士との連携が不可欠です。

  • 食事摂取量の推移(%ではなく主食何割・副食何割)
  • 好き嫌い、食べやすい食材・味付け
  • 嚥下状態(とろみの程度、ムセの頻度)
  • 体重変動(月1回測定の推移)
  • 褥瘡の有無と進行

「全量摂取」「半量摂取」だけでは栄養士は判断できません。主食・副食を分けて、何をどれだけ食べたかを記録することで、補助食品の追加や食形態の変更につながります。

📖

関連する主な介護用語

サービス担当者会議看取り多職種連携在宅医療退院支援急変特別養護老人ホーム退院前カンファレンス

▶ 介護用語集トップへ

SBARで伝える緊急時報告フォーマット

SBAR(エスバー)は、米軍やNASAで開発され医療現場に応用された情報伝達フレームワークで、Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案・依頼)の頭文字を取ったものです。介護現場でも、急変時や夜勤帯のオンコール、サービス担当者会議の発言整理に有効です。

SBARの4要素

  • S(Situation/状況): 今、何が起きているか。誰が、いつ、どんな状態か。一文で言い切る
  • B(Background/背景): 既往歴・服薬・直近の経過など、判断に必要な前提情報
  • A(Assessment/評価): バイタル・症状・自分が感じた違和感などの観察データ。「悪そうです」ではなく数値と事実で
  • R(Recommendation/提案・依頼): 自分は何をしてほしいか。受診・往診依頼・指示確認など、相手にお願いしたい行動を明示

夜勤中の急変報告(看護師オンコールへ電話)

S: 「3階Bさん、85歳男性、22時の巡視時に呼吸が浅く、声かけに反応がありません」
B: 「心不全と糖尿病の既往。本日夕方の血圧は128/82、食事は全量摂取していました」
A: 「現在SpO2 88%、脈拍110回/分、体温37.8度。チアノーゼが口唇に出ています」
R: 「往診依頼か救急要請の判断をお願いします。家族への連絡は私の方で行います」

夜間の発熱(看護師への報告)

S: 「Cさん、2時の検温で38.2度、体熱感あり」
B: 「昨日からムセが増えていました。誤嚥性肺炎の既往あり」
A: 「呼吸数22回/分、SpO2 94%、痰がらみあり。意識レベルは清明」
R: 「クーリングと水分補給を開始しました。朝までの観察項目と、明日朝一の医師への報告内容を確認させてください」

サービス担当者会議での発言(褥瘡対策)

S: 「Dさんの仙骨部褥瘡が3週間改善していません」
B: 「臥床時間が長く、体位変換は2時間ごとに実施。食事量はここ1か月で半分以下に低下」
A: 「発赤からびらんに進行し、滲出液が増えています。栄養面の影響が大きいと感じます」
R: 「皮膚科受診の調整と、管理栄養士から栄養補助食品の提案をお願いしたいです」

SBARを使うときの3つの注意

  1. 事実と評価を分ける: 「Aは介護職としての主観的評価」と分かるように述べる。検査値・医学的診断には踏み込まない
  2. 結論から話す: 「あの、いつもの〇〇さんなんですけど…」と前置きしない
  3. R(依頼)を必ず入れる: 「相談したくて」で終わらせない。指示確認なのか、往診依頼なのか、家族連絡の判断なのかを明示する

SBARは新人でも管理者でも同じ形式で伝えられるのが利点です。施設内で「夜勤帯のオンコールはSBARで」と決めるだけで、報告漏れと判断遅れが大きく減ります。

場面別の連携実践(看取り・退院支援・服薬・栄養)

厚労省が在宅医療の機能として整理する「退院支援・日常療養支援・急変対応・看取り」のうち、介護現場で実際に動く頻度が高い4場面の連携実務を整理します。

看取り期:ACPと24時間の意思共有

看取りは「死亡の瞬間に立ち会うこと」ではなく、本人の希望に沿った最期までの過程全体を指します。介護職に求められる連携実務は次の通りです。

  • ACP(人生会議)の内容を全スタッフで共有: 「胃ろう希望なし」「最期は施設で」など本人・家族の意向を、申し送りノートやケアプランに明記し、夜勤帯の新人にも伝わる状態にする
  • 看取り期の観察項目を看護師と合意: 呼吸状態・尿量・意識レベルの変化を、いつ・誰に・どう伝えるかを事前に決める。深夜の発熱で家族をどう起こすかも事前合意
  • 家族への一次連絡フロー: 急変時に「まず誰に電話するか」を時間帯別に決めておく。家族から見て「いきなり医師から電話」より「いつも担当している介護リーダーから状況連絡」の方が受け止めやすいケースが多い
  • 看取り直後の連携: 死亡確認は医師の役割。介護職はエンゼルケアと家族対応に集中する。死亡診断書受領後、葬儀社・市町村への連絡を誰が担うか役割分担しておく

大分市の在宅医療・介護連携推進事業の研修会記録では、看取りで最も多い課題は「本人・家族の理解と受け入れ」で、医師・ケアマネ・訪問看護・介護職それぞれの立場で家族の心理的揺らぎに寄り添う姿勢が必要と報告されています(大分市『在宅での看取り~多職種連携とその課題2』)。

退院支援:退院前カンファレンスへの参加

入院していた利用者が施設・自宅に戻る際は、退院前カンファレンスへの参加が連携の起点です。介護職が確認すべきポイントは次の通りです。

  • 医療処置の有無: 喀痰吸引・経管栄養・インスリン注射・服薬管理など、施設で受け入れ可能か
  • ADLの変化: 入院前と比べて移動・食事・排泄の介助量がどう変わったか
  • 退院時処方: 薬剤名・服用時間・配薬方法(一包化の有無)
  • 主治医・往診医の引き継ぎ: 退院後の主治医は誰か、緊急時の連絡先

カンファレンスで黙って座っているだけでは情報は流れてきません。「夜間の体位変換は何時間ごとに必要ですか」「インスリンの単位調整の判断は誰が行いますか」など、具体的な疑問をリストアップして持参するのが基本です。福島県の県中医療圏では、退院調整の「もれ」を防ぐため、医療側と介護側が共同で『退院調整ルール』を策定する取組も進んでいます。

服薬連携:誤薬ゼロのための薬剤師活用

多剤服用(ポリファーマシー)の高齢者では、薬の数だけ介護現場の負担も増えます。薬剤師との連携で軽減できる事項です。

  • 一包化の依頼: 複数の薬を服薬時間ごとに1つの袋にまとめてもらう。配薬ミスが激減
  • 簡易懸濁法の確認: 嚥下機能低下時に、錠剤を粉砕せず温湯で溶かす方法。粉砕より薬効が安定する薬剤がある
  • 残薬調整: 飲み残しがあれば薬剤師に伝え、処方医に減薬や中止を提案してもらう
  • 副作用モニタリング: 新規処方後の眠気・ふらつき・便秘などを記録し、薬剤師経由で処方医にフィードバック

厚労省は施設内服薬の安全管理を強化しており、訪問薬剤管理指導や居宅療養管理指導が介護報酬上も評価されています。施設の協力薬局と月1回の打ち合わせを定例化すると効率的です。

栄養連携:食形態と補助食品の調整

低栄養や褥瘡対策では、管理栄養士・歯科衛生士との連携が成果を左右します。

  • 食事観察記録: 主食・副食を分けた摂取率、ムセの有無、所要時間を毎食記録
  • 体重測定: 月1回以上、できれば隔週で測定し、栄養士が栄養ケアマネジメントに反映
  • 口腔状態の共有: 義歯不適合・口内炎・口腔乾燥は歯科衛生士・歯科医師に
  • 食形態の見直し: ムセが増えたら言語聴覚士の評価を依頼し、刻み・ペースト・とろみの調整を栄養士と相談

介護施設での栄養マネジメント強化加算は2021年改定で再編され、管理栄養士配置の評価が手厚くなりました。配置されている栄養士を「給食を作る人」と捉えず、「ケアチームの一員」として日常的に情報を渡す習慣をつくることが連携成功の鍵です。

現場で連携を機能させる5つのTips

1. 申し送りノートに「気になり欄」を設ける

定型項目(バイタル・食事・排泄)だけだと「なんとなく違和感」が記録に残りません。「気になること」欄を1行つくり、根拠が薄くても書ける運用にすると、看護師がそれを拾って観察項目に追加できます。

2. 看護師との「夕方の3分ミーティング」

夕方の申し送り前に3分だけ、看護師と介護リーダーで「今日気になった人」を口頭で共有する時間をつくる。書面の申し送りでは伝わらない違和感が拾える運用です。

3. サービス担当者会議の発言は事前に1行メモ

会議で「特にありません」と言ってしまう介護職は多いですが、現場の声を一番持っているのは介護職です。会議前に「伝えたい1行」を必ず準備する。SBARの形式を借りると整理しやすくなります。

4. 医療職への報告は「結論→詳細」の順

「あの…えーと…」と前置きから始めず、「Aさんが発熱しています。詳細をお伝えします」と結論を先に伝える。医師・看護師の時間を尊重する姿勢が、結果的に介護職の信頼につながります。

5. 介護記録は「事実」と「評価」を分けて書く

「機嫌が悪かった」ではなく「声かけに返事がなく、食事介助の手を払いのける動作が3回あった」のように、観察事実を先に書き、必要なら別に評価を添える。記録の質が連携の質を決めます。

よくある質問(FAQ)

Q. 医師に連絡するのが怖いです。どうすれば?

怖さの正体は「自分の判断で電話していいのか」という不安です。SBARで状況を整理してから電話すれば、医師は判断材料を得て喜びます。「相談していいか分からないけれど」と前置きしてOK。事後に「相談しなくてよかった」と分かる方が、見落とすよりはるかにマシです。

Q. 看護師と関係がうまくいきません。どう改善すれば?

関係改善の第一歩は「観察情報を定型で渡し続ける」ことです。看護師が必要としている情報(食事量・排泄・皮膚状態・痛み)を毎日同じ形式で申し送れば、看護師は「この人の報告は信頼できる」と判断します。雑談より仕事の質で信頼を積み上げる方が早道です。

Q. サービス担当者会議で発言できません

会議の前にSBAR形式で「伝えたい1件」を準備して持参しましょう。発言の順番が回ってきたら、その紙を読み上げるだけで構いません。慣れてくれば見ずに話せるようになります。最初から完璧を目指す必要はありません。

Q. 多職種連携が制度的に評価される加算はありますか?

あります。代表的なものに、退院・退所加算(居宅介護支援)、医療連携体制加算(特定施設・グループホーム)、ターミナルケア加算、看取り介護加算、栄養マネジメント強化加算などがあります。施設の管理者や相談員に「自分の施設で算定している加算はどれか」を確認し、その算定要件を満たすための連携を意識すると業務の意味が見えやすくなります。

Q. 介護福祉士の資格は連携に必要ですか?

制度上の必須要件ではありませんが、介護福祉士は「介護のリーダー職」として、サービス担当者会議やカンファレンスで現場代表として発言する場面が増えます。喀痰吸引等研修を修了すれば医療的ケアの一部も担えるため、医療職との連携の幅が広がります。

参考文献・出典

  • [1]
    在宅医療・介護連携推進事業について- 厚生労働省

    在宅医療・介護連携推進事業の制度設計と地域事例(柏モデル・横須賀・福島県中圏域の退院調整ルール等)

  • [2]
    在宅医療に必要な連携を担う拠点の整備・運用に関するガイドブック- 厚生労働省

    退院支援・日常療養支援・急変時対応・看取りの4機能と多職種連携の実務指針

  • [3]
    在宅医療・介護連携推進事業の取組について- 厚生労働省

    第8次医療計画に向けた在宅医療体制構築指針と24時間体制・多職種情報共有の促進方針

  • [4]
    在宅での看取り~多職種連携とその課題2- 大分市在宅医療・介護連携推進事業

    看取り期の本人・家族の受容支援に関する多職種研修会の報告書(医師・看護師・介護支援専門員等109名参加)

関連する公的データ(本文の補足)

介護保険データから見る医療連携の必要性

認定者734.5万人を支える介護保険サービスでは、生活支援だけでなく、医療的な観察や多職種連携が必要な場面も増えます。医療依存度の高い利用者では、介護職だけで判断しない体制づくりが重要です。

指標数値読み方
第1号被保険者数3,585万人65歳以上の介護保険加入者の規模
要介護(要支援)認定者数734.5万人介護保険サービス利用の入口になる認定者の総数
居宅サービス受給者数448.0万人訪問・通所など在宅生活を支えるサービス利用者
地域密着型サービス受給者数94.3万人認知症GHや小多機など地域で支えるサービス利用者
施設サービス受給者数97.5万人特養・老健・介護医療院など入所系サービス利用者
保険給付費総額9,687億円1か月分の介護保険給付費の規模
居宅サービス分4,778億円訪問・通所など在宅生活を支えるサービス
地域密着型サービス分1,548億円認知症GHや小多機など地域で支えるサービス
施設サービス分2,907億円特養・老健・介護医療院など入所系サービス

介護職ができること・できないことを分け、異変の早期発見、看護師への報告、主治医やケアマネとの共有を徹底すると、本人の安全と職員のリスク管理を両立しやすくなります。

出典: 厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和8年2月暫定版)」(2026年2月分、2026年5月14日公表)。月報は暫定値であり、後続月・年報で数値が更新される場合があります。

まとめ

介護現場のチーム医療は、医師・看護師に従う構図ではなく、最も長く本人を見ている介護職が「変化に気づき、医療職に橋渡しする」起点として動く仕組みです。鍵となるのは次の3点です。

  • 連携先別に「相手が欲しい情報」を定型化する: 医師には結論ファースト、看護師には観察詳細、リハ職には生活動作、薬剤師には服薬実態、栄養士には食事・体重
  • SBARで報告フォーマットを統一する: Situation→Background→Assessment→Recommendationの順で、新人もベテランも同じ精度で伝える
  • 場面別に連携実務を事前設計する: 看取りはACP共有と家族連絡フロー、退院は前カンファ準備、服薬は薬剤師との定例化、栄養は食事観察記録の精度向上

これらは特別な研修を受けなくても、明日からの申し送り・会議・記録の運用を変えるだけで実践できます。介護職がチーム医療の中心として機能する施設は、利用者の急変対応・看取りの質・離職率まで含めて確実に違いが出てきます。あなたの職場でも、まずは「夕方の3分ミーティング」や「SBARでの夜勤報告」から始めてみてください。

医療・健康情報に関する免責事項

本記事は、介護現場で働く方および介護職への転職を検討される方に向けた一般的な情報提供を目的としており、 個別の症状に対する医学的な診断・治療を行うものではありません。

ご本人・ご家族の症状やケア方法について判断が必要な場合は、必ず医師・看護師・薬剤師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士等の有資格者にご相談ください。 介護保険サービスの利用判断についてはケアマネジャー、行政手続きについては各市区町村の窓口にお問い合わせください。

掲載情報は公開時点の各種公的資料・業界資料に基づき作成していますが、最新の制度・診療ガイドライン等と異なる場合があります。

公開日: 2026年5月24日最終更新: 2026年6月3日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

💡

続けて読む

介護現場の多職種連携を読む|医師・看護師・PT/OT・ケアマネとの役割分担と情報共有のコツ

2026/5/8

介護現場の多職種連携を読む|医師・看護師・PT/OT・ケアマネとの役割分担と情報共有のコツ

介護職と医師・看護師・PT/OT/ST・栄養士・ケアマネ・相談員の役割分担、カンファレンスの進め方、SBARを活用した情報共有のコツまで。チームケア・リハ職連携・ケアマネ連携の3クラスターへの導線つき。

介護現場のチームワーク向上術|ユニット内チームビルディング・多職種連携の実践フレームワーク

2026/5/16

介護現場のチームワーク向上術|ユニット内チームビルディング・多職種連携の実践フレームワーク

介護現場のチームワークを科学的に高めるための実践ガイド。タックマンモデルの応用、多職種連携の場面別動き方、心理的安全性の作り方、1on1とアサーティブコミュニケーションまで体系的に解説します。

介護記録・申し送りの書き方|5W1Hで多職種に伝わる文章の作り方

2026/5/9

介護記録・申し送りの書き方|5W1Hで多職種に伝わる文章の作り方

介護の申し送りと介護記録の書き方を、厚労省の指定居宅サービス基準を踏まえて解説。5W1H・SOAP・SBARの使い分け、状態変化・服薬・転倒の例文、看護師やケアマネ・家族への伝え方、NGワードと事実/解釈の分離、保存期間2年のルールまで、新人〜リーダーが今日から使える実務ガイド。

📖

このテーマを深掘り

基本ページ

介護現場の多職種連携を読む|医師・看護師・PT/OT・ケアマネとの役割分担と情報共有のコツ

介護現場の多職種連携を読む|医師・看護師・PT/OT・ケアマネとの役割分担と情報共有のコツ

介護職と医師・看護師・PT/OT/ST・栄養士・ケアマネ・相談員の役割分担、カンファレンスの進め方、SBARを活用した情報共有のコツまで。チームケア・リハ職連携・ケアマネ連携の3クラスターへの導線つき。

→

関連トピック

介護現場のチームワーク向上術|ユニット内チームビルディング・多職種連携の実践フレームワーク

介護現場のチームワーク向上術|ユニット内チームビルディング・多職種連携の実践フレームワーク

介護記録・申し送りの書き方|5W1Hで多職種に伝わる文章の作り方

介護記録・申し送りの書き方|5W1Hで多職種に伝わる文章の作り方

ご家族との信頼を築くコミュニケーション5場面|入居時・状態変化・苦情・看取り・退去

ご家族との信頼を築くコミュニケーション5場面|入居時・状態変化・苦情・看取り・退去

介護現場のチームケアとは|多職種連携・申し送り・カンファレンスで質を高める実践法

介護現場のチームケアとは|多職種連携・申し送り・カンファレンスで質を高める実践法

介護職とリハビリ職の連携のコツ|PT・OT・STとの役割分担とADL向上のための情報共有術

介護職とリハビリ職の連携のコツ|PT・OT・STとの役割分担とADL向上のための情報共有術

ご家族・ご利用者の視点

同じテーマをご家族・ご利用者の方の視点から書いた記事。視野を広げるためのヒントとして。

介護のイライラ・怒りとの向き合い方|感情のコントロールと虐待を防ぐセルフケア

在宅で介護をする家族のためのイライラ・怒りとの向き合い方。怒りが生まれる背景、6秒ルールなどのアンガーマネジメント、レスパイト、手が出そうなときの対処と虐待防止、相談先までやさしく解説します。

Uターン介護・実家に戻って親を介護する|決める前の確認事項・仕事・費用・支援制度

親の介護のため実家に戻るUターン介護を、遠距離・呼び寄せと比較しながら判断する方法を整理。退職せず続ける工夫・介護休業・住まいと費用・移住支援や介護保険サービス・後悔しない確認事項を公的データで解説します。

介護現場のチーム医療実践ガイド|医師・看護師・リハ職・薬剤師との情報共有と多職種連携の動かし方
  1. ホーム
  2. 介護現場の多職種連携を読む|医師・看護師・PT/OT・ケアマネとの役割分担と情報共有のコツ
  3. 介護現場のチーム医療実践ガイド|医師・看護師・リハ職・薬剤師との情報共有と多職種連携の動かし方