介護用具の選び方総論|介護保険レンタル・特定福祉用具販売・自費購入を整理する全体像
ご家族・ご利用者向け

介護用具の選び方総論|介護保険レンタル・特定福祉用具販売・自費購入を整理する全体像

介護用具は「介護保険レンタル13品目」「特定福祉用具販売6品目」「介護保険外(自費購入)」の3カテゴリに整理できます。要介護度別の対象範囲、福祉用具専門相談員によるアセスメント、住宅改修との組み合わせ、状態変化時の機種変更まで、ご家族・利用者目線で選び方の全体フローを解説します。

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この記事のポイント

介護用具は (1)介護保険レンタル13品目(福祉用具貸与)(2)特定福祉用具販売6品目(介護保険購入)(3)介護保険外の自費購入の3つに分類できます。レンタルは月額1〜3割負担、購入は年10万円まで補助されます。要介護2以上が原則対象で、ケアマネジャー→福祉用具専門相談員と相談し、ADL評価→試用→契約→6か月ごとモニタリングの順で選定するのが基本フローです。

目次

「親の自宅にも手すりや介護ベッドを置きたい」「車いすはレンタルと購入どちらが得?」「介護シューズや滑り止めマットは介護保険で買えるの?」――いざ在宅介護が始まると、介護用具の入手方法に戸惑うご家族は少なくありません。

介護用具は「介護保険でレンタルするもの」「介護保険で購入できる特定福祉用具」「介護保険の対象にならず自費で買うもの」の3つに整理できます。3カテゴリの違いを最初に理解しておけば、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員との相談がスムーズに進み、不要な出費も避けられます。

この記事では厚生労働省告示と介護給付費分科会資料をもとに、13品目の早見表・要介護度別の対象範囲・選び方フロー・住宅改修との組み合わせ・状態変化時の見直しまで、ご家族と利用者ご本人の両方に役立つ「介護用具選びの全体像」を整理します。

介護用具と福祉用具は何が違う?――まず押さえる3カテゴリの全体像

「介護用具」と「福祉用具」は、日常会話ではほぼ同じ意味で使われていますが、介護保険制度の上では明確な定義の差があります。介護保険法では 「福祉用具」 という呼称が公式に使われ、厚生労働大臣告示で品目が指定されているもののみが保険給付の対象になります。一方、商業用語としての「介護用品」「介護用具」には、紙おむつや介護シューズ・滑り止めマットなど、保険の対象にならない日用品も広く含まれます。

介護用具を整理する3つのカテゴリ

ご家族が混乱しないよう、入手方法別に次の3つに整理して理解するのがおすすめです。

  • (1) 介護保険で「レンタル」できる福祉用具(福祉用具貸与):車いす・特殊寝台(介護ベッド)・歩行器など13品目。月額レンタル料の1〜3割が自己負担。
  • (2) 介護保険で「購入」できる特定福祉用具(特定福祉用具販売):腰掛便座・入浴補助用具など6品目。年10万円を上限に1〜3割負担で購入できる。
  • (3) 介護保険の「対象外」で自費購入する介護用品:介護シューズ・滑り止め・センサー類・吸い飲み・防水シーツなど、日常生活を補助する一般商品。

なぜ3つに分かれているのか

厚生労働省は、貸与(レンタル)を「利用者の身体状況や要介護度の変化、福祉用具の機能の向上に応じて、適時・適切に提供できるよう原則貸与」と位置付けています(厚労省 老振発第0410001号)。一方、入浴用いすやポータブルトイレのように「他人が使ったものを再利用するのに心理的抵抗があるもの」「使用によって形態が変化するもの」は購入対象とされています。さらに2024年4月からは、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・歩行補助つえなど一部品目で「貸与と販売の選択制」が導入され、長期使用が見込まれる軽量な用具は購入も選べるようになりました。

介護保険レンタル13品目 早見表(福祉用具貸与)

介護保険で「貸与」(レンタル)の対象になる福祉用具は、厚生労働大臣告示(平成11年厚生省告示第93号)で次の13品目と定められています。要介護度別の対象範囲とあわせて整理します。

品目主な用途原則対象となる要介護度
車いす移動・外出要介護2〜5
車いす付属品クッション・電動補助装置等要介護2〜5
特殊寝台(介護ベッド)起き上がり・立ち上がり補助要介護2〜5
特殊寝台付属品マットレス・サイドレール等要介護2〜5
床ずれ防止用具エアマットレス・体圧分散要介護2〜5
体位変換器褥瘡予防・寝返り補助要介護2〜5
手すり(工事を伴わないもの)立ち座り・通路補助要支援1〜要介護5
スロープ(工事を伴わないもの)段差解消要支援1〜要介護5
歩行器歩行補助・転倒予防要支援1〜要介護5
歩行補助つえ多点杖・松葉杖等要支援1〜要介護5
認知症老人徘徊感知機器外出センサー・通報要介護2〜5
移動用リフト(つり具の部分を除く)移乗介助・入浴介助要介護2〜5
自動排泄処理装置尿・便の自動回収(尿のみは要介護4・5)原則要介護4〜5

要支援・要介護1でも借りられる例外給付

原則「要介護2以上」の品目(車いす・特殊寝台等)であっても、医師の所見と市町村への申請に基づき例外給付として要支援・要介護1の方が利用できる場合があります。代表例は次の状態です。

  • 疾病その他の原因により、状態が急速に悪化することが確実に見込まれる(がん末期等)
  • 日常的に歩行が困難で、立ち上がり時に必ず介助が必要
  • 日常的に寝返りが困難で、寝返りに必ず介助が必要
  • 褥瘡のリスクが高い、または既に発生している

これらに該当しうる場合は、ケアマネジャーに相談の上、主治医意見書を添えて市町村に申請します。

2024年4月開始:固定用スロープ・歩行器・歩行補助つえの選択制

固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉杖を除く)・多点杖の4種類は、レンタルと販売を利用者が選べる「選択制」になりました。長く同じ用具を使い続けることが見込まれる場合、購入の方が経済的になるケースもあるため、福祉用具専門相談員から両方の費用試算を受けて判断するのが原則です。

特定福祉用具販売6品目 一覧(介護保険で「購入」できるもの)

「特定福祉用具販売」は、他人が使ったものを再利用しにくい・形が変化しやすい用具を、介護保険で購入できる仕組みです。要支援1〜要介護5まで要介護度に関係なく利用でき、年度(4月〜翌年3月)あたり10万円を上限に、購入費の7〜9割が保険給付されます。

品目主な製品例使い道
腰掛便座ポータブルトイレ・据置型便座・補高便座・洋式便座への取替え夜間排泄・トイレへの移動が困難な場合
自動排泄処理装置の交換可能部品レシーバー・チューブ・タンク等レンタル本体と組み合わせて使用
排泄予測支援機器(2022年4月追加)膀胱内尿量を超音波等で推定し、スマホ等に通知する機器排尿のタイミングが本人または介助者に分からない場合の自立排泄支援
入浴補助用具入浴用いす・浴槽用手すり・浴槽内いす・入浴台・浴室内すのこ・浴槽内すのこ・入浴用介助ベルト(計7種)浴室内の転倒予防・浴槽出入り補助
簡易浴槽空気式・折り畳み式の介護浴槽居室で訪問入浴等を行うとき
移動用リフトのつり具部分シート・ベルト型のスリングシートレンタルのリフト本体と組み合わせて使用

償還払いと受領委任払い

特定福祉用具販売の支給方法は、市町村によって2通りあります。

  • 償還払い:いったん利用者が全額を販売店に支払い、後日市町村に申請して7〜9割の払い戻しを受ける方式。全国の原則。
  • 受領委任払い:利用者は最初から自己負担分(1〜3割)のみを販売店に支払う方式。市町村が指定した販売事業者でのみ利用可。

受領委任払いに対応している市町村は限られており、住んでいる自治体の介護保険担当課で事前確認が必要です。

購入前に必ず確認すべき4点

  1. 都道府県の指定を受けた福祉用具販売事業所か(指定事業所以外で買うと給付対象外)
  2. 事前にケアマネジャーに相談し、ケアプランへの位置付けがあるか
  3. 福祉用具専門相談員が作成する「特定福祉用具販売計画書」を受け取っているか
  4. 領収書を必ず保管しているか(償還払い申請に必須)

介護用具を選ぶ5ステップ ― ADL評価から契約・モニタリングまで

介護用具の選定は、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員が連携して進める「5段階のプロセス」が標準です。厚生労働省が示す福祉用具貸与・販売計画の流れ(厚労省「介護保険制度における福祉用具、居宅介護支援について」)に沿って解説します。

ステップ1:情報把握(アセスメント)

福祉用具専門相談員が利用者宅を訪問し、心身機能・ADL(食事・排泄・入浴・移動などの日常生活動作)、家族構成、住環境(廊下幅・段差・浴室)、本人と家族の希望、医療情報を整理します。ご家族は「困っている動作の場面」を具体的に伝えるのがポイントです(例:「夜中のトイレで立ち上がれず転んだ」)。

ステップ2:計画書作成と複数機種の提示

2018年4月の制度改正で、福祉用具専門相談員は機能や価格帯の異なる複数商品を必ず利用者に提示し、全国平均貸与価格もあわせて説明することが義務化されました。「他に選択肢はないですか?」と遠慮なく聞きましょう。

ステップ3:試用(デモンストレーション)

業者によって対応が異なりますが、特に車いす・歩行器・特殊寝台は無料の試用期間(1〜2週間程度)を設けている事業者が多くあります。実際の住環境で使い、サイズ・操作性・本人の心地よさを確認することが重要です。

ステップ4:契約とサービス開始

福祉用具貸与・販売計画書に同意し、契約を締結します。利用者と担当ケアマネジャーの両方に計画書が交付されます。レンタル品の場合は事業者が搬入・設置・初期調整までを行います。

ステップ5:モニタリングと見直し

レンタルの場合、福祉用具専門相談員には少なくとも6か月に1回の訪問モニタリング義務があります。状態の変化(要介護度の進行・回復、住み替え、季節要因など)に応じて機種変更や追加・解約を検討します。販売品にはモニタリング義務はありませんが、不具合があれば事業者に連絡しましょう。

誰に最初に相談すればよいか

状況最初の相談先
すでに要介護認定済みでケアマネがいる担当ケアマネジャー
要支援認定済み地域包括支援センター
まだ要介護認定を受けていない市区町村の介護保険担当窓口で認定申請から
急ぎで福祉用具だけ知りたい都道府県指定の福祉用具貸与事業所(ケアマネ経由でなくとも相談可)

レンタルと購入、どちらが得?――判断軸4つで整理

2024年4月から固定用スロープ・歩行器・歩行補助つえ(多点杖・単点杖)の4種類で「レンタルと販売の選択制」が導入されました。同じ用具をレンタルにするか購入にするかは、次の4つの観点で判断します。

判断軸1:使用期間の見通し

福祉用具専門相談員が利用予定期間を確認します。例として歩行補助つえは月額レンタル料が概ね100〜300円/月(自己負担1割相当)の場合、購入価格3,000〜5,000円であれば2〜3年使用するなら購入の方が経済的な計算になります。一方、リハビリで歩行能力が改善し、短期間で不要になる見込みなら、レンタルが無駄がありません。

判断軸2:体格・身体機能の変化見込み

体格や身体機能が変化しやすい時期(脳卒中後の回復期、術後リハビリ中、進行性疾患の方など)は、機種変更が前提となります。レンタルなら状態に合わせて機種交換が容易ですが、購入品は手放しても返金されません。一方、体格・身体機能が安定している軽度の方が長期に使うなら、購入が合理的です。

判断軸3:衛生面・本人の心理的抵抗

腰掛便座(ポータブルトイレ)や入浴用いすなど、肌に直接触れる用具は、もともと購入対象(特定福祉用具)に限定されています。これは「他人が使ったものを再利用するのに心理的抵抗がある」という制度設計上の理由によります。

判断軸4:故障時のサポートとメンテナンス

レンタルは事業者がメンテナンス・消毒・修理・部品交換を担い、定期点検も実施されます。故障時は無償で代替品の手配が可能。一方、購入品は故障時の修理費用が原則自己負担です(保証期間内除く)。

レンタル/購入比較サマリー

観点レンタル(福祉用具貸与)購入(特定福祉用具販売/選択制)
自己負担月額の1〜3割購入額の1〜3割(年10万円上限)
機種変更原則容易原則できない(買い直し)
メンテナンス事業者が責任原則自己負担
使用期間短期〜中期向き長期使用向き
衛生面消毒・補修済み未使用品が選べる

介護保険外(自費購入)で必要になる介護用品

介護保険の対象にならない介護用品も、在宅介護では欠かせません。要介護度に関係なく、必要に応じて自費で購入します。市町村によっては紙おむつや住宅改修以外の用具に独自の助成制度がある場合もあるので、市役所の高齢福祉課に確認しましょう。

主な自費購入カテゴリ

  • 介護シューズ・室内シューズ:着脱しやすいマジックテープ型・幅広・むくみ対応。転倒予防の基本アイテム。
  • 滑り止めマット・浴室用マット:浴室・脱衣所・玄関・キッチン水回りで使用。ヒートショック対策とあわせて重要。
  • センサー類(見守り):介護保険の認知症老人徘徊感知機器に該当しないGPS・Bluetoothタグ・室内人感センサーなど。
  • 食事補助具:吸い飲み・とろみ調整食品・自助食器(持ちやすいスプーン・取っ手付きカップ)。
  • 排泄ケア用品:紙おむつ・尿取りパッド・防水シーツ・消臭剤。市町村の紙おむつ給付(要介護4・5中心、自治体により条件が異なる)も併用検討。
  • 口腔ケア用品:吸引機能付き歯ブラシ・スポンジブラシ・義歯洗浄剤。
  • 姿勢保持クッション・体位変換枕:床ずれ防止用具(保険レンタル)ではカバーしきれない補助的なもの。
  • 衣類:前開きパジャマ・ワンタッチシャツ・尿失禁パンツ。

自費購入の優先順位の付け方

自費品は際限なく買い揃えがちですが、優先順位は次の順で考えるのが現実的です。

  1. 転倒予防に直結するもの(介護シューズ・滑り止め)
  2. 排泄の尊厳と衛生に関わるもの(紙おむつ・パッド・防水シーツ)
  3. 食事の自立と誤嚥予防に関わるもの(自助食器・とろみ剤)
  4. 介護者の負担軽減に関わるもの(見守りセンサー・体位変換補助)

困ったときは、地域包括支援センターや介護用品店の販売員(必ずしも福祉用具専門相談員資格保有とは限らない)に相談する前に、まずは福祉用具専門相談員またはケアマネジャーに「保険外で何を揃えるべきか」を聞くのが最短ルートです。

住宅改修と福祉用具を組み合わせる ― 重複と使い分けの考え方

介護用具の選定は、住宅改修(介護保険給付の住宅改修費・上限20万円/生涯1回・1〜3割負担)と組み合わせて考えるとより効果的です。住宅改修と福祉用具レンタルは「工事を伴うか/伴わないか」で対象が切り分けられているため、両方を組み合わせる場面が頻繁にあります。

手すりの使い分け

  • 福祉用具レンタル(手すり):床や壁にネジ留めしない突っ張り型・据置型。賃貸住宅でも使えるのが利点。
  • 住宅改修(手すり取付け):壁にネジ留めする工事を伴う設置。長期使用と確実な強度を確保したい場合。

たとえば玄関と廊下は住宅改修で固定式、トイレ・脱衣所は据置型レンタルで様子を見る、といった組み合わせ方が一般的です。

段差解消の使い分け

  • 福祉用具レンタル(スロープ):可搬型・持ち運び可能なものが対象。
  • 住宅改修(段差解消):床のかさ上げ・取り外しできない固定スロープ・式台の設置。

滑り防止床材は住宅改修のみ

浴室や階段の床材を滑りにくいものに張替えるのは住宅改修費の対象です。脱衣所などに敷くだけの滑り止めマットは介護保険対象外(自費購入)です。

洋式便器への取替えは住宅改修

和式便器を洋式に取り替える工事は住宅改修の対象。一方、既存の洋式便器の上に置く補高便座は特定福祉用具販売の対象です。

申請順序の注意

住宅改修も福祉用具レンタル・販売も「事前申請」が必須で、工事や納品を始める前にケアマネジャーが市町村に書類を提出する必要があります。事後申請は原則認められないため、必ずケアマネジャーに先に相談してください。

状態変化時の機種変更と故障・トラブル対応

レンタル品の利点は「状態の変化に合わせて変更できる」ことです。退院後の回復、進行性疾患の悪化、季節要因(夏場の床ずれリスク増)、住み替えなど、適切な変更タイミングを逃さないことが重要です。

機種変更を検討すべき主なタイミング

  • 要介護度の区分変更(要介護2→3への進行、または2→1への改善)
  • 退院・退所など生活の場が変わった直後
  • 身体機能の急変(転倒・骨折・脳卒中後など)
  • 本人の体重・体格の変化(5kg以上の変動など)
  • 季節の変わり目(夏のエアマットの種類見直しなど)
  • 同居家族の状況変化(介護者の腰痛・退職・引っ越し)

福祉用具専門相談員は少なくとも6か月に1回のモニタリング義務がありますが、上記のような状態変化が起きたら、自分から連絡して計画見直しを依頼するのが原則です。

故障・トラブル時の対応手順

  1. レンタル品:まず福祉用具貸与事業者に連絡。緊急時は代替品の手配が可能です(事業者により対応速度の差あり)。
  2. 購入品(特定福祉用具):販売事業者またはメーカー保証窓口に連絡。保証期間外は原則自己負担。
  3. 事故・けがが発生:すぐに医療機関を受診し、その後にケアマネジャー・事業者・市町村に報告。製品起因なら独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)への通報も検討。

業者の変更(事業者切替)も可能

「対応が遅い」「機種提案が少ない」など不満がある場合は、ケアマネジャー経由で別の福祉用具貸与事業所に切替できます。契約期間の縛りはありません。複数事業所の比較や、福祉用具プランナー(公益財団法人テクノエイド協会認定の民間資格・100.5時間の上位研修修了者)が在籍する事業所を選ぶのも選択肢です。

介護用具の選び方 よくある質問

Q1. 要支援1ですが、介護ベッドや車いすはどうしてもレンタルできませんか?

原則は要介護2以上が対象ですが、医学的所見と市町村への申請に基づく「例外給付」の仕組みがあります。がん末期で急速悪化が見込まれる、日常的に歩行や寝返りに介助が必須など、厚労省告示で例示された状態に該当する場合は、要支援者でも給付対象になり得ます。担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談してください。

Q2. ポータブルトイレや入浴用いすを介護保険を使わずに買ってしまいました。後から請求できますか?

原則できません。介護保険の特定福祉用具販売は「事前にケアマネジャーへの相談 → ケアプランへの位置付け → 都道府県指定の販売事業者で購入」というプロセスを踏む必要があります。指定外の店舗(一般のドラッグストア・ネット通販など)で買ったものは給付対象外です。これから購入予定のものは、必ず先にケアマネジャーに相談しましょう。

Q3. 同じ品目を毎年買い替えれば年10万円の枠は毎年使えますか?

年度(4月〜翌年3月)ごとに10万円の上限が新しく設定されますが、同じ品目を短期間で繰り返し買い替える場合、給付が認められない場合があります。市町村は「使用状況の変化」や「破損・劣化」の合理的な理由を確認します。新しい機能の機器が出たという理由だけでの買い替えは原則対象外です。

Q4. レンタル料の自己負担は具体的にいくらくらいですか?

商品により大きく異なります。例として一般的な車いすは月額500〜800円(自己負担1割)程度、特殊寝台(介護ベッド)は1,000〜1,800円程度、エアマットレスは800〜1,500円程度が目安です。2018年10月から「全国平均貸与価格+1標準偏差」を超える価格設定は給付対象外となるため、極端な高額レンタルは防止されています。実際の料金は福祉用具専門相談員から事前に提示されます。

Q5. 福祉用具専門相談員と福祉用具プランナーは何が違いますか?

福祉用具専門相談員は介護保険制度上の公的資格(厚生労働省指定の50時間研修修了)で、福祉用具貸与・販売事業所には2名以上の配置が義務付けられています。福祉用具プランナーは公益財団法人テクノエイド協会の民間資格(100.5時間研修+認定試験)で、より高度な専門知識を持つ上位資格です。実務経験2年以上が受講要件で、福祉用具専門相談員のキャリアアップ資格として位置付けられています。事業所選びの一つの目安になります。

Q6. 介護用品店で売っている杖や歩行器を自費で買うのと、介護保険でレンタル/購入するのとどちらがよいですか?

まず福祉用具専門相談員のアセスメントを受けてください。本人の身体機能・住環境に合わない用具はかえって転倒や身体機能低下の原因になります。自費で買ったものが合わなくても返品できないケースが多いため、保険給付が使えるなら、専門相談員のアセスメントを通したレンタル/購入が安全です。

参考文献・出典

まとめ ― 介護用具選びは「3カテゴリ整理 → 専門相談員 → 試用 → 見直し」

介護用具は「介護保険レンタル13品目」「特定福祉用具販売6品目」「保険外の自費購入」の3カテゴリで整理することで、入手方法と費用負担が一気に理解しやすくなります。原則は要介護2以上が貸与対象ですが、要支援・要介護1でも医師の所見と市町村申請による例外給付の道があるため、諦める前に必ず相談しましょう。

選定はケアマネジャー → 福祉用具専門相談員 → アセスメント → 複数機種の提示 → 試用 → 契約 → 6か月ごとモニタリングの流れが基本です。2024年4月から開始された貸与・販売の選択制(固定用スロープ・歩行器・歩行補助つえ)では、使用期間と機種変更見込みを軸にレンタル/購入を判断します。住宅改修との組み合わせ(手すり・段差解消・滑り防止床材)も意識すると、住環境全体の整備計画が立てやすくなります。

状態の変化は介護用具見直しの最大の機会です。退院後・要介護度変更・転倒事故などのタイミングでは、自分から福祉用具専門相談員に連絡し、機種の見直しを依頼してください。自費購入品も「転倒予防 → 排泄 → 食事 → 介護者負担軽減」の優先順位で取捨選択することで、介護用品で家の中があふれる事態を防げます。

介護用具は、本人の自立と尊厳を支え、ご家族の介護負担を軽くするための「道具」です。一度決めて終わりにせず、状態の変化に合わせて柔軟に見直していくことが、在宅介護を長続きさせる鍵になります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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