起居動作の介助|寝返り・起き上がり・端座位の手順とコツ【介護職向け】
介護職向け

起居動作の介助|寝返り・起き上がり・端座位の手順とコツ【介護職向け】

起居動作の介助を、寝返り・起き上がり・端座位保持の手順とコツで解説。自立を促す介助、片麻痺の人の起き上がり、介護者の腰を守るボディメカニクス、端座位のずり落ち防止、次の移乗への連結まで介護職目線でまとめます。

Quick Diagnosis

45

全6問・動画ガイド付き

性格から、合う働き方をみつける。

介護の仕事を嫌いになる前に。施設タイプや転職サービスの選び方を、6つの質問と45秒の動画で整理できます。

無料で診断を始める
ポイント

この記事のポイント

起居動作の介助とは、寝返り(仰向け→横向き)、起き上がり(横向き→端座位)、端座位の保持という、寝た姿勢から座るまでの一連の手技のことです。コツは「全部やる」のではなく本人の動きを引き出すこと。体を小さくまとめ、てこと重心移動を使えば、少ない力で安全に介助でき、介助者の腰も守れます。端座位は足底を床につけ骨盤を立てると安定し、片麻痺のある人では健側を使い患側を守りながら、そのまま次の移乗や立ち上がりへ連結できます。

目次

起居動作の介助は、毎日の起床・就寝や離床のたびに必ず発生する、介護のなかでも頻度の高い手技です。やり方ひとつで、本人の自立度にも、介助者の腰の負担にも大きく差が出ます。力任せに持ち上げれば事故と腰痛のもとになり、逆に「できる動き」まで奪ってしまえば筋力や関節が衰える廃用症候群を招きます。

この記事では、寝返りから起き上がり、端座位の保持までの一連の手順を、介護職の現場目線で順を追って解説します。あわせて、自立を引き出す関わり方、片麻痺のある人への対応、介護者の腰を守るボディメカニクス、端座位がずり落ちないための調整、そして次の移乗や立ち上がりへどう連結するかまでを、公的資料を踏まえて整理します。

起居動作の介助とは|寝た姿勢から座るまでの一連の手技

起居動作とは、寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がりなど、寝た姿勢から起き、座り、立つまでの「姿勢を変える基本動作」の総称です。このうち本記事が扱うのは、ベッド上の「寝返り→起き上がり→端座位の保持」までの、いわゆる離床の入口にあたる部分です。立ち上がりと移乗は端座位の先の工程として後半で連結を扱います。

厚生労働省の要介護認定の調査では、起居動作は「身体機能・起居動作」の群として、寝返り・起き上がり・座位保持などが一つずつ評価されます。たとえば寝返りは「何にもつかまらないでできる/何かにつかまればできる/できない」、座位保持は「背もたれがない状態での座位を10分間程度保持できるか」という能力で見ます。つまり制度上も、起居動作は「全介助か自立か」の二択ではなく、どこまで自分ででき、どこから支えが要るかという段階で捉えるのが基本です。

なぜ「手順」が大事なのか

起居動作には、人が本来使っている自然な動きの順番があります。寝返りなら顔から肩、骨盤へと体を順にひねる「分節的回旋」、起き上がりなら肘を支点にしたてこ、立ち上がりなら前傾による重心移動です。この自然な流れに沿って介助すると、本人の残っている力を引き出しながら、少ない力で安全に動かせます。逆に流れを無視して真上に引き上げると、本人は踏ん張れず、介助者は腰を痛めます。手順を知ることは、事故予防と腰痛予防、そして自立支援の三つを同時に満たす近道です。

介助の前に整える環境とアセスメント

起居動作の介助は、始める前の準備で安全性と楽さが大きく変わります。動作に入る前に次の点を整えます。

  • ベッドの高さ:介助者が前かがみになりすぎない高さに上げます。起き上がり後に本人の足底が床につく高さかも確認します。電動ベッドなら背上げ機能を補助に使えます。
  • サイドレールと手すり:起き上がる側のレールを外し、本人がつかまる柵や手すりを残します。片麻痺の人では健側につかまれるものを用意します。
  • 履物と床:かかとのある滑りにくい履物を履いてもらい、足元の障害物や濡れを取り除きます。
  • 体調の確認:めまい・血圧・痛み・覚醒状態を確認します。とくに長く臥床していた人は起立性低血圧に備えます。
  • 本人の能力の把握:どの動作を自分でできるか、どこから支えが要るかを事前に共有しておくと、過介助も力任せも防げます。

準備と観察を省いて動作だけ急ぐと、転倒・ずり落ち・腰痛のリスクが一気に上がります。「整えてから動かす」を習慣にします。

寝返りの介助手順|体を小さくまとめて分節的に返す

寝返りは、起き上がりの前段階であり、床ずれ予防の体位変換とも重なる動作です。ポイントは、体を小さくまとめてから、上半身と下半身を順番に返すことです。

基本の手順(自力が難しい人)

  1. 声をかけ、向きを伝える:「右を向きますね」と動く方向を伝え、本人に協力してもらう準備をします。
  2. 顔を向ける:返したい方向へ顔を向けてもらいます。視線が動く方向を向くと、体が自然と回旋しやすくなります。
  3. 体を小さくまとめる:胸の上で腕を組み、両膝を立てます。接地面が小さくなり、少ない力で回せます。
  4. 肩甲骨と骨盤を支える:介助者は手前側に立ち、一方の手を肩甲骨、もう一方を骨盤の横(または大腿部)に添えます。
  5. 上半身→下半身の順に返す:立てた膝を倒しながら、肩(上半身)を先に、続いて骨盤(下半身)を手前に引き、横向き(側臥位)にします。一気にひねらず、分節的に返すのがコツです。

自分で寝返りできる人への関わり

ベッド柵に手をかければ自分で返せる人には、柵の位置を整えて見守るだけにとどめます。自立支援の基本として、介助者の手を握って引っ張ってもらうのではなく、ベッド柵など固定されたものを使って自力での動作を促すことが望ましいとされています。手を出しすぎないことも立派な介助です。

つまずきやすいポイント

  • 顔の向きを変えないまま返す:頭が残ると体だけねじれて重くなります。先に顔を向けてもらいましょう。
  • 腕や膝が伸びたまま:体が大きいままだと接地面が広く、余計な力が要ります。必ず小さくまとめてから。
  • 2時間放置:自力で寝返りできない人は、床ずれ予防のため2時間を目安に体位変換を組み合わせます。

起き上がりの介助手順|肘を支点に弧を描いて端座位へ

起き上がりは、横向き(側臥位)から上体を起こし、ベッドの端に腰かけた端座位までを連続させる動作です。要介護認定の調査でも「ふとんをかけない状態で寝た姿勢から上半身を起こせるかどうか」が能力として評価される、自立度を左右する重要な局面です。腕の力で引き起こすのではなく、下になった肘を支点にしたてこと、両脚を下ろす重さを使うのがコツです。

基本の手順

  1. 環境を整える:ベッドを介助しやすい高さにし、起き上がる側のサイドレールを外します。床に足がつく高さかも確認します。
  2. 側臥位をつくる:前述の寝返り手順で、ベッドの端側を下にした横向きにします。顎を軽く引いてもらいます。
  3. 両脚をベッドの外へ下ろす:股関節と膝を曲げ、両膝をベッドの端から出して、すねから下を縁の外へ下ろします。この脚の重さが、上体を起こすカウンターになります。
  4. 介助者は密着して支える:本人の頭側に立ち、一方の手を首の下から肩甲骨へ、もう一方を骨盤や大腿に添えます。介助者は足を前後に広めに開き、重心を低くします。
  5. 弧を描いて起こす:本人には下になった肘でベッドを押してもらいながら、臀部を軸に頭が弧を描くように、脚を下ろす動きと上体を起こす動きを連動させます。真上に引き上げず、回転として起こすのがポイントです。
  6. 端座位で安定を確認:ベッドの端に深く腰かけ、足底が床につく姿勢にします。ふらつきがないか確認するまで手を離しません。

起立性低血圧に注意

長く寝ていた人を急に起こすと、血圧が下がってめまいやふらつきが出る起立性低血圧が起こりやすくなります。段階的に起こし、起こした直後は顔色・表情・気分を確認します。異変があればいったん安全な姿勢に戻し、看護職へ報告します。

片麻痺のある人の起き上がり|健側を使い患側を守る

片麻痺のある人では、麻痺のない側(健側)を使って動き、麻痺のある側(患側)を保護するのが原則です。基本は「健側を下にして起き上がる」流れになります。患側の腕を体の下に巻き込んだり、肩を強く引っ張ったりすると、痛みや亜脱臼の原因になるため避けます。

健側を下にして起き上がる流れ

  1. 患側の腕を組んで保護する:起き上がる前に、健側の手で患側の手を持ち、胸の上に組んでおきます。患側の腕がだらりと残らないようにします。
  2. 健側の脚で患側の脚をすくう:健側の足を患側の膝下に入れ、健側の力で患側の脚を動かせるようにします。
  3. 健側を下にして横向きになる:健側を下にした側臥位へ。介助者は患側(上側)から肩と骨盤を支え、ねじれを防ぎます。
  4. 健側の肘で押して起きる:両脚をベッドの外へ下ろし、本人には健側の肘・手のひらでベッドを押してもらいながら、臀部を軸に弧を描いて端座位へ起こします。
  5. 端座位で患側を支える:座ったあとは患側へ傾きやすいので、患側の足底がしっかり床につくよう整え、傾きがないか確認します。

患側を守るための注意点

  • 患側の腕を引っ張らない:肩関節は亜脱臼しやすいため、腕を持って引き起こす介助はしません。
  • 健側のスペースを確保する:健側で押す・支える動きができるよう、ベッド柵や手すりの位置を健側に用意します。
  • 左右で手順が変わる:右麻痺と左麻痺で「下にする側」が逆になります。その人の麻痺側を確認してから手順を組み立てます。

端座位の安定とずり落ち防止|骨盤を立て足底を床につける

端座位とは、ベッドや椅子の端に腰かけ、足を床につけた座位姿勢です。テクノエイド協会の資料では、背もたれ・肘掛けのない90度座位として位置づけられ、ここを起点にさまざまな姿勢変換や生活動作が広がる「中継点」とされています。端座位が安定するほど、その先の更衣・整容・移乗・立ち上がりが安全になります。

ずり落ちる主な原因

端座位や車いす座位で前へずり落ちる背景には、いくつかの共通要因があります。

  • 骨盤の後傾:骨盤が後ろに倒れると、お尻が前へ滑り、いわゆる仙骨座りになります。
  • 足底が床につかない:足が浮いていると姿勢を支える力が働かず、前滑りしやすくなります。膝が90度に曲がり、足底全体が接地する高さが理想です。
  • 長時間の同一姿勢:筋力が低下した人は短時間でも姿勢が崩れます。座りっぱなしを避け、こまめに座り直しや立ち上がりの機会をつくります。

安定させる調整のコツ

  1. 深く腰かけ、骨盤を立てる:浅く腰かけると骨盤が後傾します。深めに座り、骨盤をまっすぐ起こします。
  2. 足底を床にしっかりつける:膝がほぼ90度、足底全体が床につく高さに調整します。届かなければ足台を使います。
  3. 支持基底面を広げる:足を肩幅程度に開くと、左右への揺れに強くなります。
  4. 傾く側を支える:片麻痺などで傾く人は、傾く側を支えつつ、本人が手で支える練習も取り入れます。

姿勢が崩れたときは無言で直すのではなく、「お尻が前にきましたね、座り直しましょうか」と声をかけ、本人が自分で気づき、立ち直る機会にします。これも自立支援の一部です。

介護者の腰を守るボディメカニクス|起居動作で意識する6点

起居動作の介助は前かがみやひねりが多く、腰痛のリスクが高い場面です。本人の自立支援と介助者の腰痛予防は対立せず、自然な動きに沿った介助は両方を満たします。次の6点を意識します。

  • 支持基底面を広くとる:足を前後・左右に広めに開き、自分の体を安定させてから介助に入ります。
  • 重心を低くする:膝を曲げて腰を落とし、腰だけを曲げて持ち上げないようにします。
  • 相手に密着する:本人と体を近づけるほど、てこの腕が短くなり腰の負担が減ります。離れて手だけ伸ばすのは禁物です。
  • てこと重心移動を使う:力で持ち上げず、肘を支点にしたてこや、自分の体重移動で動かします。
  • 体をねじらない:向きを変えるときは足を踏みかえ、腰でひねらず体ごと向きを変えます。
  • 水平・平行移動を心がける:真上に持ち上げず、すべらせる・回すなど水平方向の動きに置き換えます。

無理をしない判断も技術のうち

一人での介助が難しい体格・状態のときは、二人介助に切り替えるか、スライディングシートやリフトなどの福祉用具を使います。抱え上げを繰り返すこと自体が腰痛の最大の原因です。「持ち上げない介護(ノーリフティングケア)」の考え方で、用具と人手を前提に手技を組み立てます。

やりがちなNG介助と事故予防のポイント

起居動作の介助には、転倒・転落や腰痛、利用者の痛みにつながりやすい「やりがちなNG」があります。代表的なものを押さえ、現場で回避します。

  • 首だけを支えて起こす:頭頸部だけを持ち上げると首に負担がかかり、不安定です。肩甲骨から背中を面で支えます。
  • 体を密着させずに手だけ伸ばす:離れた姿勢での介助は腰痛と取り落としの原因です。必ず近づいてから介助します。
  • 安定前に手を離す:端座位にした直後はふらつきやすく、転落事故が起きやすい瞬間です。安定を確認するまで離れません。
  • 両腕を引っ張る・脇から抱え上げる:本人の前傾と重心移動を妨げ、自然な動作を奪い、肩を痛めます。固定物を使った自力動作を促します。
  • 体をねじって向きを変える:腰のひねりは腰痛の典型的な原因です。足を踏みかえて体ごと向きを変えます。

事故が起きやすいのは、寝返り中の転落、起き上がり直後のめまい、端座位での前ずり・側方への傾きです。これらの局面では手を離さず、異変があればすぐ安全な姿勢に戻して看護職へ報告します。ヒヤリとした場面は記録に残し、チームで介助方法を見直すことが再発防止につながります。

端座位から次へ|立ち上がり・移乗への能力別の連結判断

端座位は終点ではなく、立ち上がりや移乗への出発点です。ここで大切なのは、本人の座位・立位の能力に応じて次の方法を選ぶことです。日本作業療法士協会の離床ガイドブックは、身体能力からみた移乗方法と福祉用具の目安を次のように整理しています。無理に立たせず、できる動作に合った方法を選ぶ判断材料になります。

本人の能力移乗の方法用具の目安
立ち上がりと立位保持ができる(手すり使用)立位移乗介助バー・手すり
お尻を浮かせられるが立位保持は困難座位移乗トランスファーボード
端座位を保て、お尻を横にずらせる座位移乗スライディングシート
端座位は保てるが横移動は介助が必要座位移乗+リフト併用リフト・ボード
端座位の保持が困難リフト移乗・臥位移乗リフト・スライディングボード

立ち上がりへ進む場合は、端座位で足を肩幅に開き、足を少し手前に引いてから、お辞儀をするように上体を前傾させ、鼻先が膝頭の真上に来るくらいまで重心を前に移します。そこから下肢の力で立ち上がります。両腕を引っ張ったり脇から抱え上げたりすると、前傾と重心移動を妨げ、本人の自然な立ち上がりを邪魔してしまうため避けます。

このように、起居動作の介助は「起こして終わり」ではなく、端座位の安定度を見極めて次の移乗・立ち上がりの方法へつなぐところまでが一連の流れです。座位保持が不安定なのに立位移乗を選ぶと転倒に直結するため、端座位での観察が次の安全を決めます。

自立を引き出す起居動作の介助|過介助を避ける関わり方

起居動作の介助で最も意識したいのが、「全部やってあげない」ことです。手を出しすぎると本人の動く機会が減り、筋力や関節の柔軟性が落ちて、かえって動けなくなる廃用症候群を招きます。残っている力を活かす関わり方を整理します。

  • まず観察する:どの局面まで自分ででき、どこから支えが要るかを見極めます。要介護認定の評価軸と同じく、「自立・見守り・一部介助・全介助」の段階で捉えます。
  • 声かけで手順を導く:「膝を立てましょう」「肘でベッドを押してみましょう」と動作の手順を言葉で誘導するだけで、自分で起き上がれる人は少なくありません。
  • 難しい局面だけ支える:起き上がりや立ち上がりは重心が大きく動く不安定な場面です。そこだけ最小限の力を添え、安定している局面は見守ります。
  • 固定物を使ってもらう:介助者の手を引っ張らせるのではなく、ベッド柵や手すりなど固定されたものを使って自力での動作を促します。
  • 早期離床を繰り返す:安静にしすぎず、座る・立つ機会を生活のなかで繰り返すことが、関節可動域と筋力の維持につながります。早めにベッドから離れて端座位・立位をとることが、その先の生活再建の第一歩です。

起居動作の介助のよくある質問

Q. 寝返り介助で力が要ってしまいます。コツはありますか?

体を小さくまとめてから返すのが基本です。胸の上で腕を組み、両膝を立てると接地面が小さくなり、少ない力で回せます。さらに、上半身と下半身を一度に返さず、肩→骨盤の順に分節的に返すと、てこが働いて軽くなります。顔を先に動く方向へ向けてもらうことも忘れないでください。

Q. 起き上がりで本人の腕を引っ張ってはいけないのはなぜですか?

腕を引いて真上に起こすと、本人は自分の力を使えず、介助者の腰にも大きな負担がかかります。とくに片麻痺のある人では、患側の腕を引くと肩の亜脱臼の原因になります。肘を支点にしたてこと、両脚を下ろす重さを使い、臀部を軸に弧を描いて起こすのが安全です。

Q. 端座位にするとすぐ前にずり落ちてしまいます。

骨盤の後傾と、足底が床についていないことが主な原因です。深く腰かけて骨盤を立て、膝が約90度になり足底全体が床につく高さに整えてください。足が届かなければ足台を使います。それでも崩れる場合は、座位保持の能力自体が低い可能性があるため、シーティングやクッションの活用、座る時間の調整を検討し、看護・リハ職に相談します。

Q. 自分でやってもらうと時間がかかります。介助した方が早いのでは?

短期的には介助の方が早くても、できる動きを奪い続けると廃用症候群で要介護度が上がり、結局すべて全介助になりかねません。声かけで手順を導き、難しい局面だけ支える関わりは、長い目で見れば本人の自立を保ち、介助者の負担も減らします。

Q. ベッドの背上げ機能を使えば起き上がり介助はいらない?

背上げ機能は上体を起こす補助として有効ですが、それだけで端座位まで持っていけるわけではありません。背を上げる際は、先に膝側を少し上げてから背を起こすと、体が足側へずり落ちる「ずれ」を防げます。背を上げたあとは、いったん背抜き・足抜きをして衣類と体のずれを解放してから、両脚を下ろして端座位へつなげます。機能と手技を組み合わせるのがコツです。

Q. 起居動作の自立度はどう記録すればよいですか?

「どの方法で」「どの程度の介助(見守り・声かけ・一部介助・全介助)でできたか」を具体的に書きます。たとえば「右ベッド柵を把持し、下肢を先行させて声かけのみで起き上がり可能」のように、できた動作と介助量を明記すると、ケアプランやLIFEへの反映、多職種での共有に役立ちます。

参考文献・出典

まとめ|起居動作の介助は自立支援と腰痛予防を両立できる

起居動作の介助は、寝返り・起き上がり・端座位の保持という、毎日繰り返される基本手技です。共通するコツは、本人の自然な動きの流れに沿うこと。体を小さくまとめて分節的に返し、肘を支点にしたてこと脚の重さで弧を描いて起こし、骨盤を立てて足底を床につけて端座位を安定させる。この流れに沿えば、本人の残存能力を引き出しながら、介助者は少ない力で安全に介助でき、腰も守れます。

そして起居動作は「起こして終わり」ではありません。端座位の安定度を見極め、立ち上がりや移乗の方法を能力に応じて選ぶところまでが一連の介助です。片麻痺のある人では健側を使い患側を守る、過介助を避けて廃用症候群を防ぐといった視点も欠かせません。

毎回の起居動作の介助は、ただの作業ではなく、その人の生活範囲を広げ、寝たきりを遠ざける機会でもあります。手順とコツを身につけ、できる動きは見守り、難しい局面だけ最小限に支える。その積み重ねが、利用者の自立とご自身の腰の両方を守る介助につながります。今日の一回の起き上がりから、自然な動きに沿った介助を意識してみてください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

続けて読む

このテーマを深掘り

関連トピック

ご家族・ご利用者の視点

同じテーマをご家族・ご利用者の方の視点から書いた記事。視野を広げるためのヒントとして。