買い物や外出が難しくなった高齢者を支える|使える支援サービスと制度
ご家族・ご利用者向け

買い物や外出が難しくなった高齢者を支える|使える支援サービスと制度

買い物や外出が難しくなった高齢者を支える方法を、介護保険の訪問介護(買い物同行・代行)から、ネットスーパー・宅配・移動販売・福祉有償運送・自治体や社協の支援まで、家族向けにやさしく整理。介護保険でできる範囲も正確に解説します。

ポイント

この記事のポイント

買い物や外出が難しくなった高齢者を支える方法は、大きく分けて「介護保険のサービス」と「介護保険以外のサービス」の2つです。要介護・要支援の認定を受けていれば、訪問介護のヘルパーに買い物へ付き添ってもらう「買い物同行」や、代わりに買ってきてもらう「買い物代行」が利用できます。ただし対象は本人の生活に必要な日常品に限られ、同居家族がいる場合は利用に条件が付きます。これで足りない部分は、ネットスーパーや生協の宅配、移動販売、社会福祉協議会やシルバー人材センターの生活支援、自治体の外出支援サービス、福祉有償運送などで補います。まずは担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに相談するのが近道です。

目次

「重い荷物を持って歩くのがつらくなった」「足腰が弱って遠くのスーパーまで行けない」「運転免許を返納して、買い物や通院の足がなくなった」。年齢を重ねるにつれて、これまで当たり前にできていた買い物や外出が、少しずつ負担になっていきます。冷蔵庫の中身が乏しくなっていたり、同じ総菜ばかりが続いていたりして、親の暮らしぶりに不安を感じているご家族も多いのではないでしょうか。

こうした「買い物に行けない」「外出が難しい」という困りごとは、本人の食事や栄養、人との交流にも直結する、暮らしの土台にかかわる問題です。実際に農林水産省の推計では、店舗まで500メートル以上あり自動車を使えない65歳以上の「食料品アクセス困難人口」は、2020年時点で全国904万人にのぼります。これは決して特別な事情ではなく、多くの高齢世帯が直面しているテーマです。

このページでは、買い物や外出が難しくなった高齢者を支えるために使えるサービスと制度を、ご家族の視点でわかりやすく整理します。介護保険で何ができて何ができないのか、保険の外ではどんな選択肢があるのか、そしてどこに相談すればよいのかまで、順番に見ていきましょう。

買い物・外出が難しくなる背景と、支援の全体像

買い物や外出が難しくなる理由は、ひとつではありません。足腰の筋力低下や関節の痛み、転倒への不安といった「身体面」の変化に加えて、運転免許の返納やバス路線の廃止・減便といった「移動手段」の問題、さらに近所の商店の閉店やスーパーの郊外化といった「地域環境」の変化が重なって起こります。本人の体は元気でも、住む地域に歩いて行ける店がなくなった結果、買い物に困るというケースも少なくありません。

「買い物難民」「買い物弱者」とは

こうした状況に置かれた人は、「買い物難民」「買い物弱者」「買い物困難者」などと呼ばれます。明確な法律上の定義はありませんが、農林水産省は「店舗まで直線距離で500メートル以上あり、かつ自動車を利用できない65歳以上の人」を「食料品アクセス困難人口」と定義して推計しています。2020年の推計では全国904万人で、65歳以上人口の25.6%にあたります。このうち75歳以上が566万人と、約6割を占めています(農林水産政策研究所)。過疎地だけでなく、店舗の郊外化が進んだ都市部でも増えているのが特徴です。

支援は「買い物そのもの」と「移動」の2方向で考える

支援を考えるときは、大きく2つの方向で整理すると分かりやすくなります。ひとつは「買い物そのものをどう成り立たせるか」。本人が店に行く代わりに、商品を自宅まで届けてもらう(宅配・ネットスーパー・移動販売)か、誰かに代わりに買ってきてもらう(買い物代行)方法です。もうひとつは「外出・移動をどう支えるか」。ヘルパーや家族が付き添う、福祉車両やタクシーで送迎する、本人が乗れる電動の移動手段を用意するといった方法です。

そして、それぞれに「介護保険で使えるもの」と「介護保険の外で使うもの」があります。介護保険は万能ではなく、できる範囲に決まりがあります。次の章から、まず介護保険でできることを正確に確認し、その後に保険外の選択肢を見ていきます。

介護保険でできる買い物支援|「買い物同行」と「買い物代行」

要介護・要支援の認定を受けている方は、訪問介護(ホームヘルプ)のサービスとして買い物の支援を受けられます。ヘルパーが手伝う買い物には、大きく分けて「買い物同行」と「買い物代行」の2種類があります。どちらを使うかは、本人の心身の状態や生活の状況をふまえて、ケアマネジャーが作成するケアプランで決まります。

買い物同行(ヘルパーが付き添う)

買い物同行は、本人が自分で店に行って買い物をするのを、ヘルパーが付き添って支えるサービスです。歩行や車いすの介助、商品選びの見守り、高い棚の商品を取る、レジでの支払いの手伝いなどを行います。本人が「自分の目で見て選ぶ」「外に出て体を動かす」ことを大切にするため、介護保険上は身体の介助を伴う「身体介護」として扱われます。自立を促し、外出による気分転換や社会とのつながりを保てるのが利点です。

買い物代行(ヘルパーが代わりに買ってくる)

買い物代行は、本人が外出せず、ヘルパーが買い物リストにそって代わりに購入し、自宅へ届けるサービスです。家事を手伝う「生活援助」として扱われます。外出そのものが難しい方や、悪天候・体調不良で外に出られないときに役立ちます。ただし後述のとおり、生活援助は同居家族がいる場合に利用の条件が付きます。

利用までの流れ

買い物支援を介護保険で使う流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 担当のケアマネジャー(ケアプランがまだない場合は地域包括支援センター)に「買い物に困っている」と相談する
  2. ケアマネジャーが本人の状態と生活状況をアセスメント(聞き取り・確認)する
  3. 買い物同行か代行か、回数や時間を決めてケアプランに位置づける
  4. 訪問介護事業所と契約し、サービスが始まる

まだ要介護認定を受けていない場合は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで「要介護認定の申請」から始めます。認定が出るまでには通常1か月程度かかるため、早めの相談が安心です。

介護保険でできる範囲・できないこと(ここが大切)

買い物支援を介護保険で使うときに、ご家族が最もつまずきやすいのが「思っていたことが、実はできなかった」という点です。介護保険は本人の自立した生活を支えるための制度なので、使える範囲には決まりがあります。トラブルを避けるためにも、次のポイントを押さえておきましょう。

買えるもの・買えないもの

買い物支援で買えるのは、本人の日常生活に必要な最低限の物に限られます。一方で、本人以外のための物や、生活必需品とはいえない物は対象外です。

  • 買えるもの:食料品、日用品(洗剤・ティッシュなど)、市販薬、ふだん着るための衣類など、本人の生活に必要なもの
  • 買えないもの:本人以外(同居家族など)のための買い物、たばこ・お酒・趣味の雑誌などの嗜好品、贈答品、お歳暮、お正月用の特別な食材、家具や大型家電など生活必需品を超えるもの

行ける範囲・店の選び方にも決まりがある

買い物同行で行けるのは、生活圏内(ふだんの暮らしの範囲)にある身近な店に限られます。遠方のショッピングモールや観光地への外出は、日常生活の範囲を超えるため対象外です。原則として1か所の店で、複数の店をはしごすることは認められないのが基本ですが、やむを得ない事情があれば個別に判断されることもあります。重すぎる物や危険を伴う買い物も断られる場合があります。

同居家族がいる場合は「原則できない」が機械的には決めない

ここが特に誤解されやすい点です。ヘルパーが代わりに買ってくる「買い物代行」は生活援助にあたり、同居している家族がいる場合は原則として利用できません。家族が買い物を担えると考えられるためです。

ただし、厚生労働省は「同居家族がいることだけを理由に、一律・機械的に利用を断ってはならない」という見解を自治体に示しています(厚生労働省 介護保険最新情報)。家族が仕事・病気・障害・本人の介護負担などで家事を担うのが難しい「やむを得ない事情」がある場合は、ケアマネジャーがアセスメントを行い、その必要性をケアプランに明記すれば利用できることがあります。判断するのはケアマネジャーと保険者(市区町村)であり、家族の勤務時間や生活実態を具体的に確認したうえで決まります。「同居家族がいるから無理」とあきらめず、まずは状況を担当のケアマネジャーに伝えて相談してみてください。

外出支援(買い物以外の外出)は介護保険では限定的

映画館や趣味の外出、冠婚葬祭への参列など、日常生活の範囲を超える外出への付き添いは、介護保険の対象外です。介護保険で認められる移動の支援は、通院などの「通院等乗降介助」や、生活圏内の買い物同行などに限られます。自由な外出を支えてほしい場合は、次章で紹介する保険外のサービスを使うことになります。

介護保険でまかなえない部分を補うサービス

介護保険の買い物支援は範囲が限られているため、それだけでは暮らしが回らないことも珍しくありません。そんなときに頼りになるのが、介護保険以外のサービスです。「商品を届けてもらう」「移動を支えてもらう」という2つの方向から、代表的な選択肢を整理します。

1. 自宅まで届けてもらう(買い物に行かない方法)

  • ネットスーパー:大手スーパーがインターネットや電話で注文を受け、当日〜翌日に自宅へ届けます。生鮮食品から日用品までそろい、配送料は1回数百円程度が目安。スマートフォンやパソコンの操作に家族が慣れていれば、離れて暮らす家族が代わりに注文してあげることもできます。
  • 生協(コープ)の宅配:週1回など決まった曜日に食品や日用品を届けます。カタログから選んで注文する仕組みで、高齢者になじみやすいのが特長。地域によっては高齢者向けの割引や、玄関先での安否確認を兼ねた声かけがあります。
  • 宅配弁当・配食サービス:調理が難しい場合は、栄養バランスのとれた弁当を届けてもらえます。手渡しで安否確認を兼ねる事業者も多く、買い物と調理の両方の負担を減らせます。費用は1食あたりおおむね500〜1,000円程度です。
  • 移動販売(買い物バス・移動スーパー):トラックなどに商品を積んで地域を巡回し、自宅近くまで来てくれます。店が近くにない地域で広がっており、自治体や社会福祉協議会、民間のスーパーが運営しています。外に出て商品を選べるため、気分転換や近所の人との交流の機会にもなります。

2. 買い物を手伝ってもらう・移動を支えてもらう

  • 社会福祉協議会(社協)の生活支援:地域の社協が、有償ボランティアなどによる買い物代行・付き添い・移送サービスを提供している場合があります。料金は1時間あたり数百円〜1,000円程度と比較的安価です。
  • シルバー人材センター:地域の高齢者が担い手となり、買い物代行や付き添いを引き受けてくれます。料金は地域により異なります。
  • 民間の家事代行・自費の訪問介護:介護保険では対応できない買い物や外出も、自費なら柔軟に頼めます。料金は1時間あたり3,000〜5,000円程度が目安と高めですが、嗜好品の購入や趣味の外出付き添いなど、制限の少ない対応が受けられます。

料金とサービスの違いを比べる

提供元主なサービス費用の目安特徴
ネットスーパー・生協宅配商品の宅配配送料 数百円/回幅広い品ぞろえ。家族が代理注文も可能
移動販売近くまで巡回販売商品代+わずかな上乗せ外に出て選べる。交流の場にも
社協・シルバー人材買い物代行・付き添い・移送数百〜1,000円/時間程度比較的安価。地域により内容が異なる
民間・自費サービス買い物・外出付き添い全般3,000〜5,000円/時間程度制限が少なく柔軟。費用は高め

これらは介護保険のサービスと組み合わせて使えます。たとえば「日常の食品は生協の宅配でまかない、月に数回はヘルパーと買い物同行に出かけて気分転換する」といった使い方も可能です。何をどう組み合わせるかは、ケアマネジャーに相談しながら決めると無理がありません。

外出・移動の足を確保する方法

「店までの足がない」「通院や用事で外出したいが移動が不安」というときは、移動手段そのものを確保する選択肢があります。免許を返納した後や、公共交通機関が使いにくい地域では特に重要です。

地域の公共交通・乗合サービス

多くの自治体が、高齢者の移動を支えるためにコミュニティバスやデマンド交通(予約制の乗合タクシー)を運行しています。決まったルートを走る路線型と、予約に応じて自宅近くまで来てくれる予約型があり、運賃は一般のタクシーより安く設定されているのが一般的です。お住まいの市区町村の高齢福祉や交通の担当窓口で、利用できる路線や予約方法を確認できます。

福祉有償運送

福祉有償運送は、NPO法人や社会福祉協議会などが、一人での移動が難しい高齢者や障害のある方を対象に、自家用車で送迎する会員制のサービスです。営利を目的としないため、料金は一般のタクシーのおおむね半額程度が目安です。あらかじめ会員登録が必要で、対象者や運行範囲が決められています。介護タクシーとの違いは、運営主体が非営利団体で会員制という点にあります。

介護タクシー(通院等乗降介助)

介護タクシーは、車いすやストレッチャーのまま乗れる福祉車両で、乗り降りの介助を受けながら移動できるサービスです。要介護の方が通院などで利用する「通院等乗降介助」は介護保険の対象になる場合がありますが、行き先や目的に条件があります。買い物や趣味の外出など保険の対象外の用途では、運賃と介助料が全額自己負担になります。

本人が自分で動ける移動手段

体力に余裕がある場合は、本人が自分で移動できる手段を整えるのも選択肢です。電動アシスト自転車、シニアカー(電動カート)、電動車いすなどがあります。シニアカーや電動車いすは、状態によっては介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象になることがあります。導入の際は、安全に使えるかどうかを含めてケアマネジャーや専門職に相談しましょう。

それぞれの向き・不向き

移動手段は、本人の身体の状態と暮らしの環境で向き・不向きが分かれます。歩行が比較的安定していて短距離なら電動アシスト自転車やシニアカー、自力歩行が難しいなら福祉有償運送や介護タクシー、定期的な通院が中心ならデマンド交通や通院等乗降介助、というように、目的と頻度に合わせて選ぶのがポイントです。複数を組み合わせて使う人も多くいます。

データで見る:買い物の困りごとは「特別なこと」ではない

「親が買い物に困っている」と気づいたとき、ご家族は「うちだけが大変なのでは」と感じがちです。しかし公的データを見ると、これはごく多くの高齢世帯に共通する課題であることがわかります。当サイトで複数の一次資料を整理しました。

食料品アクセス困難人口は15年で約1.3倍

農林水産政策研究所の推計によると、店舗まで500メートル以上あり自動車を使えない65歳以上の「食料品アクセス困難人口」は、2005年の約678万人から2020年には904万人へと増えています。15年でおよそ1.3倍です。注目すべきは、その内訳の変化です。75歳以上が占める割合は2005年の約55%から2020年には約63%へと高まり、より高齢の層に困りごとが集中しています(農林水産政策研究所)。経済産業省も別の定義で全国約700万人と推計しており、推計方法は違っても「数百万人規模の問題」である点は一致しています。

都市部でも増えているという事実

買い物の困りごとは「田舎の問題」と思われがちですが、データはそうではないことを示します。農林水産省は、飲食料品店の減少や大型商業施設の郊外化により、過疎地だけでなく都市部でも困難人口が増えていると指摘しています。近所のスーパーや商店が閉店し、残った店が車でしか行けない場所に移ったことで、都市の住宅地でも「歩いて買い物に行けない」状況が生まれているのです。

「移動」と「買い物」は切り離せない

国土交通省の資料では、医療サービスを利用する際の移動手段として「自分で運転する自動車」が43.2%で最も多く、「家族による送迎」が12.3%と続きます(内閣府 令和4年高齢者の健康に関する調査)。つまり高齢者の外出は、自分の運転か家族の送迎に大きく依存しています。免許返納や家族の事情でこの2つが使えなくなると、買い物だけでなく通院などの外出全体が一気に難しくなります。買い物支援を考えるときは、「商品を届ける」だけでなく「移動の足をどう確保するか」をセットで考えることが、暮らしを守るうえで重要だといえます。

ここから読み取れること

これらのデータが示すのは、買い物・外出の困りごとは個人の努力不足ではなく、社会全体で起きている構造的な変化だということです。だからこそ、国・自治体・社協・民間がさまざまな支援策を用意しています。「申し訳ない」「迷惑をかける」と遠慮する必要はありません。使える制度やサービスを早めに知り、組み合わせて備えることが、本人とご家族の暮らしを長く支えることにつながります。

状況別・どの支援から考えればよいか

選択肢が多いと、かえって「何から手をつければよいか」迷ってしまいます。本人の状況別に、まず検討したい支援の組み合わせを整理しました。あくまで考え方の目安なので、最終的には担当のケアマネジャーや地域包括支援センターと相談して決めてください。

足腰は弱ったが、付き添えば外出できる場合

外に出て自分で選ぶことが、気分転換や体力維持につながります。介護保険の「買い物同行」を中心に、付き添いが難しい日は移動販売や生協宅配で補うのがおすすめです。本人が「店に行く楽しみ」を保てるよう、無理のない範囲で外出を続けられる形を考えます。

外出そのものが難しくなってきた場合

商品を届けてもらう方法を軸にします。日常の食品は生協宅配やネットスーパー、調理が負担なら配食サービスを組み合わせます。介護保険の「買い物代行」も選択肢ですが、同居家族がいる場合は条件があるため、まずケアマネジャーに相談を。安否確認を兼ねたサービスを選ぶと、ご家族の安心にもつながります。

免許を返納して、通院や用事の足がなくなった場合

買い物だけでなく外出全体の足を確保する必要があります。自治体のコミュニティバスやデマンド交通、福祉有償運送、通院には介護タクシーの通院等乗降介助を検討します。あわせて買い物は宅配でまかなうと、移動の負担を最小限にできます。

離れて暮らす親を支えたい場合

遠方の家族でもできることがあります。ネットスーパーや生協宅配は、家族がスマートフォンやパソコンから代わりに注文できます。地域の社協やシルバー人材センターに付き添いを依頼し、見守りサービスや配食の安否確認と組み合わせれば、離れていても暮らしを支える体制をつくれます。まずは親が住む地域の地域包括支援センターに連絡し、その地域で使える支援を確認しましょう。

よくある質問

Q. 要介護認定を受けていなくても、買い物支援は受けられますか?

介護保険の訪問介護を使うには、要介護・要支援の認定が必要です。認定がない場合でも、自治体の高齢者生活支援事業、社会福祉協議会やシルバー人材センターの買い物代行、ネットスーパーや生協宅配、移動販売など、保険を使わない選択肢は利用できます。まずは地域包括支援センターに相談すると、その地域で使えるサービスを教えてもらえます。

Q. ヘルパーに、たばこやお酒も買ってきてもらえますか?

介護保険の買い物支援では、たばこ・お酒・趣味の雑誌などの嗜好品は対象外です。本人の日常生活に必要な食料品・日用品・市販薬などに限られます。嗜好品を頼みたい場合は、自費の訪問介護や民間の家事代行を利用することになります。

Q. 同居している家族がいると、買い物代行は一切使えませんか?

原則は利用できませんが、一律に断られるわけではありません。家族が仕事・病気・障害・介護負担などで家事を担うのが難しい事情がある場合は、ケアマネジャーがアセスメントを行い、ケアプランに必要性を明記すれば利用できることがあります。まずは担当のケアマネジャーに具体的な状況を伝えて相談してください。

Q. ネットスーパーの操作が本人には難しそうです。どうすればよいですか?

離れて暮らす家族が代わりに注文してあげることができます。注文だけ家族が行い、受け取りは本人がする形なら、操作に不慣れでも利用できます。電話で注文できる宅配サービスや、カタログから選ぶ生協宅配など、操作が簡単なサービスを選ぶのも一つの方法です。

Q. 費用が心配です。安く利用できる方法はありますか?

自治体や社会福祉協議会のサービスは、民間より安価に利用できることが多くあります。自治体によっては外出支援やタクシー利用への助成、低所得の方への生活支援の助成を設けている場合もあります。お住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターで、利用できる助成制度を確認してください。

参考文献・出典

まとめ|まずは相談から始めましょう

買い物や外出が難しくなったとき、支える方法は一つではありません。介護保険の訪問介護による買い物同行・代行を土台に、ネットスーパーや生協宅配、移動販売、配食サービス、社会福祉協議会やシルバー人材センターの生活支援、自治体の外出支援、福祉有償運送などを、本人の状態と暮らしに合わせて組み合わせていきます。介護保険には「本人の生活に必要な物に限る」「同居家族がいる場合は条件がある」といった決まりがあるため、保険でできる範囲と、保険外で補う部分を見極めることが大切です。

とはいえ、ご家族だけですべてを把握し、最適な組み合わせを選ぶのは簡単ではありません。そこで頼りになるのが、地域の相談窓口です。困りごとに気づいたら、次の窓口に相談してみてください。

  • 地域包括支援センター:高齢者の暮らし全般の相談窓口です。まだ介護認定を受けていない場合や、どこに相談すればよいか分からないときの最初の窓口になります。お住まいの市区町村に設置されています。
  • ケアマネジャー(介護支援専門員):すでに介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに相談します。買い物支援をケアプランに位置づけ、保険外サービスとの組み合わせも一緒に考えてくれます。
  • 社会福祉協議会(社協):地域の買い物代行・付き添い・移送など、住民同士の支え合いによる生活支援を相談できます。
  • 市区町村の高齢福祉担当窓口:自治体独自の外出支援サービスや、タクシー利用・配食などへの助成制度について確認できます。

「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、困りごとが小さいうちに相談を始めることが、本人の暮らしの質を保ち、ご家族の負担を軽くする一番の近道です。一人で抱え込まず、地域の支援を上手に頼りましょう。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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