高齢者の口臭・口の乾き(ドライマウス)の原因と家庭ケア
ご家族・ご利用者向け

高齢者の口臭・口の乾き(ドライマウス)の原因と家庭ケア

高齢者の口臭と口の乾き(ドライマウス)はなぜ起こる?唾液の減少・薬の副作用・脱水・口腔疾患など原因の見分け方、家庭でできる口腔ケアと唾液を増やす工夫、歯科やかかりつけ医に相談する受診の目安を、公的資料をもとにご家族向けにやさしく解説します。

ポイント

この記事のポイント

高齢者の口臭と口の乾き(ドライマウス)は、多くの場合「唾液が減ること」でつながっています。唾液には口の中を洗い流し、においのもとになる細菌を抑える働きがあるため、加齢・薬の副作用・水分不足(脱水)・口呼吸・歯周病などで唾液が減ると、乾きと同時に口臭も強くなります。家庭ではこまめな水分補給、唾液腺マッサージ、ていねいな歯みがきと舌のケア、保湿ジェルで和らげられます。出血や強い痛み、急な口臭の悪化、食べにくさがあるときは歯科やかかりつけ医に相談しましょう。

目次

「最近、家族の口のにおいが気になる」「口が乾くと言って、よく水を飲むようになった」。高齢の親や配偶者を介護していると、こうした口まわりの変化に気づくことがあります。本人は気づきにくく、また「年だから仕方ない」と見過ごされがちですが、口臭と口の乾き(ドライマウス)は、放っておくと食事や会話のしづらさ、むし歯や歯周病の悪化、さらには誤嚥性肺炎のリスクにもつながる、見逃せないサインです。

うれしいことに、原因の多くは家庭でのちょっとした工夫でやわらげられます。一方で、薬の影響や全身の病気が隠れていることもあり、その見分け方を知っておくことが大切です。このページでは、ご家族や介護をする方に向けて、高齢者の口臭・口の乾きがなぜ起こるのか、家庭でできるケア、そして歯科やかかりつけ医に相談する受診の目安を、公的機関の資料をもとにやさしく整理しました。専門用語はできるだけかみくだき、今日から実践できる形でお伝えします。

口臭と口の乾き(ドライマウス)はなぜつながっているのか

高齢者の口臭と口の乾きは、それぞれ別の問題のように見えて、じつは「唾液(だえき)」という共通のカギでつながっています。まずは唾液の働きと、それが減るとどうなるのかを知っておきましょう。

唾液は「天然のうがい薬」

唾液には、口の中をうるおすだけでなく、いくつもの大切な役割があります。食べかすや細菌を洗い流す「自浄作用」、細菌の増殖を抑える「抗菌作用」、酸を中和して歯が溶けるのを防ぐ働き、初期のむし歯を修復する「再石灰化」、食べ物をまとめて飲み込みやすくする働きなどです。いわば、口の中を一日中そうじしてくれる「天然のうがい薬」のような存在です。

唾液が減ると、乾きと口臭が同時に起こる

その唾液が減ると、口の中の細菌や食べかすが洗い流されにくくなります。細菌は食べかすに含まれるたんぱく質を分解し、卵が腐ったようなにおい(硫化水素)や、玉ねぎが腐ったようなにおい(メチルメルカプタンなど)のガスを出します。これが口臭の正体です。つまり、口が乾く(ドライマウス)と、同時に口臭も強くなりやすいのです。

厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」でも、口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌の表面につく白い苔状の「舌苔(ぜったい)」と歯周病だと説明されています。唾液が減って口の中の自浄作用が落ちると、この舌苔がたまりやすくなり、歯周病も進みやすくなります。

ドライマウス(口腔乾燥症)とは

ドライマウスは医学的には「口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)」と呼ばれ、唾液が減ったり、口の中がうるおいを保てなくなって乾く状態を指します。公益財団法人 長寿科学振興財団の資料では、ドライマウスは大きく3つのタイプに分けられると説明されています。

  • 唾液そのものが減っているタイプ:加齢や薬の副作用、病気などで唾液腺の働きが落ちている状態。
  • 唾液は出ているのに口が乾くタイプ:口を開けたまま過ごす(開口)・口呼吸などで、口の中の水分が蒸発してしまう状態。寝たきりに近い方や口を閉じる力が弱った方に多くみられます。
  • 検査では正常だが乾く感じがするタイプ:ストレスや精神的な要因が関係していることがあります。

高齢者では、これらが重なって起こることも珍しくありません。原因のタイプによって対処の仕方が少しずつ変わるため、後ほど「家庭でできるケア」と「受診の目安」で具体的に見ていきます。

高齢者の口臭・口の乾きの主な原因

高齢者の口臭と口の乾きには、いくつもの原因が重なっていることがほとんどです。家庭で対処できるものと、医療機関での対応が必要なものを見分けるためにも、まずは代表的な原因を知っておきましょう。

1. 加齢による唾液腺の働きの低下

年齢を重ねると、唾液をつくる「唾液腺」の働きが少しずつ衰えます。また、噛む筋肉や舌の力が弱まると唾液腺への刺激が減り、唾液の分泌がさらに低下します。やわらかい食事ばかりでよく噛まなくなることも、唾液が出にくくなる一因です。

2. 薬の副作用(高齢者でとくに多い原因)

長寿科学振興財団の資料でも、薬剤の副作用はドライマウスの大きな原因として挙げられています。高血圧・心臓病・うつ・アレルギー・頻尿・不眠・パーキンソン病などで使われる薬の中には、唾液の分泌を抑える作用(抗コリン作用)を持つものが多くあります。具体的には、降圧薬、抗うつ薬・抗不安薬などの向精神薬、抗ヒスタミン薬(アレルギーや風邪の薬)、利尿薬、過活動膀胱の薬などです。

高齢者は複数の薬を同時に飲む「多剤併用」になりやすく、こうした副作用が重なって強い乾きを引き起こすことがあります。ただし、口が乾くからといって、自己判断で薬をやめたり減らしたりしてはいけません。必ず処方した医師や薬剤師に相談してください。

3. 水分不足(脱水)

高齢になると、のどの渇きを感じにくくなり、水分摂取が減りがちです。トイレが近くなるのを気にして、水分を控える方も少なくありません。体の水分が足りなくなると唾液の材料も不足し、口が乾きます。とくに夏場や発熱時、下痢・嘔吐のあとは脱水に注意が必要です。

4. 口呼吸・口を開けたまま過ごすこと

鼻づまりや、口を閉じる筋力の低下によって口を開けたまま呼吸すると、口の中の水分が蒸発して乾きます。日中ぼんやりしているときや、就寝中に口が開いている方は、口呼吸による乾燥が起きやすくなります。

5. 歯周病・むし歯・舌苔などの口の中の問題

歯周病は、歯ぐきからの出血や膿によって強い口臭の原因になります。e-ヘルスネットでも、自覚がないのに家族から口臭を指摘された場合は、歯周病が原因の可能性があり、歯科での検査・治療が必要だと案内されています。また、舌の表面にたまる白い舌苔も口臭の大きな原因です。入れ歯の汚れや、合わない入れ歯による傷も、においやトラブルのもとになります。

6. 全身の病気が関係していることも

糖尿病、腎臓病、シェーグレン症候群(唾液腺や涙腺の自己免疫の病気)などでも口が乾くことがあります。また、がんの放射線治療を受けた方は唾液腺がダメージを受けて乾きやすくなります。こうした場合は、もとの病気の治療と合わせた対応が必要です。

原因を見分けるセルフチェック(ご家族向け)

口臭や口の乾きの原因は一つとは限りませんが、ご家庭での観察である程度の見当をつけられます。下のチェックを参考に、当てはまる項目を確認してみてください。複数のタイプにまたがることもあります。

「薬の影響かも」と考えるサイン

  • 新しい薬を飲み始めた時期から、口の乾きや口臭が強くなった
  • 3種類以上の薬を毎日飲んでいる(多剤併用)
  • 血圧・うつ・アレルギー・頻尿・不眠などの薬を飲んでいる

→ 自己判断で中止せず、処方医・薬剤師に「口の乾きが気になる」と相談を。

「水分不足(脱水)かも」と考えるサイン

  • 一日の水分摂取が少ない/トイレを気にして水分を控えている
  • 暑い時期・発熱・下痢や嘔吐のあと
  • わきの下が乾いている、皮膚をつまむと戻りが遅い、尿の量が減った

→ こまめな水分補給を。ぐったりする・意識がはっきりしないときは早めに受診を。

「口呼吸・乾燥かも」と考えるサイン

  • 口を開けたままテレビを見ている、寝ているときに口が開いている
  • 朝起きたときに口の中がネバネバ・カラカラしている
  • 鼻づまりやいびきがある

→ 室内の加湿、就寝時の保湿、鼻の不調があれば耳鼻科の相談も。

「口の中の病気かも」と考えるサイン

  • 歯ぐきからの出血・腫れ、歯のぐらつきがある
  • 急に口臭が強くなった、膿のようなにおいがする
  • 入れ歯が合わず痛みや傷がある、舌が白く厚く覆われている

→ 歯科・歯周病の治療が必要なサイン。早めに歯科を受診しましょう。

判断に迷うときは、無理に原因を一つに決めず、まずはかかりつけ医や歯科に相談するのが安全です。口臭や口の乾きは病気の診断そのものではなく、あくまで「気づきのきっかけ」として活用してください。

家庭でできる口腔ケアと口の乾き対策

口臭と口の乾きは、家庭でのケアでかなりやわらげることができます。ここでは、唾液を増やす工夫、うるおいを保つ工夫、においを減らす口腔ケアの3つの柱に分けて、具体的な方法を紹介します。介護をする方が手伝う場合のポイントもあわせてお伝えします。

1. 水分をこまめにとる

まずは基本の水分補給です。一度にたくさんではなく、少量を何回にも分けてとるのが、高齢者には飲みやすく安心です。お茶やコーヒーは利尿作用で水分が出ていきやすいので、水や麦茶を中心にしましょう。むせやすい方は、とろみをつけると飲み込みやすくなります。食事のときに汁物を添えるのもよい方法です。

2. 唾液腺マッサージで唾液を出す

唾液を出す「唾液腺」を外側からやさしく刺激すると、唾液が出やすくなります。長寿科学振興財団や歯科の資料でもすすめられている方法です。食事の前に行うと、食べ物が飲み込みやすくなります。

  • 耳下腺(じかせん):耳たぶの少し前、上の奥歯のあたりに人差し指から小指の4本をあて、円を描くように10回ほど優しくマッサージ。サラサラした唾液が出やすくなります。
  • 顎下腺(がっかせん):あごの骨の内側のやわらかい部分に親指をあて、耳の下からあご先まで数か所を順に優しく押し上げます。
  • 舌下腺(ぜっかせん):あごの真下に両手の親指をそろえてあて、舌を持ち上げるように下からゆっくり押します。

強く押す必要はありません。痛みを感じない範囲で、1日数回を目安に続けましょう。

3. よく噛んで、口を動かす

よく噛むことは唾液腺へのよい刺激になります。やわらかいものばかりでなく、噛みごたえのある食材を少し取り入れたり、シュガーレスのガムを噛むのも効果的です(飲み込みや誤嚥のリスクがある方は無理をせず、歯科や医師に相談を)。「パ・タ・カ・ラ」と声に出す口の体操や、頬をふくらませる・舌を動かすといった運動も、口まわりの筋肉と唾液の働きを保つのに役立ちます。

4. 保湿ジェル・スプレーでうるおいを保つ

市販の口腔保湿ジェルやスプレー、保湿効果のある洗口液を使うと、乾きの不快感を和らげられます。とくに就寝前や、唾液が出にくい寝たきりに近い方には効果的です。乾いて口の天井や舌に固まった汚れがある場合は、保湿剤を塗ってしばらく置き、やわらかくしてからスポンジブラシで取り除くと安全です。日本歯科医師会の資料でも、唾液量が低下しているときは人工唾液の使用が役立つと案内されています。

5. ていねいな歯みがきと舌のケアでにおいを減らす

口臭の大きな原因である舌苔と歯周病に対しては、毎日の口腔ケアが基本です。歯と歯ぐきの境目をやさしく磨き、舌の表面は専用の舌ブラシで奥から手前へ軽くなでるように清掃します(強くこすると舌を傷つけるので注意)。入れ歯の方は、外して毎日洗い、夜は外して保管しましょう。

介護で口腔ケアを手伝う場合は、誤嚥に注意が必要です。日本歯科医師会の資料では、ケアは座った姿勢(難しければ半分起こした姿勢)で行い、ケアのあとは口の中に汚れが残っていないか確認することが、誤嚥性肺炎の予防に欠かせないとされています。うがいができる方は、起床時・食後・就寝前のうがいで、口の中の細菌や汚れを外に出しましょう。

6. 口呼吸・部屋の乾燥を防ぐ

日中は口を閉じて鼻で呼吸することを意識します。鼻づまりがあるなら耳鼻科で相談を。就寝時は加湿器を使ったり、ぬれたタオルを室内に干すと乾燥を防げます。マスクの着用も、口まわりのうるおいを保つのに役立ちます。

放っておくと何が起こる?公的データでみる口の乾きのリスク

口臭や口の乾きは「不快なだけ」と思われがちですが、唾液が減った状態を長く放置すると、口だけでなく全身の健康にも影響することが、公的機関の資料で示されています。ここでは、ご家族が「早めに気づいて対処する意味」を理解できるよう、信頼できるデータを整理します。

かぜ・インフルエンザにかかりやすくなる

長寿科学振興財団の資料では、唾液の分泌量が少ない人は、ほかの要因を調整しても、かぜ症候群とインフルエンザを合わせた罹患率が約2倍高いという報告が紹介されています。唾液の抗菌作用が落ちることで、感染への備えも弱まると考えられます。乾きを放置することは、感染症リスクの面でも見過ごせないのです。

むし歯・歯周病・誤嚥性肺炎につながる

唾液が減ると、自浄作用・抗菌作用・再石灰化といった働きが低下し、むし歯や歯周病が進みやすくなります。さらに、飲み込みにくさ(嚥下障害)の入り口にもなり、口の中の細菌が気道に入ることで起こる誤嚥性肺炎のリスクも高まります。口臭・口の乾きは、こうした連鎖の「最初のサイン」ととらえることができます。

当サイトの考え方:「におい」と「乾き」を介護の観察ポイントに

ここまでの公的データをふまえ、当サイトでは、ご家族が日常的に気づける「口臭(におい)」と「口の乾き」を、健康状態を知る大切な観察ポイントとして位置づけることをおすすめします。本人は自覚しにくく、医療者が毎日チェックできるわけでもない一方で、一緒に暮らす家族や介護者は、食事や会話のたびに変化に気づける立場にあります。

とくに注目したいのは、口臭・口の乾きが「水分不足」「薬の副作用」「口の中の病気」という、対応の入り口がはっきり異なる3つの背景を映しやすい点です。たとえば、急にぐったりして口も乾いているなら脱水を、薬を増やした時期から乾きが強まったなら副作用を、出血や膿のにおいを伴うなら歯周病を、それぞれ疑うきっかけになります。におい・乾きという身近な変化を「どの相談先につなぐか」の入り口として使うことで、重い状態になる前に手を打ちやすくなります。これは、特別な検査をしなくても家庭で始められる、現実的な見守りの工夫です。

歯科・かかりつけ医に相談する受診の目安

家庭でのケアを続けても改善しないときや、次のようなサインがあるときは、医療機関への相談をおすすめします。口臭や口の乾きは、それ自体が病気の診断ではありません。ここでの目安は「専門家に相談するきっかけ」として活用し、診断は必ず医師・歯科医師に委ねてください。

できるだけ早く相談したいサイン

  • 歯ぐきから出血する、腫れている、歯がぐらつく
  • 急に口臭が強くなった、膿のようなにおいがする
  • 口の中や舌に2週間以上治らない口内炎・痛み・できものがある
  • 入れ歯が合わず、傷や痛みがある
  • 食べ物が飲み込みにくい、よくむせる

→ まずは歯科へ。歯周病・むし歯・舌・入れ歯のトラブルは歯科の専門領域です。通院が難しい場合は、自宅に来てもらえる「訪問歯科診療」も利用できます。

薬や全身の状態が気になるとき

  • 薬を始めた・増やした時期から口の乾きが強くなった
  • 多くの薬を飲んでいて、乾きがつらい
  • 糖尿病・腎臓病など、持病の管理中に乾きが続く

かかりつけ医・薬剤師へ。薬の調整が必要な場合があります。くり返しになりますが、自己判断で薬を中止しないでください。

ぐったりしているなど、急ぎのとき

  • 口の乾きに加えて、ぐったりする、意識がはっきりしない、尿が出ない
  • 高熱・激しい下痢や嘔吐のあとで水分がとれない

→ 脱水が疑われます。早めにかかりつけ医を受診し、状態によっては救急の相談も検討してください。

相談先の使い分け

  • 歯科・歯科衛生士:口臭・舌苔・歯周病・入れ歯・口腔ケアの指導。専門的なクリーニングや乾燥への保湿指導も。
  • かかりつけ医(内科など):薬の影響、脱水、糖尿病などの全身の病気。
  • 訪問歯科・訪問の歯科衛生士:通院が難しい在宅の方の口腔ケア・治療。ケアマネジャーに相談すると紹介を受けられます。
  • 耳鼻科:鼻づまりによる口呼吸が原因のとき。

毎日の生活に取り入れたいちょっとした工夫

大がかりなことをしなくても、日々のくらしの中の小さな工夫で、口臭と口の乾きはやわらげられます。介護をする方が無理なく続けられるものを選びました。

  • 食前の唾液腺マッサージを習慣に:食事の前に30秒ほど行うだけで、食べ物が飲み込みやすくなり、食事の楽しみも保てます。
  • 「ながら水分補給」:テレビを見るとき、薬を飲むとき、口腔ケアの前後など、生活の節目ごとにひと口ずつ。声かけの回数を決めておくと忘れにくくなります。
  • 枕元に保湿スプレーを:夜間や起床時の乾きには、手の届くところに保湿スプレーやコップの水を置いておくと安心です。
  • 食事に汁物と噛みごたえを:汁物でうるおいを、噛みごたえのある食材で唾液の刺激を。やわらかさは飲み込みの様子に合わせて調整しましょう。
  • 口臭は責めずに観察を:本人を責めると口腔ケアを嫌がる原因になります。「すっきりすると気持ちいいね」と前向きな声かけを心がけ、変化はそっと記録しておきましょう。
  • 定期的に歯科でチェック:症状がなくても、定期的な歯科健診とクリーニングが、口臭・歯周病・乾燥の悪化を防ぎます。e-ヘルスネットでも定期的な歯科受診がすすめられています。

よくある質問

Q. 高齢者の口臭は、年だから仕方ないものですか?

A. 加齢で唾液が減りやすいのは事実ですが、「年だから」とあきらめる必要はありません。口臭の多くは舌苔や歯周病、口の乾きが原因で、毎日の口腔ケアや水分補給、唾液腺マッサージ、歯科でのケアで改善が見込めます。急に強くなった口臭は病気のサインのこともあるので、放置せず相談しましょう。

Q. 口が乾くのは飲んでいる薬のせいかもしれません。やめてもよいですか?

A. 自己判断で薬をやめたり減らしたりするのは危険です。降圧薬や向精神薬などには唾液を減らす副作用があるものがありますが、もとの病気の治療に必要な薬です。「口の乾きがつらい」と処方した医師や薬剤師に伝えれば、薬の種類や量を調整できる場合があります。まずは相談を。

Q. 本人が口腔ケアを嫌がります。どうすればよいですか?

A. 無理強いは逆効果です。まずは保湿スプレーやうがいなど負担の少ないことから始め、声かけを工夫しましょう。痛みや入れ歯の不具合が嫌がる原因のこともあります。なかなか進まないときは、歯科衛生士による専門的な口腔ケアや、訪問歯科の利用を検討してください。介護保険を使ったケアの相談はケアマネジャーへ。

Q. 口臭・口の乾きは何科に相談すればよいですか?

A. 口臭・舌苔・歯周病・入れ歯・口腔ケアは歯科が専門です。通院が難しければ訪問歯科も利用できます。薬の影響や脱水、糖尿病など全身の病気が疑われるときはかかりつけ医(内科など)へ。鼻づまりによる口呼吸が原因なら耳鼻科に相談しましょう。迷うときは、まずかかりつけ医か歯科に相談すれば、必要な窓口につないでもらえます。

Q. 市販の保湿ジェルやマウスウォッシュを使っても大丈夫ですか?

A. 口腔保湿ジェルやスプレーは乾きをやわらげるのに役立ちます。洗口液はアルコール無配合の低刺激タイプが乾燥した口にはおすすめです。ただし、使用しても改善しない、しみる・痛むといった場合は、歯科で相談してください。乾いて固まった汚れは、保湿剤でやわらかくしてからスポンジブラシで取り除くと安全です。

参考文献・出典

まとめ:気づいたら、ひとりで抱えず相談を

高齢者の口臭と口の乾き(ドライマウス)は、加齢・薬の副作用・水分不足・口呼吸・歯周病など、いくつもの原因が「唾液の減少」を通じてつながって起こります。本人は気づきにくいからこそ、毎日そばにいるご家族や介護者の「におい」「乾き」への気づきが、健康を守る大切な入り口になります。

家庭では、こまめな水分補給、食前の唾液腺マッサージ、ていねいな歯みがきと舌のケア、保湿ジェルの活用、室内の加湿といった工夫で、多くの場合に症状をやわらげられます。一方で、出血や強い痛み、急な口臭の悪化、飲み込みにくさ、薬を変えてからの強い乾き、ぐったりするほどの脱水のサインがあるときは、無理に家庭だけで対応しようとせず、専門家の力を借りてください。

相談先は、口の中のことなら歯科や歯科衛生士、薬や全身の状態が気になるならかかりつけ医や薬剤師が頼りになります。通院が難しい在宅の方には、自宅に来てもらえる訪問歯科や訪問の歯科衛生士という選択肢もあり、ケアマネジャーに相談すれば紹介を受けられます。鼻づまりが原因なら耳鼻科も力になってくれます。どこに相談すべきか迷うときは、まずはかかりつけ医か歯科に一声かけてみてください。早めの一歩が、ご本人の食べる楽しみと笑顔を守ることにつながります。ひとりで抱え込まず、専門家と一緒にケアを続けていきましょう。

監修者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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