難聴のある親とのコミュニケーション|伝わる話し方・補聴器・受診の目安
ご家族・ご利用者向け

難聴のある親とのコミュニケーション|伝わる話し方・補聴器・受診の目安

耳が遠くなった親と毎日うまく会話したいご家族へ。加齢性難聴の特徴、伝わる話し方の工夫、NG声かけの言い換え、補聴器の基礎、受診の目安と相談先(耳鼻科・補聴器相談医・地域包括)を公的データでわかりやすく解説します。

ポイント

この記事のポイント

難聴のある親と伝わる会話をするコツは、「正面から・顔を見せて・ゆっくり・はっきり・少し低めの声」で話すことです。大声は逆効果になりやすく、聞き返しを責めないことも大切です。聞き間違いや聞き返しが増えたら、早めに耳鼻咽喉科(できれば補聴器相談医)を受診しましょう。加齢性難聴を放置すると、会話が減って認知症のリスクにもつながると国の研究で指摘されています。まずは身近な地域包括支援センターや耳鼻科に相談するのが第一歩です。

目次

「テレビの音量がどんどん大きくなった」「呼びかけても気づかない」「何度も聞き返される」。年齢を重ねた親との会話で、こうした変化に戸惑っているご家族は少なくありません。つい大きな声を出してしまい、お互いにイライラして気まずくなる。そんな経験はないでしょうか。

加齢にともなう聞こえにくさ(加齢性難聴)は、多くの高齢者に起こる自然な変化です。けれども、ちょっとした話し方の工夫で会話はぐっと伝わりやすくなります。さらに、聞こえを支えることは、親が人とのつながりを保ち、心身の元気を維持することにもつながります。

この記事では、難聴のある親と毎日を心地よく過ごしたいご家族に向けて、加齢性難聴の特徴、今日から使える話し方の工夫、避けたい声かけの言い換え、補聴器の基礎知識、そして受診の目安と相談先を、公的機関のデータをもとにわかりやすくまとめました。

加齢性難聴とは|高い音から聞こえにくくなる

加齢性難聴(老人性難聴)とは、年齢を重ねることで内耳の有毛細胞などの機能が少しずつ低下し、音や言葉が聞き取りにくくなる状態です。誰にでも起こりうる自然な変化で、左右の耳に同じように、ゆっくり進むのが特徴です。

高い音と「言葉の聞き分け」が苦手になる

加齢性難聴では、まず高い音(高音域)から聞こえにくくなります。電子音や女性・子どもの高い声、「カ行・サ行・タ行・ハ行」などの子音が聞き取りにくくなり、「音は聞こえるのに、何を言っているかわからない」という状態になりやすいのが特徴です。たとえば「しちじ(7時)」と「いちじ(1時)」を取り違える、といった聞き間違いが起こります。

本人は気づきにくい

少しずつ進行するため、本人は聞こえにくさを自覚しにくく、「みんなが小声で話している」「最近の人は滑舌が悪い」と感じていることもあります。だからこそ、毎日接するご家族が変化に気づき、さりげなく支えることが大切になります。

どれくらいの人に起こるのか

国立長寿医療研究センターによると、加齢性難聴は年齢とともに増え、70歳代前半では男性の約5割・女性の約4割、70歳代後半では男女とも約7割、80歳代では男性の約8割・女性の約7割に軽度以上の難聴がみられるとされています。「年のせい」とあきらめず、聞こえを支える視点を持つことが、その後の生活の質を大きく左右します。

伝わる話し方の基本|正面・ゆっくり・少し低めの声

難聴のある親との会話で何より効果的なのは、声を大きくすることではなく「話し方」を変えることです。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、基本は「ゆっくり、はっきり話すこと」だと示しています。次の7つを意識するだけで、伝わりやすさが大きく変わります。

1. 正面から、顔を見せて話す

横や後ろから話しかけても気づきにくく、聞き取りにくくなります。相手の正面に回り、顔(特に口元)が見える位置で話しましょう。口の動きや表情も、言葉を理解する大切な手がかりになります。

2. 注意を向けてから話し始める

いきなり話し出すと最初のひと言を聞き逃します。名前を呼ぶ、軽く肩に触れる、視線を合わせるなどして、「これから話すよ」という合図を送ってから本題に入りましょう。

3. ゆっくり、はっきり、区切って

早口は聞き取れません。一音ずつ不自然に区切るのではなく、「言葉のまとまり」でゆっくり区切るのがコツです。「あした、びょういんに、いきましょう」のように、文節ごとに少し間を置きます。

4. 少し低めの声で

加齢性難聴では高い音が聞こえにくいため、かん高い大声よりも、少し低めの落ち着いた声のほうが届きやすくなります。声を張り上げるより、トーンを下げる意識を持ちましょう。

5. 子音をはっきり発音する

「カ・サ・タ・ハ」行は聞き取りにくいので、言葉の出だしを特にはっきり発音します。「七時しちじ」なら「ななじ」と言い換えるなど、紛らわしい言葉は別の言い方にするのも有効です。

6. 言い換えて伝える

同じ言葉を大声で繰り返しても伝わらないときは、別の言葉に言い換えます。「処方箋(しょほうせん)」が伝わらなければ「お薬の紙」と言うように、わかりやすい表現に変えてみましょう。

7. 大事なことは目でも伝える

日時や金額、薬の名前など大切な情報は、紙に大きく書く、カレンダーを指さす、スマホの画面を見せるなど、視覚情報を添えると確実です。聴覚と視覚の両方から伝えることで、誤解や行き違いを防げます。

聞き取りやすい環境を整える|騒音・距離・明るさ

話し方と同じくらい大切なのが「会話する環境」です。同じ声でも、まわりの音や距離によって聞き取りやすさは大きく変わります。次のポイントを整えてみましょう。

  • テレビや音楽を消す・小さくする:難聴があると、まわりの雑音の中から会話だけを聞き分けるのが特に苦手になります。大事な話をするときは、まずテレビやラジオを消しましょう。
  • 距離は1〜2メートルに:離れすぎると声が届かず、近すぎても口元が見えません。1〜2メートルほどの、顔がよく見える距離が目安です。
  • 明るい場所で、顔が見えるように:口の動きや表情が見えると理解が進みます。逆光で顔が暗くならないよう、明るい場所で向かい合いましょう。
  • 静かな個室を選ぶ:レストランや病院の待合など、ざわついた場所では聞き取りが難しくなります。大事な相談は静かな環境で行いましょう。
  • 一人ずつ、順番に話す:家族が複数で同時に話すと、誰の声も聞き取れなくなります。話す人を一人にしぼると伝わりやすくなります。
  • 反響しやすい部屋に注意する:床や壁が固い部屋は音が響き、かえって聞き取りにくくなることがあります。カーテンやラグなど布のあるやわらかい空間のほうが、声がはっきり届きやすくなります。

やりがちなNG声かけと、伝わる言い換え

よかれと思った声かけが、かえって親を傷つけたり、会話を遠ざけたりすることがあります。日々の場面でやりがちな対応を、伝わる言い方に置き換えてみましょう。

やりがちなNG対応伝わる言い換え・対応
耳元で「もう一回!」と大声で繰り返す正面に回り、別の言葉に言い換えてゆっくり伝える
「何回も言わせないで」と責める「私の声、聞こえにくかったね。もう一度言うね」と受けとめる
聞こえないのを察して会話から外す大事な話は紙に書いて見せ、必ず本人にも伝える
後ろやキッチンから話しかける近くまで行き、顔を見せてから話し始める
早口で一気に用件を伝える一文ずつ、文節で区切ってゆっくり伝える
「補聴器つけなよ」と何度もせかす「一度、耳の検査だけでも受けてみない?」と提案する

ポイントは、聞き返しを「困らせる行為」ととらえないことです。聞き返しは、会話に参加しようとしている前向きなサインです。間違いが続いたときも、責めるより、うまく伝わったときに「今ので伝わったね」と返すほうが、本人の自信と会話の意欲につながります。

難聴と認知症の関係|聞こえを支えることの意味

聞こえにくさを「年のせいだから」と放置しないほうがよい理由のひとつが、難聴と認知症の関係です。

難聴は認知症の「最大級の危険因子」

2017年に医学雑誌ランセットが発表し、厚生労働省の資料でも紹介されている分析では、認知症の発症に関わる予防可能な危険因子のうち、中年期の「難聴」の寄与がもっとも大きい(9つの因子の合計35%のうち、難聴が約9%を占める)と報告されています。つまり、聞こえへの対応は認知症予防の観点からも重要だと、国際的に注目されているのです。

日本の研究でも関連が確認されている

国立長寿医療研究センターの地域在住高齢者を対象とした研究では、難聴がある人は認知機能の低下を合併している割合が約1.6倍高いことが示されました。聞こえにくいと会話や外出が減り、脳への刺激や人とのつながりが少なくなることが、背景にあると考えられています。

聞こえを支えることは、その人らしさを支えること

難聴があると、家族との会話、近所づきあい、買い物や受診など、生活のあらゆる場面が縮こまっていきます。逆にいえば、聞こえを補い会話を保つことは、親が社会とのつながりを保ち、いきいきと暮らし続けるための土台になります。話し方の工夫も、適切な受診も、すべて「親らしい毎日」を守るための行動なのです。

【独自分析】「聞こえているふり」のまま放置されがちな現実と、家族の役割

聞こえにくさは本人が言い出しにくく、家族も「年だから」と見過ごしやすいテーマです。公的なデータを重ね合わせると、その「放置されやすさ」が浮かび上がります。

中等度難聴の約7割が、受診を希望していない

東京都健康長寿医療センター研究所が2022年に75歳以上の高齢者385名を対象に行った調査では、37.4%(144名)に中等度以上の難聴が認められた一方、聞こえの不調について受診を希望している、または受診歴がある人は29.9%にとどまりました。つまり、中等度以上の難聴がある人の約7割は、自分から受診しようとしていない計算になります。

補聴器を使っている高齢者は1割未満

国立長寿医療研究センターの研究でも、眼鏡を使う高齢者が8割以上いるのに対し、補聴器を使う高齢者は1割未満と報告されています。日本は海外と比べて補聴器の使用率が低い傾向にあることも指摘されています。「見えにくければ眼鏡」は当たり前なのに、「聞こえにくければ補聴器」はまだ浸透していないのが実情です。

このギャップを埋められるのは、身近な家族

これらのデータが示すのは、「本人任せにすると、聞こえにくさは何年も放置されやすい」という事実です。会話の聞き返しや、テレビ音量の変化に最初に気づけるのは、毎日接している家族にほかなりません。本人が自覚しにくく、自分から動きにくいからこそ、家族が「一度、耳の検査を受けてみよう」と背中を押す役割が大きいのです。受診や補聴器を無理強いするのではなく、「困っていることを一緒に解決する」という姿勢で寄り添うことが、放置の連鎖を断ち切る鍵になります。

補聴器の基礎知識|集音器との違いと、すぐ慣れない理由

聞こえを補う道具として身近なのが補聴器です。種類選びや価格、補助制度の詳しい話は別の記事にゆずり、ここではご家族が知っておきたい「基礎の基礎」を押さえます。

補聴器と集音器は別物

通販などで安く売られている「集音器」は、まわりの音をまとめて大きくする家電製品です。一方「補聴器」は、その人の聞こえに合わせて音を調整できる管理医療機器で、薬機法にもとづいて販売されます。雑音だけが大きくなって会話は聞き取りにくい、といった失敗を避けるためにも、難聴への対応としては補聴器が基本です。

「つけてもすぐには慣れない」のが普通

補聴器は眼鏡のように「かければすぐ見える」道具ではありません。脳が新しい聞こえ方に慣れるまで時間がかかります。国立長寿医療研究センターは、1日7〜10時間以上、3か月ほど装着し続けることで使いこなせるようになると説明しています。「買ったのにうるさいだけ」とすぐにやめてしまう人が多いのは、この慣らし期間と調整(フィッティング)が足りないことが大きな原因です。家族は「最初は疲れて当たり前。少しずつ慣らそう」と、根気よく支える姿勢が大切です。

補聴器を嫌がる親への向き合い方

「年寄りくさい」「まだ必要ない」と補聴器を嫌がる親は珍しくありません。正面から説得するより、「会話が楽になると、お母さんとの時間がもっと楽しくなる」と前向きな理由を伝えたり、「まずは耳の検査だけ受けてみよう」と小さな一歩から誘うほうが、本人も動きやすくなります。最終的に使うかどうかは本人の気持ちを尊重しつつ、選択肢として知ってもらうことが第一歩です。なお、補聴器の種類や価格、医療費控除・自治体の助成など、選び方の詳細は専門の解説記事もあわせてご覧ください。

受診の目安|こんなサインが出たら耳鼻科へ

「どのタイミングで病院に行けばいいの?」と迷うご家族のために、受診を考える目安をまとめます。次のようなサインが日常で見られたら、一度きこえの検査(聴力検査)を受けることをおすすめします。

  • テレビやラジオの音量が、以前より明らかに大きくなった
  • 後ろや別の部屋から呼びかけても気づかない
  • 会話で何度も聞き返す、聞き間違いが増えた
  • 本人の話し声が大きくなった
  • 電話の声が聞き取りにくいと言う
  • 玄関のチャイムや電子レンジの音などに気づかない
  • 車や自転車の接近に気づかず、ひやりとした
  • 耳鳴りがすると訴える

国立長寿医療研究センターは、60歳代後半から難聴が起こりやすくなるため、聞きづらさや聞き間違いがあれば一度聴力検査を受けるよう勧めています。また、片耳または両耳が急に聞こえなくなった場合は、突発性難聴など早期治療が必要な病気の可能性があります。この場合は様子を見ずに、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

健康診断の聴力検査は「異常の有無」を簡単に調べるもので、詳しい聞こえの状態まではわかりません。気になるサインがあれば、健診とは別に耳鼻咽喉科で詳しい検査を受けるのが安心です。

どこに相談すればいい?相談先の使い分け

聞こえのことを相談できる窓口はいくつかあり、役割が異なります。「まずどこに行けばいいか」を整理しておきましょう。

1. まずは耳鼻咽喉科(補聴器相談医がいると安心)

聞こえにくさを感じたら、最初の相談先は耳鼻咽喉科です。聴力検査で難聴のタイプや程度を調べ、治療できる病気が隠れていないかを確認します。なかでも、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定する「補聴器相談医」は、補聴器が必要かどうかや、補聴器でどの程度効果が見込めるかまで相談できる専門医です。補聴器相談医は、同学会のホームページで都道府県別に探せます。なお、受診したからといって必ず補聴器を買う必要はありません。

2. 補聴器を買うなら、認定補聴器技能者がいる店へ

補聴器が必要となったら、購入や調整は「認定補聴器技能者」がいる認定補聴器専門店が安心です。認定補聴器技能者は、テクノエイド協会の養成課程を修了した専門家で、一人ひとりの聞こえに合わせた調整(フィッティング)を行ってくれます。補聴器相談医が発行する診療情報提供書があると、医療費控除の対象にできる場合もあります。

3. 介護や生活全般の不安は地域包括支援センターへ

「受診に付き添えない」「ほかにも生活で気になることがある」といった場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターが頼りになります。高齢者の暮らしを総合的に支える公的な相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどが無料で相談に乗ってくれます。聞こえの相談に言語聴覚士が関わり、耳鼻科や補聴器専門店との橋渡しをしている地域もあります。担当地区はお住まいの市区町村に問い合わせれば教えてもらえます。

毎日のちょっとした工夫

大事な話は「朝・静かな時間」に

疲れていると聞き取りも理解も落ちます。受診の予定や薬の相談など大事な話は、本人が元気で周囲が静かな朝の時間帯に伝えると、行き違いが減ります。

家族でルールを共有する

「呼ぶときは前に回る」「テレビを消してから話す」といった工夫を家族全員で共有しておくと、特定の人だけが頑張る状態を防げます。孫世代にも「おばあちゃんには顔を見せて話そうね」と伝えておきましょう。

聞き取れたら言葉にして返す

うまく伝わったときに「今ので伝わったね」「ちゃんと聞こえてるね」と返すと、本人の自信になり、会話を避けなくなります。

筆談グッズを身近に置く

メモ帳とペン、ホワイトボードを電話やテレビの近くに置いておくと、とっさのときにすぐ書いて伝えられます。スマホの文字入力や、話した言葉をその場で文字にする音声認識アプリも便利です。

電話より対面・ビデオ通話を

電話は相手の口元や表情が見えないぶん、難聴のある人には特に聞き取りにくい手段です。可能なら直接会って話すか、顔が見えるビデオ通話を使うと、ぐっと伝わりやすくなります。離れて暮らす家族との連絡では、文字でやりとりできるメッセージアプリも心強い味方です。

よくある質問(FAQ)

Q. 大きな声で話せば聞こえますか?

A. 大きすぎる声はかえって聞き取りにくくなり、音が割れて不快に感じることもあります。声を張り上げるより、正面から、ゆっくり、はっきり、少し低めの声で話すほうが効果的です。

Q. 補聴器をつければすぐ聞こえるようになりますか?

A. すぐには慣れません。脳が新しい聞こえに慣れるまで時間がかかり、1日7〜10時間以上を3か月ほど続けて、ようやく使いこなせるようになるとされています。最初は静かな家の中から少しずつ慣らしていくとよいでしょう。

Q. 親が受診も補聴器も嫌がります。どうすれば?

A. 無理強いは逆効果です。「補聴器をつけて」ではなく「耳の検査だけ受けてみない?」と小さな一歩から誘い、「会話が楽になると、一緒に過ごす時間がもっと楽しくなる」と前向きな理由を伝えましょう。受診しても必ず補聴器を買う必要はないことも伝えると、ハードルが下がります。

Q. 受診は何科に行けばいいですか?

A. 耳鼻咽喉科です。補聴器を視野に入れるなら、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定する「補聴器相談医」のいる医療機関だと、より専門的に相談できます。

Q. 集音器ではだめですか?

A. 集音器は音をまとめて大きくする家電で、その人の聞こえに合わせた調整はできません。難聴への対応としては、聞こえに合わせて調整できる管理医療機器である補聴器が基本です。まずは耳鼻科で相談しましょう。

Q. 介護のことも含めて相談したいときは?

A. お住まいの地域包括支援センターに相談してください。聞こえのことだけでなく、高齢の親の暮らし全般について無料で相談でき、必要な窓口につないでくれます。

参考文献・出典

まとめ|聞こえを支え、困ったら専門家に相談を

難聴のある親との会話は、ちょっとした工夫で大きく変わります。大声を出すのではなく、正面から・顔を見せて・ゆっくり・はっきり・少し低めの声で、そして大事なことは目でも伝える。聞き返しを責めず、うまく伝わったときに言葉を返す。こうした日々の積み重ねが、親の「会話したい気持ち」を守ります。

同時に、聞こえにくさのサインに気づいたら、家族が早めの受診を後押しすることも大切です。中等度以上の難聴があっても約7割は自分から受診しないという調査もあり、本人任せでは聞こえにくさが何年も放置されがちです。聞こえを支えることは、親が人とつながり、いきいきと暮らし続けるための土台であり、認知症予防の観点からも重要だと国の研究でも指摘されています。

困ったときの相談先

  • 耳鼻咽喉科(補聴器相談医):聞こえにくさを感じたら最初の相談先。聴力検査で難聴の程度や原因を調べます。補聴器相談医は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のホームページで都道府県別に探せます。
  • 認定補聴器技能者のいる認定補聴器専門店:補聴器が必要になったときの購入・調整の相談先。一人ひとりの聞こえに合わせて調整してくれます。
  • 地域包括支援センター:聞こえのことを含め、高齢の親の暮らし全般を無料で相談できる公的窓口。担当地区はお住まいの市区町村に問い合わせれば教えてもらえます。

一人で抱え込まず、まずは身近な耳鼻科や地域包括支援センターに相談することから始めてみてください。専門家とつながることが、親にとっても家族にとっても、安心して過ごせる毎日への近道です。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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