難聴のある高齢者とのコミュニケーション|介護職の話し方・補聴器支援・環境整備
介護職向け

難聴のある高齢者とのコミュニケーション|介護職の話し方・補聴器支援・環境整備

加齢性難聴は高音域と語音明瞭度が低下し聞き取りにくくなる。介護職向けに、正面からゆっくり低めの声で話すコツ、筆談・視覚情報の使い方、補聴器の装着・電池・管理支援、認知症との関わり、環境整備までを公的データをもとに解説します。

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難聴のある高齢者とのコミュニケーションでは、正面に回り込み、相手の注意を引いてから、低めの声でゆっくり・はっきり、言葉のまとまりで区切って話すのが基本です。加齢性難聴は高音域と「言葉の聞き分け(語音明瞭度)」が低下するため、大声よりも「明瞭さ」と「視覚情報(口の動き・身ぶり・筆談)」が効きます。介護職の役割は、診断や補聴器の調整ではなく、補聴器の装着・電池・管理の支援、静かな環境づくり、そして難聴による孤立や認知機能低下を防ぐ日々の関わりにあります。

目次

「何度言っても伝わらない」「大きな声で話しているのに聞き返される」——難聴のある高齢者とのコミュニケーションに難しさを感じる介護職は少なくありません。実は、加齢性難聴は単に「音が小さく聞こえる」のではなく、高い音から聞こえにくくなり、言葉そのものの聞き分けが難しくなるという特徴があります。この仕組みを知らないまま声を張り上げても、かえって聞き取りづらくしてしまうことがあります。

国立長寿医療研究センターの調査では、65歳以上の高齢者のうち難聴を抱える人は1,500万人以上と推計されています。介護の現場で出会う利用者の多くが、程度の差こそあれ「聞こえにくさ」を抱えていると考えてよいでしょう。一方で、難聴は放置すると社会的孤立やうつ、認知機能の低下につながることが国際的な研究で指摘されており、適切なコミュニケーションと支援は利用者のQOLを大きく左右します。

本記事では、加齢性難聴の特徴から、現場ですぐ使える話し方の工夫、補聴器の装着・管理の支援、認知症のある方への関わり、環境整備までを、公的データと専門学会の知見をもとに介護職の視点で整理します。診断や補聴器の適合は耳鼻咽喉科医・認定補聴器技能者の領域ですが、日々の関わりで「伝わる」を増やせるのは現場の介護職です。

加齢性難聴とは|高音域と語音明瞭度が落ちる仕組み

加齢性難聴とは、加齢にともなって耳の奥(内耳)にある「有毛細胞」が減り、音を感じ取って脳へ伝える機能が少しずつ低下していく難聴です。加齢性難聴の多くは、内耳から聴神経・脳にかけての障害による「感音難聴」に分類され、耳あかや中耳炎などで起こり処置や手術で改善が見込める「伝音難聴」とは性質が異なります。感音難聴は基本的に元には戻らないため、「治す」よりも「補う・支える」関わりが中心になります。

特徴1:高い音から聞こえにくくなる

加齢性難聴は、まず高音域から聞こえにくくなるのが典型です。体温計の「ピッ」という電子音、電話の呼び出し音、女性や子どもの高い声などが聞き取りづらくなります。一方で低い音は比較的保たれるため、「呼んでも気づかないのに、低い声の世間話は聞こえている」といったことが起こります。これは「わざと無視している」のではなく、聞こえる音域が偏っているために生じる現象です。

特徴2:言葉の「聞き分け」が難しくなる(語音明瞭度の低下)

加齢性難聴のもう一つの大きな特徴が、音は聞こえても言葉として聞き分けにくくなる「語音明瞭度の低下」です。とくに「カ行・サ行・タ行・パ行」などの子音は高い周波数成分を多く含むため、判別しづらくなります。「しちじ(7時)」と「いちじ(1時)」、「さとうさん」と「かとうさん」を取り違えるのはこのためです。「音は聞こえるのに何を言っているか分からない」「早口だと内容が追えない」という訴えの背景には、この語音明瞭度の低下があります。

特徴3:小さい音は聞こえず、大きい音はうるさく響く

感音難聴では、聞こえ始める音の大きさ(最小可聴値)が上がる一方で、少し音量を上げるとすぐに「うるさい」と感じる「リクルートメント現象(補充現象)」が起こりやすくなります。聞こえる音量の幅が狭くなるため、ただ大声を出せばよいわけではなく、適度な音量で明瞭に話すことが重要になります。

気づかれにくいことが最大の落とし穴

加齢性難聴は数年〜十数年かけてゆっくり進むため、本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。「聞き返しが増えた」「テレビの音量が大きくなった」「会話で笑ってごまかすことが増えた」といったサインに介護職が気づき、必要に応じて耳鼻咽喉科の受診につなげる視点が大切です。

伝わる話し方の基本|正面・ゆっくり・低めの声

難聴のある高齢者に「伝える」ためのコツは、声を大きくすることではなく、相手が受け取りやすい形に情報を整えることです。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会や厚生労働省も推奨する、現場ですぐ実践できる基本を整理します。

1. まず注意を向けてもらう

難聴があると音の方向が分かりにくいため、背後や離れた場所から声をかけても気づかれません。相手の視界に入り、軽く肩に触れる・名前を呼ぶ・視線を合わせるなどして、「これから話しますよ」という合図を送ってから話し始めます。会話の準備が整う前に本題に入らないことがポイントです。

2. 正面・同じ目線の高さで、顔を見せて話す

難聴のある方は、無意識に口の動きや表情を読んで言葉を補っています。正面から顔を見せ、車いすや臥床中の方にはしゃがんで目線の高さを合わせて話しましょう。明るい場所を選び、口元が陰にならないようにします。横や後ろから話す、手で口を覆う、下を向いて記録しながら話す、といった姿勢は避けます。

3. 低めの声で、ゆっくり・はっきり

高音域が聞こえにくいため、少し低めのトーンのほうが届きやすくなります。早口を避け、ゆっくり・はっきりと発音します。とくに「カ行・サ行・タ行」で始まる言葉は語頭をはっきり立てると伝わりやすくなります。

4. 一音ずつではなく「言葉のまとまり」で区切る

「お・は・よ・う」と一音ずつ切るとかえって不自然で聞き取りにくくなります。「今日の/体調は/いかがですか?」のように、意味のまとまりごとに短く区切るのが効果的です。

5. 大声・耳元での叫びは逆効果

前述のリクルートメント現象により、大きすぎる声は「うるさい・響く」と感じられ、かえって聞き取りを妨げます。耳元で叫ぶのではなく、適度な音量で明瞭に話すことを優先します。とくに補聴器を装着している方には、必要以上に大きな声は禁物です。

6. 伝わらないときは「言い換える」

同じ言葉を何度も繰り返しても伝わらないときは、別の表現に言い換えます。「服薬」→「お薬を飲む時間です」のように、聞き間違えやすい言葉を平易で具体的な表現に置き換えると伝わりやすくなります。聞き返されたことを責めるような態度は、本人の自尊心を傷つけ会話意欲を下げるため避けます。

言葉以外で伝える|筆談・身ぶり・視覚情報の使い方

聴覚からの情報が届きにくいぶん、視覚や触覚など他の感覚を組み合わせる「マルチモーダル(複数の手段の併用)」が大きな助けになります。話し方の工夫と組み合わせて使いましょう。

筆談・メモ

大切な内容(日時の約束、服薬、検査の説明など)は、紙に大きく書いて視覚情報と一緒に伝える習慣を持つと聞き間違いを防げます。漢字を交えた短い単語や数字は、耳で聞くより目で見たほうが正確に伝わります。筆記具とメモ帳をエプロンのポケットに常備しておくとよいでしょう。

身ぶり・手ぶり・指さし

「お風呂」なら洗う動作、「食事」なら食べる動作、時間ならカレンダーや時計を指さすなど、ジェスチャーを添えると言葉を補えます。実物や写真を示すのも有効です。

表情で感情を伝える

難聴のある方は声のトーンから感情を読み取りにくいため、笑顔やうなずきといった表情で「歓迎している」「あなたの話を聞いている」という気持ちを示すことが安心感につながります。

コミュニケーションボード・支援ツール

イラストや文字を指さして意思を伝える「コミュニケーションボード」、タブレットの文字起こしアプリ、手書きボードなども選択肢になります。施設にあるツールを把握し、その方に合うものを試してみましょう。

マスク着用時の配慮

マスクは口元を隠し、声をこもらせ、音量を下げてしまうため、難聴のある方には大きな障壁になります。感染対策上可能な場面では、一時的にマスクを外す・口元の見える透明マスクを使う・距離を取りつつ正面で話すなどの工夫を検討します。

補聴器の扱いと装着支援|介護職ができること・できないこと

補聴器は、聞こえを補うための医療機器です。機種選びや調整(フィッティング)は耳鼻咽喉科医や認定補聴器技能者の領域であり、介護職が勝手に音量を変えたり他人の補聴器を流用したりしてはいけません。一方で、補聴器を「正しく・毎日・安全に」使い続けるための日常支援は、まさに介護職の役割です。テクノエイド協会の福祉用具シリーズでは、施設・介護職に求められる補聴器サポートとして次の項目が挙げられています。

1. 日々の装着サポート

自分で着脱できない方には、左右を確認して正しく装着します。本人は装着状態が見えないため、耳にきちんと収まっているか、ハウリング(ピーピー音)が出ていないかを介護職が確認します。耳かけ型・耳あな型・ポケット型など形状によって着け方が異なるため、その方の機種に慣れておきましょう。

2. 動作と聞こえのチェック

電源が入っているか、音が出ているか、いつもどおり聞こえているかを確認します。「今日は聞こえが悪い」というときは、電池切れ・耳あかや汚れによる音口のつまり・故障などが原因のことがあります。

3. 電池の交換・管理

補聴器の電池は小さく、交換頻度も比較的高めです。手先が不自由な方には交換を手伝い、残量切れに気づけるよう日々チェックします。電池はとても小さく誤飲の危険があるため、保管・管理を徹底します。

4. 清掃・保管

汗や耳あかで汚れるため、専用ブラシなどで手入れをします。補聴器は本人の個人所有物で高額(片耳数万〜数十万円)なため、夜間の保管場所を決め、紛失を防ぐ配慮が必要です。乾燥ケースでの保管も湿気対策に有効です。

5. 危険の回避(とくに認知症のある方)

認知症のある利用者では、補聴器を異物と認識して口に入れる・飲み込んでしまう誤飲事故が想定されます。また、他人の補聴器を誤って使うと耳を傷める恐れもあります。装着状況を見守り、外したあとの置き場所まで管理することが安全につながります。

「慣れる」まで急かさない

適切に調整された補聴器でも、使い始めからすぐ快適に聞こえるわけではありません。自分の足音や食器の音まで大きく聞こえて戸惑うこともあります。数週間〜数か月かけて少しずつ慣れていくものなので、「うるさいなら外せばいい」と決めつけず、周囲も焦らせないことが装用を続けるコツです。装着を強く嫌がる場合は、無理強いせず原因(不快感・痛み・調整不良)を観察し、家族や専門職と共有します。

難聴と認知症の関係|聞こえの支援が予防につながる

近年、難聴は認知症の「最大の修正可能な危険因子」として注目されています。2017年の国際アルツハイマー病会議(AAIC)でランセット国際委員会が、予防可能な認知症リスクのうち中年期の難聴への介入で約9%が修正可能と報告し、2020年の更新では予防可能な12因子の中で難聴が最も影響の大きい因子と位置づけられました。介護現場で「聞こえ」を支えることは、認知機能の維持を支えることでもあるのです。

なぜ難聴が認知機能に影響するのか

主に次のような経路が考えられています。第一に、聞こえにくさから会話や外出が減り、社会的に孤立し、脳への刺激が減ること。第二に、聞き取りに過剰な労力がかかり、考えるための認知資源が消耗すること。第三に、コミュニケーションがうまくいかず、うつ状態や意欲低下を招くことです。「微笑みの障害」と言われるように、聞き取れないのに聞き返すのを避けて笑ってごまかすうちに、誤解され孤立していくという悪循環も指摘されています。

聞こえの支援はエビデンスのある関わり

逆に、聞こえを補うことには認知機能を守る効果が報告されています。65歳以上を対象とした研究では、補聴器を使用している難聴者は非使用者に比べて認知症の罹患率が有意に低かったと報告され、別の解析では補聴器使用が長期的な認知機能低下リスクを約19%減らしたとされています。さらに、難聴をともなう認知症の高齢者に補聴器を装用してコミュニケーションケアを行った事例研究では、3か月後に聴覚的理解や復唱の能力が大きく向上し、認知機能検査(MMSE)の得点が改善するとともに、認知症にともなう行動・心理症状(BPSD)も減少したと報告されています。残された聴力を活かす関わりは、難聴による「使わないことで機能が衰える状態」を防ぎ、ケアの一手段になり得るのです。

認知症と難聴が重なるとき

認知症と難聴が併存すると、聞こえにくさと記憶・理解の困難が重なり、意思疎通はいっそう難しくなります。「指示が通らない」とき、それが認知症によるものか難聴によるものかを切り分ける視点が大切です。聞こえの問題を見落とすと、本来は伝わるはずの情報まで届かず、認知症が実際より重く見えてしまうこともあります。短い言葉・視覚情報・落ち着いた環境という難聴対応の基本は、認知症のある方への関わりとも共通しており、両方に効きます。

聞き取りやすい環境を整える|騒音・照明・距離

どんなに話し方を工夫しても、環境がうるさければ聞き取りは難しくなります。感音難聴では、背景の雑音の中から目的の声だけを聞き分けることが特に苦手になるため、環境整備は話し方と同じくらい重要です。

背景の音を減らす

話しかける前に、テレビ・ラジオの音量を下げる、換気扇や機器の音を止めるなど、できる範囲で静かな状況をつくります。食堂やフロアなど大勢の声が飛び交う場所での大事な説明は避け、静かな個室や落ち着いたコーナーに移動するのが理想です。補聴器は周囲の雑音も拾って増幅してしまうため、騒がしい環境では装用者ほど聞き取りに苦労します。

距離を近づける

離れた場所からの声は届きにくいため、1〜2メートル程度まで近づき、相手の正面に立って話します。隣の部屋から声をかける、廊下の端から呼ぶといった伝え方は避けます。

明るさを確保する

口の動きや表情を読み取れるよう、相手の顔が見える明るさを確保します。逆光で話し手の顔が影になると視覚情報が使えなくなるため、立つ位置にも注意します。

反響・残響を抑える

固い壁や床の部屋は音が反響して聞き取りにくくなります。カーテンやカーペット、吸音性のある家具がある落ち着いた空間のほうが、言葉が明瞭に届きます。

一対一を基本に

複数人が同時に話すと、難聴のある方は誰の声を聞けばよいか分からなくなります。会議や申し送りの場でも、一人ずつ順番に・正面から話すよう配慮します。

やってはいけないNG対応

良かれと思った関わりが、かえって難聴のある高齢者を傷つけたり聞き取りを妨げたりすることがあります。次のような対応は避けましょう。

耳元で大声を出す・どなる

リクルートメント現象により大きすぎる音は「うるさい・響く」と感じられ、聞き取りを妨げます。音量より明瞭さを優先します。

「聞こえてますか!」と何度も大声で確認する

本人の自尊心を傷つけ、周囲にも聞こえにくさを知られて恥ずかしい思いをさせます。さりげなく正面に回り、表情で伝わったかを確認します。

聞き返されたことに苛立ちを見せる

ため息や面倒そうな態度は、本人が「もう聞き返すのはやめよう」と会話をあきらめる原因になり、孤立を深めます。

本人を飛ばして家族・他職員とだけ話す

「どうせ聞こえないから」と本人の頭越しに話を進めるのは尊厳を損ないます。難聴があっても、まず本人に向けて伝える姿勢を保ちます。

子ども扱い・命令口調

聞こえにくさと理解力は別物です。幼児に話すような口調や命令口調は避け、一人の大人として敬意をもって接します。

勝手に補聴器の設定を変える・他人のものを使う

補聴器は本人の聴力に合わせて調整された医療機器です。介護職が音量や設定をいじったり、他人の補聴器を使い回したりしてはいけません。気になることは耳鼻咽喉科医・認定補聴器技能者に相談します。

現場で差がつく実践のコツ

基本を押さえたうえで、現場でさらに「伝わる」を増やすための実践的なポイントをまとめます。

  • その人の「聞こえやすい耳」を把握する:左右で聞こえ方が違う方は多くいます。よく聞こえる側から話しかけると伝わりやすくなります。ケア記録に共有しておくとチーム全体で活かせます。
  • 復唱で確認する:大事な約束や説明は「○時にお迎えに来ますね」と伝えたあと、本人に内容を言ってもらうか、メモを見せて確認します。「分かりましたか?」では実際に伝わったか分かりません。
  • 聞こえのサインを申し送る:「テレビの音量が上がった」「聞き返しが増えた」「呼んでも振り向かない」などの変化は、受診や補聴器検討のきっかけになります。気づいたら記録・共有しましょう。
  • 受診の橋渡しをする:診断や補聴器の適合は医療職の役割ですが、変化に最初に気づくのは現場です。耳鼻咽喉科の受診や、自治体によっては軽度・中等度難聴への補聴器購入費の助成制度につなげる視点を持ちましょう。
  • 静かな「ゴールデンタイム」を活用する:食事や入浴の前後など、フロアが落ち着いている時間帯に大事な話をすると伝わりやすくなります。慌ただしい申し送り直後などは避けるのが無難です。

よくある質問(FAQ)

Q. 難聴の高齢者には大きな声で話せばいいですか?

いいえ。加齢性難聴では音量を上げてもすぐに「うるさい」と感じる現象(リクルートメント現象)が起こりやすく、大声はかえって聞き取りを妨げます。音量より「低めの声でゆっくり・はっきり・正面から」を意識してください。とくに補聴器を着けている方への大声は禁物です。

Q. 高い声と低い声、どちらが聞こえやすいですか?

一般に加齢性難聴は高音域から聞こえにくくなるため、低めのトーンのほうが届きやすい傾向があります。女性スタッフは少し声を落とすと伝わりやすくなることがあります。

Q. 補聴器を着けているのに聞こえていないようです。介護職がしてよいことは?

電源が入っているか、電池が切れていないか、耳あかや汚れで音口がつまっていないか、正しく装着できているかを確認します。音量や設定を勝手に変えるのは避け、改善しなければ耳鼻咽喉科医や認定補聴器技能者への相談につなげます。

Q. 補聴器を嫌がって着けてくれません。どうすれば?

無理強いはしません。痛み・不快感・調整の不一致・「まだ慣れていない」など原因はさまざまです。補聴器は数週間〜数か月かけて慣れていくものなので焦らせず、嫌がる様子や理由を観察して家族・専門職と共有します。

Q. 認知症と難聴が両方ある方への接し方は?

短い言葉・視覚情報(身ぶり・筆談・実物)・静かな環境という難聴対応の基本は、認知症のある方にも有効です。指示が通らないとき、それが難聴によるものか認知症によるものかを切り分ける視点を持ち、聞こえの問題を見落とさないようにします。

Q. 難聴を放っておくとどうなりますか?

会話や外出が減って社会的に孤立し、うつや認知機能の低下につながることが国際的な研究で示されています。難聴は認知症の最大の修正可能な危険因子とされており、早めの受診と聞こえの支援が大切です。

参考文献・出典

まとめ|聞こえを支えることは、その人らしさを支えること

難聴のある高齢者とのコミュニケーションは、「大きな声」ではなく「伝わる工夫」がカギです。加齢性難聴は高音域と語音明瞭度が落ちるため、正面に回り、注意を引いてから、低めの声でゆっくり・はっきり、言葉のまとまりで区切って話す。そして筆談や身ぶり・表情など視覚情報を添え、静かで明るい環境を整える——これだけで「伝わらない」は大きく減らせます。

補聴器の調整や難聴の診断は耳鼻咽喉科医・認定補聴器技能者の領域ですが、補聴器を毎日正しく安全に使えるよう支え、聞こえの変化に気づいて受診や助成につなぐのは、いちばん近くにいる介護職の役割です。難聴は認知症の最大の修正可能な危険因子とされ、聞こえを支える日々の関わりは、利用者の社会とのつながりと尊厳、その人らしさを支えることにほかなりません。今日のケアから、ひとつずつ実践してみてください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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