
音楽レク・歌の会の進め方|介護職向け 選曲・進行・楽器・盛り上げ方と嚥下/呼吸への効果
介護施設で介護職が行う音楽レク・歌の会の進め方を実務目線で解説。世代別の選曲、時間配分つき進行台本、声かけ、鳴子・タンバリンなど打楽器の使い方、歌うことの呼吸・嚥下・気分への良い影響、認知症の人や声が出にくい人への配慮、著作権の基本まで。音楽療法(資格・治療)とは区別した現場のレクとして整理します。
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この記事のポイント
音楽レク・歌の会は、介護職が司会・選曲・声かけを担い、利用者が懐メロや童謡を一緒に歌う集団レクです。基本の流れは「導入のあいさつと深呼吸→口・声のウォームアップ→懐メロ中心に5〜8曲→合間の声かけと回想→打楽器で1〜2曲→クールダウンと感想」で、30〜45分が目安。大きな声で歌うことは口や喉を動かし、最大発声持続時間や嚥下に関わる動きを高める可能性が公的研究で示されています。音楽「療法」(資格を持つ音楽療法士が治療目的で行う専門技法)とは区別し、本記事は介護職が日々のレクとして安全に運営するための手順をまとめます。
目次
歌の会や音楽レクは、特別な道具がなくても始められて、参加のハードルが低く、利用者の表情がいちばん変わりやすいレクのひとつです。声が出にくい人も、口を動かす・手拍子をする・聴くだけでも参加でき、認知症が進んだ人でも昔よく歌った曲には自然と口が動くことが少なくありません。
一方で、ただ曲を流して「はい歌ってください」では場が温まらず、特定の人だけが歌って終わってしまいがちです。盛り上がる歌の会には、世代に合った選曲、間(ま)を作る声かけ、参加しやすい進行の型があります。この記事では、介護職が現場で音楽レク・歌の会を運営するための具体的な手順を、選曲・進行台本・楽器の使い方・配慮・著作権・効果の順に整理します。資格や治療を前提とする「音楽療法」とは切り分け、誰でもその日から回せる形にしています。
音楽レク・歌の会と「音楽療法」はどう違うか
最初に整理しておきたいのが、現場で行う「音楽レク・歌の会」と「音楽療法」の違いです。両者は重なる部分もありますが、目的と担い手が異なります。
音楽療法は資格を持つ専門職が治療目的で行う技法
音楽療法は、音楽の効果を評価・目標設定・計画立案・効果測定という一連のプロセスで体系的に用い、心身機能の改善を図る専門技法です。日本では国家資格ではなく、日本音楽療法学会認定音楽療法士などの民間資格として位置づけられています。クライアントの状態を見立てて治療的に介入する点が特徴で、常勤雇用は少なく、非常勤やフリーランスで複数施設を回る働き方が多いとされます。
音楽レク・歌の会は介護職が楽しみ・交流のために行う日常活動
一方、本記事で扱う音楽レク・歌の会は、介護職が日々の生活の中で、楽しみ・気分転換・交流・身体や口を動かす機会として行うレクリエーションです。資格は必須ではなく、譜面が読めなくても、楽器が弾けなくても運営できます。「治療」をうたわず、参加した人が楽しかったと感じ、口や体が動き、人との会話が生まれることを目的にします。
区別を意識すると説明とリスク管理がしやすい
この区別を意識すると、家族や利用者に説明するときに「これは治療ではなく、楽しみと健康づくりのレクです」と正しく伝えられます。また、効果を過大に約束せず、無理のない範囲で安全に運営する姿勢にもつながります。専門的な評価や機能訓練が必要な場合は、言語聴覚士や音楽療法士など専門職につなぐ判断も大切です。
世代に合う選曲|懐メロ・童謡・季節の歌の選び方
歌の会の成否は選曲で大きく決まります。ポイントは「参加者の多くが10〜20代の頃に親しんだ曲」を中心にすることです。記憶に強く残るのは、思春期から青年期に繰り返し聴いた音楽だと言われ、いまの高齢者では昭和の歌謡曲・童謡・唱歌・戦後の流行歌などが該当します。
世代の目安から逆算して選ぶ
たとえば90歳前後の方なら昭和10〜20年代、80歳前後なら昭和20〜30年代、70代なら昭和30〜40年代に流行した曲が「自分の若い頃の歌」になります。参加者の年齢層を事前に把握し、その世代の青春期に重なる曲をリストの軸にしましょう。施設の利用者は出身地が地方の方も多いので、全国的に知られた曲を優先すると外しにくくなります。
定番として押さえておきたい曲調のジャンル
- 童謡・唱歌:「故郷」「赤とんぼ」「うみ」「もみじ」など。世代を超えて知られ、季節とも結びつけやすい鉄板です。多くが古くから親しまれた曲で、権利関係を気にせず使いやすいのも利点です。
- 季節の歌:春は「春が来た」「花」、夏は「われは海の子」、秋は「虫のこえ」「もみじ」、冬は「雪」「お正月」。季節感が回想のきっかけになります。
- 昭和の流行歌・歌謡曲:参加者世代のヒット曲。テレビドラマやCMで今も流れる曲は、認知症が進んだ方でも反応しやすい傾向があります。
季節・行事に合わせた選曲の例
季節や行事に曲を寄せると、その場で「今は○月ですね」という見当識のきっかけにもなります。たとえば、春の歌の会なら「春が来た」「さくらさくら」「花」、夏なら「うみ」「われは海の子」「七夕さま」、秋なら「赤とんぼ」「もみじ」「虫のこえ」、冬なら「雪」「たき火」「お正月」といった具合です。敬老の日や運動会、誕生日会など施設の行事に合わせて1曲だけテーマソングを決めておくと、会全体にまとまりが生まれます。
選曲を外さないコツ
はじめは「全員が知っている可能性が高い童謡」で場を温め、中盤で世代のヒット曲、後半に手拍子しやすいテンポの曲という流れにすると、参加の波を作れます。流行曲やCMソングを1〜2曲混ぜると「これ知ってる」という発見が会話を生みます。事前に利用者やご家族から「好きだった歌」を聞き取り、リクエスト曲としてプログラムに入れると満足度が大きく上がります。逆に、暗い気持ちを呼び起こしやすい曲や、特定の人にとってつらい記憶と結びつく曲は避け、反応を見ながら次回の選曲に反映させましょう。
時間配分つき進行台本|30〜45分の歌の会モデル
はじめての担当者でも回せるよう、30〜45分の標準的な進行を時間配分つきで示します。人数や要介護度に合わせて長さは調整してください。10〜15人程度、椅子を半円に並べた集団レクを想定しています。
(1) 導入・あいさつ(約3分)
「今日はみなさんで歌いましょう」と笑顔であいさつし、今日の季節や天気の話題で場をほぐします。窓を少し開けて換気し、水分が取れる準備をしておきます。
(2) ウォームアップ|深呼吸と口・声の準備(約5分)
いきなり歌うと喉に負担がかかるため、肩回し、ゆっくりした深呼吸、「パ・タ・カ・ラ」の発声、口を大きく開ける運動などで口と喉を温めます。ここを丁寧にやると声が出やすくなり、誤嚥予防の口腔体操も兼ねられます。
(3) みんなで歌う|童謡から(約5分)
全員が知っている可能性の高い童謡を1〜2曲。歌詞カードを配り、職員が大きな声でお手本を見せると、つられて声が出ます。
(4) 世代のヒット曲+声かけ・回想(約12分)
参加者世代の流行歌を3〜4曲。1曲歌うごとに「この歌、何歳くらいのときに流行りましたか」「どんな場面で歌いましたか」と声をかけ、思い出を引き出します。この“間”が歌の会のいちばんの見せ場です。
(5) 楽器・体を動かす歌(約8分)
タンバリンや鳴子、マラカスを配り、テンポのよい曲に合わせて鳴らします。立てる人は足踏み、座ったままでも手拍子で参加できます。一体感が生まれ、盛り上がりのピークを作ります。
(6) クールダウンと感想(約5分)
最後はゆったりした曲や「故郷」などしっとりした歌で締めます。「楽しかったですね」「また歌いましょう」と声をかけ、水分補給を促して終了します。
この型を一枚の進行表にして、選曲欄だけ毎回入れ替えると、誰が担当しても一定の質で運営できます。
盛り上げる進行と声かけのコツ
同じ選曲でも、進行役の声かけ次第で盛り上がりは大きく変わります。場を温め、参加の輪を広げる具体的なコツを挙げます。
お手本を大きく見せる
職員自身が照れずに大きな声で歌い、口の動きを見せます。進行役が楽しそうにしていると、利用者も安心して声を出せます。
1曲ごとに「間」を作って声をかける
歌い終わるたびに拍手し、「いい声でしたね」「懐かしいですね」と一言添えます。「せーの」で歌い出しのきっかけを作る、「もう一度サビだけ歌いましょう」と繰り返すなど、合いの手で参加を促します。
個人にも全体にも声をかける
「○○さん、よく通る声ですね」と名前を呼んで認めると、その人の自信になります。同時に「みなさん上手」と全体も褒め、特定の人だけが目立ちすぎないようにバランスを取ります。
間違いや声の小ささを責めない
歌詞を間違えても「惜しいですね」と笑顔でフォローし、安心して参加できる雰囲気を保ちます。声が小さい人には「口を動かすだけでも大丈夫ですよ」と伝えます。
回想のきっかけを用意しておく
曲にまつわる話題(流行った年、当時の出来事、歌手の名前)をいくつかメモしておくと、会話が途切れたときに振れます。利用者から思い出話が出たら、結論を急がずじっくり聴く姿勢が交流を深めます。
簡単な楽器・道具の使い方|鳴子・タンバリン・マラカス
楽器を取り入れると、歌が苦手な人や声が出にくい人も「鳴らす」ことで参加でき、会の一体感が高まります。選ぶ基準は「軽い・持ちやすい・誰でも音が出る・安全」の4つです。
導入しやすい打楽器
- タンバリン:叩く・振るのどちらでも音が出て、リズムが取りやすい定番です。握力が弱くても膝で叩けます。
- 鳴子(なるこ):握って振るだけで音が出て、手や指の運動になります。よさこい調の曲やテンポのよい歌に合います。
- マラカス・鈴:振るだけで音が出るので、力が入りにくい人や手指が動かしにくい人でも参加しやすい楽器です。
- カスタネット・ハンドベル:色分けされたハンドベルは「赤の人」と指定すれば順番に鳴らせて、簡単な合奏ができます。
使い方の基本
まず職員がリズムのお手本を見せ、「1・2・1・2」と数えながら一緒に鳴らします。テンポは速すぎないものから始め、慣れてきたら少しずつ上げます。曲のサビだけ鳴らす、AメロとBメロで楽器を持ち替えるなど、簡単な役割を作ると集中が続きます。全員が同じ楽器でそろえて鳴らすと一体感が出て、楽器ごとにグループを分けて掛け合いにすると盛り上がりに変化をつけられます。
歌が中心の人・楽器が中心の人を分けてもよい
声を出すのが好きな人は歌に集中し、歌が得意でない人は楽器担当にするなど、その人の得意を活かした役割分担も有効です。「○○さんはタンバリン名人ですね」と役割を価値づけると、参加の動機になります。立てる人は足踏みやその場での軽い手足の運動を加えると、無理のない範囲で体を動かす機会にもなります。
安全・衛生の注意
小さな鈴など誤飲のおそれがある部品がないか確認し、使用前後にアルコール等で拭いて衛生を保ちます。投げたり落としたりしてもけがをしない素材を選び、手の届く範囲で配ります。手作りなら、ペットボトルに豆を入れたマラカスや、紙皿を合わせた鈴など、身近な材料でも十分楽しめます。手作りの楽器づくり自体を別のレクとして行えば、会への期待感も高まります。
歌うことの効果|呼吸・嚥下・気分への良い影響
歌の会は楽しみが第一ですが、結果として心身に良い影響が期待できます。ここでは過大な約束を避けつつ、公的な研究や資料で裏づけのある範囲を整理します。
大きな声を出すことと呼吸・嚥下
東京都健康長寿医療センター研究所が2026年6月に公表した研究では、週1回1時間、参加者(平均年齢70.3歳)が大きな声でお経を唱えるプログラムを行ったところ、嚥下に関わる舌骨の移動量がプログラム前の38.6%から52.9%へ、最大発声持続時間(息を続けて声を出せる秒数)が17.5秒から20.2秒へ、1秒量(呼吸機能の指標)が1.80Lから1.92Lへ、いずれも向上しました。研究所は「お腹から大きな声を出し、口をダイナミックに使う」ことが嚥下機能・呼吸機能の向上につながり、誤嚥性肺炎予防が期待できるとしています。歌うことも、姿勢を正して息を長く使い、口を大きく動かす点で共通しており、同じ仕組みで良い影響が期待できます。
口・喉を動かすことの意味
高齢者の肺炎の多くは誤嚥性肺炎で、嚥下機能や咳の力の低下が関係します。厚生労働省の資料でも、口腔と摂食嚥下の機能維持には、飲み込みに関わる筋肉や器官を使い続けることが重要とされています。歌う前のウォームアップで「パ・タ・カ・ラ」発声や深呼吸、口を大きく開ける運動を取り入れると、歌の会が口腔体操の機会にもなります。
気分・交流への影響
懐かしい曲は昔の記憶を呼び起こし、表情が明るくなって会話が弾むきっかけになります。みんなで声を合わせることで一体感が生まれ、孤立しがちな人の交流の場にもなります。認知症が進んだ方でも、若い頃に親しんだ歌には反応しやすく、落ち着いて過ごせる時間につながることがあります。
効果を語るときの注意
これらは「歌えば必ず治る」という話ではありません。あくまで楽しみを土台にした健康づくりであり、嚥下や呼吸に明らかな問題がある方には、言語聴覚士など専門職の評価を優先します。効果は控えめに、安全第一で伝えるのが現場の基本姿勢です。
認知症の人・声が出にくい人への配慮と人数・時間の目安
誰もが心地よく参加できるよう、状態に応じた配慮を準備しておきます。
認知症の人への配慮
歌詞をすべて覚えてもらう必要はなく、サビだけ、ワンフレーズだけ一緒に口ずさめれば十分です。次々と新しい曲を出すより、よく知った曲を繰り返すほうが安心して参加できます。大きな音や急な展開は不安につながることがあるため、音量とテンポは穏やかに。歌の途中で立ち歩く、別の話を始めるといった行動も否定せず、その人なりの参加として受け止めます。
声が出にくい人・嚥下に不安がある人への配慮
声が出にくい人には「口を動かすだけ」「手拍子だけ」「聴くだけ」でも参加できると伝え、無理に大声を強要しません。むせやすい人は、歌う前後に水分でのどを潤し、姿勢を起こして顎を引いた状態を保つと安全です。痰がからむ、強くむせるなどのサインが出たら一旦休み、必要に応じて看護職や言語聴覚士に相談します。
人数・時間の目安
集団なら10〜15人程度が目安で、これ以上になると一人ひとりへの声かけが難しくなります。大人数のときは職員を増やし、テーブルごとにサブの進行役を置くと目が行き届きます。時間は集中が続く30〜45分が標準で、要介護度が高い方が多い場合は20〜30分に短縮します。週1回など定期開催にすると、利用者が楽しみにして生活のリズムにもなります。
環境づくり
椅子は半円や輪にして、全員が進行役と歌詞を見やすい配置にします。歌詞カードは大きな文字・濃いコントラストで作り、クリアファイルやカードリングでめくりやすくすると視認性と操作性が上がります。照明は明るめにし、換気と室温にも気を配ります。
著作権の基本的な配慮|歌の会で気をつけること
施設で歌を歌う際は、著作権への基本的な配慮も知っておくと安心です。難しく考えすぎる必要はありませんが、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
福祉施設のBGM免除と「歌う」ことは別扱い
JASRACの使用料規程では、福祉施設や医療施設で市販CD等をBGM(聞き流す音楽)として流す場合は、当分の間、使用料が免除されています。一方で、マイクを使って歌うカラオケはBGMとは別扱いで、免除の対象に当たらない場合があります。レクの実態によって扱いが変わるため、カラオケ機器を導入する際は提供事業者やJASRACに確認するのが確実です。
歌詞カードの複製にも注意
歌詞は著作物なので、たとえ手書きであっても、歌詞を書き写して複数人に配る行為は複製に当たり、配慮が必要です。著作権が消滅した古い童謡・唱歌(作者の没後一定期間が過ぎた曲)であれば、こうした制約を受けにくくなります。判断に迷う場合は、権利が切れている定番の童謡・唱歌を中心に選ぶと運営がシンプルになります。
実務での進め方
多くの現場では、生演奏やアカペラで一緒に歌う、権利の切れた童謡・唱歌を使う、カラオケ配信システムなど包括契約済みの機器を使う、といった形で運営しています。市販CDをそのまま流して歌うレクや、家庭用カラオケ機器・動画配信を施設で使う場合は、利用規約や著作権の扱いを事前に確認しましょう。最終的な可否は利用形態によって異なるため、施設として方針を決めておくと現場が迷いません。
現場で使えるちょいテク
選曲リストは「世代×季節」で一覧化しておく
毎回ゼロから選ぶと負担が大きいので、世代別・季節別に曲を整理した一覧表を作っておくと、当日その場で組み合わせるだけで済みます。施設の共有財産として、誰でも使えるよう保管しましょう。
歌詞カードは「貸出セット」にする
クリアファイルに入れた歌詞カードをリングでまとめ、曲ごとに色分けしておくと、配布・回収がスムーズです。視力に配慮して文字は大きく、行間を広めに取ります。
利用者を「主役」にする一言を用意
「この歌が得意な○○さんに、出だしをお願いしましょう」と役割を振ると、参加意欲と自尊心が高まります。歌が好きな利用者にリクエストを募るコーナーも喜ばれます。
記録に残して次回に活かす
盛り上がった曲、反応の薄かった曲、参加者の様子をメモしておくと、回を重ねるごとにその施設に合ったプログラムに育ちます。
よくある質問
Q. 音楽の知識や楽器の経験がなくても歌の会を担当できますか
はい、できます。譜面が読めなくても、楽器が弾けなくても運営は可能です。市販の音源や伴奏に合わせて、進行役は選曲・声かけ・場づくりに専念すれば十分に成り立ちます。大切なのは音楽の技術より、利用者が安心して声を出せる雰囲気づくりです。
Q. みんながバラバラの世代だと選曲はどうすればいいですか
まず全世代に知られた童謡・唱歌で土台を作り、そこに各世代のヒット曲を少しずつ混ぜます。季節の歌は世代を問わず共有しやすいので、季節を軸に組み立てるのも有効です。事前のリクエスト聞き取りで、その日の参加者に合わせて調整します。
Q. ほとんど声を出さない利用者にはどう関わればいいですか
歌うことだけが参加ではありません。手拍子、楽器を鳴らす、口を動かす、聴いて表情で楽しむ、どれも立派な参加です。「無理に歌わなくて大丈夫」と伝え、本人のペースを尊重します。曲に合わせて軽く体が揺れる、口元が動くといった小さな反応も見逃さず受け止めましょう。
Q. どのくらいの頻度で開くのがよいですか
週1回など定期開催にすると、利用者が楽しみにでき、生活リズムのアクセントになります。担当者の負担を考え、進行表と選曲リストを共有して複数人で回すと続けやすくなります。
Q. 歌の会は「音楽療法」と名乗ってよいですか
資格を持つ音楽療法士が治療目的で行うものを「音楽療法」と呼ぶため、介護職が行うレクは「音楽レク」「歌の会」と呼ぶのが適切です。治療効果を断定せず、楽しみと健康づくりの活動として案内しましょう。
参考文献・出典
- [1]「お腹から大きな声を出し、高らかに響かせ、口をダイナミックに使う」ことで誤嚥性肺炎予防に―都健康長寿医療センター研究所- 東京都健康長寿医療センター研究所(GemMed報道)
週1回1時間の発声プログラムで嚥下時舌骨移動量・最大発声持続時間・1秒量が向上したことを報告(2026年6月公表)
- [2]
- [3]
- [4]
まとめ
音楽レク・歌の会は、道具がなくても始められ、参加のハードルが低く、利用者の表情と交流をいちばん引き出しやすいレクです。成功の鍵は、世代に合った選曲、時間配分を決めた進行台本、1曲ごとの声かけと回想、そして打楽器による一体感づくりにあります。
大きな声を出して口や喉を動かすことには、公的研究が示すように呼吸・嚥下機能への良い影響も期待でき、歌う前の発声や深呼吸は誤嚥予防の口腔体操も兼ねます。ただし治療を約束するものではなく、声が出にくい人や認知症の人にはその人なりの参加を認め、安全と楽しみを最優先にすることが大切です。資格を要する「音楽療法」とは切り分けて案内し、著作権にも基本的な配慮をしておけば、現場の音楽レクは無理なく続けられます。
最初から完璧な会をめざす必要はありません。まずは権利の切れた童謡を1〜2曲、深呼吸から始める10分ほどの短い会から試し、利用者の反応をメモして次回に活かしていけば、その施設ならではの歌の会が少しずつ育っていきます。職員自身が楽しむ姿勢が、何よりの盛り上げ役になります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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