
利用者の不眠と夜間の睡眠ケア|介護職が行う原因の見極め・環境調整・夜間対応
施設利用者の不眠・昼夜逆転に介護職がどう対応するか。痛み・頻尿・不安・せん妄・薬・日中の活動低下という6つの原因の見極め、日中の覚醒と光・運動、就寝環境の調整、睡眠薬の転倒・依存リスクと看護・医師連携、夜間巡視と安易な声かけの是非まで、厚労省の睡眠ガイド2023と医薬品適正使用の指針をもとに夜勤の実務フローで解説します。
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この記事のポイント
利用者の不眠は、痛み・夜間頻尿・不安・せん妄・薬の影響・日中の活動低下という6つの原因のどれが効いているかを見極めるのが出発点です。介護職がまずできるのは、日中に光を浴びて体を動かす覚醒の支援、静かで暗く適温の就寝環境づくり、安易に「寝てください」と言わない夜間対応です。睡眠薬はベンゾジアゼピン系を中心に転倒・骨折・せん妄のリスクがあるため、薬に頼る前に生活と環境の調整を尽くし、急な不眠の悪化やいつもと違う様子は速やかに看護師・医師へ報告します。
目次
夜勤に入ると、なかなか眠ってくれない利用者、何度も起きてしまう利用者、昼間は傾眠で夜になると活動的になる利用者に必ず出会います。「眠れないなら声をかけて落ち着いてもらおう」「ご家族に頼まれているから睡眠薬をもう一錠」。よかれと思って行った対応が、かえって眠りを遠ざけたり、転倒事故につながったりすることは珍しくありません。
高齢者の不眠は、加齢による睡眠の変化に、痛み・頻尿・不安・薬・環境の変化といった要因が重なって起こります。原因が違えば打つ手も変わります。この記事では、施設で働く介護職が夜勤中に利用者の不眠と向き合うとき、どの順番で何を考え、何をして、どこから先は看護師・医師に渡すのかを、厚生労働省の睡眠ガイド2023と高齢者の医薬品適正使用の指針をもとに、実務のフローとして整理します。家庭向けの一般論ではなく、複数の利用者を少人数で見守る施設夜勤の現実に合わせた内容です。
高齢者の睡眠の特徴と不眠の3タイプ
不眠への対応を考える前に、まず「高齢になると睡眠そのものが変わる」ことを押さえておく必要があります。これを知らずに若い人と同じ眠りを期待すると、本来は正常な範囲の変化まで「不眠」として薬で抑えようとしてしまいます。
加齢で眠りはこう変わる
加齢に伴い、深い眠り(ノンレム睡眠)の時間が短くなり、浅い眠りが増えます。その結果、ちょっとした物音や尿意で目が覚めやすくなり、夜中に何度も目覚める中途覚醒や、希望する時刻より早く目が覚める早朝覚醒が増えます。必要な睡眠時間自体も若い頃より短くなり、60歳以上では6〜8時間程度で足りる人が多くなります。「8時間眠らないと健康に悪い」という思い込みで長く床に就かせると、かえって中途覚醒が増えることがあります。
不眠の3タイプを見分ける
不眠は大きく3つのタイプに分かれます。記録するときもこの区別を意識すると、原因の推測と看護師への報告がしやすくなります。
- 入眠困難:床に就いてもなかなか寝つけない。不安・痛み・カフェイン・日中の活動不足が関わりやすい。
- 中途覚醒:いったん眠っても夜中に何度も目が覚める。夜間頻尿・痛み・浅い眠り・環境の刺激が関わりやすい。高齢者で最も多い。
- 早朝覚醒:起きたい時刻より2時間以上早く目覚めてしまう。加齢変化やうつが関わることがある。
「眠れない」と一括りにせず、どのタイプかを観察記録に残すことが、適切なケアの第一歩になります。
利用者の不眠を引き起こす6つの原因
不眠への対応で最もやってはいけないのは、原因を見極めずに「眠れないから様子を見る」「とりあえず声をかける」で済ませることです。高齢者の不眠は、身体・精神・環境・薬剤の要因が複数からみ合って起こります。介護職は夜勤帯にいちばん近くで利用者を見ている立場として、どの原因が効いていそうかを切り分けるアセスメントの起点になれます。代表的な6つの原因を挙げます。
1. 痛み・身体的な不快
関節痛・腰痛・神経痛があると、寝返りのたびに目が覚めたり、寝つけなかったりします。かゆみ、便秘による腹部の張り、空腹、寒さ暑さも同様です。痛みは本人がうまく訴えられないことも多く、「夜になると落ち着かない」の背景に痛みが隠れていることがあります。表情のしかめ、特定の体位を避ける、さすっている部位などから推測します。
2. 夜間頻尿
夜中に何度もトイレに起きることは、中途覚醒の大きな原因です。夕方以降のカフェイン(緑茶・コーヒー・紅茶)や水分のとり方、利尿薬の服用時間、前立腺や膀胱の問題が関わります。トイレに行きたくて起きるだけでなく、「失禁したら」という不安で眠りが浅くなることもあります。
3. 不安・精神的な要因
入所して環境が変わったばかりの時期、家族と離れた寂しさ、夜の静けさの中でわき上がる将来への不安。眠れない苦痛そのものが新たな不安を生む悪循環も起こります。不眠は痛みと同じできわめて主観的な体験であり、「眠れない」という訴えの奥にある気持ちに耳を傾けること自体がケアになります。
4. せん妄
急に始まった混乱、日中と夜で様子が大きく変わる、つじつまの合わない言動、幻視や落ち着きのなさがあれば、単なる不眠ではなくせん妄を疑います。せん妄は身体疾患(感染・脱水・便秘・薬剤など)が背景にある一時的な意識の障害で、放置すると危険です。認知症との見分けは後述しますが、「いつもと違う、急におかしい」が最大のサインです。
5. 薬の影響
意外に見落とされやすいのが薬剤です。ステロイド薬や気管支拡張薬、一部のパーキンソン病治療薬は不眠を起こすことがあり、降圧薬や利尿薬は夜間頻尿を増やします。逆に日中の眠気を強める薬が昼夜逆転を助長することもあります。新しく薬が始まった・変わったタイミングで不眠が出た場合は、薬との関連を疑って看護師に伝えます。
6. 日中の活動低下・昼夜逆転
日中に寝てばかり、ベッドで横になって過ごす時間が長い、人との関わりや日光を浴びる機会が少ない。こうした生活は体内時計を乱し、夜に眠くならない昼夜逆転を招きます。認知症があると見当識の障害も重なり、「今が夜だから眠る」という認識そのものが難しくなります。施設での不眠は、この日中の過ごし方が引き金になっているケースがとても多いのが実情です。
日中の覚醒を支える|光・活動・昼寝の管理
不眠のケアは夜だけの仕事ではありません。むしろ夜の眠りは、日中の過ごし方でほぼ決まります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、高齢者について睡眠時間そのものより床上時間(布団の中にいる時間)を重視し、長い床上時間や長い昼寝が健康リスクにつながりうると指摘しています。介護職が日中にできる覚醒の支援を整理します。
朝の光を浴びてもらう
体内時計は朝の光でリセットされ、その十数時間後に自然な眠気が訪れます。起床後はカーテンを開け、窓際やデイルーム、可能なら屋外で光を浴びてもらいます。とくに午前中の光が効果的です。寝たきりの利用者でも、ベッドを窓際に寄せる、日中はブラインドを開けるといった工夫で光の量を増やせます。
日中の活動量を増やす
レクリエーション、体操、散歩、人との会話、役割のある作業など、日中に体と心を使う時間をつくります。睡眠ガイド2023も、日中の活動量を増やし昼間のメリハリをつけることの重要性を強調しています。活動は激しい運動である必要はなく、塗り絵や手作業、おしゃべりでも、覚醒を保ち生活リズムを整える効果があります。
昼寝は短く、午後早めに
昼寝そのものは悪ではありませんが、長すぎる昼寝や夕方の昼寝は夜の眠りを妨げます。睡眠ガイド2023は高齢者の昼寝を30分程度までにとどめることをすすめています。15時以降の長い傾眠はできるだけ避け、声かけや活動への誘導で覚醒を促します。ただし無理に起こし続けて不穏を招くのは逆効果なので、本人の状態を見ながら調整します。
「長く寝かせる」より「メリハリ」
必要以上に早く床に就かせると、寝つけない時間が延び、中途覚醒や早朝覚醒が増えます。眠くなってから床に就く、朝は決まった時刻に起こす、日中はできるだけ離床して過ごす。この昼夜のメリハリこそが、薬に頼らない不眠ケアの土台です。
就寝環境を整える|光・音・温度・寝具
日中の覚醒支援と並ぶもう一つの柱が、就寝環境の調整です。眠りを妨げる刺激を減らし、安心して横になれる場をつくることは、薬を使わずにできる効果の高いケアです。施設では「全員一律」になりがちですが、利用者ごとに合わせる視点が大切です。
光・音・温度を整える
- 光:就寝時はできるだけ暗くします。廊下の光が差し込むならカーテンや扉で調整します。一方で、夜間にトイレへ立つ利用者には足元を照らすセンサーライトや間接照明を置き、眠りを妨げずに安全を確保します。真っ暗で起きると転倒の危険が高まります。
- 音:足音、ワゴンの音、スタッフの話し声、コール音は、浅い眠りの高齢者には大きな刺激です。夜間は声のトーンを落とし、ドアの開閉や処置の音にも配慮します。
- 温度・湿度:高齢者は体温調節機能が低下しているため、暑すぎ寒すぎは中途覚醒の原因になります。寝具や室温をこまめに調整し、「寒くないですか」と確認します。
寝具と体位の工夫
体に合わないマットレスや枕、重い掛け布団は、痛みや不快感で眠りを浅くします。寝返りのしやすさ、関節への負担、本人が落ち着く体位を確認し、必要ならクッションで姿勢を整えます。痛みのある利用者には、就寝前のポジショニングが入眠の鍵になります。
就寝前のルーティンと排泄
就寝前に決まった流れ(トイレ・口腔ケア・温かいノンカフェインの飲み物・落ち着いた声かけ)をつくると、体が「これから眠る」と準備しやすくなります。とくに就寝前のトイレ誘導は、認知症のある利用者では本人が忘れがちなので、スタッフから促します。夕方以降のカフェインを控えることも、頻尿と覚醒の両面で有効です。
睡眠薬のリスクと介護職が知っておくこと
環境を整えても眠れないと、「睡眠薬を使えないか」という話になります。ここは介護職が判断する領域ではありませんが、薬のリスクを知っておくことは、不適切な使用を防ぎ、看護師・医師に的確に相談するために欠かせません。
睡眠薬は転倒・骨折・せん妄のリスクがある
厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」は、睡眠薬を使う前にまず睡眠衛生指導(生活と環境の調整)を行うことを明確に求めています。そのうえで、ベンゾジアゼピン系の催眠鎮静薬は、過鎮静・認知機能の悪化・運動機能の低下・転倒・骨折・せん妄などのリスクを持つため、高齢者には特に慎重な投与を要する薬とされています。非ベンゾジアゼピン系(いわゆるZ薬)も転倒・骨折のリスクが報告されています。長時間作用型は代謝の低下からさらに翌日まで効果が残りやすく、ふらつきの原因になります。
依存と「漫然投与」への注意
ベンゾジアゼピン系は依存を起こす可能性があり、同指針は海外のガイドラインで投与期間を4週間以内としていることにも触れています。漫然と長期に使い続けず、少量にとどめ、定期的に見直すことが原則です。日中の活動や環境改善で薬がなくても眠れるようになることもあります。
「新しい症状はまず薬を疑う」
同指針は、ふらつき・転倒や記憶障害、せん妄などを薬剤起因性老年症候群として挙げ、新たな症状や生活の変化が出たときは、まず薬が原因ではないかと疑うよう促しています。睡眠薬を飲み始めてから日中ぼんやりする、ふらつく、夜中の混乱が増えた。こうした変化に最初に気づけるのは、生活の場にいる介護職です。気づいたことを記録し、看護師に伝えることが、薬の見直しのきっかけになります。
介護職がやってはいけないこと
家族に頼まれても、自己判断で薬を増減したり、別の利用者の頓服を流用したりは絶対に行いません。睡眠薬の追加・変更・中止は必ず医師の指示に基づきます。介護職の役割は、薬の効果と副作用のサインを観察して正確に伝える「目」になることです。
夜勤中の不眠対応|声かけと巡視の実務
では、実際に夜勤帯で利用者が眠れずにいるとき、介護職はどう動けばよいのでしょうか。少人数で複数の利用者を見守る夜勤では、一人に長くは関われません。だからこそ、判断の順番を決めておくことが大切です。
まず原因を探る、結論を急がない
「眠れない」と訴える、あるいは起き出してきた利用者には、まず理由を探ります。トイレに行きたいのか、痛いのか、寒い暑いか、不安なのか、喉が渇いたのか。表情・しぐさ・言葉から、前述の6つの原因のどれかを推測します。原因に応じてトイレ誘導、保温、体位調整、水分、そばに座って話を聞くなど、具体的な対応につなげます。
「寝てください」は逆効果になりやすい
眠れずにいる利用者に「もう夜ですから寝てください」と抑制的に繰り返すのは、しばしば逆効果です。とくに認知症のある方には、急かされること自体が不安や混乱、興奮を強めます。否定や説得ではなく、まず受け止め、安心できる声かけと環境を整えるほうが、結果的に落ち着いて眠りに向かいやすくなります。眠れない苦痛を理解してもらえること自体が、本人にとって大きな支えになります。
夜間巡視は刺激を最小限に
巡視は安全確認に欠かせませんが、懐中電灯の光を顔に当てる、足音を立てる、声をかけて起こしてしまうと、せっかくの眠りを妨げます。光や音を抑え、眠っている利用者を起こさない巡視を心がけます。一方で、いつもと違う呼吸、発汗、混乱、起き上がっての危険行動には敏感に気づき、必要な対応につなげます。
夜だからこそできるケアがある
夜の静けさの中では、日中言えなかった不安や寂しさが表に出やすくなります。眠れずにいる利用者にそっと寄り添い、話を聞き、手を握る。こうした関わりは、睡眠薬では得られない安心をもたらします。夜間は「とにかく眠らせる」場ではなく、不安に応える時間にもなりうると捉えると、対応の幅が広がります。
記録と申し送りで次につなぐ
その夜の様子(何時に起きたか、不眠のタイプ、推測した原因、行った対応とその効果)を具体的に記録し、申し送ります。一晩だけでは見えないパターンも、日々の記録を重ねると「夕食後の傾眠が原因」「特定の薬を変えてから増えた」といった原因が浮かび、ケアプランや受診・処方の見直しにつながります。
せん妄との見極め|認知症との違い
夜間の不眠対応でとくに重要なのが、ただの不眠なのか、せん妄なのかの見極めです。せん妄は身体の異常のサインであることが多く、対応を誤ると命に関わることもあります。介護職が確定診断をする必要はありませんが、「疑って看護師につなぐ」ことはできます。
認知症とせん妄の違い
| 観点 | 認知症 | せん妄 |
|---|---|---|
| 始まり方 | ゆっくり、月単位で進行 | 急に、数時間〜数日で出現 |
| 症状の変動 | 1日のなかでは比較的安定 | 日中と夜で大きく変動(夜に悪化しやすい) |
| 意識 | はっきりしていることが多い | もうろう、注意が定まらない |
| 経過 | 基本的に戻らない | 原因が取れれば改善することが多い |
| 背景 | 脳の変性 | 感染・脱水・便秘・薬剤・痛みなど身体要因 |
ポイントは「急に・いつもと違う・変動する」です。普段は穏やかな方が急に夜だけ混乱する、つじつまが合わない、いないはずの物が見える(幻視)といった様子があれば、せん妄を強く疑います。
せん妄を疑ったら
せん妄の背景には、尿路感染や肺炎などの感染症、脱水、便秘、痛み、新しく始まった薬などが隠れていることがあります。発熱・水分摂取量・排便・服薬の変化を確認し、速やかに看護師・医師へ報告します。「夜眠れず混乱している」だけでなく、「いつから・どんな様子で・身体面で変わったこと」をセットで伝えると、判断がスムーズになります。安易に睡眠薬や抗精神病薬で抑えようとすると、かえってせん妄を悪化させることもあるため、まずは原因を探る姿勢が欠かせません。
看護師・医師に渡すべきライン
不眠ケアは介護職だけで完結しません。生活の場で得た観察を、いつ・誰に・どう渡すかが、利用者の安全と適切なケアを左右します。介護職が抱え込まず、看護師・医師に渡すべきラインを整理します。
すぐ看護師・医師に報告すべきサイン
- 急に始まった混乱・つじつまの合わない言動(せん妄の疑い)
- 発熱・呼吸の異常・強い痛みなど身体の変化を伴う不眠
- 睡眠薬を飲み始めてから/変えてからのふらつき・日中の傾眠・転倒
- これまで眠れていた人の、明らかな不眠の急な悪化
- 転倒や転落が起きた、起きかけた
多職種で見直す視点
長く続く不眠は、その場の対応だけでなく、生活全体の見直しが必要です。日中の活動や離床の機会、薬の内容、排泄リズム、痛みのコントロールなどを、看護師・ケアマネジャー・リハビリ職・医師と共有し、ケアプランに落とし込みます。施設に常勤医がいる場合は処方の見直しもしやすく、介護職が日々記録した「不眠のパターン」がその判断材料になります。介護職は最前線の観察者として、チームに正確な情報を届ける役割を担います。
原因別・夜勤の対応チェックリスト
夜勤で実践しやすいポイントを、原因別に整理しました。迷ったときの確認リストとして使えます。
- 痛みかも:表情・体位・さする部位を観察。ポジショニングで体を楽にし、痛みが疑われれば記録して報告。
- 頻尿かも:就寝前のトイレ誘導を習慣化。夕方以降のカフェイン・過剰な水分を控える。夜間は足元ライトで安全確保。
- 不安かも:そばに座り、話を聞く。否定せず受け止める。なじみの物や明かりで安心感を。
- せん妄かも:「急に・いつもと違う・変動する」なら身体要因を確認し、すぐ看護師へ。
- 薬かも:新規・変更の薬がないか確認。ふらつき・日中の傾眠は記録して報告。
- 昼夜逆転かも:翌日からの日中ケアが本命。朝の光・離床・活動・短い昼寝で立て直す。
- 共通:「寝てください」と急かさない。巡視は光と音を最小限に。その夜の様子は具体的に記録・申し送り。
よくある質問
Q. 利用者が眠れないとき、まず何をすればいいですか
「眠らせる」より先に「なぜ眠れないか」を探ります。トイレ・痛み・寒暑・不安・喉の渇きなどを確認し、原因に合わせてトイレ誘導や体位調整、保温、傾聴などで対応します。「寝てください」と繰り返すのは逆効果になりやすいので避けます。
Q. ご家族から「睡眠薬を出してほしい」と言われたら
薬の判断は医師の領域です。介護職が自己判断で増減することはできません。ご家族の要望は受け止めつつ、生活・環境の調整を尽くしていることを伝え、看護師・医師に相談する流れにつなぎます。睡眠薬には転倒・依存などのリスクがあることも共有されると、過度な期待を防げます。
Q. 夜間の巡視で利用者を起こしてしまいます
巡視は安全確認のために必要ですが、光や音は最小限にします。懐中電灯を顔に当てない、足音やドアの音を抑える、無理に声をかけて起こさないことを心がけ、眠りを妨げない巡視を目指します。
Q. 不眠とせん妄はどう見分けますか
「急に始まった・いつもと違う・日中と夜で大きく変動する・つじつまが合わない」ならせん妄を疑います。せん妄は感染や脱水など身体の異常が背景にあることが多いため、発熱や水分・排便の状況を確認し、速やかに看護師・医師へ報告します。
Q. 昼夜逆転を直すにはどうすればいいですか
夜の対応だけでは直りません。翌日からの日中ケアが鍵です。朝の光を浴びてもらう、日中はできるだけ離床して活動や会話の機会をつくる、長い昼寝(30分超)を避ける。この積み重ねで体内時計を立て直します。
参考文献・出典
- [1]
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- [3]
- [4]
まとめ
利用者の不眠は「眠らせる」課題ではなく、「なぜ眠れないかを見極めて整える」課題です。痛み・頻尿・不安・せん妄・薬・日中の活動低下という原因のどれが効いているかを切り分け、日中は光と活動で覚醒を支え、夜は静かで暗く適温の環境を整える。これが薬に頼らない不眠ケアの基本です。
睡眠薬はベンゾジアゼピン系を中心に転倒・骨折・せん妄・依存のリスクがあり、厚生労働省の指針も薬の前に生活と環境の調整を求めています。介護職の役割は、薬を判断することではなく、最前線の観察者として原因と変化に気づき、正確に記録して看護師・医師に渡すことです。「急に・いつもと違う」はせん妄を疑うサインとして、迷わず報告につなげてください。一晩の対応を丁寧に積み重ねることが、利用者の安全と穏やかな夜を守ります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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