
認知症の収集癖・ためこみへの対応|介護職が施設で行う背景のひもときと環境調整
施設で認知症の利用者がティッシュや食べ物、他者の物をためこむ・集める行為に、介護職はどう対応するか。不安や見当識低下、前頭側頭型の特徴など背景のアセスメント、取り上げない声かけ、居室の安全確保、他者トラブル対応、多職種連携と記録までを実務目線で解説します。
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この記事のポイント
施設で認知症の利用者がティッシュや食べ物、他者の物をためこむ・集める行為は、多くが不安や所有欲、空虚感、見当識低下といった満たされない気持ちの表れです。対応の基本は、頭ごなしに取り上げず捨てず、まず背景をアセスメントすること。そのうえで腐敗物や誤飲リスクだけを本人の了解を得て「交換」し、代わりに安心を保てる収集物を用意します。前頭側頭型認知症では常同的なため込みが強く出るため、鑑別の視点も欠かせません。他者の物とのトラブルは介護職が間に入り、本人を責めない姿勢を全員で共有し、記録と多職種連携で継続的に支えます。
目次
特別養護老人ホームやグループホームで働いていると、居室のタンスがティッシュでいっぱいになっていたり、食堂のおしぼりやスプーンがポケットから大量に出てきたり、他の利用者の部屋から持ち出した衣類が見つかったりする場面に必ず出会います。夜勤帯にトイレットペーパーを都度ちぎってためこむ利用者に、何度も設置と撤去を繰り返して疲弊した経験のある職員も少なくないでしょう。衛生面が絡むと対応はいっそう難しく、限られた人員のなかで悩ましい問題になりがちです。
こうした収集癖・ためこみ行為は、認知症の行動・心理症状(BPSD)のひとつです。厄介な問題と感じられがちですが、本人にとっては明確な理由と目的がある行動です。表面的に「捨てる」「取り上げる」で対処すると、かえって不安が高まり、物盗られ妄想や暴言・興奮へとエスカレートしかねません。この記事では、施設で働く介護職の目線から、収集・ためこみの背景をどうアセスメントし、居室の安全と本人の安心をどう両立させ、他者とのトラブルや家族への説明、多職種・記録にどうつなげるかを、一次資料と現場の対応事例をもとに実務的に整理します。
認知症の収集癖・ためこみとは
認知症の収集癖・ためこみとは、周囲から見れば価値がない、あるいは「ゴミ」に見える物を集めてしまいこみ、手放そうとしない行動を指します。集められる物はティッシュや紙類、おしぼり、食べ物、ペットボトル、他者の私物などさまざまです。すべての認知症の人に起こるわけではありませんが、BPSDのなかでも比較的よく見られます。外出先で紙ナプキンやトイレットペーパーをその都度集め、ボロボロの状態のものが大量に見つかる、といった例も多く報告されています。
ためこみ症(ホーディング)との違い
「ためこみ症(ホーディング)」は、DSM-5で独立した疾患として位置づけられた強迫症に関連の深い状態で、典型的には10代で発現し、慢性に経過します。一方、認知症に伴う収集・ためこみは、あくまで認知機能低下や不安を背景とした周辺症状であり、発症の時期も経過も異なります。施設で出会うのは後者が中心ですが、両者は重なることもあるため、「病気だから」と決めつけず個別に背景を見ることが大切です。
本人にとっては「ゴミ」ではない
最も重要な前提は、集められた物は本人にとって必要で大切な存在だということです。他人からは価値がないように見えても、集めることには本人なりの理由と目的があります。だからこそ勝手に捨てると「盗まれた」「無くなった」と感じ、物盗られ妄想の被害感につながります。介護職がこの前提を共有できているかどうかが、対応の質を大きく左右します。
収集癖の3つのパターン
ためこみ方は人によって異なり、対応のヒントも変わります。大きく次の3タイプに分けて観察すると、その人に合った関わりが見えてきます。
- 忘却・補充型:集めたこと自体を忘れ、「足りない、補充しなければ」という思いから同じ物を次々に集めるタイプ。認知症とわかる前から同じ商品を大量に買い込んでいた、という経緯があることも少なくありません。
- 管理・執着型:引き出しなどに隙間なく物を詰め込み、少しでもスペースが空くと不安を感じるタイプ。勝手に減らすとすぐ気づいて反発し、盗まれたと騒ぐこともあります。数や配置を保つ配慮が要ります。
- 隠密・秘匿型:職員や家族に気づかれないよう、長い時間をかけて巧妙に物を集めて隠すタイプ。居室点検で初めて大量のため込みが見つかることがあり、責めずに事実を把握する姿勢が大切です。
なぜ集める・ためこむのか|背景を5つの視点でひもとく
対応を考える前に、なぜこの利用者が集めるのかを言葉にできることが出発点です。背景を「ひもとく」と表現するのは、ひとつの行動の裏に複数の要因が重なっているからです。以下の視点でアセスメントします。
1. 不安・空虚感を埋める
「足りなくなるのではないか」という物不足への不安、退屈や孤独からくる空虚感を、物を手元に置くことで埋めようとしているケースです。集めることで一時的に安心が得られるため、環境から不安の原因を減らすと落ち着くことがあります。
2. 所有欲・自己の証
自分のものを持ち、管理することは、自尊心や「自分がここにいる」という感覚を支えます。引き出しに隙間なく物を詰め、少しでも空くと不安を感じるタイプは、管理そのものが本人の役割になっています。
3. 見当識低下・記憶障害による繰り返し
集めたこと自体を忘れ、「補充しなければ」という思いから次々にため込むパターンです。ここが自宅の物という感覚が薄れ、目についた物を自分のものとして持ち帰ることもあります。悪意ではなく、認知機能の低下の結果である点を押さえます。
4. 前頭側頭型認知症(FTD)の常同行動
前頭側頭型認知症では、同じ行為を繰り返す固執・常同性、社会的に不適切な行動を抑えられない脱抑制が中核症状として現れます(難病情報センター 指定難病127の診断基準)。ため込みや他者の物を勝手に使う「使用行為」が強く出ることがあり、アルツハイマー型の物忘れ由来のため込みとは対応の力点が変わります。大阪大学の研究でも、FTDのため込み症状は評価尺度を用いて客観的に把握する試みが進められています。診断名がついている場合は、常同行動を無理に止めるより、安全な形に置き換える発想が有効です。
5. 過去の生活歴・世代的価値観
物のない時代を生きてきた世代にとって「もったいない」は根深い価値観です。紙一枚、食べ物ひとつを大切にする姿勢そのものは、否定される筋合いのないものです。生活歴を家族から聞き取ると、その人にとっての物の意味が見えてきます。
背景を見立てる手順
これらの視点は排他的ではなく、複数が重なることがほとんどです。実務では、まず数日から数週間、いつ・どこで・何を集めるかを観察して記録し、その人にとっての引き金(食後、面会の前後、夕方の不穏な時間帯など)を探ります。次に、家族から発症前の性格や生活歴を聞き取り、診断名がついていれば認知症のタイプを確認します。ここまでを踏まえて「この人は不安を物で埋めているのか、常同行動なのか」という見立てを立てると、環境調整の打ち手が具体的になります。見立ては一度で確定せず、記録を重ねながら修正していくものです。
対応の3原則|取り上げない・満足を高める・交換する
背景が見えたら、対応の原則は次の3つに集約されます。いずれも「本人を責めない」という一点でつながっています。
取り上げない・頭ごなしに捨てない
集めている物を無理に取り上げたり、本人の目の前で捨てたりすることは避けます。これは対応の大前提です。強制的に中止させると、頑固さが増して暴言・興奮に発展したり、「盗まれた」という被害感を強めたりします。まずは集めている事実を否定せず受け止めます。
満足感を高める・ほめる
集めている物が衛生的に問題なければ、収納場所をあえていっぱいにして満足感を高める方法があります。タオルやハンカチ、きれいな紙類であれば「たくさんありますね」と声をかけ、集めたことを認めます。集めた物を見える形で整理して飾ると、収集そのものへの執着が和らいだ事例も報告されています。精神的な安定によって極端な収集が収まった例もあり、満足を否定しないことが遠回りに見えて近道になります。
問題のある物は「捨てる」ではなく「交換する」
使用済みのおむつやパッド、腐敗した食べ物など、衛生・安全に問題がある物だけは放置できません。その場合も「捨てる」のではなく「交換する」のが鉄則です。使用済みのティッシュには未使用のものを同じように丸めて入れ替える、腐った食品は同じ見た目の安全な物に差し替える、といった形で、本人の手元にある物の数や存在感を保ちます。どうしても廃棄が必要なときは「整理する」という言葉を使い、本人の了解を得て一緒に片づけます。
具体的な声かけの例
言葉ひとつで本人の受け止め方は大きく変わります。否定・命令ではなく、承認と提案の形にするのがコツです。
- 集めているのを見つけたとき:「たくさん集められましたね。大事にされているんですね」と、まず認める。「なんでこんな物を」と責めない。
- 交換したいとき:「こちらの新しいものと替えておきますね。きれいなほうが気持ちいいですよ」と、利点を添えて提案する。「汚いから捨てます」とは言わない。
- 片づけが必要なとき:「捨てる」ではなく「一緒に整理しましょうか」と誘い、本人の了解を得て一緒に手を動かす。
- 他者の物だったとき:「これは〇〇さんのものみたいなので、お返ししておきますね」と穏やかに伝え、取り上げるのではなくそっと戻す。
居室の安全確保|腐敗物・誤飲・不衛生・転倒をどう防ぐか
ためこみで介護職が最も神経を使うのが、居室の衛生・安全の確保です。本人の安心を守りながら、健康被害を防ぐバランスが問われます。リスク別に対応を整理します。
腐敗物・食べ物のため込み
食堂やおやつの食べ物を居室に持ち帰り、タンスや布団の中にため込むケースでは、腐敗による食中毒や悪臭、害虫の発生が問題になります。まず持ち込みの動線を把握し、居室点検を日課に組み込みます。発見した腐敗物は本人の了解を得て同種の安全な物と交換し、可能なら日持ちする代替(個包装の菓子など)を一緒に用意します。点検は本人がいる時間に一緒に行うと、隠された不信感を生みにくくなります。
誤飲・誤食のリスク
ボタン電池、小さな部品、洗剤の小袋、他者の内服薬など、口に入れると危険な物を集める場合は最優先で環境から遠ざけます。前頭側頭型認知症の口唇傾向(何でも口に入れる)がある場合は特に注意が必要です。危険物は施錠管理し、居室には安全に触れられる物だけを置ける環境に整えます。内服薬は他者のものを含めて一元管理し、配薬後の飲み込み確認を徹底します。
不衛生・害虫
使用済みのティッシュやパッド、生ゴミのため込みは、不衛生と害虫の温床になります。撤去だけを繰り返すと本人が再度ため込む悪循環になるため、清潔な代替物を常に手元に用意し、交換のサイクルを職員間で決めておきます。夜勤帯にトイレットペーパーをちぎってためる利用者には、あらかじめきれいな紙をまとめて渡しておく、居室に折りたたむ作業を用意するなど、収集欲を満たす形に置き換える工夫が現場で行われています。撤去と設置を延々と繰り返すより、この置き換えのほうが職員の負担も本人の不安も減らせます。
転倒・避難動線
物が床や通路に積み上がると、転倒や火災時の避難の妨げになります。日中は自由に集められる場所を確保しつつ、夜間は通行の妨げになる物だけを動線から外す、といった時間帯で分ける運用も有効です。安全確保のための最小限の介入にとどめ、収集そのものを禁止しない発想が基本です。避難経路上の物だけは「命に関わる」という基準で優先的に整理し、それ以外は本人の生活空間として尊重します。
他者の物とのトラブル対応|集団生活ならではの難しさ
施設ならではの難しさが、他の利用者の物を集めてしまうことで起きるトラブルです。集団生活の場では、ここが一戸建ての在宅とは決定的に異なります。介護職が間に入って調整する必要があります。
他者の私物を持ち出したとき
他の利用者の衣類や小物を居室に持ち込んでいた場合、本人を「盗った」と責めないことが第一です。悪意ではなく、自分の物という感覚や見当識の低下による行動です。持ち出された側の利用者・家族には、認知症の症状であることを丁寧に説明し、私物には記名する、居室に施錠や工夫をするなど、施設としての再発防止策を示します。返却は本人の目の前で取り上げるのではなく、そっと元に戻すか、代わりの物を用意してから移すと角が立ちません。
被害を受けた側への配慮
物を持ち出された利用者やその家族が不信感を抱くと、施設全体の信頼が揺らぎます。「なぜ防げないのか」という声には、症状の背景と施設の対策を具体的に伝え、一方的に我慢を求めない姿勢が重要です。両者の尊厳を同時に守るのが施設の役割です。
職員間で「責めない」を徹底する
特定の職員だけが優しく対応しても、別の職員が「また持ってきて」と叱ると、本人は混乱します。対応方針はカンファレンスで統一し、誰が対応しても同じトーンで接することが、本人の安心と行動の落ち着きにつながります。
環境調整のポイント|行動を消すのではなく安心を整える
認知症ケア研究誌(2022、伊東美緒ら)の調査では、認知症の人の混乱を減らすには、脳病変や生活歴のように介入が難しい背景因子ではなく、居住環境やケア技術といった介入可能な要因に働きかけることが重要だと示されています。ため込みについても、行動そのものを消そうとするより、環境を整えて安心を保つ発想が有効です。行動を止めるのではなく、安心して集められる環境を用意すると考えると打ち手が見えてきます。
- 集めてよい物・場所を用意する:安全な物(タオル、きれいな紙、折り紙、なじみの小物)を決まった引き出しやカゴに用意し、そこに集められるようにします。収集欲を否定せず、安全な受け皿をつくります。
- 役割・作業に置き換える:紙を折る、タオルをたたむ、塗り絵をするなど、手を動かす作業を用意すると、収集に向かっていた気持ちが和らぐことがあります。カイゴトーク等の現場でも、作業への集中で意識をそらす工夫が共有されています。
- 大きな変化を避ける:不安が収集の引き金になっている場合、居室の模様替えや職員の頻繁な交代など、環境の急な変化を減らすと落ち着きます。
- 安心できる関わり:ゆっくり話を聞き、大切にされていると本人が感じられる関わりを重ねることで、精神的な安定から収集が収まった例も報告されています。
- 見える化して満足を保つ:集めた物を隠すのではなく、本人が見える形で整理・展示すると、所有の満足が保たれ執着が和らぎます。
家族への説明・多職種連携・記録
家族への説明
家族はためこみを見て「だらしなくなった」「わがままになった」と受け止め、動揺したり本人を叱ってしまったりすることがあります。介護職は、これが認知症の症状であり本人なりの理由があること、取り上げや叱責は逆効果であることを具体的に伝えます。面会時に一緒に集めた物を眺める、家から持参したなじみの物を活用するなど、家族が関われる形を提案すると、本人の安心にもつながります。家族が家庭で同じ悩みを抱えている場合も多く、施設での対応方針を共有することは、退所後や外泊時の関わりの助けにもなります。
多職種連携
ためこみへの対応は、介護職だけで抱えるものではありません。衛生・誤飲リスクは看護職、常同行動や薬物の要否は医師、生活全体の支援設計はケアマネジャーや相談員と共有します。老健などで医師・看護が身近な環境では、BPSDが強く生活に支障が出ている場合にカンファレンスを経て内服を検討することもありますが、あくまで本人のADLに影響しない範囲で、非薬物的な環境調整を尽くしたうえでの選択肢です。安易な薬物依存に流れないことが大切です。ケアプランに「収集への対応方針」を明記しておくと、担当が変わっても関わりがぶれません。
記録の取り方
いつ、どこで、何を、どのくらい集めたか、そのときの本人の様子や引き金と考えられる状況を、事実と解釈を分けて記録します。「不穏だった」ではなく「食後に食堂のおしぼりを3枚ポケットに入れた。表情はおだやか」のように具体的に書くと、背景の分析とチーム内の対応統一に役立ちます。記録の積み重ねが、その人にとって効果的な環境調整を見つける手がかりになります。
チームで支えた対応の流れ(例)
実際の現場では、次のような流れでチーム対応が進みます。まず介護職が居室点検で腐敗した食べ物のため込みに気づき、記録を数日分そろえる。カンファレンスで「夕方の面会がない日に不安が高まり集めている」という見立てを共有し、看護職が衛生リスクを、相談員が家族への説明を担当する。対応方針として「夕方に一緒に過ごす時間を増やす」「集めてよいきれいなタオルのカゴを用意する」「腐敗物だけ本人の了解を得て交換する」を全職員で統一する。こうして役割を分け、方針を一枚岩にすることで、誰が対応しても同じ関わりになり、本人の混乱が減っていきます。
よくある質問(FAQ)
Q. 集めた物を本人がいない間に片づけてはいけませんか?
衛生・安全上どうしても必要な場合を除き、黙って片づけるのは避けます。本人が気づいて「盗まれた」と感じると被害感が強まり、物盗られ妄想や職員への不信につながります。廃棄が必要なときも「整理する」と声をかけ、了解を得て一緒に行うのが原則です。
Q. 夜勤帯にトイレの紙を大量にためこむ利用者への対応は?
都度撤去と再設置は職員の負担が大きく、本人の収集欲も満たされません。あらかじめきれいな紙をまとめて手元に渡す、居室で紙を折る作業を用意するなど、安全な形で収集欲を満たす置き換えが現実的です。汚染物だけは交換で対応します。
Q. 他の利用者の物を持ち出してしまいます。どうすればいいですか?
本人を責めず、そっと元に戻すか代わりの物を用意します。持ち出された側には症状であることを説明し、私物への記名や居室の工夫など施設としての再発防止策を示します。両者の尊厳を守るのが施設の役割です。
Q. 前頭側頭型認知症の場合、対応は変わりますか?
常同行動や脱抑制が中核症状のため、行動を無理に止めるより、安全な形に置き換える発想がより重要になります。口に入れる傾向がある場合は誤飲リスクの管理を最優先にします。診断がついている場合は医師・看護と対応方針を共有しましょう。
Q. 薬で抑えることはできますか?
環境調整などの非薬物的対応を尽くしても生活に大きな支障が出る場合に、医師の判断で内服を検討することがあります。ただしADLへの影響を避けるため頻度を抑え、多職種のカンファレンスを経るのが前提です。薬に頼る前に、まず背景のひもときと環境調整を尽くします。
参考文献・出典
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まとめ
認知症の収集癖・ためこみは、介護職を悩ませる行動ですが、その裏には不安や所有欲、空虚感、見当識低下、そして前頭側頭型認知症の常同行動といった、本人なりの理由が必ずあります。対応の出発点は、行動を消そうとすることではなく、なぜ集めるのかを背景からひもとくことです。
そのうえで、取り上げない・満足を高める・危険な物だけ交換する、という原則を守り、居室の安全と本人の安心を両立させます。他者の物とのトラブルは介護職が間に入り、両者の尊厳を守りながら調整します。そして、対応方針をカンファレンスで統一し、事実と解釈を分けた記録を積み重ね、家族や多職種と共有していく。この地道な積み重ねが、その人にとって最も落ち着ける環境を見つける近道です。
収集やためこみは、ときに職員の手間や衛生管理の難しさとして立ちはだかります。しかし、その行動を本人の不安や願いのサインとして読み解けたとき、対応は「やめさせる」から「安心を届ける」へと変わります。責めない姿勢を職員全員で共有できたとき、収集癖は問題行動ではなく、その人を理解する手がかりになります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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