認知症サポーターとは

認知症サポーターとは

認知症サポーターは90分の養成講座修了で誰でもなれる「認知症の応援者」。講座内容・キャラバンメイト・チームオレンジ・オレンジリングの現状まで一次ソースに基づき解説します。

ポイント

この記事のポイント

認知症サポーターとは、認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域や職場で認知症の人やその家族を見守り、できる範囲で手助けする「応援者」です。約90分の認知症サポーター養成講座を受講すれば誰でもなれ、受講料は無料。2005年の制度開始以来、累計1,500万人以上が登録されており、認知症施策推進大綱の中核施策の一つです(出典:厚生労働省)。

目次

認知症サポーターの位置づけと目的

認知症サポーターは2005年に厚生労働省が始めた「認知症サポーター100万人キャラバン」を起源とする制度で、現在は「認知症施策推進大綱」(2019年)に基づき全国の自治体・企業・学校で養成が進められています。誰もが暮らしやすい地域をつくる「認知症バリアフリー社会」実現のための土台となる人材です。

目的

  • 認知症に対する正しい知識と理解を地域に広げる
  • 認知症の人や家族の困りごとに気づき、声をかけられる人を増やす
  • 地域の見守りネットワークを強化し、孤立を防ぐ
  • 金融機関・小売業・公共交通機関など接客現場での適切な対応を促す

サポーターは何かを「する」義務はない

認知症サポーターには資格や活動義務はありません。「特別なことをする人」ではなく、「認知症を正しく理解し、温かい目で見守る人」と位置づけられています。レジで時間がかかっている高齢者を急かさず、駅で迷っている人に声をかける——日常生活の中での小さな配慮こそがサポーターの本質的な役割です。

養成講座で学ぶ内容

認知症サポーター養成講座は約90分で、認知症サポーターキャラバン本部が定める標準カリキュラムに沿って実施されます。受講料は無料で、申込は市区町村の地域包括支援センターや認知症担当窓口で受け付けています。

主なカリキュラム

  • 認知症の基礎知識(中核症状とBPSD・三大認知症の特徴)
  • 認知症の人の気持ちと困りごと
  • 認知症の人への接し方(基本7原則:驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない 等)
  • 家族の心理ステップと支え方
  • 地域での具体的な見守りの事例
  • サポーターにできること・できないこと

講師は「キャラバン・メイト」

講座を企画・運営するのは「キャラバン・メイト」と呼ばれる講師です。認知症介護指導者・地域包括支援センター職員・介護施設の管理職・看護師などが、自治体または団体が実施する1日のキャラバン・メイト養成研修を修了して講師資格を得ます。

誰でも受講できる

  • 地域住民(自治会単位の開催あり)
  • 銀行・スーパー・コンビニ・郵便局の従業員
  • 鉄道・タクシー・バスの乗務員
  • 小学校・中学校・高校の児童生徒
  • 消防署・警察署の職員

オレンジリングと認知症サポーターカード

項目オレンジリング認知症サポーターカード
形状オレンジ色のシリコン製リストバンド名刺サイズのカード
配布期間2005〜2020年度(一部自治体は継続)2021年度以降の標準
意味する色認知症を支える「オレンジ」のシンボル同じく認知症のシンボルカラー
取得方法養成講座修了で受領(在庫がある自治体)養成講座修了で配布

「オレンジ」が認知症のシンボルカラーになった理由は、夕日の色をモチーフに「介護家族や認知症の人の人生の夕方を、温かく支える」という思いが込められたとされています。2021年度以降は配布物が認知症サポーターカードに切り替わっていますが、オレンジリングを身につけることでサポーターであることを地域に示し、声をかけやすくする効果は依然として大きい目印です。

ステップアップ講座とチームオレンジ

認知症サポーターからさらに一歩踏み出して活動したい人向けに、自治体や団体が「ステップアップ講座」を用意しています。修了後はチームオレンジに参加して具体的な活動につなげることができます。

ステップ1:認知症サポーター養成講座(基礎・90分)

認知症の基礎知識・接し方を学ぶ。受講後、認知症サポーターカードを受領。

ステップ2:ステップアップ講座(実践)

当事者の声を聞く・地域での見守り訓練・支え合いの仕組みを学ぶ。自治体ごとにカリキュラムが異なります。

ステップ3:チームオレンジへの参加

「チームオレンジ」は2019年の認知症施策推進大綱で創設された、認知症の人とサポーターによる支え合いチームです。本人・家族のニーズと、見守り・外出支援・話し相手などの活動をマッチングし、生活圏域で具体的な支え合いを行います。2025年までに全市町村での整備が目標とされています。

介護職にとってのメリット

  • BPSD対応の基礎が体系的に整理できる
  • 地域包括ケアの全体像を理解できる
  • 家族・地域住民との対話の引き出しが増える
  • キャラバン・メイトを目指せば認知症ケア専門職としての発信力につながる

サポーターになる方法

個人で受講する

  1. 住んでいる市区町村の高齢介護課・地域包括支援センターのHPで開催情報を確認
  2. 申込フォームまたは電話で予約(無料)
  3. 会場(公民館・地域包括支援センター・公共施設)で約90分受講
  4. 修了後にサポーターカード(一部自治体ではオレンジリング)を受領

職場で受講する

5名程度の希望者が集まれば、自治体に依頼して職場や事業所への出張講座を開催してもらえます。介護施設の新人研修・銀行や小売業の接遇研修として導入する企業が増えています。

オンライン受講

近年は自治体によりオンライン形式(Zoom等)でも実施されており、勤務シフトの厳しい介護職員にも参加しやすくなっています。

よくある質問

Q. 介護職もわざわざ受ける意味はありますか?

A. あります。サポーター養成講座は「地域での見守り視点」が中心で、施設内ケアでは得にくい家族支援・地域包括ケアの基礎が学べます。新人研修プログラムに組み込む施設も多く、地域住民との連携力を養う第一歩になります。

Q. 試験はありますか?

A. 試験はありません。90分の講座を最後まで受講すれば全員にサポーターカードが交付されます。資格としての更新義務もありません。

Q. 認知症サポーターと認知症ケア専門士は違いますか?

A. 全く別物です。認知症ケア専門士は日本認知症ケア学会が認定する民間資格で、実務経験3年以上などの要件があり試験があります。サポーターは資格ではなく「正しい知識を持つ人」の称号です。

Q. 累計のサポーター数はどれくらいですか?

A. 認知症サポーターキャラバン本部の発表によると、2024年6月時点で累計1,500万人以上です。これは日本人約8人に1人がサポーターである計算で、世界に類を見ない大規模な認知症啓発運動として注目されています。

参考資料

まとめ

認知症サポーターは、誰でも90分の講座で取得できる「認知症の応援者」です。資格や活動義務はなく、知識を持って優しいまなざしで見守ること自体が役割です。介護職にとってはBPSD対応や地域包括ケアの基礎を整理し、家族支援の引き出しを増やす機会になります。さらに学びたい人はステップアップ講座やチームオレンジ参加へ進み、地域でのつながりづくりに活かしましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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