エンゼルケア(死後の処置)の実際|介護職の手順・感染対策・家族へのグリーフケア
介護職向け

エンゼルケア(死後の処置)の実際|介護職の手順・感染対策・家族へのグリーフケア

介護職が関わるエンゼルケア(死後の処置)を実務目線で解説。清拭・整容・詰め物の考え方、標準予防策、医療職や葬儀社との役割分担、家族と一緒に行う意味と看取り後のグリーフケア、介護職自身のメンタルケアまで。

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エンゼルケア(死後の処置)とは、亡くなった利用者の身体を清潔に整え、その人らしい姿で見送るために行う逝去時のケアです。医師の死亡確認後に始め、清拭・整容・着替え・エンゼルメイクなどを、看護師や葬儀社と役割を分担しながら進めます。介護職にとっては、長く関わってきた利用者を尊厳ある姿で送り、ご家族の悲しみにそっと寄り添う最後のケアであり、感染対策(標準予防策)の徹底とご家族の意向の尊重が基本になります。

目次

長く関わってきた利用者が亡くなったとき、介護職が最後に担うケアが「エンゼルケア(死後の処置)」です。日本では2024年の死亡数が1,605,298人と過去最多を更新し、4年連続で増加しています(厚生労働省 令和6年人口動態統計)。高齢化と多死社会の進行にともない、自宅や介護施設で最期を迎える方が増え、看護師だけでなく介護職がエンゼルケアに関わる場面も着実に増えています。

エンゼルケアは、単なる身体の処置ではありません。亡くなった方の尊厳を守り、その人らしい姿で送り出すと同時に、残されたご家族の悲しみに寄り添うグリーフケアの入り口でもあります。一方で、感染対策をおろそかにすれば自分自身の安全が脅かされ、ご家族への配慮を欠けば後悔の残るお別れになりかねません。この記事では、介護職の視点から、エンゼルケアの意義と基本的な流れ、感染対策と倫理的配慮、医療職や葬儀社との役割分担、ご家族と一緒に行う意味、そして看取りを支えた介護職自身の心のケアまでを、実務に沿って整理します。

エンゼルケアの意義|なぜ介護職が「最後のケア」に関わるのか

エンゼルケアには、大きく3つの意義があります。これらは互いに重なり合っており、介護職が手を動かす一つひとつの動作が、そのまま家族へのケアにもつながっていきます。

1. 故人の尊厳を守り、その人らしい姿で送る

亡くなった直後の身体には、顔面の蒼白化や筋の弛緩といった死後の変化が現れ始めます。清拭で身体を清潔にし、髪を整え、生前のその人らしい表情に近づけることは、「最期まできちんとケアしてもらえた」という事実を形にする行為です。長く生活を支えてきた介護職だからこそ、その方が大切にしていた身だしなみや好み、いつもの髪型や愛用していた服を知っており、自然な姿に整えやすい立場にあります。これは、生活の場で日々関わってきた介護職にしか担えない役割といえます。

2. ご家族のグリーフケアにつながる

整えられた穏やかな表情を見ることは、ご家族が死別の悲しみと向き合う第一歩になります。「きれいなお顔でお別れできた」「最後まで大切にしてもらえた」という実感は、その後の長い悲嘆(グリーフ)の過程をやわらげる支えになります。逆に、慌ただしく事務的に処置が進むと、ご家族に後悔や心残りを残してしまうこともあります。エンゼルケアは、亡くなった方へのケアであると同時に、生きている家族へのケアでもあるという視点が欠かせません。

3. 感染対策と公衆衛生上の役割

厚生労働省は2025年10月に「事業者等における適切な御遺体の取扱い等に関するガイドライン」を示し、多死社会で御遺体を取り扱う機会が増えるなか、公衆衛生・労働安全衛生上の配慮が必要だと指摘しています。御遺体の血液や体液には、主病名が感染症でなくても、さまざまな病原体が存在しうるためです。適切な清拭と漏出予防は、ご家族や次に関わる人、そして自分自身を守る意味も持っています。尊厳を守ることと、安全を守ることは、対立するものではなく両立させるべきものです。

なお、エンゼルケアという言葉は逝去後の処置全般を指し、より医学的・感染対策的な側面を強調するときは「死後処置」と呼ばれます。本記事では介護現場で広く使われる「エンゼルケア」を基本に解説します。死後処置の定義や歴史をより詳しく知りたい方は、死後処置(エンゼルケア)とはもあわせてご覧ください。

エンゼルケアの基本的な流れ|清拭・整容から着替え・エンゼルメイクまで

エンゼルケアは、医師による死亡確認の後に始めます。死亡確認までは処置を急がず、ご家族が故人と過ごす時間を優先します。施設や事業所ごとに手順は異なるため、必ず自分の職場のルールに沿って行うことが前提です。ここでは一般的な流れを段階ごとに整理します。所要時間はおおむね30分から1時間程度が目安です。

ステップ1:ご家族への声かけと準備

まずはご家族に「これからお身体を整えさせていただきます」と伝え、一緒に行いたいか、別室で待ちたいかの意向を確認します。同時に、手袋・ガウン(エプロン)・マスクなどの個人防護具、清拭用のお湯とタオル、保湿剤、着替え、口腔ケア用品、エンゼルメイク用品などを準備します。

ステップ2:医療器具の抜去と漏出予防(看護師主体)

点滴やカテーテルなどの医療器具は、看護師が抜去します。抜去部は体液がにじみ出やすいため、ガーゼや脱脂綿で圧迫し、必要に応じてフィルム材で密閉して保護します。介護職は看護師の処置を妨げないよう、清拭や整容の準備を進めます。

ステップ3:全身清拭と排泄物の処理

掛け物を使って露出を最小限にしながら、優しく押さえるように全身を清拭します。死後は皮膚が傷つきやすくなるため、強くこすらないことが大切です。乾燥しやすい部位には保湿剤を塗布します。排泄物が出ないよう、陰部の清拭やおむつの装着で漏出予防を行います。

ステップ4:口腔ケア

口腔ケアは早めに行うのが基本です。顎の関節は死後比較的早い段階で硬直が始まるため、義歯がある場合は先に外し、口腔内を清潔にしてから装着します。口が閉じにくいときは、丸めたタオルを顎の下に挟んで支え、自然に閉じた状態を保ちます。口が開いてしまう場合でも、無理に固定しようとしないことが、現在の考え方です。

ステップ5:詰め物の考え方

鼻や口、肛門などへの詰め物は、体液の漏出を防ぐために行われてきた処置です。厚生労働省・経済産業省のガイドラインでも、清拭と「鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等」による漏出予防の有効性が示されています。一方で、皮膚や粘膜を傷つけないよう、必要な範囲で丁寧に行うことが重視されるようになっています。詰め物をする場合も、クリームを塗布してから挿入するなど、組織を傷めない配慮が求められます。職場の方針や、紙おむつ・吸収剤による代替も含めて、ルールを確認しておきましょう。

ステップ6:着替えと整容

死後硬直が進むと関節が動かしにくくなるため、着替えは比較的早めに行います。硬直が始まっている場合は、関節を優しくほぐしながら少しずつ袖を通します。生前のご本人やご家族の希望に沿って衣服を選び、最後に姿勢を整えて自然な寝姿をつくります。爪切りや整髪もこの段階で行います。

ステップ7:エンゼルメイク

エンゼルメイクは、生前の「その人らしさ」を取り戻すために行います。乾燥を防ぐため顔全体を保湿し、薄く自然に整えるのが基本で、過度な化粧は避けます。ご本人が普段使っていた化粧品があれば、ご家族に確認のうえ使わせていただくと、より自然な仕上がりになります。男性はひげを整え、女性は血色が見えるよう自然な色みを足す程度にとどめます。

ステップ8:冷却とお見送り

腐敗の進行や臭気・漏液を抑えるため、保冷剤などで胸部・腹部を中心に冷却します。すべてが整ったら、ご家族にお顔を見ていただき、お別れの時間をつくります。葬儀社への引き継ぎ事項も、このタイミングで整理しておきます。

感染対策と倫理的配慮|標準予防策を徹底する

エンゼルケアでは、亡くなった方の身体に直接触れるため、感染対策は欠かせません。基本となるのは、感染症の有無にかかわらずすべての人に適用する「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」です。

御遺体は常に一定の感染性を持ちうる

厚生労働省のガイドラインは、死亡診断書に感染症の記載がなくても、御遺体は死後一定時間、感染性を有する病原体を保持している可能性があると指摘しています。つまり「感染症と書かれていないから大丈夫」ではなく、どの方のエンゼルケアでも標準予防策を適用するのが原則です。

個人防護具の正しい着脱

清拭や口腔ケア、医療器具抜去部の処置では、手袋・ガウン(エプロン)・マスクを着用します。吸引など飛沫が飛ぶ可能性がある処置では、ゴーグルやフェイスシールドも使います。防護具の着脱には順番があり、汚染された手袋を最初に外せるよう「ゴム手袋を最後に着け、最初に外す」のが原則です。手袋を外したあとは、目に見える汚れがあれば石けんと流水で手を洗い、汚れがなくてもアルコールによる手指消毒を行います。手袋をしていても、汚染された手袋で周囲に触れれば感染の原因になるため、注意が必要です。

体液の漏出予防

医療器具を抜いた部位や粘膜からは体液がにじみ出やすくなります。圧迫やフィルム材での密閉、詰め物や紙おむつの使用で漏出を防ぎます。万一漏液があった場合に備え、ご家族にも拭き取り方法や手洗いの徹底を簡単に説明しておくと安心です。使用した防護具は感染性廃棄物として、職場のルールに従って適切に廃棄します。

倫理的配慮|ご家族の意向と宗教・文化を尊重する

感染対策が必要な処置であっても、ご家族にとっては大切な人の身体に手を加える行為です。詰め物や器具の抜去などは、ご家族の心情に配慮し、必要性を簡潔に伝えながら進めます。また、宗教や地域によって、北枕や手の組み方、清拭の作法、着せる衣服などに決まりがある場合があります。一方的に進めず、「ご希望の作法はありますか」と確認することが、尊厳を守るうえで欠かせません。

医療職・葬儀社との役割分担|誰が何を担うのか

エンゼルケアは、介護職だけで完結するものではありません。看護師・介護職・葬儀社が、それぞれの専門性に応じて役割を分担しながら進めます。施設の体制や、施設か在宅かによっても担い手は変わります。あらかじめ誰がどこまで担うのかを多職種で確認しておくことが、当日の混乱を防ぎ、ご家族を待たせない丁寧なケアにつながります。

担い手主な役割
医師死亡確認・死亡診断書の作成。すべてのケアは死亡確認後に開始する。
看護師点滴・カテーテルなど医療器具の抜去、抜去部の処置、医学的な漏出予防の判断。ご家族への医療的な説明。
介護職全身清拭、整容、着替え、口腔ケア、エンゼルメイクなど。生前のその人らしさを反映した整え。ご家族への声かけと寄り添い。
葬儀社・納棺師搬送後の本格的な納棺・湯灌・エンバーミング等。施設・在宅でのエンゼルケアを引き継ぐ。

施設での役割分担

介護施設では、看護師が医療器具の抜去と漏出予防を担い、介護職が清拭・整容・着替えを担当する形が一般的です。ただし夜間など看護師が不在の時間帯もあるため、その場合の連絡体制や手順をあらかじめ決めておくことが大切です。周囲の利用者が動揺しないよう静かな環境を整えることも、施設ならではの配慮です。多職種で役割を確認し合いながら進めます。

在宅での役割分担

在宅では、訪問看護師が中心となり、ご家族の協力のもとでケアを行うことが多くなります。本格的な整えは葬儀社や納棺師が担うことも多い一方、訪問看護や訪問介護が関わる場合は、ご家族の意向をより深く汲み取りながら進めます。住み慣れた自宅で最期を迎えられた喜びを、ご家族と分かち合う姿勢も大切です。在宅看取りに訪問介護として関わるにはもあわせて参考にしてください。

葬儀社への引き継ぎ

葬儀社は、ご遺族や故人の情報を持たないまま対面します。療養の経過や、ご家族同士の関係性、触れてほしくない話題(NGワード)などを共有しておくと、その後のグリーフケアの質が高まります。介護職は生活面で得た情報を、節度をもって引き継ぐ役割も担えます。

死後の変化を理解する|現場でよくある困りごとと対処

エンゼルケアを落ち着いて行うには、死後に身体に何が起こるかを理解しておくことが助けになります。時間の経過とともに、死後硬直・乾燥・腐敗・臭気・漏液といった変化が進みます。これらは自然な現象であり、適切なケアで目立たなくすることが目的です。

死後硬直のタイミングを踏まえて動く

死後硬直は、顎など小さな関節から比較的早く始まり、徐々に全身へ広がります。そのため、口腔ケアと口元を整える処置、そして着替えは早めに行うのが基本です。硬直が進んでしまった場合は、関節を無理に動かさず、優しくほぐしながら少しずつ進めます。力ずくで動かすと、ご家族の前で痛々しい印象を与えるだけでなく、組織を傷つける原因にもなります。

体液の漏れ・臭気への対処

医療器具を抜いた部位や粘膜からは、体液がにじみ出ることがあります。圧迫・密閉・詰め物・紙おむつで漏出を防ぎ、早い段階から胸部・腹部を中心に冷却することで、腐敗の進行と臭気を抑えます。在宅では、万一の漏液に備えて、ご家族にも拭き取りの方法と手洗いの徹底を簡単に伝えておくと安心です。

顔色の変化とエンゼルメイク

死後しばらくすると顔は次第に蒼白になります。エンゼルメイクで自然な血色を補うのは、ご家族のショックをやわらげるためです。ただし目的は「その人らしさ」を取り戻すことであり、厚化粧にならないよう自然さを優先します。

口が閉じない・目が開くとき

状態によっては、口が完全に閉じなかったり、目が開いてしまうことがあります。口は顎の下にタオルを挟んで支え、目は乾燥を防ぎながらそっと閉じるようにします。どうしても閉じない場合に、かつて行われた頭頂部と顎をタオルで強く巻いて固定する方法は、顔の膨張や身体拘束の観点から、現在は行いません。無理のない範囲で整えることが、現在の基本的な考え方です。

ご家族と一緒に行う意味|予期悲嘆とグリーフケア

エンゼルケアは、ご家族に「一緒に行いますか」と声をかけ、参加していただけることがあります。手を拭く、髪をとかす、好きだった服を選ぶといった行為に加わることは、ご家族にとって大切な意味を持ちます。

  • お別れを実感する時間になる:直接手を添えることで、死別という現実を少しずつ受け止める助けになります。これは、看取りの前後に生じる「予期悲嘆」から、現実の喪失を受け入れる過程への橋渡しになります。
  • 「できることをした」という実感が残る:何もできなかったという無力感は、その後の悲嘆を長引かせることがあります。最後に手を添えられたという経験は、後悔をやわらげます。
  • 強制はしない:参加はあくまで任意です。「無理に触れなくても大丈夫ですよ」と伝え、別室で待ちたいという気持ちも尊重します。負担の少ない動作から、さりげなく誘うのがコツです。

グリーフケアにつながる声かけの例

処置の最中、ご家族の感情は揺れ動きやすい状態にあります。次のような声かけが、悲しみにそっと寄り添う支えになります。

  • 故人をねぎらう言葉:「お疲れさまでした」「最後までよく頑張られましたね」
  • 安心感につながる言葉:「穏やかなお顔をされていますね」「◯◯さんらしい優しい表情ですね」
  • 思い出を引き出す問いかけ:「身だしなみで大切にされていたことはありますか」「思い出の服はありますか」

大切なのは、ご家族のペースに合わせることです。沈黙も無理に埋めようとせず、うなずく、手を握るといった身体的な寄り添いも、言葉以上に気持ちを支えることがあります。なお、グリーフケアは医療・介護職だけで完結するものではなく、長引く悲嘆には専門家の援助が必要になる場合もあることを心に留めておきましょう。

看取り後の介護職自身のメンタルケア|デスカンファレンスとセルフケア

エンゼルケアを終えた後、介護職自身の心にも負担が残ります。長く関わった利用者の死は、家族のような喪失感や、「もっとできたことはなかったか」という自責につながることがあります。こうした感情は自然な反応であり、抱え込まずにケアすることが、燃え尽き(バーンアウト)を防ぐうえで重要です。

デスカンファレンスで振り返る

デスカンファレンスは、利用者が亡くなった後に多職種で行う振り返りの場です。ケアの内容を評価して次に活かすと同時に、関わったスタッフが感情を言葉にし、互いの気持ちを支え合う役割も持ちます。「あの対応でよかったのか」という迷いを一人で抱えず、チームで共有することで気持ちが整理されます。進め方や目的の詳細は、デスカンファレンスとはで解説しています。

セルフケアの基本

  • 感情を否定しない:悲しい、つらいと感じることは、ケアに真剣に向き合った証です。無理に「平気なふり」をしないことが回復への近道です。
  • 誰かに話す:同僚や上司、家族に気持ちを言葉にするだけで、負担は軽くなります。
  • 意識的に休む:看取りが続いた時期は、十分な休息と気分転換を意識的にとります。
  • 線引きを意識する:寄り添うことと、自分を犠牲にすることは別です。健全な距離感を保つことが、長く働き続ける土台になります。

看取り後のグリーフは、家族だけのものではなく、ケアを担った介護職にも生じます。組織としてスタッフを支える仕組みづくりも欠かせません。介護職自身のグリーフケアについては、看取り後の介護職グリーフケアでより詳しく扱っています。

エンゼルケアに関するよくある質問

Q. エンゼルケアは介護職が一人で行ってもよいですか

原則として、医療器具の抜去などは看護師が担当し、清拭・整容・着替えなどを介護職が担う役割分担で進めます。施設ごとに体制やルールが異なるため、必ず自分の職場の手順を確認し、多職種で連携して行ってください。

Q. 死後の処置はいつから始めますか

医師による死亡確認の後に始めます。死亡確認までは処置を急がず、ご家族が故人と過ごす時間を優先します。所要時間はおおむね30分から1時間が目安です。

Q. 感染症があるとわかっている方のエンゼルケアで特に注意することは

標準予防策を徹底したうえで、必要に応じてサージカルマスク・手袋・長袖ガウン・目の防護具を着用します。清拭と詰め物・紙おむつ等による体液の漏出予防を行うことで、感染リスクは大きく下げられます。詰め物だけでは漏出予防が難しい場合や損傷が激しい場合は、納体袋の使用を検討します。判断に迷うときは看護師や上司に確認してください。

Q. 詰め物は必ず行うのですか

体液の漏出予防として有効とされていますが、皮膚や粘膜を傷つけないよう必要な範囲で丁寧に行うことが大切です。紙おむつや吸収剤での代替も含め、職場の方針に従ってください。

Q. エンゼルメイクで気をつけることは

「その人らしさ」を取り戻すことが目的なので、過度な化粧は避け、自然に整えます。乾燥を防ぐ保湿を基本に、ご本人が普段使っていた化粧品があれば、ご家族に確認のうえ使わせていただくとより自然になります。

Q. ご家族が処置への参加を希望されたら

無理のない範囲で、手を拭く、髪をとかすといった負担の少ない動作から誘ってみましょう。参加は任意です。「無理に触れなくても大丈夫です」と伝え、別室で待ちたいという気持ちも尊重します。

Q. 初めてエンゼルケアを担当するとき、心の準備はどうすればよいですか

戸惑いや緊張を感じるのは自然なことです。事前に職場の手順書を読み、可能であれば先輩と一緒に入らせてもらうと安心です。ケアの後につらさが残ったときは、一人で抱え込まず、同僚や上司に気持ちを話したり、デスカンファレンスの場で共有したりすることが大切です。

参考文献・出典

まとめ

エンゼルケア(死後の処置)は、亡くなった利用者を尊厳ある姿で送り出し、ご家族の悲しみに寄り添う、介護職にとって最後の大切なケアです。医師の死亡確認後に、看護師や葬儀社と役割を分担しながら、清拭・整容・着替え・エンゼルメイクを進めます。どの方のケアでも標準予防策を徹底し、自分自身とご家族、次に関わる人を感染から守ることが基本になります。

同時に、詰め物や器具の抜去などはご家族の心情に配慮し、宗教や文化の作法を一方的に決めつけず確認することが、尊厳を守るうえで欠かせません。ご家族が望めば一緒にケアを行い、負担の少ない動作からさりげなく誘うことで、お別れを実感する時間と「できることをした」という実感を支えられます。そして、看取りを担った介護職自身の心のケアも忘れてはいけません。デスカンファレンスで気持ちを共有し、感情を抱え込まないことが、長く現場で利用者と向き合い続けるための土台になります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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