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ホスピス最大手「医心館」に厚労省が合同調査|訪問看護の不正請求問題と介護業界への波紋

ホスピス最大手「医心館」に厚労省が合同調査|訪問看護の不正請求問題と介護業界への波紋

ホスピス型住宅最大手「医心館」を運営するアンビスHDに厚労省が合同調査を実施。訪問看護の不正・過剰請求の実態、特別調査委員会の報告内容、2026年診療報酬改定による影響、介護業界で働く人が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

ポイント

この記事のポイント

ホスピス型住宅最大手「医心館」を運営するアンビスホールディングスに対し、2026年2月、厚生労働省が健康保険法に基づく合同調査を開始しました。通常は地方厚生局が行う調査に厚労省本省が乗り出す異例の対応です。背景には、訪問看護での不正・過剰な診療報酬請求の指摘があり、2025年8月の特別調査委員会報告書では約6,300万円の実態なき請求が判明。さらに2026年度診療報酬改定では訪問看護報酬の大幅引き下げが決定し、ホスピス型住宅の経営モデルそのものが転換を迫られています。介護業界で働く方にとって、今後の業界構造の変化を理解するうえで重要なニュースです。

厚労省が合同調査に踏み切った経緯と背景

2026年2月21日、共同通信の報道により、ホスピス型住宅最大手「医心館」に対して厚生労働省が合同調査を開始したことが明らかになりました。この調査は健康保険法に基づくもので、埼玉県内の医心館を対象に、関東信越厚生局および埼玉県との合同で実施されています。

なぜ厚労省「本省」が動いたのか

通常、医療機関や訪問看護ステーションに対する調査は、出先機関である地方厚生局が担当します。しかし今回は、厚労省本省が直接乗り出すという異例の対応が取られました。その理由として、以下の点が指摘されています。

  • 全国規模の展開:医心館は33都道府県に約130カ所を展開しており、問題が一地域にとどまらない可能性がある
  • 請求額の大きさ:末期がん・難病患者を対象とした訪問看護は、回数制限解除の特例が適用されるため、1人あたりの診療報酬請求額が非常に高額になる
  • 社会的影響の大きさ:東証プライム上場企業が運営しており、業界全体への波及効果が大きい

全国一斉調査の中での位置づけ

厚労省は2026年1月から、訪問看護に関する全国調査をすでに開始していました。この調査は、八つの地方厚生局・支局が47都道府県で少なくとも1カ所ずつ実施するもので、ホスピス型住宅や精神科に特化した訪問看護ステーションでの不正・過剰請求の実態解明を目的としています。医心館への合同調査は、この全国調査の一環でありながら、その中でも特に重点的な対応として位置づけられます。

一連の動きの発端となったのは、共同通信による2025年3月以降の継続的な報道でした。内部文書や複数の元社員の証言をもとに、訪問看護における不正・過剰請求の実態が次々と明らかになり、厚労省が本格的な調査に乗り出す契機となったのです。

医心館とアンビスホールディングスとは

問題を理解するためには、まず「医心館」がどのような施設で、どのようなビジネスモデルで成長してきたのかを把握する必要があります。

ホスピス型住宅「医心館」の概要

医心館は、末期がんや神経難病などの終末期患者を対象とした住宅型有料老人ホームです。「ホスピス型住宅」と呼ばれるこのタイプの施設は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)等の形態で運営され、入居者に対して看取りまでのケアを提供します。

運営するのは東証プライム上場の株式会社アンビスホールディングス(東京)で、2013年に医師の柴原慶一氏が設立しました。2014年に第1号ホームを開設して以降急成長を遂げ、全国33都道府県に約130カ所、定員約6,700人を擁する業界最大手に成長しました。年間売上高は約500億円に達し、非常に短期間で東証プライム上場を果たした企業です。

医心館のビジネスモデル

医心館のビジネスモデルは、通常の有料老人ホームとは大きく異なります。一般的な有料老人ホームは入居費(家賃)と介護保険収入を主な収益源としますが、医心館は以下の構造で高収益を実現していました。

  1. 末期がん・難病患者の受け入れ:終末期の患者に特化することで、医療保険からの訪問看護報酬を最大化
  2. 訪問看護ステーションの併設:施設に併設した自社の訪問看護ステーションから入居者にサービスを提供
  3. 回数制限解除の活用:末期がんや厚生労働大臣が定める難病の患者は、通常の週3回・1日1回の訪問看護回数制限が解除され、毎日・1日3回までの訪問が可能
  4. 加算報酬の活用:深夜・早朝の時間帯加算や、複数名での訪問加算により、さらに報酬額を上乗せ

このモデルにより、入居者1人あたりの月額訪問看護報酬は最大で80万〜90万円にも達する場合があったとされています。費用面では、緩和ケア病棟の月額25〜30万円に対し、ホスピス型住宅は入居者負担が約19〜20万円台と割安である一方、医療保険からの報酬収入は非常に高額でした。

急成長の背景にあった制度上の追い風

医心館が急成長できた背景には、いくつかの制度的・社会的要因がありました。

  • 緩和ケア病床の慢性的不足:病院の緩和ケア病床は全国的に不足しており、代替的な受け皿が求められていた
  • 国の在宅推進政策:「住まいながら看取りケアを受けられる」モデルは、国の在宅医療推進政策と合致していた
  • 高齢化・多死社会の進行:終末期ケアの需要は年々増加しており、市場は拡大傾向にあった

こうした追い風を受けて、医心館のみならず多くの事業者がホスピス型住宅に参入し、業界全体が急拡大していきました。

指摘されている不正・過剰請求の具体的内容

医心館における訪問看護の問題は、2025年3月の共同通信のスクープ報道を皮切りに、段階的に明らかになりました。ここでは報道および特別調査委員会の報告書に基づき、指摘されている問題の具体的な内容を整理します。

訪問看護における4つの問題点

問題の核心は、訪問看護の「回数制限解除」という制度上の特例の運用にありました。末期がんや厚生労働大臣が定める神経難病の患者には、通常の週3回・1日1回の上限が外れ、毎日・複数回の訪問が可能になります。この特例は、終末期の急変リスクに対応するための合理的な制度ですが、問題はこの特例を「患者の状態に関係なく、スケジュールとして上限まで組み込む」運用にありました。

1. 訪問回数の必要性の問題

複数の現・元社員の証言によれば、「必要ない人まで1日3回の訪問予定表が30分単位で組まれ」ていたとされています。つまり、患者の医学的必要性に基づくのではなく、報酬最大化のためにルーティンとして訪問回数が設定されていたという指摘です。

2. 短時間訪問の実態

厚労省の通知により、訪問看護は原則1回あたり30分以上とされています。しかし、特別調査委員会の報告書では、数分程度の短時間訪問が9,900件あったことが判明しました。短時間で済んだ場合でも予定表通りすべて30分実施したと記録されていたと、複数の社員が証言しています。

3. 複数名訪問の実態

複数のスタッフで訪問したとして加算報酬を請求していましたが、実態が認められないケースが約1,300件あったと報告されています。1人で対応した場合でも、2人で訪問したことにしていたという証言が複数あります。

4. 記録の不整合

勤務記録と訪問看護記録が合わない事例も多数確認されています。社内マニュアルには「実際の訪問時間の入力不要」とメモ書きがされていたという証拠も、共同通信が入手した内部資料に含まれていました。

訪問介護でも不正の疑い

2025年4月27日の共同通信の続報では、訪問看護だけでなく訪問介護でも不正・過剰な介護報酬請求があったことが報じられました。共同通信が入手した社内オンライン会議の動画では、会社ぐるみで不正を行っていた疑いも指摘されています。

元現場責任者の証言によれば、「入居者の支給限度額に対し平均8割の金額まで訪問介護を組むよう、本社の部長から指示された」とのことです。これは、利用者の状態に応じたケアプランではなく、報酬の最大化を優先した指示であり、介護保険制度の趣旨からも問題があります。

コンプライアンス部長による記録改ざん指示

さらに深刻な問題として、自治体の指導監査を受ける際に、法令遵守を担当すべきコンプライアンス部長が、つじつま合わせのためスタッフの勤務記録を改ざんするよう指示していたことが、調査報告書で明らかになっています。法令遵守の責任者が自ら記録改ざんを主導していたことは、組織的な問題の深刻さを示すものです。

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特別調査委員会の報告書と企業側の主張

2025年8月8日、アンビスホールディングスは特別調査委員会の報告書を公表しました。この報告書は約70ページに及ぶもので、元検事長・元判事の弁護士2名と公認会計士1名で構成された調査委員会が、4カ月以上にわたって調査を行った結果です。485万件のメールの調査や、本社役員から現場の看護師・介護士まで247人へのヒアリングが実施されました。

報告書が認定した不正請求額

報告書では、以下の項目に分けて不正額が算定されています。

  • 訪問看護の実態を欠くことが明らかな診療報酬額:約5,300万円
  • 複数名訪問の実態が認められない診療報酬額:約359万円
  • 訪問看護の実態がなかったと認めざるを得ない診療報酬額:約514万円
  • 訪問看護記録の裏付けができない診療報酬請求額:約150万円
  • 訪問介護記録の裏付けができない介護報酬額:約40万円

合計で約6,300万円の不正請求額が認定されました。

報告書の評価と限界

調査委員会は「多額の診療報酬を受けるために架空の事実をねつ造したような悪質な不正請求の事案とまでは認められない」と結論づけました。その一方で、法令遵守意識の低さや営利優先の問題を明確に指摘しています。

しかし、この結論に対しては業界関係者から強い疑問の声が上がっています。6,300万円という金額は同社の調査対象期間の売上総額の0.05%程度に過ぎず、同様に訪問看護の不正請求が問題となったサンウェルズ(PDハウス運営)の特別調査委員会による不正請求額が約28億円であったことと比較しても、極端に低い金額です。

専門家からは「看護記録がない、看護実態と記録が合致しない場合は通常、不正請求とされるのが一般的」であり、調査委員会の判断基準が甘すぎるとの批判が出ています。

企業側の主張と社員からの反発

報告書の公表を受けて、アンビスHDは「組織的な不正や不正請求はないことが認定された」との見解を発表しました。さらに、6,300万円という金額についても「看護実態を示す記載が不十分であると認定されたもの」であり、「実際の返戻額とは無関係な数字」だと主張しています。

しかし、この企業側の主張に対して社員から反発の声が上がりました。医心館で働く看護師は「調査報告書を読めば、『不正がなかった』と言い切るのは無理がある」と述べ、「会社はウソをついている」との声も上がるなど、社内でも認識の相違が表面化しています。

報告書公表後、アンビスHDは2025年8月14日に改善策を公表し、訪問看護業務の定義と標準化、内部統制の再構築、内部監査機能の強化などに取り組む姿勢を示しました。ただし、その実効性については引き続き注視が必要です。

2026年度診療報酬改定がホスピス型住宅に与える影響

医心館の問題が表面化する中、2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、ホスピス型住宅の訪問看護に対する大幅な規制強化と報酬引き下げが実施されることになりました。2026年6月からの施行が予定されており、業界に大きな転換をもたらします。

規制強化の内容

今回の改定では、以下のような規制が新たに導入されます。

  • 低額家賃による入居者誘引の禁止:訪問看護収入で利益を上げることを前提とした著しい低額家賃設定が規制される
  • 利用者紹介料の支払い禁止:入居者を紹介してもらう対価としての紹介料の授受が禁止される
  • 不適切な利用指示の禁止:主治医や訪問看護事業者・ホーム事業者などの利用指示による対価の収受が禁止される

これらの規制は、訪問看護で収益を上げるためのビジネスモデル自体を是正する狙いがあります。

報酬区分の細分化と実質的引き下げ

報酬面では大きな見直しが行われます。従来、ホスピス型住宅の利用者数に基づく報酬区分は「2人以下」と「3人以上」の2区分のみでした。改定後は以下の5区分に細分化されます。

  • 2人以下
  • 3〜9人
  • 10〜19人
  • 20〜49人
  • 50人以上

さらに、10人以上の区分では1カ月あたりの訪問日数が「20日まで」と「21日目以降」で報酬額が変わる仕組みが導入されます。大規模施設ほど報酬が低く設定されるため、大型の医心館のような施設は特に大きな影響を受けます。

包括型訪問看護療養費の新設

加えて、ホスピス型住宅に併設された訪問看護ステーションが、24時間体制で頻回の訪問看護を行った場合に1日あたりで算定する「包括型訪問看護療養費」が新設されます。報酬区分は施設内利用者数に応じて「20人未満」「20〜50人未満」「50人以上」の3区分が設けられ、施設が大型化するほど報酬は低く設定されています。

報酬額への具体的影響

共同通信の試算によれば、この改定により、入居者1人あたりの月額訪問看護診療報酬は、最大で80万〜90万円だったものが最大でも45万円程度まで引き下げられると予測されています。実に半額近い減額であり、従来のビジネスモデルに依存していたホスピス型住宅の経営に甚大な影響を与えることは確実です。

アンビスHD自身も、2026年9月期の業績見通しにおいて「診療報酬改定の影響を一定考慮」した上で増収減益を見込んでおり、EBITDAマージンは17.7%から12.8%へと約5ポイントの低下、営業利益は前年比44.9%減という大幅な減益予想を発表しています。

ホスピス型住宅の構造的問題と「囲い込み」の実態

今回の問題は、医心館単体の問題にとどまらず、ホスピス型住宅という業態そのものに内在する構造的な課題を浮き彫りにしました。

「箱を作って訪問看護を回す」ビジネスモデル

ホスピス型住宅における「囲い込み」とは、以下のような構造を指します。

  1. 高齢者住宅やホスピスという「箱」を建設する
  2. 自社の訪問看護ステーションを併設する
  3. 入居者に対して、制度上の上限に近い水準まで訪問看護や訪問介護を提供する
  4. 医療保険・介護保険から高額の報酬を得る

このモデルでは、入居者の家賃負担は比較的低く抑えられますが、その分を医療保険・介護保険からの報酬で補う仕組みになっています。入居者やその家族にとっては「低負担で手厚いケアが受けられる」ように見えますが、実際には公的保険制度の財源に大きな負担をかけるものです。

主治医への不適切な要求

日本在宅医療連合学会のアンケート調査では、ホスピス事業者が主治医に対して不適切な要求を行い、訪問看護の指示を操作している実態も報告されています。具体的には、患者の病名を実態と異なる形で記載するよう求めたり、医学的に必要とは言えない訪問回数の指示を要求するケースがあったとされます。

本来、訪問看護は主治医の指示に基づいて提供されるものであり、その必要性は患者の医学的状態に基づいて判断されるべきです。しかし、事業者側が営利目的で医師の指示をコントロールしようとする構造は、医療の質と信頼性を根底から損なうものです。

増大する社会保障費への影響

中央社会保険医療協議会(中医協)でも、ホスピス型住宅における異常に高額な訪問看護診療報酬は問題視されていました。限られた社会保障財源の中で、一部の事業者が制度の「隙間」を利用して過大な利益を得ることは、制度全体の持続可能性を脅かします。

厚労省が今回の問題に対して厳格な姿勢で臨んでいる背景には、膨張し続ける社会保障費の抑制という政策課題があります。2026年度の診療報酬改定は、まさにこの構造的問題に対する制度的な回答と位置づけられます。

適正なホスピスケアとの両立が課題

一方で、ホスピス型住宅が終末期ケアの重要な受け皿であることは事実です。アンビスHDの顧客満足度調査では、10点満点中8.80点という高い評価を得ており、現場で働く看護師・介護士の多くが真摯にケアに取り組んでいることも見逃せません。

問題は、制度の設計と運用の間にあるギャップです。終末期の患者に必要十分なケアを提供しつつ、過剰・不正な請求を防止する制度をどう設計するかが、今後の大きな課題となります。

介護業界で働く人が知っておくべき影響と今後の見通し

今回の一連の問題は、介護・医療業界で働くすべての人に影響を及ぼす可能性があります。特に転職を考えている方にとっては、業界の構造変化を理解しておくことが重要です。

訪問看護ステーションへの影響

2026年度の診療報酬改定は、ホスピス型住宅に併設された訪問看護ステーションに最も大きな打撃を与えます。報酬の大幅引き下げにより、これまでの高収益モデルは維持できなくなる見通しです。その結果として、以下のような影響が予想されます。

  • 一部事業者の経営悪化・撤退:報酬減により採算が取れなくなる施設が出てくる可能性がある
  • 人員削減や待遇見直し:高報酬を背景に高い給与水準を維持していた施設では、人件費の見直しが避けられない
  • 経営の健全化:一方で、適正な運営を行ってきた事業者にとっては、不当な競争がなくなるプラスの面もある

転職先選びで注意すべきポイント

介護・看護職として転職を考えている方は、以下の点に注意が必要です。

1. 収益構造の確認

訪問看護ステーションやホスピス型住宅への就職・転職を検討する際は、その施設の収益が特定の報酬体系に過度に依存していないかを確認しましょう。診療報酬改定のたびに経営が揺らぐ施設は、長期的な就業先としてリスクがあります。

2. コンプライアンス体制の確認

医心館の事例では、「不正だと分かっていても声を上げられない」組織風土が問題の一因でした。面接時に、法令遵守の体制や内部通報制度の有無を確認することは、自身のキャリアを守る上で重要です。

3. 記録・報告の適正性

訪問看護や訪問介護の記録が適正に行われているかどうかは、働く上での大きなチェックポイントです。「実際と異なる記録を作成することが求められる」ような職場は、個人としてもリスクを負うことになります。不正に加担した場合、看護師免許や介護福祉士の資格に影響する可能性もゼロではありません。

今後の業界の動向

今回の問題を受けて、ホスピス型住宅を取り巻く環境は大きく変化しています。今後、以下のような動きが予想されます。

  • 2026年6月の報酬改定施行:大規模施設を中心に経営への影響が顕在化する
  • 厚労省の調査結果:全国47都道府県での調査結果が順次明らかになり、追加の行政処分が行われる可能性がある
  • 2027年介護報酬改定への影響:訪問介護における不正も指摘されており、次期介護報酬改定でも関連する見直しが行われる可能性がある
  • 新たな制度の創設:ホスピス型住宅に特化した新たな制度枠組みの検討が進む可能性がある

適正な事業者を見極めるために

すべてのホスピス型住宅が不正を行っているわけではありません。終末期の患者に真摯に向き合い、適正な運営を行っている事業者も多数存在します。転職や利用を検討する際には、以下のような情報を参考にすることをお勧めします。

  • 行政による指定取消や業務停止などの処分歴がないか
  • 第三者評価を受けているか
  • 情報公表制度で公開されている運営状況
  • 実際に働いている職員の声や口コミ

まとめ:問題の本質と介護業界の転換点

ホスピス最大手「医心館」への厚労省合同調査は、単なる一企業の不正問題ではなく、日本の医療・介護制度の構造的な課題が表面化した出来事です。

問題の時系列整理

  • 2025年3月:共同通信が医心館の訪問看護における不正請求疑惑を報道
  • 2025年3月27日:アンビスHDが特別調査委員会を設置
  • 2025年4月27日:訪問介護でも不正請求疑惑が報道、会社ぐるみの疑いも
  • 2025年8月8日:特別調査委員会が報告書を公表、約6,300万円の不正認定
  • 2026年1月:厚労省が全国47都道府県で訪問看護の一斉調査を開始
  • 2026年2月21日:厚労省本省が医心館に対する合同調査を開始
  • 2026年6月(予定):診療報酬改定施行、訪問看護報酬の大幅引き下げ

この問題から学ぶべきこと

今回の問題は、以下の教訓を私たちに示しています。

制度の「隙間」を突くビジネスモデルの限界:訪問看護の回数制限解除という制度上の特例は、患者のために設けられたものでした。これを報酬最大化に利用するビジネスモデルは、短期的には高収益をもたらしましたが、制度改定という形で必ず是正されます。

透明性とコンプライアンスの重要性:内部告発や報道がなければ、問題は長期間にわたり放置されていた可能性があります。看護師たちの勇気ある告発が国を動かしたことは、組織内での声を上げることの重要性を示しています。

多死社会における看取りの場の在り方:高齢化が進み年間死亡者数が増加し続ける中で、病院以外の看取りの場は今後ますます必要になります。不正の是正と同時に、質の高い終末期ケアを持続可能な形で提供できる制度の設計が求められています。

介護業界で働く一人ひとりが、制度の変化を正しく理解し、適正な事業者のもとでキャリアを築いていくことが、業界全体の健全な発展につながります。今後も本件の推移を注視し、最新情報をお届けしてまいります。

参考出典

  • 共同通信「【独自】ホスピス最大手に厚労省合同調査 医心館、訪問看護報酬の不正指摘」(2026年2月21日)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(2026年3月5日公表)
  • アンビスホールディングス「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」(2025年8月8日)
  • 共同通信「実態ない診療報酬の請求判明 医心館、訪問看護で6300万円」(2025年8月8日)
  • 共同通信「医心館、訪問介護でも不正請求か ホスピス最大手、会社ぐるみ疑い」(2025年4月27日)

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公開日: 2026年4月13日最終更新: 2026年4月13日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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