
訪問介護と訪問看護の違い──家族が選ぶときの判断基準と併用の考え方
訪問介護(ホームヘルパー)と訪問看護(看護師)の違いを家族向けに解説。サービス内容・対象者・費用(介護保険と医療保険)・併用ルール・看多機や定期巡回との比較・ケアマネへの相談手順まで、迷わず選べるよう整理します。
結論:訪問介護は「生活の支え」、訪問看護は「医療の支え」
訪問介護(ホームヘルパー)は入浴・排泄・食事・掃除など生活面を支えるサービス、訪問看護(看護師)は点滴・褥瘡処置・服薬管理・病状観察など医療面を支えるサービスです。両者は役割が異なるため、家族が迷ったら「生活を助けてほしいのか/医療ケアが必要なのか」で切り分けて考えます。
- 訪問介護:介護福祉士・初任者研修修了者などが訪問。身体介護(入浴・排泄・食事介助)と生活援助(掃除・洗濯・買物・調理)
- 訪問看護:看護師・准看護師・保健師・理学療法士などが訪問。病状観察、医療処置、服薬管理、リハビリ、ターミナルケア
- 費用:訪問介護は介護保険1〜3割負担、訪問看護は介護保険または医療保険(1〜3割)。同日同時間帯の併用は原則不可だが、時間をずらせば併用可
- 対象者:訪問介護は要介護1〜5(要支援は介護予防訪問サービスへ)、訪問看護は医師が「訪問看護指示書」を出せば年齢や要介護度を問わず利用可能
- 選び方:医療依存度が高い・退院直後・看取り期は訪問看護を優先、医療は安定していて生活支援が中心なら訪問介護。判断が難しいときはケアマネジャーと主治医に相談
この記事では、家族が「どちらを・どのくらい・どう組み合わせて」使えばよいかを、制度・費用・対象者・併用ルールから具体的に整理します。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)や定期巡回・随時対応型訪問介護看護といった24時間対応サービスとの違いも解説します。
目次
はじめに:「訪問で来るサービス」が多すぎて混乱する家族へ
在宅介護が始まると、家族の前には「訪問」と名のつくサービスが次々と登場します。訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護──似た名前が並び、ケアマネジャーから一度に説明を受けても、どれが何をしてくれるのか整理しきれないまま契約日を迎えることは珍しくありません。
中でも混同されやすいのが「訪問介護」と「訪問看護」です。どちらも自宅に専門職が来てくれるサービスで名称も1文字違い。ところが、実際に担う役割・できること・使える保険・費用の仕組みはまったく別物です。「看護師さんに入浴をお願いしたら『それは訪問介護の領域です』と断られた」「ヘルパーさんに薬の管理を頼んだら『医療行為なのでできません』と言われた」──こうした行き違いが起きるのは、家族が両者の線引きを知らないまま利用を始めてしまうからです。
家族にとって大切なのは、訪問介護と訪問看護の役割分担を理解したうえで、本人の状態に応じてどちらを・どう組み合わせて使うかを判断できるようになることです。医療処置が必要な段階なのに訪問介護だけで乗り切ろうとすれば家族が疲弊しますし、生活支援で十分な段階で訪問看護だけに頼れば費用がかさみます。
この記事では、家族の視点から次の内容を順番に解説します。
- 訪問介護と訪問看護を比較表で一気に把握する
- それぞれができること・できないことを具体的に見る
- 介護保険と医療保険の費用の違い、併用のルール
- 対象者・医療依存度による使い分けの判断基準
- 24時間対応の看多機・定期巡回との比較
- ケアマネや主治医にどう相談して申し込むか
2024年度介護報酬改定の内容も反映し、家族が「迷わず選ぶ・うまく組み合わせる」ための実用情報として整理しました。本人の尊厳を守りつつ、家族の負担を最小化する選択の手助けになれば幸いです。
訪問介護と訪問看護の違いを比較表で整理
訪問介護と訪問看護は、担当する専門職・サービス内容・使える保険・料金体系まで違います。家族がサービス選択を考えるうえで押さえるべき主要項目を、まず一覧で整理します。
| 比較項目 | 訪問介護 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 目的 | 日常生活の支援(生活の維持) | 療養生活の支援(健康・医療の維持) |
| 訪問する職種 | 介護福祉士、実務者研修修了者、初任者研修修了者(ホームヘルパー) | 看護師、准看護師、保健師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(リハ職) |
| 主なサービス | 身体介護(入浴・排泄・食事)、生活援助(掃除・洗濯・買物・調理)、通院等乗降介助 | 病状観察、服薬管理、医療処置(点滴・褥瘡・カテーテル)、療養指導、リハビリ、ターミナルケア |
| 医療行為 | 原則不可(爪切り・服薬介助など一部の行為は条件付きで可) | 可(医師の指示書に基づく) |
| 対象者 | 要介護1〜5(要支援1・2は介護予防訪問サービス) | 医師が訪問看護指示書を出せば、年齢・要介護度を問わず利用可能 |
| 保険適用 | 介護保険 | 介護保険または医療保険(条件で決まる) |
| 自己負担 | 1〜3割(所得により変動) | 介護保険:1〜3割/医療保険:年齢・所得で1〜3割 |
| 利用回数の制限 | 区分支給限度基準額内であれば制限なし | 介護保険:制限なし/医療保険:原則週3回まで(例外あり) |
| 1回の時間 | 20分未満〜1時間以上(内容により区分) | 20分未満〜90分(指示書と計画により設定) |
| 利用申込の起点 | 担当ケアマネジャー | 主治医(訪問看護指示書)+ケアマネジャー |
| 典型的な利用場面 | 一人暮らし・日中独居の高齢者、家族の介護負担軽減 | 退院直後、医療依存度が高い、ターミナル期、精神科在宅療養 |
比較表から見えるポイント
この表から家族が意識すべきポイントは3つあります。
- 役割分担が明確:訪問介護は「生活」、訪問看護は「医療」。担当職種が違うため、依頼できる内容が異なります。
- 訪問看護は保険が2系統:介護保険で使うか医療保険で使うかが、対象者の状態や年齢によって自動的に決まります(後述)。
- 申し込みの起点が違う:訪問介護はケアマネに依頼すれば始まるのに対し、訪問看護は主治医の「訪問看護指示書」が必須。主治医とのやり取りが入る点が大きな違いです。
比較表で全体像をつかんだら、次のセクションからそれぞれの中身を具体的に見ていきましょう。
訪問介護とは|身体介護と生活援助でカバーする「生活の支え」
訪問介護は、ホームヘルパー(介護福祉士・実務者研修修了者・初任者研修修了者)が自宅を訪問し、日常生活を送るうえで困っている部分を直接サポートするサービスです。介護保険法に基づく居宅サービスで、要介護1〜5の認定を受けた方が利用できます(要支援1・2の方は、総合事業の「介護予防・日常生活支援総合事業」の訪問型サービスを利用します)。
身体介護:体に触れて行う介助
訪問介護の柱の一つが身体介護です。利用者の体に直接触れて行う介助で、次のような内容が含まれます。
- 入浴介助:全身浴、部分浴、清拭、洗髪
- 排泄介助:トイレ誘導、オムツ交換、ポータブルトイレ対応
- 食事介助:食べさせる、飲み込みの確認、食後の口腔ケア
- 更衣介助:寝間着から日中着への着替え、脱ぎ着
- 移動・移乗介助:ベッドから車いす、室内歩行の付き添い
- 体位変換:寝たきりの方の褥瘡予防の体位変え
- 通院等乗降介助:ヘルパー運転の車両への乗り降り介助
2024年度改定後、身体介護の単位数は20分未満163単位、20分以上30分未満244単位、30分以上1時間未満387単位です。1単位≒10円の1割負担なら、20分未満で約163円、1時間弱で約387円が目安です(地域区分により加算)。
生活援助:家事・生活全般のサポート
もう一つの柱が生活援助で、一人暮らし・同居家族が障害や疾病で家事できない場合などに利用できます。
- 調理:利用者本人の食事の準備、配膳
- 洗濯:衣類の洗濯、干す、たたむ、収納
- 掃除:居室・トイレ・台所など利用者の生活空間の清掃
- 買物:日用品・食材の代行買物
- ベッドメイク:シーツ交換、布団干し
- 薬の受け取り:処方薬を薬局から受け取る代行
2024年度改定後、生活援助の単位数は20分以上45分未満179単位、45分以上220単位です。1割負担で約179〜220円が目安となります。
訪問介護で「できないこと」
家族がよく誤解するのが、訪問介護の対象外の行為です。次のような行為はホームヘルパーは行えません。
- 医療行為:点滴、褥瘡処置、胃ろう管理、吸引(一部研修修了者を除く)、インスリン注射
- 利用者本人以外の家事:同居家族の食事作り、家族の部屋の掃除、庭の草むしり、ペットの世話
- 日常生活に直接関係ない行為:大掃除、引越し準備、来客対応
- 金銭管理:通帳・印鑑の預かり、ATMでの現金引き出し(見守り同行は可)
医療行為については、2012年以降、一定の研修を修了した介護職員は喀痰吸引・経管栄養の実施が認められるようになりましたが、点滴・注射・床ずれの処置などは引き続き看護師の領域です。家族が「これはヘルパーさんに頼めるのか?」と迷った時は、ケアマネに確認しましょう。
生活援助の「家族同居ルール」
家族と同居している場合、同居家族の掃除・洗濯・調理は原則として生活援助の対象外です。ただし、同居家族が高齢・障害・長時間の不在・疾病などでやむを得ず家事が困難な場合は、ケアマネが「生活援助が必要」とケアプランに記載すれば利用できます。家族の就業状況を具体的に伝えることが承認のカギになります。
訪問看護とは|医療処置・観察・リハビリまで担う「医療の支え」
訪問看護は、訪問看護ステーションや医療機関に所属する看護師・准看護師・保健師・リハ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が自宅を訪問し、医師の指示書に基づいて医療・看護ケアを提供するサービスです。病気や障害を持つ人が住み慣れた自宅で安心して療養生活を続けられるよう、医療と生活の接点を担います。
主なサービス内容
訪問看護で提供される内容は幅広く、主に次の領域に分かれます。
1. 健康状態のアセスメント・病状観察
- バイタルサイン測定(血圧・脈拍・体温・呼吸・SpO2)
- 全身状態の観察(皮膚・浮腫・顔色・排泄物)
- 病状の悪化兆候の早期発見
- 主治医への報告・連携
2. 医療処置
- 点滴・注射・採血
- 褥瘡(床ずれ)の処置・予防
- 胃ろう・腸ろう・経管栄養の管理
- 膀胱留置カテーテル・ストーマケア
- 気管カニューレ・吸引・在宅酸素療法(HOT)の管理
- 人工呼吸器の管理
- インスリン注射の指導・実施
3. 服薬管理・療養指導
- 処方薬の確認、1週間分のセット
- 服薬状況のモニタリング
- 家族への薬の管理方法の指導
- 食事・水分・栄養管理の助言
- 認知症の方の療養環境調整
4. リハビリテーション
- 関節可動域訓練、筋力訓練
- 歩行訓練・立位訓練
- 嚥下訓練(言語聴覚士)
- 日常生活動作(ADL)訓練
- 自助具・福祉用具の使い方指導
※理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護は、「訪問看護」の区分の中で看護師の代わりに訪問する形で提供されます。
5. ターミナルケア(看取り支援)
- 痛みのコントロール、症状緩和
- 清潔ケア、口腔ケア
- 家族への看取りの心構えの支援
- 死亡時の家族対応、医師への連絡調整
- グリーフケア(遺族の悲嘆への寄り添い)
6. 精神科訪問看護
精神疾患を抱える人に対して、服薬管理・生活リズム支援・社会復帰に向けた相談・家族支援を行う領域です。医療保険での利用が中心で、「精神科訪問看護指示書」が必要です。
訪問看護で行わないこと
訪問看護師は医療職ですが、家事代行・同居家族の世話は行いません。また、医師が行う診察・診断・処方、歯科治療、病院でしか行えない高度医療処置は対象外です。これらは在宅医(訪問診療)や往診医との連携で補います。
訪問看護ステーションの体制
訪問看護ステーションは、看護職員を常勤換算2.5人以上配置することが設置要件です。管理者は原則看護師で、24時間体制をとるステーションは「24時間対応体制加算」のもと、夜間・休日の緊急訪問や電話相談に応じます。利用者の急変時に電話1本で相談できる安心感は、在宅療養を続ける家族にとって大きな支えになります。
指示書がすべての起点
訪問看護を始めるには、主治医が交付する「訪問看護指示書」が必須です。指示書は6か月ごとに更新が必要で、介護保険・医療保険のどちらで利用するかもここで決まります。病状が急変した時には、主治医が「特別訪問看護指示書」を出して、一時的に週4回以上の濃密な訪問を医療保険で提供することも可能です(交付から14日間、原則月1回)。
費用の違い|介護保険1〜3割と医療保険1〜3割、併用ルールの現実
費用の話は家族が最も気にするポイントです。訪問介護は介護保険一択ですが、訪問看護は介護保険と医療保険の2系統があり、どちらが適用されるかで料金・利用制限が変わります。まず両者の費用の目安を整理しましょう。
訪問介護の費用(介護保険1〜3割負担)
訪問介護は介護保険で給付され、自己負担は所得により1割・2割・3割のいずれかです。2024年度改定後の単位数と1割負担の目安は次の通りです(1単位=10円・地域区分なしの場合)。
| サービス区分 | 時間 | 単位数 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 163単位 | 約163円 |
| 身体介護 | 20分以上30分未満 | 244単位 | 約244円 |
| 身体介護 | 30分以上1時間未満 | 387単位 | 約387円 |
| 身体介護 | 1時間以上1時間半未満 | 567単位 | 約567円 |
| 生活援助 | 20分以上45分未満 | 179単位 | 約179円 |
| 生活援助 | 45分以上 | 220単位 | 約220円 |
これに処遇改善加算(14.5〜24.5%相当)、特定事業所加算、初回加算、緊急時訪問加算などが上乗せされ、実際の1回請求額は基本単位+加算額で決まります。
訪問看護の費用(介護保険の場合)
介護保険で訪問看護を使う場合、自己負担は1〜3割。2024年度改定後、訪問看護ステーションが提供する場合の基本単位数(1回あたり)は次の通りです。
| 時間区分 | 単位数 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | 約314円 |
| 30分未満 | 471単位 | 約471円 |
| 30分以上1時間未満 | 823単位 | 約823円 |
| 1時間以上1時間半未満 | 1,128単位 | 約1,128円 |
| リハ職訪問(1回20分) | 294単位 | 約294円 |
これに緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算、24時間対応体制加算などが加わります。訪問介護と比べて1回あたりの単価が高いのは、医療的判断と処置を行うためです。
訪問看護の費用(医療保険の場合)
医療保険で訪問看護を使う場合、1日の訪問単価は次のような構造になります(目安)。
- 基本療養費(Ⅰ):週3日まで 1日5,550円、週4日以降 1日6,550円
- 管理療養費:月初回7,670円、2回目以降3,000円
- 24時間対応体制加算:月6,400円
- 特別管理加算:月2,500〜5,000円
- ターミナルケア療養費:1回25,000円
自己負担割合は年齢と所得で決まります。
- 0〜未就学児:2割(自治体の医療費助成でほぼ0円が多い)
- 6歳〜69歳:3割
- 70〜74歳:2割(現役並み所得は3割)
- 75歳以上:1割(一定以上所得2割、現役並み所得3割)
介護保険と医療保険、どちらが適用される?
訪問看護は原則として「介護保険優先」ですが、以下の3つに該当する場合は医療保険が適用されます。
- 40歳未満または要介護・要支援認定を受けていない人
- 厚生労働大臣が定める疾病(別表第7)に該当する人:末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー、パーキンソン病関連疾患(ヤール3以上)、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器使用状態
- 特別訪問看護指示書が出ている期間(交付から14日間、原則月1回):急性増悪、終末期、退院直後など
訪問介護と訪問看護の併用ルール
訪問介護と訪問看護は別々のサービスとして併用可能です。たとえば「午前中に訪問看護で医療処置・リハビリ、午後に訪問介護で買物・調理」といった組み合わせは問題ありません。ただし、次の2点に注意が必要です。
- 同時刻の二重訪問は原則不可:同じ時間に看護師とヘルパーが同席するケアは、ケアプランで必要性が認められた場合を除き原則算定できません。
- 介護保険の区分支給限度基準額内で調整:訪問介護と(介護保険の)訪問看護は同じ限度額枠を共有するため、両方を使うほど枠を消費します。限度額を超えた分は全額自己負担です。
一方で、医療保険の訪問看護と介護保険の訪問介護は別の財布なので、限度額に影響しません。医療依存度が高い方は、訪問看護を医療保険で使いつつ訪問介護を介護保険でフル活用する組み合わせが現実的です。
1か月の費用イメージ(要介護3・1割負担・在宅介護中心)
- 訪問介護:週3回×30分(身体介護)=387円×12回=4,644円
- 訪問介護:週2回×45分(生活援助)=220円×8回=1,760円
- 訪問看護:週1回×30分(介護保険)=471円×4回=1,884円
- 訪問看護:24時間対応体制加算=約574円
- 合計:約8,862円/月(加算を含めるとさらに上乗せ)
要介護3の区分支給限度基準額は27,048単位(約27,048円:1割)ですから、十分枠内に収まります。医療処置が増えればデイサービスやショートステイと合わせて枠を超えないようにケアマネが調整します。
対象者の違い|要介護度と医療依存度で見る使い分け
訪問介護と訪問看護は、対象者の条件が異なります。家族が「うちの親は使えるのか」を判断するうえで、要介護度と医療依存度の2軸で整理すると理解しやすくなります。
訪問介護の対象者
- 要介護1〜5の認定を受けた方:介護保険の訪問介護として利用
- 要支援1・2の方:市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の訪問型サービスを利用(名称・料金は自治体で異なる)
- 40〜64歳の特定疾病該当者:16の特定疾病(脳血管疾患、パーキンソン病関連疾患、末期がん、関節リウマチ、初老期認知症など)で要介護認定を受ければ対象
ポイントは、要介護認定が前提という点です。認定前に「試しに少し使いたい」はできません。市区町村の介護保険課に要介護認定を申請し、ケアマネに依頼してケアプランを作成する流れが必須です。
訪問看護の対象者(介護保険)
- 65歳以上で要介護・要支援認定を受け、かつ主治医が訪問看護指示書を交付した方
- 40〜64歳の特定疾病で要介護認定を受け、主治医の訪問看護指示書がある方
訪問看護の対象者(医療保険)
- 乳幼児〜64歳で主治医の訪問看護指示書がある方(要介護認定に関わらず利用可)
- 65歳以上で要介護認定を受けていない方
- 65歳以上で要介護認定を受けていても、厚生労働大臣が定める疾病(別表第7)に該当する方
- 特別訪問看護指示書が交付されている期間(交付から14日間、原則月1回)
- 精神科訪問看護の指示書がある方(認知症は除く)
医療依存度で使い分ける考え方
「医療依存度」は、医療的な処置・観察がどの程度必要かを指す概念です。低いほど訪問介護中心で対応でき、高いほど訪問看護の関わりが増えます。具体例で見ましょう。
医療依存度:低(訪問介護中心)
- 慢性疾患は安定していて内服のみ
- 医療処置は不要、月1回の通院で事足りる
- 生活面の支援(入浴・掃除・買物)が主な課題
- 認知症は軽度〜中等度、服薬・食事は見守りで可
→ 訪問介護を週2〜5回、月1回の訪問診療または通院で対応。訪問看護は月1〜2回の健康チェック程度でも可。
医療依存度:中(訪問介護+訪問看護の併用)
- インスリン注射・点滴・創傷処置が週1〜数回必要
- 褥瘡(床ずれ)があり、処置と予防が必要
- 膀胱留置カテーテル、胃ろう、ストーマなど医療器具を使用
- 在宅酸素療法(HOT)を導入
- パーキンソン病や心不全で症状が変動する
→ 訪問看護を週1〜3回、訪問介護を週2〜5回の組み合わせ。訪問看護ステーションの24時間対応体制加算を付けると、急変時の電話相談・臨時訪問が可能。
医療依存度:高(訪問看護中心、看多機・定期巡回の検討)
- 人工呼吸器、気管カニューレの管理が必要
- ALS・末期がん・重度パーキンソン病などで継続的な医療管理
- 終末期・看取り期
- 重度認知症で医療処置と介護の両方が頻回必要
→ 医療保険の訪問看護を毎日〜週4回以上、特別訪問看護指示書や別表第7該当で濃密に対応。訪問介護と組み合わせても時間が足りない場合は、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)や定期巡回・随時対応型訪問介護看護を検討します(後述)。
要介護度別・訪問サービスの典型的な組み合わせ
- 要支援1・2:総合事業の訪問型サービスで掃除・買物中心。訪問看護は医療保険または介護予防訪問看護
- 要介護1・2:訪問介護週2〜3回+訪問看護月1〜2回の観察が基本パターン
- 要介護3:訪問介護週3〜5回+訪問看護週1〜2回、必要に応じて訪問リハ
- 要介護4・5:訪問介護毎日+訪問看護週2〜3回、看多機や定期巡回の選択肢も視野に
本人の状態は変動するため、月1回のケアマネ訪問時に「最近、服薬が不安」「床ずれが気になる」「夜間に不穏で困る」など具体的な変化を伝え、訪問看護の導入・増回を相談しましょう。
どちらを選ぶかの判断基準|家族がチェックする5つの視点
家族が目の前の本人を見ながら「どちらを呼ぶべきか」を判断するには、抽象的な制度論より具体的なチェックポイントが役立ちます。次の5つの視点で順番に見ていくと、おおむね結論が出ます。
ステップ1:医療処置が必要か
まず一番上の分岐はここです。以下のうち1つでも該当すれば、訪問看護を優先的に検討します。
- 点滴、褥瘡処置、創傷ケアが必要
- 胃ろう・経管栄養・気管カニューレ・在宅酸素を使用
- インスリン注射、膀胱留置カテーテル、ストーマの管理が必要
- 病状悪化の兆候を専門職に観察してほしい
- 服薬量が多く、飲み忘れ・誤薬の不安がある
これらに該当しなければ、訪問介護+定期的な通院(または訪問診療)で十分対応できる可能性が高いです。
ステップ2:退院直後かどうか
入院していた本人が退院して在宅療養に移る時期は、病状が不安定で医療的な見守りが不可欠です。退院直後2週間は医療保険の特別訪問看護指示書で濃密に訪問看護を使い、徐々に介護保険の訪問看護+訪問介護に移行するパターンが典型的です。病院の退院調整看護師(退院支援看護師)が、退院前カンファレンスで訪問看護ステーションを紹介してくれます。
ステップ3:本人と家族の一番の困りごとは何か
本人と介護する家族が「何に一番困っているか」を言語化します。
- 「入浴を一人で介助するのが腰にくる」 → 訪問介護の身体介護
- 「食事の支度まで手が回らない」 → 訪問介護の生活援助
- 「薬をちゃんと飲めているか不安」 → 訪問看護の服薬管理
- 「床ずれが悪化しないか心配」 → 訪問看護の処置・予防指導
- 「夜中に息苦しそうで不安」 → 訪問看護の24時間対応体制加算
- 「日中1人にしておくのが心配」 → 訪問介護+デイサービス+訪問看護の組み合わせ
家族の「不安ポイント」を書き出し、ケアマネに見せると相談がスムーズに進みます。
ステップ4:要介護度と医療保険の年齢区分を確認
使える保険は本人の年齢と認定状況で変わります。
- 65歳以上で要介護認定あり → 訪問介護・訪問看護ともに介護保険利用可(別表第7該当または特別指示書期間は訪問看護だけ医療保険)
- 40〜64歳で特定疾病に該当 → 介護保険利用可(訪問看護は別表第7の疾病なら医療保険)
- 40歳未満 → 訪問看護は医療保険のみ、訪問介護は介護保険対象外(障害福祉サービスの居宅介護を検討)
ステップ5:24時間対応が必要か
夜間・早朝・休日の急変や不安発生時に対応してほしい場合、24時間対応体制加算付きの訪問看護、または看護小規模多機能型居宅介護(看多機)・定期巡回・随時対応型訪問介護看護を検討します。これは次のセクションで詳述します。
迷ったらケアマネに「両方お試し」も可能
初期は「本当に訪問看護まで必要か判断がつかない」というケースも多いものです。その場合、訪問看護の初回訪問(アセスメント訪問)だけ受けて、看護師と家族で必要な頻度を相談する方法があります。主治医に意向を伝え、訪問看護指示書を出してもらえば始められます。不要と判断したら次回以降の予定を入れなければよいので、心理的ハードルは高くありません。
典型的な家族パターン別・おすすめの組み合わせ
- 一人暮らしの親(要介護2・内服のみ):訪問介護週3回(身体介護+生活援助)+訪問看護月1回の健康チェック
- 同居の親(要介護3・褥瘡あり):訪問介護週4回(入浴介助中心)+訪問看護週2回(褥瘡処置・服薬)
- 末期がんの親(要介護3):訪問診療+医療保険の訪問看護週3〜5回+訪問介護週2〜3回、24時間対応体制
- ALS・人工呼吸器使用の親:医療保険の訪問看護ほぼ毎日+訪問介護毎日+看多機または定期巡回
- 退院直後の親(要介護4):特別訪問看護指示書で14日間は医療保険の訪問看護を濃密に、その後介護保険ベースに移行
看多機・定期巡回との比較|24時間対応が必要な時の選択肢
要介護度が重くなり、医療処置も頻回になると、訪問介護と訪問看護の組み合わせだけでは夜間・早朝の対応が追いつかないことがあります。そこで登場するのが、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)と定期巡回・随時対応型訪問介護看護という24時間対応型の地域密着型サービスです。2つの違いと選び方を整理します。
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは
通い(デイサービス)・泊まり(ショートステイ)・訪問介護・訪問看護の4つを、1つの事業所が一体的に提供するサービスです。小規模多機能(小多機)に訪問看護を組み合わせた形で、2012年創設されました。
- 対象:要介護1〜5(要支援は対象外)
- 登録定員:1事業所あたり29名まで
- 料金:要介護度別の月額定額制+食費・宿泊費・加算(介護保険1〜3割)
- 特徴:病状が変化しても、顔なじみのスタッフが通い・泊まり・訪問を柔軟に切り替えて対応
- 向いている人:医療依存度が高く、病状の変動で通い・泊まり・訪問を柔軟に組み合わせたい人、看取り期
看多機は、ケアマネジメントも事業所内の専属ケアマネが行うため、外部のケアマネから看多機事業所に移る必要があります(ケアマネを変えたくない場合は使いづらい)。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
1日複数回の「定期巡回」と、緊急時に電話1本で駆けつける「随時対応」を組み合わせた、24時間365日の訪問型サービスです。訪問介護事業者と訪問看護ステーションが連携して(または一体で)提供します。
- 対象:要介護1〜5(要支援は対象外)
- 料金:要介護度別の月額定額制(何回訪問しても追加料金なし)
- 特徴:1回15〜20分の短時間訪問を1日3〜6回、深夜早朝含めて実施。緊急時はオペレーターが通報を受けて随時訪問
- 向いている人:1日数回の排泄介助・服薬管理が必要、家族が日中不在・夜間介護が難しい、施設入所と在宅の中間を探している人
看多機と定期巡回の使い分け
| 項目 | 看多機 | 定期巡回・随時対応 |
|---|---|---|
| 通い・泊まり | あり | なし(訪問のみ) |
| 医療処置 | 充実(看護師配置) | 看護連携事業所は充実、一体型でない場合は訪問看護を別契約 |
| ケアマネ | 事業所内の専属ケアマネ | 外部ケアマネのまま利用可 |
| 向く場面 | 医療依存度が高く、泊まりが必要、家族のレスパイトも欲しい | 自宅で過ごしつつ1日複数回の短時間訪問で対応したい |
| 他の在宅サービス併用 | 訪問リハ・居宅療養管理指導のみ併用可、訪問介護・訪問看護は看多機に一本化 | 訪問介護・訪問看護は定期巡回に一本化(訪問リハ・デイサービスは併用可) |
訪問介護+訪問看護と、看多機・定期巡回の境目
家族が判断しやすい境目は次のような状況です。
- 訪問介護+訪問看護で足りる:医療処置は週1〜3回、夜間の臨時対応は年数回程度
- 定期巡回が合う:1日3〜6回の短時間訪問が必要(排泄介助、服薬確認、見守り)。夜間も定期訪問が欲しい
- 看多機が合う:医療処置と生活介助の両方が頻回、家族が数日〜1週間休みたい泊まり枠も必要、状態変動が大きい
「24時間対応体制加算」の訪問看護という中間選択肢
看多機や定期巡回に移行するほどではないが、夜間の急変時に電話相談したいというニーズには、通常の訪問看護ステーションが提供する「24時間対応体制加算」が有効です。月額5,740単位(約574円/1割負担)の追加で、利用者・家族が24時間電話相談でき、必要に応じて臨時訪問を受けられます。契約している訪問看護ステーションに加算を付けてもらえるか確認しましょう。
地域密着型サービスは「住民票の市区町村内」のみ
看多機と定期巡回は地域密着型サービスなので、原則として本人が住民票を置いている市区町村内の事業所しか利用できません。隣町の看多機が便利でも使えない場合があるため、ケアマネに地元事業所の選択肢を聞いてから検討しましょう。
利用申込の流れ|ケアマネ・主治医との連携7ステップ
訪問介護と訪問看護では、申込の起点が少し違います。訪問介護はケアマネ主導で始まり、訪問看護は主治医の指示書が加わります。それぞれのステップを時系列で押さえましょう。
ステップ1:要介護認定を受ける(初めて介護サービスを使う場合)
介護保険のサービスを使うには、市区町村の介護保険課に要介護認定を申請するのが最初の一歩です。
- 申請:市区町村の窓口または地域包括支援センター
- 訪問調査:市区町村職員またはケアマネが自宅で聞き取り
- 主治医意見書:主治医が作成
- 認定審査会:要支援1〜2・要介護1〜5・非該当のいずれか判定
- 結果通知:申請から30日以内が原則
結果が出る前でも、申請日にさかのぼって認定されるため、「暫定ケアプラン」で先にサービスを開始することもできます。急ぐ時はケアマネに相談してください。
ステップ2:ケアマネジャーを決める
居宅介護支援事業所と契約し、担当ケアマネを決めます。要支援の方は地域包括支援センターが担当します。
- 地域包括支援センターで地域の事業所リストを入手
- 事業所の得意分野(医療連携、認知症、若年性など)を確認
- ケアマネとの相性も重要(合わなければ変更可能)
ステップ3:家族の困りごとと希望を整理してケアマネに伝える
初回面談までに次の情報を整理しておくと、話が早く進みます。
- 本人の現在の状態(ADL・病歴・服薬・認知症の有無)
- 家族の介護状況(同居/別居、就業中/退職)
- 家族が一番困っていること、一番してほしいこと
- 本人の希望(自宅で過ごしたい、施設は嫌、入浴したいなど)
- 予算の上限感
ステップ4:訪問看護が必要なら主治医に指示書を依頼
訪問看護を使う場合、主治医(かかりつけ医)に「訪問看護指示書」を出してもらう必要があります。
- ケアマネまたは家族が主治医に訪問看護の必要性を相談
- 主治医が必要性を判断し、指示書を作成(文書料は医療保険で約1,600円、自己負担数百円)
- 指示書は訪問看護ステーションに送付され、看護計画の基礎になる
- 有効期限は最長6か月、更新が必要
主治医が訪問看護の必要性を認めてくれない場合は、別の医療機関の医師(在宅医療に積極的な医師)に相談する選択肢もあります。訪問看護ステーションから主治医に指示書を依頼する「橋渡し」も可能です。
ステップ5:ケアプラン作成とサービス担当者会議
ケアマネが訪問介護・訪問看護・その他のサービスを組み合わせたケアプランを作成し、サービス担当者会議を開きます。会議には本人・家族・ケアマネ・各サービス事業所の責任者・主治医(参加可能なら)が集まり、ケアの方針を共有します。
ステップ6:事業所と契約・初回訪問
訪問介護事業所と訪問看護ステーションそれぞれと重要事項説明・契約を結びます。初回訪問では、看護師・ヘルパーがそれぞれアセスメントを行い、具体的なケアの内容・時間帯・頻度を決定します。
ステップ7:サービス開始とモニタリング
サービスが始まったら、ケアマネは月1回以上の居宅訪問で状態を確認し、必要に応じてケアプランを見直します。訪問看護は月1回、訪問看護計画書・報告書を主治医に提出して連携します。家族は以下の点を意識しておくと、より良いサービスに改善しやすくなります。
- ケア内容・スタッフの対応で気になる点をケアマネに共有
- 本人の状態変化(食欲低下、転倒、不穏)を早めに伝える
- 医療処置の必要性が増えたら主治医と訪問看護師に相談
- 家族の介護負担が増したらショートステイ・看多機も検討
急ぐ時のショートカット:退院時カンファレンスを活用
入院中の本人が退院して在宅療養に入る場合は、病院の退院支援看護師・医療ソーシャルワーカーが退院前カンファレンスを開きます。ここで在宅医・訪問看護ステーション・ケアマネ・訪問介護事業所が一堂に会し、退院後のケア方針を決めるので、手続きが一気に進みます。退院日=サービス開始日にすることも可能です。入院中に家族から病棟の退院支援部門に「在宅療養にしたい」と伝えましょう。
よくある質問
Q1. 訪問介護と訪問看護を同時に受けることはできますか?
別々の時間帯であれば併用可能です。たとえば「午前中に訪問看護で褥瘡処置、午後に訪問介護で入浴介助」という組み合わせはケアプラン上問題ありません。ただし、原則として同時刻に看護師とヘルパーが同じ場で重ねてケアすることは算定できません。家族の腰痛等で二人介助が必要な場合など、ケアプランに明記され必要性が認められたケースのみ例外となります。
Q2. 訪問介護の生活援助で、同居家族の食事も作ってもらえますか?
原則としてできません。生活援助は利用者本人の食事・掃除・洗濯のみが対象です。ただし、同居家族が高齢・障害・疾病・長時間不在でやむを得ず家事を担えない場合は、ケアマネがケアプランに必要性を記載することで認められます。家族の状況(就業時間、健康状態)を具体的にケアマネに共有しましょう。
Q3. 訪問看護師に爪切りやお風呂はお願いできますか?
爪切りは医療行為の範囲内で看護師は実施できますが、単独の入浴介助は訪問看護の主目的ではありません。病状観察のついでに清拭・部分浴を行うことはありますが、「入浴介助のためだけの訪問看護」は不適切とされます。入浴介助が必要なら訪問介護・訪問入浴介護・デイサービスが適切です。訪問看護は医療処置・観察が中心のサービスと覚えておきましょう。
Q4. 訪問看護の介護保険と医療保険はどちらが安いですか?
単純比較は難しく、利用回数と自己負担割合で結論が変わります。介護保険は1〜3割負担で区分支給限度基準額内なら制限なく利用できます。医療保険は年齢・所得で1〜3割、原則週3回までの制限がありますが、別表第7の疾病や特別訪問看護指示書期間は制限が緩和されます。具体的な負担額は訪問看護ステーションに試算してもらうのが確実です。
Q5. 主治医が訪問看護指示書を書いてくれません。どうすればよいですか?
まずは主治医に「在宅療養を続けたいので、訪問看護で専門的な観察と処置を受けたい」と明確に伝えましょう。それでも理解が得られない場合は、在宅医療に積極的な他の医療機関への切り替えが選択肢になります。地域包括支援センターや訪問看護ステーションが地域の在宅医療機関を紹介してくれます。主治医を変えることは患者の権利なので、遠慮せず相談してください。
Q6. 1回の訪問時間はどのくらいですか?
訪問介護は身体介護で20分未満〜1時間半未満、生活援助で20分以上〜45分以上の区分があります。訪問看護は20分未満・30分未満・30分以上1時間未満・1時間以上1時間半未満と細かく分かれ、ケアの内容と計画に応じて設定されます。細切れの短時間訪問が必要なら定期巡回・随時対応型、長時間の見守りが必要なら看多機の宿泊・通いを検討するのが現実的です。
Q7. 訪問介護と訪問看護を頼むと、介護保険の限度額をすぐ超えてしまいそうです。どうすれば?
医療依存度が高い場合、訪問看護を介護保険ではなく医療保険で使える条件に該当するかを主治医と確認します。別表第7該当疾病(末期がん、ALS、パーキンソン病ヤール3以上、人工呼吸器使用など)なら医療保険に切り替えられ、介護保険の枠を訪問介護・デイサービスに回せます。また、特別訪問看護指示書が出ている期間も医療保険になります。ケアマネと訪問看護ステーションに相談して枠の設計を見直しましょう。
Q8. 認知症の親に訪問看護は必要ですか?
認知症だけを理由に訪問看護を導入する必要はありません。身体合併症(糖尿病・心不全・脳梗塞後遺症など)や服薬管理の困難さがあれば、訪問看護の価値が高まります。一方、生活面のサポートと認知症への対応が主な課題なら、訪問介護・デイサービス・認知症対応型通所介護・グループホームの利用が中心になります。判断はケアマネと主治医に相談しましょう。
Q9. 訪問看護ステーションはどう選べばよいですか?
家族が確認すべきポイントは次の5つです。
- 24時間対応体制加算を取っているか(夜間相談できるか)
- リハ職(PT・OT・ST)が在籍しているか
- ターミナルケア・精神科訪問看護など専門領域の実績
- 主治医との連携のしやすさ(同じ医療機関系列など)
- 家族への説明・報告の丁寧さ(初回訪問での印象)
地域の訪問看護ステーションは介護サービス情報公表システムやWAM NETで検索できます。
Q10. 訪問サービスを使っている最中に施設入所を検討してよいですか?
もちろん可能です。在宅介護は家族と本人の状況で継続性が変わるため、「在宅を続ける/施設に移る」はいつでも選び直せるものです。ケアマネに相談すれば、特養・老健・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などの選択肢と入所条件を整理してくれます。まずは見学から始め、訪問サービスで在宅を支えながら、施設の待機列に登録しておく運用が現実的です。
まとめ|生活は訪問介護、医療は訪問看護、状態に合わせて柔軟に組み合わせる
訪問介護と訪問看護は、同じ「訪問」でも役割がまったく違うサービスです。家族が選ぶときに押さえたいポイントは、次の3つに集約されます。
- 生活は訪問介護、医療は訪問看護:入浴・掃除・食事はヘルパー、処置・観察・服薬は看護師
- 保険の組み合わせで費用を最適化:医療依存度が高いなら訪問看護を医療保険で使い、介護保険の枠を訪問介護に回す
- 状態変化に合わせて見直す:退院直後・急変時は濃密に、安定期は頻度を下げて。ケアマネと主治医に定期的に相談
家族が最初に動くべき3つのアクション
- 本人の「現在の医療処置・服薬・生活の困りごと」を1枚の紙に書き出す
- 担当ケアマネ(いなければ地域包括支援センター)に相談し、訪問介護・訪問看護の必要性を整理してもらう
- 訪問看護が必要そうなら、主治医に「訪問看護指示書」を依頼するよう頼む
家族自身の働き方も一緒に考える
在宅介護は長期戦です。訪問介護・訪問看護を活用しても、家族の時間・体力・精神的な余裕は必ず必要になります。介護離職・介護との両立で悩む家族が年々増えている今、自分の働き方そのものを見直すことも、持続可能な介護体制の一部です。
自分に合う働き方・介護と両立できる環境を診断する
介護をしながら働く家族、あるいは介護業界で働くことを検討している方に向けて、kaigonewsでは「働き方診断」を提供しています。ライフスタイル・介護状況・希望する職場条件を3分で入力するだけで、あなたに合った働き方や支援制度を提示します。
本人の尊厳と家族の生活、どちらも守るために、訪問介護・訪問看護をうまく組み合わせ、必要なら働き方そのものも調整しながら、介護の日々を支えていきましょう。
続けて読む
訪問介護のメリット・デメリット
訪問介護のメリット
1. 利用者と1対1でじっくり向き合える
施設介護では複数の利用者を同時にケアしますが、訪問介護は1対1。一人ひとりに寄り添った丁寧なケアができます。「〇〇さんのために」という意識で働けるのが魅力です。
2. 夜勤がない
訪問介護は基本的に日勤のみ。夜勤による生活リズムの乱れがなく、体への負担が少ないです。夜勤が苦手な方、家庭との両立を重視する方に人気があります。
3. 自分のペースで働ける
特に登録ヘルパーは、働く時間を自分で決められます。子どもが学校に行っている間だけ、週3日だけなど、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
4. 移動時間がリフレッシュになる
訪問先への移動中は、気持ちの切り替えができます。施設のように常に利用者と一緒にいるわけではないので、精神的なゆとりを保ちやすいです。
5. 人間関係のストレスが少ない
施設のようにチームで働くわけではないので、職場の人間関係に悩まされにくいです。苦手な同僚と毎日顔を合わせる必要がありません。
6. スキルアップしやすい
調理、掃除、身体介護など幅広い業務を一人でこなすため、総合的な介護スキルが身につきます。
訪問介護のデメリット
1. 一人で判断・対応する責任
現場では自分一人。困ったときにすぐ相談できる同僚がいません。緊急時の判断力や、一人で対応できるスキルが求められます。
2. 天候に左右される
雨の日も雪の日も、訪問は休めません。自転車やバイクでの移動が多いため、悪天候時は大変です。
3. 移動の負担
1日に何件も訪問するため、移動時間がかさみます。夏の暑さ、冬の寒さの中での移動は体力的にきついこともあります。
4. 利用者宅の環境差
訪問先によって環境は様々。清潔な家もあれば、そうでない家もあります。介護しにくい間取りや、エアコンがない部屋もあります。
5. 利用者・家族との相性
1対1だからこそ、相性が合わないとストレスになります。理不尽な要求や、ハラスメントに遭うケースもゼロではありません。
6. 給与が不安定(登録ヘルパーの場合)
登録ヘルパーは、利用者のキャンセルや入院で収入が減ることがあります。安定を求めるなら正社員がおすすめです。
訪問介護の1日の流れ
訪問介護員の1日は、雇用形態によって大きく異なります。ここでは「常勤(正社員)」と「登録ヘルパー(パート)」それぞれの典型的な1日を紹介します。
常勤ヘルパーの1日(例)
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 8:30 | 事業所に出勤、朝礼・申し送り確認 |
| 9:00 | 1件目訪問(Aさん宅):身体介護(入浴介助)60分 |
| 10:15 | 移動(自転車15分) |
| 10:30 | 2件目訪問(Bさん宅):生活援助(掃除・洗濯)45分 |
| 11:30 | 移動(自転車10分) |
| 11:45 | 3件目訪問(Cさん宅):身体介護(食事介助)30分 |
| 12:30 | 事業所に戻り昼休憩(60分) |
| 13:30 | 4件目訪問(Dさん宅):生活援助(調理・買い物)60分 |
| 14:45 | 移動 |
| 15:00 | 5件目訪問(Eさん宅):身体介護(排泄介助・体位変換)30分 |
| 15:45 | 移動 |
| 16:00 | 6件目訪問(Fさん宅):生活援助(掃除)45分 |
| 17:00 | 事業所に戻り、記録作成・報告 |
| 17:30 | 退勤 |
ポイント:1日の訪問件数は5〜7件程度。移動時間も含めてスケジュールが組まれます。
登録ヘルパー(パート)の1日(例)
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 9:00 | 自宅から直行で1件目訪問(Aさん宅):身体介護 60分 |
| 10:15 | 移動 |
| 10:30 | 2件目訪問(Bさん宅):生活援助 45分 |
| 11:30 | 午前の業務終了、自宅へ |
| (空き時間) | 家事、プライベート |
| 16:00 | 自宅から3件目訪問(Cさん宅):身体介護 30分 |
| 16:45 | 業務終了、直帰 |
ポイント:登録ヘルパーは事業所に出勤せず、直行直帰が基本。空き時間を自由に使えるのがメリットです。
1回あたりのサービス時間
- 身体介護:20分、30分、45分、60分、90分など
- 生活援助:20分、45分が多い
- 通院等乗降介助:往復で1〜2時間程度
のの働き方
のでは、様々な働き方が可能です。
勤務形態の選択肢
- 日勤のみ:の中には日勤帯のみで働ける施設もあります
- シフト制:早番・日勤・遅番・夜勤のローテーションが基本
- パート・アルバイト:週2〜3日から働ける柔軟な雇用形態
で働く環境
エリアのでは、資格取得支援制度や研修制度が充実している施設が多くあります。での経験を積みながら、キャリアアップを目指すことができます。

2026/1/2
訪問介護の仕事内容を徹底解説|1日の流れ・給料・向いている人【2026年版】
訪問介護(ホームヘルパー)の仕事内容を徹底解説。身体介護と生活援助の具体的な業務、1日4〜6件訪問するスケジュール、平均月収約28.3万円の給料相場、直行直帰OKの自由な働き方、サービス提供責任者へのキャリアアップ方法を紹介します。

2026/1/6
訪問介護の処遇改善加算はいくら?加算率24.5%で高待遇【2026年版】
訪問介護の処遇改善加算は加算率最大24.5%と介護サービスの中で最高水準。常勤ヘルパーなら月額3〜5万円の支給が目安です。登録ヘルパーやパートの計算方法、他サービスとの加算率比較、高待遇の事業所を見極めるポイントを2026年最新データで解説します。

2026/1/6
訪問介護の残業・休日の実態【2026年】柔軟な働き方ができる?
訪問介護の残業時間や休日の実態を詳しく解説。正社員・登録ヘルパーの働き方の違い、移動時間の扱い、直行直帰のメリットまで。自分のライフスタイルに合わせて働ける訪問介護の魅力と注意点をご紹介します。

2026/4/4
訪問介護の給料・年収|正社員・パート別の平均と収入アップ法【2026年版】
訪問介護員(ホームヘルパー)の平均月給は約34.9万円、年収約381〜420万円。正社員・パート・サービス提供責任者別の給料データを最新調査で解説。資格別・勤続年数別・地域別の比較、時給1,400〜1,700円のパート相場、給料を上げる6つの方法も網羅しています。

2026/4/6
訪問介護の基本報酬引き下げから2年|事業所倒産と人材流出の現状を厚労省データから検証
2024年の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられてから約2年。事業所倒産の増加、ヘルパー人材流出、2026年6月の臨時改定による補填効果まで、厚労省や東京商工リサーチの最新データをもとに現状を検証します。





