
介護で使えるテクノロジー・アプリ・IoT|在宅介護家族の負担を減らすデジタル活用ガイド
在宅介護で活躍する見守りIoT、介護記録アプリ、服薬支援、スマートホーム、認知症GPSなどテクノロジー10カテゴリを家族視点で解説。介護保険・自治体助成、導入のコツ、プライバシー対策まで網羅。
この記事のポイント
介護で使えるテクノロジー・アプリ・IoTは、在宅介護を続けるご家族の心身の負担を大きく減らせます。見守りカメラ・人感センサーなどの見守りIoT、服薬カレンダーアプリ、家族で情報を共有できる介護記録アプリ、テレビ電話やスマートスピーカー、スマートホームによる照明・温度の自動管理、認知症の方向けのGPS靴・徘徊感知機器など、10種類以上のジャンルがあります。介護保険や自治体助成の対象になる機器もあり、年間数万円のコストでも、夜間の見守り負担や薬の飲み忘れ事故を確実に減らせます。本記事ではご家族視点で「どこから手を付けるか」を整理します。
目次
「離れて暮らす親が、今日もちゃんと食事ができているか心配」「夜中に何度も起きてしまう」「薬を飲んだか、飲んでいないか分からなくなる」——在宅で家族介護をしていると、24時間気を抜けない場面が増えていきます。
厚生労働省の「省力化投資促進プラン―介護―」(2025年5月、新しい資本主義実現会議)では、介護記録ソフトや見守り支援機器の活用が、夜間訪室タイミングの最適化や事務作業の効率化に有効と分析され、令和8年度(2026年度)も介護テクノロジー導入支援事業として97億円規模の予算が組まれています。これまで施設・事業所が中心だったテクノロジー活用は、いま在宅介護をしているご家族にも一気に広がってきています。
本記事では、在宅介護の現場で本当に役立つテクノロジー・アプリ・IoTを10カテゴリに分け、家族視点での選び方・導入のコツ・費用と助成制度・プライバシー対策まで整理します。「人手が足りない、でもプロのサービスを毎日は呼べない」という時間帯を、テクノロジーで埋める発想で読み進めてみてください。
在宅介護で使われるテクノロジー10カテゴリ全体像
テクノロジーと一口にいっても、在宅介護で家族の助けになるものは大きく10カテゴリに分けられます。すべてを一度に揃える必要はありません。「今いちばん不安な場面」から1つずつ導入していくのが現実的です。
| カテゴリ | 解決したい家族の悩み | 主な機器・サービス例 |
|---|---|---|
| 1. 見守りIoT | 夜間や留守中の安否確認 | 人感センサー、見守りカメラ、バイタルセンサー |
| 2. 服薬支援 | 飲み忘れ・飲み過ぎの防止 | 服薬カレンダー、自動排出ボックス、服薬アラームアプリ |
| 3. 介護記録アプリ | 家族・きょうだい間での情報共有 | 体調・服薬・通院記録の共有アプリ |
| 4. コミュニケーション | 離れた家族との会話・孤独感対策 | テレビ電話、シニア向けタブレット、AIスピーカー |
| 5. 遠隔診療・オンライン服薬指導 | 通院負担の軽減 | オンライン診療アプリ、電子処方箋 |
| 6. スマートホーム | 火の元、室温、夜間転倒の予防 | スマートリモコン、自動消灯、夜間照明、温湿度計 |
| 7. 移動・移乗支援 | 身体的な持ち上げ・転倒対策 | 介護リフト、移乗ロボット、自動ブレーキ歩行器 |
| 8. 緊急通報 | 急変・転倒時の即時連絡 | 緊急通報ペンダント、自治体通報装置 |
| 9. 安否確認サービス(家電連携) | 離れて暮らす親の生活リズム把握 | 電気ポット見守り、ガス・水道使用量通知 |
| 10. 認知症対応 | 徘徊・行方不明の予防 | GPS靴、徘徊感知センサー、玄関ドアセンサー |
このうち「見守りIoT」は、当サイトの見守りサービスの比較|センサー型・通報型・GPS型・宅配連携型の選び方と料金相場でセンサー型・通報型・GPS型・宅配連携型の4タイプを詳しく解説しています。本記事ではそれ以外のカテゴリにより重点を置いてご紹介します。
見守りIoTと服薬支援:夜間の不安を最初に減らす2大カテゴリ
初めて在宅介護用テクノロジーを検討するご家族には、「夜の不安」と「薬の不安」を解決するこの2カテゴリから始めることをおすすめします。
見守りIoT:人感センサー+カメラの組み合わせが基本
見守りIoTは大きく次のタイプに分けられます。
- 人感センサー型:トイレや寝室に設置し、一定時間動きがない/逆に深夜の頻繁な動きがある際に家族のスマホへ通知。プライバシーへの抵抗感が少ない
- カメラ型:双方向の音声通話付きが主流。動き検知時のみ録画する機種を選ぶとプライバシー負担も軽減
- バイタルセンサー型:ベッドのマットレス下や腹巻きに装着し、呼吸・心拍・体動を計測。睡眠サイクルや起き上がりを家族のアプリに通知
- 家電連携型:電気ポット、テレビ、冷蔵庫のドア開閉などをデータ化し、生活リズムの変化をメール通知
夜間の見守りカメラとマットセンサーの組み合わせなら、夜中に何度も様子を見に行く負担が大きく減ります。詳しい比較は見守りサービス比較ページを参照してください。
服薬支援:一包化+アラーム機能の二重化が安全
高齢者の服薬で最も多いトラブルは「飲み忘れ」と「重複服用」です。次の3層で対策します。
- 調剤薬局で一包化:朝・昼・夕で分包してもらう。お薬手帳アプリと連携できる薬局も増えています
- 服薬カレンダー+スマホアラーム:100円ショップにもある壁掛けカレンダーに分包薬を入れ、スマートスピーカーやスマートフォンで時間になったらアラームを鳴らす
- 自動排出型の服薬支援デバイス:時間になると音と光で知らせ、決まった分だけ排出する機器。飲み忘れ時は家族にプッシュ通知を送る機種もあります
製品名や費用は短期間で変わるため、購入前にはメーカー公式サイトと、訪問薬剤師・かかりつけ薬局・ケアマネジャーに最新の対応状況を必ず確認してください。
介護記録アプリで家族・きょうだいの介護情報共有を一元化
在宅介護の負担は、世話そのものだけでなく「同じ説明を何度も繰り返す」「きょうだいの間でケアの行き違いが起こる」といった調整コストにも宿ります。介護記録アプリはこれを解消する有力な選択肢です。
家族向けの介護記録アプリでできること
- 体温、血圧、食事量、水分量、排泄、睡眠、入浴などの記録
- 服薬の有無・時刻の記録と通知
- 通院・サービス利用・面会予定の家族カレンダー共有
- 体調メモへのコメントで「次は何をすればいいか」の意思決定
- 過去の経過を時系列で振り返り、受診時に医師へ提示
家族で介護記録アプリを使う3つのメリット
- 遠方のきょうだいが状況を把握できる:実際にケアする家族と、月に1度しか帰省できない家族の情報格差を埋める
- 主治医・訪問看護師への説明がスムーズ:「先週から食事量が落ちている」など具体的な数字で伝えられる
- 介護者本人のメンタル負担軽減:「今日は何をしたか」を残せることで、義務感が見える化される
選び方のポイント
- 家族向け(無料・シンプル)と事業所向け(有料・多機能)に大別される。家族介護なら家族向けで十分
- iCloudやGoogleドライブで自動バックアップされるか
- 家族メンバー追加が無料かどうか(10名まで定額のサービスも)
- 写真添付・音声入力など、高齢家族でも記録しやすい入力方法があるか
「ケアログ」「親ログ」「LIFE NOTE」など家族向けの無料/低価格アプリも増えています。アプリストアの最新評価とプライバシーポリシーを必ず確認してから導入しましょう。
テレビ電話・タブレット・遠隔診療で「会いに行けない時間」を支える
独居・遠距離介護では、本人と家族の心の距離をテクノロジーで縮める仕組みも大切です。「直接会いに行けない」期間が長くなるほど、本人の社会的孤立と認知機能低下のリスクが高まります。
シニア向けタブレット・スマートスピーカー
- ボタンを大きく簡略化したシニア向けタブレット:操作画面をテレビ電話・写真・ニュース・天気の数項目に絞った機種が販売されている
- 画面付きスマートスピーカー:「ビデオ通話して」と話しかけるだけで家族につながる。料理・ニュース・体操動画の再生にも利用可能
- コミュニケーションロボット:会話相手、お知らせ機能、簡単な脳トレを兼ねる
家族側のスマートフォンと連動すれば、不在着信や応答状況も把握できます。
オンライン診療・オンライン服薬指導
慢性疾患の定期受診はオンラインで完結できるケースが増えています。
- オンライン診療アプリ:かかりつけ医がオンライン診療に対応していれば、ビデオ通話で診察・処方が完結。家族が同席して通訳役を担うことも可能
- 電子処方箋・オンライン服薬指導:処方箋を電子データで薬局に送り、薬剤師がビデオ通話で服薬指導。薬は自宅配送
対応の有無はかかりつけ医院・薬局ごとに異なるため、まずは「オンライン診療をしているか」を直接問い合わせるのが確実です。
テレビ電話導入時のコツ
- 初期設定とアプリのアップデートは家族側が責任を持つ
- 「迷ったらこのボタンを押せばつながる」一発操作のシナリオを作る
- 本人の手元に取扱説明書の「家族版」を貼っておく
- Wi-Fi切断時の自動再接続設定をオンにしておく
スマートホームで「火・温度・夜間転倒」を未然に防ぐ
市販のスマートホーム機器は、もともとは健康な人向けの製品ですが、在宅介護では「予防」のために大いに活躍します。1万円前後の初期投資で、夜間や留守中の事故リスクをまとめて下げられます。
火の元・電源管理
- スマートプラグ:電気ポット・ヒーターのつけっぱなしを離れた場所から確認・電源OFFできる
- IH調理器への切り替え:そもそも火を使わない動線に変える。スマートプラグと組み合わせれば過剰電力時に自動オフ
- ガス警報器の連動:異常時に家族のスマホへ通知する機種を選ぶ
夜間転倒の予防
- 人感センサー連動の足元ライト:ベッドから起き上がると自動点灯。トイレへの動線を確保
- スマートカーテン・電動シャッター:朝に自動で開き、生活リズムを整える
- 声でつける照明:暗い中でスイッチを探さず、声で点灯・消灯できる
室温管理(熱中症・低体温症の予防)
- スマート温湿度計+スマートエアコン:室温が28度を超えたら自動でクーラー稼働、冬は15度を下回ったら暖房ON
- 家族のスマホへの異常通知:本人が「暑くない」と感じて冷房を切ってしまうケースの抑止に有効
玄関・施錠管理
- スマートロック:家族が遠隔で施錠状況を確認・施錠操作できる。離れた家族が訪問介護・配食業者のために一時的に解錠することも可能
- ドアセンサー:認知症の方の徘徊リスクがある場合、深夜の玄関ドア開閉を即時通知
移動・移乗を助ける介護リフトとロボット
身体的に最も負担が大きいのは「移動」と「移乗」の介助です。腰痛や腱鞘炎で介護者本人が倒れてしまうケースを防ぐため、テクノロジーの力を積極的に活用しましょう。
介護リフト・移乗ロボット
- 床走行式リフト:吊り具で持ち上げ、ベッドから車いす、車いすからトイレへ移乗
- 据置式リフト:ベッドサイドに設置し、移乗ルートを固定
- 移乗サポートロボット:装着型・抱え上げ型があり、介護者の腰への負担を大幅に削減
これらは介護保険の「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」の対象品目に含まれることが多く、月額の自己負担1〜3割でレンタル可能です。ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談しましょう。
移動支援
- 電動アシスト歩行器:上り坂をモーターで補助、下り坂で自動ブレーキ
- 自動運転電動車いす:屋内の決まったルートを学習し、自走支援
- 外出時のGPS連動歩行器:家族のスマホでルートを共有
排泄支援
- 排泄予測デバイス:超音波センサーで膀胱のふくらみを検知し、トイレ誘導の最適タイミングをスマホに通知
- 自動排泄処理装置:寝たきりの方向け。介護保険の特定福祉用具販売対象
- センサー付き紙パンツ:交換タイミングをスマホに通知
厚生労働省「ロボット技術の介護利用における重点分野」では、移乗・移動・排泄・見守り・入浴・コミュニケーション・介護業務支援の6分野13項目が指定され、開発支援が継続的に行われています。今後も家族介護向けに転用しやすい製品が増えていく見通しです。
緊急通報・安否確認・認知症GPSで「もしも」に備える
テクノロジーの究極的な役割は、「異常があったときに即座に家族・救急に通知すること」です。本人の意識があるかどうかに関わらず通報できる仕組みを準備しておくと安心です。
緊急通報装置・ペンダント
- 自治体の緊急通報装置:65歳以上の独居高齢者向けに、市区町村が貸与または助成。ボタン一押しで消防・警備会社・コールセンターに直結
- 民間警備会社のペンダント:転倒検知センサー付き、月額数千円〜
- スマートウォッチの転倒検知:一定の衝撃を検知すると自動で家族・救急へ通報する機種も
家電・住宅設備の安否確認サービス
- 電気ポット利用通知:朝・昼・夕の使用ログを家族にメール送信
- ガス使用量・水道使用量の異常通知:自治体やガス会社が提供
- センサーマット・トイレドア開閉センサー:「丸一日トイレを使っていない」場合に家族へ通知
認知症の方向け:GPSと徘徊感知機器
認知症で行方不明になる方は、警察庁の統計で年間1万9,000人超。早期発見のために以下が有効です。
- GPS靴・GPSインソール:本人に意識させず常時装着できる。家族のアプリで位置確認、エリア外への外出をプッシュ通知
- GPSペンダント・キーホルダー:杖やバッグに装着
- 玄関ドアセンサー・徘徊感知マット:自宅から出る瞬間に家族へ即時通知
- QRコード見守りシール:靴・服に貼り、保護者が読み取ると家族へ即時連絡
「認知症老人徘徊感知機器」は介護保険の福祉用具貸与の対象で、要介護2以上で原則貸与可能(要介護1以下は自治体判断)。さらに自治体によってはGPS機器の購入・レンタル費用への独自助成制度を設けています(例:岐阜市、苅田町、日立市など)。介護保険対象品目とそれ以外の整理は地域包括支援センターやケアマネジャーに必ず確認しましょう。
介護保険・自治体助成で費用を抑える
テクノロジー導入の費用は、思っているより公的支援で軽減できます。「これは買うしかない」と決め打ちする前に、必ず以下を確認しましょう。
介護保険でレンタル・購入できるもの
- 福祉用具貸与(13品目):車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、移動用リフト、認知症老人徘徊感知機器、自動排泄処理装置 など。月額の1〜3割が自己負担
- 特定福祉用具販売(年間10万円まで):腰掛便座、入浴補助用具、移動用リフトのつり具部分、自動排泄処理装置の交換部品など。1〜3割負担で購入
- 住宅改修費(生涯20万円まで):手すり取り付け、段差解消、滑り防止床材、引き戸への扉交換、洋式便器への取り替えなど
2026年度の最新動向:介護テクノロジー導入支援事業
厚生労働省は令和8年度(2026年度)に介護テクノロジー導入支援事業として97億円規模の予算を確保し、見守り機器・介護記録ソフト・ケアプランデータ連携システムなどへの補助率を最大3/4まで引き上げました。これは主に事業所向けですが、ケアマネジャーやデイサービスがどんな機器を使っているか把握しておくと、家族の機器選びの参考になります。
自治体独自の助成制度
市区町村ごとに以下のような助成制度があります。
- 緊急通報装置の貸与・購入助成(独居高齢者向け、月額数百円〜無料)
- GPS機器購入・レンタル助成(認知症高齢者向け、初期費用や月額利用料の一部)
- 見守りカメラ・センサーの設置補助(自治体・地域包括支援センター単位で実施)
- シルバー人材センターによる設置サポート
制度名・対象・金額は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターに「認知症の親の見守り機器に助成はありますか?」と直接問い合わせるのが最も確実です。
高齢者にテクノロジーを受け入れてもらう5つのコツ
「うちの親はスマホもできないから無理」とあきらめてしまうご家族は多いですが、本人の受け入れを左右するのは機器そのものより導入の進め方です。
- 「監視」ではなく「困りごとを解決する道具」として説明する:「夜中に何かあったときに気付けるようにしたい」「薬の飲み忘れで困っているからアラームをつけよう」と、本人視点の困りごとから語る
- 本人にも操作・確認させる:完全に自動で動く機器でも、家族と本人で一緒にアプリの画面を見て「ちゃんと見ているよ」を可視化する
- 小さく始める:いきなり10種類入れない。「人感センサー1つ」「テレビ電話だけ」から開始
- 近所・地域とも共有する:民生委員や近隣に「うちはGPSで居場所を見守っているので、見かけたら家まで送ってください」と伝えておく
- 困ったら撤去できる契約・機器を選ぶ:レンタルや解約手数料ゼロのサービスを優先。本人がストレスを感じたら無理に続けない
導入直後に拒否反応が出ても、入院・退院後、ケガをした後など「困りごとが顕在化したタイミング」で改めて提案するとスムーズに導入できることがあります。
プライバシー・セキュリティで気を付けるべき4点
テクノロジーは便利ですが、本人の尊厳と個人情報を脅かしうる側面もあります。導入前に家族で次の4点を必ず話し合いましょう。
1. カメラ設置の合意形成
本人がまだ判断能力がある段階で「カメラを置いていいか」を必ず確認しましょう。寝室・浴室・トイレへの設置は最終手段とし、可能なら人感センサーで代替します。
2. 録画・録音データの保管
- クラウド保存か端末ローカル保存か
- 家族の何人がアクセスできるか
- 保管期間とその後の削除
- 事業者の倒産・サービス終了時のデータ持ち出し方法
3. 第三者への情報共有
介護記録アプリやGPSデータをケアマネジャー・訪問看護師・ヘルパーと共有する場合は、本人と全ての家族の合意を得ましょう。事業所側にも秘密保持義務がありますが、トラブル予防のために書面化することも検討してください。
4. パスワード・端末の管理
- 共通の家族用アカウントよりも、各家族個別のアカウントを発行
- 本人が認知症になった場合に備え、緊急時のアカウント引き継ぎ方法を決めておく
- 本人逝去後のアカウント削除手順を確認しておく
プライバシーを尊重する姿勢は、テクノロジーへの本人の抵抗感を和らげる最大の処方箋でもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. テクノロジー導入はケアマネジャーに相談すべき?
A. はい、必ず相談しましょう。福祉用具貸与・住宅改修・自治体助成の対象になるかは、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員の判断が大きな手がかりになります。また、地域包括支援センターも自治体の独自助成制度に詳しく、無料で相談できる窓口です。
Q. 機器が苦手な親に「使わされている」感を与えずに導入するには?
A. 本人の「困りごと」を起点に話を切り出し、本人にも操作・確認させることが鍵です。「監視」ではなく「便利な道具」として段階的に増やしましょう。初期費用ゼロのお試しレンタルから始めれば、合わなければ撤去できる安心感もあります。
Q. 一人暮らしの親に最低限揃えるなら何から?
A. 優先度の高い順では (1) 緊急通報装置/スマートウォッチ転倒検知 (2) 人感センサー+家族のスマホへの通知 (3) 服薬カレンダー+アラーム (4) テレビ電話/スマートスピーカーでの定期会話、の4つです。これらは初期費用1〜3万円、月額1,000〜3,000円程度で揃えられます。
Q. 認知症のGPS靴は介護保険で借りられる?
A. 介護保険の福祉用具貸与「認知症老人徘徊感知機器」の対象となるのは、原則として「自宅から出ようとした時/一定の地点を通過した時にセンサーで家族へ通報する機器」です。位置探索型のGPS機器は介護保険対象外となる場合がありますが、自治体の独自助成で購入・レンタル費用の一部が補助される地域があります。お住まいの市区町村に必ず確認してください。
Q. 介護記録アプリは家族の負担にならない?
A. 多機能なものほど入力負担が増える傾向があります。家族介護なら、1日1〜2分で済むシンプルな無料アプリから始めるのがおすすめです。慣れてきたら通院記録・写真添付・家族コメントなど機能を拡張していきましょう。
Q. テクノロジーで「在宅介護の限界」を超えられる?
A. テクノロジーは「人手の補助」であり、人手の代替にはなりません。在宅介護を続けるかどうかは、本人の意思・家族の状況・経済力・地域資源の総合判断です。介護うつや共倒れの兆候があれば、ショートステイや施設入居も含めて地域包括支援センター・ケアマネジャーに相談してください。
参考文献・出典
- [1]介護ロボットの開発・普及の促進- 厚生労働省
ロボット技術の介護利用における重点分野(移乗・移動・排泄・見守り・入浴・コミュニケーション)の指定と、令和7年度「介護テクノロジー等のパッケージ導入モデル」の最新事例集
- [2]省力化投資促進プラン―介護―(案)- 厚生労働省(新しい資本主義実現会議 提出資料 令和7年5月)
介護テクノロジーの導入支援事業の補助率・予算規模、ケアプランデータ連携システムの普及方針、AI活用促進のロードマップ
- [3]
- [4]経済産業省における福祉機器の施策動向(2025年1月)- 経済産業省 商務・サービスグループ 医療・福祉機器産業室
福祉用具産業市場規模(2022年度約1.6兆円)、ロボット介護機器の開発支援、SBIR推進プログラムの概要
- [5]
まとめ:1つから始めて、家族で運用する
在宅介護のテクノロジー・アプリ・IoTは、夜間の見守りから服薬・コミュニケーション・スマートホーム・認知症GPSまで、ご家族の負担を多面的に減らせる存在になりました。経済産業省・厚生労働省の支援制度や自治体の独自助成も年々厚みを増しています。
大切なのは、「一度に全部揃えない」「本人の同意と合意形成を優先する」「ケアマネジャー・地域包括支援センターと相談しながら段階的に増やす」の3点です。最初の1ヶ月は人感センサーとテレビ電話だけ、次の1ヶ月は服薬カレンダーとスマート温湿度計を追加、というように家族のペースで運用を育てていきましょう。
製品名・価格・補助制度は短期間で変わります。気になる機器があれば、必ずメーカー公式サイトとお住まいの市区町村の高齢福祉課・地域包括支援センターで最新情報を確認してから契約してください。技術はあくまで「人の手の延長」です。本人・家族・専門職がそれぞれの役割を果たし、テクノロジーがその間を支える——そんな在宅介護の形を一緒に作っていきましょう。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。
続けて読む

2026/5/19
補聴器の選び方|耳かけ型・耳あな型・骨伝導の特徴と医療費控除・補助金の使い方
加齢で聞こえにくくなった親に補聴器を検討中の家族向け。耳かけ型・耳あな型・ポケット型・骨伝導の特徴、片耳/両耳、認定補聴器技能者の選び方、価格相場、医療費控除と自治体助成、障害者総合支援法までを耳鼻科受診の流れと一緒に解説します。

2026/5/19
家族でできる移乗介助の安全な方法|ベッド⇄車椅子・トイレ・浴室と腰痛予防
在宅で家族が移乗介助を行う方法を、ベッド⇄車椅子・トイレ・浴室まで網羅。ボディメカニクス7原則、ノーリフティングケア(厚労省指針)、スライディングボード・移乗リフトの活用法も解説。介助者の腰痛と高齢者の転倒・骨折を防ぐ実践ガイドです。

2026/5/13
歩行器とシルバーカーの違い|医療機器と雑貨の境界・介護保険対象の見分け方と要介護度別の使い分け
歩行器とシルバーカーの違いを、医療機器(一般医療機器クラス1)か雑貨かという法的区分、介護保険の福祉用具貸与対象/対象外の見分け方、要介護度別の選び方まで公的資料で整理。固定型・交互型・四輪型・電動アシスト型と、軽量・買い物カート型・椅子付きシルバーカーを使い分け、費用相場と相談先までわかります。
このテーマを深掘り
介護の現場・介護職の視点
同じテーマを介護の現場で働く方の視点から書いた記事。専門家の見方も知っておきたい時に。






