
兄弟姉妹で親の介護を分担する|役割・費用・時間の不公平感を減らす家族会議の進め方
親の介護は長男だけ、嫁だけが担うものではない。民法877条の扶養義務、メイン介護者・サブ・お金担当・遠距離支援の役割分担、家族会議のアジェンダ、扶養請求調停まで制度に基づき整理。
この記事のポイント
親の介護を兄弟姉妹で分担する基本は、民法877条「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」を出発点に、メイン介護者・サブ・お金担当・遠距離支援の4役割を家族会議で割り振ること。「長男だから」「同居しているから」だけを根拠にせず、各自の経済力・物理的距離・家庭事情を持ち寄り、不公平感を可視化したうえで定期的に見直すことが、共倒れと相続トラブルの両方を防ぐ最大のポイントです。
目次
「気づいたら自分ばかりが親の介護をしている」「兄や姉は口を出すだけでお金も時間も出さない」——介護が始まってから数か月、こうした不満が兄弟姉妹の間で噴き出すケースは少なくありません。背景には、戦後の「長男が家を継ぐ」という慣習と、現代の「子は平等」という意識のずれ、そして介護の負担がいかに大きいかを当事者にならないと実感しにくい構造があります。
本稿は、親の介護を兄弟姉妹で分担するときに知っておきたい法的根拠(民法877条の扶養義務)、役割の切り分け方、家族会議の進め方、不公平感の処理、遺産分配との関係、専門家を入れるタイミングまでを、制度に基づいて整理したものです。なお、本稿は一般的な制度解説であり、個別の法的助言ではありません。具体的な紛争や調停は弁護士・司法書士・家庭裁判所に相談してください。
法律上の前提|民法877条の扶養義務と「子は平等」の原則
親の介護を考えるうえで最初に押さえたいのは、民法上の扶養義務の枠組みです。長男・長女に法的な優位はなく、また同居していない兄弟姉妹も義務を免れません。
直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養義務がある(民法877条1項)
民法第877条第1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。つまり、親に対しては子(直系血族)全員が、兄弟姉妹同士も互いに扶養義務を負います。ここに長男・次男や同居・別居の区別はありません。
三親等内親族にも特別の事情があれば義務が及ぶ(同条2項)
同条2項は「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」とし、おじ・おば・甥姪などにも事情次第で義務が広がる余地を残しています。
扶養の順位・程度・方法は協議で決め、まとまらなければ家庭裁判所
扶養すべき順位(878条)、扶養の程度・方法(879条)はまず当事者の協議で決めるのが原則で、協議がまとまらない・できないときに家庭裁判所が定めるとされています(民法878条・879条)。協議でいったん決めた内容も、事情変更があれば家庭裁判所で変更・取消ができます(同880条)。
「生活扶助義務」と「生活保持義務」の違い
実務では、夫婦間や未成年の子に対する義務は「自分と同じ水準の生活をさせる生活保持義務」、成人した子から親への義務は「自分の生活に余力がある範囲で支える生活扶助義務」と区別されます。つまり、親の介護費を出すために自分の生活が破綻するレベルまでは要求されません。この点は、過度な自己犠牲を避ける根拠としても知っておきたい考え方です。
役割を4つに分解する|メイン介護者・サブ・お金担当・遠距離支援
「介護を分担する」と一口に言っても、漠然と「みんなで協力しよう」では結局誰かに負担が集中します。役割を機能別に4つに分けて、誰が何を担うかを文章で残すと不公平感が見えやすくなります。
1. メイン介護者(キーパーソン)
ケアマネジャー・病院・サービス事業所からの連絡窓口になる人。介護保険の認定申請、ケアプラン作成同席、緊急時の判断、医療同意の意思確認役などを担います。通常は親と同居・近居の子が担いますが、必ずしも長子・実子に限る必要はありません。負担が突出しやすいため、後述の補助役割で支える前提で決めます。
2. サブ介護者(実働支援)
週末の通院同行、買い物、家事援助、ショートステイの送迎などを担当。月に数回でも実働があると、メイン介護者の心理的負担は大きく下がります。フルタイム勤務者でも、有給や半休で対応できる範囲を事前に伝えておくと調整しやすくなります。
3. お金担当(経済・事務支援)
介護保険サービスの自己負担分、医療費、おむつ代などの精算・記録を担当。可能なら親の通帳の管理(成年後見制度や任意後見契約の枠組みで)も含めます。経済的余裕がある兄弟が一定額を毎月仕送りする「経済的分担」を引き受けるパターンもあります。お金の流れは必ず帳簿に残し、年1回は兄弟全員に共有することが、相続時の紛争予防に直結します。
4. 遠距離支援(情報・精神面)
遠方在住で日常的な手伝いが難しい兄弟は、電話やビデオ通話で親と話す、メイン介護者の話し相手になる、ネットでサービスや制度情報を集めて共有する、年に1〜2回まとまった休みで帰省して短期間メインを代わるといった支援が現実的です。「何もできない」のではなく「できる支援の形が違う」と整理し直すと、関係が壊れにくくなります。
役割は1人1役に限らない
例えば「メイン介護者+お金は別の兄弟、サブは順番制」のように、組み合わせは自由です。重要なのは、口頭の合意ではなく、誰が何を・いつまで・どの頻度で担うかをメモやLINEグループのノートなどに残し、半年に1回見直すことです。
費用の決め方|「親のお金から」が原則、不足分を兄弟で按分
介護費用の話し合いは感情的になりやすいテーマです。まず制度上の原則を共有してから、具体的な按分方法に入ると合意しやすくなります。
原則1:親本人の収入・資産から払う
介護費用は親本人の年金・預貯金・有価証券・不動産収入などから払うのが原則です。子が立て替えてしまうと、後で「自分だけが負担した」という記録が残らず、相続時の寄与分主張も難しくなります。親の口座から直接引き落とす、または親名義の口座から子が代理で支払って毎月家計簿に記録するなど、お金の出元が親であることを明確にしておきます。
原則2:親の資産で足りなければ扶養義務者が補う
親の年金と預貯金で介護費用が賄えない場合は、扶養義務者である子が補います。このとき、収入や扶養家族の数を考慮した按分が一般的です。例えば年収500万円の子と年収300万円の子では、按分比率を5:3にする、可処分所得ベースで比例配分するなどの方法があります。一律に頭割りすると、低所得側に過重な負担がかかります。
原則3:実費は必ず記録し領収書を保管
立替金、施設費、医療費、おむつ・介護用品費、交通費はすべて領収書と日付付きで記録します。立替分は四半期ごとに精算する、または親の口座から月末に立替者に振り込むなど、ルールを決めておくと「貸した・借りた」の感覚が残らずに済みます。
協議が決裂したら「扶養請求調停」という選択肢
兄弟間で扶養の負担を話し合っても合意できない場合、家庭裁判所に「扶養請求調停」を申し立てることができます(家事事件手続法)。調停委員が双方の収入・資産・生活状況を聞いたうえで、按分割合や扶養の方法を話し合いで決める手続きです。調停が不成立の場合は審判に移行し、裁判官が決定を下します。実際に申し立てに至るケースは多くないものの、「いざとなれば公的手続きがある」と知っているだけで、感情的なエスカレーションを抑える抑止力になります。
家族会議のアジェンダ|90分で決めるべき9項目
家族会議は「集まって何となく話す」では機能しません。事前にアジェンダを共有し、決めるべき項目を明文化したうえで90分程度で区切る形が、合意形成の現実解です。
会議前の準備(メイン提案者がやること)
1. 親本人の現状(要介護度、医療面、生活面)を1枚にまとめる
2. 親の年金額・預貯金・固定費を概算で出す(親の同意のうえで)
3. 利用中・候補のサービスと月額費用を一覧化
4. 兄弟全員のスケジュールを合わせ、可能なら親本人も同席
会議のアジェンダ(推奨9項目・各10分目安)
- 親の意思の共有:在宅で過ごしたいか、施設も視野か、延命や看取りの希望
- 現状の事実確認:要介護度、医療状況、住環境、現在の介護量
- 親の経済状況:月の収入・支出、預貯金、不動産、保険
- 役割の割り振り:メイン・サブ・お金・遠距離支援の4枠を誰が担うか
- 費用の按分ルール:親のお金で足りない分の負担割合と精算方法
- 緊急時の連絡網:救急搬送・看取り期・施設からの呼び出し時の優先順
- レスパイト(休息)の確保:メイン介護者がいつ休めるか、ショート利用の頻度
- 次回見直しのタイミング:3か月後・半年後など定期見直し日を仮決め
- 記録と保管:誰が議事録を作りどこに保管するか
進行のコツ
感情論を避けるため、最初に「批判ではなく事実と提案を話す」「決まらない論点は次回に持ち越し可」というルールを言葉に出して共有します。親本人が同席する場合は、親の前で兄弟が言い争わない、親に決断を強要しないという配慮も大切です。難しい論点(例:施設入居の是非、費用按分)は1回で決めず、宿題として持ち帰り、後日改めて話し合う段取りで構いません。
不公平感の正体と処方箋|「見えない労働」を可視化する
家族介護の不満は、絶対的な負担量ではなく「自分の負担が認識されていない」「やっていないのに口だけ出される」という相対的な不公平感から生まれます。可視化と感謝の言語化で大半は緩和できます。
不公平感の典型パターン3つ
| パターン | 背景 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 負担の見えなさ | 同居メインの仕事(夜中の見守り・通院・服薬管理)が遠方の兄弟に伝わらない | 月次の「介護時間ログ」共有、写真や日報のグループ共有 |
| 口だけ干渉 | 遠距離兄弟が「施設に入れた方がいい」など方針だけ言う | 意見だけでなく具体的な行動・費用負担とセットで提案するルール化 |
| 金銭の不透明 | 親のお金の使い方が見えず、メイン側が使い込んでいると疑われる | 月次収支表の自動共有、領収書の写真クラウド保存 |
「介護時間」を見える化する
1日のうち何時間を介護関連業務に使ったか、週単位で記録します。スマホのメモでも、家族用のLINEノートでも構いません。「夜中の体位交換で2回起きた」「病院送迎で半日休んだ」といった見えにくい労働を文字に残すと、遠方の兄弟も実感を持って事実を共有できます。
感謝と謝意を言葉にする習慣
負担が大きい側ほど「やって当然」とは思われたくないものです。会議の冒頭でメイン介護者への感謝を口に出す、月1回お礼のメッセージを送る、年に1回まとまったお礼金や旅行ギフトを贈るなど、形式的でも感謝を表明する習慣が、関係維持に効きます。
「介護休業給付金」「介護休暇」も全員で使う
育児・介護休業法に基づく介護休業(通算93日、3回まで分割可)と介護休暇(年5日、対象家族2人以上で年10日)は、メイン介護者だけでなくサブ・お金担当の兄弟も使えます。「忙しいから無理」ではなく、制度上の権利として全員が使うことで、メイン介護者の罪悪感も減ります。
家族構成別の分担パターン|よくある5つの型
兄弟姉妹の人数・年齢・住まいの距離によって、現実的な分担の型はある程度パターン化できます。自分たちのケースに近い型を出発点に、家族会議で微調整するのが効率的です。
型1:一人っ子+親夫婦
分担相手がいないため、メイン・サブ・お金・遠距離支援を実質1人で担う構造になりがちです。配偶者と家事育児の役割を明確に分け、介護保険サービス(訪問介護・通所介護・ショートステイ)の利用を早期から組み込み、地域包括支援センターの個別ケースワーカーを「もう1人の家族」として頼ることが共倒れ回避の鍵になります。
型2:兄弟2人・両方近居
役割を「曜日」または「業務」で分けます。曜日制(平日は弟、週末は兄)か機能制(通院同行は弟、お金管理は兄)かは家族の働き方による。役割の偏りが小さくなる代わり、衝突回数も増えるため、月1回の定例ミーティングを習慣化します。
型3:兄弟3人以上・1人だけ近居
典型的な「メイン1人・遠距離2人以上」型。近居者にメインを依頼する代わり、遠距離兄弟は経済的負担と長期休暇時の代替メインを引き受けることで均衡を保ちます。「近居だから当然」と思考停止しないことが要。
型4:兄弟全員が遠方
誰もメインを担えない場合は、介護付き有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・特別養護老人ホームなどの施設入居を早期に検討するか、近隣に住む親族(叔父叔母・いとこ)に有償でキーパーソン役を依頼するハイブリッド型も選択肢です。ケアマネジャー・地域包括支援センターが第三者キーパーソンの調整窓口になります。
型5:再婚・連れ子家族・複雑な続柄
義理の親子関係、半血の兄弟姉妹、養子縁組がある場合は、法的な扶養義務の範囲と相続権が必ずしも一致しません。早い段階で弁護士・司法書士に親族関係図と財産関係を整理してもらい、誰がどの法的立場で関わるかを書面化しておくと、後の紛争を大きく減らせます。
遺産分配との関係|寄与分・特別寄与料の制度を知っておく
「介護を一人で担った見返りは相続で精算できる」と言われることがあります。実際には民法上の制度として「寄与分」と「特別寄与料」がありますが、認められるハードルは決して低くありません。
寄与分(民法904条の2)
- 相続人本人が、被相続人(親)の財産の維持・増加に「特別の寄与」をした場合、その分を相続分に上乗せできる制度
- 通常期待される扶養の範囲を超えた、長期かつ専従的な療養看護が要件
- 相続人間の協議で決め、まとまらなければ家庭裁判所の調停・審判
- 無償の介護でも、職業的介護人を雇った場合の費用相当額を目安に評価されることが多い
特別寄与料(民法1050条・2019年7月施行)
- 相続人ではない親族(例:長男の妻、子の配偶者、甥姪など)が、被相続人を無償で療養看護した場合に、相続人に金銭請求できる制度
- 請求できる期間は、相続開始と相続人を知った時から6か月以内、かつ相続開始から1年以内
- これにより、配偶者の親を介護した嫁が、相続発生後に夫の兄弟に金銭請求できる枠組みが整いました
「介護記録は相続資料」と考えて残す
寄与分・特別寄与料を主張するには、いつ・どれだけ・どんな介護をしたかの客観的な記録が決め手になります。家計簿、介護日誌、写真、医療機関とのやり取りの履歴、ケアマネジャーの作成書類などは、捨てずに保管しておきます。これらは紛争が起きなければ単なる記録に過ぎませんが、起きたときには証拠として機能します。
「介護したから多く相続できる」と先回りしない
制度はあくまで紛争時の救済策で、介護中から「これだけやったから多くもらう」と口に出すと、関係はかえって悪化します。介護中は記録を淡々と残し、相続の話は親の生前なら別途エンディングノートや遺言書として整理する、と分けて考える方が現実的です。遺言書の作成・任意後見契約は公正証書での作成が安心で、公証役場で対応してくれます。
専門家に相談すべきタイミング|弁護士・FP・社会福祉士の使い分け
家族内で解決しようとして泥沼化するくらいなら、早めに第三者を入れた方が、結果的に介護そのものに集中できます。誰に何を相談するかを知っておくと、迷わず動けます。
地域包括支援センター・社会福祉士・ケアマネジャー(無料)
介護サービスの組み立て、家族関係の調整、虐待・ヤングケアラーの相談まで、最初の窓口は地域包括支援センターが現実的です。65歳以上の高齢者がいる世帯のための公的窓口で、相談は無料、社会福祉士・主任ケアマネジャー・保健師が配置されています。費用按分のように法律問題が混じる相談でも、最初にここを経由すると、必要に応じて市区町村の高齢福祉課や法律相談につなげてもらえます。
FP(ファイナンシャルプランナー)
親の年金・預貯金・不動産・保険を棚卸しし、介護費用が今後何年もつかを試算してもらう用途に向きます。中立的な立場で家族会議に同席してもらい、客観的な数字で議論を進めると感情論を抑える効果があります。CFP・1級FP技能士などで相続・高齢者分野に強い人を選びます。
弁護士・司法書士
扶養請求調停の申立て、相続発生後の遺産分割協議、寄与分・特別寄与料の請求、成年後見人の選任申立てなど、法的手続きが絡む場面で必要になります。各都道府県弁護士会の高齢者・障害者支援センター、法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談、自治体の無料法律相談などが入り口です。任意後見契約・公正証書遺言の作成は司法書士・公証役場が担います。
「介護者の会」「家族の会」
公益社団法人 認知症の人と家族の会など、同じ立場の家族同士が経験を共有する場も重要です。制度や法律で解決しない感情面、罪悪感、孤独感は、専門職よりも同じ境遇の家族の言葉のほうが届くことがあります。電話相談やオンライン交流会を活用できます。
相談タイミングの目安
- 要介護認定が出た直後 → 地域包括支援センター・ケアマネジャー
- 家族会議で按分が決まらない → FP・弁護士
- 親が認知症で財産管理に不安 → 司法書士・弁護士(任意後見契約)
- 兄弟との関係が険悪化、調停を検討 → 弁護士・家庭裁判所
- 相続発生・寄与分を主張したい → 弁護士
よくある質問
Q. 親と同居している長男が「全部やる」と言っているが、本当に任せてよい?
A. 同居者が中心になるのは現実的な選択ですが、メイン介護者の負担は数年で破綻する規模になりがちです。「全部任せる」のではなく「メインはお願いするが、サブ・お金・遠距離支援は他の兄弟で割る」と最初に役割を分けておくと、共倒れと不公平感の両方を防げます。
Q. 兄弟の1人が「自分は介護に関わらない」と言ったらどうなる?
A. 民法877条で子は親への扶養義務を負うため、法的には「完全に放棄」はできません。ただし、実働の関与を強制することは現実的でないため、その場合は経済的負担を多めに引き受けてもらう、相続時に寄与分で精算する前提を共有するなど、お金で代替する案を提示するのが現実解です。協議がまとまらないときは家庭裁判所の扶養請求調停を検討します。
Q. 「長男の嫁」が義両親の介護を一手に担っている。本人は相続権がないが、何かできる?
A. 2019年7月施行の特別寄与料制度(民法1050条)により、相続人でない親族(嫁・婿など)も、無償で療養看護した場合に相続人へ金銭請求できるようになりました。請求できる期間は相続開始と相続人を知った時から6か月以内、かつ相続開始から1年以内です。実際に主張するには介護日誌や領収書などの記録が不可欠なので、日々の記録を残しておくことが大切です。
Q. 親の通帳を兄弟の1人が管理している。途中で確認したい場合は?
A. お金のトラブルは家族介護で最も多い原因です。最初から「親のお金の出入りは月次で全員に共有する」とルール化するのが理想です。すでに不透明な状態なら、家族会議の場で月次収支表の共有を提案し、応じない場合は親の同意のうえで任意後見契約や成年後見制度の利用、最悪の場合は弁護士を通じた財産管理状況の確認を検討します。
Q. 家族会議をオンラインで開いてもよい?
A. 遠方の兄弟がいる場合はオンライン会議が現実的です。ZoomやLINEのビデオ通話で問題ありませんが、議事録を画面共有しながら全員で確認する、決定事項をテキストでグループに残すなど、後から「言った言わない」にならない工夫を入れます。年に1〜2回は対面で集まることも、関係性の維持には効果があります。
参考文献・出典
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まとめ|「兄弟全員で決めた」という事実が、後のトラブルを減らす
親の介護を兄弟姉妹で分担するうえで最も大事なのは、結果として誰がどれだけ負担したかよりも、「全員で話し合い、納得して決めた」という事実です。民法877条は子全員に扶養義務を課しており、長男・同居・性別に法的優位はありません。役割を4つ(メイン・サブ・お金・遠距離支援)に分けて文書で残し、家族会議のアジェンダで90分単位で議論し、半年ごとに見直す——この型を最初に作っておくと、状況が変わっても回り続けます。
費用は親本人の資産から払うのが原則で、不足分は収入比などで按分し、領収書と帳簿を月次共有する。協議で決まらないときは家庭裁判所の扶養請求調停という選択肢があり、相続発生後は寄与分・特別寄与料で精算する制度も用意されています。家族の感情論で行き詰まったら、地域包括支援センター・FP・弁護士など第三者を早めに入れ、介護そのものに集中できる体制を作ることが、結局は親にとっても兄弟にとっても最善の選択になります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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