
高齢者の浮腫(むくみ)を家庭で観察する|原因・受診タイミング・予防の生活習慣
在宅高齢者の足のむくみは病気のサインかもしれません。心不全・腎不全・低栄養・薬剤性など原因別の見分け方と、家庭での観察ポイント、すぐ受診すべき症状、自宅でできるセルフケアまでを整理します。
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この記事のポイント
高齢者の足のむくみ(浮腫)は加齢による筋ポンプ機能低下が主な背景にありますが、片足だけ・短期間で悪化・体重急増・息切れを伴う場合は、心不全・腎不全・深部静脈血栓症などの病気が隠れている可能性があります。家庭では「両足/片足」「指で押した跡」「体重の推移」「息切れの有無」を毎日観察し、当てはまる項目があれば自己判断せず、まずはかかりつけ医に相談してください。
目次
夕方になると親の足首がパンパンになる、靴下の跡が深く残る、ふくらはぎを押すとへこみが戻らない――こうした「むくみ」は、加齢に伴うありふれた症状であると同時に、心臓や腎臓の病気の最初のサインとして現れることもあります。本記事は在宅で高齢のご家族を介護されている方に向けて、むくみを「観察する目」を養うことを目的に、原因の見分け方、家庭でできるケア、そしてどのタイミングで医療につなぐかを整理しました。医療判断には踏み込みませんが、医療機関に相談するときの材料を持ち帰れる構成にしています。
むくみ(浮腫)とは何が起きている状態か
むくみは医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、皮膚の下の組織(間質)に余分な水分がたまった状態を指します。日本腎臓学会は「腎臓から水分を十分排泄できなくなり、体内に余分な水分がたまっている状態」と説明し、押した部分が10秒以上へこんだまま残ること、体重が2〜3kg増えると足首から、5kg以上で全身に広がることを家庭での目安として挙げています。
なぜ高齢者はむくみやすいのか
立っている時間が長いほど、心臓から下半身に送られた血液は、ふくらはぎの筋肉が収縮する「筋ポンプ」の働きで心臓に戻されます。高齢になると筋肉量が減り、椅子に座っている時間が長くなるため、筋ポンプが弱くなり、夕方になると重力で水分が足にたまります。この「動かないことで起きるむくみ」は廃用性浮腫(はいようせいふしゅ)と呼ばれ、洛和会音羽病院 脈管外科の報告では下肢の「フレイル」とも捉えられる、高齢者に増えている状態だと指摘されています。
「圧痕(あっこん)」を必ず見る
むくみを見つけたら、すねの骨の少し上、足の甲、くるぶしのあたりを指で10秒ほど押し、指を離してください。へこみがしばらく残るものを圧痕性浮腫といい、心不全や腎不全など全身の病気が原因のものに多く見られます。日本心臓財団は、心臓由来の浮腫の特徴として、この圧痕が残ることと、体を起こしている間は下半身に水分が移動して下肢に現れやすいことを挙げています。一方、押してもへこまない「非圧痕性浮腫」はリンパ浮腫や甲状腺機能低下症など別の機序で起こります。
家庭で毎日記録したい7つの観察ポイント
むくみの原因を医師が見立てるとき、いつから・どちらの足から・どんな経過で進んだかが重要な手がかりになります。在宅で過ごす時間が長い高齢者ほど、ご家族や訪問するヘルパーが「いつもと違う」に最初に気づく立場にあります。次の7項目を、できれば手帳や介護記録のアプリに残しておくと、受診時に医師へ正確に伝えられます。
毎日チェックする項目
- 両足か片足か:左右差があるかどうかは原因を絞り込む最大の手がかりです。片足だけ急に腫れた場合は深部静脈血栓症の可能性があり、緊急性が高くなります。
- 指で押した跡(圧痕):すねの骨の上を10秒押し、指を離してから戻るまでの秒数を見ます。「すぐ戻る/30秒以内に戻る/1分以上残る」のレベルで記録します。
- 体重の変化:毎朝、排尿後・朝食前の同じ条件で測ります。日本心臓財団は「1週間で2kg以上の増加」を心不全の危険サインとしており、家庭で最も気づきやすい指標です。
- 息切れ・横になると苦しいか:歩行や着替えで息切れが増えていないか、横になると咳が出たり胸が苦しくないかを確認します。
- 尿の量と回数:夜間トイレに起きる回数が増えた、日中の尿量が極端に減ったといった変化は腎機能や心機能の悪化のサインになり得ます。
- 皮膚の状態:むくんでいる部分の皮膚が赤い・熱い・痛い場合は感染を起こしている可能性があります。色素沈着や皮膚の硬さの変化も記録します。
- 食事と水分量:味付けが濃くなっていないか、塩分やインスタント食品の量、1日の水分摂取量の目安を記録しておくと、原因の検討に役立ちます。
1週間の観察記録のテンプレート
記録は完璧を目指す必要はなく、続けることが何より大切です。次のような簡易テンプレートを冷蔵庫やリビングに貼っておくと、家族で交代して記入しやすくなります。
- 朝(起床直後):体重、血圧、夜間の咳や呼吸困難の有無、夜間トイレに起きた回数
- 夕方(入浴前など決まった時間):すねを押した跡の戻り、足のだるさ、靴下の跡の深さ、その日の活動量(歩いた時間・座っていた時間)
- 食事:朝・昼・夕で食べた主菜(たんぱく質源)と汁物の数、間食、水分摂取の概算
- 服薬:新しく始めた薬や中止した薬、いつもと違う飲み方をした薬
1週間続けて見直したとき、体重がじわじわ増えている、夜の咳が増えている、たんぱく質が摂れていない週があるといった「傾向」が見えてきます。これが受診時に「最近どうですか?」と聞かれたときの最も価値ある回答材料になります。
記録の運び方
定期受診のときには、この記録をそのまま持参するか、スマートフォンで足の写真を撮って医師に見せると、口頭での説明よりはるかに正確に伝わります。日々の変化が分かるよう、同じ角度・同じ明るさで撮るのがコツです。介護保険を利用してケアマネジャーや訪問看護師が入っている場合は、連絡ノートに記録を残してチームで共有しておくと、悪化の兆候を早期に拾い上げられます。家族間で「気づいたら書く」を共有し、「観察する人」を一人に背負わせない仕組みづくりも、長く続けるコツです。
原因別に見るむくみの特徴と背景の病気
むくみの原因は大きく「左右両方に出る全身性のもの」と「片足だけに出る局所性のもの」に分けて考えると整理しやすくなります。家庭で原因を診断するのは難しく、また同じ高齢者でも複数の要因が重なっているケースが大半ですが、それぞれに「特徴的なパターン」があることを知っておくと、医師に伝える情報の質が変わります。
両足にむくみが出るパターン
1. 心臓由来(心不全)
日本心臓財団は「むくみ」と「体重増加」を心不全の前兆として挙げ、心原性浮腫の特徴として圧痕が残ること、体重が短期間に増えることを示しています。坂道や階段で息切れする、夜横になると咳が出る、足のむくみが取れにくいといった症状が複数重なっているときは、循環器内科の受診を検討する場面です。国立長寿医療研究センターは、高齢者の心不全では「左室駆出率が保たれていても、他の臓器の負担で心不全になる」タイプが増えていると指摘しており、「年のせい」と片付けないことが早期発見につながります。
2. 腎臓由来(腎不全・ネフローゼ症候群)
日本腎臓学会は、腎臓病によるむくみは左右対称で、押すと指の跡がへこんだまま残ると説明しています。尿の量が極端に減ったり、夜間頻尿が増えたりした場合、また検診で「尿たんぱくが出ています」と言われたことがある場合は、腎臓内科への受診が選択肢になります。
3. 低栄養(低アルブミン血症)
食事量が落ち、肉や魚、卵といったたんぱく質源の摂取が減ると、血液中のアルブミンが下がり、血管内に水分を保てなくなって全身がむくみます。ツムラの「心不全と栄養」資料は、高齢心不全患者では塩分制限が食欲低下を招き、低栄養になりやすい悪循環があると指摘しています。痩せてきたのに足だけむくむ、というケースはこの低栄養を疑います。
4. 廃用性浮腫(うごかないことによる浮腫)
洛和会音羽病院 脈管外科は、全身疾患や局所の病気が見つからない高齢者の慢性的な下肢浮腫を「廃用性浮腫」と呼び、下肢の筋ポンプ機能低下によって生じる下肢の「フレイル」とも言えると述べています。日中ほぼ座ったまま過ごす生活が長いほど起きやすく、原因疾患を除外したうえで、圧迫療法や運動が基本となります。
片足だけにむくみが出るパターン
1. 深部静脈血栓症(DVT)
片足だけが急に腫れて痛みを伴うとき、特にふくらはぎを握ると痛い、皮膚が赤紫色になっているといったサインがあれば、深部静脈血栓症の可能性があります。血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症となり命に関わるため、迷ったら救急要請も含めて早急な受診が必要です。
2. 蜂窩織炎(ほうかしきえん)など皮膚の感染
むくんでいる部分が熱を持ち、赤く広がり、押すと強い痛みがあるときは、皮膚の感染が疑われます。発熱を伴うことも多く、早めに皮膚科や内科の受診が必要です。
3. リンパ浮腫
がんの手術や放射線治療を受けたことがある方では、術後数年してから腕や足の片側にむくみが出ることがあります。日本癌治療学会のガイドラインでは、リンパ浮腫は弾性着衣を中心とした複合的治療の対象とされています。
すぐ受診すべきサインと、外来でよい場合の見分け
むくみは「年のせい」と片付けられがちですが、なかには命に関わる病気の入口になっていることもあります。ご家族としてどの段階でどこへ連絡すればよいか、判断の目安を整理しました。最終判断は医師にゆだねるべきですが、迷ったときの行動指針として活用してください。
救急要請を検討する症状
- 息苦しさが強く、横になっていられない/座って前かがみだと少し楽になる
- 片足だけが急に腫れ、痛みや皮膚の色の変化(赤紫・蒼白)を伴う
- むくんでいる部分が熱を持ち、赤く広がり、発熱・寒気がある
- むくみとともに胸痛、強い動悸、意識がもうろうとする
その日のうち〜翌診療日にかかりつけ医へ連絡
- 1週間で2kg以上の体重増加がある
- 夜間に咳が増え、起き上がると少し楽になる
- 食欲が落ち、ここ数日でむくみが急に強くなった
- 新しい薬を飲み始めてから両足のむくみが目立つようになった
次回の定期受診で相談する
- 夕方になると足が重だるく、靴下の跡が深く残る程度
- 同じレベルのむくみが数か月続いていて、悪化はしていない
- 体重・血圧・尿量に大きな変化がない
受診時に伝えるべき情報
受診したときに、医師がまず聞くのは「いつから」「両足か片足か」「圧痕は残るか」「体重・血圧の変化」「服用中の薬」「最近変化したこと」です。観察記録と一緒に、現在服用しているお薬手帳を必ず持参してください。市販薬や漢方、サプリメントも含めて伝えると、薬剤性むくみの鑑別に役立ちます。
自宅でできるむくみのセルフケア
原因疾患が見つかっている場合の治療は医師の指示に従うことが大前提ですが、廃用性浮腫のように生活に起因するむくみや、慢性的な軽度のむくみについては、家庭でのケアが症状の改善に直結します。ここでは、医療判断を伴わず家庭で実践しやすい方法を紹介します。
1. 足を心臓より高く上げる時間をつくる
昼間に20〜30分、横になって足の下にクッションや座布団を入れ、足を心臓より少し高い位置にする時間をつくります。重力でたまった水分が心臓に戻りやすくなり、夕方のだるさが軽くなる方が多くいます。一度に長時間続けるより、午前と午後で分けて休む方が無理がありません。ベッドで休めない場合は、椅子の前にもう一脚椅子を置き、足を伸ばして同じ高さにするだけでも一定の効果があります。
2. ふくらはぎを動かす運動を生活に組み込む
立位や座位で「かかとの上げ下げ」を10〜20回×1日数セット行うと、ふくらはぎの筋ポンプが働き、足にたまった水分を心臓に押し戻すことができます。歩行が可能な方は、無理のない範囲で平坦な室内・廊下を1日10分でも歩くことが、廃用性浮腫の予防に直結します。座っている時間が長い方ほど、こまめに足首を回す・つま先を上下に動かすといった小さな運動を入れる意識が大切です。
3. 弾性ストッキング(着圧ソックス)の使い方
下肢のむくみを物理的に押し戻す手段として、弾性ストッキングは家庭でも取り入れやすい方法ですが、いくつか注意点があります。日本静脈学会の「静脈疾患における圧迫療法ガイドライン2024」は、弾性ストッキングを足首での圧迫圧によって軽度(20mmHg未満)・弱圧(20〜29mmHg)・中圧(30〜39mmHg)・強圧(40mmHg以上)に分類しており、市販の着圧ソックスとは別物の「医療機器」が存在することを示しています。慢性的なむくみが強い方、過去にリンパ浮腫や下肢静脈瘤と言われた方は、市販品を自己判断で選ぶ前に、まず医師や弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターのいる施設で相談することが望ましいとされています。
使用上の基本的な注意として、下記を押さえておきます。
- 原則として日中の活動時間に着用し、夜間就寝中は外す(医師の指示がある場合を除く)
- 動脈の血流が悪い方(足が冷たく、足背の脈が触れにくい)は、弾性ストッキングが逆効果になることがあるため、必ず医師に相談する
- 皮膚が極端に乾燥・損傷している、糖尿病で感覚が低下している方も、使用前の医師判断が必要
- 朝、むくみが少ないうちに着用する/装着補助具を活用すると介助負担が軽くなる
4. 食事と水分管理
塩分の摂りすぎは体内に水分をためる原因になり、心不全患者では1日6g未満が目安とされています。家庭では、味噌汁を1日1杯にする・漬物や練り物を減らす・調味料を計量するといった小さな工夫から始められます。一方、「水を飲まなければむくみが減る」と考えて極端に水分を控えるのは、脱水や腎機能悪化を招くため避けてください。心不全や腎不全で水分制限が指示されている場合のみ、医師の指示量に従います。たんぱく質は筋肉量の維持にも血液中のアルブミン維持にも欠かせない栄養素で、低栄養が背景にあるむくみでは、卵・魚・大豆製品を毎食一品取り入れることが推奨されます。
5. 体を冷やさない・座位姿勢を見直す
長時間同じ姿勢で座り続けると下肢の循環が悪くなります。1時間に1回、立ち上がって足首を動かすだけでも違います。入浴は無理がなければ湯船にゆっくり浸かることで、水圧と温熱効果でむくみが軽減します。ただし、心不全や血圧の不安定な方は、長湯や熱い湯が負担になるため、医師の指示を確認してください。
薬剤性のむくみ|よく使われる薬と家族が知っておきたいこと
高齢者は複数の慢性疾患を抱え、何種類もの薬を併用していることが珍しくありません。薬の副作用としてむくみが出ることがあり、特に高血圧治療で広く処方される一部の薬は、家族にもよく知られていない注意点を持っています。むくみと薬の関連が疑われたとしても、自己判断で服用を中止することは絶対にせず、必ず処方医・薬剤師に相談してください。
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
アムロジピン、ニフェジピン、フェロジピンなどが代表で、降圧薬として最も多く処方されている系統の一つです。日本老年薬学会雑誌の症例報告では、服用後3か月以内に両下肢のむくみが出現するケースが報告されており、城西大学の資料でも下肢浮腫の発現頻度が他の系統より高いことが示されています。代替候補としてシルニジピンやアゼルニジピンといった別タイプのカルシウム拮抗薬への変更で改善した事例もあり、薬剤師や医師に「両足のむくみが新しい薬を始めてから目立つようになった」と相談する価値があります。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
ロキソプロフェンやイブプロフェンなど、痛み止め・解熱剤として処方されたり市販されたりする薬です。腎臓での水分排泄を抑える作用があり、むくみや血圧上昇の引き金になることがあります。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでも「高齢者では特に長期間の使用を避け、減量・中止する」とされています。腰痛や関節痛で漫然と内服を続けている場合は、定期受診時に必ず医師に伝えてください。
ステロイド薬・甘草を含む漢方薬
長期にステロイドを内服している方、甘草(カンゾウ)を多く含む漢方薬を併用している方では、ナトリウムと水分が体内にたまる「偽アルドステロン症」によってむくみと血圧上昇が起こることがあります。市販の漢方薬や、複数の医療機関から重複して処方されていないかも確認したいポイントです。
その他の薬
糖尿病薬(チアゾリジン系:ピオグリタゾンなど)、一部の抗うつ薬、ホルモン薬などでも、むくみが副作用として知られています。高齢者では、いつから・どの薬を・どんな目的で飲み始めたかをお薬手帳でたどれるよう、定期的に薬剤師に総点検してもらうことが安全策となります。複数の医療機関にかかっている場合は、ポリファーマシー(多剤併用)の整理を医師・薬剤師に相談してみるのも、むくみだけでなく転倒や認知機能の保護にもつながります。
家族からよく寄せられる質問
Q. 「水分を控えればむくみは減りますか?」
A. 多くの場合、推奨されません。高齢者は喉の渇きを感じにくく、もともと脱水になりやすい状態です。極端な水分制限は、脱水・脳梗塞・腎機能悪化のリスクを高めます。心不全や腎不全で医師から「1日◯mlまで」と指示が出ている場合のみ、その指示に従ってください。
Q. 「むくみがあっても歩かせて大丈夫ですか?」
A. 急に片足だけ腫れた、皮膚が熱く赤いといった緊急性のあるサインがない限り、廃用性浮腫の予防には適度に歩くことがむしろ推奨されます。ふくらはぎの筋ポンプが働くことで足にたまった水分が心臓に戻りやすくなります。ただし、心不全で「息切れが強い」「夜に咳が出る」状態のときは、運動を中止して受診すべきタイミングです。
Q. 「市販の着圧ソックスでもよいですか?」
A. 軽度のむくみであれば、市販のものでも夕方のだるさを軽減する助けにはなります。ただし、市販の着圧ソックスと医療用弾性ストッキングは目的も圧力設計も異なります。慢性的に強いむくみがある、過去にリンパ浮腫や下肢静脈瘤と言われたことがある、糖尿病や動脈の血流低下があるといった場合は、市販品を選ぶ前に必ず医師に相談してください。
Q. 「マッサージは効きますか?」
A. 足首から太もも、太ももから心臓に向かって、皮膚を伸ばすように軽くなでるマッサージは、廃用性浮腫の改善に役立ちます。一方、強く揉む・押す方法は、皮膚の弱い高齢者ではあざや皮下出血の原因になります。リンパ浮腫の場合は専門教育を受けた医療者による「用手的リンパドレナージ」が原則で、家族による見よう見まねは避けるべきとされています。
Q. 「介護保険のサービスでむくみのケアをお願いできますか?」
A. 介護保険のサービスは生活援助・身体介護が中心ですが、訪問看護を利用していれば看護師がむくみの観察や弾性ストッキング着用の指導、医師との連携を行います。利用には主治医の指示書が必要です。要介護認定を受けている方で「むくみが気になる」状態が続くなら、ケアマネジャーに相談し、ケアプランへの追加を検討してください。
参考文献・出典
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まとめ|むくみは「家庭の観察」が医療を動かす最初の一歩
高齢者のむくみは、加齢による生理的な変化と、心臓・腎臓・栄養状態・薬の影響など複数の要素が重なって現れます。家庭でできることは、診断や治療を肩代わりすることではなく、「いつもとどう違うか」を毎日見て記録し、医師に正確に伝える橋渡しになることです。両足か片足か、押して戻るまでの時間、体重の推移、息切れの有無、新しく始めた薬――この5つを抑えて記録するだけで、受診時の情報の精度は大きく変わります。
セルフケアは、足を上げる時間をつくる・ふくらはぎを動かす・無理のない減塩・たんぱく質をしっかりとる・必要なら医師に相談したうえで弾性ストッキングを取り入れる、という基本に尽きます。そして、片足だけ急に腫れた、息切れがひどい、皮膚が赤く熱を持っている、新しい薬を始めてからむくみが目立つようになった――これらが当てはまるときは、自己判断せず、必ず医師に相談してください。介護保険を利用中であれば、訪問看護師やケアマネジャーも頼れる相談先になります。日々の観察が、ご家族が穏やかに在宅生活を続けるための最初の一歩です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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