
親が運転免許を返納した後の生活|移動手段の確保と使える支援・特典
親が運転免許を返納した後の暮らしを支える実務情報。路線バス・タクシー助成、デマンド交通、家族送迎、介護タクシー・福祉有償運送の違い、運転経歴証明書とマイナ経歴証明書、自治体特典の探し方を警察庁・国交省データで解説します。
この記事のポイント
親が運転免許を返納した後にまず家族がすることは、(1)運転経歴証明書(またはマイナ経歴証明書)の取得、(2)移動手段の確保、(3)自治体の返納特典・高齢者外出支援の申請の3つです。移動は路線バス・コミュニティバス、デマンド交通、タクシー助成券、家族送迎を基本に、要介護認定があれば介護保険の「通院等乗降介助(介護タクシー)」も使えます。特典や助成は市区町村ごとに大きく違うため、お住まいの自治体の高齢福祉課や地域包括支援センターに確認するのが確実です。
目次
「免許の返納まではなんとか乗り越えた。でも、これからの親の足はどうしよう」——返納の決断と同じくらい、ご家族を悩ませるのが返納した後の暮らしです。買い物、通院、銀行、趣味の集まり。これまで車一台でこなしていた移動を、別の手段に置き換えていかなければなりません。
幸い、運転を卒業した高齢者を支えるしくみは年々充実しています。路線バスやデマンド交通の割引、タクシー助成券、運転経歴証明書を使った特典、そして要介護認定があれば介護保険の移動支援まで、組み合わせれば「車がなくても通院も買い物もできる」状態をつくることは十分に可能です。ただし、これらの制度は住んでいる市区町村によって内容が大きく異なり、しかも自分から申請しないと受けられないものがほとんどです。
この記事では、親が免許を返納した直後に家族がやるべき手続き、移動手段の選び方、介護タクシーや福祉有償運送といった制度の違い、特典や助成の探し方を、警察庁・国土交通省などの公的情報をもとに整理します。あわせて、運転をやめたことで外出が減り、心身が弱ってしまう「閉じこもり」をどう防ぐかにも触れます。
返納後に家族が整える3つのステップ
免許を返納した「後」に家族が整えることは、大きく3つのステップに分けると考えやすくなります。順番に取り組むことで、抜け漏れなく親の生活を支えられます。
ステップ1:身分証明と特典の入口を確保する
運転免許証は、多くの高齢者にとって「唯一の顔写真付き身分証明書」でもありました。返納するとこれを失うため、代わりに運転経歴証明書を取得します。これは過去5年間の運転経歴を証明するカードで、銀行口座の開設や各種手続きで本人確認書類として使えます。さらに、この証明書を提示することがタクシー・バス割引などの返納特典を受ける条件になっている自治体・事業者が多いため、返納とセットで取得しておくのが基本です。
ステップ2:日常の移動手段を組み立てる
「通院」「買い物」「銀行・役所」「趣味・人付き合い」など、親が車で行っていた用事を書き出し、それぞれをどの手段で置き換えるかを決めます。1つの手段ですべてをまかなおうとせず、近所はバスや徒歩、遠方や荷物が多い日はタクシー、通院は介護タクシーや家族送迎というように使い分けるのが現実的です。
ステップ3:自治体・介護保険の支援につなぐ
市区町村には、高齢者の外出を支えるタクシー助成券やコミュニティバス無料パス、デマンド交通の割引などが用意されています。要介護・要支援の認定を受けている場合は、介護保険の通院支援も選択肢に入ります。これらは申請主義(自分で申請しないと使えない)のため、どこに何があるかを家族が把握して手続きを代行・同行することが、最大のサポートになります。
以降の章で、各ステップを具体的に見ていきます。
返納直後の手続き|運転経歴証明書とマイナ経歴証明書
返納後の手続きの中心は、運転経歴証明書の取得です。返納(申請による運転免許の取消し)と同時に申請できるため、可能であれば一度の来訪でまとめて済ませると親の負担が少なくなります。
運転経歴証明書の取り方
- 申請できる場所:運転免許センター(運転免許試験場)、または住所地を管轄する警察署の運転免許窓口。
- 必要なもの:返納する運転免許証、申請用の顔写真(持参が必要な場合あり。免許センターでは不要なことが多い)、手数料。住所変更を伴う場合は住民票の写しなどが追加で必要になることがあります。
- 手数料:おおむね1,100〜1,150円程度ですが、金額や納付方法(現金・キャッシュレス)は都道府県で異なります。
- 交付までの時間:運転免許センターでは即日(おおむね1時間ほど)交付されることが多く、警察署で申請した場合は後日交付(約2〜4週間後)や郵送受け取りになるのが一般的です。
- 本人が窓口に行けないとき:代理人による申請を認めている自治体もありますが、委任状などの書類が必要で、扱える範囲が限られます。事前にお住まいの都道府県警の案内を確認してください。
運転経歴証明書には有効期限がなく、更新も不要です。免許証のように定期的な更新の手間がない点も、高齢の親にとっては負担軽減になります。
マイナンバーカードと一体化する「マイナ経歴証明書」
警察庁は、マイナンバーカードと運転経歴証明書を一体化した「マイナ経歴証明書」の運用を令和7年(2025年)から順次始めています。カードを1枚にまとめたい場合の選択肢ですが、申請料金や扱い(代理申請の可否など)は通常の運転経歴証明書と異なる場合があります。どちらにするかは、親が普段どの身分証を使っているか、特典の利用に運転経歴証明書の「提示」が必要かどうかも踏まえて決めると失敗がありません。
あわせて見直しておきたいこと
- 自動車の処分:もう運転しないなら、廃車・売却・名義変更を検討します。車があると「つい乗ってしまう」リスクも下げられます。
- 任意保険・自動車税:車を手放すと、これらの固定費がなくなります。浮いた費用をタクシー代や移動支援に回す、という考え方もできます。
- JAFなどの会員サービス:免許返納後も継続できる会員サービスがあり、優待を受けられる場合があります。
返納後の移動手段6つの選択肢と使い分け
車の代わりは「これ1つ」では成り立ちません。親の住む地域・体の状態・用事の種類に合わせ、次の選択肢を組み合わせて足を確保します。
① 路線バス・コミュニティバス(毎日の近距離移動の軸)
多くの市区町村で、65歳・70歳以上を対象にしたシルバーパスや敬老パス、返納者向けの無料・割引乗車券が発行されています。市内を巡回するコミュニティバスは運賃100円程度の地域も多く、最も安価で日常的な移動手段です。停留所の位置とダイヤを親と一緒に確認し、よく行く先までの「乗り方の練習」を一度付き添ってあげると、本人が一人で使えるようになります。
② デマンド交通(予約制の乗合タクシー・バス)
電話やアプリで予約し、希望の時間に自宅近くまで来てくれる乗合方式の交通です。路線バスのように停留所まで歩く必要がなく、タクシーより安いのが特長で、運賃は1回100〜500円程度に設定している自治体が多くあります。バス路線が少ない地方ほど整備が進んでおり、返納者には回数券や定期券を無料・割引で交付する市町村もあります。利用には事前の利用者登録が必要なことが多いので、家族が登録を手伝うとスムーズです。
③ タクシー・タクシー助成券(荷物が多い日・天候の悪い日に)
運転経歴証明書を提示すると運賃を1割引にするタクシー会社が全国に多数あります。さらに自治体が、返納者や高齢者にタクシー利用券(1枚500円分など)を年間数十枚交付する助成を行っている場合があります。買い物や通院でまとまった荷物がある日、雨や猛暑の日など、無理をさせたくない場面の備えとして確保しておくと安心です。
④ 介護タクシー・福祉タクシー(介助が必要なときに)
車いすやストレッチャーのまま乗れる福祉車両のタクシーです。乗り降りの介助が受けられるため、足腰が弱った親の通院に向いています。要介護認定があれば介護保険が使える場合があり、認定がなくても自費で誰でも利用できます(次章で違いを整理します)。
⑤ 家族・知人の送迎(無理なく続く範囲で)
最も柔軟ですが、家族だけで抱え込むと長続きしません。「平日の通院は介護タクシー、土日の買い物は子が送る」のように、家族送迎はあくまで全体の一部と位置づけ、公的サービスと役割分担するのが共倒れを防ぐコツです。きょうだいがいる場合は、誰がどの曜日を担当するかを早めに話し合っておきます。
⑥ シニアカー(電動車いす)・電動アシスト自転車(近所の自立移動に)
ハンドル型電動車いす(シニアカー)は運転免許が不要で、最高速度は時速6km程度(早歩き程度)に制限され、歩行者と同じ扱いで歩道を走れます。近所のスーパーや病院までの自立移動を保ちたい場合の選択肢です。ただし、認知機能や判断力が低下している場合は安全面の検討が必要で、購入前に身体状況をケアマネジャーやかかりつけ医に相談すると安心です。電動アシスト自転車は、ふらつきや転倒のリスクがあるため、本人の体力・バランスをよく見て判断します。
介護タクシー・福祉タクシー・福祉有償運送・通院等乗降介助の違い
「介護タクシー」「福祉タクシー」「福祉有償運送」「通院等乗降介助」——名前が似ていて混乱しやすい移動支援を整理します。違いの軸は(1)介護保険が使えるか、(2)利用に資格・認定が要るか、(3)行き先や同乗の自由度です。
通院等乗降介助(介護保険が使える介護タクシー)
訪問介護サービスの一種で、ホームヘルパーの資格をもつ運転手が、乗車・降車の介助や受診手続きの介助を行います。介護保険が適用されるため介助部分の自己負担は1〜3割で済みます。ただし条件が厳しく、要介護1以上の認定があり、ケアマネジャーが作ったケアプランに位置づけられていることが必要です。行き先は通院や役所・銀行など日常生活に必要な外出に限られ、原則として家族は同乗できません。利用したい場合は、まずケアマネジャーに相談します。
介護タクシー(介護保険適用外)・福祉タクシー
福祉車両を使うタクシーで、介護保険を使わず全額自費で利用します。要介護認定は不要で、本人の体が不自由であれば誰でも使え、行き先も自由、家族の同乗もできます。旅行やレジャー、お墓参りなど、介護保険では認められない用途に向いています。運賃のほかに、車いす介助・階段介助・院内付き添いなどの介助料が別途かかるのが一般的です。「福祉タクシー」も国の制度上は同じ枠組み(一般乗用旅客自動車運送事業の福祉輸送限定許可)に含まれます。
福祉有償運送(NPO・自治体などによる移送)
タクシー事業者だけでは地域の移動を支えきれない場合に、NPO法人や社会福祉法人、市町村などが行う移送サービスです。対象は要支援・要介護認定者や障害のある方などに限られ、利用には事前の会員登録が必要です。運賃はタクシーのおおむね半額程度に抑えられているのが特長で、地域によって運営状況が異なります。お住まいの地域にあるかどうかは、市区町村の窓口や社会福祉協議会で確認できます。
選び方の目安
- 要介護認定があり、通院の乗降に介助が必要 → まず通院等乗降介助(介護保険の介護タクシー)をケアマネに相談。
- 旅行・買い物など自由な外出で、車いす対応が必要 → 自費の介護タクシー・福祉タクシー。
- 費用を抑えたい・地域に移送ボランティアがある → 福祉有償運送を社協などに確認。
- 介助は不要で運賃を安くしたい → デマンド交通・コミュニティバス+タクシー助成券。
運転経歴証明書の特典と自治体助成の探し方
返納者向けの特典や高齢者の外出支援は、国が一律に決めているものではなく、自治体・交通事業者・お店がそれぞれ独自に用意しています。だからこそ「自分の地域に何があるか」を調べる入口を知っておくことが大切です。
特典の代表例
- 交通機関の割引:運転経歴証明書の提示でタクシー運賃1割引、路線バスの割引や乗り放題パスの購入割引など。
- 自治体の助成:タクシー利用券の交付、コミュニティバス・デマンド交通の無料/割引乗車券、交通系ICカードへのチャージ、現金交付(1〜2万円)など。内容は市区町村でまったく異なります。
- 暮らしの割引:協賛するスーパーの宅配無料・割引、ホテルや温泉施設の利用料割引、銀行の金利優遇など。
- 運転経歴証明書の交付手数料そのものを補助する自治体もあります。
調べ方の入口(この順で確認すると確実)
- お住まいの市区町村の「高齢福祉課」や「交通担当課」:返納者向け助成や高齢者外出支援タクシー、コミュニティバスの情報がまとまっています。市のホームページで「(市名) 免許返納 支援」と検索するのも有効です。
- 地域包括支援センター:移動の困りごとを含め、高齢者の生活全般の相談窓口。介護保険サービスとの組み合わせも一緒に考えてくれます。
- 都道府県警察の「運転免許自主返納サポート」案内:県内の特典をまとめている都道府県が多くあります。
- 全日本指定自動車教習所協会連合会「高齢運転者支援サイト」:警察庁と連携し、各都道府県の支援情報の入口を集約しています。
申請のコツ
多くの助成は申請期限(返納日から1年以内など)や対象年齢が決められています。「返納したら自動的にもらえる」ものではないため、返納手続きの際に窓口で「返納者向けの支援はありますか」と一声かける、または同じ日に市役所の高齢福祉課にも立ち寄る、という段取りにしておくと取りこぼしが減ります。必要書類として運転経歴証明書の写しや取消通知書を求められることが多いので、これらは大切に保管してください。
独自分析|返納は増えても支援に「たどり着けていない」現実
免許返納は、いまや特別な選択ではありません。警察庁の運転免許統計によれば、令和6年(2024年)の自主返納(申請による運転免許の取消し)件数は42万7,914件で、その約6割を75歳以上が占めています。75歳以上の運転免許保有者は令和6年末で約790万人、65歳以上では2,000万人を超えており、これから返納を考える家庭はさらに増えていきます。
一方で、運転経歴証明書の交付件数は令和6年で約31万6千件。単純計算でも、返納した人の4分の1ほどは運転経歴証明書を取得していないことになります。証明書がなければ受けられない返納特典も多いため、ここで「使えるはずの支援を取りこぼしている」家庭が一定数あると考えられます。
当サイトの見立て:制度の量より「知られているか」が課題
返納者向けの支援メニュー自体は、ここ数年で全国的に厚くなりました。たとえば自治体の支援一覧(各都県・運輸局の公開資料)を見ると、同じ県内でも市町村ごとに「タクシー券」「デマンド交通の回数券」「ICカードチャージ」「現金交付」と中身がばらばらで、対象年齢も65歳以上・70歳以上と分かれています。制度が豊富であることは利用者にとって朗報ですが、裏を返せば「自分の市に何があるかは自分で調べないと分からない」という状態でもあります。
実際、過去の警察庁委託調査をもとにした研究では、運転を続けている高齢者の約6割が返納者支援制度を「知らない」と回答し、4割超が制度の周知が「不十分」と感じていたことが報告されています。支援を知ったきっかけは警察・自治体・メディアが7割を超える一方、「家族や知人から知った」という回答も約2割を占めました。つまり、家族が地域の支援を一緒に調べて申請につなぐことが、親が支援にたどり着けるかどうかを左右します。
家族にとっての示唆はシンプルです。返納の手続きで安心して終わりにせず、(1)運転経歴証明書を必ず取る、(2)市区町村の高齢福祉課で使える助成を確認する、(3)期限内に申請する——この3点を家族が代行・同行するだけで、受けられる支援の差は大きく変わります。
運転をやめた後の「閉じこもり」を防ぐ
移動手段を整えるのと同じくらい大切なのが、「運転をやめたことで外出が減らないようにする」視点です。車は単なる移動の道具ではなく、買い物・通院・趣味・人付き合いといった社会とのつながりを支えていました。返納後にこれが一気に細ると、心身が弱る「閉じこもり」につながりかねません。
返納後に起こりやすい変化(注意したいサイン)
- 外出回数が目に見えて減る:「行くのが面倒」「人に頼むのが申し訳ない」と、用事を後回しにしがちに。
- 足腰の衰え(フレイル):歩く機会が減ると筋力やバランスが落ち、転倒や要介護のリスクが高まります。
- 気分の落ち込み・意欲低下:「自分でどこへでも行けた」自立を失った喪失感から、元気がなくなることがあります。
- 人との交流の減少:友人との集まりや習い事から足が遠のき、孤立しやすくなります。
家族ができる関わり方
- 「行き先」を一緒に確保する:移動手段だけでなく、通い続けられるデイサービスやサロン、買い物の機会など、外に出る理由を一緒に残します。
- 最初の数回は付き添う:新しいバスやデマンド交通の乗り方を一度一緒に体験すると、本人が一人でも使えるようになります。
- 「ありがとう」と言える形にする:送迎ばかりだと本人が引け目を感じます。タクシー助成や公的サービスを併用し、「お互いさま」と思える関係に。
- 変化に気づいたら相談する:外出が減った、元気がない、足腰が弱った——こうした変化は、地域包括支援センターやかかりつけ医に早めに相談する目安です。
移動の確保は「足を用意する」だけでなく、親が社会とつながり続けるための支援だと捉えると、何を優先すべきかが見えてきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 運転経歴証明書は、返納した後からでも取れますか?
取得できます。返納(申請による取消し)と同時に申請するのが最もスムーズですが、後日でも申請可能です。また、更新を受けずに免許が失効した場合でも、失効から5年以内であれば申請できます。返納時に取り損ねていても、住所地を管轄する警察署や運転免許センターで手続きできます。
Q2. 親が要介護認定を受けていません。介護タクシーは使えませんか?
介護保険が使える「通院等乗降介助」は要介護1以上が条件ですが、介護保険を使わない自費の介護タクシー・福祉タクシーは、認定がなくても利用できます。行き先や同乗の制限もないため、買い物や通院の付き添いに使えます。費用が気になる場合は、自治体のタクシー助成券やデマンド交通と組み合わせると負担を抑えられます。
Q3. 地方で、バスもタクシーも少ない地域です。どうすればよいですか?
まず市区町村にデマンド交通(予約制の乗合タクシー)があるか確認してください。バス路線が少ない地域ほど整備が進んでいることがあります。あわせて、NPOや社会福祉協議会が行う福祉有償運送が地域にないかを高齢福祉課や社協で尋ねます。これらに家族送迎を「補助的に」加える形にすると、家族だけで抱え込まずに済みます。
Q4. 返納特典は、いつまでに申請すればよいですか?
自治体ごとに「返納日から1年以内」などの期限が設けられていることが多いです。対象年齢(65歳以上・70歳以上など)の条件もあります。期限を過ぎると受けられなくなる助成もあるため、返納後はできるだけ早く、お住まいの市区町村の窓口で確認・申請してください。
Q5. マイナ経歴証明書と、普通の運転経歴証明書はどちらがよいですか?
マイナ経歴証明書はマイナンバーカードに一体化でき、カードを増やしたくない方に向きます。一方、特典の利用に運転経歴証明書の「提示」が必要な場面では、従来型のカードの方が分かりやすいこともあります。親が普段どの身分証を使っているか、特典をよく使うかを踏まえて選んでください。申請料金や代理申請の可否は種類によって異なるため、申請前に窓口で確認すると安心です。
Q6. 車を手放すべきか迷っています。
もう運転しないのであれば、車があると「つい乗ってしまう」リスクがあり、任意保険料や自動車税といった固定費もかかり続けます。手放すことで浮いた費用を、タクシー代や移動支援に充てるという考え方もできます。ただし家族が送迎に使う場合は残す判断もあり得ます。誰がどう使うかを整理してから決めましょう。
参考文献・出典
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まとめ|足の確保とつながりの維持を両輪で
親が運転免許を返納した後の生活は、「足をどう確保するか」と「社会とのつながりをどう保つか」の両輪で考えると整理がつきます。この記事の要点を振り返ります。
- 返納後はまず運転経歴証明書(またはマイナ経歴証明書)を取得する。身分証明になり、返納特典を受ける条件にもなる。
- 移動は1つの手段に頼らず、バス・デマンド交通・タクシー助成・介護タクシー・家族送迎を用事ごとに使い分ける。
- 要介護認定があれば介護保険の通院等乗降介助、認定がなくても自費の介護タクシーや福祉有償運送が使える。
- 特典・助成は市区町村ごとに内容も期限も違い、申請しないと受けられない。家族が調べて手続きを代行・同行する。
- 運転をやめたことで外出が減る「閉じこもり」を防ぎ、親が出かける理由(行き先)も一緒に残す。
困ったら、まずここに相談を
移動手段や使える助成は地域差が大きく、情報を一つひとつ集めるのは大変です。迷ったときは、次の窓口に相談すると、お住まいの地域に合った具体策を案内してもらえます。
- 市区町村の高齢福祉課・地域福祉課(交通担当課):返納者向け助成、高齢者外出支援タクシー、コミュニティバスやデマンド交通の情報がまとまっています。
- 地域包括支援センター:高齢者の暮らし全般の相談窓口です。移動の悩みだけでなく、介護保険サービスや見守りとあわせて、親の状況に合った支援を一緒に考えてくれます。お住まいの地域の担当センターは、市区町村の窓口やホームページで確認できます。
- 担当のケアマネジャー:すでに介護保険を利用している場合は、通院等乗降介助など移動に関わるサービスをケアプランに反映できないか相談できます。
一人で、あるいは家族だけで抱え込む必要はありません。公的な相談窓口を入口に、親が安心して出かけられる毎日を、無理のない形で整えていきましょう。
監修者
介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム
医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)
訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。
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