介護職の年末調整|2026年版・配偶者控除・扶養控除・iDeCoまで申告漏れゼロガイド
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介護職の年末調整|2026年版・配偶者控除・扶養控除・iDeCoまで申告漏れゼロガイド

介護職の年末調整を完全ガイド。2026年版の改正点、配偶者・扶養・社保・iDeCo・生命保険・住宅ローン控除の書き方、複数施設掛け持ちや登録ヘルパー、副業時の確定申告まで、介護職特有の論点を網羅。

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この記事のポイント

介護職の年末調整は、勤務先1か所に「給与所得者の扶養控除等申告書」「基礎控除・配偶者控除等申告書」「保険料控除申告書」を提出すれば完結します。配偶者・扶養・社会保険料・iDeCo(小規模企業共済等掛金)・生命保険料・地震保険料・住宅ローン控除をもれなく申告すれば、月収34万円・iDeCo月1万円・配偶者扶養ありの介護職員で年間4〜6万円の還付が見込めます。複数施設掛け持ちや登録ヘルパーは「主たる給与」を1か所に絞り、副業所得20万円超なら確定申告が必要です。

目次

「年末調整の用紙が配られたけど、配偶者控除と扶養控除の違いがよく分からない」「介護職員等処遇改善加算の手当があると還付額はどう変わる?」「複数の事業所を掛け持ちしているけど、どこで年末調整を受ければいいの?」——介護現場では、年末調整シーズンになるとこうした相談が一気に増えます。

介護職は基本給に加えて夜勤手当・処遇改善加算・特定処遇改善加算など手当の構成が複雑で、登録ヘルパー・派遣・短時間労働など働き方も多様です。年末調整の仕組みと適用できる控除を正しく理解すれば、申告漏れを防いで数万円単位の還付を取り戻せます。

本記事では、2026年(令和8年)の最新ルールに沿って、介護職が押さえるべき年末調整の全体像を解説します。基礎控除・給与所得控除の引き上げ、扶養控除・配偶者控除の所得要件123万円への緩和、特定親族特別控除の新設といった2025年改正の影響、iDeCoや生命保険料控除の書き方、介護休業給付金の非課税扱い、退職後の確定申告まで、介護職に必要な論点を一気通貫でカバーします。

年末調整とは|給与所得者の確定申告を勤務先が代行する仕組み

年末調整とは、勤務先が従業員の1年分の給与から源泉徴収した所得税を精算し、各種控除を反映した正しい税額に合わせる手続きです。給与所得者は本来、確定申告で1年分の所得税を計算しますが、雇用主が毎月給与から税額を概算で天引きしているため、年末に過不足を清算します。これが「給与所得者の確定申告代行」と呼ばれる理由です。

毎月の源泉徴収は「概算」にすぎない

事業主は給与支払時に「源泉徴収税額表」をもとに所得税を天引きしますが、これは扶養親族の人数のみを考慮した概算値です。生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除(2年目以降)などは月次徴収では反映されないため、年末調整で初めて適用されます。介護職員の場合、生命保険・医療保険・iDeCoのいずれかを契約している人は8割以上にのぼり、申告するだけで5,000〜30,000円規模の還付になるケースが少なくありません。

年末調整の対象になる人・ならない人

国税庁No.2668によれば、年末調整の対象は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をその年最後の給与支払日までに勤務先へ提出している人です。介護職で年末調整の対象外になる代表的なケースは次のとおりです。

  • 2か所以上の勤務先から給与を受け、別の勤務先で「扶養控除等申告書」を提出している人(=従たる給与)
  • 給与年収が2,000万円を超える人(管理職や役員クラスの一部)
  • 年の途中で退職し、その後再就職していない人
  • 登録ヘルパーで給与ではなく「報酬」として支払われている人(事業所得・雑所得扱い)

これらに該当する場合は、自分で確定申告を行うことで控除を受け、還付を取り戻します。

年末調整で精算される税目は所得税のみ

住民税は前年の所得をもとに翌年6月から課税されるため、年末調整では精算されません。ただし、年末調整で適用した所得控除は翌年の住民税にも反映されるので、配偶者控除や扶養控除を申告漏れすると「翌年の住民税が高くなる」という二重の損失になります。

2026年版・年末調整の主な変更点|給与所得控除引上げと所得要件123万円

2025年12月施行の所得税法改正により、2025年(令和7年)分の年末調整から大きな変更が入りました。介護職にも直接影響する変更点を3つに整理します。

1. 給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げ

従来55万円だった給与所得控除の最低保障額が65万円となり、給与年収190万円以下の層で所得税負担が軽減されます。月給制・非常勤の介護士の平均給与は月額196,060円(年間約235万円)で対象外ですが、登録ヘルパーや短時間労働の補助職員は最低保障額の恩恵を受けます(厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」)。

2. 配偶者・扶養控除の所得要件が58万円以下(給与123万円以下)に緩和

従来の所得48万円以下(給与103万円以下)から、所得58万円以下(給与123万円以下)へと所得要件が拡大されました。いわゆる「103万円の壁」が「123万円の壁」に変わったかたちです。配偶者特別控除も最大控除38万円の適用ラインが年収150万円から160万円に引き上げられました。

3. 特定親族特別控除の新設

19歳以上23歳未満の親族で給与年収123万円超〜188万円以下の場合、3万円〜63万円まで段階的に控除を受けられる「特定親族特別控除」が新設されました。介護福祉士養成校に通う子どもや、専門学校生のお子さんがアルバイトをしている家庭で活用できます。

名称変更:「控除対象扶養親族」→「源泉控除対象親族」

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式が変わり、控除対象扶養親族の欄が「源泉控除対象親族」に変更されました。書類が新様式に変わっている場合、勤務先の指示に従って記入してください。

2026年(令和8年)以降の留意点

2026年分以降は、月次の源泉徴収税額表も新しい控除水準に合わせて改定されます。1月給与から控除の取り扱いが切り替わるため、扶養親族の人数や配偶者の年収を再確認しましょう。

介護職に多い8つの所得控除|配偶者・扶養・社保・iDeCo・生命保険まで網羅

年末調整で適用できる所得控除のうち、介護職員が押さえるべき主要8項目をまとめます。控除を一つでも漏らすと、所得税と翌年の住民税の両方で損失が発生します。

1. 配偶者控除(最大38万円・老人控除対象配偶者は48万円)

納税者本人の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が58万円以下(給与収入123万円以下)の場合に適用。70歳以上の配偶者は「老人控除対象配偶者」として最大48万円控除されます。介護職の平均年収約406万円の世帯では、配偶者控除をフル適用すると所得税で約3万8,000円、住民税で約3万3,000円の合計約7万1,000円の節税効果があります。

2. 配偶者特別控除(最大38万円)

配偶者の合計所得が58万円超〜133万円以下の場合に、所得に応じて段階的に適用されます。介護職員の配偶者がパートで月10万円程度(年収120万円)働いている場合は配偶者控除、月13万円程度(年収156万円)なら配偶者特別控除の対象です。

3. 扶養控除(38万円〜63万円)

16歳以上の扶養親族1人につき38万円。19歳以上23歳未満の特定扶養親族は63万円、70歳以上の老人扶養親族は48万円(同居老親等は58万円)控除されます。介護施設の入居者である親を仕送りで扶養している場合も、生計を一にしていれば対象となるケースがあります。

4. 社会保険料控除(全額)

給与から天引きされる健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料は全額控除されます。給与天引き分は勤務先で自動計算されますが、配偶者や子どもの国民年金保険料を本人が立替えて支払っている場合は、自己申告すれば追加で控除可能です。

5. 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo・全額)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が所得控除の対象。会社員の介護職は月額上限23,000円(年間27万6,000円)まで拠出可能で、課税所得330万円〜695万円のゾーン(介護職リーダー〜主任クラス)では年間約8万2,800円の税額軽減が見込めます(弥生・三菱UFJ銀行のシミュレーションに基づく)。

6. 生命保険料控除(最大12万円)

一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3区分でそれぞれ最大4万円、合計最大12万円。介護職は職業柄、医療保険・介護医療保険に加入している人が多く、申告漏れの代表格です。

7. 地震保険料控除(最大5万円)

地震保険または旧長期損害保険料の支払額に応じて適用。賃貸の家財保険に地震保険特約を付けている人も対象です。

8. 住宅ローン控除(年末残高×0.7%・1年目は確定申告が必要)

マイホームを購入した介護職員も増えています。1年目は確定申告で適用しますが、2年目以降は勤務先の年末調整で「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と金融機関の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を提出すれば、年末ローン残高の0.7%(最長13年間)が税額控除されます。

3種類の申告書の書き方|扶養控除等・基礎控除等・保険料控除

年末調整で勤務先に提出するのは、原則として次の3種類の申告書です。介護職の場合、勤務先によっては電子化(給与ソフトの入力フォーム)されていることもありますが、項目は同じです。

1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶)

その年の最初の給与支払日までに提出する基本書類。実務上は前年の年末調整時に翌年分も同時に書きます。記入項目は次のとおり。

  • 本人氏名・住所・マイナンバー(マイナンバーは原本提示で済む事業所もあるので確認)
  • 源泉控除対象配偶者:配偶者の合計所得が95万円以下(給与年収150万円以下)かつ本人合計所得900万円以下の場合に記入
  • 控除対象扶養親族:16歳以上の扶養親族の氏名・続柄・生年月日・所得見積
  • 16歳未満の扶養親族:所得税の控除対象外だが、住民税の非課税判定に使うので必ず記入
  • 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生:該当する場合は対応欄をチェック

2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

3つの申告書が1枚にまとまった様式(通称:基配所申告書)。年末調整の時期に提出します。

  • 基礎控除申告書:本人の給与年収・所得見積を記入。介護職の平均年収406万円なら、給与所得は406万円−129万円(給与所得控除)=277万円となり、基礎控除は最大95万円が適用されます
  • 配偶者控除等申告書:配偶者の氏名・所得見積を記入。控除区分(配偶者控除/配偶者特別控除)と控除額を判定します
  • 所得金額調整控除申告書:給与年収850万円超で23歳未満の扶養親族または特別障害者がいる場合に記入。多くの介護職員には関係しません

3. 給与所得者の保険料控除申告書

保険料・iDeCoの控除を受けるための書類。勤務先指定の期限(11月中旬〜12月初旬)までに、控除証明書を添付して提出します。

  • 生命保険料控除欄:一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の区分ごとに、保険会社から届いた控除証明書を見て記入。新制度・旧制度の区別を間違えないこと
  • 地震保険料控除欄:損害保険会社から届く控除証明書を転記
  • 社会保険料控除欄:給与天引き以外で支払った国民年金・国民健康保険料を記入
  • 小規模企業共済等掛金控除欄:右下の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」にiDeCoの年間掛金を記入。国民年金基金連合会から10月下旬に届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付

マイナンバーカードの提出

本人と扶養親族のマイナンバーは扶養控除等申告書に記入しますが、勤務先によっては別途「個人番号関係事務の番号確認」のために、マイナンバーカードの両面コピーや通知カード+本人確認書類のコピーを求められます。マイナポータル連携を使えば、生命保険料控除証明書やiDeCoの掛金証明書を電子データで取得して勤務先に提出することも可能です(年末調整の電子化)。

複数施設掛け持ち・登録ヘルパーの注意点|主たる給与・従たる給与・報酬の違い

介護職は、特養と訪問介護を掛け持ちしたり、登録ヘルパーと派遣ヘルパーを兼業したりと、複数の事業所から収入を得るケースが少なくありません。年末調整の取扱いは収入区分によって異なります。

主たる給与と従たる給与の使い分け

2か所以上から給与を受ける場合、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した1か所が「主たる給与」、それ以外が「従たる給与」になります。年末調整の対象になるのは主たる給与のみで、従たる給与は乙欄で源泉徴収されたうえ、自分で確定申告して精算します。

例:特養(常勤・月25万円)と訪問介護(非常勤・月8万円)を掛け持ちする場合、給与の高い特養を主たる給与にしてマル扶を提出し、訪問介護では乙欄で源泉徴収。年末に確定申告で2か所分を合算して所得税を精算するのが原則です。

登録ヘルパーは「給与」か「報酬」か必ず確認

登録ヘルパーの収入は、雇用契約の場合は「給与所得」、業務委託契約の場合は「事業所得・雑所得(報酬)」になります。事業所が源泉徴収票を発行するか、支払調書を発行するかで判別できます。

  • 給与所得(雇用契約):源泉徴収票が発行される。年末調整または確定申告で精算
  • 報酬(業務委託契約):支払調書または明細書のみ。事業所得または雑所得として確定申告必須。経費として交通費・備品費等を計上可能

マル扶の提出は必ず「1か所のみ」

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を2か所に提出すると、両方で扶養控除が二重適用され、後日税務署から指摘を受けて追徴課税となります。掛け持ちする場合は、給与の高い方(または安定して長く働く方)の1か所に絞ってください。

派遣ヘルパー・派遣介護士の年末調整

派遣社員は派遣会社が雇用主なので、派遣会社で年末調整を受けます。複数の派遣会社に登録している場合は、メインで稼働している派遣会社に「マル扶」を提出してください。

夜勤専従・夜勤バイトの取扱い

本業の介護施設に加えて夜勤専従バイトをしている場合、夜勤バイト先は「従たる給与」となり乙欄で源泉徴収されます。夜勤バイトの年収が20万円を超えると確定申告が必要になります(後述の副業ルールと同じ)。

独自試算|介護職の平均給与から見る還付見込み・節税効果シミュレーション

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、月給制・常勤の介護職員の平均給与は338,200円(年収約406万円)。この平均的な介護職員モデルで、控除をフル活用した場合の還付・節税効果を独自試算しました。

モデルケース:常勤介護職員(年収406万円・配偶者あり・iDeCo月1万円)

前提条件:

  • 給与年収:4,060,000円
  • 給与所得控除:1,290,000円(年収660万円以下:年収×20%+44万円)
  • 給与所得:2,770,000円
  • 社会保険料控除:約61万円(年収の約15%)
  • 基礎控除:48万円(合計所得2,400万円以下)
  • 配偶者控除:38万円(配偶者の給与年収100万円)
  • iDeCo拠出:年12万円(月1万円)
  • 生命保険料控除:8万円(一般+介護医療の合計)

所得税の計算

課税所得:2,770,000−610,000−480,000−380,000−120,000−80,000=1,100,000円

所得税率は195万円以下なので5%。年税額:1,100,000×5%=55,000円。

控除を一部漏らした場合との比較

申告状況課税所得所得税住民税(10%概算)合計税額
全控除を申告(フル)110万円55,000円110,000円165,000円
iDeCoを申告漏れ122万円61,000円122,000円183,000円
生命保険料控除も漏れ130万円65,000円130,000円195,000円
配偶者控除も漏れ168万円84,000円168,000円252,000円

すべて漏らすと年間で約8万7,000円の追加負担。逆に言えば、年末調整で全控除を正しく申告すれば、漏れた状態と比べて約8万7,000円の節税ができる計算です。

扶養配偶者がいる場合の節税効果

配偶者の給与年収を123万円以下に調整して配偶者控除(38万円)をフル適用すると、所得税で約3万8,000円、住民税で約3万3,000円、合計約7万1,000円の節税効果。配偶者特別控除も含めれば、給与年収160万円までは最大38万円控除を維持できるので、世帯としての手取り最大化を考えるなら2026年版の160万円ラインを意識した働き方調整が有効です。

iDeCoは月1万円でも年18,000円の節税

課税所得110万円ゾーン(所得税5%・住民税10%)でiDeCoを月1万円拠出する場合、年12万円×15%=18,000円の節税。介護職リーダー〜主任クラス(課税所得330〜695万円)になると税率20%+10%で年36,000円、上限の月23,000円なら年82,800円の税額軽減になります。

ケース別事例|還付になる人・追徴になる人の見分け方

年末調整の結果、12月の給与で還付されるか、追加徴収されるかは、毎月の源泉徴収額と確定した年税額の差で決まります。介護職に多い具体的なケースを整理します。

還付になる典型的なケース

ケース1:iDeCoや生命保険料控除を新たに申告した

iDeCoの年間掛金12万円(月1万円)を初めて申告した介護職員(課税所得110万円・税率5%)の場合、所得税で約6,000円、住民税で約12,000円の合計18,000円が翌年6月以降に軽減され、所得税分の6,000円は12月の給与で還付されます。

ケース2:年の途中で結婚して配偶者控除が増えた

独身として源泉徴収されていた介護職員が、年の途中で結婚し、配偶者の給与年収が123万円以下なら配偶者控除38万円が新たに適用され、所得税率5%ゾーンで19,000円、10%ゾーンで38,000円の還付。

ケース3:処遇改善加算で年収が見込みより低かった

処遇改善加算が一時金で支給される事業所では、月次徴収が高めに天引きされていた場合に、年末で精算されて還付される場合があります。

ケース4:扶養家族が増えた

子どもが生まれた場合、住民税の非課税判定に影響しますが、16歳未満は所得税の控除対象外です。年の途中で親の介護が始まり、要件を満たして扶養親族となった場合(仕送りで生計を維持している等)は、扶養控除が追加で適用されます。

追徴(追加徴収)になる典型的なケース

ケース5:扶養から外れる人がいた

配偶者がパートで働き始めて年収が123万円を超えた場合、配偶者控除が外れて追徴。年収150万円超なら配偶者特別控除も段階的に減ります。

ケース6:年の途中で子どもが就職した

大学生だった子が就職して扶養から外れた場合、特定扶養親族の63万円控除がなくなり、税率5%でも年31,500円、10%ゾーンなら63,000円の追徴。

ケース7:賞与が予想より多かった

処遇改善加算による一時金や、特別賞与が年末に出た場合、月次徴収では捕捉しきれず追徴になることがあります。

還付金が振り込まれるタイミング

多くの介護事業所では、12月の給与支給時に12月給与と一緒に還付金が振り込まれます。12月給与より還付額が大きい場合は、翌1月給与で残額が還付されるケースもあるため、給与明細の「年末調整」欄を必ず確認しましょう。

介護職特有の論点|介護休業給付金は非課税・退職後は確定申告

介護職に特有の年末調整の論点を整理します。とくに「介護休業給付金」「育児休業給付金」「退職後の手続き」は知らないと損するポイントです。

介護休業給付金は非課税=年末調整の対象外

家族の介護のために介護休業を取得し、ハローワークから支給される「介護休業給付金」は、雇用保険法第12条により所得税・住民税ともに非課税です。年末調整・確定申告の所得には含めません(厚生労働省京都労働局「第11章 介護休業給付について」)。

同じく雇用保険から支給される「育児休業給付金」「失業給付(基本手当)」「高年齢雇用継続給付」「教育訓練給付金」も非課税です。会社からの「介護休業手当」が別途支給される場合は給与扱いで課税されるため注意。

育児休業中は社会保険料免除+給与なしで還付になりやすい

育休中は健康保険料・厚生年金保険料が免除され、無給の場合は所得税の源泉徴収もゼロ。それまでに源泉徴収された税額が、年末調整で配偶者控除等を適用すると還付になるケースが多数。育休に入った年は必ず会社に「年末調整できますか」と確認してください。

労災休業補償給付・傷病手当金は非課税

腰痛で労災認定された場合の休業補償給付や、健康保険から支給される傷病手当金も非課税。年末調整の所得には含めません。

退職後に年末調整を受けられない場合の確定申告

年の途中で退職し、その後再就職していない人は年末調整の対象外。退職時に発行される源泉徴収票を持って、翌年1月以降に確定申告すれば、納め過ぎた所得税が還付されます。具体的な流れは次のとおりです。

  1. 退職時に勤務先から源泉徴収票を受け取る(法定義務なので必ず請求)
  2. 翌年1月1日以降、税務署で確定申告(還付申告は5年以内まで遡及可能)
  3. e-Taxまたは税務署窓口で申告書を作成し、生命保険料控除・iDeCo・配偶者控除・扶養控除を適用
  4. 還付金は申告から1〜2か月後に指定口座に振り込まれる

退職後すぐ転職した場合は、新しい勤務先に前職の源泉徴収票を提出すれば、年末に合算して年末調整してもらえます。

マイナポータル連携で証明書を一括取得

2023年度以降、マイナポータルとe-私書箱を連携させると、生命保険料控除証明書・iDeCo掛金払込証明書・住宅ローン残高証明書などを電子データで一括取得できます。証明書のハガキを紛失した場合の再発行を待たずに済むので、年末調整の電子化に対応している事業所では活用を推奨します。

介護職の年末調整に関するよくある質問

Q1. 副業で他施設のヘルパーをやっています。確定申告は必要?

副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です(所得=収入−経費)。給与所得の副業はそのまま給与収入で判定し、雇用契約のないフリーランス的な業務委託は経費を引いた後の所得で判定。20万円以下でも住民税の申告は必要なので注意してください。

Q2. 介護福祉士の登録更新料や研修受講料は控除できる?

業務に関連する資格更新料・研修費用は、給与所得者の「特定支出控除」の対象になり得ますが、給与所得控除の半分(介護職の平均年収帯では約65万円)を超える金額が要件のため、ほとんどの介護職員は対象外です。確定申告で適用するには、勤務先の証明書類が必要。

Q3. 処遇改善加算の一時金は年末調整の対象?

処遇改善加算による一時金(賞与扱い)は給与所得に含まれ、年末調整の対象です。月次給与に上乗せされる場合も同様に給与所得として源泉徴収・年末調整されます。

Q4. 16歳の高校生の子どもがアルバイトをしています。扶養はどう判定する?

16歳以上の扶養親族は所得税の控除対象。子どもの給与年収が123万円以下(合計所得58万円以下)であれば扶養控除38万円が適用されます。アルバイト代が増えそうな場合は、年末までに見込み年収を確認してください。

Q5. iDeCoの「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きません。どうすれば?

国民年金基金連合会から例年10月下旬〜11月上旬に圧着ハガキで送付されます。届かない場合は再発行を依頼するか、マイナポータル連携で電子データを取得。万一年末調整に間に合わなければ、翌年1月以降に還付申告(確定申告)すれば適用できます。

Q6. 結婚していないパートナーは配偶者控除の対象になる?

所得税法上の「配偶者」は婚姻届を提出した法律上の配偶者のみ。事実婚や同性パートナーは配偶者控除の対象外です。

Q7. 親に仕送りしています。扶養控除はどう申告する?

同居していなくても、生計を一にしていて親の合計所得が58万円以下(年金収入のみなら158万円以下、65歳未満は108万円以下)であれば扶養控除の対象。「給与所得者の扶養控除等申告書」の控除対象扶養親族欄に記入し、仕送り実績を求められた場合は通帳の写しを準備します。

Q8. 12月の給与明細で還付されていない。何が原因?

還付額が少額で12月給与に反映されていない、計算が翌月に持ち越された、または所得が一定額を超えて追徴になっている可能性があります。源泉徴収票を確認し、不明点は給与担当者か税務署に相談してください。

参考文献・出典

まとめ|年末調整は介護職の手取りを最大化する重要イベント

年末調整は、介護職にとって毎年の手取りと翌年の住民税を左右する重要な手続きです。配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)・生命保険料控除・地震保険料控除・住宅ローン控除の7つを正しく申告すれば、平均年収の介護職員でも年間4〜8万円規模の節税が実現します。

2026年(令和8年)からは給与所得控除の最低保障額が65万円、扶養・配偶者控除の所得要件が58万円以下(給与123万円以下)となり、配偶者特別控除の38万円ライン(年収160万円)も拡大されました。世帯の働き方を見直す好機です。

複数施設の掛け持ちでは「マル扶」を提出するのは1か所のみ、登録ヘルパーは雇用契約か業務委託かで取扱いが変わる点、副業所得20万円超で確定申告必須など、介護職特有の論点を見落とさないことが大切です。介護休業給付金や育児休業給付金は非課税で年末調整の対象外。退職後に年末調整を受けられない場合は、翌年1月以降に確定申告すれば還付金を取り戻せます。

毎年10月下旬に届くiDeCoの掛金払込証明書、生命保険料控除証明書、住宅ローン残高証明書を整理し、勤務先の指定期限内に「給与所得者の扶養控除等申告書」「基礎控除・配偶者控除等申告書」「保険料控除申告書」の3点セットをきちんと提出することから始めましょう。マイナポータル連携を活用すれば証明書の電子取得もスムーズです。手取りを最大化し、本業の介護に集中できる環境を整えてください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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2026/5/8

介護・福祉職員の退職金共済、抜本見直しへ|厚労省「財政運営の安定化」を論点に検討開始

厚労省が2026年4月23日、88万人が加入する社会福祉施設職員等退職手当共済制度の抜本見直し検討会を始動。準備金残高は3年で505億→294億円に急減。財政運営・対象法人・給付水準を論点に秋に方向性。

財務省、ケアマネ報酬に「自立支援アウトカム連動」を提言|要介護度改善で報酬増の仕組みへ・27年度改定論点

2026/5/8

財務省、ケアマネ報酬に「自立支援アウトカム連動」を提言|要介護度改善で報酬増の仕組みへ・27年度改定論点

2026年4月28日の財政制度等審議会で財務省が提言した「居宅介護支援の報酬体系に自立・要介護度改善のインセンティブを組み込む」論点を一次資料から解説。LIFEとの接続、ケアマネ業務への影響、成功報酬型の利点とリスクを読み解く。

財務省、訪問介護・通所介護の賃上げ要件に介護テクノロジー導入を|ケアプー導入率28.2%が後押し

2026/5/8

財務省、訪問介護・通所介護の賃上げ要件に介護テクノロジー導入を|ケアプー導入率28.2%が後押し

財政制度等審議会・財政制度分科会(2026年4月28日)で財務省が、訪問介護・通所介護のさらなる賃上げ要件に介護テクノロジー導入の追加を要請。ケアプー導入率が3月時点で28.2%に急伸した実績を背景に、2027年度介護報酬改定の新たな論点として浮上した。

家事支援、国家資格を新設へ|高市首相「介護離職をどうしても防止したい」2027年めど初試験

2026/5/7

家事支援、国家資格を新設へ|高市首相「介護離職をどうしても防止したい」2027年めど初試験

高市早苗首相は2026年4月22日の日本成長戦略会議で家事支援サービスの新たな国家資格創設を関係閣僚に指示。職業能力開発促進法の技能検定として2027年秋の第1回試験実施を目指す。介護離職防止と保険外サービス育成が狙い。

介護福祉士養成校卒業生の経過措置、2031年度まで延長|国試不合格でも卒業後5年目まで就労可

2026/5/7

介護福祉士養成校卒業生の経過措置、2031年度まで延長|国試不合格でも卒業後5年目まで就労可

社会保障審議会福祉部会で説明された一括改正案により、介護福祉士養成校卒業生が国家試験に不合格でも有資格者として働ける経過措置が2031年度卒業者まで延長される。一方で6年目以降の措置は2026年度卒業者で終了。制度改正の中身と進学者・新人介護職への影響を整理する。

日本医師会、介護報酬改定「2年に1度」を提言|江澤常任理事「3年後は見通せない」

2026/5/7

日本医師会、介護報酬改定「2年に1度」を提言|江澤常任理事「3年後は見通せない」

2026年4月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、日本医師会の江澤和彦常任理事が介護報酬改定を3年から2年サイクルに短縮するよう提言。物価高騰・賃上げは別枠で毎年改定を主張し、全老健・東憲太郎会長も同調した。背景と現場・転職者への影響を整理する。

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老健のボーナス・賞与は平均いくら?特養との比較とアップ方法

2026/1/4

老健のボーナス・賞与は平均いくら?特養との比較とアップ方法

老健で働く介護職員のボーナス平均額は年間55〜65万円で、特養と同水準かやや高め。医療法人運営が多く経営基盤が安定しているため、賞与の支給率が高い傾向にあります。経験年数・資格別のデータ、特養との比較、ボーナスアップの具体的な方法を解説します。

有料老人ホームの入居一時金|返還ルール・90日ルール・初期償却の仕組み

2026/5/10

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有料老人ホームの入居一時金の相場・初期償却・経年返還・90日ルール(短期解約特例)・500万円保全措置を徹底解説。返還計算式や倒産リスク、重要事項説明書のチェックリストまでご家族目線で整理します。

認定調査当日に家族が準備すべきこと|本人の様子を正しく伝える特記事項のコツ

2026/5/10

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2026/5/10

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2026/5/10

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サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いを、根拠法・契約形態・介護提供方法・費用・看取り対応まで比較表で徹底解説。介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いも整理し、家族が後悔しない選び方を厚生労働省データを根拠にまとめました。

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