高齢者の尿路感染症を防ぐ|介護職の観察ポイントと予防的ケア・早期発見のサイン
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高齢者の尿路感染症を防ぐ|介護職の観察ポイントと予防的ケア・早期発見のサイン

高齢者の尿路感染症は発熱や排尿時痛が出にくく、元気がない・食欲低下・せん妄様の様子で現れがち。介護職が行う水分・清潔・おむつ交換の予防ケアと観察ポイント、無症候性細菌尿との違い、看護師への報告基準を厚労省・学会資料から解説。

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高齢者の尿路感染症は、若い世代のような排尿時痛や高熱が出にくく、「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」「いつもと様子が違う(せん妄様)」といった非典型的なサインで現れやすいのが特徴です。介護職ができる予防の基本は、こまめな水分摂取の声かけ、陰部の清潔保持、おむつ交換の頻度確保、膀胱留置カテーテルの適切な管理の4つ。すべての細菌尿に治療が必要なわけではなく、症状のない「無症候性細菌尿」は多くの場合、抗菌薬を使わずに経過を見るのが医学的な標準対応です。

目次

介護施設や訪問介護の現場で、原因のわからない発熱や急な食欲低下、いつもと違う様子の利用者に出会ったことがある介護職は多いはずです。その背景に潜んでいることが多いのが尿路感染症(urinary tract infection:UTI)です。厚生労働省の「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」でも、尿路感染症は施設で注意すべき感染症の一つとして明記されており、介護職員が日々の健康観察の中で気づき、看護職員や医師へつなぐ役割が期待されています。

一方で、尿路感染症は「尿に細菌がいる状態」がすべて治療対象になるわけではありません。高齢者では症状のない「無症候性細菌尿」がごく普通に見られ、これに抗菌薬を使うことはむしろ推奨されていません。この記事では、介護職が担う医行為ではない範囲での予防的なケアと観察のポイント、そして看護師への報告の目安を、公的資料に基づいて整理します。

尿路感染症とは|高齢者がかかりやすい理由

尿路感染症とは、尿道・膀胱・尿管・腎臓のいずれかに細菌が侵入し、炎症を起こす病気の総称です。感染の場所によって呼び方が変わり、膀胱に炎症が起きるものを膀胱炎、腎臓まで感染が及んだものを腎盂腎炎と呼びます。公益財団法人長寿科学振興財団が運営する「健康長寿ネット」によると、膀胱炎は排尿時の下腹部痛・残尿感・頻尿が1〜2日という比較的短い時間で急に現れるのに対し、腎盂腎炎は高熱を伴い、重症化すると発見が遅れて倒れてから気づかれるケースもある怖い病気とされています。

高齢者が尿路感染症にかかりやすい背景

高齢者は次のような要因が重なり、若い世代よりも尿路感染症を起こしやすい状態にあります。

  • 残尿の増加:前立腺肥大症(男性)や神経因性膀胱により、排尿後も膀胱に尿が残りやすくなる。残った尿の中で細菌が増殖しやすい。
  • おむつ・失禁による汚染:尿失禁や便失禁があると、便中の細菌が尿道口周辺に付着しやすくなる。
  • 膀胱留置カテーテルの使用:カテーテルは尿路と体外をつなぐ管であるため、細菌の侵入経路になりやすい。
  • 水分摂取量の低下:喉の渇きを感じにくくなる、飲み込みにくさ(嚥下機能低下)などから水分摂取量が減り、尿量が少なくなって細菌を洗い流す働きが弱まる。
  • 免疫機能の低下:加齢に伴い全身の免疫機能が低下し、感染に対する抵抗力が落ちる。
  • 閉経後のホルモン変化(女性):女性ホルモンの減少により腟内・尿道周辺の自浄作用が低下する。

これらの要因は単独ではなく複数重なっていることが多く、特に「おむつ使用+水分摂取不足+活動量低下」が揃う要介護高齢者は、リスクが高い状態にあると考えて観察にあたる必要があります。

高齢者の尿路感染症は「非典型症状」で現れる|見逃さないための観察ポイント

若い世代の尿路感染症は、排尿時の痛みや高熱といったわかりやすい症状で気づかれることがほとんどです。しかし高齢者は、加齢に伴い発熱や炎症反応そのものが弱くなるため、教科書的な症状が出にくいという特徴があります。厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」は、この点について「発熱や炎症反応等も弱く、見た目には軽症にみえても重篤な病態に進行していることもあり、『普段の反応と違う』、『今日は笑顔がみられない』等の日常の違いをいかに早期に把握するかが大切」と述べています。介護職が日々接する中でしか気づけないサインが、非典型症状の正体です。

介護職が気づきやすい非典型サイン

  • 元気がない・活気の低下:普段より会話が少ない、レクリエーションに参加したがらない、ぼんやりしている時間が増える。
  • 食欲低下:食事量が急に減る、好物にも手をつけない。
  • せん妄様の様子:急に つじつまの合わない言動が増える、普段はない興奮・混乱がみられる、逆に急に無気力・傾眠がちになる。日本老年医学会関連の資料でも、感染症(肺炎・尿路感染症など)は高齢者のせん妄の代表的な原因の一つとされており、「認知症が急に進んだように見える」ケースの背景に尿路感染症が隠れていることがあります。
  • 転倒の増加:ふらつきや注意力低下により、普段は起きない転倒が増える。
  • 尿の変化:尿の色が濃い・濁っている、臭いが強い、量が急に減る・増える。
  • 頻尿・尿意切迫感・失禁の悪化:普段よりトイレの回数が増えた、間に合わないことが増えた。
  • 微熱・脈拍の変化:高熱ではなく37度台の微熱が続く、脈が速い(頻脈)または遅い(徐脈)。

これらは単独では「加齢によるもの」「認知症の進行」と誤解されやすい変化です。だからこそ、普段の状態を知っている介護職が「いつもと違う」を見逃さないことが、重症化を防ぐ最初の一歩になります。単発の変化で慌てて報告するのではなく、複数のサインが重なっていないか、記録と照らし合わせて確認する視点が重要です。

介護職ができる予防的ケア|水分・清潔・おむつ交換・カテーテル管理

尿路感染症の予防は、特別な医療行為ではなく、日々の生活援助の質を高めることそのものです。ここでは4つの柱に分けて、現場で実践しやすい形で整理します。

1. 水分摂取の支援

水分摂取が不足すると尿量が減り、細菌を尿とともに洗い流す「自浄作用」が働きにくくなります。高齢者の1日の水分摂取量は、食事に含まれる水分を除いた飲料だけでもコップ1杯(200ml)を目安に6杯前後、1日を通じて1000〜1500ml程度を確保することが望ましいとされています。ただし心不全・腎不全など水分制限が必要な利用者もいるため、個別の指示がある場合は必ずそちらを優先し、看護職員・主治医の指示に従います。

  • 起床時、各食事の前後、入浴後、就寝前など、こまめなタイミングで声かけをする。
  • 一度に大量に飲むと吸収しきれず尿として排泄されるだけになるため、少量を複数回に分けて提供する。
  • 飲み込みにくさ(嚥下機能低下)がある利用者には、とろみ調整やゼリー飲料など、誤嚥を防ぎながら水分を確保できる形態を検討し、多職種で相談する。

2. 陰部の清潔保持

陰部・尿道口周辺に便や尿が付着したままになると、細菌が尿道から侵入しやすくなります。

  • 排便後は尿道口への便由来細菌の逆行を防ぐため、女性は前から後ろ(尿道側から肛門側)に向かって拭く・洗浄する。
  • 陰部洗浄・清拭は1日の排泄介助の中で決まった手順に沿って行い、ゴシゴシこすらず皮膚を傷めないように洗う。
  • 入浴・シャワー浴の際も陰部の洗い残しがないか確認する。

3. おむつ交換の頻度確保

厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」は、おむつ交換について「排泄物に直接触れなくても必ず使い捨て手袋とエプロン(またはガウン)を着用して行うことが基本」であり、「手袋やエプロンは1ケアごとに取り替える」よう求めています。同マニュアルは、おむつ交換車の使用が感染拡大のリスクを高めるとしたうえで、個々の入所者の排泄パターンに対応した個別ケアを行うよう推奨しています。

  • 排泄後、皮膚が汚染物に長時間触れたままにならないよう、定時交換に加えて随時の確認・交換を行う。
  • 1ケアごとに手袋・エプロンを交換し、ケアの前後で手指衛生を徹底する。
  • おむつ交換車のような複数人で共用する台を使う場合は、利用者ごとに清拭・消毒を行う運用にする。

4. 膀胱留置カテーテルの管理

カテーテルを使用している利用者では、尿を廃棄する際に使い捨て手袋を使用してカテーテルや尿パックを取り扱うこと、尿パックの位置を膀胱より低く保ち尿の逆流を防ぐことが基本です。カテーテルの挿入部の観察、チューブの屈曲・閉塞がないかの確認も、日々のケアの中で行う重要な観察項目です。カテーテル自体の抜去・交換や、閉塞時の膀胱洗浄などは医行為にあたるため、看護職員・医師が担当する領域であり、介護職はあくまで「尿廃棄」「外観の観察」「清潔保持の介助」の範囲で関わります。

無症候性細菌尿と治療が必要な尿路感染症の違い|過剰治療を避ける視点

介護現場で誤解されやすいのが、「尿検査や尿の見た目で細菌がいそうだとわかった=すぐ治療が必要」という考え方です。実際には、高齢者では症状のない「無症候性細菌尿(asymptomatic bacteriuria)」がごく普通にみられ、これに抗菌薬を使うことはむしろ推奨されていません。

無症候性細菌尿とは

無症候性細菌尿とは、発熱や排尿時痛、頻尿などの症状が何もないにもかかわらず、尿の中に通常はみられない数の細菌が検出される状態を指します。長期間にわたって膀胱留置カテーテルを使用している人などでよくみられ、カテーテル留置がある程度続けば、ほぼ全員に細菌尿がみられるようになるとされています。

治療しない理由

無症候性細菌尿を治療しない理由は、次の2点に整理できます。

  • 尿中の細菌を完全になくすことは難しく、放置しても合併症を起こすことはまれである。
  • 抗菌薬を使うと体内の細菌のバランスが乱れ、かえって薬が効きにくい耐性菌を増やしてしまうリスクがある。

日本感染症学会・日本化学療法学会の「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―」は、「妊婦と泌尿器科的な処置前を除いて、無症候性細菌尿に対する抗菌薬治療の有効性は証明されていない」としたうえで、「閉経前の非妊娠女性、糖尿病患者、市中にいる高齢者、施設の高齢者、脊髄損傷患者、尿道留置カテーテル患者に対する無症候性細菌尿のスクリーニングと治療は推奨されない」と、いずれもエビデンスグレードAI(最も強い推奨)で明記しています。日本泌尿器科学会の感染制御ガイドラインも同様に、「尿道カテーテル留置患者の無症候性細菌尿に対しては抗菌薬を投与すべきではない」とし、カテーテル関連の無症候性細菌尿(CA-ASB、症状のない慢性期)とカテーテル関連尿路感染症(CAUTI、症状を伴う急性期)を明確に区別しています。

例外的に治療が必要になるケース

無症候性細菌尿でも治療対象になりうるのは、妊娠中の女性(腎盂腎炎リスクが非妊娠女性の20〜30倍高いとされる)や、泌尿器科の侵襲的な手術を控えている人などに限られます。介護施設に入所する高齢者の多くは、この例外に該当しません。

介護職が意識したい「見極め」の姿勢

介護職が尿の混濁や臭いに気づいたとき、それ自体が「即・異常事態」というわけではありません。大切なのは、尿の変化だけで判断せず、この記事の観察ポイントで挙げた「発熱・元気のなさ・食欲低下・せん妄様の様子」などの全身状態の変化が伴っているかどうかを合わせて看護職員に伝えることです。尿の見た目だけを根拠に不安をあおるのではなく、全身状態とセットで報告することが、必要な治療と不要な治療を見分ける第一歩を支えます。

独自分析:介護施設の抗菌薬使用データとカテーテルケアバンドルの統合

感染症・薬剤耐性ワンヘルス動向調査センター(JIHS、旧AMR臨床リファレンスセンター)が公表した「介護老人福祉施設における感染症診療および感染対策の実態調査」(2021年3月)では、特別養護老人ホームで抗菌薬を使用していた入所者について、感染巣(疑いを含む)の内訳が示されています。この調査によると、抗菌薬使用者97人のうち尿路感染症が85.8%を占め、蜂窩織炎(69.4%)を大きく上回る最多の感染巣でした。また同調査では、入所者のうち尿道留置カテーテルを使用している人は408人(4.6%)にのぼり、介護老人保健施設の調査結果と近い水準だったことも報告されています。

この2つの数値を重ねると、介護施設で使われる抗菌薬の主戦場が尿路感染症であること、そしてその一部はカテーテル関連尿路感染(CAUTI)という管理可能なリスクに由来している可能性が読み取れます。同調査は、高齢者の感染症症状が非特異的であることや、認知症のある入所者が多い状況で感染症診療そのものが難しいことも指摘しており、これは本記事で扱う「非典型症状に気づく観察力」の重要性を裏付けるデータといえます。

厚労省マニュアルと学会ガイドラインを重ねて読む

厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」は、入所後の健康管理について「衛生管理の徹底に加え、日常から入所者の抵抗力を高め、感染予防を進める視点が重要」とし、「尿道カテーテル等のチューブをはずす、おむつをはずす等、入所者の健康状態の維持・向上に寄与する取り組みを行うことが必要」と述べています。つまり、カテーテルやおむつは感染予防のために「必要な間だけ使い、不要になれば早めに外す」という考え方が前提です。

一方、日本泌尿器科学会の感染制御ガイドラインは、CAUTI(カテーテル関連尿路感染症)とCA-ASB(カテーテル関連無症候性細菌尿)を明確に区別したうえで、院内症例と長期療養施設での対応に基本的な違いはなく、標準予防策や適切なカテーテル取り扱い、CAUTIに関する職員への啓発が重要としています。長期療養施設向けのカテーテル管理の枠組みとしては、Modyらが提唱した「Remember C.A.U.T.I.」というケアバンドル(複数の対策を束ねて実施する手法)も紹介されています。これは本来医療者向けの管理フレームワークですが、要素ごとに介護職が現場で貢献できる行動に置き換えると次のように整理できます。

  • C(Catheter Removal:不要なカテーテルの抜去)→ 介護職自身が抜去を判断することはないが、「カテーテルがまだ必要か」を看護師・医療職が定期的に見直せるよう、日々の状態変化(自尿の可能性、ADLの変化など)を記録・共有する
  • A(Aseptic Insertion:清潔操作)→ 挿入は医療職の医行為だが、日常のケアで接続部に触れる際の手指衛生・清潔操作を徹底する
  • U(Use Regular Assessment:定期的な必要性評価)→ 看護師・医師によるカテーテル必要性の再評価に、介護職が観察した生活情報を提供する
  • T(Training for Catheter Care:ケアの訓練)→ 蓄尿バッグの位置、尿の廃棄方法など、施設内研修で標準化されたケア手順を習得する
  • I(Incontinence Care Planning:失禁ケアプランの構築)→ 尿失禁の管理だけを目的にしたカテーテル留置は避け、パッド交換やトイレ誘導など代替できるケア手段を排泄ケア計画に位置づける

この記事は、公的統計が示す「介護施設の抗菌薬使用の大半が尿路感染症に由来する」という事実と、泌尿器科領域の専門的なケアバンドルを、施設の介護職が実際に担える観察・記録・報告の行動に独自に対応づけたものです。個々の情報は公的資料に基づきますが、この対応づけ自体は他に類を見ない整理であり、「マニュアル(現場の生活援助の視点)」と「学会ガイドライン(治療方針の視点)」の両輪を理解することで、介護職は「観察して伝える」役割と「治療するかどうかは医療職の判断」という役割分担を、より納得感を持って実践できます。

看護師への報告基準|どんな変化があれば伝えるべきか

介護職の役割は「治療するかどうかを判断すること」ではなく、「変化に気づき、正確に伝えること」です。厚生労働省のマニュアルも「介護職員が入所者の健康状態の異常を発見したら、すぐに看護職員または医師に報告します」と明記しています。次のような変化がみられたら、単独の症状として様子見にせず、看護職員に伝えることを基本にしましょう。

  • 発熱:普段の平熱より1度以上の上昇、または37.5度以上の発熱が続く。
  • 急な活気低下・食欲低下:24時間以内に急激に元気がなくなった、数食にわたって食事量が大きく減った。
  • 急なせん妄様の変化:普段と違う混乱・興奮・つじつまの合わない言動が急に出現した。
  • 尿の明らかな変化:強い異臭、著しい混濁、血尿、尿量の急激な減少。
  • 頻脈・呼吸数の上昇:普段よりも脈が速い、呼吸が荒い。
  • カテーテル使用者の異常:尿の流出が止まっている(閉塞の疑い)、尿パック周囲からの尿漏れ、カテーテル挿入部の発赤・腫れ・痛みの訴え。

伝えるときのポイント

報告の際は、「いつから」「何がどう変わったか」「他にどんな症状が同時に出ているか」をセットで伝えると、看護職員が緊急性を判断しやすくなります。例えば「今日から元気がなく、食事も半分残した。尿の臭いが強い気がする」のように、複数の観察情報を組み合わせて伝えることが、見落としを防ぐことにつながります。逆に、尿の見た目の変化だけを理由に過度に心配する必要はなく、全身状態と合わせて落ち着いて報告する姿勢が大切です。

現場で続けやすくするための工夫

  • 水分摂取は「量」より「回数」で管理する:一度に多く飲んでもらうのが難しい場合は、訪室のたびに一口分を勧めるなど、少量・頻回の声かけに切り替えると負担が少なく続けやすくなります。
  • 陰部洗浄・おむつ交換の手順を写真付きで統一する:新人・パート職員によって拭き取りの方向や手順にばらつきが出やすいため、施設内研修で手順を可視化しておくと、感染予防の質が安定します。
  • 「いつもと違う」を数値と一言メモで残す:体温・食事量に加え、「表情が乏しい」「呼びかけへの反応が遅い」など主観的な気づきも一言添えて記録すると、後から振り返ったときに変化のタイミングを追いやすくなります。
  • カテーテル利用者は尿の性状変化を記録し、定期的な必要性確認のタイミングで看護師と共有する:異常時だけでなく、平常時の性状も記録しておくと「いつもと違う」の比較基準になります。
  • 排便コントロールも生活支援の一環として意識する:便秘が続くと腸内の細菌が増殖しやすくなるとされており、規則的な排便を促す食事・水分摂取・活動量の確保も、排泄ケア全体の一部として取り組む価値があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 尿の臭いが強いだけでも看護師に報告すべきですか?

A. 臭いの変化単独では緊急性が高いとは限りませんが、記録には残し、他の症状(発熱・食欲低下・活気低下など)が伴っていないか続けて観察してください。臭いだけの変化が続く場合も、定期報告のタイミングで看護職員に共有すると、経過を把握しやすくなります。

Q. おむつを使っている利用者は尿路感染症になりやすいのですか?

A. おむつの使用自体が悪いわけではありませんが、排泄物が長時間皮膚や尿道口周辺に触れたままになると感染リスクが高まります。交換のタイミングを守り、清潔を保つことでリスクを下げられます。厚生労働省のマニュアルも、必要な間だけ使用し、不要になれば早めに外すという考え方を示しています。

Q. 水分を摂らせすぎるとよくないと聞きました。どう考えればいいですか?

A. 心不全や腎不全など、医師から水分制限の指示が出ている利用者もいます。この記事で紹介した摂取量の目安は、そうした制限がない一般的な高齢者を想定したものです。個別の指示がある場合は必ずそちらを優先し、疑問があれば看護職員・主治医に確認してください。

Q. 膀胱留置カテーテルを使っている利用者の尿が濁っていました。すぐに抗菌薬が必要ですか?

A. カテーテル使用者では、症状がなくても尿に細菌が存在する状態(無症候性細菌尿)がよくみられ、この記事で紹介した学会ガイドラインでも、症状がなければ抗菌薬投与は推奨されていません。濁りだけで自己判断せず、発熱や全身状態の変化があるかどうかを含めて看護職員に相談し、治療の要否は医療職の判断に委ねてください。

Q. 高齢者の尿路感染症は再発しやすいですか?

A. 残尿・カテーテル使用・活動量の低下など、感染しやすい背景要因が解消されない限り、繰り返しやすい傾向があります。だからこそ、一度の対応で終わらせず、水分摂取・清潔保持・おむつ交換・カテーテル管理を日常的なケアとして継続することが重要です。

参考文献・出典

まとめ|観察と生活援助の質が最大の予防策

高齢者の尿路感染症は、発熱や排尿時痛という「わかりやすい症状」が出にくい病気です。だからこそ、「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」「いつもと様子が違う」という日常の変化に、日々そばにいる介護職が最初に気づける立場にあります。厚生労働省のマニュアルが示す通り、日常の違いをいかに早期に把握するかが、重症化を防ぐ鍵になります。

予防の基本は、特別な医療技術ではなく、水分摂取の支援、陰部の清潔保持、おむつ交換の頻度確保、カテーテル管理という日々の生活援助の質そのものです。そして、尿に細菌がいることがわかっても、それがすべて治療の対象になるわけではありません。無症候性細菌尿への安易な抗菌薬使用は学会ガイドラインが明確に推奨していない一方で、発熱や全身状態の変化を伴う場合は速やかな報告が必要です。この線引きを理解したうえで、「観察して、正確に伝える」という介護職の役割を意識することが、利用者を感染から守り、かつ不要な治療を避けることにつながります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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