施設で利用者の低血糖を疑うときの対応|介護職が気づくサインと初動・報告
介護職向け

施設で利用者の低血糖を疑うときの対応|介護職が気づくサインと初動・報告

糖尿病でインスリンやSU薬を使う利用者の低血糖に、介護施設で介護職がどう気づき動くかを解説。冷汗・手のふるえ・生あくび・言動の変化など高齢者の非典型サイン、意識がある/ないで分かれる初動、経口摂取させてはいけない場面、血糖測定や薬剤調整との線引き、看護師への報告と再発防止まで一次情報でまとめます。

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この記事のポイント

糖尿病でインスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)を使う利用者は、食事量が減ったり活動量が増えたときに低血糖を起こすことがあります。冷汗・手のふるえ・動悸・生あくび・急な言動の変化などのサインに気づいたら、意識がありご自分で飲み込めるなら、看護師の指示のもとブドウ糖や糖分(ブドウ糖10g、またはブドウ糖入り飲料150〜200mL)を補給します。ぐったりして反応が鈍い・飲み込めないときは、無理に口へ入れず(誤嚥防止)、ただちに看護師を呼び救急要請します。血糖測定や薬の調整は医療職の役割で、介護職は「早く気づいて正しく伝える」ことが最大の仕事です。

目次

介護施設で暮らす利用者の中には、糖尿病でインスリン注射や飲み薬による治療を受けている方が少なくありません。こうした薬は血糖値を下げる働きがあるため、食事量が減った日、体調を崩した日、いつもより体を動かした日などに、血糖値が下がりすぎる「低血糖」が起こることがあります。

低血糖は放置すると意識障害やけいれんに進み、命に関わることもある一方、初期に気づいて糖分を補えば回復が見込める状態でもあります。つまり、利用者のいちばん近くにいる介護職が「いつもと違う」に早く気づけるかどうかが、その後の経過を大きく左右します。

ただし、介護職には「やってよいこと」と「医療職に委ねること」の線引きがあります。この記事では、施設で低血糖を疑うときに介護職が押さえておきたいサインの見分け方、意識レベルで分かれる初動、経口摂取させてはいけない場面、看護師や救急への報告、そして再発を防ぐための記録までを、公的な一次情報にもとづいて整理します。

低血糖とは?介護施設で注意が必要な利用者

低血糖とは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が正常より低くなった状態を指します。一般に血糖値が70mg/dL未満の場合を低血糖と呼び、その程度によってさまざまな症状が現れます。健康な人では空腹時でも70mg/dLを下回ることはほとんどなく、低血糖の多くは糖尿病の治療に使う薬の作用によって起こります。

なぜ介護施設で低血糖に注意が必要なのか

低血糖を特に起こしやすいのは、次のような治療を受けている利用者です。

  • インスリン注射を使っている
  • SU薬(スルホニル尿素薬)など、血糖を下げる飲み薬を使っている

SU薬による低血糖は作用が長く続き、いったん回復しても再び血糖が下がる(遷延する)ことがあると、日本糖尿病学会の資料で指摘されています。高齢の利用者は腎機能の低下などで薬が効きすぎることもあり、注意が必要です。

血糖値と症状のおおまかな目安

血糖値がどの程度下がると、どんな症状が出やすいかの目安は次のとおりです(一般社団法人日本糖尿病教育・看護学会の資料などをもとに整理)。

  • 70mg/dL前後:あくび、不快感、考えがまとまらない
  • 60mg/dL前後:発汗、動悸、頻脈、手のふるえ、不安感
  • 50mg/dL程度以下:眠気、脱力、頭痛、目のかすみ、思考力の低下、意識レベルの低下、異常行動
  • 30mg/dL前後:けいれん、昏睡

血糖値が50mg/dL程度まで下がると、脳がエネルギー不足になって現れる中枢神経症状(意識や言動の変化)が出やすくなります。数値はあくまで目安で、個人差があります。

高齢者では「下げすぎ」がリスクになる

近年の高齢者糖尿病の考え方では、血糖を厳しく下げすぎることが重症の低血糖を招き、かえって認知機能の低下や転倒、心臓への負担につながると指摘されています。日本糖尿病学会と日本老年医学会は、高齢者では年齢や体の状態、使っている薬に応じて血糖のコントロール目標を個別に設定し、下限も意識して「下げすぎない」ことを重視しています。

つまり、高齢の利用者にとって低血糖は「たまたま起こる不運」ではなく、治療そのものに内在するリスクだといえます。介護職がこの背景を理解しておくと、「糖尿病の薬を使っている利用者は誰でも低血糖を起こしうる」という前提で、日々の観察に自然と注意が向くようになります。特に、治療歴が長い方、低血糖を繰り返している方、腎機能が低下している方、食事量が不安定な方は、より注意して見守る対象になります。

介護職が気づく低血糖のサイン|典型・非典型を見分ける

介護職が低血糖に気づくうえで大切なのは、症状を「典型的なサイン」と「高齢者に多い非典型的なサイン」の両方で覚えておくことです。高齢者では教科書どおりの症状が出ないことがあり、それが対応の遅れにつながります。

典型的な低血糖のサイン(交感神経の症状)

血糖値が急に下がると、体が血糖を上げようとして次のような症状が出ます。比較的分かりやすいサインです。

  • 冷汗(急にじっとり汗をかく)
  • 手や指のふるえ
  • 動悸・脈が速い
  • 強い空腹感
  • 顔色が悪い(顔面蒼白)
  • 生あくび、なんとなく元気がない
  • 不安そうな様子・落ち着かない

高齢者に多い「非典型的な」サイン(見逃されやすい)

高齢者や低血糖を繰り返している方では、冷汗や手のふるえといった分かりやすい症状が出ないまま、いきなり脳の症状が現れることがあります。日本糖尿病教育・看護学会の資料でも、次のような様子は低血糖のサインかもしれないと注意を促しています。

  • ふらふらする、動作がぎこちない、めまい
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい
  • 目がかすむ、ぼんやりしている、うとうとする
  • 集中力・注意力の低下、もの忘れが急に強くなる
  • つじつまの合わない言動、急に不機嫌になる・怒りっぽくなる
  • 落ち着きがない、そわそわする

認知症・せん妄と紛らわしいことに注意

これらの非典型的なサインは、認知症の症状やせん妄と見分けがつきにくく、「いつものことだろう」と見過ごされて対処が遅れる危険があります。せん妄・意欲の低下・麻痺や脱力といった症状の裏に、実は低血糖が隠れていることがある、と覚えておくことが大切です。

ポイントは、症状そのものより「その利用者にとって、いつもと違うか」という視点です。糖尿病の薬を使っている利用者で「なんとなくいつもと違う」「最近急におかしい」と感じたら、低血糖の可能性を頭に置き、すぐ看護師に相談しましょう。

低血糖が起こりやすいタイミング・きっかけ

次のような場面では、低血糖のリスクが高まります。あらかじめ知っておくと気づきやすくなります。

  • 食事の量が少なかった、時間が遅れた、食べ残しが多かった
  • 食事と食事の間(空腹時)、特に夜間・早朝
  • いつもより長く・多く体を動かした(レク、散歩、リハビリなど)
  • 体調不良で食事がとれていない日
  • 薬の種類や量、注射のタイミングがいつもと変わったとき

低血糖を疑うときの初動フロー|意識レベルで分かれる対応

低血糖を疑ったときの初動は、利用者の意識と、自分で安全に飲み込めるかどうかで大きく分かれます。判断に迷ったら「まず看護師を呼ぶ」が原則です。以下は介護職が現場で動くときの流れの目安で、各施設のマニュアルや看護師の指示が優先されます。

ステップ1:まず看護師に知らせ、安全を確保する

低血糖を疑うサインに気づいたら、その場を離れず、応援を呼んで看護師に連絡します。転倒しないように椅子やベッドで座位・臥位にし、周囲の危険物を片づけます。可能なら「いつから・どんな様子か」を観察して伝えられるようにします。

ステップ2:意識があり、自分で飲み込める場合

呼びかけに応じ、むせずに飲み込める状態であれば、看護師の指示のもとで糖分を補給します。日本糖尿病学会の資料では、経口摂取が可能な場合の目安として次のように示されています。

  • ブドウ糖なら10g、またはブドウ糖を含む飲料150〜200mLを摂取してもらう
  • ブドウ糖がなく砂糖で対応する場合は、ブドウ糖の倍量(砂糖20g)が目安(ただし効果が出るまで時間がかかる)
  • 約15分たっても症状が続くときは、同じ量をもう一度摂取してもらう
  • 症状が回復したら、ご飯やパンなどの炭水化物を食べてもらい、再発を防ぐ

重要な注意:「グルコバイ」「セイブル」「ベイスン」などのα-グルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる利用者は、砂糖では血糖が上がりにくいため、必ずブドウ糖を使う必要があります。誰がどの薬を使っているか、どんな低血糖対応の指示が出ているかは、日頃から看護師と共有しておきましょう。

ステップ3:意識がない・反応が鈍い・飲み込めない場合

ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い、意識がない、むせる・飲み込めない、けいれんしている、といった場合は、絶対に口から食べ物や飲み物を入れないでください。無理に口に入れると、誤嚥や窒息を招き、かえって危険です。

  • 口の中には何も入れない(誤嚥・窒息の防止)
  • ただちに看護師を呼び、指示に従って救急要請(119番)に動く
  • 横向き(回復体位)にして気道を確保し、吐いたものが詰まらないようにする
  • いつからどんな様子か、糖尿病の薬を使っていることを、看護師・救急隊に伝える

ステップ4:回復しても油断しない

いったん糖分で回復しても、SU薬による低血糖などでは再び血糖が下がる(遷延・再発する)ことがあります。日本糖尿病学会も、意識レベルが下がるほどの低血糖では応急処置で一時回復しても再発の可能性が高いとしています。回復後も観察を続け、様子の変化を看護師に報告してください。

介護職ができること・できないこと|医行為との線引き

低血糖への対応では、介護職が「やってよいこと」と「医療職(看護師・医師)に委ねること」の線引きを理解しておくことが欠かせません。ここを誤ると、利用者の安全を損なうだけでなく、介護職自身が医行為に踏み込んでしまう恐れがあります。

場面介護職ができること(生活支援・観察)医療職に委ねること(原則、医行為)
気づき・観察「いつもと違う」に気づく、様子・時刻・食事量を観察して記録・報告する低血糖かどうかの医学的な判断
血糖の確認看護師に測定を依頼する、測定に立ち会う血糖測定(穿刺)そのもの、値の評価
糖分の補給意識があり飲み込める利用者に、看護師の指示のもとでブドウ糖・糖分を手渡す・見守る意識がない利用者への処置、点滴・注射
薬・注射服薬・注射の時間や様子を観察し報告するインスリン量や薬の調整、注射の実施、グルカゴンの投与
緊急時救急要請、回復体位、応援要請、情報の申し送り救急隊・医師への医学的な引き継ぎ判断

血糖測定・薬剤調整は医療職の範囲

血糖値の測定(指先などを穿刺して測る行為)や、インスリン・飲み薬の量を変える判断は、医療職が担う領域です。介護職は「測ってほしい」「様子がおかしい」と看護師に橋渡しをする役割で、自己判断で薬の量を変えたり、注射に手を出したりしてはいけません。

「意識がある・飲み込める」ときの糖分補給は指示のもとで

意識があり自分で安全に飲み込める利用者に、ブドウ糖や糖分を口から補うこと自体は、日常の食事介助の延長として介護職も関わり得ます。ただし、誰にどの対応をするかは利用者ごとに指示が異なるため、必ず看護師の指示・施設のマニュアルに沿って行い、独断で進めないことが安全につながります。

シックデイと食事量低下に注意|低血糖リスクが高まる場面

低血糖のリスクは、利用者が体調を崩したときや食事がとれないときに特に高まります。介護職はこうした「いつもと違う日」を早くつかみ、看護師と共有することが予防につながります。

シックデイとは

糖尿病の治療中に、発熱・下痢・嘔吐をきたしたり、食欲不振で食事がとれなくなったりした状態を「シックデイ」と呼びます。日本糖尿病学会は、シックデイのときは主治医に連絡して指示を受けること、インスリン治療中の人は食事がとれなくても自己判断でインスリンを中断してはならないこと、十分な水分をとって脱水を防ぐことを原則として挙げています。

シックデイでは高血糖に傾くこともあれば、食事がとれないことで低血糖に傾くこともあり、血糖が不安定になりやすい状態です。判断や薬の調整は医療職が行うため、介護職は次のような変化を見つけて速やかに報告する役割を担います。

  • 発熱・下痢・嘔吐がある
  • 食事・水分がとれていない、食べ残しが続く
  • ぐったりしている、いつもより元気がない
  • 薬や注射を予定どおり使えているか分からない

食事量が減ったときの注意

薬や注射はいつもどおりなのに食事量だけが減ると、血糖を下げる力が相対的に強くなり、低血糖が起こりやすくなります。「今日はほとんど食べていないのに、いつもの薬を使ってよいか」といった疑問は、介護職が抱え込まず、必ず看護師に確認しましょう。食事量・水分量・体調をこまめに記録しておくと、医療職が薬を調整する際の重要な材料になります。

記録・報告・再発防止|対応後にやること

低血糖への対応は、その場の初動だけで終わりではありません。「何が起きたか」を正確に記録し、チームで共有して再発を防ぐところまでが介護職の大切な仕事です。

報告するときに伝えたい項目

看護師や医師、救急隊に伝えるとき、次の情報がそろっていると判断がスムーズになります。日頃から観察のポイントとして意識しておきましょう。

  • いつ気づいたか(時刻)、直前の食事の時間と量
  • どんな様子か(冷汗・ふるえ・言動の変化・意識の状態など)
  • 糖分を補給したか、その内容と反応
  • 糖尿病の薬・インスリンを使っていること、直近の服薬・注射の状況
  • 普段と比べてどう違うか

記録に残すこと

介護記録には、気づいた時刻・症状・対応・その後の経過・報告先を具体的に残します。記録は次の勤務者への申し送りになるだけでなく、医療職が薬や生活の見直しを検討するときの根拠になります。

再発を防ぐための工夫

日本糖尿病学会も、低血糖は一人ひとり原因が異なるため、何が原因だったのかを特定し、再発を防ぐ配慮をすることが大切だとしています。施設では次のような取り組みが再発予防につながります。

  • 低血糖を起こした利用者について、起きやすい時間帯・きっかけをチームで共有する
  • 誰がどの薬を使い、どんな低血糖時の指示が出ているかを分かる場所にまとめておく
  • 食事量が少なかった日は申し送りで強調し、注意して観察する
  • ブドウ糖など補給用の糖分を、すぐ取り出せる場所に備えておく(看護師と相談のうえ)
  • 「いつもと違う」と感じたら遠慮せず看護師に相談する雰囲気をつくる

夜間・多職種連携で備える|チームで防ぐ低血糖

低血糖対応の質を高めるには、日中の初動だけでなく、夜間や多職種連携といった「体制づくり」の視点も欠かせません。介護職一人の頑張りに頼るのではなく、チームで備えることが利用者の安全を守ります。

夜間・早朝の低血糖に備える

低血糖は、食事と食事の間の空腹時、とくに夜間や早朝に起こりやすいことが知られています。夜勤帯は看護師が常駐していない施設も多く、介護職だけで最初の判断を迫られる場面が生まれます。だからこそ、次のような備えを事前に整えておくことが大切です。

  • 糖尿病の薬を使う利用者について、夜間に低血糖が疑われたときの連絡先と手順を明文化しておく
  • オンコールの看護師・医師にどの段階で連絡するかを、あらかじめ取り決めておく
  • 就寝前の食事量が少なかった利用者は、夜勤者への申し送りで共有し、巡回時に様子を意識して観察する
  • 「反応が鈍い」「汗をびっしょりかいている」など、夜間に見つけやすいサインを夜勤者間で共有しておく

多職種連携でこそ防げる

低血糖の予防と対応は、介護職だけで完結するものではありません。医師は薬の内容を決め、看護師は血糖の管理と医療的な処置を担い、管理栄養士は食事量や補食を調整し、介護職は日々の様子を最前線で観察します。それぞれの情報がつながって初めて、低血糖を繰り返させない仕組みができます。

介護職が現場で拾った「今日は食欲がない」「レクのあとぐったりしていた」といった小さな気づきは、医療職や栄養士にとって薬や食事を見直す貴重な手がかりです。カンファレンスや日々の申し送りの場で、遠慮せず共有していくことが、チーム全体の対応力を底上げします。

ヒヤリ・ハットを次に生かす

実際に低血糖が起きた事例や、「危うく見逃すところだった」というヒヤリ・ハットは、責める材料ではなく学びの材料です。どんなサインで気づけたか、どこで気づきが遅れたかを振り返り、観察のポイントや手順を更新していくことで、施設全体の初動対応が着実に強くなっていきます。

よくある質問(FAQ)

Q. 低血糖かどうか分からないときは、とりあえず糖分をあげてよい?

意識があり自分で安全に飲み込める利用者で、低血糖が疑わしい場合は、看護師の指示のもとで糖分を補うことがあります。血糖測定ができず判断に迷う場面でも、低血糖の疑いがあれば糖分を試すことが選択肢になりますが、必ず看護師に連絡し指示を仰いでください。反応が鈍い・飲み込めないときは口に入れてはいけません。

Q. 意識がもうろうとしている利用者に、口にブドウ糖を塗ってよい?

資料によっては口唇と歯肉の間に糖分をすり込む方法が紹介されていますが、飲み込む力が落ちている高齢者では誤嚥・窒息の危険があります。施設では、意識がない・反応が鈍い場合は無理に口を使わず、ただちに看護師を呼び救急要請へ動くのが安全です。実施は看護師の指示・施設のマニュアルに従ってください。

Q. 血糖を測ってから対応した方がよいのでは?

血糖測定は医療職の役割で、測定を待つ間に対応が遅れてはいけません。低血糖は早い糖分補給で回復が見込める一方、放置すると危険です。介護職は「測ってほしい」と看護師に伝えつつ、意識があり飲み込める利用者には指示のもとで糖分を補い、そうでなければ救急対応に動きます。

Q. 一度回復すれば、もう安心してよい?

いいえ。特にSU薬による低血糖は作用が長く、いったん回復しても再び血糖が下がることがあります。回復後も観察を続け、様子の変化があれば看護師に報告してください。

Q. α-グルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる利用者に砂糖ではだめ?

α-グルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、セイブル、ベイスンなど)を飲んでいる場合、砂糖では血糖が上がりにくいため、必ずブドウ糖を使う必要があります。誰がこの薬を使っているかを事前に把握しておくことが大切です。

Q. 家族が「グルカゴン」を用意していると聞きました。介護職が使ってよい?

グルカゴン(注射や点鼻薬)は、意識がない重い低血糖のときに血糖を上げるための医療用の薬です。誰がどの場面で使うかは医師の指示によって決まっており、施設で介護職が自己判断で投与することは想定されていません。こうした薬が用意されている利用者については、使用の可否や手順を必ず看護師・医師に確認し、指示に従ってください。

Q. 低血糖に備えて、施設で日頃から準備しておくとよいものは?

看護師と相談のうえ、ブドウ糖や糖分を含む飲料をすぐ取り出せる場所に備えておくと安心です。あわせて、糖尿病の薬を使う利用者の一覧、それぞれの低血糖時の指示、緊急連絡先を分かりやすくまとめておくと、いざというときに迷わず動けます。夜勤帯でも同じ情報にアクセスできるようにしておくことが大切です。

参考文献・出典

まとめ|介護職の役割は「早く気づき、正しく伝える」

介護施設での低血糖対応で、介護職に求められる最大の役割は「早く気づき、正しく伝えること」です。冷汗・手のふるえ・動悸といった典型的なサインだけでなく、ろれつが回らない・つじつまの合わない言動・急なもの忘れなど、高齢者に多い非典型的なサインを知っておくことで、認知症やせん妄と見誤らずに済みます。

初動は利用者の意識レベルで分かれます。意識があり飲み込めるなら、看護師の指示のもとでブドウ糖や糖分を補給します。反応が鈍い・飲み込めないときは、誤嚥を防ぐため口には何も入れず、ただちに看護師を呼んで救急対応に動きます。血糖測定や薬の調整は医療職の役割であり、介護職はその橋渡しと観察・記録・報告に徹することが、利用者の安全につながります。

そして、対応後の記録と再発防止まで含めてチームで取り組むことが、低血糖を繰り返させないための鍵です。日頃から「誰がどの薬を使い、どんな指示が出ているか」を共有し、「いつもと違う」を気軽に相談できる職場づくりを進めていきましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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