
介護職のバイタル測定|体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2の正しい測り方と正常値・異常の見極め
介護職が日々行うバイタル測定の手技と判断を一次ソースで解説。体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2の高齢者の正常値と異常値、パルスオキシメーターの注意(冷え・マニキュア)、医行為でない測定の範囲、看護師へのSBAR報告まで。
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この記事のポイント
介護職が行うバイタル測定は、体温(電子体温計の腋下・耳式)、自動血圧計での血圧、新生児以外でパルスオキシメーターによるSpO2、脈拍、呼吸数の5項目です。厚生労働省通知(医政発第0726005号)により、これらは「原則として医行為ではない行為」とされ、介護職が実施できます。ただし測定値をもとに投薬の要否など医学的判断を行うこと、アネロイド式・水銀血圧計での測定、新生児や入院治療が必要な方へのSpO2測定はできません。高齢者の目安は体温36.0〜37.0℃、脈拍60〜90回/分、血圧上が140mmHg未満、呼吸16〜20回/分、SpO2 96%以上。事前に看護師と取り決めた基準値を外れた異常値や「いつもと違う」様子は、速やかに医療職へ報告します。
目次
毎朝の検温、入浴前の血圧測定、体調がすぐれない利用者へのSpO2チェック。バイタル測定は介護職にとって最も日常的なケアのひとつです。けれども「橈骨動脈ってどこ」「SpO2が89%だけど受診させるべき」「この数値、看護師にどう伝えれば」と、手技や判断に迷った経験はないでしょうか。バイタルは単なる数字の記録ではなく、利用者の体調変化を最初に捉える「異常の早期発見センサー」です。介護職が正しく測り、正しく異常を見極め、的確に医療職へつなぐことが、利用者の命を守る連携の起点になります。
この記事では、介護職が日々行う体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2の測定について、正しい手技、高齢者の正常値と異常値の目安、測定エラーを防ぐコツ、そして「いつもと違う」を看護師へ伝えるSBAR的な報告までを、厚生労働省の通知と公的ガイドラインを根拠に整理します。あわせて、介護職ができる測定とできない医学的判断の線引きも明確にします。
介護職が測定できるバイタルとは|「医行為ではない行為」の正確な範囲
バイタルサイン(生命徴候)とは、人が生きていることを示す指標で、一般に「体温・脈拍・血圧・呼吸」の4項目を指します。介護現場ではこれにSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を加えた5項目を測ることが多くなっています。これらは病気の発見や状態変化の把握に欠かせない情報です。
介護職のバイタル測定は「原則として医行為ではない行為」
「医師や看護師でない介護職が測定してよいのか」という疑問は現場で根強くあります。答えは、厚生労働省の通知(平成17年7月26日 医政発第0726005号)で明確に示されています。同通知は、高齢者介護の現場で判断に迷いやすい行為のうち「原則として医行為ではないと考えられるもの」を列挙し、その筆頭に次の3つを挙げています。
- 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること
- 自動血圧測定器により血圧を測定すること
- 新生児以外の者であって入院治療の必要がない者に対して、パルスオキシメータを装着して動脈血酸素飽和度を測定すること
つまり、電子体温計での検温、自動血圧計での血圧測定、パルスオキシメーターでのSpO2測定は、医師や看護師の免許がなくても介護職が行える行為として国が整理しています。脈拍・呼吸数の観察も同様に、専門的判断を要しない範囲であれば介護職が日常的に行います。
介護職が「できないこと」|医学的判断と特定の機器
一方で、同じ通知は介護職が行えない範囲もはっきり示しています。実務で必ず押さえるべき禁止事項は次のとおりです。
- 測定値をもとにした医学的判断はできない。たとえば「血圧が高いから降圧剤を1錠追加」「SpO2が低いから酸素流量を上げる」といった投薬・処置の要否判断は医行為であり、介護職は行えません。事前に示された範囲外の異常値が出たら、医師・看護師に報告します。
- アネロイド式血圧計・水銀血圧計での血圧測定はできない。介護職が使えるのは自動血圧測定器(半自動・ポンプ式を含む)に限られます。聴診器で測るタイプは医行為です。なお水銀血圧計は2021年1月以降、製造・輸出入が禁止されています。
- 新生児や入院治療が必要な方へのSpO2測定はできない。介護職がパルスオキシメーターを装着できるのは、新生児以外で入院治療を要しない方に限られます。
令和4年12月1日の追加通知(医政発1201第4号)では、血糖測定器のセンサー貼付や測定値の読み取り、インスリン注射の準備・片付けなども介護職が行える範囲として整理されましたが、これらも「測定値をもとに医学的判断はしない」という原則は共通です。介護職の役割は、正確に測り、正確に観察し、正確に報告することにあります。
体温の測り方と高齢者の正常値|腋下・耳式の手技と発熱の見極め
体温は感染症や脱水、炎症を最初に知らせるサインです。介護現場では電子体温計(予測式)での腋下測定が基本で、耳式(外耳道)も通知で認められています。
高齢者の体温の正常値
成人の腋下体温の目安は36.0〜37.0℃ですが、高齢者は基礎代謝が低く、平熱が35℃台の方も珍しくありません。だからこそ「平熱を知っておくこと」が最も大切です。日頃から記録し、その人の平熱より1℃近く高ければ、たとえ37.5℃に達していなくても発熱を疑います。一般に37.5℃以上を発熱の目安としますが、高齢者では平熱が低いため、絶対値だけで判断しないことが重要です。
正しい測定手技
- 測定前に脇の汗を拭く。汗が蒸発するときの気化熱で体表温度が下がり、低く出ます。
- 体温計の先端を腋窩の中心(最も深いくぼみ)に、斜め下30度の角度で当てる。
- 測定側の腕をもう一方の手で支え、脇をしっかり閉じて密着させる。
- 予測式なら電子音が鳴るまで(約30秒〜1分)動かさない。
測定エラーと注意点
麻痺がある側は血流や発汗が左右で異なるため、健側(麻痺のない側)で測ります。食後・入浴後・運動後は一時的に高くなるため、可能なら環境を一定にして測定します。冬場に脇が冷えていると低く出ることもあります。発熱だけでなく、いつもより体温が低い(低体温)場合も、感染症が重症化したサインのことがあり要注意です。
脈拍・呼吸数の測り方と正常値|橈骨動脈の触れ方と「気づかれずに数える」コツ
脈拍の測り方と正常値
脈拍の正常値は成人で1分間60〜100回、高齢者では60〜90回程度が目安です。測定は橈骨動脈(手首の親指側)で行います。
- 利用者の手のひらを上に向け、手首の親指側のくぼみに、自分の人差し指・中指・薬指の3本を軽く当てる。
- 15秒間数えて4倍する。ただしリズムの乱れ(不整脈)を感じたら、そのまま1分間きちんと数える。
回数だけでなく、リズムが規則的か、脈の強さ(弱く触れにくくないか)も観察します。100回/分を超える頻脈は発熱・脱水・心不全・痛みなどで、50回/分を下回る徐脈は薬剤の影響や心疾患で起こることがあります。脈が飛ぶ・バラバラに触れる場合は心房細動などの不整脈が疑われ、報告対象です。なお、血圧計やパルスオキシメーターにも脈拍数が表示されるので、手で触れた値と機器の値を照合すると精度が上がります。
呼吸数の測り方と正常値
呼吸数の正常値は成人で1分間12〜20回、高齢者では16〜20回程度が目安です。呼吸は意識すると変わってしまうため、「これから呼吸を測ります」と言わずに測るのがコツです。脈拍を測るふりをしながら、胸やお腹の上下動を観察すると自然に数えられます。
- 胸または腹部の動きを見て、吸って吐いてを1回として、1分間(または30秒×2)数える。
- 回数だけでなく、呼吸が浅い・速い・苦しそう・ゼーゼーいう(喘鳴)といった様子も観察する。
呼吸数25回/分以上の頻呼吸や、9回/分以下の徐呼吸、肩で息をする努力呼吸、口唇や爪が紫色になるチアノーゼは、いずれも緊急性の高いサインです。SpO2の数値とあわせて速やかに報告します。
血圧の測り方と高齢者の正常値|自動血圧計の正しい使い方と落とし穴
介護職が測定できるのは自動血圧測定器(半自動・ポンプ式を含む)に限られます。アネロイド式・水銀血圧計は使えません。
高齢者の血圧の正常値
診察室血圧の正常域は上(収縮期)が140mmHg未満、下(拡張期)が90mmHg未満が一つの目安です。施設では男性100〜140、女性90〜140mmHg程度を基準とすることが多いですが、高齢者は動脈硬化で血圧が高めに出やすく、また日内変動や測定環境の影響も大きいため、その人の普段の値と比べることが重要です。
正しい測定手技
- 測定前に1〜2分安静にしてもらう。運動後・食後・入浴後・トイレ我慢時は避ける。
- 厚手の上着やセーターは脱いでもらう。袖をまくり上げて腕を締め付けると、血流が妨げられ正しく測れない。
- マンシェット(腕帯)は肘から2cmほど上に、上腕の3分の2を覆うように巻く。指が2本入る程度のゆとりを残す。
- 腕の高さを心臓と同じ位置に合わせる。低すぎると高く、高すぎると低く出る。麻痺・傷・痛みのある腕は避け、反対側で測る。
- 寝た姿勢なら仰向けで測る。横向きでは測定しない。
測定エラーと注意点
マンシェットがきつすぎ・ゆるすぎると数値が狂います。会話や緊張でも上がるため、声かけにも配慮します。測定中は利用者の顔色や気分不快がないかを観察し、急な締め付けで痛みを訴える方には注意します。1回の高値で慌てず、時間をおいて再測定し、普段の値・自覚症状とあわせて判断します。上が180mmHg以上、または下が110mmHg以上で頭痛・吐き気・めまいを伴う場合は高血圧緊急症の可能性があり、速やかな報告が必要です。逆に普段より大きく低い(収縮期90mmHg未満など)場合も、ショックや脱水のサインのことがあります。
SpO2の測り方とパルスオキシメーターの注意|冷え・マニキュア・低酸素の見極め
SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)は、血液中のヘモグロビンがどれだけ酸素と結びついているかをパルスオキシメーターで指先から測る値です。呼吸状態を数値で捉えられるため、肺炎・誤嚥・心不全・COPDの利用者では特に重要です。介護職が測れるのは、新生児以外で入院治療を要しない方に限られます。
SpO2の正常値と異常の目安
健康な人のSpO2は通常96〜99%です。日本呼吸器学会の資料でも、90%未満、または普段の値より3〜4ポイント低い場合は呼吸不全などが疑われるとされています。ただしCOPDなどもともと呼吸器疾患がある方は普段から90〜95%で推移することもあるため、必ずその人の平常値と比べます。SpO2の数値が正常でも、顔色が悪い・息苦しさの訴えがある場合は、数値にとらわれず速やかに報告します。
正しい測定手技と「誤って低く出る」要因
パルスオキシメーターは光を指に透過させて測るため、次の要因で正しく測れません。誤って低い値が出て無用に慌てたり、逆に異常を見逃したりするのを防ぐため、測定前に必ず確認します。
- 指先の冷え:手や指が冷たいと血流が乏しく、値が低く出たり測定できなかったりします。温めてから測定します。室温が低いときは室温も整えます。
- マニキュア・ジェルネイル・汚れ:光をさえぎるため正しく測れません。事前に除去するか、塗っていない指で測ります。
- 体動・直後の運動や入浴:落ち着いて1〜2分呼吸を整えてから測ります。装着中は指を動かさないようにします。
- センサーの汚れ・機器の故障:事前にセンサー部の汚れや故障がないか確認します。
測定後はセンサーを外し、指が触れた部分を消毒します。測定した時間・部位も記録します。事前に医療職から「○%を下回ったら連絡」と指示がある場合は、その基準を下回ったら速やかに報告します。
在宅酸素や呼吸器疾患の利用者で特に注意すること
COPDなどで在宅酸素療法を受けている利用者では、SpO2が低いからといって介護職の判断で酸素流量を上げてはいけません。流量の変更は医師の指示に基づく医療行為であり、慢性的に二酸化炭素がたまりやすい方では、酸素の与えすぎがかえって呼吸を抑えてしまうこと(CO2ナルコーシス)もあるためです。介護職は、指示された流量で機器が正しく作動しているかを確認し、SpO2の値と本人の様子(呼吸の苦しさ、ぼんやりした意識、頭痛など)を観察して、異常があれば速やかに看護師・医師へ報告します。判断は医療職、観察と報告は介護職という役割分担が、ここでも徹底されます。
バイタルを測るタイミングと記録の残し方
バイタル測定は「いつ測るか」と「何を記録するか」も手技と同じくらい重要です。タイミングがバラバラだと数値を比較できず、記録が不十分だと医療職が状態を判断できません。
測定するタイミング
- 定時測定:多くの施設で起床時や午前中など決まった時間に毎日測ります。同じ時間・同じ条件で測ることで、その人の「いつも」が見え、変化に気づけます。
- 場面ごとの測定:入浴前後(血圧変動・ヒートショックの確認)、体調不良の訴えがあったとき、発熱・ふらつき・呼吸の変化を感じたとき、服薬後の経過観察など。とくに入浴は血圧が大きく動くため、前後の測定で安全を確認します。
- 急変が疑われるとき:意識・呼吸・顔色に異変があれば、すぐに測定して報告します。
記録すべき項目
数値だけでなく、判断材料になる情報をあわせて残します。後から見返したとき、医療職が状況を再現できる記録が理想です。
- 測定した日時・測定者
- 各バイタルの数値(体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2)
- 測定部位・体位(左右どちらの腕か、座位か臥位かなど)
- 数値以外の観察(顔色、食欲、訴え、活気、いつもとの違い)
- 異常時にとった対応と、報告した相手・時刻
「平熱36.2℃の方が36.9℃」のように普段の値とセットで記録すると、わずかな変化も拾えます。介護記録ソフトを使う施設では、経時的なグラフで傾向を可視化できるため、緩やかな悪化にも気づきやすくなります。
高齢者のバイタル正常値・異常値の早見表
各項目の正常値と、報告を検討すべき異常値の目安をまとめます。数値はあくまで一般的な目安です。高齢者は個人差・日内変動が大きいため、最終的には「その人の普段の値」と「自覚症状・全身状態」を合わせて判断します。施設ごとに看護師と取り決めた報告基準値があれば、それを最優先してください。
| 項目 | 高齢者の正常値の目安 | 報告を検討する異常値・サイン |
|---|---|---|
| 体温 | 36.0〜37.0℃(平熱は個人差大、35℃台も) | 37.5℃以上、または平熱より約1℃高い/低体温(35℃未満) |
| 脈拍 | 60〜90回/分・規則的 | 100回以上の頻脈/50回未満の徐脈/リズムの乱れ |
| 血圧(収縮期) | おおむね140mmHg未満 | 180mmHg以上で症状あり/普段より著しい高低/90mmHg未満 |
| 呼吸数 | 16〜20回/分・規則的 | 25回以上の頻呼吸/9回以下の徐呼吸/努力呼吸・喘鳴・チアノーゼ |
| SpO2 | 96〜99% | 90%未満、または普段より3〜4ポイント低下 |
独自の整理:表の「異常値」はあくまで医療職へ報告するかどうかの目安であり、介護職が「異常だから○○する」と医学的に判断・処置する基準ではありません。厚労省通知が示すとおり、事前に医療職と取り決めた範囲を外れたら「判断せずに報告する」のが介護職の正しい動きです。数値が基準内でも「いつもと様子が違う」と感じたら、それも立派な報告材料になります。
「いつもと違う」の気づきと看護師への報告|SBARで伝える
バイタル測定の本当の価値は、数値そのものより「いつもと違う」を最初に捉えられることにあります。介護職は利用者に最も近く、毎日その人を見ています。だからこそ、わずかな変化に気づける立場にいます。
数値以外に観察すべきこと
- 顔色(蒼白・紅潮・チアノーゼ)、表情、目つき
- 意識・反応(呼びかけへの応答、ろれつ、ぼんやりしていないか)
- 食欲・水分摂取、排泄の変化
- 息苦しさ・痛み・冷や汗・ふらつきの訴え
- 皮膚の冷たさ・湿り、いつもと違う発汗
これらは数値が正常範囲でも異変を示すことがあります。SpO2が96%でも「なんとなく元気がない」「いつもより呼吸が速い」は、立派な報告理由です。
看護師へ的確に伝えるSBAR
「なんか調子悪そうです」だけでは、看護師は状況をつかめません。医療現場で使われるSBAR(エスバー)の型に沿って伝えると、短時間で正確に共有できます。
- S(Situation/状況):今何が起きているか。「○○さん、10時の検温でSpO2が88%、呼吸が速いです」
- B(Background/背景):普段の値や経過、既往・服薬。「普段は96〜97%、COPDがあります。昨日から咳が増えていました」
- A(Assessment/評価):気づいた観察。「顔色が悪く、息苦しさの訴えがあります」。ここで診断はしない。
- R(Recommendation/依頼):してほしいこと。「すぐ診ていただけますか。受診が必要か判断をお願いします」
報告のとき、介護職が「肺炎だと思います」と診断したり、「酸素を上げました」と処置を先行させたりしてはいけません。これは医行為にあたります。正確な事実と観察を伝え、判断は医療職に委ねるのが連携の鉄則です。緊急性が高い(意識障害、強い呼吸困難、チアノーゼなど)と感じたら、報告と同時に施設のマニュアルに沿って救急対応に移ります。
現場で精度を上げるバイタル測定のコツ
- 測定の順番を工夫する:呼吸数は本人に意識させないため、脈拍を測りながら胸の動きを観察すると自然に数えられます。会話で緊張させると血圧・脈拍が上がるので、リラックスした状態をつくってから測ります。
- 「平常値ノート」を共有する:高齢者は個人差が大きいので、各利用者の平熱・普段の血圧・普段のSpO2をチームで把握しておくと、異常の判断が速く正確になります。
- 機器の値と手技を照合する:自動血圧計やパルスオキシメーターの脈拍表示と、手で触れた脈を照合すると、不整脈の見落としや機器エラーに気づけます。
- 同じ条件で測る:時間帯・体位・測定部位をできるだけ一定にすると、日々の変化を比較しやすくなります。記録には測定時刻・部位・体位も残します。
- 嫌がられたときは無理強いしない:認知症などで測定を拒否される場合は、目的を簡潔に伝え、安心できる声かけをし、タイミングをずらします。それでも難しいときは様子を記録し、看護師に相談します。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護職がバイタル測定をするのは医療行為になりませんか?
電子体温計での腋下・耳式の検温、自動血圧計での血圧測定、新生児以外でのパルスオキシメーターによるSpO2測定は、厚生労働省の通知(医政発第0726005号)で「原則として医行為ではない行為」と整理されており、介護職が行えます。ただし測定値をもとに投薬の要否などを判断するのは医行為になります。
Q. アネロイド式(聴診器を使う)血圧計で測ってもいいですか?
いいえ。介護職が測定できるのは自動血圧測定器(半自動・ポンプ式を含む)のみです。アネロイド式・水銀血圧計での測定はできません。
Q. SpO2が低く出ます。機械が壊れているのでしょうか?
指先の冷え、マニキュアやジェルネイル、爪の汚れ、体動、運動・入浴直後などで実際より低く表示されることがあります。指を温める、ネイルを避ける、1〜2分安静にするなどを試し、それでも低く、顔色不良や息苦しさがあれば速やかに看護師へ報告してください。
Q. 数値は正常範囲なのに様子がおかしいときは報告すべき?
はい。バイタルが基準内でも「いつもと違う」と感じたら報告対象です。顔色、意識、食欲、訴えなど数値以外のサインも重要な情報です。SBARの型で事実と観察を簡潔に伝えましょう。
Q. 呼吸数をうまく数えられません。
「呼吸を測ります」と伝えると本人が意識して呼吸が乱れます。脈拍を測るふりをしながら、胸やお腹の上下動を1分間観察すると自然に数えられます。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
まとめ|測って、気づいて、つなぐ
介護職のバイタル測定は、体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2の5項目を、正しい手技で、その人の平常値と比べながら測ることが基本です。厚生労働省の通知により、電子体温計・自動血圧計・パルスオキシメーターによる測定は介護職が行える行為として整理されていますが、測定値をもとにした医学的判断はできません。だからこそ、介護職の役割は「正確に測り、いつもと違うに気づき、看護師へ的確につなぐ」ことに尽きます。
SpO2の冷え・マニキュア、血圧計のマンシェットの巻き方、呼吸を意識させない数え方といった小さな手技の精度が、異常の早期発見と利用者の安全を左右します。数値が正常でも「なんとなくおかしい」を見逃さず、SBARの型で事実を伝える。その積み重ねが、医療と介護の信頼ある連携をつくります。日々のバイタルは、利用者の体調を守る最前線のセンサーであり、介護職にしか担えない大切な観察の仕事です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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