個別機能訓練・生活機能訓練の実際|訓練メニュー例と介護職の関わり・リハ職連携
介護職向け

個別機能訓練・生活機能訓練の実際|訓練メニュー例と介護職の関わり・リハ職連携

個別機能訓練・生活機能訓練を現場でどう進めるか。立ち上がり/歩行/ROM/バランス/上肢/口腔の訓練メニュー例、ADLに織り込む生活リハ、介護職が担える補助と機能訓練指導員・PT/OT/STの役割分担、目標設定とモニタリング、やる気を引き出す関わり、安全管理(中止基準)まで介護職目線で解説。

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個別機能訓練・生活機能訓練の実際は、立ち上がり・歩行・関節可動域(ROM)・バランス・上肢・口腔といった目標に直結する訓練メニューを、機能訓練指導員が立てた計画に沿って進めるものです。介護職は機能訓練指導員の指導のもとで訓練の補助を担い(厚生労働省 個別機能訓練加算の算定要件)、さらにトイレ・入浴・食事など日常生活動作(ADL)の中に「生活リハ」として織り込むことで効果を高めます。安全管理ではアンダーソン・土肥の中止基準やボルグスケールで運動強度と中止ラインを共有することが欠かせません。

目次

「個別機能訓練」と聞くと、計画書や加算の制度の話を思い浮かべる介護職は多いかもしれません。しかし現場で本当に問われるのは、目の前の利用者にどんな訓練メニューを、どう安全に、どうやる気を保ちながら進めるかという実際の関わりです。

機能訓練は機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師)が中心になりますが、介護職が補助として関わったり、トイレや入浴といった日常生活動作(ADL)の中で生活リハとして実践したりする場面は非常に多くあります。この記事では、立ち上がりや歩行などの代表的な訓練メニュー例から、ADLに織り込む生活リハの視点、介護職と機能訓練指導員・リハ職の役割分担、目標設定とモニタリング、本人のやる気を引き出す関わり、そして安全管理(中止基準)まで、介護職目線で実際の進め方を整理します。

個別機能訓練・生活機能訓練とは|「実際」を理解する前提

本題のメニューに入る前に、現場で混同されやすい用語を実務目線で整理します。

個別機能訓練と生活機能訓練の位置づけ

個別機能訓練は、通所介護などで個別機能訓練加算に基づき、機能訓練指導員が利用者ごとの個別機能訓練計画を立てて実施する訓練です。身体機能の向上だけでなく、生活機能(生活行為)の向上を目的に据えるのが現在の制度の考え方で、厚生労働省は訓練項目を「利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的として柔軟に設定する」よう求めています。

いっぽう「生活機能訓練」「生活リハビリ」は、トイレ・入浴・更衣・移動・食事といった日常生活動作(ADL)そのものを訓練の場面ととらえる視点を指します。専用の訓練室で行う機能訓練と切り離されたものではなく、機能訓練で高めた力を生活の中で使い、生活の中での気づきを機能訓練に戻すという好循環で考えるのが実際的です。

「機能向上」と「生活機能の向上」をつなぐ発想

厚生労働省の事例集では、機能訓練を行う理由を説明するとき、入浴・排泄・移動・食事など利用者の生活行為の何に焦点を当てているのかを徹底的に分解し、どこに問題があり、その原因は何か、どんな訓練が必要で、反復練習した先にどんな状態が予測できるのかを説明することが重要だとされています。つまり「筋力を上げる」こと自体が目的ではなく、「自宅の2階へ上がれるようになる」「一人でトイレに行ける」といった生活の到達点から逆算してメニューを選ぶのが、実際の機能訓練の進め方です。

訓練メニュー例|立ち上がり・歩行・ROM・バランス・上肢・口腔

ここでは現場で頻度の高い6系統の訓練メニューを、目的・進め方・負荷調整の考え方とともに紹介します。いずれも機能訓練指導員が計画した内容を前提に、介護職は補助・観察・声かけで関わります。

1. 立ち上がり・スクワット系(下肢筋力)

立ち上がりは「座る・立つ・歩く」の起点で、トイレ・移乗・入浴など多くの生活動作の土台になります。椅子に浅く腰かけて上半身を前傾し、手すりを下方に押しながら立ち上がる反復が基本です。手すりを引っ張ると上肢に頼ってしまうため、下方に押す指示がポイントです。10回が軽い人は手すりを軽く触れる程度に減らす、足首に重錘を巻くなどで負荷を上げます。背もたれに寄りかかると立ち上がりに使う腸腰筋が働きにくいため、上半身を伸ばして行うよう声かけします。

2. 歩行訓練(移動能力)

歩行は利用者の状態に応じて、平行棒内歩行・歩行器歩行・伝い歩き・屋外歩行と段階を設定します。自宅環境を想定し、立位でのリーチ動作やバランス保持も組み込むと生活に近づきます。麻痺で左右差がある場合、段差は昇るとき動かしやすい足から、降りるとき動かしにくい足から出すのが原則です(「行きはよいよい帰りは怖い」と覚えると現場で共有しやすい)。

3. 関節可動域(ROM)訓練(拘縮予防)

ROM訓練は関節の動く範囲を保ち、拘縮を防ぐ訓練です。利用者自身が動かす自動運動、介助で動かす他動運動、一部介助の自動介助運動を状態で使い分けます。介護職が他動的に関節を動かす場合は、痛みの手前までゆっくり、反動をつけず、関節の上下を支えて行うのが基本です。可動域や痛みの変化は機能訓練指導員に必ず報告します。

4. バランス訓練(転倒予防)

座位での体幹バランス、立位での片脚立ち、重心移動、二重課題(足踏みしながら数を数える等)を、支持物の有無で難易度調整します。二重課題は運動と認知課題を同時に行うもので、認知機能低下の抑制が期待されています。転倒リスクが高い利用者には必ず支持物と見守りをつけ、後方に椅子を置くなどの安全策を取ります。

5. 上肢・手指の訓練(食事・更衣・整容)

セラバンドの牽引運動、グーパー運動、ペグやビー玉のつまみ動作、ちぎり絵・折り紙などの創作活動で、握る・つまむ・持ち上げる動作を維持します。セラバンドは色で強度が変わるため、肩の高さまで突き出して「ややきつい」と感じる強度を選びます。創作活動は「ちぎる係」「貼る係」と作業分担すれば、できる部分を活かしながら参加できます。

6. 口腔・嚥下の機能訓練

パタカラ体操や唾液腺マッサージ、舌の運動、発声などで、咀嚼・嚥下に関わる機能を保ちます。食事介助の前に行うと誤嚥予防にもつながります。嚥下に関する評価や直接的な訓練は言語聴覚士(ST)や看護職員と連携し、むせや咳の変化を観察して共有します。

生活リハの実際|ADL(日常生活動作)に訓練を織り込む

専用の訓練時間だけが機能訓練ではありません。厚生労働省の事例集でも、機能訓練の時間だけでなく、トイレや入浴などサービス提供時間帯のあらゆる場面で自立支援の視点を取り入れたケアを浸透させることが効果的だとされています。介護職が一日の生活の中で担える生活リハの実際を、場面ごとに整理します。

移動・移乗の場面

車椅子への移乗を「全介助で素早く」ではなく、立ち上がり訓練の延長として「手すりに手をかけ、自分でお尻を浮かせてもらう」関わりに変えるだけで、立ち上がりの反復機会になります。歩ける利用者は、フロア内の移動を歩行訓練の場ととらえ、見守り歩行に切り替えます。

トイレ・排泄の場面

トイレ動作は立ち上がり・方向転換・ズボンの上げ下ろし(上肢・バランス)が一連で求められる、生活リハの宝庫です。手すりの位置や立ち座りのしやすさを確認し、できる動作は本人に任せ、危険な部分だけを補助します。

入浴・更衣の場面

浴槽の跨ぎ、洗体の上肢動作、ボタンやファスナーの操作は、それぞれROM・バランス・手指機能を使う場面です。更衣は「健側から脱ぎ、患側から着る」といった原則を踏まえつつ、本人が行える範囲を見極めます。

食事の場面

食事姿勢の保持は体幹の機能訓練に、自助具を使った食事は上肢・手指の訓練につながります。食前の口腔体操は嚥下機能訓練そのものです。

こうした生活場面での気づき(浴槽の跨ぎが不安定、トイレでの方向転換でふらつく等)を機能訓練指導員に伝えると、次の機能訓練メニューに反映されます。事例集でも、浴槽の跨ぎや車の乗り降り、トイレ動作の様子を介護職から機能訓練指導員に伝えに行く、という機能訓練の場以外でのフィードバックの重要性が挙げられています。

役割分担|介護職が担える範囲と機能訓練指導員・PT/OT/STの領域

機能訓練で介護職が「どこまで担えるのか」は、現場で迷いやすい点です。制度上の線引きと、職種ごとの専門領域を押さえておきましょう。

制度上の線引き:直接実施は機能訓練指導員、介護職は補助

個別機能訓練加算の算定要件では、訓練の実施者について「機能訓練指導員が直接実施します。介護職員等が訓練の補助を行ってもかまいません」と定められています。つまり個別機能訓練計画に基づく訓練を主体的に実施・評価するのは機能訓練指導員であり、介護職はその指導のもとで補助や見守り、声かけ、観察・記録を担う立場です。これは介護職の関わりを軽く見るものではなく、機能訓練指導員のアドバイスを受けやすくすることで、介護職が介助方法に迷った際にも自信を持ってケアにあたれるようになる、という相互補完の関係です。

リハ職(PT・OT・ST)の専門領域

理学療法士(PT)は立つ・歩くなどの基本動作と運動機能、作業療法士(OT)は食事・更衣・整容などの応用動作(ADL/IADL)と上肢・手指、言語聴覚士(ST)は言語・摂食嚥下を主に担います。同じ「機能訓練」でも、誰に相談すべきかが変わります。歩行が不安定ならPT、食事動作や自助具ならOT、むせ・嚥下ならSTというように、観察した内容を適切な職種につなぐのが介護職の重要な役割です。

介護職が担う「気づき」の価値

介護職は利用者と過ごす時間が最も長く、日々の生活動作の変化に最初に気づける立場です。可動域の左右差、立ち上がりにかかる時間、食事中のむせ、意欲の変化などを観察・記録し、機能訓練指導員やリハ職に共有することが、計画の見直しやリスクの早期発見につながります。生活機能向上連携加算では、外部のPT等の助言を受けて機能訓練計画を作る仕組みもあり、現場の観察情報がその出発点になります。

目標設定とモニタリング|計画→実施→3か月見直しの流れ

機能訓練の実際は、メニューを行うこと自体ではなく、目標に向けて進んでいるかを確認し続けるサイクルで成り立ちます。介護職もこのサイクルの担い手です。

生活に直結した目標を立てる

目標は「筋力向上」のような抽象的なものではなく、「手すりを使って自宅2階の寝室まで上がれるようになる」のように、生活場面・到達基準・期間が分かる形にします。初回の目標設定では利用者本人の希望をしっかり確認し、在宅生活が続けられるよう支援することが重視されます。介護職は普段の生活で本人が「やりたい」と口にしたことを拾い、目標設定の材料として共有できます。

短期目標から逆算してメニューを選ぶ

短期目標の実現に向けて障壁になっている点を分解し、それを解決できる訓練内容を選びます。例えば「トイレで方向転換するときにふらつく」なら、立位バランスと下肢筋力のメニューを重点化する、といった具合です。

3か月ごとのモニタリングと見直し

個別機能訓練加算では、3か月に1回以上、利用者の居宅を訪問して生活状況を確認し、本人・家族に進捗を説明したうえで、必要に応じて計画を見直すことが求められます。モニタリングは非対面・オンラインでも可とされています。日々の記録(立ち上がり回数、歩行距離、むせの有無、意欲など)を介護職が残しておくと、この見直しの精度が上がります。評価は可能な範囲で数値化すると経過を比較しやすくなります。

記録・報告のコツ

「できた・できない」だけでなく、どんな条件でできたか(手すりあり/なし、午前/午後、声かけの有無)まで残すと、機能訓練指導員が原因を分析しやすくなります。変化があったときだけでなく、変化がないことも重要な情報です。

やる気を引き出す関わり|本人の主体性を支える工夫

機能訓練は続けてこそ効果が出ますが、続けるかどうかは本人の意欲に大きく左右されます。厚生労働省も訓練項目の選択に当たっては利用者の生活意欲が増進されるよう援助することを求めています。現場で使える工夫を整理します。

  • 本人にメニューを選んでもらう:基礎訓練と応用訓練のメニューを複数用意し、その都度本人が選べるようにすると、主体性をもって取り組んでもらいやすくなります。
  • 「できたこと」を可視化して共有する:動画を一緒に見ながら振り返る、創作作品を施設に飾る、写真を家族と共有するなど、成果を見える形にして称賛すると、次への意欲や自尊心が高まります。
  • 生活の意味づけを言葉にする:「この立ち上がりが、トイレに一人で行ける力につながる」と、訓練と生活のつながりを伝えると、目的が腹落ちして取り組みやすくなります。
  • なじみのある活動を取り入れる:料理や園芸など本人になじみのある活動は、目的が分かりやすく、五感や他者との交流を通じて精神面にも良い影響があります。
  • 「ややきつい」を超えさせない:きつすぎる訓練は意欲をそぎ、リスクも上げます。ボルグスケールの13「ややきつい」程度を目安に、無理のない範囲で達成感を積み重ねます。

安全管理|運動を始めない/中止する基準(アンダーソン・土肥)

機能訓練は体に負荷をかける行為であり、安全管理は必須です。介護職が補助に入る場面でも、開始前のバイタル確認と中止ラインの共有は欠かせません。運動療法のリスク管理で広く使われる「アンダーソン・土肥の基準」の要点を、現場で使える形で示します。

運動を行わないほうがよい場合(開始前)

  • 安静時の脈拍数が120拍/分以上
  • 収縮期血圧200mmHg以上、または拡張期血圧120mmHg以上
  • 運動前にすでに動悸・息切れがある
  • 著しい不整脈がある/その日の体調が明らかに悪い

途中で運動を中止する場合

  • 運動中に中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した
  • 脈拍が140拍/分を超えた
  • 収縮期血圧が40mmHg以上、または拡張期血圧が20mmHg以上上昇した
  • 顔色不良、強い疲労感、ふらつきなど「いつもと違う」サインが出た

介護職が現場で守ること

これらの数値判断は最終的に医療職・機能訓練指導員が行いますが、介護職は「開始前にバイタルと体調を確認する」「異変のサインに気づいたらすぐ中止して報告する」を徹底します。転倒予防では支持物と見守りを確実につけ、後方に椅子を置くなど環境面の安全も整えます。判断に迷ったら続行せず、必ず機能訓練指導員や看護職員に確認することが鉄則です。

現場でつまずきやすい場面と対処|介護職の関わりを実務に落とす

機能訓練の実際では、計画どおりに進まない場面が必ず出てきます。介護職が補助・観察の立場で出会いやすいつまずきと、その対処を整理します。

  • 「今日はやりたくない」と拒否される:無理に進めず、まず理由を聞きます。体調不良が背景にあれば中止・報告が優先です。気分の問題なら、本人が選べる軽いメニューに切り替える、目標とのつながりを言葉にする、できたことを振り返るなど、意欲が戻る入り口を探します。
  • 訓練の効果が見えず本人が落胆する:短期間で大きな変化が出ないのは自然なことです。歩行距離や立ち上がり回数など小さな指標を記録して見せ、維持できていること自体が成果だと伝えます。評価は可能な範囲で数値化すると変化を共有しやすくなります。
  • 痛みを訴える:痛みの手前で止めるのが原則です。ROM訓練などで痛みが出たらすぐに中止し、部位・程度・動作を機能訓練指導員に報告します。痛みを我慢させて続けることは避けます。
  • 同じメニューに飽きてしまう:基礎と応用のメニューを複数用意し、なじみのある活動(料理・園芸・創作)を取り入れて変化をつけます。集団での実施も刺激になります。
  • 機能訓練指導員と情報がうまく共有できない:口頭だけに頼らず、記録に「どんな条件でできたか」まで残す、申し送りの定位置を決めるなど、情報を渡す導線を仕組みにします。

共通するのは、介護職が一人で抱え込まず、観察した事実を適切な職種に渡すことです。判断に迷う場面ほど、機能訓練指導員や看護職員への確認が安全と質の両方を守ります。

現場視点の考察|機能訓練は「個人技」ではなく「仕組み」で続く

機能訓練の効果は、特定の熱心な職員の頑張りだけでは続きません。厚生労働省の事例集でも、機能訓練指導員を複数配置したり、サービス提供時間を通じて配置することで、介護職が介助方法に迷った際にアドバイスを受けやすくなり、自信をもってケアにあたれるようになったという声が紹介されています。

実際に機能を伸ばしている現場に共通するのは、機能訓練を「リハ職と介護職の役割をまたぐチームの仕組み」にしている点です。具体的には、(1)機能訓練指導員が一日の活動量やコミュニケーション量の意味を介護職に伝え、各ケアにどんな意味があるかを共有する、(2)介護職が生活場面の気づきを機能訓練指導員に戻す、(3)その情報を計画の見直しに反映する、という情報の往復が回っています。介護職が「補助だから」と受け身になるのではなく、最も長く利用者を観ている専門職として気づきを発信することが、機能訓練の質を底上げします。

機能訓練指導員の配置が手薄な事業所でも、生活機能向上連携加算を使えば外部のリハ職の助言を受けられる仕組みがあります。連携の形は事業所によって違っても、「観察した情報を適切な職種に渡す導線」を作っておくことが、現場でできる最大の工夫といえます。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護職が一人で個別機能訓練を実施してもよいですか?

個別機能訓練計画に基づく訓練を主体的に実施・評価するのは機能訓練指導員で、介護職は機能訓練指導員の指導のもとで補助を行う立場です(厚生労働省 個別機能訓練加算の算定要件)。介護職が単独で計画外の訓練を判断して行うのではなく、補助・見守り・観察・記録を担い、変化は必ず機能訓練指導員に共有します。

Q. 生活機能訓練(生活リハ)と個別機能訓練は別物ですか?

別々のものではなく、つながったものとしてとらえます。個別機能訓練で高めた力を、トイレ・入浴・食事などの日常生活動作(ADL)の中で使うのが生活リハです。生活場面での気づきを機能訓練に戻すことで、両者が好循環になります。

Q. どんな訓練メニューから始めればよいですか?

メニューありきではなく、本人の生活目標から逆算します。「トイレに一人で行きたい」なら立ち上がり・バランス・方向転換、「食事を自分でとりたい」なら上肢・手指・嚥下、というように、到達したい生活行為に直結するメニューを機能訓練指導員と相談して選びます。

Q. 訓練中に利用者の様子がいつもと違うときはどうすればよいですか?

迷ったら中止して報告するのが原則です。呼吸困難・めまい・強い疲労・顔色不良などのサインや、脈拍140拍/分超・血圧の急上昇(アンダーソン・土肥の基準)がみられたら運動を中止し、機能訓練指導員や看護職員に確認します。

Q. 機能訓練指導員がいない時間帯の生活リハはどう関わればよいですか?

移乗を立ち上がり練習に、フロア移動を歩行練習に、食前の口腔体操を嚥下訓練に、というように、日常のケアの中でできる自立支援の関わりに置き換えます。気づいた変化は記録し、機能訓練指導員が出勤したときに共有します。

参考文献・出典

まとめ|機能訓練は「生活の到達点」から逆算して進める

個別機能訓練・生活機能訓練の実際は、立ち上がり・歩行・ROM・バランス・上肢・口腔といった訓練メニューを行うこと自体が目的ではなく、「一人でトイレに行ける」「自宅で暮らし続けられる」という生活の到達点から逆算して、計画・実施・モニタリングを回し続ける営みです。

その中で介護職は、機能訓練指導員の指導のもとで訓練を補助しながら、日常生活動作(ADL)の一つひとつを生活リハの場面ととらえ、最も長く利用者を観ている専門職として気づきをチームに発信する役割を担います。やる気を引き出す関わりと、アンダーソン・土肥の基準などに基づく安全管理を両輪にすれば、機能訓練は無理なく続き、効果につながります。

大切なのは、機能訓練を特定の職員の頑張りに頼る個人技にせず、リハ職と介護職が観察情報を往復させるチームの仕組みにすることです。明日の現場で、まずは一つの移乗を立ち上がり練習に、一回の声かけを意欲づくりに変えるところから、生活リハの視点を取り入れてみてください。その小さな積み重ねが、利用者の「できる」を支える機能訓練の土台になります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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