高齢者の膝の痛み(変形性膝関節症)|家庭でできるケア・運動・受診の目安
ご家族・ご利用者向け

高齢者の膝の痛み(変形性膝関節症)|家庭でできるケア・運動・受診の目安

高齢の親や家族の膝の痛み(変形性膝関節症)に、家庭でできるケアをまとめました。保温・体重管理・太ももの運動・サポーターや杖の使い方、やってはいけないこと、整形外科を受診する目安、手術の選択肢まで、公的資料をもとにやさしく解説します。

ポイント

この記事のポイント

高齢の親や家族の膝の痛みの多くは「変形性膝関節症」によるもので、膝の軟骨が長年のあいだにすり減って起こります。完全に元には戻りませんが、進行をゆるやかにし痛みをやわらげることはできます。家庭では、膝を冷やさず温める、適正体重を保つ、太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)を無理のない範囲で鍛える、サポーターや杖で関節を守る、の4つが基本です。歩き始めや立ち上がりの痛みが続く、安静にしても痛い、膝に水がたまる、O脚が進んだといったときは、自己判断せず整形外科を受診してください。

目次

「最近、親が立ち上がるときに膝をさする」「階段がつらそう」。そんな様子に気づいて、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。年齢を重ねると膝の痛みは身近なものになりますが、「歳のせい」とあきらめてしまうと、痛みで動かなくなり、筋力が落ち、外出や家事までおっくうになって、最終的に介護が必要な状態へと進んでしまうこともあります。

この記事は、介護を受ける方ご本人と、支えるご家族に向けて、高齢者に最も多い膝のトラブルである「変形性膝関節症」を取り上げます。家庭で今日からできるケア、太ももの運動のやり方、サポーターや杖の選び方、やってはいけないこと、そして「いつ病院へ行けばよいのか」という受診の目安まで、日本整形外科学会や厚生労働省の調査など公的な資料をもとに、できるだけやさしくまとめました。痛みの原因を正しく知り、ご家庭でできることと、専門家に任せることを整理していきましょう。

変形性膝関節症とはどんな病気か

変形性膝関節症とは、膝の関節の表面をおおっている「軟骨」が、長い年月のあいだに少しずつすり減り、関節が変形して痛みや動かしにくさが出てくる病気です。軟骨は骨と骨の間のクッションの役割をしていますが、加齢によって弾力を失い、使いすぎや体重の負担ですり減っていきます。すり減った軟骨のかけらが関節の中で炎症を起こし、これがさらに軟骨を傷める、という悪循環で少しずつ進行していくのが特徴です(日本整形外科学会)。

なぜ高齢者に多いのか

主な原因は加齢による軟骨の老化ですが、それだけではありません。体重が重いこと、もともとO脚(がに股)で膝の内側に負担が集中していること、女性であること、過去の半月板や靱帯のケガ、膝をよく使う仕事などが重なって進みやすくなります。日本人はもともとO脚の方が多く、膝の「内側」から傷みやすい傾向があります。女性に多いのも大きな特徴で、男女比はおよそ1対4とされています(日本整形外科学会)。

痛みの進み方(初期・中期・末期)

変形性膝関節症は、いきなり歩けなくなるのではなく、年単位でゆっくり進みます。ご家族が様子を見守るうえで、おおまかな段階を知っておくと役立ちます。

  • 初期:立ち上がりや歩き始めなど、動作の「最初」に痛む。少し休むと痛みが引くため、見過ごされやすい段階です。
  • 中期:正座や階段の上り下りがつらくなる。膝に水がたまって腫れることもあり、曲げ伸ばしの範囲が狭くなってきます。
  • 末期:安静にしていても痛みが取れず、O脚の変形が目立ち、歩くこと自体がつらくなります。

大切なのは、「休めば痛みが引く」初期のうちに対応を始めることです。初期は湿布や痛み止め、筋力トレーニングで痛みがやわらぎやすく、進行をゆるやかにできる可能性が高い段階だからです。

高齢者の膝の痛みはどれくらい多いのか(データで見る)

膝の痛みは「うちの親だけ」の悩みではありません。東京大学などが進める大規模な疫学調査ROADスタディをもとにした推計では、X線(レントゲン)で変形性膝関節症と診断される人は、40歳以上で全国に約2,530万人(男性約860万人、女性約1,670万人)いるとされています(厚生労働科学研究 ROADスタディ)。さらに、実際に痛みをともなう膝の変形性関節症の患者は、50歳以上で約820万人と推計されています。日本人の高齢者にとって、膝の痛みはきわめてありふれた悩みなのです。

「歩けなくなること」と介護の関係

膝の痛みを軽く見られないのは、それが将来の要介護に直結しやすいからです。厚生労働省の国民生活基礎調査では、介護が必要になった原因として「関節疾患」は上位に入り続けており、骨折・転倒や高齢による衰弱とあわせると、運動器(骨・関節・筋肉)の問題が要介護理由の大きな割合を占めています。膝が痛む→動かなくなる→筋力が落ちる→ますます動けなくなる、という流れ(ロコモティブシンドローム)を、いかに早く断ち切るかが、自立した生活を長く続ける鍵になります。

有病率は年齢と体重で上がる

ROADスタディでは、40歳以上でX線上の膝の変形がある人の割合は男性で約42.6%、女性で約62.4%にのぼりました。また、年齢が1歳上がるごと、体重(BMI)が増えるごとに発症リスクが上がることも示されています。つまり、加齢は止められなくても、体重管理は家庭で取り組める数少ない予防策だということです。

「膝に水がたまる」のはなぜ?

家族からよく聞かれるのが「膝に水がたまった」という状態です。これは関節水腫(かんせつすいしゅ)といい、すり減った軟骨のかけらが関節内で炎症を起こし、関節を守ろうとして関節液が増えることで起こります。水がたまると膝が腫れて重だるく、曲げ伸ばしがしづらくなります。「水を抜くとクセになる」と心配される方もいますが、抜くこと自体が原因で再びたまるわけではなく、炎症のもとが続いているからたまるのです。腫れや熱感があるときは温めず、整形外科で診てもらいましょう。

家庭でできるケアの基本(温める・体重・運動・関節を守る)

家庭でできるケアの基本は「温める・体重・運動・関節を守る」の4つです。どれも特別な道具がなくても始められます。ただし、痛みが強いときや腫れているときは無理をせず、後述の受診目安にあてはまる場合は先に整形外科で相談してください。

1. 膝を冷やさず温める(保温)

膝の血行が悪くなると痛みを感じやすくなります。日本整形外科学会も、膝を温めて血行をよくすることを保存療法のひとつに挙げています。入浴で湯船にゆっくりつかる、就寝時にひざ掛けやレッグウォーマーを使う、冷房の風が直接膝に当たらないようにする、といった工夫が有効です。ただし、膝が赤く腫れて熱を持っているとき(炎症が強いとき)は温めると悪化することがあります。その場合は温めず、安静にして受診を検討してください。

2. 適正体重を保つ(体重管理)

歩くとき、膝には体重の約3倍の負担がかかるといわれます。つまり体重が1kg増えれば膝への負担は約3kg増え、逆に1kg減らせば負担を約3kg軽くできる計算です。階段の上り下りではさらに大きな力がかかります。急なダイエットは高齢者の体力を落とすため禁物ですが、間食を1つ減らす、規則正しい時間に適量を食べる、といった無理のない工夫から始めましょう。減量は、痛み止めや注射に頼らず家庭で取り組める、もっとも確実なケアのひとつです。

3. 太ももの筋肉を鍛える(運動)

膝を支えているのは、太もも前面の大腿四頭筋という筋肉です。この筋肉が衰えると膝がぐらつき、痛みが出やすくなります。運動療法は変形性膝関節症の保存療法の柱で、進行をゆるやかにし痛みをやわらげる効果が期待できます。具体的なやり方は次のセクションで紹介します。

4. サポーター・杖で関節を守る(装具)

市販の膝サポーターには、太ももの筋肉の働きを助け、膝を保温する効果があります。ただし、O脚そのものを治す力はありません。O脚による内側への負担を減らしたい場合は、整形外科で「足底板(外側を高くした中敷き)」や支柱付きの膝装具を作ってもらう方法があります。また、痛い側と反対の手で杖をつくと、膝にかかる体重を分散でき、転倒予防にもなります。装具や杖は本人に合ったものを選ぶことが大切なので、迷ったら理学療法士や整形外科に相談しましょう。

太ももを鍛える運動の具体的なやり方

ここでは、膝に体重をかけずにできる代表的な運動を紹介します。いずれも、いすや床に座った状態でできるため、高齢の方でも取り組みやすいものです。痛みが出ない範囲で行い、運動後に痛みや腫れが強くなる場合は回数を減らすか中止してください。立って歩いたり、深く曲げ伸ばししたり、階段で鍛えることは軟骨のすり減りを早めるため避けます(日本整形外科学会)。

大腿四頭筋セッティング(基本の運動)

  1. 床や布団に足を伸ばして座ります。
  2. 膝の下に丸めたタオルを置きます。
  3. そのタオルを膝の裏で押しつぶすように、太ももにグッと5秒間力を入れます。
  4. 力を抜いて休みます。これを10回ほど、1日2〜3セットを目安に行います。

太ももの前側に力が入っているのを手で確かめながら行うと効果的です。膝を動かさないので痛みが出にくく、最初の一歩として最適です。

脚上げ運動(SLR)

  1. あおむけに寝て、片方の膝を立てます。
  2. 反対側の脚は伸ばしたまま、つま先を天井に向けて、床から10〜20cmほどゆっくり持ち上げます。
  3. 5秒キープして、ゆっくり下ろします。左右それぞれ10回ほどを目安に。

いすに座ってできる膝伸ばし

  1. いすに浅く腰かけます。
  2. 片脚をゆっくり水平になるまで伸ばし、つま先を手前に向けて5秒キープ。
  3. ゆっくり下ろします。左右10回ずつ。テレビを見ながらでも続けやすい運動です。

無理のない有酸素運動

膝への負担が少ない運動として、水中ウォーキングやエアロバイク(固定式自転車)もおすすめです。水中では浮力で膝の負担が軽くなり、運動を続けやすくなります。膝の曲げ伸ばしが固くなってきたら、入浴中や入浴後に、痛みのない範囲でゆっくり伸ばす・曲げる可動域の運動を加えるとよいでしょう。

運動は「一度にたくさん」より「毎日少しずつ」が基本です。一日1セット20回程度から始め、痛みや腫れの様子を見ながら調整していきましょう。

膝のために、やってはいけないこと・やったほうがよいこと

よかれと思ってした行動が、かえって膝を傷めてしまうこともあります。家庭でのケアでは「やったほうがよいこと」と「避けたほうがよいこと」を整理しておきましょう。

避けたほうがよいこと(やってはいけないこと)

  • 正座・しゃがみ込み:膝を深く曲げる姿勢は軟骨に大きな負担をかけます。床での生活より、いすやベッドの洋式生活に切り替えましょう。
  • 長時間の歩行・立ち仕事:痛いのを我慢して歩き続けると軟骨のすり減りを早めます。痛いときは無理に動かず休みましょう。
  • 重い荷物を持って移動する:体重に荷物の重さが加わり、膝の負担が一気に増えます。買い物カートなどを活用しましょう。
  • 痛みを我慢して階段で鍛える:階段や深い屈伸での「鍛える運動」は軟骨を傷めます。鍛えるのは膝に体重をかけない運動で。
  • 熱を持って腫れているときに温める・もむ:炎症が強いときの加熱やマッサージは悪化のもと。安静にして受診を。
  • サプリメントに頼りきる:膝によいとされるサプリは食品であり、薬のような効果は科学的に確認されていません。基本のケアの代わりにはなりません。

やったほうがよいこと

  • いす・洋式トイレ・手すりなど、膝を曲げすぎない住環境に整える
  • 膝を温め、適正体重を保ち、太ももの運動を毎日続ける
  • 痛い側と反対の手に杖を持ち、転倒を防ぐ
  • 厚底でクッション性のある、かかとが安定した靴を選び、すり減った靴は早めに替える
  • 歩きはじめや動作の前に、痛みのない範囲で軽く膝を動かして関節をならす
  • 痛みが続くときは我慢せず、早めに整形外科で相談する

整形外科を受診する目安(チェックリスト)と早期対応の重要性

家庭でのケアを続けながら、「いつ病院へ行くべきか」を見極めることはとても重要です。以下のサインがひとつでもあてはまるときは、自己判断で様子を見続けず、整形外科の受診をおすすめします。

受診を検討したい主なサイン

  • 歩き始めや立ち上がりの膝の痛みが、数週間たっても続く・強くなってきた
  • 安静にしていても、夜寝ているときも痛む
  • 膝が腫れている、熱を持っている、水がたまっている感じがある
  • 正座や階段がつらくなり、膝の曲げ伸ばしの範囲が狭くなってきた
  • O脚(がに股)が以前より目立ってきた
  • 痛みで外出や家事を避けるようになり、生活範囲が狭まってきた
  • 市販の湿布や痛み止めを続けても改善しない

独自分析:早く動いた家庭ほど「介護」を遠ざけられる

当サイトが公的データを整理したところ、膝の痛みへの対応の早さは、その後の自立した生活の長さに直結すると考えられます。理由は3つあります。第一に、ROADスタディの推計では痛みをともなう膝OAの患者は50歳以上で約820万人と多く、決して珍しい病気ではないため、早期受診のハードルは本来高くないこと。第二に、日本整形外科学会が示すとおり、初期であれば湿布・痛み止め・運動で痛みがやわらぎやすく、進行をゆるやかにできること。第三に、厚生労働省の国民生活基礎調査で関節疾患が要介護理由の上位を占めることからわかるように、放置して「歩けない状態」まで進むと、要介護への流れに乗ってしまうことです。

逆に言えば、「休めば引く程度の痛み」の段階で受診し、体重管理と太ももの運動を家庭で始められた人ほど、軟骨のすり減りと筋力低下の悪循環を早く断ち切れます。膝の痛みは「我慢して耐えるもの」ではなく、「早く相談して、家庭でのケアにつなげるもの」だと考えてください。

病院での治療の流れと手術の選択肢、介護保険の活用

家庭でのケアで痛みがやわらがない場合、整形外科ではどんな治療が行われるのでしょうか。本人やご家族が見通しを持てるよう、おおまかな流れを知っておきましょう。診断や治療方針は医師が決めるもので、ここでの説明はあくまで一般的な目安です。

まずは保存療法(手術をしない治療)

整形外科ではX線(レントゲン)で進行度を調べ、必要に応じてMRIや血液・関節液の検査を行います。治療はまず手術をしない「保存療法」から始まるのが一般的です。具体的には、痛み止めの内服薬や湿布、膝関節へのヒアルロン酸注射、理学療法士による運動療法、温熱などの物理療法、足底板や膝装具の作成などを組み合わせます(日本整形外科学会)。家庭で続けてきた運動や体重管理は、この保存療法の土台にもなります。

手術という選択肢

保存療法を続けても痛みが取れず、生活に支障が出てきた場合には、手術が検討されます。主な手術は次の3つです。

  • 関節鏡手術:内視鏡で関節内を掃除する比較的負担の小さい手術。
  • 高位脛骨骨切り術:すねの骨を切って角度を変え、傷んだ内側にかかる負担を外側へ移す手術。自分の関節を残せるのが特長で、活動性が高い方に向きます。
  • 人工膝関節置換術:傷んだ関節の表面を金属などの人工関節に置き換える手術。痛みを取る効果が高く、進行した末期の方に多く行われます。

どの手術が向くかは、年齢・進行度・膝の曲がり具合・生活スタイルによって変わります。手術は怖いと感じる方も多いですが、痛みで動けない状態を放置するより、専門医とよく相談して選択肢を知っておくことが大切です。

介護保険・公的サービスも活用を

膝の痛みで生活がしづらくなったときは、介護保険のサービスも検討できます。要介護・要支援の認定を受ければ、住宅改修(手すりの取り付け、段差解消など)や福祉用具のレンタル(歩行器、杖など)に補助が受けられます。なお、変形性膝関節症などの加齢にともなう関節疾患は、40〜64歳の方でも介護保険の対象(第2号被保険者の特定疾病に準じる扱い)になる場合があります。まずは地域包括支援センターやケアマネジャー、市区町村の窓口に相談してみましょう。

よくある質問(変形性膝関節症と家庭でのケア)

Q. 膝の痛みは「歳のせい」だから、しかたないのでしょうか?

A. 加齢は原因のひとつですが、あきらめる必要はありません。完全に元の軟骨に戻すことはできなくても、体重管理や太ももの運動、保温などで進行をゆるやかにし、痛みをやわらげることはできます。とくに初期は対応の効果が出やすい段階です。

Q. 痛いときは安静にしたほうがいいですか、動かしたほうがいいですか?

A. 痛みや腫れが強いときは安静が基本です。痛みが落ち着いてから、膝に体重をかけない運動(大腿四頭筋セッティングや脚上げ運動)で太ももを鍛えましょう。痛みを我慢して歩いたり階段で鍛えたりするのは逆効果です。

Q. サプリメントは効きますか?

A. 膝によいとされるサプリメントは薬ではなく食品で、医学的に明確な効果が確認されているわけではありません。試すこと自体は止めませんが、体重管理・運動・受診といった基本のケアの代わりにはならない、と考えておきましょう。

Q. 市販のサポーターはどれを選べばいいですか?

A. 一般的なサポーターには保温と筋肉の働きを助ける効果がありますが、O脚を矯正する力はありません。膝の不安定さが強い場合や、内側の負担を減らしたい場合は、整形外科で支柱付きの装具や足底板を相談すると、本人の膝に合ったものを選べます。

Q. ヒアルロン酸の注射はどれくらい効きますか?

A. ヒアルロン酸の関節内注射は、関節の動きをなめらかにして痛みをやわらげる目的で行われます。効果の感じ方には個人差があり、注射を続けても痛みが取れにくくなってきた場合は、病気が進行しているサインのこともあります。注射の回数や続けるかどうかは、自己判断せず担当医と相談しながら決めましょう。

Q. 親が手術をすすめられました。受けたほうがよいのでしょうか?

A. 手術が向くかどうかは、進行度・年齢・膝の曲がり具合・生活スタイルによって変わります。保存療法で痛みが取れず生活に支障が出ているなら、有力な選択肢になります。骨切り術は自分の関節を残せる、人工膝関節置換術は痛みを取る効果が高いなど、それぞれ特徴があります。担当医に、術後の生活や回復期間まで含めてよく確認しましょう。

Q. 家族として、まず何をすればいいですか?

A. (1)膝を冷やさない・正座を避けるなど生活を整える、(2)無理のない運動を一緒に続ける、(3)受診の目安にあてはまったら整形外科に付き添う、の3つです。生活がしづらくなってきたら、地域包括支援センターで介護保険の相談もしておくと安心です。

参考文献・出典

まとめ|家庭のケアと専門家への相談を組み合わせて

高齢者の膝の痛みの多くは変形性膝関節症によるもので、軟骨が長年のあいだにすり減って起こります。完全には元に戻りませんが、家庭での取り組み次第で、進行をゆるやかにし、痛みをやわらげ、自立した生活を長く保つことは十分に可能です。膝の痛みは「年だからしかたない」とあきらめるものではなく、早めに向き合うほど結果が変わってくるものです。

家庭でできることは、膝を冷やさず温める、適正体重を保つ、太もも前面の筋肉を無理のない範囲で鍛える、サポーターや杖で関節を守る、の4つが基本です。正座やしゃがみ込み、痛みを我慢しての歩行や階段運動は避け、いすや手すりを使った生活に整えましょう。そして「休めば引く程度の痛み」の段階で対応を始めることが、いちばんの近道です。

ただし、家庭でのケアには限界があり、診断や治療方針は専門家にゆだねるべきものです。歩き始めの痛みが続く、安静にしても痛む、膝が腫れる、O脚が進んだ、生活範囲が狭まってきた、といったサインが見られたら、まずは整形外科を受診してください。どこにかかればよいか迷うときは、ふだん診てもらっているかかりつけ医に相談すると、適切な医療機関を紹介してもらえます。運動のやり方や装具の選び方は理学療法士が、生活がしづらくなったときの介護保険サービスは地域包括支援センターやケアマネジャーが力になってくれます。一人で抱え込まず、早めに専門家の手を借りながら、ご本人と家族にとって無理のないケアを続けていきましょう。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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