高齢者の冷え・低体温|原因と家庭でできる温め方・低体温症の危険と受診の目安
ご家族・ご利用者向け

高齢者の冷え・低体温|原因と家庭でできる温め方・低体温症の危険と受診の目安

高齢者が冷えやすい理由から、家庭でできる温め方、命に関わる低体温症の危険なサイン(震えが止まる・意識低下)と受診・救急の目安までを、公的資料をもとにご家族向けにやさしく解説します。

ポイント

この記事のポイント

高齢者は加齢で体温を保つ力が弱くなり、暖房の効いた室内でも体が冷えやすくなります。日常の「冷え」は不快なだけですが、深部体温が35℃を下回る「低体温症」は命に関わります。家庭では室温18℃以上を保ち、重ね着・温かい食事・水分で体を内外から温めるのが基本です。震えが止まる・ぼんやりして反応が鈍い・起きてこないといったサインが出たら、すぐに救急車(119番)を呼んでください。判断に迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。

目次

「手足がいつも冷たい」「家にいるのに寒そうにしている」。高齢のご家族と暮らしていると、冷えが気になる場面は少なくありません。多くは生活の工夫で和らげられますが、見過ごせないのが「低体温症」です。深部体温(体の中心部の温度)が下がりすぎる状態で、雪山だけでなく、暖房のある自宅の室内でも起こります。しかも高齢の方は寒さを感じにくく、本人も周囲も気づかないまま進行しやすいという怖さがあります。

このページでは、ご家族が知っておきたいことを順番に整理します。まず「冷え」と「低体温症」はどう違うのか。次に高齢者がなぜ冷えやすいのか、その体の仕組み。そして家庭でできる温め方の工夫、絶対にやってはいけない温め方、命に関わる危険なサインと受診・救急の目安まで、公的資料をもとにやさしく解説します。なお、入浴時の急激な温度差で起こる「ヒートショック」については別ページで詳しく扱っています。ここでは「体が冷える・低体温になる」ことそのものに絞ってお伝えします。

「冷え」と「低体温症」はどう違う?家族が押さえる見分け方

毎日の暮らしで気になる「冷え」と、緊急性のある「低体温症」は、似ているようでまったく別のものです。ここを取り違えないことが、ご家族の安心と、いざというときの判断につながります。

「冷え(冷え性)」とは

冷えは、手足や腰などが冷たく感じられる状態で、体質や血流、自律神経のはたらきが関わります。多くは命に直結するものではなく、つらさや不快感が中心です。ただし、急に強い冷えが出たり、これまでと様子が違う場合は、甲状腺の病気や貧血などが隠れていることもあります。

「低体温症」とは

低体温症は、体の中心部の温度(深部体温)が35℃を下回った状態を指します。深部体温は本来およそ37℃前後に保たれていますが、寒い環境や体の不調によって熱を作る力より熱が逃げる量が上回ると、体温が下がっていきます。低体温症は適切な対応が遅れると、不整脈や心停止につながる、命に関わる状態です(MSDマニュアル プロフェッショナル版/日本登山医学会)。

家族が押さえる見分けの目安

下の早見表で、両者の違いをつかんでおきましょう。「平熱が低めの体質」と「低体温症」も別ものです。

項目冷え(冷え性・低めの平熱)低体温症
体の状態手足などが冷たい・つらい体質的なこと深部体温が35℃未満に下がった病的な状態
緊急性多くは命に直結しない命に関わる。進行すると心停止の危険
主なサイン手足の冷え、肩こり、寝つきの悪さ強い震え→やがて震えが止まる、ぼんやりする、反応が鈍い
家庭での対応生活の工夫で和らげる軽いうちは保温、進行が疑われたら受診・救急

つまり、ふだんの「冷え」は生活の工夫で対応し、低体温症が疑われるサインが出たら医療につなぐ、という二段構えで考えるのが安心です。次の章では、なぜ高齢の方がそもそも冷えやすく、低体温症にもなりやすいのかを見ていきます。

高齢者が冷えやすい・低体温になりやすい6つの理由

「暖かい部屋にいるのに、どうしてうちの親は冷えるの?」。その背景には、加齢にともなう体の変化がいくつも重なっています。一つひとつは小さくても、合わさることで、高齢の方は若い人より格段に冷えやすく、低体温症にもなりやすくなります。

1. 熱を作る力が落ちる(基礎代謝・筋肉量の低下)

体温の多くは、じっとしていても消費される基礎代謝や、筋肉が生み出す熱でまかなわれています。加齢とともに基礎代謝は下がり、筋肉量も減っていくため、体の中で作られる熱そのものが少なくなります。やせて筋肉の少ない方は、特に熱を作る力が弱く、低体温症のリスクが高いとされています(済生会)。食事の量が減ると、食べたあとに体が温まる反応(食事誘発性の熱産生)も小さくなり、さらに体が温まりにくくなります。

2. 寒さを感じにくくなる(体温調節・温度感覚の低下)

加齢により、皮膚で寒さを感じ取る力や、脳が体温を調節するはたらきが鈍くなります。その結果、本当は体が冷えているのに「寒い」と感じにくく、上着を着る・暖房を入れるといった行動が遅れがちになります。高齢の方が、室内で気づかないうちに低体温症になってしまう大きな理由のひとつです。

3. 血流が滞りやすい

寒いとき、体は皮膚の血管を縮めて熱が逃げるのを防ぎますが、この反応も加齢で弱くなります。手足の末梢まで温かい血液が届きにくく、冷えとして感じられます。動脈硬化や心臓の働きの低下があると、なおさら血のめぐりが悪くなります。

4. 病気が隠れていることがある(甲状腺機能低下症・糖尿病など)

寒い場所にいないのに体温が下がる場合は、体の中に原因があることがあります。代表的なのが甲状腺機能低下症で、全身の代謝が落ちて熱を作りにくくなり、冷えや低体温の原因になります。糖尿病や、低血糖、低栄養、感染症なども、低体温症の背景になり得ます(メディカルドック/日本職業・災害医学会)。「寒くないのに体温が低い」「冷えがひどくなった」ときは、生活の工夫だけで様子を見ず、かかりつけ医に相談してください。

5. 低栄養・食の細りも見逃せない

食事量が減ると、熱の材料となるエネルギーやたんぱく質が不足し、体が温まりにくくなります。高齢の方は食が細くなりやすく、低栄養が冷え・低体温症の土台になることがあります。栄養が足りているかは、体温を保つうえでも大切な視点です。

6. 飲んでいる薬・お酒の影響

一部の薬は、体温の調節や血のめぐりに影響することがあります。また、お酒は一時的に温かく感じても、実際には体の表面の血管を広げて熱を逃がし、体温を下げてしまいます。寒い時期の飲酒後にそのまま眠り込むのは危険です。気になる薬がある場合は、自己判断で中止せず、医師・薬剤師に確認しましょう。

このように、高齢の方の冷え・低体温は「気の持ちよう」ではなく、体の仕組みの変化が背景にあります。だからこそ、本人任せにせず、周囲が環境を整えることが効いてきます。次の章で、家庭でできる温め方を具体的に見ていきましょう。

暖房のある室内でも起こる低体温症|見守りで気づきたいサイン

低体温症のニュースで思い浮かぶのは雪山かもしれません。けれども実際には、暖房のある自宅の室内で起こる例がとても多いことがわかっています。日本救急医学会の全国調査では、低体温症の患者の多くが屋内で発症しており、その大半を高齢者が占めていました(くわしい数字は後半の「独自分析」でご紹介します)。「家の中だから大丈夫」と思い込まないことが、最初の予防になります。

なぜ室内でも起こるのか

高齢の方は寒さを感じにくいため、室温が下がっても暖房を入れず、薄着のまま過ごしてしまうことがあります。「もったいない」と暖房を控える、エアコンの操作が分かりにくい、といった事情も重なります。特に夜間は気温も体の活動も下がるため、就寝中に体温が下がっていくことがあります。さらに、転んで動けなくなり、その場で長時間冷えてしまうケースも少なくありません。

見守りで気づきたいポイント

低体温症は本人が気づきにくいので、周囲の「いつもと違う」という気づきが命綱になります。次のような様子に注意してください。

  • 厚着をしていないのに、寒そうにしていない(寒さを感じていない)
  • 口数が減る、ぼんやりして反応が鈍い、うとうとして起きてこない
  • 動きがぎこちない、ろれつが回りにくい、足元がおぼつかない
  • 体(特に首やお腹、わきの下)に触れるとひんやり冷たい
  • 朝、布団から出てこない・声をかけても反応が薄い

一人暮らしの高齢者では、こうした変化に気づける人が身近にいないことが重症化の一因になります。離れて暮らすご家族は、寒い時期は連絡の回数を増やす、訪問介護や地域の見守りサービス、地域包括支援センターの力を借りるなど、何かあったときにすぐ気づける体制を整えておくと安心です。

家庭でできる温め方の工夫|部屋・食事・衣類の3方向

毎日の冷え対策は、特別な道具がなくてもできることがたくさんあります。「部屋を整える」「体を内から温める」「衣類と寝具で守る」の3つの方向から、無理なく続けられる工夫を紹介します。

1. 部屋を整える(環境を温める)

  • 室温は18℃以上を目安に。WHO(世界保健機関)は、冬の住まいの室温として18℃以上を強く勧告しており、子どもや高齢者にはさらに暖かい環境を勧めています(WHO 住まいと健康に関するガイドライン)。本人が「寒くない」と言っても、温度計で確認しましょう。
  • 湿度は40〜60%に。乾燥は体調を崩しやすく、加湿器や洗濯物の室内干しで保つと、体感温度も上がりやすくなります(済生会)。
  • 足元と窓際の冷えに注意。暖かい空気は上にたまるため、足元が冷えがちです。サーキュレーターで空気を回す、厚手のカーテンや窓の断熱シートで冷気を防ぐと効果的です。
  • 居室と他の部屋の温度差を減らす。トイレ・脱衣所・廊下が寒いと、移動のたびに体が冷えます。小型の暖房を置くなどして、家全体の寒暖差を小さくしましょう。

2. 体を内から温める(食事・水分)

  • 温かい食事をしっかりとる。食べること自体が熱を生みます。汁物や鍋もの、根菜やしょうがなど、温かく栄養のある食事を1日3食。食が細い方は、回数を分けて少しずつでもエネルギーとたんぱく質をとることが大切です。
  • こまめな水分補給。冬は喉の渇きを感じにくく、知らないうちに水分が不足しがちです。脱水は血のめぐりを悪くするため、時間を決めて温かい飲み物を少しずつとりましょう。
  • 入浴で芯から温める。ぬるめ(おおむね40℃前後)のお湯に10分ほど浸かると、体の芯まで温まります。ただし入浴は温度差による事故(ヒートショック)にも注意が必要です。脱衣所・浴室を温める、長湯やのぼせを避けるなど、安全面は別ページの入浴の工夫もあわせてご確認ください。

3. 衣類と寝具で守る

  • 重ね着で空気の層を作る。厚い1枚より、薄手を重ねるほうが暖かさを保てます。首・手首・足首の「3つの首」を温めると、効率よく冷えを防げます。
  • 足元の保温。靴下やレッグウォーマー、室内履きで足から逃げる熱を抑えます。
  • 寝具を温かく。就寝中は体温が下がりやすいので、毛布や掛け布団を調整し、寝る前に布団を温めておくと寝つきもよくなります。湯たんぽや電気毛布を使う場合は、低温やけどに注意し、就寝後は適温に切り替えましょう。

4. 体を動かす

筋肉は熱を生み出す大切な源です。寒いと家にこもりがちですが、室内でできる足踏みや軽い体操、家事などで体を動かすと、血のめぐりがよくなり熱も生まれます。無理のない範囲で、毎日少しずつ続けることがフレイル(虚弱)の予防にもつながります。

低体温症が疑われるときに避けたい温め方

よかれと思った温め方が、かえって危険になることがあります。特に低体温症が疑われる(強い震えや、ぼんやりするなどのサインがある)ときは、次のことを避けてください。元気な方のふだんの冷え対策とは考え方が異なります。

避けたいこと理由
手足を急に強く温める・もむ冷えた手足の血液が一気に心臓へ戻り、かえって深部体温を下げたり、心臓に負担をかけて不整脈を招くおそれがあります。温めるときは、首・胸・お腹など体の中心からやさしく。
熱いお風呂に入れる急な血管の拡張で血圧が下がり、危険な状態になることがあります。低体温症が疑われるときの入浴は避けます。
お酒を飲ませる一時的に温かく感じても、体表の血管が広がって熱が逃げ、体温はむしろ下がります。
激しく揺り動かす・歩かせる体への刺激が心臓の負担となり、不整脈を誘発するおそれがあります。安静を保ちます。
「眠いだけ」と様子を見続ける強い眠気・反応の鈍さは低体温症が進んだサインのことがあります。安易に放置しないでください。

低体温症が疑われるときに家庭でできるのは、濡れた衣服があれば乾いたものに替え、毛布などでくるんで体の中心を保温し、それ以上冷やさないことです。そのうえで、次の章の目安にしたがって受診・救急の判断をしてください。

低体温症の危険なサインと受診・救急の目安

低体温症で何より大切なのは、危険なサインを見逃さないことです。深部体温(体の中心の温度)の段階によって症状は変わりますが、ご家庭で深部体温を正確に測ることは難しいため、体温の数字よりも「震え・意識・呼吸や反応」の様子で判断するのが現実的です(日本登山医学会)。下の表は、低体温症の進み方の目安です。

段階(深部体温の目安)主なサイン家族の対応
軽度(32〜35℃)強い震え、手足の冷え、唇や顔色が悪い、判断力の低下、動作がぎこちない、ろれつが回りにくい暖かい場所に移し、濡れた服を替え、毛布で保温。温かい飲み物。改善しなければ受診
中等度(28〜32℃)震えが止まる、強い眠気・ぼんやり、呼びかけへの反応が鈍い、脈や呼吸が遅くなる、不整脈すぐに救急車(119番)。体の中心を保温し、安静に。手足を強く温めない
重度(28℃未満)意識がない、呼びかけや刺激に反応しない、呼吸が浅く弱い、脈が触れにくいただちに119番。救急隊の指示に従う

とくに危険な2つのサイン

(1) 震えが止まる。震えは体が熱を作ろうとする防御反応です。それまで震えていた人の震えが止まったら、「落ち着いた」のではなく、体が熱を作る力を失いつつある危険なサインです。ためらわず救急車を呼んでください。

(2) 意識が低下する。ぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い、起きてこない、つじつまの合わないことを言う、寒いのに服を脱ごうとする(逆説的脱衣)などは、低体温症が進んだサインのことがあります。

なお、高齢の方では、はっきりした震えが出ないまま「いつもより元気がない」「反応が鈍い」「食欲がない」といった、それとわかりにくい形で現れることもあります。「いつもと違う」と感じたら、低体温症の可能性も頭に置いて対応してください。

受診・救急の目安

  • 119番(救急車を呼ぶ):震えが止まっている/意識がもうろう・反応が鈍い・起きてこない/呼吸が弱い・脈が触れにくいなど、明らかに様子がおかしいとき。一刻を争います。
  • 早めに医療機関を受診:意識ははっきりしているが震えや強い冷えが続く、温めても改善しない、寒い環境にいないのに体温が低い・冷えが急にひどくなった(甲状腺などの病気が隠れていることがあります)。
  • 判断に迷うとき:救急車を呼ぶべきか迷う場合は、救急安心センター事業「#7119」に電話で相談できます(実施地域)。全国版救急受診アプリ「Q助」でも、症状から緊急度の目安を確認できます(消防庁)。
  • ふだんの相談先:持病や薬のこと、冷えが続くときの相談は、まずかかりつけ医へ。介護や見守りの体制づくりは、お住まいの地域包括支援センターが窓口になります。

このページは一般的な情報をまとめたものです。診断を断定するものではありません。実際の症状の重さや対応は、状況によって変わります。心配なときは自己判断せず、医療機関や上記の相談窓口を頼ってください。

データで見る高齢者の低体温症|屋内・高齢者に多い理由(独自分析)

低体温症は「冬の屋外で起こるもの」という印象が根強くありますが、公的なデータはその思い込みをはっきり否定しています。ここでは、日本救急医学会が全国の救急医療機関を対象に行った大規模調査「Hypothermia STUDY」の結果から、ご家族が知っておくと役立つ点を読み解きます。

低体温症の患者の多くは「高齢者」、しかも「屋内」で発症

日本救急医学会のHypothermia STUDY(2018〜2019年の冬季、全国の救急医療機関が参加)では、解析対象となった低体温症の患者のうち、65歳以上の高齢者が約8割を占め、屋内で発症した人が約7割にのぼりました(日本救急医学会/メディカルドック)。さらにさかのぼる2010〜2011年の冬に行われた本邦初の全国調査でも、患者は高齢者が圧倒的に多く(60歳以上が約8割)、屋外より屋内での発症が多いことが示されています(日本救急医学会 Hypothermia STUDY 2011)。

つまり、低体温症は特別な人が雪山で遭うものではなく、ふつうに自宅で暮らす高齢者にこそ起こりやすいのです。「家にいるから安心」ではなく「家にいる高齢者だからこそ気をつける」という視点の転換が、このデータからの最大の学びだと当サイトは考えます。

「寒さにさらされていないのに低体温」も少なくない

2011年の調査では、明らかな寒冷暴露がないのに低体温症になった例も報告され、その背景には心肺停止・低栄養・老衰・敗血症・甲状腺機能低下・心不全・薬物の影響などがありました(日本救急医学会 Hypothermia STUDY 2011)。これは、低体温症が単に「寒かったから」だけで起こるのではなく、体の不調や栄養状態、持病が引き金になることを示しています。家庭での保温だけでは防ぎきれないケースがあり、「寒くないのに体温が低い」ときこそ、医療機関での原因の確認が重要になるわけです。

当サイトの考察:家族ができる「3つの備え」

これらのデータを家族目線で整理すると、力を入れるべきポイントが見えてきます。

  • 環境の備え:屋内発症が多い以上、まず室温18℃以上の確保が土台です。本人の「寒くない」を当てにせず、温度計で管理します。
  • 体の備え:低栄養や持病が引き金になり得るため、食事・水分と、甲状腺などの持病・薬の管理を、かかりつけ医と続けることが効きます。
  • 気づきの備え:本人が気づきにくく、一人暮らしで重症化しやすいことから、寒い時期は連絡や見守りの回数を増やし、地域包括支援センターや訪問サービスとつながっておくことが、早期発見につながります。

「暖かい部屋・栄養と持病の管理・見守り」。この3つを家族と地域で分担することが、データの裏づけのある現実的な予防策だといえます。

高齢者の冷え・低体温に関するよくある質問

Q. 平熱が低いと低体温症になりやすいですか?

平熱が低めの体質と、深部体温が35℃を下回る低体温症は別ものです。平熱が低いこと自体がただちに危険というわけではありませんが、寒い環境や低栄養、持病が重なると低体温症のリスクは高まります。ふだんの体温を家族が知っておくと、「いつもと違う」変化に気づきやすくなります。

Q. 高齢の親が「寒くない」と言いますが、本当に大丈夫でしょうか?

加齢により寒さを感じる力が鈍るため、本人の感覚はあてになりにくいのが実情です。「寒くない」と言っても、温度計で室温を確認し、18℃以上を保つようにしてください。体(首やお腹)に触れて冷たくないか、反応がいつも通りかも合わせて見守りましょう。

Q. 暖房代を気にして使いたがりません。どうすれば?

「もったいない」と暖房を控えることが、低体温症の引き金になることがあります。命と健康に関わることを伝えつつ、断熱シートや厚手のカーテン、重ね着など、光熱費を抑えながら暖かく過ごす工夫を一緒に取り入れると受け入れてもらいやすくなります。自治体によっては高齢者向けの支援制度がある場合もあるので、地域包括支援センターに相談してみましょう。

Q. 震えていないので大丈夫ですよね?

必ずしもそうとは言えません。低体温症が進むと、むしろ震えは止まります。それまで震えていた人の震えが止まったときは危険なサインです。また高齢の方では、はじめから強い震えが出ないこともあります。震えの有無だけでなく、意識や反応の様子も合わせて判断してください。

Q. 体を温めようと、こたつや電気毛布で手足をしっかり温めても良いですか?

ふだんの軽い冷え対策としては問題ありませんが、低体温症が疑われるとき(強い震えや反応の鈍さがあるとき)に手足を急に強く温めるのは避けてください。冷えた血液が心臓に戻って体温をさらに下げたり、心臓に負担をかけるおそれがあります。体の中心をやさしく保温し、救急やかかりつけ医の判断を仰ぎましょう。低温やけどにも注意が必要です。

Q. どこに相談すればいいか分かりません。

持病や薬、冷えが続くことの相談はかかりつけ医へ。救急車を呼ぶか迷うときは救急安心センター「#7119」(実施地域)。見守りや介護の体制づくりは、お住まいの地域包括支援センターが入り口になります。明らかに様子がおかしいときは、迷わず119番です。

参考文献・出典

まとめ|冷え対策と、低体温症のときの相談先

高齢の方の冷え・低体温は、「気の持ちよう」ではなく、加齢による体の変化が背景にあります。熱を作る力が落ち、寒さを感じにくく、栄養や持病・薬の影響も重なって、暖房のある室内でも体は冷えていきます。だからこそ、本人任せにせず、ご家族と地域で環境を整えることが何より効きます。室温18℃以上を保ち、温かい食事と水分、重ね着と寝具の工夫で、内と外から体を守りましょう。

そして、ふだんの「冷え」と命に関わる「低体温症」は別ものです。強い震えのあとに震えが止まる、ぼんやりして反応が鈍い、起きてこない。こうしたサインは、ためらわず救急車(119番)を呼ぶ場面です。高齢の方ははっきりした震えが出ないこともあるので、「いつもと違う」と感じたら早めに動いてください。

困ったときの相談先

  • かかりつけ医:持病や薬のこと、冷えが続く・寒くないのに体温が低いときの相談。
  • 救急安心センター事業「#7119」:救急車を呼ぶべきか迷ったときの電話相談(実施地域)。全国版救急受診アプリ「Q助」も活用できます。
  • 地域包括支援センター:見守りや介護の体制づくり、暮らしの不安の相談窓口。
  • 救急車(119番):震えが止まる・意識がもうろう・反応がない・呼吸が弱いなど、明らかに様子がおかしいとき。一刻を争います。

このページの内容は一般的な情報であり、診断を断定するものではありません。実際の対応は症状や状況によって変わります。心配なときは自己判断せず、医療機関や上記の窓口に相談してください。早めの気づきと相談が、大切なご家族を守ります。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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