
認知症の最大45%は予防・遅延できる|Lancet委員会2024の14リスク因子と介護現場での活かし方
Lancet委員会2024(Livingston G ら)が示した認知症の14の修正可能リスク因子と各因子の寄与割合(PAF)を一次ソースで解説。「最大45%予防可能」の正しい意味、日本の38.9%データ、難聴・社会的孤立・運動・口腔ケアなど介護現場で活かす視点まで、介護職向けにまとめます。
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この記事のポイント
英医学誌「The Lancet」の認知症委員会が2024年に発表した報告(Livingston G ら, Lancet 2024;404:572-628)は、教育・難聴・高血圧・糖尿病・運動不足・社会的孤立など14の修正可能なリスク因子に対策すれば、世界の認知症の最大約45%を予防または発症を遅らせられる可能性があると推計しました。これは「必ず防げる」という意味ではなく、集団全体で因子を取り除いたときの理論上の上限(人口寄与割合)です。日本の公的データを用いた解析では38.9%と推計され、最大の因子は難聴でした。介護現場では、難聴・社会的孤立・運動・口腔ケアなど、すでに日々のケアで扱っている領域が多く含まれます。
目次
「認知症は歳をとれば誰でもなるもので、防ぎようがない」。介護の現場で、利用者やそのご家族からこうした声を聞くことは少なくありません。確かに認知症の最大の危険因子は加齢であり、これは変えられません。しかし近年、生活習慣や健康状態のうち変えられる部分(修正可能リスク因子)に働きかければ、発症リスクのかなりの割合を下げられる、という科学的根拠が積み上がってきました。
その集大成が、世界で最も権威ある医学誌のひとつ「The Lancet」の認知症委員会が2024年に公表した報告です。委員会は「14の因子に対策すれば最大45%の認知症を予防・遅延できる可能性がある」と提言し、世界中の医療・福祉政策に影響を与えています。
この記事は、転職や日々の業務でキャリアを考える介護職の方に向けて、この報告の中身を一次ソース(原論文と公的資料)に基づいて整理し、「現場のケアでどう活かせるのか」という視点まで踏み込んで解説します。難聴・社会的孤立・運動・口腔など、ここに並ぶ因子の多くは、実はみなさんが毎日のケアで向き合っているテーマそのものです。エビデンスを知ることは、自分の仕事が認知症予防という大きな文脈にどうつながっているかを理解し、説明できる力になります。
Lancet委員会2024とは|認知症予防のエビデンスを束ねる国際委員会
「Lancet委員会(The Lancet Commission on dementia prevention, intervention, and care)」とは、認知症に関する世界中の専門家が集まり、最新の研究を総合してエビデンスにもとづく提言をまとめる国際的な委員会です。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のGill Livingston教授が主導し、2017年・2020年・2024年と報告を更新してきました。
「修正可能リスク因子」とは何か
認知症の危険因子には、年齢・遺伝(とくにアポリポタンパクE遺伝子)のように変えられないものと、生活習慣・環境・健康管理のように本人や社会の働きかけで変えられるものがあります。後者を「修正可能(modifiable)リスク因子」と呼びます。委員会が注目するのはこの修正可能な因子で、ここに対策する余地があるからです。
2017年→2020年→2024年で因子は増えてきた
委員会が挙げる修正可能リスク因子は、研究の蓄積とともに増えてきました。2017年報告では9因子、2020年報告では12因子(約40%が予防可能と推計)、そして2024年報告で2因子(高LDLコレステロール・視力低下)が追加され14因子となり、予防可能な割合の推計は約45%に引き上げられました。新しいデータが出るたびにエビデンスを見直す、という科学の手続きそのものが反映されています。因子が増えたのは「危険が増えた」のではなく、これまで関連が疑われながら根拠が不十分だった項目について、メタ解析などの新しい証拠が積み上がり、対策する価値のある因子として認められた、という意味です。
生活習慣への介入で認知機能が改善した「FINGER研究」
「リスク因子に対策すれば本当に効果があるのか」という問いに対しては、フィンランドで行われたFINGER研究という大規模な臨床試験が一つの根拠になっています。これは食事・運動・認知トレーニング・生活習慣病の管理といった複数の介入を組み合わせて高齢者に行ったところ、何もしなかった群に比べて認知機能の維持・改善がみられた、というランダム化比較試験です。委員会もこうした介入研究の蓄積をふまえ、複数の因子に同時に働きかけることの意義を強調しています。介護現場で複数の領域(聞こえ・運動・栄養・交流)に同時に関わることには、こうした研究的な裏づけがあるのです。
14の修正可能リスク因子と寄与割合(PAF)一覧
2024年報告が示した14の修正可能リスク因子を、エビデンスが最も強い人生のステージ(ライフコース)ごとに整理したものが下表です。各因子の数値は人口寄与割合(PAF:その因子を完全になくせた場合に減らせる認知症の割合)で、世界全体の推計値です。合計すると約45%になります。
| ライフステージ | リスク因子 | 寄与割合(PAF) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 若年期(〜18歳) | 教育歴の低さ | 5% | 初等・中等教育の保障が予防につながる |
| 中年期(18〜65歳) | 難聴 | 7% | 14因子中で最大級。補聴器使用がカギ |
| 中年期 | 高LDLコレステロール | 7% | 2024年新規追加。40歳前後から |
| 中年期 | うつ | 3% | 治療可能な病態 |
| 中年期 | 外傷性脳損傷(頭部外傷) | 3% | 転倒・事故の予防が関わる |
| 中年期 | 運動不足(身体不活動) | 2% | 有酸素運動の習慣化 |
| 中年期 | 糖尿病 | 2% | 血糖コントロール |
| 中年期 | 喫煙 | 2% | 禁煙はいつ始めても効果あり |
| 中年期 | 高血圧 | 2% | 収縮期130mmHg以下が目安 |
| 中年期 | 肥満 | 1% | 糖尿病・高血圧とも関連 |
| 中年期 | 過剰な飲酒 | 1% | 週21単位以上を避ける |
| 高齢期(65歳〜) | 社会的孤立 | 5% | 人とのつながりの維持 |
| 高齢期 | 大気汚染 | 3% | 環境・政策レベルの対策 |
| 高齢期 | 視力低下(未治療) | 2% | 2024年新規追加。白内障手術等 |
表からわかる重要なポイントが3つあります。第一に、最も寄与が大きいのは難聴と高LDLコレステロール(各7%)、次いで教育歴の低さと社会的孤立(各5%)です。第二に、多くの因子が中年期(18〜65歳)に集中しており、委員会は「ほとんどの因子は中年期に対策することが最も効果的」と述べています。第三に、ライフステージの分類は「その時期だけのリスク」ではなく「その時期以降に効いてくるリスク」を示しており、たとえば難聴は高齢期に入ってからの対策も重要です。
新たに加わった2因子:高LDLコレステロールと視力低下
2024年報告の大きな特徴は、高LDLコレステロール(中年期・約7%)と未治療の視力低下(高齢期・約2%)が新たに加わったことです。LDLはいわゆる「悪玉コレステロール」で、近年の大規模研究の蓄積によって認知症との関連のエビデンスが強まりました。視力低下については、白内障の手術を受けた人は受けなかった人より認知症リスクが低かったとする報告などが根拠になっています。見えにくさが脳への刺激や社会参加を減らすことが背景にあると考えられています。
「最大45%予防」の正しい意味と限界|相関と因果・予防の上限
「最大45%予防できる」という数字は強いインパクトを持ちますが、介護職として利用者やご家族に説明する立場であれば、その正確な意味と限界を理解しておく必要があります。誤って伝えると、過度な期待や、逆に「努力しても認知症になった」という自責を生んでしまうからです。
「45%」は集団全体の理論上の上限
この45%は人口寄与割合(PAF)という指標です。「もし社会全体から14の因子を完全に取り除けたら、認知症の発症を理論上これだけ減らせる」という集団レベルの推計値であり、特定の個人が対策すれば45%リスクが下がる、という意味ではありません。Lancet委員会自身も「この効果は人口に対するものであり、ある個人が認知症を確実に避けられることを保証するものではない」と明記しています。
「相関」と「因果」は違う
各因子と認知症の関連の多くは、観察研究やメタ解析にもとづく相関(関連)です。委員会も「予防の推計値は、因子と認知症のあいだに因果関係があると仮定したものであり、一部の関連は部分的にしか因果的でない可能性がある」と慎重に述べています。たとえば視力低下や難聴は、それ自体が原因というより、共通の背景(血管リスクなど)を反映している部分もあります。
「予防」ではなく「リスク低減・遅延」
正確には「確実に予防できる」のではなく、発症リスクを下げる・発症を遅らせる可能性がある、というのが報告の趣旨です。だからこそ委員会は「いつ始めても遅すぎることはない(never too late)」「早すぎることもない(never too early)」と、生涯を通じた取り組みを強調しています。現場で伝えるときは「対策すれば必ず防げる」ではなく、「リスクを下げられる可能性があり、取り組む価値がある」という温度感が適切です。
遺伝リスクが高くても、生活習慣には意味がある
「うちは家系的に認知症が多いから、何をしても無駄では」という声もあります。しかし委員会は、遺伝的に認知症リスクが高い人であっても、リスク因子に対策することで発症を予防・遅延できる可能性は高いと述べています。遺伝はサイコロの目を重くするが、生活習慣はそのサイコロを振るたびの確率を変えられる、というイメージです。家族歴を理由にあきらめる必要はなく、変えられる部分に取り組む価値があることを、利用者やご家族に伝えられるとよいでしょう。
「予防」と「ケア」は対立しない
誤解されやすいのですが、予防の話は「すでに認知症になった人」を否定するものではありません。委員会の報告タイトルが示すとおり、テーマは予防(prevention)・介入(intervention)・ケア(care)の三本柱です。リスク因子への対策は、認知症と診断されたあとも進行を遅らせたり、合併症を防いだりする点で意味を持ちます。介護職にとっては、予防の視点もケアの視点も、同じ一人の人を支えるための地続きの取り組みだといえます。
日本ではどうか|認知症の38.9%が予防可能・最大因子は難聴
Lancet委員会の45%という推計は、主に欧米のデータにもとづくものです。では日本ではどうなのでしょうか。2026年1月、東海大学医学部の和佐野浩一郎教授とデンマーク・コペンハーゲン大学の研究グループが、日本の公的統計や疫学データを用いて同じ14因子で解析した結果を国際医学誌「The Lancet Regional Health – Western Pacific」に発表しました(Wasano K, Jørgensen K, 2026)。
日本では38.9%、最大の因子は「難聴」
この研究によると、日本における認知症の38.9%が理論上予防可能と推計されました。世界の45%より約6ポイント低いのは、日本が長寿社会であることや、教育水準が高く頭部外傷が少ないといった社会的背景を反映していると考えられます。
日本で寄与が大きかった因子は次の通りです。
- 難聴:6.7%(日本でも最大の因子)
- 運動不足:6.0%(世界の推計より影響が大きい)
- 高LDLコレステロール:4.5%(日本人はLDL値が比較的低く、世界より影響は小さめ)
さらにこの研究は、14因子を一律に10%減らすだけで、将来的に約20.8万人の認知症発症を抑制できる可能性があり、20%減らせば約40.8万人と試算しています。一人ひとりの小さな改善が、社会全体では大きな数になることを示すデータです。
介護職への示唆:日本では「難聴」と「運動不足」がとくに重い
日本のデータで難聴と運動不足の寄与が大きいという事実は、介護現場にとって示唆的です。どちらも介護職が日々のケアで直接働きかけられる領域だからです。補聴器の活用支援やコミュニケーションの工夫、レクリエーションや生活リハビリでの活動量確保は、利用者のQOL向上だけでなく、認知症予防という観点からも科学的な裏づけを持った関わりだといえます。
介護現場・科学的介護で14因子をどう活かすか
ここまでがエビデンスの整理です。ここからは、この14因子を介護現場・科学的介護の実践でどう活かすかを、当サイトの視点で具体的に掘り下げます。Lancet委員会の報告は予防医学の文脈で語られることがほとんどですが、並んでいる因子をよく見ると、その多くは介護職が毎日のケアですでに扱っているテーマです。「自分たちのケアは認知症予防というエビデンスの上に立っている」と捉え直すことが、関わりの質と説得力を高めます。
1. 難聴:最大因子だからこそ「聞こえ」への気づきを
世界・日本ともに最大級の因子が難聴です。介護現場でできることは多くあります。利用者が補聴器を持っているのに使っていない、電池が切れている、耳垢が詰まっている、といったケースは珍しくありません。補聴器の装着確認・メンテナンス、正面からゆっくり低めの声で話す、視覚情報を併用するといった日常の関わりが「聞こえ」を守ります。聞こえにくさを「認知症の進行」と早合点せず、まず聴力を疑う視点も大切です。
2. 社会的孤立:レク・会話・役割づくりは予防そのもの
社会的孤立は高齢期の大きな因子(世界5%)です。施設や在宅でのレクリエーション、声かけ、他者との交流の場づくり、本人に役割を持ってもらう関わりは、QOL向上だけでなく認知症リスク低減の文脈でも意味を持ちます。コロナ禍以降、面会制限や活動縮小で孤立が深まった経験は、この因子の重みを現場が実感した出来事でもありました。
3. 運動不足:生活リハビリと離床の積み重ね
日本では運動不足の寄与が大きい(6.0%)ことがわかっています。専用の運動プログラムだけでなく、離床を促す、歩行を支える、日常動作のなかで活動量を確保する生活リハビリの積み重ねが効いてきます。運動と認知課題を組み合わせる「コグニサイズ」のような取り組みも、エビデンスにそった関わりです。
4. 口腔・栄養・生活習慣病:多職種連携の出番
糖尿病・高血圧・肥満・高LDLコレステロールといった生活習慣病系の因子は、介護職単独では管理できませんが、食事の様子の観察と記録、服薬の見守り、看護師・管理栄養士・医師への情報共有を通じて支えられます。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防として知られますが、咀嚼・食事・会話を保つことは栄養や社会参加にもつながり、結果的に複数の因子に間接的に関わります。
5. 視力低下・転倒予防:見える・転ばない環境づくり
新たに加わった視力低下に対しては、眼鏡の度数確認や眼科受診の橋渡し、見やすい環境整備が役立ちます。外傷性脳損傷(頭部外傷)は転倒予防そのものであり、住環境の整備・福祉用具・適切な介助という現場の中心業務が、そのまま認知症リスクの低減に通じています。
現場視点のまとめ:エビデンスが「いつものケア」を裏づける
こうして並べると、Lancet委員会の14因子は介護職にとって新しい仕事を増やすものではなく、すでに行っているケアの意味を科学的に裏づけてくれるものだとわかります。「なぜそのケアをするのか」を国際的なエビデンスで語れることは、利用者・家族への説明力になり、チーム内での提案力にもなります。認知症ケアの専門性を高めたい、科学的介護(エビデンスにもとづくケア)に強みを持ちたいという方にとって、この報告は自分の仕事を捉え直す確かな足場になります。
現場ですぐ意識できる6つのポイント
14因子のエビデンスを「明日の自分のケア」に落とし込むための、現場ですぐ意識できるポイントをまとめます。難しい知識ではなく、視点の持ち方の問題です。
- 「聞こえていますか」を口癖に。反応が鈍い利用者を見たとき、「認知機能の低下」と決めつける前に、補聴器の電池・装着・耳垢、そして自分の声量と話す位置を確認する。聞こえの確保は最大因子(難聴)への直接対策です。
- レク・会話を「予防」と捉え直す。声かけや交流の場づくりは「時間つぶし」ではなく、社会的孤立という高齢期の主要因子(世界5%)への働きかけ。記録にも「交流・社会参加の支援」として残す価値があります。
- 離床と歩行を一日のなかに散りばめる。日本で寄与の大きい運動不足(6.0%)には、まとまった運動より日常動作のなかの活動量が効きます。「座らせきりにしない」意識が予防につながります。
- 口腔ケアは複数因子に効く投資。誤嚥性肺炎予防に加え、咀嚼・会話・栄養の維持を通じて、間接的に社会参加や生活習慣病管理にも関わります。
- 「見えにくさ」と「転倒」を見逃さない。眼鏡の度数確認や眼科受診の橋渡し、住環境の整備は、新規因子の視力低下と頭部外傷(外傷性脳損傷)への対策そのものです。
- 生活習慣病は「観察と共有」で支える。血糖・血圧・体重・脂質は介護職が直接管理できなくても、食事や様子の変化を看護師・栄養士・医師に確実につなぐことが予防の一翼を担います。
これらはどれも特別な業務ではありません。だからこそ、「なぜそれをするのか」をエビデンスで説明できることが、ケアの質と専門職としての説得力を底上げします。
よくある質問(FAQ)
Q. 14因子に対策すれば認知症は必ず防げますか?
いいえ。「最大45%予防・遅延できる可能性」は集団全体の理論上の推計(人口寄与割合)であり、個人が確実に認知症を避けられることを保証するものではありません。加齢や遺伝など変えられない要因もあります。あくまで「リスクを下げ、発症を遅らせられる可能性がある」と理解してください。
Q. もう高齢になってから対策しても意味がありますか?
意味があります。委員会は「いつ始めても遅すぎることはない」と強調しています。難聴や社会的孤立、視力低下のように高齢期に関わる因子も多く、高齢期からの対策にも価値があります。一方で、ほとんどの因子は中年期からの取り組みが最も効果的とされています。
Q. 14因子のなかで、介護職がとくに関われるのはどれですか?
難聴(聞こえの支援)、社会的孤立(交流・役割づくり)、運動不足(生活リハビリ・離床)、視力低下・頭部外傷(環境整備・転倒予防)、口腔・栄養を通じた生活習慣病への間接的な関わりなどです。日本では難聴と運動不足の寄与がとくに大きく、いずれも現場で直接働きかけられる領域です。
Q. 2020年の「40%」と2024年の「45%」は何が違うのですか?
2020年報告は12因子で約40%でしたが、2024年報告で高LDLコレステロールと視力低下の2因子が新たに加わり14因子となり、推計が約45%に更新されました。研究の蓄積に応じてエビデンスを見直した結果です。
Q. 日本のデータが世界(45%)より低い(38.9%)のはなぜですか?
日本が長寿社会であること、教育水準が高く頭部外傷が少ないこと、日本人はLDLコレステロール値が比較的低いことなどが背景と考えられています。それでも難聴・運動不足の寄与は大きく、対策の余地は十分にあります。
参考文献・出典
- [1]Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission- The Lancet (Livingston G, et al. 2024;404:572-628)
本記事の一次ソース。14の修正可能リスク因子と最大45%予防可能との推計、各因子のPAF、ライフコース区分を提示した原報
- [2]Nearly half of dementia cases could be prevented or delayed by tackling 14 risk factors- University College London (UCL) News
報告を主導したUCLの公式リリース。難聴・高LDL各7%など各因子の寄与割合と、相関・因果に関する注意点を解説
- [3]日本における認知症予防の可能性-認知症の約4割は「予防」可能-- 東海大学・コペンハーゲン大学(プレスリリース)
日本の14因子解析(Wasano K, Jørgensen K, Lancet Reg Health West Pac 2026)。38.9%予防可能、難聴6.7%・運動不足6.0%・高LDL4.5%、10%低減で約20.8万人抑制
- [4]A 2 year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring versus control to prevent cognitive decline in at-risk elderly people (FINGER): a randomised controlled trial- Ngandu T, et al. Lancet 2015;385:2255-63(FINGER試験)
生活習慣への複合介入が高齢者の認知機能維持に有効と示したランダム化比較試験。記事中で言及したFINGER研究の出典
- [5]
まとめ|エビデンスを語れる介護職へ
Lancet委員会の2024年報告は、「認知症は防げない」という思い込みを、エビデンスにもとづいて更新しました。14の修正可能リスク因子に取り組めば、世界で最大約45%、日本でも約38.9%の認知症を予防・遅延できる可能性がある。ただしこれは集団レベルの理論値であり、相関と因果は区別して、「確実な予防」ではなく「リスク低減・遅延」として捉えることが大切です。
そして並んでいる因子の多く、とくに日本で寄与の大きい難聴と運動不足は、介護職が日々のケアで直接働きかけている領域です。補聴器の支援、交流や役割づくり、生活リハビリ、口腔ケア、転倒予防。これらの「いつものケア」が、認知症予防という大きなエビデンスの上に立っていると捉え直すこと自体が、専門性を高める第一歩になります。エビデンスを語れる介護職は、利用者・家族・チームから信頼される存在です。自分の働き方やキャリアの方向性を考えるうえでも、こうした科学的な視点を持つことは大きな武器になります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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