
利用者が離設・行方不明になったときの対応|介護職の初動・捜索・警察通報・家族連絡
認知症の利用者が施設からいなくなったときの介護職の対応。気づいた直後の初動(施設内外の分担捜索・防犯カメラ・立ち寄り先の確認)、早めの警察通報の判断、家族・管理者への連絡、地域のSOSネットワーク活用、発見後の観察と再発防止までを警察庁統計と一次資料をもとに解説します。
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この記事のポイント
利用者の離設(施設外への外出)に気づいたら、まず在館者の人数と最後に所在を確認した時刻・服装を押さえ、施設内と敷地内、周辺の立ち寄りやすい場所を役割分担して同時に捜します。指揮役は施設内に残り、玄関の防犯カメラで出た時刻と方向を確認します。所在がすぐにつかめず屋外に出た可能性が高いときは、家族と管理者に連絡しつつ早めに110番通報するのが原則です。警察庁の統計では認知症の行方不明者の多くが届出当日に見つかる一方で、時間が経つほど発見は難しくなり、猛暑・寒冷・交通・水路が生命に直結します。発見後は脱水・外傷・低体温を観察し、責めずに再発防止のアセスメントへつなげます。
目次
認知症のある利用者が、職員が気づかないうちに施設の外へ出てしまう「離設」は、どれだけ見守り体制を整えていても起こり得る事態です。予防の工夫を重ねても、行事で人の出入りが増えたとき、職員配置が薄くなる夜間や早朝、面会者と一緒に出てしまったときなど、離設のきっかけは日常のなかに潜んでいます。
大切なのは、離設を「起きてはならない失敗」として身構えるだけでなく、実際に起きたときに落ち着いて動ける初動の型を、現場の全員が共有しておくことです。発覚から発見までの最初の数十分をどう動くかで、利用者が無事に戻れるかどうかが大きく変わります。パニックで動きがばらつくと、捜すべき場所が抜け落ち、通報が遅れ、結果として捜索範囲が広がってしまいます。
この記事では、離設・行方不明が発覚した「後」に施設の介護職がとるべき初動対応を、状況把握・分担捜索・警察通報・家族連絡・発見後のケア・再発防止という流れに沿って、警察庁の統計や自治体・介護事業者の一次資料をもとに整理します。徘徊の背景をひもとく予防や日常の見守りとは別に、いざというときの手順に絞って解説します。
離設・行方不明とは|徘徊・無断外出との違いと命に関わる理由
離設とは、介護施設の利用者が職員の知らないうちに施設の外へ出てしまうことを指します。よく似た言葉に「徘徊(ひとり歩き)」や「無断外出」がありますが、意味する範囲は少しずつ異なります。
徘徊・無断外出との違いを整理する
徘徊(ひとり歩き)は、本人なりの目的や理由があって歩き回る行動そのものを指し、必ずしも施設外へ出ることを意味しません。無断外出は、許可なく外へ出る行為を指します。これに対して離設は、施設という管理下から利用者が外へ出てしまった「状況」を指す介護現場の用語です。行方不明は、その離設の結果として所在がわからなくなった状態を指します。この記事が扱うのは、離設が起きて所在不明になった後の対応です。
離設が命に直結する理由
離設が深刻なのは、それが転倒・交通事故・水路への転落・熱中症・低体温症といった生命に関わる事態に発展しうるからです。警察庁「令和6年における行方不明者届受理等の状況」によると、認知症に係る行方不明者数は1万8,121人で、統計上のピークだった令和5年の1万9,039人からはやや減少したものの、依然として高い水準が続いています。翌年の令和7年も1万7,345人と、毎年おおむね1万7千人から1万9千人の間で推移しています。
これらは施設からの離設だけを数えたものではありませんが、認知症のある高齢者が所在不明になること自体が全国的な課題であることを示しています。所在不明の高齢者は、時間の経過とともに遠くまで移動し、体力の消耗や気象条件によって命の危険が高まります。だからこそ、施設で離設が起きたときの初動対応を、あらかじめ手順として持っておく必要があります。
加えて、施設には利用者の安全に配慮する義務があります。離設が起きたとき、初動が遅れたり手順が定まっていなかったりすると、結果として利用者の生命を守れないだけでなく、施設の対応の適切さが問われる場面にもつながります。行方不明時の対応をマニュアルとして整え、職員に周知していたかどうかは、施設の備えの水準を示すものになります。予防の努力と同じように、起きた後の初動を整えておくことが、利用者と施設の双方を守ることにつながります。
気づいた直後の初動|状況把握・分担捜索・防犯カメラ・立ち寄り先
離設に気づいた直後の動きは、時間との勝負です。多くの自治体・事業者のマニュアルが共通して示すのは、「まず状況を把握し、施設内外を役割分担して同時に捜す」という流れです。以下は発覚から数十分の標準的な初動です。
1. 状況を把握し、全員に知らせる
離設が疑われたら、その場で声を上げ、フロアの職員に一斉に共有します。同時に、次の情報をすぐに確認します。
- 誰がいなくなったのか(氏名・顔写真・体格・服装・靴の有無)
- 最後に所在を確認したのはいつ、どこか
- どこから、いつ出た可能性があるか
- 持ち物(携帯電話、GPS端末、財布、杖など)の有無
まず在館者の人数を数え直し、本当に外に出たのかを確かめます。館内やトイレ、居室、非常階段など見落としがちな場所に留まっていることも少なくないためです。
2. 指揮役を決め、施設内と敷地内を先に確認する
管理者または当日のリーダーが指揮役になり、施設内に残って情報を集約します。捜索に出る職員と、施設に残って電話対応や記録をする職員を分けます。まずは館内・敷地内をくまなく確認し、並行して周辺の捜索に移ります。
3. 防犯カメラで出た時刻と方向を確認する
玄関やエントランスの防犯カメラは、出た時刻・服装・進んだ方向を特定する最も確実な手がかりです。方向がわかれば捜索範囲を絞り込めます。カメラ映像の確認は、捜索を始めると同時に担当を決めて進めます。
4. 立ち寄りやすい場所へ人を向ける
認知症のある方は、かつての自宅や職場、駅、バス停、近所の商店など、本人にとって意味のある場所に向かう傾向があります。事前のアセスメントで把握した「よく口にする地名」「昔の生活圏」を手がかりに、行き先の見当をつけて人を配置します。屋外を車で捜索するときは2名1組とし、携帯電話と顔写真を必ず携行し、一定時間ごとに施設へ連絡を入れて情報を集約します。
警察への通報|早めが原則・110番で伝える情報
離設対応でもっとも判断に迷いやすいのが、警察へ通報するタイミングです。結論から言えば、屋外に出た可能性が高く、施設内・敷地内・すぐ近くの捜索で短時間のうちに見つからないときは、早めに110番通報するのが原則です。
「もう少し捜してから」が危険な理由
施設だけで長く捜し続けてから通報すると、その間に利用者は歩いて遠くまで移動し、捜索範囲は時間の二乗で広がっていきます。早い通報は、警察による捜索や、後述する地域のSOSネットワークの始動を早め、発見の可能性を高めます。「施設の落ち度が知られるのが怖い」という心理から通報をためらうことは、利用者の生命を危険にさらす判断につながります。早期通報は施設を守る対応でもあります。
110番・警察に伝える情報
通報時には、行方不明者の特定につながる情報をできるだけ具体的に伝えます。自治体の手引きが挙げる主な項目は次のとおりです。
- 氏名・生年月日・年齢・性別
- 身長・体型・髪型・髪色
- 自分の名前や住所が言えるかどうか、認知症の有無と程度
- メガネ・ほくろ・歩き方など外見の特徴
- いなくなった時間・場所、そのときの服装
- よく行く場所、所持金や交通手段の有無
- 本人の容姿がわかる写真の提供
これらは日ごろから、離設の可能性がある利用者について家族の同意を得て「初動セット」として準備しておくと、通報や情報提供が一気にスムーズになります。警察は行方不明者届(捜索願)を受理すると捜索を始めます。届出の際に、地域のSOSネットワークによる情報提供もあわせて依頼できるか確認します。
家族・管理者への連絡と地域SOSネットワークの活用
捜索と並行して、家族・管理者への連絡と、地域の力を借りる動きを進めます。連絡は「誰が・どの順番で・何を伝えるか」を決めておくと、情報の錯綜を防げます。
家族・管理者への連絡
家族へはできるだけ速やかに連絡します。窓口は施設の責任者に一本化し、直前の状況と現在の捜索状況をこまめに、事実に基づいて伝えます。複数の職員がばらばらに連絡すると、家族が混乱し、情報が食い違う原因になります。管理者・施設長には第一報を早く入れ、指揮系統と外部連絡の判断を委ねます。夜間やオンコール時でも判断が滞らないよう、連絡先・優先順位・代替の連絡手段をあらかじめ明確にしておきます。
地域のSOSネットワーク・見守り協定を使う
多くの自治体には「認知症高齢者等SOSネットワーク」があり、警察や地域包括支援センターを通じて、協力する介護事業所・交通機関・商店などへ行方不明者の情報(顔写真付き)を一斉配信して捜索協力を求める仕組みが整っています。施設は日ごろから地域包括支援センターや町内会、近隣の商店との関係を築き、こうした協定・ネットワークの連絡先を初動セットに入れておきます。
アプリや広域捜索の活用
「みまもりあいアプリ」のように、登録者のスマートフォンへ行方不明者情報を配信し、発見・保護されると情報が自動で消去される仕組みもあります。捜索が難航する場合は、自治体を通じて県や近隣自治体への広域の捜索協力を依頼できることもあります。使える手段を平時のうちに把握し、どの段階で誰が動かすかを決めておくことが、いざというときの初動を速くします。
平時から備える初動セットとマニュアル・訓練
離設・行方不明への初動が速く正確になるかどうかは、実は事が起きる前の準備で大きく決まります。いざというときに迷わず動けるよう、次のものを平時から整えておきます。
「離設時初動セット」を用意する
離設の可能性がある利用者について、家族の同意を得たうえで、すぐに取り出せる形で情報をまとめておきます。中身の例は次のとおりです。
- 最新の顔写真と全身写真(服装の傾向がわかるとなおよい)
- 氏名・年齢・身体的特徴・認知症の程度をまとめたシート
- 本人がよく口にする地名、昔の生活圏、立ち寄りやすい場所
- 周辺地域の地図と、危険箇所(川・用水路・幹線道路・踏切)の書き込み
- 警察署・地域包括支援センター・SOSネットワーク・家族の連絡先一覧
写真は時間の経過とともに実際の見た目と変わっていきます。定期的に更新し、いつでも最新のものを渡せるようにしておきます。
マニュアルとシミュレーションで手順を体に入れる
誰が警察へ連絡し、誰が周辺を捜索し、誰が施設に残って記録と電話対応をするのか。初動の役割分担をチャート化してマニュアルにし、全職員で共有します。マニュアルは作って終わりではなく、定期的に手順を声に出して確認したり、実際に動いてみるシミュレーションを行うことで、いざというときのパニックを防ぎ、落ち着いた初動につながります。夜間や休日など職員が手薄な時間帯を想定した訓練も有効です。
警察庁統計から読む『発見までの時間』と生命リスク
初動を急ぐべき理由は、警察庁の統計を現場の初動対応という視点で読み直すと、数字としてはっきり見えてきます。
統計が示す「発見までの時間」の意味
警察庁「令和6年における行方不明者届受理等の状況」によると、認知症に係る行方不明者のうち、届出受理から所在確認までの期間は受理当日が最も多く1万2,476人、次いで2日から3日以内が4,156人でした。翌年の令和7年版でも、所在確認・死亡確認された人のうち受理当日に所在が確認された割合は68.0%です。
これは裏を返せば、約3割は当日には見つからないということです。当日に見つからなかった人ほど発見までの日数が延び、その間に体力が消耗し、気象条件による生命リスクが積み上がっていきます。つまり「受理当日に見つかるかどうか」が一つの分岐点であり、施設の通報が早ければ早いほど、この当日発見の側に入れる可能性が高まります。早期通報の価値は、この統計から具体的に読み取れます。
位置情報の即時活用が発見を早める
令和7年版の統計には、GPS機器などを活用して所在確認・死亡確認された認知症の行方不明者のうち、約85%が受理当日に所在確認されたというデータが示されています。位置情報という手がかりがあると、発見が大幅に早まることを意味します。施設としても、離設リスクの高い利用者にGPS端末を持ってもらう、離設に気づいたら真っ先に位置情報を確認する、といった備えが初動の速さに直結します。
時間・気象・地形という生命リスク
屋外にいる時間が延びるほど、夏場は熱中症と脱水、冬場は低体温症のリスクが高まります。道路では交通事故、川や用水路、側溝では転落のおそれがあります。捜索の際は、こうした危険箇所を優先的に確認し、発見時にはすぐに救急対応へ移れるよう、状態観察の視点を持って動くことが重要です。
発見後の観察とケア|脱水・外傷・低体温を見逃さない
利用者を発見・保護できたら、安堵で終わりにせず、まず全身の状態を落ち着いて観察します。屋外で長時間過ごした後は、外見に大きな異常がなくても、体の内側でリスクが進んでいることがあります。
発見直後に確認する観察ポイント
- 意識・受け答え:呼びかけへの反応、いつもと比べた様子の違い、ろれつやふらつき
- 脱水・熱中症:口の渇き、皮膚や唇の乾燥、ぐったりした様子、体の熱さ(夏場)
- 低体温:体の冷え、震え、反応の鈍さ(冬場・夜間)
- 外傷:転倒による打撲・擦り傷・出血、頭部を打っていないか
- 足元:靴を履いていたか、長時間歩いたことによる足のまめや傷、痛み
意識がはっきりしない、頭を打った可能性がある、強い脱水や体温の異常が疑われるといった場合は、その場で無理に施設へ連れ帰ろうとせず、ためらわずに救急要請と受診の判断をします。判断に迷うときは、必ず看護職や管理者に共有し、単独で抱え込まないことが大切です。
本人の気持ちに配慮した声かけ
発見できた安心感から、つい「どうして出て行ったの」と問い詰めたくなりますが、本人には本人なりの理由があります。まずは「無事でよかった」と伝え、責める言葉は避けます。強い言葉や力ずくの対応は不安や混乱を強め、その後の帰宅願望や離設につながることがあります。落ち着いて安心できる環境に戻し、水分補給や休息をとってもらいます。
再発防止|要因のアセスメントと拘束に頼らない見直し
離設が起きた後にもっとも避けたいのは、担当職員を責めることと、再発を恐れて安易に身体拘束へ傾くことです。どちらも根本の解決にならず、利用者にも職員にも負担を残します。落ち着いた後は、なぜ離設が起きたのかを丁寧にひもとき、環境と体制の側から再発を防ぐ視点に切り替えます。
離設の要因をアセスメントする
離設の背景には、認知症による見当識障害、「家に帰らなければ」という帰宅願望、入居直後の環境変化への不安、トイレや痛み・空腹など満たされない欲求、夕方に不穏が強まる傾向など、さまざまな要因が重なっています。いつ・どんな状況で出ようとしたのかを記録から振り返り、本人が何を求めていたのかを考えます。要因が見えれば、その時間帯の見守りを厚くする、帰宅願望が出やすい夕方に散歩や役割のある活動を用意する、といった具体策につながります。
環境と機器の見直し
玄関の施錠に頼りきるのではなく、出入り口が開いたときに知らせるセンサー付きチャイム、特定のエリアへの立ち入りを検知するカメラ、離設リスクの高い方に持ってもらうGPS端末など、見守りを支える機器の活用を検討します。ただし機器はあくまで人の見守りを補うものです。死角が生まれやすい夜間・早朝の職員配置や、行事で人の出入りが増えるときの動線管理といった運用面の見直しも欠かせません。
身体拘束に頼らない前提を守る
離設を防ぎたいあまり鍵をかけて閉じ込める、行動を縛るといった対応は、身体拘束・行動抑制にあたり、原則として認められていません。施錠をしない介護、身体拘束をしない介護を行う理由とそれに伴うリスクは、入居契約時だけでなく日ごろから家族に丁寧に説明し、施設の理念として共有しておくことが、いざというときの相互理解につながります。
記録と事故報告|経過の記録と保険者への報告
離設・行方不明への対応では、その場の動きと並行して、経過を正確に記録し、保険者(市町村)へ事故報告を行うことが求められます。記録と報告は、家族への説明や再発防止の検討、そして施設を守る根拠として欠かせません。
時系列で経過を記録する
いつ離設に気づき、どこを・誰が・どの順番で捜し、いつ・誰に連絡し、いつ発見したのか。直前の利用者の状況、服装、情報提供を依頼した先、家族への対応の内容を、事実に基づいて時系列で記録します。あいまいな推測ではなく、確認できた事実を淡々と残すことが重要です。この記録は、後の振り返りで「どの段階で手が打てたか」を検討する材料にもなります。
保険者への事故報告
利用者の無断外出による行方不明は、市町村への報告が必要な事故に該当します。まず電話で第一報を入れ、その後に事故報告書を提出します。報告先や様式、報告が必要となる範囲は自治体によって定められているため、自施設の指針とあわせて、あらかじめ確認しておきます。発見できず捜索が長引く場合も、経過を逐次報告します。日ごろから行方不明時の対応手順をマニュアル化し、シミュレーションで手順を確認しておくことが、実際の場面で記録と報告を滞りなく進める支えになります。
よくある質問(FAQ)
Q. 離設に気づいたら、まず何をすればいいですか。
その場で声を上げて職員に共有し、在館者の人数を数え直して本当に外へ出たのかを確認します。同時に、いなくなった方の服装・最後に確認した時刻・出た可能性のある場所を押さえ、指揮役を残して施設内外を分担して捜し始めます。玄関の防犯カメラで出た時刻と方向を確認するのも初動の要です。
Q. 警察へはどのタイミングで通報すべきですか。
屋外に出た可能性が高く、施設内・敷地内・すぐ近くの捜索で短時間に見つからないときは、早めに110番通報するのが原則です。施設だけで長く捜し続けると捜索範囲が広がり、発見が遅れます。早期通報は利用者の生命を守り、結果的に施設を守る対応でもあります。
Q. 通報するとき、警察に何を伝えればいいですか。
氏名・年齢・性別、身長や体型、髪型、いなくなった時間と場所、そのときの服装、認知症の有無、よく行く場所、写真などを伝えます。日ごろからこれらを「初動セット」として家族の同意を得て準備しておくと、通報が速くなります。
Q. 発見できたら、それで対応は終わりですか。
終わりではありません。まず脱水・低体温・外傷・意識の状態を観察し、異常があれば救急要請や受診を判断します。落ち着いたら経過を時系列で記録し、保険者へ事故報告を行い、離設の要因をアセスメントして再発防止につなげます。
Q. 離設した利用者を責めてはいけないのですか。
責める対応は避けます。本人には帰宅願望や不安など、その人なりの理由があります。まず無事を喜ぶ言葉をかけ、安心できる環境に戻します。強い言葉や力ずくの対応は混乱を強め、その後の離設を招くことがあります。再発を恐れて鍵で閉じ込めるといった身体拘束も、原則として認められていません。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
まとめ
利用者の離設・行方不明は、予防を尽くしても起こり得る事態です。だからこそ、起きた後にどう動くかを現場の全員が共有しておくことが、利用者の生命を守る最大の備えになります。発覚したら状況を把握し、指揮役を残して施設内外を分担して捜し、防犯カメラで方向を確かめ、立ち寄りやすい場所へ人を向けます。屋外に出た可能性が高くすぐに見つからなければ、家族と管理者へ連絡しつつ早めに110番通報し、地域のSOSネットワークの力も借ります。
警察庁の統計が示すように、受理当日に見つかるかどうかが一つの分岐点であり、位置情報の活用と早い通報が発見を大きく早めます。発見後は脱水・外傷・低体温を観察し、責めずに再発防止のアセスメントへつなげます。身体拘束に頼らず、要因をひもといて環境と体制を整えること。この一連の流れを平時のうちにマニュアルとシミュレーションで身につけておくことが、いざというときに落ち着いて動ける現場をつくります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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