
厚労省、生産性向上セミナーを今夏無料開催|処遇改善加算の上乗せ区分にも直結
厚生労働省は令和8年6月5日、介護保険最新情報Vol.1510で令和8年度の生産性向上ビギナーセミナー・フォローアップセミナーの開催を周知した。参加無料・Zoom開催。日程・申込期限と、処遇改善加算の上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)や職場環境等要件との関係を解説する。
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この記事のポイント
厚生労働省は令和8年(2026年)6月5日、介護保険最新情報Vol.1510で、令和8年度の「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」を今夏からオンライン開催すると周知した。いずれも参加無料・Zoom開催で、ビギナーセミナーは7月に全6回(定員上限なし)、フォローアップセミナーは講義形式が8月下旬〜9月上旬に全4回、ワーク形式が8月〜11月に4グループ(各回50事業所・先着順)で実施される。事務局はNTTデータ経営研究所。6月施行の処遇改善加算の上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)や職場環境等要件は「生産性向上の取組」を算定の条件としており、介護職・管理者にとって本セミナーは加算要件への対応と現場の業務改善を同時に進める実務的な入口になる。
目次
解説動画
「セミナーに出る余裕なんてない」。人手不足が続く介護現場では、研修案内が届いても後回しにされがちです。しかし、今年の「介護現場の生産性向上セミナー」は、これまでとは事情が違います。令和8年6月に施行された介護報酬の臨時改定で、処遇改善加算に「生産性向上や協働化に取り組む事業所」だけが算定できる上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が新設され、生産性向上の取組がそのまま職員の賃上げ原資に直結する構造になったからです。
厚生労働省は令和8年6月5日付の介護保険最新情報Vol.1510で、令和8年度「介護現場の生産性向上に関する普及加速化事業一式」の一環として開催する3種類のセミナー(ビギナーセミナー、フォローアップセミナー講義形式・ワーク形式)への参加案内と周知を都道府県・市区町村・介護保険関係団体に依頼しました。すべて参加無料・Zoomによるオンライン開催で、地方の小規模事業所でも参加しやすい設計です。
本記事では、一次ソースであるVol.1510に基づいて各セミナーの日程・申込期限・対象・参加条件を表で整理したうえで、処遇改善加算の上乗せ区分や職場環境等要件との関係から「なぜ今年は受ける価値が大きいのか」「誰が受けるべきか」までを解説します。日程の確認だけでなく、自事業所がどのセミナーから入るべきかの判断材料としてご活用ください。
介護保険最新情報Vol.1510の内容|今夏3種類のセミナーが無料開催
普及加速化事業の一環として3種類のセミナーを開催
介護保険最新情報Vol.1510は、厚生労働省老健局高齢者支援課(介護業務効率化・生産性向上推進室)が令和8年6月5日付で発出した事務連絡です。文書では、現役世代の人口減少により介護人材の確保が困難になるなかで「介護分野の生産性の向上を図ることが喫緊の課題」と位置づけ、令和8年度の「介護現場の生産性向上に関する普及加速化事業一式」を株式会社NTTデータ経営研究所に委託して実施していることを説明しています。
今回周知されたのは、この委託事業の一環として開催される「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー(講義形式)」「生産性向上フォローアップセミナー(ワーク形式)」の3つです。厚労省は都道府県・市区町村に対して管内の介護事業所への周知と受講勧奨を、介護保険関係団体に対して各地方支部や会員事業所への周知を依頼しており、行政ルートを通じて全国の事業所に案内が届く建てつけになっています。
3つのセミナーの位置づけと対象者
3つのセミナーは「学ぶ→深める→実践する」の段階構成になっています。入口にあたるビギナーセミナーは、取組の意義や手順、実践事例を学ぶ場で、どなたでも参加できます。フォローアップセミナー(講義形式)は、課題の見える化や計画作成の実践的な手法を講義で学ぶ回で、こちらも参加対象の制限はありません。一方、ワーク形式は介護事業所・施設に限定し、実際に自事業所の課題を題材に手を動かす双方向プログラムです。
| セミナー | 位置づけ | 対象・定員 |
|---|---|---|
| ビギナーセミナー(全6回) | 取組の意義・手順・実践事例を学ぶ入門編 | どなたでも参加可・定員上限なし |
| フォローアップセミナー 講義形式(全4回) | 課題の見える化・計画作成の手法を講義で学ぶ | どなたでも参加可・定員上限なし |
| フォローアップセミナー ワーク形式(4グループ・各全2回) | 自事業所の課題でワークを実践、講師に相談しながら取組を進める | 介護事業所・施設に限る・各回50事業所(先着順) |
対象として想定されているのは、介護事業所等(介護事業所、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、地域包括支援センター)の「経営層」と「従業者」、自治体の生産性向上関係部署、介護生産性向上総合相談センター、介護テクノロジー相談窓口・関係団体、生産性向上に係る伴走支援者などです。介護サービスの種別は問われず、現場のミドル層(介護主任やリーダー、生活相談員など)の参加が想定されている点が特徴です。
参加無料・Zoom開催、講師はTRAPE鎌田氏
3セミナーともオンライン開催(Zoom)で、開催時間はいずれも13時30分〜15時30分(開場13時)、費用は無料です。ビギナーセミナーとフォローアップセミナー(講義形式)は同時に申し込むことができ、申込者には後日アーカイブ動画も案内されます。
メイン講師は株式会社TRAPE代表取締役の鎌田大啓氏(大阪大学医学部保健学科・医学系研究科招聘教員)。平成30年度の生産性向上ガイドライン作成事業に検討委員として関わるなど、国の介護生産性向上施策の黎明期から携わってきた人物です。ワーク形式では株式会社NextCareConsulting代表取締役社長の柳沼亮一氏がワーク講師を務め、セミナー事務局はNTTデータ経営研究所が担当します。
開催日程と申込期限|ビギナー第1回の締切は6月24日
ビギナーセミナーは7月に全6回、第1回の締切は6月24日
ビギナーセミナーは7月1日から30日にかけて全6回開催されます。各回とも内容は共通で、いずれか1回に申し込む形式です。申込締切は各回の約1週間前に設定されており、第1回に参加するなら6月24日(水)17時が期限です。プログラムは第一部が厚生労働省の取組紹介とTRAPE鎌田氏による「選ばれる職場づくりと持続可能な介護経営につなげる業務改善の考え方と実践」の講義、第二部が生産性向上に取り組む介護事業所による発表、第三部が課題の見える化・実行計画の作成方法の概要です。
| 回 | 開催日 | 申込締切 |
|---|---|---|
| 第1回 | 7月1日(水) | 6月24日(水)17:00 |
| 第2回 | 7月7日(火) | 6月30日(火)17:00 |
| 第3回 | 7月15日(水) | 7月8日(水)17:00 |
| 第4回 | 7月17日(金) | 7月10日(金)17:00 |
| 第5回 | 7月27日(月) | 7月21日(火)17:00 |
| 第6回 | 7月30日(木) | 7月23日(木)17:00 |
フォローアップセミナー(講義形式)は8月下旬〜9月上旬に全4回
講義形式のフォローアップセミナーは、生産性向上ガイドラインを活用した業務改善の考え方の再確認、現場の課題を見える化する「ゆるやかな因果関係図づくり」ワークショップ、実行計画の作成といった、ビギナーセミナーから一歩踏み込んだ内容です。ワーク形式の傍聴はできないため、ワークの雰囲気を知りたい事業所はこちらに申し込む形になります。
| 回 | 開催日 | 申込締切 |
|---|---|---|
| 第1回 | 8月21日(金) | 8月14日(金)17:00 |
| 第2回 | 8月24日(月) | 8月17日(月)17:00 |
| 第3回 | 9月2日(水) | 8月25日(火)17:00 |
| 第4回 | 9月4日(金) | 8月31日(月)17:00 |
ワーク形式は8〜11月に4グループ、経営層+従業者の合同参加が必須
ワーク形式は、第1回(8月下旬〜9月上旬)と第2回(10月下旬〜11月上旬)の全2回をセットで受講するプログラムで、A〜Dの4グループから選んで申し込みます。定員は各回50事業所の先着順です。
| グループ | 第1回 | 第2回 | 申込期限 |
|---|---|---|---|
| グループA | 8月18日(火) | 10月20日(火) | 8月7日(金)17:00 |
| グループB | 8月20日(木) | 10月22日(木) | 8月10日(月)17:00 |
| グループC | 8月27日(木) | 10月26日(月) | 8月17日(月)17:00 |
| グループD | 9月1日(火) | 11月9日(月) | 8月24日(月)17:00 |
ワーク形式には参加条件があります。「経営層1名+介護従業者1名以上」の合同参加が必須で、全2回のプログラムを通じた取組の実施と事後課題の提出が求められ、申込後のキャンセルはできません。さらに、ビギナーセミナーの動画受講か、過去(令和2年度〜令和8年度)のビギナーセミナーへの参加が前提条件です。その代わり、セミナー期間中は事務局による無料の個別相談を受けられ、全2回の参加と成果報告書の提出を完了した事業所には修了証が発行される予定です。単なる聴講ではなく、地域のモデル事業所への育成を狙った伴走型プログラムといえます。
なお、ビギナーセミナー第二部の事業所発表には、各回で介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、居宅介護支援、通所介護(デイサービス)など異なるサービス種別の事業所が登壇する予定です。発表事業所の一覧は開催案内のチラシに掲載されているため、自事業所と同じ種別・近い規模の事業所が登壇する回を選んで申し込むと、取組イメージをつかみやすくなります。リアルタイム参加が難しい場合も、申込者には後日アーカイブ動画が案内されるため、まず申し込んでおく価値があります。
なぜ受ける価値があるのか|処遇改善加算の上乗せ区分と直結
6月施行の臨時改定で生まれた「ロ区分」と月0.7万円の上乗せ
今年のセミナーがこれまでと決定的に違うのは、開催の直前に介護報酬の臨時改定が施行されたタイミングだという点です。令和8年度の臨時改定(改定率+2.03%、うち処遇改善分+1.95%)では、介護従事者を幅広く対象にした月1.0万円(3.3%)相当の賃上げ措置に加えて、「生産性向上や協働化に取り組む事業者」の介護職員を対象に月0.7万円(2.4%)相当の上乗せ措置が設けられました。定期昇給分を含めると介護職員で最大月1.9万円(6.3%)の賃上げが想定される設計です。
この上乗せを実現する仕組みが、令和8年6月から処遇改善加算Ⅰ・Ⅱに新設された「イ」「ロ」の区分です。従来どおりの要件を満たす事業所は「Ⅰイ・Ⅱイ」、それに加えて生産性向上・協働化の要件(令和8年度特例要件)を満たす事業所だけが、加算率の高い「Ⅰロ・Ⅱロ」を算定できます。たとえば訪問介護では加算Ⅰイの27.0%に対しⅠロは28.7%と、1.7ポイントの差がつきます。生産性向上の取組が、職員の給与に直接はね返る構造になったのです。
令和8年度特例要件、施設系は「生産性向上推進体制加算」がカギ
「ロ」区分の算定に必要な令和8年度特例要件は、次のいずれかを満たすことです。
- 訪問・通所サービス等:ケアプランデータ連携システムに加入し、実績を報告すること
- 施設・居住系サービス等:生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを取得し、実績を報告すること
- 共通:社会福祉連携推進法人に所属していること
申請時点では「加入又は取得の誓約」で算定を始められる配慮措置がありますが、実績報告までには実際の取組が必要です。特に施設系で求められる生産性向上推進体制加算は、利用者ニーズの把握や業務改善の継続的な実施体制(委員会の設置など)を要件とする加算であり、「何から手をつければいいか分からない」という事業所にとって、国の委託事業として体系立てて手順を学べる今回のセミナーは、最も低コストな準備手段になります。
職場環境等要件でも「生産性向上の取組」が事実上の必須項目に
処遇改善加算の算定要件のひとつである職場環境等要件(28項目)でも、生産性向上の位置づけが強化されています。令和8年6月以降、加算Ⅰ・Ⅱ(イ・ロとも)では「生産性向上のための業務改善の取組」(⑰〜㉔)から3項目以上の実施が求められ、しかも「⑰生産性向上ガイドラインに基づく業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)」か「⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)」のいずれかが必須です。加算Ⅲ・Ⅳでも生産性向上から2項目以上の取組が必要になります。
ここで注目したいのは、セミナーの内容が要件の文言とほぼ一対一で対応していることです。ビギナーセミナーとフォローアップセミナーの中核テーマは、生産性向上ガイドラインに基づく業務改善の手順、課題の見える化、実行計画の作成。つまり、セミナーを受講して委員会活動や課題の見える化を実践することは、それ自体が職場環境等要件⑰⑱への対応の足がかりになります。外部の研修会の活用は⑰の例示に明記されており、受講記録や事後課題の成果物は、取組を説明する材料としても機能します。国がセミナーを無料で用意しているのは、加算の上位区分へ誘導するための「公式の攻略ルート」を示しているからだと読むべきでしょう。
誰が受けるべきか|現場リーダーのキャリア価値と申込の注意点
上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を狙う事業所の経営層・管理者
最も優先度が高いのは、処遇改善加算の上位区分の算定を目指す事業所の経営層や管理者です。「ロ」区分は誓約だけで算定を始められますが、実績報告までに取組の実体が伴わなければなりません。生産性向上推進体制加算の取得を誓約した施設系事業所であれば、委員会の立ち上げ方や業務時間調査の進め方を体系的に学べるビギナーセミナーが出発点になります。本気で取組を定着させたいなら、定員50事業所のワーク形式まで進むのが近道です。経営層と従業者の合同参加が必須という設計は、現場任せ・トップダウンの一方通行で業務改善が頓挫する典型パターンを防ぐ仕掛けでもあります。
業務改善の旗振り役を任された現場リーダーのキャリア価値
介護職個人の視点でも、受講の価値は小さくありません。生産性向上委員会の設置や課題の見える化が加算要件になったことで、「業務改善を主導できる人材」は事業所にとって加算収入を左右する存在になりました。委員会の運営経験や、業務時間調査・因果関係図づくりといった手法の習得は、主任・リーダー層が管理職へステップアップする際の具体的な実績になります。転職市場でも、生産性向上の取組経験は施設長候補や本部スタッフの採用で評価されやすい経歴です。無料のオンラインセミナーでその第一歩を踏み出せるのは、現場リーダーにとって費用対効果の高い自己投資といえます。
また、ワーク形式の修了証や成果報告書は、自事業所の取組を対外的に示す材料になります。地域のモデル事業所として育成されれば、事例発表などの形で外部とのつながりも生まれ、個人のキャリアの幅を広げる機会にもなり得ます。
申込前のチェックポイントと確認先
申込にあたっては、次の点に注意が必要です。ワーク形式は申込後のキャンセルができず、全2回の参加と事後課題の提出が必須です。繁忙期のシフトを踏まえ、経営層と従業者が2つの日程(例:グループAなら8月18日と10月20日)の両方に参加できるかを確認してから申し込みましょう。また、ワーク形式はビギナーセミナーの受講(動画受講や過去年度の参加でも可)が前提条件のため、未受講の事業所はまず7月のビギナーセミナーか、その後に案内される動画の受講から始める必要があります。
申込方法や開催要綱の詳細は、セミナー事務局である株式会社NTTデータ経営研究所の公式ページ(セミナー・イベント情報)に掲載されています。介護保険最新情報Vol.1510にも案内ページへの二次元コードが掲載されているほか、都道府県・市区町村の介護保険担当課や介護生産性向上総合相談センターを通じても案内される見込みです。第1回ビギナーセミナーの申込締切は6月24日(水)17時。検討するなら早めの判断をおすすめします。
なお、対象は介護事業所だけではありません。自治体の生産性向上関係部署や介護生産性向上総合相談センター、介護テクノロジー相談窓口、生産性向上の伴走支援者なども参加対象に含まれています。管内事業所の支援にあたる立場であれば、事業所がどのような手順で取組を進めるのかを把握しておくことが、相談対応の引き出しを増やすことにつながります。今回の臨時改定で「ロ」区分への関心が高まるなか、自治体・支援機関側の知識アップデートの機会としても活用できるでしょう。
参考資料
- [1]
- [2]厚生労働省 令和8年度介護現場の生産性向上に関する普及加速化事業一式 生産性向上ビギナーセミナー / 生産性向上フォローアップセミナー- 株式会社NTTデータ経営研究所
- [3]介護分野における生産性向上ポータルサイト- 厚生労働省
- [4]
- [5]
- [6]介護保険最新情報掲載ページ- 厚生労働省
まとめ
厚生労働省は介護保険最新情報Vol.1510(令和8年6月5日)で、令和8年度の生産性向上ビギナーセミナー(7月・全6回)とフォローアップセミナー(講義形式:8〜9月・全4回、ワーク形式:8〜11月・4グループ)の開催を周知しました。すべて参加無料・Zoomによるオンライン開催で、事務局はNTTデータ経営研究所が務めます。第1回ビギナーセミナーの申込締切は6月24日(水)17時です。
令和8年6月施行の臨時改定により、処遇改善加算の上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)や職場環境等要件の対応として「生産性向上の取組」が職員の賃上げに直結する時代になりました。本セミナーは加算要件への対応を体系的に学べる公式ルートであり、上位区分を狙う事業所の経営層はもちろん、業務改善の旗振り役を担う現場リーダーにとってもキャリアの実績づくりにつながる機会です。あなたの職場では、生産性向上の取組を誰が主導していますか。まだ担い手が決まっていないなら、このセミナーへの参加表明が、業務改善と自身のキャリアの両方を前に進める最初の一歩になるかもしれません。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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