
施設で利用者が発熱したときの対応|介護職の観察・クーリング・受診/救急の判断
介護施設で利用者が発熱したとき介護職が行う対応を時系列で解説。高齢者は熱が出にくい特徴、確認すべきバイタル・全身状態、クーリングと保温の使い分け、脱水/誤嚥への注意、解熱剤の扱い、看護師連携・受診/119の判断、感染症を疑う視点と記録・家族連絡まで。
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この記事のポイント
施設で利用者が発熱したら、まずバイタル(体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2)と全身状態を確認し、看護職員へ報告します。高齢者は平熱が低く高熱が出にくいため、38℃以上または平熱より1℃以上の上昇を発熱ととらえ、微熱でも「いつもと違う」を重視します。熱の上がり始めは保温、上がりきってから首・わきの下・足の付け根をクーリングし、こまめに水分を補給。意識障害・呼吸困難・SpO2の著しい低下・けいれんがあれば119番を判断します。
目次
介護施設では、利用者の発熱に最初に気づくのは多くの場合、検温やケアを行う介護職です。看護師が常駐していない時間帯や夜勤帯であればなおさら、介護職の初動が利用者の安全を左右します。一方で「何度から発熱なのか」「すぐ冷やしてよいのか」「いつ救急車を呼ぶのか」は現場で迷いやすいポイントでもあります。
この記事では、施設で利用者が発熱したときに介護職が行う対応を、発見から報告・受診判断・記録までの時系列で整理します。高齢者特有の「熱が出にくい」という特徴をふまえた観察のコツ、クーリングと保温の使い分け、脱水や誤嚥への注意、感染症を疑う視点と拡大防止まで、現場でそのまま使える形でまとめました。バイタル測定や状態観察を看護師と共有し、適切なタイミングで医療につなぐための土台にしてください。
まず知っておきたい高齢者の発熱の特徴
発熱対応を考える前提として、高齢者の発熱には若い人と異なる特徴があります。これを知らないと「微熱だから大丈夫」と見逃し、重症化に気づくのが遅れます。
平熱が低く、高熱が出にくい
加齢に伴い筋肉量が減って熱を生み出す力が低下するため、高齢者の平熱は若年者より低い傾向があります。65〜74歳の平均腋窩温は約36.7℃で、10〜50歳(約36.9℃)より0.2℃ほど低いという統計があります(入来正躬ほか「老人腋窩温の統計値」)。さらに、細菌やウイルスへの抵抗力が弱まることで「熱を上げて病原体と戦う」反応そのものが弱くなり、肺炎などの重い感染症にかかっても微熱程度にしか上がらないことがあります。
「発熱」のとらえ方
一般に37.5℃以上を発熱とすることが多いものの、平熱には個人差があります。厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」では、おおむね38℃以上、もしくは平熱より1℃以上の体温上昇を発熱としてとらえるとしています(普段から体温が低めの人ではこの限りではない、とも示されています)。つまり、37℃台でも本人の平熱より1℃以上高ければ「発熱」として扱う姿勢が重要です。日頃から一人ひとりの平熱を把握しておくことが、発熱の早期発見につながります。
解熱鎮痛薬でマスクされることもある
関節リウマチや慢性的な痛みのために解熱鎮痛薬を常用している利用者では、薬の作用で発熱が抑えられ、重い感染症があっても体温が上がりにくいことがあります。「熱がないから問題ない」と即断せず、食欲・顔色・活気など全身状態とあわせて判断します。
発熱に気づいたときの初動フロー
発熱に気づいたら、慌てず順序立てて動きます。介護職の役割は「正確に観察し、もれなく看護師・医師へ伝え、指示に沿って対応する」ことです。診断や治療は行いません。
ステップ1:バイタルサインを測る
体温だけでなく、脈拍・血圧・呼吸・SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)をセットで測定します。介護職が使用できる器具(電子体温計・耳式体温計、自動血圧計、パルスオキシメーター)を用いた測定は医療行為に当たりません(厚生労働省「医師法第17条等の解釈について」通知)。おおよその目安は次のとおりですが、いずれも「本人の普段の値」と比べることが何より大切です。
- 体温:36.0〜36.9℃(平熱より1℃以上高ければ発熱)
- 脈拍:1分間に50〜80回(発熱時は増えやすい)
- 血圧:収縮期おおむね100〜140mmHg
- 呼吸:1分間に14〜20回
- SpO2:安静時96%以上(普段より低下していないか)
ステップ2:全身状態と「いつもと違う様子」を観察する
数値と同じくらい重要なのが全身状態の観察です。意識ははっきりしているか、呼吸は苦しそうでないか、顔色や唇の色、悪寒やふるえ、発汗、咳・痰、嘔吐・下痢、食事や水分の摂取量、排尿の有無や尿の色・におい、皮膚の発赤や腫れなどを確認します。認知症などで本人が不調を訴えにくい場合は、「活気がない」「食事が進まない」「言葉数が少ない」といった普段との違いが唯一のサインになることもあります。
ステップ3:看護職員・医師へ報告する
感染症を疑う症状を把握した介護職員は、ただちに看護職員または医師へ報告します(前掲・厚労省手引き)。報告はSBARなどの型を使うと漏れがありません。「いつから・何度・随伴症状・普段との違い・すでに行った対応」を簡潔に伝えます。夜間など看護師不在時は、施設の連絡網に沿ってオンコール看護師や当直医に連絡します。
看護師・医師への報告のしかた(SBARの例)
発熱時の報告は、緊張すると要点が抜けがちです。SBARという型に沿うと、誰が報告しても必要な情報がそろいます。SBARは Situation(状況)・Background(背景)・Assessment(評価)・Recommendation(依頼)の頭文字です。介護職は医学的な「診断」を述べる必要はなく、観察した事実と「どうしてほしいか」を伝えれば十分です。
報告の組み立て方
- S(状況):「Aさんが14時の検温で38.2℃の発熱です。平熱は36.4℃で、いつもより元気がありません」
- B(背景):「昨日から食事が半分ほどしか進んでいません。最近、食事中にむせることが増えていました。既往に脳梗塞があります」
- A(評価):「咳と痰が増えていて、SpO2は普段97%のところ今は93%です。呼吸が少し速いように見えます」
- R(依頼):「誤嚥性肺炎の可能性が気になります。診ていただけますか。受診が必要か指示をお願いします」
うまく伝えるコツ
数値は「今◯◯、普段は◯◯」と必ず普段の値とセットで伝えると、相手が緊急度を判断しやすくなります。あいまいな「なんとなく変」だけで終わらせず、「どこがどう違うか」を具体的に言語化します。電話で報告する場合は、手元にバイタルの記録と既往・内服のメモを置いてから掛けると落ち着いて話せます。報告したら、受けた指示と指示者の名前・時刻も記録に残します。
クーリングと保温の使い分け
発熱時に「冷やすか温めるか」は、熱の経過によって変わります。やみくもに冷やすのは逆効果になることがあるため、本人の様子を見ながら使い分けます。発熱は体が病原体と戦うために体温の設定(セットポイント)を高くしている状態で、上がりきるまでは体が熱を欲している、と理解すると判断しやすくなります。
熱の上がり始め(悪寒・ふるえがあるとき)は保温
悪寒がして手足が冷たく、ふるえているときは、体温がこれから上がっていく段階です。この時期に冷やすと、体はさらに熱を上げようとして体力を消耗します。掛け物を足す、室温を上げる、手足を温めるなどして保温し、本人が楽になるよう支えます。ふるえが治まり、手足が温かくなってきたら、次の段階への移り変わりのサインです。
熱が上がりきって暑がるときはクーリング
顔がほてり、汗をかき、暑がるようになったら熱が上がりきったサインです。ここで首・わきの下・足の付け根(鼠径部)など太い血管が通る場所を保冷剤や冷却シートで冷やすと、効率よく熱を逃がせます。冷やしすぎは避け、本人が「気持ちよい」と感じる程度にとどめます。額を冷やすのは安楽目的としては有効ですが、解熱効果そのものは限定的です。
環境を整えることも大切
室温・湿度・寝具・衣服の調整も立派なケアです。暑がっているのに厚着や重い掛け物のままだと熱がこもります。逆に汗で濡れた衣類を放置すると、気化熱で体が冷えすぎることもあります。汗をかいたらこまめに着替えと寝具交換を行い、室温は本人が快適な範囲に保ちます。なお、熱中症による「うつ熱」は、感染などによる発熱とは仕組みが異なり、体に熱がこもった状態です。涼しい場所への移動と冷却・水分補給が基本になるため、暑い時期や空調が効いていない環境での体温上昇では、発熱なのかうつ熱なのかも意識して看護師に伝えます。
クーリングの注意点
- 保冷剤はタオルで包み、皮膚に直接当てて凍傷を起こさないようにする
- 知覚が鈍い利用者・麻痺のある部位は、冷えすぎや低温やけどに注意する
- クーリングはあくまで安楽と補助的な解熱の手段であり、原因への治療ではない。看護師・医師の指示と並行して行う
- クーリング後も体温やSpO2、本人の表情・反応を継続して観察し、変化があれば再報告する
水分補給と脱水・誤嚥への注意
発熱時のケアで見落とせないのが脱水と誤嚥のリスクです。高齢者は体内の水分量が少なく、のどの渇きも感じにくいため、発熱が一気に脱水を招きます。
なぜ発熱で脱水が進むのか
体温が上がると、汗や呼気から自然に失われる水分(不感蒸泄)が増えます。一般に体温が1℃上がると不感蒸泄は約15%増えるとされ、発汗も加わって水分がどんどん失われます。脱水は血液を固まりやすくして脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることもあり、また脱水そのものが発熱の原因になる場合もあります。
水分補給のコツ
- 一度に多く飲ませず、少量をこまめに勧める
- 水だけでなく、経口補水液やお茶、ゼリー飲料など本人が摂りやすいものを選ぶ
- 摂取量・排尿の回数や尿の色を記録し、水分が足りているかを看護師と共有する
- 皮膚や口の中の乾き、皮膚をつまんで戻りが遅い(ツルゴール低下)などの脱水サインを観察する
誤嚥に注意して飲ませる
発熱でぐったりして覚醒が悪いときや、もともと嚥下機能が低下している利用者では、水分でむせて誤嚥するリスクが高まります。上体を起こした姿勢で、少量ずつ、本人がしっかり覚醒しているときに勧めます。むせ込みが強い、意識がもうろうとしているときは無理に飲ませず、看護師に相談します。発熱の背景に誤嚥性肺炎が隠れていることもあるため、咳・痰の増加や呼吸の変化にも注意します。
解熱剤は「医師の指示の範囲」で
解熱剤の扱いは、介護職が自己判断で行ってはいけない領域です。投薬は原則として医療行為であり、介護職ができるのは医師の指示と一定の条件のもとでの服薬介助に限られます。
介護職が守ること
- 解熱剤を「飲ませるかどうか」「いつ飲ませるか」を介護職が独自に判断しない。あらかじめ医師から出ている指示(頓服の条件など)の範囲で対応する
- 指示がない、判断に迷う場合は必ず看護師・医師に確認してから動く
- 服薬介助を行ったら、薬の名前・服用した日時・そのときの体温を必ず記録する
- 高齢者は腎機能が低下しており、解熱鎮痛薬の影響を受けやすい。常用薬との重複がないか、服薬は看護師の確認のもとで行う
解熱剤を使ったあとの観察
解熱剤で一時的に熱が下がっても、原因が治ったわけではありません。薬の効果が切れて再び熱が上がること(弛張熱・間欠熱のような熱の波)もあります。服用後の体温の推移を記録し、受診時に医師へ提示できるようにします。熱が下がったからと観察をゆるめず、全身状態を見続けることが大切です。
受診・救急(119)・看護師連携の判断
発熱そのものより、随伴する全身状態のほうが緊急度を決めます。最終的な医療判断は看護師・医師が行いますが、介護職が「すぐ報告すべきサイン」「救急を考えるサイン」を知っておくことで初動が早くなります。
看護師・医師へすぐ報告する(受診を検討する)目安
- 38℃以上の発熱、または平熱より1℃以上高い状態が続く
- 呼吸が苦しそう、SpO2が普段より低下している
- 嘔吐・下痢が激しい、水分が摂れない
- ぐったりして活気がない、意識がはっきりしない、せん妄がある
- 悪寒・ふるえが強い、顔色や唇の色が悪い
- 微熱でも「いつもと明らかに様子が違う」
これらは厚生労働省の感染対策手引きでも、全身状態が悪いとき・消化器症状が激しいときは特に注意が必要とされている項目です。施設の体制に応じて、かかりつけ医・オンコール看護師・配置医へ連絡し、受診の要否を相談します。受診するか経過を見るかの判断は介護職だけで抱え込まず、医療職の指示を仰ぐのが原則です。
ためらわず119番を判断するサイン
- 意識がない、呼びかけに反応しない、急に意識レベルが下がった
- 呼吸が非常に苦しい、呼吸が止まりそう、顔や唇が青紫色(チアノーゼ)
- けいれんが続く、けいれん後に意識が戻らない
- ろれつが回らない、片側の手足が動かないなど脳卒中を疑う症状を伴う
- 冷や汗をかいてぐったりし、血圧が大きく低下している(ショックを疑う)
判断に迷うときは、救急相談窓口(#7119が利用できる地域)に相談する方法もあります。夜間・休日でも、危険なサインがそろえば看護師の到着を待たずに119番通報を優先します。通報後は、内服薬・既往歴・かかりつけ医・直前のバイタル・発症時刻をまとめ、救急隊や家族へ正確に伝えられるよう準備します。
「迷ったら報告」を原則にする
高齢者は急変の前ぶれが分かりにくく、「様子を見よう」と判断を遅らせたことが重症化につながることがあります。発熱に限らず、いつもと違う様子に気づいたら、確信が持てなくても早めに報告するのが安全側の対応です。報告して「経過観察でよい」と判断されることは問題ではなく、報告しなかったことで対応が遅れるほうがリスクです。普段から看護師と相談しやすい関係をつくっておくことも、結果的に利用者の安全を守ります。
感染症を疑う視点と拡大防止
高齢者施設での発熱は、感染症が背景にあることが少なくありません。原因を特定するのは医師の役割ですが、介護職が「どんな感染症を疑うか」「集団感染を防ぐために何をするか」を理解しておくと、初動の質が上がります。
発熱の裏で疑われる主な感染症
- 誤嚥性肺炎:高齢者の発熱で多い。咳や痰の増加、呼吸の変化、食事中のむせ、SpO2低下などを伴う。むせない不顕性誤嚥もあり、発熱と活気低下だけのこともある
- 尿路感染症:高齢者では発熱・倦怠感・せん妄など非典型的な症状で出ることが多い。尿のにおいや混濁、排尿時の変化に注目する
- インフルエンザ:急な発熱(38〜40℃)と頭痛・関節痛・全身倦怠感が特徴。ただし高齢者では発熱が明らかでないこともある
- 新型コロナウイルス感染症:発熱・咳・倦怠感などかぜに似た症状。施設内での広がりに注意
- 感染性胃腸炎(ノロウイルス等):発熱に嘔吐・下痢を伴う。吐物・便の処理を誤ると一気に拡大する
拡大を防ぐためにすぐできること
感染症を疑ったら、原因が判明する前から標準予防策を徹底します。すべての利用者の血液・体液・排泄物・粘膜を感染源とみなして扱うのが基本です。
- 手指衛生(流水と石けん、またはアルコール手指消毒)をケアの前後で確実に行う
- 発熱者のケアではエプロン・手袋を着用し、必要に応じてマスクを使う。吐物・下痢の処理では使い捨て手袋・マスク・エプロンを使い、適切に廃棄する
- 嘔吐・下痢があるときはノロウイルスを想定し、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を検討する(アルコールが効きにくいため)
- 個室対応やゾーニング、共用部の換気・消毒など、施設の感染対策委員会が定めた行動計画に沿って動く
- 同様の症状の利用者が複数出ていないかを共有し、集団感染の早期発見につなげる
記録と家族への連絡
発熱対応は「記録して共有するまで」が一連の仕事です。記録があいまいだと、次の勤務者や看護師・医師が状態の変化を追えず、適切な判断ができません。発熱は時間とともに波があるため、点ではなく経過で残すことが重要です。
記録に残すこと
- 発熱に気づいた時刻と、そのときのバイタル(体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2)
- 随伴症状(悪寒・咳・痰・嘔吐・下痢・食事や水分の摂取量・排尿の様子など)と、普段との違い
- 行った対応(クーリング・保温・水分補給・着替えなど)とその後の体温の推移
- 看護師・医師への報告時刻と内容、受けた指示と指示者名
- 解熱剤を使った場合は薬の名前・服用日時・前後の体温
事実と解釈を分けて書く
「38.2℃、食事は半分」というのは観察した事実です。一方「誤嚥性肺炎が心配」というのは自分の解釈・推測です。この二つを混ぜて書くと、後から読む人が「実際に何が起きていたのか」を読み取れません。事実を先に、気づきや推測は分けて記すと、看護師・医師が状態を正しく評価でき、申し送りでも誤解が生まれにくくなります。
家族への連絡
発熱や体調変化があったときは、施設の方針に沿って家族へ連絡します。連絡のタイミングや内容は看護師・相談員と相談し、受診の予定や今後の見通しもあわせて伝えると安心につながります。受診や入院、救急搬送になった場合は、内服薬・既往歴・かかりつけ医の情報を整理して家族や医療機関へ正確に共有します。連絡がついた時刻や伝えた内容も記録に残します。ケアマネジャーへの情報提供が必要な場合も忘れずに行い、サービス担当者間で状態が共有されるようにします。
よくある質問(FAQ)
Q. 何℃から発熱として報告すればよいですか?
目安はおおむね38℃以上、または平熱より1℃以上高い状態です(厚生労働省の感染対策手引き)。ただし高齢者は熱が出にくいため、37℃台でも「いつもと違う」と感じたら報告します。数値だけでなく全身状態を添えて伝えるのが基本です。
Q. 発熱したら、まず冷やすべきですか?
いいえ、まず冷やすとは限りません。悪寒やふるえがあり手足が冷たいとき(熱の上がり始め)は保温します。顔がほてり汗をかいて暑がるとき(熱が上がりきったとき)に、首・わきの下・足の付け根を冷やします。冷やしすぎは避けます。
Q. 介護職が解熱剤を飲ませてよいですか?
自己判断ではいけません。投薬は原則として医療行為であり、介護職は医師の指示(頓服の条件など)の範囲で服薬介助を行えるにとどまります。迷ったら必ず看護師・医師に確認します。
Q. 夜間で看護師がいないときはどうしますか?
施設の連絡網に沿って、オンコール看護師や当直医・配置医に連絡し指示を仰ぎます。意識がない、呼吸が非常に苦しい、けいれんが続くなどの危険なサインがそろったときは、指示を待たずに119番通報を優先します。
Q. 発熱者のケアで感染を広げないために何をすればよいですか?
手指衛生をケアの前後で徹底し、エプロン・手袋を着用します。嘔吐・下痢があるときはノロウイルスを想定し、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を検討します。同じ症状の利用者が複数いないかを共有し、施設の行動計画に沿って個室対応やゾーニングを行います。
Q. 平熱はどうやって把握しておけばよいですか?
毎日決まった時間に同じ条件で測り、数日繰り返して平均をとります。運動・入浴・食事の直後は高めに出るため避けます。一人ひとりの平熱を記録で共有しておくと、わずかな発熱の変化にも気づけます。
参考文献・出典
- [1]介護現場における(施設系通所系訪問系サービスなど)感染対策の手引き 第3版- 厚生労働省老健局(令和5年9月)
発熱の定義(38℃以上または平熱より1℃以上)、感染症を疑うべき症状、看護職員・医師への報告、標準予防策・手指衛生・PPE
- [2]医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)- 厚生労働省(平成17年7月26日 医政発第0726005号)
電子体温計・自動血圧計・パルスオキシメーターによるバイタル測定が原則として医行為に当たらない根拠
- [3]
- [4]
まとめ
施設で利用者が発熱したとき、介護職に求められるのは「正確に観察し、もれなく報告し、指示に沿って安全に対応する」ことです。高齢者は平熱が低く高熱が出にくいため、38℃以上または平熱より1℃以上の上昇を発熱ととらえ、微熱でも「いつもと違う」を見逃さない姿勢が重要になります。
初動はバイタルと全身状態の確認から始め、熱の経過に応じて保温とクーリングを使い分け、脱水と誤嚥に注意しながらこまめに水分を補給します。解熱剤は医師の指示の範囲で扱い、受診や119番の判断は全身状態のサインをもとに看護師・医師と連携して行います。発熱の裏に誤嚥性肺炎・尿路感染・インフルエンザ・新型コロナ・感染性胃腸炎などが隠れていることを想定し、標準予防策で拡大を防ぎます。最後に、観察した内容を事実と解釈を分けて記録し、家族やケアマネジャーへ共有するところまでがひとつの対応です。日頃から一人ひとりの平熱と普段の様子を知っておくことが、いざというときの早期発見と的確な初動につながります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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