施設での熱中症・暑さ対策|介護職が押さえる高齢者の予防・重症度別対応・看護師連携
介護職向け

施設での熱中症・暑さ対策|介護職が押さえる高齢者の予防・重症度別対応・看護師連携

介護施設で働く介護職向けに、高齢者が熱中症になりやすい理由、WBGT・室温/湿度の管理目安、エアコンを嫌がる人への対応、水分・電解質補給、Ⅰ〜Ⅲ度の重症度別サインと初期対応(涼所・冷却・経口補水・受診/救急の判断)、記録と看護師連携までを環境省・消防庁・厚労省の最新資料に基づき実務手順で解説します。

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施設での熱中症対策は、介護職が「環境(室温28度以下・WBGT管理)」「水分(口渇を感じにくい高齢者へのこまめな声かけと経口補水)」「観察(重症度Ⅰ〜Ⅲ度のサインの見極め)」の3つを日々の巡回と申し送りに組み込むことが基本です。高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、室内・夜間でも発症します。意識がもうろう・けいれん・高体温(Ⅲ度)はためらわず救急要請し、到着まで冷却を続けます。判断に迷う変化は必ず看護師へ報告・記録します。

目次

夏の介護現場では、高齢の利用者が室内にいても熱中症を起こします。消防庁の調査では、令和6年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送9万7,578人のうち、65歳以上の高齢者が57.4%を占め、発生場所では住居が38.0%で最も多くなっています。屋外の炎天下だけでなく、エアコンの効いていない居室やフロアが危険な場所になり得るということです。

しかも高齢者は「暑い」と感じにくく、のどの渇きも自覚しにくいため、本人からの訴えを待っていては手遅れになります。さらに認知症の方は体調の異変をうまく言葉にできません。つまり施設での熱中症対策は、利用者任せ・本人任せにできず、介護職が環境・水分・観察を先回りして管理する仕事になります。

加えて2025年(令和7年)6月からは、職場の熱中症対策が労働安全衛生規則の改正で罰則付きの義務になりました。利用者を守ることと、入浴介助などで自分自身が倒れないことの両方が、施設に求められています。この記事では、高齢者が熱中症になりやすい理由から、室温・湿度の管理、水分・電解質の補給、重症度別の初期対応、看護師との連携と記録までを、介護職が現場でそのまま使える手順として整理します。

なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか|介護職が知っておく体の変化

対策を「なぜそうするのか」まで理解しておくと、忙しい現場でも優先順位を間違えません。環境省の熱中症環境保健マニュアルは、高齢者が熱中症にかかりやすい理由として、加齢に伴う体の変化を挙げています。

暑さやのどの渇きを感じにくくなる

皮膚の温度センサーの感度が鈍くなるため、高齢者は「暑い」と感じにくくなります。脳が暑さを察知する力も低下するため、脱水が進んでものどの渇きが起こりにくく、自分から水を飲む行動が遅れます。本人が「平気」「暑くない」と言っても、それは安全のサインにはなりません。

体温調節(熱を逃がす力)が低下する

暑さを感じると、体は皮膚の血流量や発汗を増やして熱を外に逃がします(自律性体温調節)。加齢が進むと、この皮膚血流量と発汗量の増加が遅れ、増える量自体も小さくなります。そのため高齢者は若い人より熱を逃がす力が低く、体に熱がたまって深部体温が上がりやすくなります。冷房を使う・服を脱ぐといった行動性体温調節も、暑さに気づきにくいため遅れがちです。

体内の水分量が少なく脱水になりやすい

高齢者は若年者より体液量・血液量が少なく、同じだけ汗をかいても脱水状態に陥りやすく、回復もしにくいことが報告されています。腎臓の機能低下も脱水を起こしやすくする一因です。

持病や薬の影響

糖尿病・高血圧・心疾患などの持病は熱中症の発症リスクを高めます。とくに利尿薬を服用している方は尿として水分が出ていくため脱水に傾きやすく、注意が必要です。心疾患のある方は、脱水時の循環への負担も大きくなります。利尿薬・降圧薬・向精神薬などを内服している利用者は、要注意リストとして職員間で共有しておきます。

居室はもともと暑くなりやすい

環境省マニュアルによれば、夏季の高齢者(70歳以上)の居室は若年者より室温が約2度高く、相対湿度も約5%高い高温多湿の環境になりやすいと報告されています。これは冷房の使用時間が短く、設定温度を高めにする傾向があるためです。つまり「居室は本来、放っておくと暑くなる場所」という前提で、施設側が温度を管理する必要があります。

室温・湿度・WBGTの管理|施設の環境づくりと巡回のポイント

熱中症対策で最も効果が高いのは、そもそも暑い環境をつくらないことです。介護職が毎日の巡回で確認すべき環境管理の基準を整理します。

室温は28度以下、湿度は50〜60%を目安に

環境省は、室温が28度を超えないように温度を調整することを目安として示しています。各居室・フロア・浴室・脱衣所・食堂など、人が滞在する場所に温湿度計を設置し、感覚ではなく数値で判断します。湿度が高いと汗が蒸発せず熱が逃げにくくなるため、温度だけでなく湿度(おおむね50〜60%)も合わせて見ます。エアコンの除湿機能や除湿機も活用します。

WBGT(暑さ指数)で活動の可否を判断する

WBGT(暑さ指数)は、気温・湿度・輻射熱を総合した指標で、単純な気温よりも熱中症リスクをよく反映します。高齢者は健康な成人より低いWBGTでも発症するため、フロアにWBGT計を置く、または環境省の熱中症予防情報サイトで地域の予報値を毎朝確認し、屋外レク・散歩・送迎・入浴の段取りを決めます。目安としては、WBGT28度以上で屋外活動を控え、31度以上で屋外活動は原則中止、室内の空調を強め水分補給と巡回の頻度を上げます。WBGT33度以上が予測されると環境省から熱中症警戒アラートが発表されるので、その日は活動計画を見直します。

エアコンは「つける前提」で運用する

高齢者は冷房を嫌がる傾向があり、本人の希望に合わせていると室温が危険域まで上がります。「暑いと言わないから大丈夫」ではなく、室温が基準を超えたら空調を入れるという運用ルールを施設で決めておきます。夜間も例外ではありません。就寝中も室温・湿度が下がらない夜は熱中症が起こるため、夜勤帯でも空調を切らず、温湿度計で確認します。

エアコンの故障・冷えムラを見逃さない

過去には、居室のエアコン故障に気づかず入居者が重症化した事故が報告されています。フィルターの目詰まりは冷房効率を下げるため、定期清掃を行います。室外機の前に物を置かない、設定どおりに冷えているかを温度計で確かめる、といった点検を巡回に組み込みます。窓にはすだれ・遮光カーテンで日差しを遮り、輻射熱を抑えます。

送迎車・浴室など「暑くなる場所」を別管理する

送迎車は短時間でも車内温度が急上昇します。後部座席まで冷気が届かないことがあるため、乗車中の見守りと車内温度の確認を行い、長時間の車内待機をつくらない段取りにします。浴室・脱衣所は高温多湿になりやすく、入浴介助は利用者・職員双方の熱中症リスクが高い場面です。換気と室温管理、入浴前後の水分補給、介助時間の短縮を意識します。

水分・電解質の補給|のどが渇く前に、こまめに支援する

高齢者はのどの渇きを感じにくいため、本人の訴えを待たずに、施設のスケジュールとして計画的に水分を提供します。環境省は、のどが渇く前にこまめに水分を補給することを基本としています。

1日の目安量と提供のタイミング

食事に含まれる水分を除いた飲水の目安は、おおむね1日1.2リットル前後とされます(環境省)。起床時・朝食・午前のお茶・昼食・午後のお茶・夕食・就寝前など、提供のタイミングをあらかじめ決めておくと飲み忘れを防げます。夜間にトイレへ行きたくないという理由で水分を控える方が多いですが、脱水を防ぐためには就寝前後の一杯が大切です。枕元に飲み物を用意しておくのも有効です。

電解質(塩分)も一緒に補う

大量に汗をかいたときは、水だけでなく塩分(電解質)も失われます。水だけを大量に飲むとかえって体内の塩分濃度が下がるため、汗を多くかいた場面や食事量が落ちているときは、経口補水液で水分と電解質を同時に補います。普段の水分補給は水・お茶でかまいませんが、発汗が多い日・微熱がある日・食欲が落ちている日は経口補水液を使い分けます。

飲水を嫌がる・むせる人への工夫

  • 一度に多く飲めない方には、少量を回数多く提供する(1回100ml程度をこまめに)。
  • 水分そのものを嫌がる方には、ゼリー飲料・水分の多い果物・みそ汁やスープ・お茶ゼリーなど、形や味を変えて提供する。
  • むせのある方には、とろみ調整食品で適切なとろみをつけ、誤嚥を防ぐ。むせ込みが強い場合は無理強いせず看護師・言語聴覚士に相談する。
  • 声かけは「お茶どうぞ」だけでなく、好みの飲み物を選んでもらう、職員も一緒に飲むなど、飲みたくなる雰囲気をつくる。

水分制限のある人は必ず指示を確認する

心不全や腎臓病、人工透析を受けている利用者は、水分摂取量に制限がある場合があります。「夏だから多めに」と一律に増やすのは危険です。制限の有無と1日量は利用者ごとに異なるため、必ず看護師・主治医の指示を確認し、勝手に増減しないことが原則です。判断に迷うときは看護師に確認します。

重症度別のサインと初期対応|Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度で何をするか

熱中症は日本救急医学会・環境省の分類でⅠ度(軽症)・Ⅱ度(中等症)・Ⅲ度(重症)の3段階に分けられます。介護職に求められるのは、サインに早く気づき、重症度に応じて「その場で対応する」「看護師に報告し受診を検討する」「迷わず救急要請する」を選び分けることです。判断に迷ったら重い方に倒して対応します。

重症度主なサイン介護職の対応
Ⅰ度(軽症)めまい・立ちくらみ(熱失神)、立っていると気分が悪い、筋肉のこむら返り・筋肉痛、大量の発汗、生あくび涼しい場所へ移動し、体を冷やす。自分で水分・電解質をとれるなら経口補水液を飲ませて様子を見る。改善しなければⅡ度として対応し、看護師に報告する。
Ⅱ度(中等症)頭痛、吐き気・嘔吐、倦怠感・虚脱感(ぐったり)、集中力・判断力の低下すぐ看護師へ報告し、涼所・冷却を続ける。自力で水分がとれない、症状が改善しない場合は医療機関の受診が必要。受診の段取りを進める。
Ⅲ度(重症)呼びかけへの反応が鈍い・意識がもうろう、けいれん、まっすぐ歩けない・手足の運動障害、体が熱いのに汗が出ない、高体温ただちに救急車を要請する。救急隊が来るまで涼所で全身を積極的に冷やし続ける。意識がない・嘔吐しているときは水分を飲ませない。看護師・管理者へ同時に連絡する。

その場での応急処置の手順(共通)

  1. 涼しい場所へ移動:エアコンの効いた室内や風通しのよい日陰へ。
  2. 衣服をゆるめ、体を冷やす:首の両側、わきの下、太ももの付け根(足の付け根)を保冷剤・氷枕・濡れタオルで冷やす。太い血管を冷やすと効率よく深部体温を下げられる。送風も併用する。
  3. 水分・電解質を補給:意識がはっきりしていれば経口補水液を少しずつ。意識がない・吐いている・反応が鈍いときは飲ませない(誤嚥の危険)。
  4. 観察を続ける:体温・意識・反応・顔色を継続して見る。悪化したら重症度を上げて対応する。

救急要請をためらわない判断基準

次のいずれかがあれば、Ⅲ度として迷わず救急要請します。呼びかけへの反応がおかしい・意識がもうろうとしている、けいれんしている、自分で水分がとれない、体が熱く高体温、冷却しても症状が改善しない。高齢者は急激に悪化することがあるため、「様子を見よう」で時間を失わないことが命を守ります。

記録・看護師連携と施設の体制|2025年義務化への対応も

熱中症対策は個々の職員のがんばりだけでは続きません。観察した情報を記録・申し送りで共有し、看護師・多職種と連携する仕組みにすることで、見逃しと初動の遅れを防げます。

記録すべき項目と申し送り

巡回時には、各エリアの室温・湿度(WBGT)、利用者ごとの水分摂取量、体温・顔色・発汗・元気のなさなどの体調変化を記録します。とくに要注意者(利尿薬・心疾患・認知症・自分で訴えられない方)は、いつ・どれだけ飲んだか、いつもと違う様子はないかを重点的に残します。これらは申し送りで次のシフトへ確実につなぎ、変化があれば早期に気づける状態にします。室温・水分・巡回の記録は、利用者を守ると同時に、施設が環境管理を適切に行っていたことを示す根拠にもなります。

看護師・多職種との連携

「いつもと違う」と感じた変化は、自己判断で抱え込まず看護師へ報告します。Ⅱ度以上が疑われる、自力で水分がとれない、水分制限のある方の体調が不安定、といった場面は看護師の判断が必要です。水分量の目標設定、経口補水液を使う基準、受診の判断などは、看護師・主治医と事前に取り決めておくと、夜勤帯など医療職が手薄な時間帯でも迷いません。緊急連絡網と救急搬送先も全員が把握しておきます。

2025年6月からの義務化(労働安全衛生規則の改正)

令和7年(2025年)6月1日から、職場の熱中症対策が改正労働安全衛生規則で義務化されました。WBGT28度または気温31度以上の環境で、継続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれる場合などが対象で、入浴介助・送迎・屋外作業を行う介護・福祉の現場も含まれます。事業者には、熱中症のおそれがある人を早期に見つけて重症化を防ぐための「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が求められます。具体的には、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察、緊急連絡網・搬送先の整備などをあらかじめ定めて職員に周知します。違反には罰則(6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が定められています。これは利用者だけでなく、入浴介助などで自分自身が倒れないために、職員の体調管理・こまめな休憩・水分補給も施設の取り組みとして行うべきことを意味します。

職員自身の熱中症も防ぐ

介護職は身体介護や移動介助で体力を消耗し、利用者対応を優先するあまり自分の水分補給や休憩が後回しになりがちです。とくに入浴介助は高温多湿の中での重労働で、短時間でも大きく体力を消耗します。「休みづらい空気」をなくし、声をかけ合って休憩・水分をとる文化をつくることが、結果として利用者の安全にもつながります。

入浴介助と職員自身の熱中症対策|倒れないための働き方

施設の熱中症対策は利用者だけの問題ではありません。介護職は身体介護で体力を消耗し、利用者を優先するあまり自分の水分補給や休憩が後回しになりがちです。職員が倒れれば、結果として利用者の安全も守れません。職員自身を守る視点を必ずセットで持ちます。

入浴介助は最も熱中症リスクが高い場面

入浴介助は、高温多湿の浴室・脱衣所で全身を使う重労働です。短時間でも大量の汗をかき、体力を大きく消耗します。次の対策を徹底します。

  • 脱衣所・浴室の換気と室温管理を行い、こもった熱と湿気を逃がす。
  • 介助に入る前と後に職員も水分・電解質を補給する。介助の合間に一口でも飲む。
  • 一人に長時間かからないよう段取りし、連続介助を避けて交代する。
  • 通気性のよい服装で介助し、保冷剤入りのベストや首元の冷却グッズを活用する。
  • 気分が悪くなったら無理をせず、すぐ別の職員に代わってもらう。

暑熱順化(暑さに体を慣らす)

体は数日から2週間ほどかけて暑さに慣れていきます(暑熱順化)。梅雨明け直後など、急に暑くなった時期は体が暑さに慣れておらず、熱中症が起こりやすいことが環境省の資料でも示されています。シーズン初めや連休明けは、急に負荷の高い作業を詰め込まず、こまめな休憩を取りながら徐々に体を慣らします。

「休みづらい空気」をなくす

「自分が抜けると現場が回らない」という責任感から、体調不良を我慢してしまう職員は少なくありません。しかし熱中症は気合いで防げるものではなく、初期対応の遅れが重症化につながります。声をかけ合って休憩・水分をとる、体調が悪い人がすぐ申し出られる雰囲気をつくる、といった安全文化づくりがリスクを下げます。2025年6月からの義務化でも、作業からの離脱や身体の冷却を行える体制づくりが事業者に求められています。職員の健康管理は、安全な介護サービスの土台です。

現場ですぐ使える熱中症対策チェック

  • 朝の申し送りで「今日の暑さ」を共有:WBGT予報・警戒アラートの有無を確認し、屋外活動・入浴・水分提供の段取りをその日の暑さに合わせる。
  • 要注意者リストを掲示:利尿薬・心疾患・認知症・自分で訴えられない方を一目で分かるようにし、巡回時に優先して観察する。
  • 水分提供は「時間割」にする:本人任せにせず、起床時・各食事・午前午後のお茶・就寝前と提供タイミングを固定する。
  • 温湿度計は人の生活する高さに置く:エアコンの吹き出し付近ではなく、利用者が過ごす場所の温度を測る。
  • 「暑くない」を信じない:高齢者は暑さを感じにくい。本人の自覚ではなく数値(室温28度・湿度)で判断する。
  • 夜勤帯こそ空調を切らない:就寝中も室温・湿度を確認し、必要なら冷房・除湿を続ける。
  • 迷ったら重い方に倒す:意識・反応がおかしい、自力で水分がとれないときは様子見せず看護師報告・救急要請。

よくある質問(施設の熱中症・暑さ対策)

Q. エアコンを嫌がる利用者にはどう対応すればいいですか?

本人の希望を尊重しつつも、室温が28度を超えたら空調を入れるというルールを優先します。「冷えるのが苦手」という方には、設定温度をやや高めにして除湿を効かせる、直接風が当たらないよう風向を調整する、薄手の羽織り物を用意する、扇風機・サーキュレーターで空気を回すなど、寒さを和らげながら室温を下げる工夫をします。高齢者は暑さを感じにくいため、本人が「暑くない」と言っても室温が高ければ熱中症の危険があります。判断は本人の体感ではなく温湿度計の数値で行います。

Q. 認知症で暑さや体調を訴えられない利用者の見守りは?

自分から訴えられない方ほど、職員側の観察が命綱になります。顔の赤み・ぐったり・反応の鈍さ・発汗の異常(汗が止まる)・食欲低下などのサインを巡回ごとに確認し、要注意者として水分提供と室温管理を重点的に行います。少しでも普段と違えば看護師へ報告します。

Q. 経口補水液とスポーツドリンクはどう使い分けますか?

大量に汗をかいた・微熱がある・食欲が落ちて脱水が心配なときは、電解質濃度の調整された経口補水液が適しています。普段の水分補給は水やお茶でかまいません。糖分や水分制限のある方(糖尿病・腎臓病・心不全など)は、使用前に必ず看護師の指示を確認します。

Q. 水分制限のある利用者にも夏は多めに飲ませた方がよいですか?

いいえ。心不全・腎臓病・透析中の方などは水分制限が指示されていることがあり、一律に増やすのは危険です。1日量や制限の有無は利用者ごとに異なるため、必ず看護師・主治医の指示に従い、自己判断で増減しないでください。

Q. 何度になったら救急車を呼ぶべきですか?

体温の数字だけで決めるのではなく、サインで判断します。意識がもうろう・呼びかけへの反応がおかしい、けいれん、まっすぐ歩けない、自力で水分がとれない、体が熱く高体温、冷却しても改善しない、これらはⅢ度(重症)であり、ためらわず救急要請します。救急隊到着まで全身の冷却を続けます。

参考文献・出典

まとめ|施設の熱中症対策は介護職の先回りで決まる

高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、室内・夜間でも熱中症を起こします。だからこそ施設での対策は、本人任せにせず介護職が先回りすることが要になります。やるべきことは大きく3つです。環境(室温28度以下・湿度とWBGTの管理、エアコンを切らない運用)、水分(時間割にした計画的な提供と、汗をかいた日の経口補水液、制限のある方への指示確認)、観察(重症度Ⅰ〜Ⅲ度のサインの見極めと、迷ったら重い方に倒す判断)です。

そして、気づいた変化は記録・申し送り・看護師連携の仕組みに乗せること。意識がもうろう・けいれん・高体温(Ⅲ度)はためらわず救急要請し、到着まで冷却を続けます。2025年6月からは職場の熱中症対策が義務になり、利用者を守ることと、入浴介助などで職員自身が倒れないことの両方が施設に求められています。暑い夏を、利用者も職員も安全に乗り切るために、今日の巡回からチェック項目を一つずつ実践していきましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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